JP2004232597A - 流体噴射弁およびそれに用いる弁部材の製造方法 - Google Patents

流体噴射弁およびそれに用いる弁部材の製造方法 Download PDF

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Eiji Mimura
栄二 三村
Yukio Sawada
沢田  行雄
Katsuhisa Shimokawa
勝久 下川
Yukio Yamaguchi
幸雄 山口
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Abstract

【課題】異物の噛み込みが防止され、生産性が高く、弁密度が高い流体噴射弁を提供する。
【解決手段】ニードルヘッド50は、円周面状の外壁を有する円周面部51と球面状の外壁を有する第一球面部52および第二球面部53を有している。弁ボディの弁座に着座可能なシート部54は第一球面部52に形成されている。ニードルヘッド50は円周面部51を有しているため、ニードル40の側面と弁ボディの内周面との間からシート部54の近傍への異物の侵入が妨げられる。また、ニードルヘッド50は球状の部材を円柱状に成形することにより得られるため、第一球面部52の真円度は容易かつ高精度に確保され、生産性を高めることができる。さらに、シート部54は真円度の高い第一球面部52に形成されるため、ニードル40が傾斜してもシート部54と弁座との間に隙間が形成されにくく、弁密度を高めることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、流体噴射弁ならびに流体噴射弁の弁部材の製造方法に関し、特に内燃機関(以下、内燃機関を「エンジン」という。)の燃料噴射弁ならびに燃料噴射弁の弁部材の製造方法に用いて好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンへ吸入される吸気またはエンジンの燃焼室へ燃料を噴射する燃料噴射弁は、噴孔からの燃料の噴射を断続する弁部材を備えている。弁部材は、弁ボディに形成されている弁座に着座または弁座から離座することにより、燃料の噴射を断続する。弁座に着座する弁部材の先端部分の外壁は、例えば球面状に形成されたり(特許文献1参照)、あるいは円錐台面状に形成されている(特許文献2参照)
【0003】
【特許文献1】
特許第2774153号明細書
【特許文献2】
特許第3183156号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示すように弁部材100の先端部の外壁101を球面状に形成する場合、球面状の外壁101が弁部材100の側面を形成する。そのため、弁座102を形成する弁ボディ103の内周面104と弁部材100の外壁101との間に異物105を噛み込みやすくなる。弁ボディ103と弁部材100との間に異物105が噛み込むと、弁ボディ103と弁部材100との間に隙間が形成され、弁密度の低下を招く。
【0005】
一方、弁部材の先端部の外壁を円錐台面状に形成する場合、弁部材の側面が弁部材の中心軸と概ね平行に形成されるため異物は噛み込みにくくなる。しかし、弁部材の外壁が円錐台面状である場合、弁部材の外壁のうち弁ボディの弁座に当接可能な範囲は小さくなる。そのため、弁部材が中心軸に対し傾斜すると、弁部材と弁ボディとの間に微小な隙間が形成されやすくなる。また、弁部材の外壁がテーパ状の円錐台面であるため、弁部材の外壁の真円度を確保するには多くの工数を必要とする。その結果、生産性の低下を招く。
【0006】
そこで、本発明の目的は、異物の噛み込みが防止され、生産性が高く、弁密度が高いならびに流体噴射弁を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、外壁の真円度の確保が容易であり、生産性の高い弁部材の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1記載の流体噴射弁によると、弁部材は円周面状の外壁を有する円周面部と、略球面状の外壁を有する球面部とを有している。球面部は円周面部の端部に設置されているため、弁座の近傍における弁部材の側面は円周面状となる。したがって、弁ボディと弁部材との間に異物を噛み込みことを防止できる。また、弁座に着座可能なシート部は球面部に形成されている。そのため、弁部材が中心軸対し傾斜しても、弁ボディと弁部材との間に隙間は形成されない。さらに、球面部を形成することにより、シート部における真円度は容易に確保される。したがって、弁密度が向上するとともに、生産性を高めることができる。
