JP2004233589A - ギャップ制御装置および液晶表示パネルの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを下げ、精度の高いセルギャップ調整ができるギャップ制御装置を提供する。
【解決手段】各液晶表示パネル3の間に、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材3を被着してなるスペーサ2を介して、液晶表示パネル2をほぼ垂直にして重ねるように配列して、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対しシリンダ7を備えたギャップ制御装置である。
【選択図】図2
【解決手段】各液晶表示パネル3の間に、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材3を被着してなるスペーサ2を介して、液晶表示パネル2をほぼ垂直にして重ねるように配列して、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対しシリンダ7を備えたギャップ制御装置である。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶材を封入した各液晶表示パネルのギャップを調整するギャップ制御装置ならびにこのギャップ制御装置を用いた液晶表示パネルの製造方法に関するものである。とくに携帯電話などの小型機器に用いる小型化した液晶表示パネルに好適なギャップ制御装置ならびに液晶表示パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルは、つぎのような工程を経て作製する。
たとえばSTN型の液晶表示パネルの製造方法によれば、成膜した信号側の基板と走査側の基板をマスターガラスとなして、双方の研磨面を対向させて貼り合わせ、そして、熱硬化性の外周シール部を圧着工程でもって硬化させる。その後、そのマスターガラスの貼り合わせ基板を個々の液晶表示パネルごとに分断し切り離すことで、複数の液晶表示パネルを得る。なお、このような液晶表示パネルは通常、液晶セルと称することがある。
【0003】
これらパネルに液晶を注入し、そして、ギャップ制御工程を経ることで余分に注入した液晶材を排出し、適正なギャップとなす。
【0004】
近年、携帯電話などの小型機器に実装する液晶表示パネルについても、同じ工程で作製するが、一度により多くの液晶表示パネルを製造することで、ギャップ制御工程にて、液晶表示パネルを数十枚段積にして処理している。
【0005】
このように液晶表示パネルを、スペーサを介して段積する場合、個々のパネルにおいて、そのガラス板の未研磨面が露出されることで、各パネルの間に緩衝材も介在しており、この緩衝材として、たとえば、テープ類を貼りつけたガラス板、ゴム板、発泡スポンジからなる板、樹脂板、テープ類を貼りつけたアルミ板等を用いている。
【0006】
また、セルカセットに液晶材がいまだ注入されていない空セルを、これら空セルの液晶注入口を下向きになるように、等チッピになるように複数個配列し収納し、そして、これら空セルに対し液晶材を注入し、しかる後に、余分に付着した液晶材をエアーバックを用いて一枚づつ挟み込むことで、吸い取りながら、掻き取る技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−199199号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術によれば、液晶注入時に余分に付着した液晶材を吸い取り、掻き取ることで色むらを解消することに対し有効となるが、その反面、挟み込む部分は注入口付近のみであり、液晶セルの全面への対応が不十分であり、注入口付近のみをエアーバックにて挟み込んでいることで、表示面内のすべてを制御し調整することができず、その結果、色ムラが発生し、とくに携帯電話用液晶パネルなどの小型のパネルに顕著であった。
【0009】
このような課題は、良好な表示品位を得るには、信号基板と走査基板との間に散布したスペーサとも関係する。とくに弾性のあるプラスチックのスペーサを用いた場合には、信号基板と走査基板との間を一定の圧力でもって押した状態にしているが、少なくとも注入口を封口するまでは、それを維持する必要がある。そのような押圧状態が維持されていない場合には、表示面の外周部と中心部との間でギャップ差が生じ、これによって色むらが発生する原因となる。
【0010】
また、上述したごとく、各パネルの間に介在した緩衝材についても、テープ類を貼りつけたガラス板であれば面精度を出すことが容易であるが、その反面、さまざまな形状に加工するに当り、製造コストが大きくなるという課題がある。ゴム板や樹脂板を使用した場合には面精度が悪く、発泡スポンジからなる板を用いた場合には液晶材が付着しやすくなり、テープ類を貼りつけたアルミ板等を用いた場合には、アルミ元板より所定形状に加工しアルマイト処理し、そして、全数に対し面精度を測定し良否を選別する必要があり、その上、凹凸のうねり等のさまざまな現象があらわれ、完全に選別することがむずかしいという点もあった。
