JP2004225549A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で噴孔を流れる燃料にエアを混合し、燃料の微粒化を促進するインジェクタを提供する。
【解決手段】上流側プレート53の燃料孔531ならびに下流側プレート54の燃料孔541により構成される噴孔51には、隙間55を介してエア導入孔542が連通している。噴孔51を燃料が流れるとき、燃料の流れにより噴孔51内の圧力は低下する。そのため、噴孔51に連通するエア導入孔542の両端部には圧力差が形成される。これにより、噴孔51の燃料出口側に面しているエア導入孔542にはエアが導入される。エア導入孔542に導入されたエアは、隙間55を経由して噴孔51へ向けて流れる。そして、エアは、燃料孔541の入口側の隙間55において噴孔51を流れる燃料と衝突する。したがって、燃料にはエアが混合され、燃料の微粒化が促進される。
【選択図】 図1
【解決手段】上流側プレート53の燃料孔531ならびに下流側プレート54の燃料孔541により構成される噴孔51には、隙間55を介してエア導入孔542が連通している。噴孔51を燃料が流れるとき、燃料の流れにより噴孔51内の圧力は低下する。そのため、噴孔51に連通するエア導入孔542の両端部には圧力差が形成される。これにより、噴孔51の燃料出口側に面しているエア導入孔542にはエアが導入される。エア導入孔542に導入されたエアは、隙間55を経由して噴孔51へ向けて流れる。そして、エアは、燃料孔541の入口側の隙間55において噴孔51を流れる燃料と衝突する。したがって、燃料にはエアが混合され、燃料の微粒化が促進される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を噴射する噴孔を噴孔プレートに形成した燃料噴射装置(以下、燃料噴射装置を「インジェクタ」という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジンなどは、吸気管を流れる吸気または燃焼室に吸入された吸気に燃料を噴射するインジェクタを備えている。このようなエンジンでは、インジェクタから噴射される燃料の微粒化はエンジンの性能を左右する重要な要素である。
【0003】
そこで、例えば噴孔にエア導入通路を連通させ、噴孔を流れる燃料とエア導入通路から導入されるエアとを混合する燃料噴射装置が公知である(特許文献1参照)。噴孔を流れる燃料とエア導入通路から導入されるエアとを混合することにより、燃料とエアとは撹拌され、燃料の微粒化が促進される。
【0004】
【特許文献1】
特許第3129188号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている燃料噴射装置の場合、吸気通路のスロットル付近からインジェクタのエア導入通路へエアを導いている。そのため、吸気通路とエア導入通路とを接続する配管が必要となる。その結果、配管長の増大、ならびにシール部の増加を招き、構造および制御が複雑になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡単な構造で噴孔を流れる燃料にエアを混合し、燃料の微粒化を促進するインジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1または2記載のインジェクタによると、噴孔プレートは噴孔ならびに導入孔を有している。導入孔は、噴孔の燃料出口側から噴孔へエアを導入する。燃料が噴孔の内部を高速で流れるとき、噴孔の内部の圧力は低下するため、噴孔の内部と噴孔の外部との間には圧力差が形成される。そのため、噴孔に連通する導入孔には、噴孔の内部における圧力の低下にともなって燃料出口側からエアが導入される。導入孔に導入されたエアは、導入孔の噴孔側の端部において噴孔の内部を流れる燃料と衝突する。したがって、簡単な構造で噴孔を流れる燃料にエアを混合することができ、燃料の微粒化を促進することができる。
【0008】
本発明の請求項3記載のインジェクタによると、導入孔から導入されたエアは、第一プレートと第二プレートとの間に形成されている隙間で噴孔の内部を流れる燃料と衝突する。これにより、導入されたエアと燃料とを確実に衝突させ、燃料の微粒化を促進することができる。
本発明の請求項4記載のインジェクタによると、第一プレートまたは第二プレートの少なくともいずれか一方は窪み部を有している。これにより、第一プレートと第二プレートとの間に隙間を容易に形成することができる。
【0009】
本発明の請求項5記載のインジェクタによると、第一プレートは第一孔部、第二プレートは第二孔部および第三孔部を有している。第一孔部および第二孔部により噴孔が構成されている。第一孔部を通過した燃料は、第二孔部へ流入する際に第三孔部から導入されたエアと衝突する。また、第一孔部は第一プレートおよび第二プレートの間に形成される隙間に燃料を導入するものであり、第二孔部は隙間でエアと混合された燃料を所定の噴射方向へ案内するものである。そのため、各孔部が形成された第一プレートおよび第二プレートを積層することにより、簡単な構造で噴孔および導入孔が形成されるとともに、燃料の噴射方向を設定することができる。したがって、噴孔プレートに噴孔および導入孔を容易に形成することができる。
【0010】
本発明の請求項6記載のインジェクタによると、噴孔プレートは中心軸を通る直径方向の仮想直線により分割された各領域に噴孔および導入孔を有している。
そのため、噴孔プレートには、複数の噴孔が配置される。したがって、複数の噴孔から複数の燃料の噴霧を形成する場合でも、燃料の微粒化を促進することができる。
本発明の請求項7または8記載のインジェクタによると、連通孔の噴孔側の端部は噴孔の周方向に連続して連通してもよく、周方向に不連続に連通してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例によるインジェクタを図2に示す。インジェクタ1は、例えば吸気管を流れる吸気に燃料を噴射する吸気管噴射用インジェクタ、あるいはエンジンの燃焼室に直接燃料を噴射する直噴用インジェクタなどに適用可能である。インジェクタ1のホルダ10は、磁性部材と非磁性部材とからなる筒状に形成されている。ホルダ10には燃料通路11が形成されており、この燃料通路11に弁ボディ30、弁部材としてのニードル40、可動コア12、スプリング13、固定コア14およびアジャスティングパイプ15が収容されている。
【0012】
ホルダ10は、図2の下方の弁ボディ30側から第一磁性部材101、非磁性部材102、第二磁性部材103をこの順で有している。第一磁性部材101と非磁性部材102、ならびに非磁性部材102と第二磁性部材103とは溶接により結合している。溶接は例えばレーザ溶接などにより行われる。非磁性部材102は第一磁性部材101と第二磁性部材103との間で磁束が短絡することを防止する。第一磁性部材101の反非磁性部材側には、弁ボディ30が溶接により固定されている。