【0008】
本発明の請求項2記載の流体噴射弁によると、円周面部と球面部との接続部分における弁部材の外径は、シート部における弁部材の外径よりも大きい。そのため、弁部材が中心軸に対し傾斜しても、弁ボディと弁部材との間には隙間が形成されにくい。したがって、弁密度を向上することができる。
本発明の請求項3記載の流体噴射弁によると、弁部材の先端部に形成した平面部を噴孔プレートと概ね平行とし、平面部、噴孔プレートにおける平面部との対向面、および弁座の内周面によって略円盤状の流体室を形成することを特徴としている。
このような構成によると、弁部材が弁座から離座して流体室に流体が流入すると、流体室には噴孔プレートにほぼ沿った流体流れが作られ、流体流れの衝突を誘起することができる。その結果として、噴孔プレートから噴出される流体は衝突による乱れのために微粒化が促進される。
【0009】
本発明の請求項4記載の弁部材の製造方法によると、球状部材を任意の中心軸に沿って軸方向の両端部を除き円柱状に成形する。軸方向の両端部を除いて円柱状に成形することにより、円柱状に成形された部材の両端部は球面状の外壁を有し、両端部の間は円周面状の外壁を有する。また、球状部材から成形することにより、球面状の外壁の真円度は容易かつ精密に確保される。したがって、生産性を高めることができる。
本発明の請求項5記載の弁部材の製造方法によると、球状部材は鋼球である。そのため、安価な材料で高い真円度を確保することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施例では、本発明を燃料噴射弁(以下、燃料噴射弁を「インジェクタ」という。)に適用した例について説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例によるインジェクタを図2に示す。インジェクタ10のホルダ11は、磁性部材と非磁性部材とからなる円筒状に形成されている。ホルダ11には燃料通路12が形成されており、この燃料通路に弁ボディ30、弁部材としてのニードル40、可動コア13、スプリング14、固定コア15およびアジャスティングパイプ16が収容されている。
【0011】
ホルダ11は、図2において下方の弁ボディ30側から第一磁性部材111、非磁性部材112、第二磁性部材113をこの順で有している。第一磁性部材111と非磁性部材112、ならびに非磁性部材112と第二磁性部材113とは溶接により結合している。溶接は、例えばレーザ溶接などにより行われる。非磁性部材112は、第一磁性部材111と非磁性部材113との間で磁束が短絡することを防止する。第一磁性部材111の反磁性部材側には、弁ボディ30が溶接により固定されている。
【0012】
図3に示すように弁ボディ30は反ホルダ側の端部に噴孔プレート31を有している。噴孔プレート31は、カップ状に形成され、弁ボディ30の外側に弁ボディ30と一体に固定されている。噴孔プレート31は、薄板状に形成されており、中央部に複数の噴孔31aを形成している。噴孔プレート31の外側には、噴孔プレート31を覆うプレートホルダ32が装着されている。弁ボディ30は、筒状に形成され、内周面30aに弁座33を有している。噴孔31aは、弁座3の燃料流れ出口側に配置されている。
【0013】
弁部材としてのニードル40は、ニードル本体41およびニードルヘッド50を有している。ニードル本体41は、内部に燃料通路42を有する中空の円筒状に形成されている。ニードル本体41は、一方の端部が可動コア13に圧入され、他方の端部にニードルヘッド50が設置されている。ニードルヘッド50は、外壁が円周面状の円周面部51ならびに外壁が略球面状の第一球面部52および第二球面部53を有している。円周面部51の軸方向の両端部にそれぞれ第一球面部52および第二球面部53が形成されている。噴孔31a側の第一球面部52には、弁ボディ30の内周面30aに形成されている弁座33に着座可能なシート部54が形成されている。ニードル40は、弁ボディ30の内周面30aとの間に燃料通路43を形成している。シート部54が弁座33に着座すると、燃料通路43と噴孔31aとの連通が閉塞され噴孔31aからの燃料の噴射が遮断される。