【0011】
本発明者が叙上に鑑みて鋭意研究に努めた結果、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを用いた場合には、叙上の課題が解消されることを見出した。
【0012】
本発明は上記知見により完成されたものであり、その目的は製造コストを下げ、精度の高いセルギャップ調整ができるギャップ制御装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は低コストかつ高信頼性の液晶表示パネルが得られる液晶表示パネルの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のギャップ制御装置は、各液晶表示パネルの間に、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、当該液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の他のギャップ制御装置は、前記支持板が金属板であることを特徴とする。
【0016】
本発明のさらに他のギャップ制御装置は、前記金属板がアルミニウム金属板であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他のギャップ制御装置は、前記緩衝材がガラス繊維を含むテープであることを特徴とする。
【0018】
本発明の液晶表示パネルの製造方法は、基板に電極と配向膜を形成した一対の貼り合わせ用部材を、液晶層を介して貼り合わせてなる液晶表示パネルを、本発明のギャップ制御装置を用いてセルギャップ調整する工程を経ることを特徴とする。
【0019】
【作用】
本発明のギャップ制御装置は、上記構成のように平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、そして、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたことで、とくに、かかるスペーサを用いたことで、加工性を高めながら優れた面精度を得て、さらに製造コストを下げることで、低コストかつ高信頼性の液晶表示パネルが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のギャップ制御装置を図により説明する。
図1はギャップ制御装置の上面図であり、各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた状態を示す。図2は各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた状態を示すギャップ制御装置の内部状態正面図であり、図3は右側面図、図4は左側面図である。また、図5はギャップ制御装置の裏面側です(注入口側)の側面図である。
【0021】
さらにまた、図6は本発明のギャップ制御装置に用いる各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた構造の分解斜視図である。
【0022】
図1〜図6に示すごとく、5は長尺状の箱型の治具筐体であり、たとえばアルマイト処理したアルミニウム板からなる筐体であり、その内部にて各スペーサ2と液晶表示パネル3とを立てるように交互に並べている。
【0023】
このスペーサ2には、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材1を被着してなる。そして、各液晶表示パネル3の間にスペーサ2を介して、これら液晶表示パネル3をほぼ垂直にして重ねるように配列するが、各液晶表示パネル3の間隔、すなわちスペーサ2の厚みを3mm以上に設定すると、毛細管現象による液晶材の吸い上がりができやすいという点で好適である。
【0024】
また、上記緩衝材1は支持板の両面に被着しているが、同じような緩衝材4を治具筐体の内側面にも貼り付けている。
【0025】
これら緩衝材1、4はガラス繊維を含むテープであって、その構成を図7に示す。
【0026】
たとえば中興化成工業株式会社製AGF−100がある。このテープであれば、テフロン(R)(PTFE)をガラス繊維に含浸させ、さらにシリコン製の粘着材を塗布したものである。
【0027】
上記支持板は、たとえば金属板であり、さらにアルミニウム金属板が加工性に優れている点で望ましい。その他、ゴム板、ステンレス板、ガラス板などを用いてもよい。
【0028】