【0013】
図1に示すように、カップ状の噴孔プレート50は弁ボディ30の外周壁に溶接により固定されている。噴孔プレート50は薄片状に形成されており、複数の噴孔51を形成している。噴孔プレート50の外側には、噴孔プレート50を覆う樹脂製のスリーブ52が装着されている。
ニードル40は、内部に燃料通路41を有する中空の有底筒状であり、底側に当接部42が形成されている。当接部42は弁ボディ30の内周面に形成されている弁座31に着座可能である。当接部42が弁座31に着座すると、噴孔51からの燃料の噴射が遮断される。
【0014】
ニードル40の反当接部側には、図1に示すように可動コア12が設置されている。当接部42の燃料入口側すなわち燃料上流側にニードル40の側壁を貫く燃料孔43、44が形成されている。ニードル40の燃料通路41に流入した燃料は、燃料孔43、44を通過し、弁ボディ30とニードル40との間に形成される燃料通路32に流入する。ニードル40の当接部42の近傍における外径は、弁ボディ30の内径と概ね同一である。そのため、ニードル40は、弁ボディ30の内周壁33と摺動し、軸方向への移動が案内される。
【0015】
図2に示すように、固定コア14は筒状に形成されている。固定コア14は、ホルダ10を構成する非磁性部材102および第二磁性部材103の内部に圧入されることによりホルダ10に取り付けられ固定されている。固定コア14は可動コア12に対し反当接部側に設置され可動コア12と対向している。
【0016】
アジャスティングパイプ15は固定コア14の内部に圧入されている。スプリング13は一方の端部がアジャスティングパイプ15に当接し、他方の端部が可動コア12に当接している。アジャスティングパイプ15の圧入量を調整することにより、可動コア12を介してニードル40を付勢するスプリング13の荷重は変更される。スプリング13はニードル40を弁座31方向へ付勢している。
【0017】
磁性部材21、24は、互いに磁気的に接続されてコイル25の外周側に設置されている。磁性部材21は、第一磁性部材101の外周側に設置され、第一磁性部材101と磁気的に接続されている。磁性部材24は磁性部材21および第二磁性部材103と磁気的に接続されている。固定コア14、可動コア12、第一磁性部材101、磁性部材21、24および第二磁性部材103は磁気回路を構成している。
コイル25が巻回されているスプール26はホルダ10の外周に取り付けられている。ターミナル27は、コイル25と電気的に接続されており、コイル25に駆動電流を供給する。樹脂ハウジング28はホルダ10およびコイル25の外周を覆っている。
【0018】
ホルダ10の図2において上方から燃料通路11へ流入する燃料は、フィルタ部材16により異物が除去される。異物が除去された燃料は、燃料通路11、アジャスティングパイプ15の内周側、固定コア14の内周側、可動コア12の内周側、ニードル40の燃料通路41および燃料孔43または燃料孔44を経由して燃料通路32へ供給される。燃料通路32へ供給された燃料は、当接部42が弁座31から離座したときに当接部42と弁座31との間に形成される開口を通り噴孔51へ流れ、噴孔51から噴射される。
【0019】
次に、噴孔プレート50の近傍について詳細に説明する。
噴孔プレート50は、図1に示すように第一プレートとしての上流側プレート53と第二プレートとしての下流側プレート54を有している。上流側プレート53および下流側プレート54は、積層され例えば溶接などにより一体に結合されている。上流側プレート53は円板状に形成されている。下流側プレート54は内側に上流側プレート53を収容するカップ状に形成されている。上流側プレート53は、弁ボディ30と下流側プレート54との間に位置している。
【0020】
上流側プレート53は、図1および図3に示すように第一孔部としての燃料孔531を形成している。燃料孔531は、上流側プレート53を板厚方向に貫いており、一方の端部が上流側プレート53の弁ボディ30側の端部に開口している。これにより、燃料孔531は、弁座31の燃料出口側に連通する。下流側プレート54は、第二孔部としての燃料孔541ならびに第三孔部としてのエア導入孔542を形成している。また、下流側プレート54は、上流側プレート53と対向する側から反上流側プレート方向へ窪んでいる窪み部543を有している。そのため、上流側プレート53と下流側プレート54とを積層したとき、上流側プレート53と下流側プレート54との間には隙間55が形成される。燃料孔531の他方の端部は、上流側プレート53の隙間55側の端部に開口している。燃料孔541は、下流側プレート54を板厚方向へ貫いて形成され、一方の端部が下流側プレート54の隙間55側の端部に開口し、他方の端部が反上流側プレート側の端部に開口している。上流側プレート53が形成する燃料孔531と下流側プレート54が形成する燃料孔541とは、噴孔51を構成している。これにより、燃料孔531の弁ボディ30側の開口が噴孔51の燃料入口となり、燃料孔541の反弁ボディ側の開口が噴孔51の燃料出口となる。
【0021】
下流側プレート54が形成するエア導入孔542は、下流側プレート54を板厚方向へ貫いて形成され、一方の端部が下流側プレート54の隙間55側の端部に開口し、他方の端部が下流側プレート54の反上流側プレート53側の端部に開口している。すなわち、エア導入孔542は、噴孔51の燃料出口側に面している。エア導入孔542は、噴孔プレート50の径方向において噴孔51の外側に配置されている。隙間55は、噴孔51を流れる燃料とエア導入孔542から導入されたエアとが衝突する衝突部となる。エア導入孔542は隙間55を経由して噴孔51に連通している。上流側プレート53および下流側プレート54には、例えばプレスあるいはエッチングなどにより燃料孔531、または燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543が形成される。
【0022】
本実施例では、図1に示すように噴孔プレート50の中心軸を通り直径方向へ伸びる仮想直線Lによって噴孔プレート50を二つの領域に分割したとき、各領域にそれぞれ燃料孔531および燃料孔541から構成される噴孔51、隙間55を形成する窪み部543、ならびにエア導入孔542が配置されている。これにより、噴孔プレート50には、複数の噴孔51ならびに各噴孔51に対応する導入孔が配置される。
【0023】
次に、上記の構成によるインジェクタ1の作動ならびに噴孔51における燃料の流れについて説明する。