【0014】
ニードル本体41には、側壁を貫く燃料孔44が形成されている。ニードル本体41の内周側の燃料通路42に流入した燃料は、燃料孔44を経由してニードル本体41の外周側へ流出し、弁ボディ30に形成されている図示しない燃料通路を経由して燃料通路43へ流れる。弁ボディ30は内周側にガイド部34を有している。ガイド部34は弁ボディ30の周方向へ所定の間隔で形成され、隣接するガイド部34の間が図示しない燃料通路となる。ガイド部34における弁ボディ30の内径は、ニードル本体41の外径と概ね同一である。そのため、ニードル40は、弁ボディ30のガイド部34と摺動し、ガイド部34により軸方向への移動が案内される。
【0015】
図2に示すように、固定コア15は円筒状に形成されている。固定コア15は、ホルダ11の非磁性部112および第二磁性部材113の内部に圧入されることによりホルダ11に固定されている。固定コア15は可動コア13に対し反シール部側に設置され可動コア13と対向している。
【0016】
アジャスティングパイプ16は固定コア15の内側に圧入されている。スプリング14は一方の端部がアジャスティングパイプ16に当接し、他方の端部が可動コア13に当接している。アジャスティングパイプ16の圧入量を調整することにより、スプリング14の荷重は変更される。スプリング14はニードル40のシート部54が弁ボディ30の弁座33に着座する方向へ付勢している。磁性部材17、18は、互いに磁気的に接続されてコイル20の外周側に設置されている。固定コア15、可動コア13、第一磁性部材111、磁性部材17、18および第二磁性部材112は磁気回路を構成している。
【0017】
コイル20が巻回されているスプール21はホルダ11の外周に取り付けられている。ターミナル22は、コイル20と電気的に接続されており、コイル20に駆動電流を供給する。樹脂ハウジング23はホルダ11およびコイル20の外周を覆っている。
【0018】
ホルダ11の図2において上方から燃料通路12に流入する燃料は、フィルタ部材19により異物が除去される。異物が除去された燃料は、燃料通路12、アジャスティングパイプ16の内周側、固定コア15の内周側、可動コア13の内周側、図2に示すニードル本体41の燃料通路42および燃料孔44を経由して燃料通路43へ供給される。燃料通路43へ供給された燃料は、シート部54が弁座33から離座したときにシート部54と弁座33との間に形成される開口を通り噴孔31aへ流れ、噴孔31aから噴射される。
【0019】
次に、ニードル40について詳細に説明する。
ニードル40は、上述のようにニードル本体41とニードルヘッド50とから構成されている。ニードルヘッド50は、ニードル本体41の反可動コア側に設置されている。ニードルヘッド50は、例えばニードル本体41の端部に圧入された後、溶接することにより、ニードル本体41に固定されている。ニードルヘッド50は、図1に示すように円周面部51、第一球面部52および第二球面部53を有している。円周面部51は、ニードル40の軸方向に沿って伸びる円周面状の外壁を有している。第一球面部52および第二球面部53は、それぞれ円周面部51の軸方向の両端部に形成され、概ね球面状の外壁を有している。
【0020】
第一球面部52は、円周面部51の反可動コア側の端部に形成されている。第一球面部52は、反可動コア側の端部すなわち噴孔プレート31側の端部に、円周面部51と第一球面部52との接続部55と概ね平行に形成されている平面部56を有している。ニードル40の先端部に平面部56を形成することにより、図3に示すように平面部56、噴孔プレート31の平面部56側、ならびに弁座33が形成されている弁ボディ30の内周面は略円盤形状の燃料室35を形成している。燃料室35は、特許請求の範囲の流体室である。これにより、ニードル40が弁座33から離座して燃料室35に燃料が流入すると、燃料室35には噴孔プレート31に沿った流れが形成される。その結果、燃料の流れによる燃料同士の衝突が誘起される。したがって、噴孔プレート31の噴孔31aから噴射される流体は燃料同士の衝突による乱れによって微粒化が促進される。