また、長尺状箱型の治具筐体5の一方端にシリンダ7を設け、他端にストッパ11を設け、そして、シリンダ7を外部のプレス機でもって所定の圧力を加えることでギャップ制御をおこなう。また、この圧力を保持するためにシリンダーロックネジ8にて固定し、さらにストッパ11の内側に配したウレタンゴム板10にて、その弾性機能を利用して長時間にわたって、その圧力を保持できる構造である。
【0029】
6はスペーサ注入口側切り欠き部、9は注入口側穴である。
【0030】
そして、本発明のスペーサ2はアルミ元板を機械加工にて所定の形状、寸法加工した後、ラッピングフィルムにて平面度1〜4μm、好適には平面度2〜3μmになるように加工している。
【0031】
なお、平面度は、JIS―B―0021の交差の定義を参照するに、図8に示すごとき、一定の平面状態に歪みが生じた場合、その歪みを間隔tにて表す。
【0032】
そして、アルミ元板を機械加工にて所定の形状、寸法加工した後、ラッピングフィルムにて平面度1〜4μmに研磨したものについて、その研磨品の隙間のばらつきをレンジでもって表示した。
【0033】
すなわち、レンジはSTN型液晶パネルにおける信号基板と走査基板との隙間(ギャップ)のばらつき範囲であり、このばらつきが大きいほど色むらが大きくなり、そのレンジが小さくなると色むらが少ないと言える。
【0034】
本発明者が繰り返し行った実験によれば、本発明のごとく、ラッピングフィルムにて平面度1〜4μmに研磨した研磨品については、そのレンジが0.141μmであった。これに対し、まったく研磨しないものについては、0.393μmであった。
【0035】
つぎに本発明のギャップ制御装置を用いて製造した液晶表示装置を述べる。
この液晶表示装置の概略構成を図9と図10により説明する。
【0036】
図9はSTN型液晶表示装置20の平面図であり、図10は図9のA−A線に沿った部分の断面図である。
【0037】
21は信号基板(下基板)であり、22は走査基板(上基板)であり、信号基板21の上に電極パターン23と配向膜とを順次形成している。走査基板22の上にも電極パターン24と配向膜とを順次形成している。
【0038】
これら信号基板21と走査基板22とを液晶32を介して貼り合せた構造である。これには熱硬化型樹脂からなるシールパターン25を用いる。このシールパターン25にはシール内スペーサ30が含まれている。このシール内スペーサ30は、たとえば日本電気硝子製グラスファイバPF78がある。
【0039】
31は面内スペーサであり、たとえば積水化学工業製ミクロパールSPS20674RXである。26は注入口封止部であり、40、41は備光板や位相差板である。
【0040】
上記構成の液晶表示装置20を製造するには、熱硬化型樹脂からなるシールパターン25を用いた貼り合せ工程がある。
【0041】
このような構成の液晶表示装置を製造するに当り、最初に2枚のガラス基板21、22のうち一方もしくは双方ともに、所定の間隙を作ると同時に2枚のガラス基板に設けられた電極パターン間を導通させるために、円筒状もしくは球状をしたガラス製か樹脂製のスベーサ、ならびに表面がAuメッキされた球状の樹脂製の導通ボール30を所定の割合で混合撹拝した熱硬化型のエボキシ樹脂(シール材と呼ばれる)をスクリーン印刷装置あるいはデイスペンサ装置で所望のパターン25に塗布する。
【0042】
その後、一方のガラス基板に対し、表示面内の間隙を一定にするために球状のガラス製あるいは樹脂製のスペーサ31を溶剤に分散させた状態で一定の密度で散布する。このスペーサ31が散布されたガラス基板22とシール材が印刷された他方のガラス基板21を貼合せ装置により固定を行う。
【0043】
すなわち、あらかじめそれぞれの基板に設けられたITO(Indium Tin Oxide)、アルミニウム、カラーフィルタに使用される黒、赤、緑、青の色レジストなどにより作成された貼合せマーカーを画像認識により高い精度で貼合せを行い、基板の対角上に2箇所設けられた紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して固定を行う。しかる後に、前記液晶表示用貼り合わせ基板20をホットプレス方式の圧着装置やエアバルーン方式の圧着装置にセットし、2枚の基板を熱硬化性樹脂にて接合(仮固定)した液晶表示用貼り合わせ基板3を経て貼り合わせる。
【0044】
実際の製造には、成膜した信号側の基板と走査側の基板をマスターガラスとなして、双方の研磨面を対向させて貼り合わせ、そして、熱硬化性の外周シール部を圧着工程でもって硬化させ、その後、そのマスターガラスの貼り合わせ基板を個々の液晶表示パネルごとに分断し切り離すことで、複数の液晶表示パネルを得る。そして、これらパネルに液晶を注入する。
【0045】
しかる後、これら液晶層を介して貼り合わせてなる液晶表示パネルを、本発明のギャップ制御装置を用いてセルギャップ調整する工程を経ることで、余分に注入した液晶材を排出し、適正なギャップとなす。