コイル25に通電されていないとき、可動コア12と固定コア14との間には磁気吸引力は発生しない。そのため、スプリング13の付勢力により可動コア12と一体のニードル40は弁ボディ30方向へ移動している。これにより、当接部42は弁座31に着座し、燃料通路32から噴孔51への燃料の流れは遮断されている。したがって、燃料は噴孔51から噴射されない。
【0024】
所定の噴射時期になると、図示しないECUからコイル25に駆動電流が通電される。コイル25に通電されると、コイル25に発生する磁界によって形成される磁気回路により可動コア12と固定コア14との間には磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力がスプリング13の付勢力よりも大きくなると、可動コア12は固定コア14方向へ移動するとともに、可動コア12と一体のニードル40も固定コア14方向へリフトする。その結果、当接部42は弁座31から離座し、燃料通路32から噴孔51への燃料の流れは許容される。
【0025】
弁座31を通過した燃料は、ニードル40の先端部と弁ボディ30との間を経由して噴孔51へ流入する。このとき、燃料は上流側プレート53の燃料孔531へ流入する。インジェクタ1へ供給される燃料は、図示しない燃料ポンプにより加圧されているため、大きな速度で燃料孔531および燃料孔541から構成される噴孔51を通過する。そのため、噴孔51の内部ならびに噴孔51に連通する隙間55の圧力は低下する。隙間55の圧力の低下にともなって、隙間55に連通するエア導入孔542の両端部の間には圧力差が形成される。その結果、図3(B)に示すように圧力の高い反上流側プレート側の端部からエア導入孔542へエアが導入され、導入されたエアは隙間55を経由して噴孔51を流れる燃料へ衝突する。燃料とエアとは、燃料孔541の入口側の隙間55において衝突する。これにより、衝突した燃料とエアとは混合され、燃料孔541へ流入する。その結果、エアと混合された燃料が燃料孔541を経由して噴射される。
【0026】
所定の噴射期間が経過すると、コイル25への駆動電流の通電が停止される。
コイル25への通電が停止されると、可動コア12と固定コア14との間の磁気吸引力が消滅する。そのため、ニードル40はスプリング13の付勢力により弁ボディ30方向へ移動する。そして、当接部42に弁座31が着座すると、燃料通路32から噴孔51への燃料の流れは遮断される。したがって、噴孔51からの燃料の噴射は終了する。
【0027】
以上、説明したように第1実施例では、噴孔51の内部における燃料の流れによって生じる圧力差によりエア導入孔542から噴孔51へエアが導入される。
導入されたエアは、噴孔51を流れる燃料と衝突する。これにより、燃料はエアと混合され、噴孔51から噴射される。燃料はエアと混合されることにより、液柱が粉砕され微粒化が促進される。また、エアは噴孔51に近接するエア導入孔542から導入されるため、例えば吸気管のスロットル近傍からエアを導入する場合と比較して、配管などが不要となる。したがって、簡単な構造で噴孔51を流れる燃料にエアを混合することができ、燃料の微粒化を促進することができる。
【0028】
第1実施例では、噴孔プレート50は上流側プレート53および下流側プレート54から構成されている。そのため、上流側プレート53に燃料孔531、下流側プレート54に燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543を形成した後、上流側プレート53と下流側プレート54とを結合することができる。
これにより、燃料孔531、燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543を容易に形成することができる。また、下流側プレート54に形成される燃料孔541の角度あるいは形状を調整することにより、噴孔51から噴射される噴霧の形状および形成方向を容易に制御することができる。
【0029】
第1実施例では、上流側プレート53と下流側プレート54との間に隙間55を形成することにより、エア導入孔542から導入されたエアが噴孔51へ流れるための通路が形成される。そのため、エア導入孔542から導入されたエアを噴孔51を流れる燃料に確実に衝突させ、エアと燃料とを混合することができる。
【0030】
第1実施例では、噴孔プレート50の中心軸を通り直径方向へ伸びる仮想直線Lによって噴孔プレート50を二つの領域に分割したとき、各領域にそれぞれ燃料孔531および燃料孔541、窪み部543、ならびにエア導入孔542が配置されている。そのため、噴孔プレート50には、複数の噴孔51ならびに各噴孔51に対応する導入孔が配置される。したがって、複数の噴孔51を形成する場合でも、各噴孔51から噴射される燃料の微粒化を促進することができる。
【0031】
(第2、第3、第4、第5実施例)
本発明の第2実施例から第5実施例によるインジェクタの噴孔プレートの近傍をそれぞれ図4から図7に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0032】
第2実施例の場合、図4に示すように下流側プレート54は一つの窪み部543を有している。窪み部543には、噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側が開口している。燃料孔541は、第1実施例と同様に4か所形成されている。これに対し、エア導入孔542は1か所形成されている。すなわち、エア導入孔542から導入されたエアは、4か所の燃料孔541を流れる燃料に分配される。エア導入孔542は、各燃料孔541を流れる燃料に十分なエアを供給可能とするため、各燃料孔541よりも内径が拡大されている。
第2実施例では、下流側プレート54が形成するエア導入孔542は1か所である。そのため、エア導入孔542の数を低減することができ、加工工数を低減することができる。
【0033】
第3実施例の場合、図5に示すように下流側プレート54は一つの窪み部543を有している。窪み部543には、噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側が開口している。本実施例の場合、下流側プレート54の燃料孔541は燃料の噴射方向に応じてグループ化されている。
第3実施例では、噴孔51を構成する燃料孔541の断面積が拡大する。したがって、燃料の圧力損失を低減することができる。
【0034】
第4実施例の場合、図6に示すように下流側プレート54は格子状の窪み部543を有している。噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側は、格子状の窪み部543の交差部分に開口している。エア導入孔542から導入されたエアは、格子状の窪み部543によって形成される隙間55に沿って流れる。燃料孔541の燃料入口側は格子状の窪み部543の交差部分に開口しているため、各燃料孔541の燃料入口側には窪み部543に沿って流れるエアが四方から流入する。その結果、各燃料孔541へ流入する燃料には、四方からエアが衝突し混合される。