【0021】
図1および図4に示すように第一球面部52は、弁ボディ30の弁座33に着座可能なシート部54を有している。シート部54は第一球面部52に形成されているため、弁座33に着座可能なシート部54の範囲は拡大する。そのため、図5に示すようにニードル40が弁ボディ30の中心軸に対し傾斜した場合でも、第一球面部52のいずれかの部分はシート部54として弁座33に当接する。なお、図5では、傾斜する前のニードルヘッド50を二点差線で示し、傾斜した後のニードルヘッド50を実線で示している。これにより、ニードル40が傾斜した場合でも、弁座33とシート部54との間の弁密度は確保され、燃料の漏れが防止される。
【0022】
また、図4に示すように円周面部51と第一球面部52との接続部55におけるニードルヘッド50の外径は、シート部54におけるニードルヘッド50の外径よりも大きく設定されている。そのため、シート部54が弁座33に着座したとき、シート部54の燃料流れ上流側すなわち燃料通路43側においてニードルヘッド50と弁ボディ30との間に形成される隙間は小さくなる。これにより、シート部54を球面状の第一球面部52に形成する場合でも、シート部54と弁座33との間への異物の噛み込みが防止される。
【0023】
ニードルヘッド50の円周面部51は、外壁がニードル40の中心軸と平行に形成されている。そのため、ニードル40と弁ボディ30との間に異物90が侵入した場合でも、異物90は円周面部51と弁ボディ30の内周面30aとの間に保持される。これにより、シート部54と弁座33との間への異物90の侵入および噛み込みが防止される。
【0024】
次に、本実施例によるニードル40の製造方法について説明する。
ニードル40を構成するニードル本体41は、例えば鍛造および切削などの塑性加工により所定の形状に形成される。ニードルヘッド50は、図6(A)に示すように球状の材料から形成される。
【0025】
球状の材料である球状部材60は、鋼球により形成されている。球状部材60は、球の中心を通る任意の中心軸pを軸として円柱状に成形される。すなわち、図6(B)に示すように球状部材60のうち斜線に示す部分が除去される。その結果、図6(C)に示すように軸方向の両端部に球面部61、62を有する円柱状の成形部材63が成形される。成形部材63は軸方向の両端部が加工されないため、球面部61、62の外壁は球状部材60本来の球面が維持される。すなわち、球面部61、62は、中心軸pを中心とした仮想円上に概ね沿っている。そのため、球面部61、62の真円度は容易かつ高精度に確保される。
【0026】
本実施例の場合、円柱状に成形された成形部材63は、軸方向の一方の端部に形成されている球面部61の端部が除去される。これにより、球面部61には平面部64が形成される。また、球状部材60から成形部材63を加工しているため、成形部材63は中実に形成されている。
【0027】
以上、説明したように第1実施例では、ニードルヘッド50は円周面状の外壁を有する円周面部51と球面状の外壁を有する第一球面部52および第二球面部53とを有している。また、シート部54は第一球面部52に形成されている。そのため、ニードル40と弁ボディ30との間に侵入した異物90は、円周面部51により第一球面部52側への侵入が妨げられる。一方、シート部54を第一球面部52に形成することにより、シート部54の真円度の確保が容易であるとともに、ニードル40が弁ボディ30に対し傾斜しても、弁座33に当接可能なシート部54の範囲は拡大する。そのため、ニードル40と弁ボディ30との間の弁密度が高められる。したがって、ニードル40と弁ボディ30との間への異物の噛み込み防止と、ニードル40と弁ボディ30との間の弁密度の向上とを両立することができる。
【0028】
また、第1実施例では、シート部54の外径よりも円周面部51と第一球面部52との接続部55における外径が大きく設定されている。そのため、シート部54が弁座33に着座したとき、ニードル40と弁ボディ30との間に形成される隙間は小さくなる。したがって、シート部54を第一球面部52に形成する場合であっても、シート部54の近傍への異物90の噛み込みを防止することができる。