【0046】
かくして本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、本発明のギャップ制御装置を用いたことで、高い品質の液晶表示装置が得られるとともに、製造歩留まりを高め、製造コストを下げることができた。
【0047】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のギャップ制御装置によれば、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、そして、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたことで、加工性を高めながら優れた面精度を得て、さらに製造コストを下げることで、低コストかつ高信頼性の液晶表示パネルが得られた。
【0048】
また、本発明によれば、携帯電話などの小型機器に実装する液晶表示パネルに対し、とくに好適であり、多くのパネルを一度に処理することから、ギャップ制御工程にて液晶表示パネルを数十枚段積にして処理する点で優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のギャップ制御装置の平面図である。
【図2】本発明のギャップ制御装置の内部状態を示す正面図である。
【図3】本発明のギャップ制御装置の右側面図である。
【図4】本発明のギャップ制御装置の左側面図である。
【図5】本発明のギャップ制御装置の裏面側(注入口側)の側面図である。
【図6】本発明のギャップ制御装置に用いる各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた構造の分解斜視図である。
【図7】本発明のギャップ制御装置に用いる緩衝材の分解斜視図である。
【図8】なお、平面度は、JIS―B―0021による平面度の測定方法を示す説明図である。
【図9】STN型液晶表示装置の平面図である。
【図10】図9のA−A線に沿った部分の断面図である。
【符号の説明】
1、4・・・緩衝材
2・・・スペーサ
3・・・液晶表示パネル
5・・・治具筐体
6・・・スペーサ注入口側切り欠き部
7・・・シリンダ
8・・・シリンダストッパー
9・・・注入口側穴
10・・・ウレタンゴム板
11・・・ストッパ
【発明の属する技術分野】
本発明は液晶材を封入した各液晶表示パネルのギャップを調整するギャップ制御装置ならびにこのギャップ制御装置を用いた液晶表示パネルの製造方法に関するものである。とくに携帯電話などの小型機器に用いる小型化した液晶表示パネルに好適なギャップ制御装置ならびに液晶表示パネルの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示パネルは、つぎのような工程を経て作製する。
たとえばSTN型の液晶表示パネルの製造方法によれば、成膜した信号側の基板と走査側の基板をマスターガラスとなして、双方の研磨面を対向させて貼り合わせ、そして、熱硬化性の外周シール部を圧着工程でもって硬化させる。その後、そのマスターガラスの貼り合わせ基板を個々の液晶表示パネルごとに分断し切り離すことで、複数の液晶表示パネルを得る。なお、このような液晶表示パネルは通常、液晶セルと称することがある。
【0003】
これらパネルに液晶を注入し、そして、ギャップ制御工程を経ることで余分に注入した液晶材を排出し、適正なギャップとなす。
【0004】
近年、携帯電話などの小型機器に実装する液晶表示パネルについても、同じ工程で作製するが、一度により多くの液晶表示パネルを製造することで、ギャップ制御工程にて、液晶表示パネルを数十枚段積にして処理している。
【0005】
このように液晶表示パネルを、スペーサを介して段積する場合、個々のパネルにおいて、そのガラス板の未研磨面が露出されることで、各パネルの間に緩衝材も介在しており、この緩衝材として、たとえば、テープ類を貼りつけたガラス板、ゴム板、発泡スポンジからなる板、樹脂板、テープ類を貼りつけたアルミ板等を用いている。
【0006】
また、セルカセットに液晶材がいまだ注入されていない空セルを、これら空セルの液晶注入口を下向きになるように、等チッピになるように複数個配列し収納し、そして、これら空セルに対し液晶材を注入し、しかる後に、余分に付着した液晶材をエアーバックを用いて一枚づつ挟み込むことで、吸い取りながら、掻き取る技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−199199号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この技術によれば、液晶注入時に余分に付着した液晶材を吸い取り、掻き取ることで色むらを解消することに対し有効となるが、その反面、挟み込む部分は注入口付近のみであり、液晶セルの全面への対応が不十分であり、注入口付近のみをエアーバックにて挟み込んでいることで、表示面内のすべてを制御し調整することができず、その結果、色ムラが発生し、とくに携帯電話用液晶パネルなどの小型のパネルに顕著であった。