第4実施例では、燃料孔541へ流入する燃料には四方からエアが衝突する。
そのため、燃料とエアとの混合がより促進される。したがって、噴孔51から噴射される燃料の微粒化をさらに促進することができる。
【0035】
第5実施例の場合、図7に示すように下流側プレート54は一つの窪み部543を有している。窪み部543には、噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側が開口している。燃料孔541は、複数形成されており、本実施では12か所形成されている。これに対し、エア導入孔542は2カ所形成されている。すなわち、2カ所のエア導入孔542から導入されたエアは、12か所の燃料孔541を流れる燃料に分配される。
第5実施例では、複数の噴孔51を有する噴孔プレート50に本発明を適用することができる。なお、下流側プレート54が形成する燃料孔541およびエア導入孔542の数は、インジェクタ1に要求される燃料噴射特性に応じて任意に変更可能である。
【0036】
以上、説明した第1実施例から第5実施例では、上流側プレート53と下流側プレート54との間に隙間55を形成するための窪み部543を下流側プレート54に形成する例について説明した。しかし、窪み部543は下流側プレート54に限らず上流側プレート53に形成してもよい。
【0037】
(第6実施例)
第6実施例は、上流側プレート53にも窪み部を形成した実施例である。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第6実施例では、図8および図9に示すように上流側プレート53は噴孔51を構成する燃料孔531とともに窪み部532を有している。窪み部532は、上流側プレート53の下流側プレート54と対向する側から弁ボディ30方向すなわち反下流側プレート方向へ窪んで形成されている。一方、下流側プレート54は、燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543を有している。下流側プレート54の燃料孔541の燃料入口側は、井桁状に形成されている窪み部543の交差部分に開口している。なお、図8(B)の破線は、上流側プレート53の窪み部532の位置を示している。
【0038】
これにより、エア導入孔542から導入されたエアは、上流側プレート53の窪み部532によって下流側プレート54との間に形成される隙間56に沿って流れる。そして、エアは、下流側プレート54の窪み部543によって上流側プレート53との間に形成される隙間55を経由して燃料孔541の燃料入口側へ流れる。そのため、第4実施例と同様に各燃料孔541へ流入する燃料には、四方からエアが衝突し混合される。したがって、噴孔51から噴射される燃料の微粒化をさらに促進することができる。
【0039】
以上、説明した第1実施例から第6実施例では、下流側プレート54のみ、または上流側プレート53および下流側プレート54の双方に窪み部を形成する例について説明した。しかし、窪み部は、上流側プレート53のみに形成してもよい。
【0040】
(第7、第8実施例)
本発明の第7実施例および第8実施例によるインジェクタの噴孔プレートの近傍をそれぞれ図10または図11に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第7実施例の場合、図10に示すように下流側プレート54の窪み部543は段差を有している。すなわち、窪み部543は、窪みの浅い上段部543aと窪みの深い下段部543bとを有する階段状に形成されている。噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側は下段部543bに開口している。これに対し、エア導入孔542の窪み部543側は上段部543aに開口している。なお、燃料孔541およびエア導入孔542の数および配置は、上述の各実施例で説明したように種々変更可能である。
【0041】
窪み部543により形成される隙間55に燃料孔541およびエア導入孔542が連通する場合、上流側プレート53の燃料孔531から隙間55に流入した燃料は、下流側プレート54の燃料孔541だけでなくエア導入孔542にも流入するおそれがある。そこで、第7実施例のように窪み部543に段差を形成することにより、燃料は、下段部543bに開口する燃料孔541へ流入し、上段部543aに開口するエア導入孔542に流入しにくくなる。したがって、エア導入孔542への燃料の流入、ならびにエア導入孔542からの燃料の噴射を防止することができる。
【0042】
第8実施例の場合、図11に示すように下流側プレート54の窪み部543は傾斜している。すなわち、窪み部543は噴孔プレート50の外周側から中心側にかけて深さが増して形成されている。噴孔51を構成する燃料孔541は、窪み部543が深い噴孔プレート50の中心よりに開口している。これに対し、エア導入孔542は窪み部543が浅い燃料孔541の外周側に開口している。なお、燃料孔541およびエア導入孔542の数および配置は、上述の各実施例で説明したように種々変更可能である。
【0043】
第8実施例では、燃料は、窪み部543の深い部分に開口する燃料孔541に流入し、窪み部543の浅い部分に開口するエア導入孔542に流入しにくくなる。したがって、第7実施例と同様にエア導入孔542への燃料の流入、ならびにエア導入孔542からの燃料の噴射を防止することができる。
【0044】
(第9、第10実施例)
第9実施例の場合、図12に示すように下流側プレート54が形成する燃料孔541は燃料出口に向かうにしたがって内径が拡大している。すなわち、噴孔51を構成する燃料孔541はテーパ状に形成されている。
【0045】
また、第10実施例の場合、図13に示すように下流側プレート54が形成する燃料孔541は燃料出口に向かうにしたがって内径が縮小している。
第9実施例または第10実施例では、インジェクタ1に要求される燃料噴射特性の仕様に応じて噴孔51を構成する燃料孔541の形状を任意に変更可能である。これにより、噴孔51から噴射される燃料の微粒化特性を制御することができる。
【0046】
(第11実施例)
上記の第1実施例から第10実施例では、噴孔プレートを上流側プレートおよび下流側プレートから構成する例について説明した。しかし、第11実施例では、図14に示すように1枚の噴孔プレート60に噴孔61および導入孔62を形成している。第11実施例の場合、噴孔プレート60は燃料入口側の端面から燃料出口側の端面まで貫く噴孔61を形成している。噴孔プレート60の中心軸に対する噴孔61の傾斜角、ならびに噴孔61の内径などは任意に変更可能である。また、噴孔プレート60は、噴孔プレート60の燃料出口側の端面と噴孔61とを連通する導入孔62を形成している。導入孔62は、第1実施例におけるエア導入孔および隙間に相当する。