【0029】
第1実施例では、球状部材60からニードルヘッド50を成形している。そのため、第一球面部52の外壁は、球状部材60の球面状の外壁である。これにより、球状部材60からニードルヘッド50を成形した後に、第一球面部52を加工することなくニードルヘッド50には球面状の外壁を形成することができる。したがって、第一球面部52における真円度を容易かつ精密に確保することができる。また、真円度を確保するために精密な工程は不要であるので、ニードルヘッド50の生産性を高めることができる。さらに、ニードルヘッド50の材料となる球状部材60は鋼球である。鋼球および弁ボディ30の材料を適切に選定することにより、ニードルヘッド50および弁ボディ30の硬さは調整可能である。ニードルヘッド50および弁ボディ30の硬さを調整することにより、使用によるニードルヘッド50および弁ボディ30の変形および摩耗が低減される。したがって、安価な材料で高い真円度を確保することができ、かつニードルヘッド50および弁ボディ30の寿命を延長することができる。
【0030】
(第2、第3、第4実施例)
本発明の第2実施例、第3実施例および第4実施例によるニードルをそれぞれ図7、図8または図9に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0031】
第2実施例の場合、図7に示すようにニードルヘッド50は円周面部51および第一球面部52を有している。すなわち、第1実施例における第二球面部に相当する部分が除去されている。球面状の外壁が必要なのはシート部54が形成される第一球面部52のみである。一方、円周面部51の反第一球面部側は球面状である必要はない。円周面部51の反第一球面部側に球面部がある場合、ニードルヘッド50の容積および重量の増大を招く。特に、ニードルヘッド50の重量が増加すると、ニードル40を駆動するために必要な駆動力を増大する必要があり、コイル20など駆動部の大型化を招く。また、重量の増加にともなう慣性力の増大により、ニードル40の作動応答性の低下を招く。
したがって、第2実施例では、ニードルヘッド50から第二球面部に相当する部位を除去することにより、ニードルヘッド50を軽量化することができ、駆動部の小型化ならびにニードル40の作動応答性の向上を図ることができる。
【0032】
第3実施例の場合、図8に示すようにニードルヘッド50は円周面部51および第一球面部52を有している。ニードルヘッド50の第一球面部52の端部は除去されていない。そのため、第一球面部52は端部まで球面状の外壁を有している。第3実施例では、平面部を形成する工程が不要であるので、製造工数を低減することができる。
【0033】
第4実施例の場合、図9に示すようにニードルヘッド50は円周面部51、第一球面部52および第二球面部53を有している。また、第一球面部52には平面部が形成されていない。そのため、ニードルヘッド50は球状部材60から円柱状に成形された成形部材63の形状のままである。第4実施例では、ニードルヘッド50はニードル本体41に圧入されることなく固定されている。すなわち、ニードルヘッド50は、ニードル本体41の反可動コア側の端部に例えば溶接などにより固定されている。
【0034】
以上、第1実施例、第2実施例、第3実施例および第4実施例で説明したように、ニードルヘッド50の形状、ならびにニードルヘッド50とニードル本体41の固定方法などは任意に変更してもよい。
【0035】
(第5実施例)
本発明の第5実施例によるニードルを図10に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第5実施例の場合、図10に示すようにニードルヘッド50は中空の筒状に形成されている。すなわち、ニードルヘッド50は、内周側に空間部57を有している。第2実施例で説明したように、ニードルヘッド50は軽量であることが望ましい。ニードルヘッド50に空間部57を形成することにより、ニードルヘッド50の重量は低減される。第一球面部52の内側は所定の肉厚を確保することにより、シート部54の変形は防止される。
【0036】