【0009】
このような課題は、良好な表示品位を得るには、信号基板と走査基板との間に散布したスペーサとも関係する。とくに弾性のあるプラスチックのスペーサを用いた場合には、信号基板と走査基板との間を一定の圧力でもって押した状態にしているが、少なくとも注入口を封口するまでは、それを維持する必要がある。そのような押圧状態が維持されていない場合には、表示面の外周部と中心部との間でギャップ差が生じ、これによって色むらが発生する原因となる。
【0010】
また、上述したごとく、各パネルの間に介在した緩衝材についても、テープ類を貼りつけたガラス板であれば面精度を出すことが容易であるが、その反面、さまざまな形状に加工するに当り、製造コストが大きくなるという課題がある。ゴム板や樹脂板を使用した場合には面精度が悪く、発泡スポンジからなる板を用いた場合には液晶材が付着しやすくなり、テープ類を貼りつけたアルミ板等を用いた場合には、アルミ元板より所定形状に加工しアルマイト処理し、そして、全数に対し面精度を測定し良否を選別する必要があり、その上、凹凸のうねり等のさまざまな現象があらわれ、完全に選別することがむずかしいという点もあった。
【0011】
本発明者が叙上に鑑みて鋭意研究に努めた結果、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを用いた場合には、叙上の課題が解消されることを見出した。
【0012】
本発明は上記知見により完成されたものであり、その目的は製造コストを下げ、精度の高いセルギャップ調整ができるギャップ制御装置を提供することにある。
【0013】
また、本発明の他の目的は低コストかつ高信頼性の液晶表示パネルが得られる液晶表示パネルの製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のギャップ制御装置は、各液晶表示パネルの間に、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、当該液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の他のギャップ制御装置は、前記支持板が金属板であることを特徴とする。
【0016】
本発明のさらに他のギャップ制御装置は、前記金属板がアルミニウム金属板であることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の他のギャップ制御装置は、前記緩衝材がガラス繊維を含むテープであることを特徴とする。
【0018】
本発明の液晶表示パネルの製造方法は、基板に電極と配向膜を形成した一対の貼り合わせ用部材を、液晶層を介して貼り合わせてなる液晶表示パネルを、本発明のギャップ制御装置を用いてセルギャップ調整する工程を経ることを特徴とする。
【0019】
【作用】
本発明のギャップ制御装置は、上記構成のように平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、そして、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたことで、とくに、かかるスペーサを用いたことで、加工性を高めながら優れた面精度を得て、さらに製造コストを下げることで、低コストかつ高信頼性の液晶表示パネルが得られる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のギャップ制御装置を図により説明する。
図1はギャップ制御装置の上面図であり、各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた状態を示す。図2は各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた状態を示すギャップ制御装置の内部状態正面図であり、図3は右側面図、図4は左側面図である。また、図5はギャップ制御装置の裏面側です(注入口側)の側面図である。
【0021】
さらにまた、図6は本発明のギャップ制御装置に用いる各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた構造の分解斜視図である。
【0022】
図1〜図6に示すごとく、5は長尺状の箱型の治具筐体であり、たとえばアルマイト処理したアルミニウム板からなる筐体であり、その内部にて各スペーサ2と液晶表示パネル3とを立てるように交互に並べている。
【0023】