【0047】
第11実施例では、噴孔61を燃料が流れることにより噴孔61の内部の圧力は低下する。そのため、噴孔61の内部と導入孔62の反噴孔側の端部との間には圧力差が形成される。これにより、導入孔62からはエアが導入され、導入されたエアは噴孔61の内部を流れる燃料に衝突する。その結果、燃料はエアと混合され、噴孔61から噴射される。燃料はエアと混合されることにより、微粒化が促進される。したがって、簡単な構造で噴孔61を流れる燃料にエアが混合され、燃料の微粒化を促進することができる。
【0048】
(第12実施例)
第12実施例は、第11実施例の変形例であり、図15に示すように導入孔62を噴孔61の燃料入口側の近傍に連通させた例である。噴孔プレート60は、噴孔61ならびに噴孔61の外周側に位置する導入孔62を形成している。噴孔プレート60は突出部63を有しており、突出部63の先端部に噴孔61の燃料入口側が開口している。噴孔プレート60は、二重環を形成する内筒部64を有している。噴孔プレート60の内周壁60aと内筒部64の外周壁64aとの間には導入孔62が形成される。また、内筒部64の内周側には噴孔61が形成される。内筒部64は、図示しない支持手段によって噴孔プレート60と一体に支持されている。導入孔62は、一方の端部が噴孔プレート60の燃料出口側の端部に開口し、他方の端部が内筒部64の突出部63側の端部を回り込んで噴孔61に開口している。導入孔62の噴孔61側の端部は、噴孔61の周方向に連続して連通している。
【0049】
突出部63の先端部から噴孔61に流入した燃料は、内筒部64の内周側を経由して噴射される。このとき、噴孔61を流れる燃料により噴孔61の内部の圧力は低下する。そのため、噴孔61の内部と導入孔62の反噴孔側の端部との間には圧力差が形成される。これにより、導入孔62からはエアが導入され、導入されたエアは噴孔61の内部を流れる燃料に衝突する。その結果、燃料はエアと混合され、噴孔61から噴射される。燃料はエアと混合されることにより、微粒化が促進される。したがって、簡単な構造で噴孔61を流れる燃料にエアが混合され、燃料の微粒化を促進することができる。
【0050】
(第13、第14実施例)
第13実施例の場合、図16に示すように導入孔62は噴孔61の燃料入口側と燃料出口側との間に連通している。導入孔62は複数の円筒状の管から構成されている。そのため、導入孔62の噴孔61側の端部は噴孔61の周方向へ不連続に連通し、導入孔62の噴孔61側の端部は概ね円形状の開口となる。
【0051】
第14実施例の場合、図17に示すように導入孔62は噴孔61の燃料入口側と燃料出口側との間に連通している。導入孔62は複数の扁平な管から構成されている。そのため、導入孔62の噴孔61側の端部は噴孔61の周方向へ不連続に連通し、導入孔62の噴孔61側の端部は扁平な帯状の開口となる。
【0052】
(第15実施例)
第15実施例の場合、図18に示すように噴孔プレート70は噴孔71および導入孔72を形成している。噴孔71は、噴孔プレート70の弁ボディ30側の端面から反弁ボディ側の端面まで貫いている。導入孔72は、一方の端部が噴孔プレート70の燃料出口側の端面に開口している。導入孔72は、途中で二手に分岐しており、分岐したそれぞれの孔の端部が噴孔71の燃料入口側と燃料出口側との間に開口している。これにより、導入孔72は、噴孔71の燃料入口側から燃料出口側までの複数の位置で噴孔71に連通する。そのため、噴孔71を流れる燃料には多段的にエアが衝突する。なお、導入孔72を三手以上に分岐する構成としてもよい。
【0053】
以上、説明した複数の実施例では、各実施例を個別に適用したインジェクタについて説明したが、複数の実施例を組み合わせてインジェクタに適用してもよい。また、噴孔プレートにおいて噴孔よりも径方向外側に導入孔を配置する例を主に説明したが、噴孔よりも径方向内側に導入孔を配置してもよい。さらに、窪み部に連通する燃料孔あるいは導入孔の数および配置などはインジェクタに要求される燃料噴射特性に応じて任意に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図2】本発明の第1実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図であって、(B)は(A)のB部分を拡大した図である。
【図4】本発明の第2実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図5】本発明の第3実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図6】本発明の第4実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図7】本発明の第5実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図8】本発明の第6実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図9】本発明の第6実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図10】本発明の第7実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図11】本発明の第8実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図12】本発明の第9実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図13】本発明の第10実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図14】本発明の第11実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図15】本発明の第12実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す部分断面斜視図である。
【図16】本発明の第13実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す部分断面斜視図である。
【図17】本発明の第14実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す部分断面斜視図である。