第5実施例によるニードルヘッド50を製造する場合、図6に示す第1実施例と同様に球状部材60から円柱状の成形部材63を成形する。そして、球面部61に平面部64を形成するとともに、球面部62を除去する。その後、成形部材63の球面部61とは反対側の端部から例えば切削などにより成形部材63の内部をくり抜く。これにより、成形部材63には空間部が形成される。なお、球面部62を除去したり、球面部61に平面部64を形成することなく、成形部材63の内部をくり抜いてもよい。
【0037】
第5実施例では、ニードルヘッド50の内部に空間部57を形成することにより、ニードルヘッド50が軽量化される。したがって、駆動部の小型化ならびにニードル40の作動応答性の向上を図ることができる。
なお、第5実施例では、第2実施例で説明したニードルヘッドを中空に形成する例について説明した。しかし、第1実施例、第3実施例および第4実施例で説明したニードルヘッドを中空に形成してもよい。
【0038】
(他の実施例)
以上説明した各実施例では、本発明を内燃機関の燃料を噴射するインジェクタに適用したが、これに限らず、種々の流体噴射弁に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるインジェクタのニードルを示す模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施例によるインジェクタのノズルボディの近傍を拡大した断面図である。
【図4】本発明の第1実施例によるインジェクタのシート部の近傍を拡大した模式図である。
【図5】本発明の第1実施例によるインジェクタのシート部の近傍を拡大した模式図であって、ニードルの傾きについて説明する図である。
【図6】本発明の第1実施例によるインジェクタのニードルヘッドの製造工程を示す模式図である。
【図7】本発明の第2実施例によるインジェクタのニードルを示す模式的な断面図である。
【図8】本発明の第3実施例によるインジェクタのニードルを示す模式的な断面図である。
【図9】本発明の第4実施例によるインジェクタのニードルを示す模式的な断面図である。
【図10】本発明の第5実施例によるインジェクタのニードルを示す模式的な断面図である。
【図11】従来のインジェクタのシート部の近傍を拡大した模式図である。
【符号の説明】
10 インジェクタ(流体噴射弁)
31 噴孔プレート
31a 噴孔
33 弁座
40 ニードル(弁部材)
41 ニードル本体(弁部材)
43 燃料通路
50 ニードルヘッド(弁部材)
51 円周面部
52 第一球面部
53 第二球面部
54 シート部
55 接続部
56 平面部
60 球状部材

Claims (5)

  1. 内周面に形成されている弁座、ならびに前記弁座の燃料流れ出口側に噴孔を有する弁ボディと、
    前記弁座に着座することにより前記噴孔からの液体の噴射を遮断し、前記弁座から離座することにより前記噴孔からの液体の噴射を許容する弁部材とを備え、
    前記弁部材は、
    前記弁部材の側面に形成され、円周面状の外壁を有する円周面部と、
    前記弁部材の前記噴孔側の端部に形成され、略球面状の外壁を有し、前記外壁に前記弁座に着座可能なシート部が形成されている球面部と、
    を有することを特徴とする流体噴射弁。
  2. 前記円周面部と前記球面部との接続部分における前記弁部材の外径は、前記シート部における前記弁部材の外径よりも大きいことを特徴とする請求項1記載の流体噴射弁。
  3. 前記弁部材の先端部と対向して設けられ、前記噴孔が形成される噴孔プレートを備え、
    前記弁部材は、前記球面部の反円周面部側の端部に、前記噴孔プレートと概ね平行な平面部を有し、
    前記平面部、前記噴孔プレートにおける前記平面部との対向面、および前記弁ボディの内周面によって略円盤状の流体室が形成されることを特徴とする請求項1または2記載の流体噴射弁。
  4. 流体噴射弁に用いられて、弁ボディの内周面に形成されている弁座に着座可能な弁部材の製造方法であって、
    球状部材を、前記球状部材の中心を通る任意の中心軸に沿って前記中心軸の両端部を除き円柱状に成形する段階を含むことを特徴とする弁部材の製造方法。
  5. 前記球状部材は、鋼球であることを特徴とする請求項4記載の弁部材の製造方法。
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