このスペーサ2には、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材1を被着してなる。そして、各液晶表示パネル3の間にスペーサ2を介して、これら液晶表示パネル3をほぼ垂直にして重ねるように配列するが、各液晶表示パネル3の間隔、すなわちスペーサ2の厚みを3mm以上に設定すると、毛細管現象による液晶材の吸い上がりができやすいという点で好適である。
【0024】
また、上記緩衝材1は支持板の両面に被着しているが、同じような緩衝材4を治具筐体の内側面にも貼り付けている。
【0025】
これら緩衝材1、4はガラス繊維を含むテープであって、その構成を図7に示す。
【0026】
たとえば中興化成工業株式会社製AGF−100がある。このテープであれば、テフロン(R)(PTFE)をガラス繊維に含浸させ、さらにシリコン製の粘着材を塗布したものである。
【0027】
上記支持板は、たとえば金属板であり、さらにアルミニウム金属板が加工性に優れている点で望ましい。その他、ゴム板、ステンレス板、ガラス板などを用いてもよい。
【0028】
また、長尺状箱型の治具筐体5の一方端にシリンダ7を設け、他端にストッパ11を設け、そして、シリンダ7を外部のプレス機でもって所定の圧力を加えることでギャップ制御をおこなう。また、この圧力を保持するためにシリンダーロックネジ8にて固定し、さらにストッパ11の内側に配したウレタンゴム板10にて、その弾性機能を利用して長時間にわたって、その圧力を保持できる構造である。
【0029】
6はスペーサ注入口側切り欠き部、9は注入口側穴である。
【0030】
そして、本発明のスペーサ2はアルミ元板を機械加工にて所定の形状、寸法加工した後、ラッピングフィルムにて平面度1〜4μm、好適には平面度2〜3μmになるように加工している。
【0031】
なお、平面度は、JIS―B―0021の交差の定義を参照するに、図8に示すごとき、一定の平面状態に歪みが生じた場合、その歪みを間隔tにて表す。
【0032】
そして、アルミ元板を機械加工にて所定の形状、寸法加工した後、ラッピングフィルムにて平面度1〜4μmに研磨したものについて、その研磨品の隙間のばらつきをレンジでもって表示した。
【0033】
すなわち、レンジはSTN型液晶パネルにおける信号基板と走査基板との隙間(ギャップ)のばらつき範囲であり、このばらつきが大きいほど色むらが大きくなり、そのレンジが小さくなると色むらが少ないと言える。
【0034】
本発明者が繰り返し行った実験によれば、本発明のごとく、ラッピングフィルムにて平面度1〜4μmに研磨した研磨品については、そのレンジが0.141μmであった。これに対し、まったく研磨しないものについては、0.393μmであった。
【0035】
つぎに本発明のギャップ制御装置を用いて製造した液晶表示装置を述べる。
この液晶表示装置の概略構成を図9と図10により説明する。
【0036】
図9はSTN型液晶表示装置20の平面図であり、図10は図9のA−A線に沿った部分の断面図である。
【0037】
21は信号基板(下基板)であり、22は走査基板(上基板)であり、信号基板21の上に電極パターン23と配向膜とを順次形成している。走査基板22の上にも電極パターン24と配向膜とを順次形成している。
【0038】
これら信号基板21と走査基板22とを液晶32を介して貼り合せた構造である。これには熱硬化型樹脂からなるシールパターン25を用いる。このシールパターン25にはシール内スペーサ30が含まれている。このシール内スペーサ30は、たとえば日本電気硝子製グラスファイバPF78がある。
【0039】
31は面内スペーサであり、たとえば積水化学工業製ミクロパールSPS20674RXである。26は注入口封止部であり、40、41は備光板や位相差板である。
【0040】
上記構成の液晶表示装置20を製造するには、熱硬化型樹脂からなるシールパターン25を用いた貼り合せ工程がある。
【0041】
このような構成の液晶表示装置を製造するに当り、最初に2枚のガラス基板21、22のうち一方もしくは双方ともに、所定の間隙を作ると同時に2枚のガラス基板に設けられた電極パターン間を導通させるために、円筒状もしくは球状をしたガラス製か樹脂製のスベーサ、ならびに表面がAuメッキされた球状の樹脂製の導通ボール30を所定の割合で混合撹拝した熱硬化型のエボキシ樹脂(シール材と呼ばれる)をスクリーン印刷装置あるいはデイスペンサ装置で所望のパターン25に塗布する。
【0042】
その後、一方のガラス基板に対し、表示面内の間隙を一定にするために球状のガラス製あるいは樹脂製のスペーサ31を溶剤に分散させた状態で一定の密度で散布する。このスペーサ31が散布されたガラス基板22とシール材が印刷された他方のガラス基板21を貼合せ装置により固定を行う。
【0043】