【図18】本発明の第15実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【符号の説明】
1 インジェクタ(燃料噴射装置)
30 弁ボディ
31 弁座
32 燃料通路
40 ニードル
42 当接部
50、60、70 噴孔プレート
51、61、71 噴孔
53 上流側プレート
54 下流側プレート
62、72 導入孔
531 燃料孔(噴孔、第一孔部)
532 窪み部
541 燃料孔(噴孔、第二孔部)
542 エア導入孔(導入孔、第三孔部)
543 窪み部
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料を噴射する噴孔を噴孔プレートに形成した燃料噴射装置(以下、燃料噴射装置を「インジェクタ」という。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばガソリンエンジンあるいはディーゼルエンジンなどは、吸気管を流れる吸気または燃焼室に吸入された吸気に燃料を噴射するインジェクタを備えている。このようなエンジンでは、インジェクタから噴射される燃料の微粒化はエンジンの性能を左右する重要な要素である。
【0003】
そこで、例えば噴孔にエア導入通路を連通させ、噴孔を流れる燃料とエア導入通路から導入されるエアとを混合する燃料噴射装置が公知である(特許文献1参照)。噴孔を流れる燃料とエア導入通路から導入されるエアとを混合することにより、燃料とエアとは撹拌され、燃料の微粒化が促進される。
【0004】
【特許文献1】
特許第3129188号明細書
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されている燃料噴射装置の場合、吸気通路のスロットル付近からインジェクタのエア導入通路へエアを導いている。そのため、吸気通路とエア導入通路とを接続する配管が必要となる。その結果、配管長の増大、ならびにシール部の増加を招き、構造および制御が複雑になるという問題がある。
【0006】
そこで、本発明の目的は、簡単な構造で噴孔を流れる燃料にエアを混合し、燃料の微粒化を促進するインジェクタを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1または2記載のインジェクタによると、噴孔プレートは噴孔ならびに導入孔を有している。導入孔は、噴孔の燃料出口側から噴孔へエアを導入する。燃料が噴孔の内部を高速で流れるとき、噴孔の内部の圧力は低下するため、噴孔の内部と噴孔の外部との間には圧力差が形成される。そのため、噴孔に連通する導入孔には、噴孔の内部における圧力の低下にともなって燃料出口側からエアが導入される。導入孔に導入されたエアは、導入孔の噴孔側の端部において噴孔の内部を流れる燃料と衝突する。したがって、簡単な構造で噴孔を流れる燃料にエアを混合することができ、燃料の微粒化を促進することができる。
【0008】
本発明の請求項3記載のインジェクタによると、導入孔から導入されたエアは、第一プレートと第二プレートとの間に形成されている隙間で噴孔の内部を流れる燃料と衝突する。これにより、導入されたエアと燃料とを確実に衝突させ、燃料の微粒化を促進することができる。
本発明の請求項4記載のインジェクタによると、第一プレートまたは第二プレートの少なくともいずれか一方は窪み部を有している。これにより、第一プレートと第二プレートとの間に隙間を容易に形成することができる。
【0009】
本発明の請求項5記載のインジェクタによると、第一プレートは第一孔部、第二プレートは第二孔部および第三孔部を有している。第一孔部および第二孔部により噴孔が構成されている。第一孔部を通過した燃料は、第二孔部へ流入する際に第三孔部から導入されたエアと衝突する。また、第一孔部は第一プレートおよび第二プレートの間に形成される隙間に燃料を導入するものであり、第二孔部は隙間でエアと混合された燃料を所定の噴射方向へ案内するものである。そのため、各孔部が形成された第一プレートおよび第二プレートを積層することにより、簡単な構造で噴孔および導入孔が形成されるとともに、燃料の噴射方向を設定することができる。したがって、噴孔プレートに噴孔および導入孔を容易に形成することができる。
【0010】
本発明の請求項6記載のインジェクタによると、噴孔プレートは中心軸を通る直径方向の仮想直線により分割された各領域に噴孔および導入孔を有している。
そのため、噴孔プレートには、複数の噴孔が配置される。したがって、複数の噴孔から複数の燃料の噴霧を形成する場合でも、燃料の微粒化を促進することができる。
本発明の請求項7または8記載のインジェクタによると、連通孔の噴孔側の端部は噴孔の周方向に連続して連通してもよく、周方向に不連続に連通してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例によるインジェクタを図2に示す。インジェクタ1は、例えば吸気管を流れる吸気に燃料を噴射する吸気管噴射用インジェクタ、あるいはエンジンの燃焼室に直接燃料を噴射する直噴用インジェクタなどに適用可能である。インジェクタ1のホルダ10は、磁性部材と非磁性部材とからなる筒状に形成されている。ホルダ10には燃料通路11が形成されており、この燃料通路11に弁ボディ30、弁部材としてのニードル40、可動コア12、スプリング13、固定コア14およびアジャスティングパイプ15が収容されている。
【0012】
ホルダ10は、図2の下方の弁ボディ30側から第一磁性部材101、非磁性部材102、第二磁性部材103をこの順で有している。第一磁性部材101と非磁性部材102、ならびに非磁性部材102と第二磁性部材103とは溶接により結合している。溶接は例えばレーザ溶接などにより行われる。非磁性部材102は第一磁性部材101と第二磁性部材103との間で磁束が短絡することを防止する。第一磁性部材101の反非磁性部材側には、弁ボディ30が溶接により固定されている。
【0013】
図1に示すように、カップ状の噴孔プレート50は弁ボディ30の外周壁に溶接により固定されている。噴孔プレート50は薄片状に形成されており、複数の噴孔51を形成している。噴孔プレート50の外側には、噴孔プレート50を覆う樹脂製のスリーブ52が装着されている。
ニードル40は、内部に燃料通路41を有する中空の有底筒状であり、底側に当接部42が形成されている。当接部42は弁ボディ30の内周面に形成されている弁座31に着座可能である。当接部42が弁座31に着座すると、噴孔51からの燃料の噴射が遮断される。
【0014】
ニードル40の反当接部側には、図1に示すように可動コア12が設置されている。当接部42の燃料入口側すなわち燃料上流側にニードル40の側壁を貫く燃料孔43、44が形成されている。ニードル40の燃料通路41に流入した燃料は、燃料孔43、44を通過し、弁ボディ30とニードル40との間に形成される燃料通路32に流入する。ニードル40の当接部42の近傍における外径は、弁ボディ30の内径と概ね同一である。そのため、ニードル40は、弁ボディ30の内周壁33と摺動し、軸方向への移動が案内される。
【0015】
図2に示すように、固定コア14は筒状に形成されている。固定コア14は、ホルダ10を構成する非磁性部材102および第二磁性部材103の内部に圧入されることによりホルダ10に取り付けられ固定されている。固定コア14は可動コア12に対し反当接部側に設置され可動コア12と対向している。
【0016】
アジャスティングパイプ15は固定コア14の内部に圧入されている。スプリング13は一方の端部がアジャスティングパイプ15に当接し、他方の端部が可動コア12に当接している。アジャスティングパイプ15の圧入量を調整することにより、可動コア12を介してニードル40を付勢するスプリング13の荷重は変更される。スプリング13はニードル40を弁座31方向へ付勢している。
【0017】
磁性部材21、24は、互いに磁気的に接続されてコイル25の外周側に設置されている。磁性部材21は、第一磁性部材101の外周側に設置され、第一磁性部材101と磁気的に接続されている。磁性部材24は磁性部材21および第二磁性部材103と磁気的に接続されている。固定コア14、可動コア12、第一磁性部材101、磁性部材21、24および第二磁性部材103は磁気回路を構成している。
コイル25が巻回されているスプール26はホルダ10の外周に取り付けられている。ターミナル27は、コイル25と電気的に接続されており、コイル25に駆動電流を供給する。樹脂ハウジング28はホルダ10およびコイル25の外周を覆っている。
【0018】
ホルダ10の図2において上方から燃料通路11へ流入する燃料は、フィルタ部材16により異物が除去される。異物が除去された燃料は、燃料通路11、アジャスティングパイプ15の内周側、固定コア14の内周側、可動コア12の内周側、ニードル40の燃料通路41および燃料孔43または燃料孔44を経由して燃料通路32へ供給される。燃料通路32へ供給された燃料は、当接部42が弁座31から離座したときに当接部42と弁座31との間に形成される開口を通り噴孔51へ流れ、噴孔51から噴射される。
【0019】
次に、噴孔プレート50の近傍について詳細に説明する。
噴孔プレート50は、図1に示すように第一プレートとしての上流側プレート53と第二プレートとしての下流側プレート54を有している。上流側プレート53および下流側プレート54は、積層され例えば溶接などにより一体に結合されている。上流側プレート53は円板状に形成されている。下流側プレート54は内側に上流側プレート53を収容するカップ状に形成されている。上流側プレート53は、弁ボディ30と下流側プレート54との間に位置している。
【0020】
上流側プレート53は、図1および図3に示すように第一孔部としての燃料孔531を形成している。燃料孔531は、上流側プレート53を板厚方向に貫いており、一方の端部が上流側プレート53の弁ボディ30側の端部に開口している。これにより、燃料孔531は、弁座31の燃料出口側に連通する。下流側プレート54は、第二孔部としての燃料孔541ならびに第三孔部としてのエア導入孔542を形成している。また、下流側プレート54は、上流側プレート53と対向する側から反上流側プレート方向へ窪んでいる窪み部543を有している。そのため、上流側プレート53と下流側プレート54とを積層したとき、上流側プレート53と下流側プレート54との間には隙間55が形成される。燃料孔531の他方の端部は、上流側プレート53の隙間55側の端部に開口している。燃料孔541は、下流側プレート54を板厚方向へ貫いて形成され、一方の端部が下流側プレート54の隙間55側の端部に開口し、他方の端部が反上流側プレート側の端部に開口している。上流側プレート53が形成する燃料孔531と下流側プレート54が形成する燃料孔541とは、噴孔51を構成している。これにより、燃料孔531の弁ボディ30側の開口が噴孔51の燃料入口となり、燃料孔541の反弁ボディ側の開口が噴孔51の燃料出口となる。
【0021】
下流側プレート54が形成するエア導入孔542は、下流側プレート54を板厚方向へ貫いて形成され、一方の端部が下流側プレート54の隙間55側の端部に開口し、他方の端部が下流側プレート54の反上流側プレート53側の端部に開口している。すなわち、エア導入孔542は、噴孔51の燃料出口側に面している。エア導入孔542は、噴孔プレート50の径方向において噴孔51の外側に配置されている。隙間55は、噴孔51を流れる燃料とエア導入孔542から導入されたエアとが衝突する衝突部となる。エア導入孔542は隙間55を経由して噴孔51に連通している。上流側プレート53および下流側プレート54には、例えばプレスあるいはエッチングなどにより燃料孔531、または燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543が形成される。
【0022】
本実施例では、図1に示すように噴孔プレート50の中心軸を通り直径方向へ伸びる仮想直線Lによって噴孔プレート50を二つの領域に分割したとき、各領域にそれぞれ燃料孔531および燃料孔541から構成される噴孔51、隙間55を形成する窪み部543、ならびにエア導入孔542が配置されている。これにより、噴孔プレート50には、複数の噴孔51ならびに各噴孔51に対応する導入孔が配置される。
【0023】
次に、上記の構成によるインジェクタ1の作動ならびに噴孔51における燃料の流れについて説明する。
コイル25に通電されていないとき、可動コア12と固定コア14との間には磁気吸引力は発生しない。そのため、スプリング13の付勢力により可動コア12と一体のニードル40は弁ボディ30方向へ移動している。これにより、当接部42は弁座31に着座し、燃料通路32から噴孔51への燃料の流れは遮断されている。したがって、燃料は噴孔51から噴射されない。
【0024】
所定の噴射時期になると、図示しないECUからコイル25に駆動電流が通電される。コイル25に通電されると、コイル25に発生する磁界によって形成される磁気回路により可動コア12と固定コア14との間には磁気吸引力が発生する。この磁気吸引力がスプリング13の付勢力よりも大きくなると、可動コア12は固定コア14方向へ移動するとともに、可動コア12と一体のニードル40も固定コア14方向へリフトする。その結果、当接部42は弁座31から離座し、燃料通路32から噴孔51への燃料の流れは許容される。
【0025】