すなわち、あらかじめそれぞれの基板に設けられたITO(Indium Tin Oxide)、アルミニウム、カラーフィルタに使用される黒、赤、緑、青の色レジストなどにより作成された貼合せマーカーを画像認識により高い精度で貼合せを行い、基板の対角上に2箇所設けられた紫外線硬化樹脂に紫外線を照射して固定を行う。しかる後に、前記液晶表示用貼り合わせ基板20をホットプレス方式の圧着装置やエアバルーン方式の圧着装置にセットし、2枚の基板を熱硬化性樹脂にて接合(仮固定)した液晶表示用貼り合わせ基板3を経て貼り合わせる。
【0044】
実際の製造には、成膜した信号側の基板と走査側の基板をマスターガラスとなして、双方の研磨面を対向させて貼り合わせ、そして、熱硬化性の外周シール部を圧着工程でもって硬化させ、その後、そのマスターガラスの貼り合わせ基板を個々の液晶表示パネルごとに分断し切り離すことで、複数の液晶表示パネルを得る。そして、これらパネルに液晶を注入する。
【0045】
しかる後、これら液晶層を介して貼り合わせてなる液晶表示パネルを、本発明のギャップ制御装置を用いてセルギャップ調整する工程を経ることで、余分に注入した液晶材を排出し、適正なギャップとなす。
【0046】
かくして本発明の液晶表示パネルの製造方法によれば、本発明のギャップ制御装置を用いたことで、高い品質の液晶表示装置が得られるとともに、製造歩留まりを高め、製造コストを下げることができた。
【0047】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のギャップ制御装置によれば、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、そして、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたことで、加工性を高めながら優れた面精度を得て、さらに製造コストを下げることで、低コストかつ高信頼性の液晶表示パネルが得られた。
【0048】
また、本発明によれば、携帯電話などの小型機器に実装する液晶表示パネルに対し、とくに好適であり、多くのパネルを一度に処理することから、ギャップ制御工程にて液晶表示パネルを数十枚段積にして処理する点で優れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のギャップ制御装置の平面図である。
【図2】本発明のギャップ制御装置の内部状態を示す正面図である。
【図3】本発明のギャップ制御装置の右側面図である。
【図4】本発明のギャップ制御装置の左側面図である。
【図5】本発明のギャップ制御装置の裏面側(注入口側)の側面図である。
【図6】本発明のギャップ制御装置に用いる各スペーサと液晶表示パネルとを立てるように並べた構造の分解斜視図である。
【図7】本発明のギャップ制御装置に用いる緩衝材の分解斜視図である。
【図8】なお、平面度は、JIS―B―0021による平面度の測定方法を示す説明図である。
【図9】STN型液晶表示装置の平面図である。
【図10】図9のA−A線に沿った部分の断面図である。
【符号の説明】
1、4・・・緩衝材
2・・・スペーサ
3・・・液晶表示パネル
5・・・治具筐体
6・・・スペーサ注入口側切り欠き部
7・・・シリンダ
8・・・シリンダストッパー
9・・・注入口側穴
10・・・ウレタンゴム板
11・・・ストッパ
Claims (5)
- 各液晶表示パネルの間に、平面度1〜4μmの支持板の両面にそれぞれ緩衝材を被着してなるスペーサを介して、当該液晶表示パネルをほぼ垂直にして重ねるように配列して、これら液晶表示パネル群の端に配した液晶表示パネルに対し加圧せしめる加圧手段を備えたギャップ制御装置。
- 前記支持板が金属板であることを特徴とする請求項1記載のギャップ制御装置。
- 前記金属板がアルミニウム金属板であることを特徴とする請求項2記載のギャップ制御装置。
- 前記緩衝材がガラス繊維を含むテープであることを特徴とする請求項1記載のギャップ制御装置。
- 基板に電極と配向膜を形成した一対の貼り合わせ用部材を、液晶層を介して貼り合わせてなる液晶表示パネルを、請求項1〜請求項4のギャップ制御装置を用いてセルギャップ調整する工程を経ることを特徴とする液晶表示パネルの製造方法。
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---|---|---|---|
JP2003021168A JP2004233589A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | ギャップ制御装置および液晶表示パネルの製造方法 |
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- 2003-01-29 JP JP2003021168A patent/JP2004233589A/ja active Pending
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