弁座31を通過した燃料は、ニードル40の先端部と弁ボディ30との間を経由して噴孔51へ流入する。このとき、燃料は上流側プレート53の燃料孔531へ流入する。インジェクタ1へ供給される燃料は、図示しない燃料ポンプにより加圧されているため、大きな速度で燃料孔531および燃料孔541から構成される噴孔51を通過する。そのため、噴孔51の内部ならびに噴孔51に連通する隙間55の圧力は低下する。隙間55の圧力の低下にともなって、隙間55に連通するエア導入孔542の両端部の間には圧力差が形成される。その結果、図3(B)に示すように圧力の高い反上流側プレート側の端部からエア導入孔542へエアが導入され、導入されたエアは隙間55を経由して噴孔51を流れる燃料へ衝突する。燃料とエアとは、燃料孔541の入口側の隙間55において衝突する。これにより、衝突した燃料とエアとは混合され、燃料孔541へ流入する。その結果、エアと混合された燃料が燃料孔541を経由して噴射される。
【0026】
所定の噴射期間が経過すると、コイル25への駆動電流の通電が停止される。
コイル25への通電が停止されると、可動コア12と固定コア14との間の磁気吸引力が消滅する。そのため、ニードル40はスプリング13の付勢力により弁ボディ30方向へ移動する。そして、当接部42に弁座31が着座すると、燃料通路32から噴孔51への燃料の流れは遮断される。したがって、噴孔51からの燃料の噴射は終了する。
【0027】
以上、説明したように第1実施例では、噴孔51の内部における燃料の流れによって生じる圧力差によりエア導入孔542から噴孔51へエアが導入される。
導入されたエアは、噴孔51を流れる燃料と衝突する。これにより、燃料はエアと混合され、噴孔51から噴射される。燃料はエアと混合されることにより、液柱が粉砕され微粒化が促進される。また、エアは噴孔51に近接するエア導入孔542から導入されるため、例えば吸気管のスロットル近傍からエアを導入する場合と比較して、配管などが不要となる。したがって、簡単な構造で噴孔51を流れる燃料にエアを混合することができ、燃料の微粒化を促進することができる。
【0028】
第1実施例では、噴孔プレート50は上流側プレート53および下流側プレート54から構成されている。そのため、上流側プレート53に燃料孔531、下流側プレート54に燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543を形成した後、上流側プレート53と下流側プレート54とを結合することができる。
これにより、燃料孔531、燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543を容易に形成することができる。また、下流側プレート54に形成される燃料孔541の角度あるいは形状を調整することにより、噴孔51から噴射される噴霧の形状および形成方向を容易に制御することができる。
【0029】
第1実施例では、上流側プレート53と下流側プレート54との間に隙間55を形成することにより、エア導入孔542から導入されたエアが噴孔51へ流れるための通路が形成される。そのため、エア導入孔542から導入されたエアを噴孔51を流れる燃料に確実に衝突させ、エアと燃料とを混合することができる。
【0030】
第1実施例では、噴孔プレート50の中心軸を通り直径方向へ伸びる仮想直線Lによって噴孔プレート50を二つの領域に分割したとき、各領域にそれぞれ燃料孔531および燃料孔541、窪み部543、ならびにエア導入孔542が配置されている。そのため、噴孔プレート50には、複数の噴孔51ならびに各噴孔51に対応する導入孔が配置される。したがって、複数の噴孔51を形成する場合でも、各噴孔51から噴射される燃料の微粒化を促進することができる。
【0031】
(第2、第3、第4、第5実施例)
本発明の第2実施例から第5実施例によるインジェクタの噴孔プレートの近傍をそれぞれ図4から図7に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
【0032】
第2実施例の場合、図4に示すように下流側プレート54は一つの窪み部543を有している。窪み部543には、噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側が開口している。燃料孔541は、第1実施例と同様に4か所形成されている。これに対し、エア導入孔542は1か所形成されている。すなわち、エア導入孔542から導入されたエアは、4か所の燃料孔541を流れる燃料に分配される。エア導入孔542は、各燃料孔541を流れる燃料に十分なエアを供給可能とするため、各燃料孔541よりも内径が拡大されている。
第2実施例では、下流側プレート54が形成するエア導入孔542は1か所である。そのため、エア導入孔542の数を低減することができ、加工工数を低減することができる。
【0033】
第3実施例の場合、図5に示すように下流側プレート54は一つの窪み部543を有している。窪み部543には、噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側が開口している。本実施例の場合、下流側プレート54の燃料孔541は燃料の噴射方向に応じてグループ化されている。
第3実施例では、噴孔51を構成する燃料孔541の断面積が拡大する。したがって、燃料の圧力損失を低減することができる。
【0034】
第4実施例の場合、図6に示すように下流側プレート54は格子状の窪み部543を有している。噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側は、格子状の窪み部543の交差部分に開口している。エア導入孔542から導入されたエアは、格子状の窪み部543によって形成される隙間55に沿って流れる。燃料孔541の燃料入口側は格子状の窪み部543の交差部分に開口しているため、各燃料孔541の燃料入口側には窪み部543に沿って流れるエアが四方から流入する。その結果、各燃料孔541へ流入する燃料には、四方からエアが衝突し混合される。
第4実施例では、燃料孔541へ流入する燃料には四方からエアが衝突する。
そのため、燃料とエアとの混合がより促進される。したがって、噴孔51から噴射される燃料の微粒化をさらに促進することができる。
【0035】
第5実施例の場合、図7に示すように下流側プレート54は一つの窪み部543を有している。窪み部543には、噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側が開口している。燃料孔541は、複数形成されており、本実施では12か所形成されている。これに対し、エア導入孔542は2カ所形成されている。すなわち、2カ所のエア導入孔542から導入されたエアは、12か所の燃料孔541を流れる燃料に分配される。
第5実施例では、複数の噴孔51を有する噴孔プレート50に本発明を適用することができる。なお、下流側プレート54が形成する燃料孔541およびエア導入孔542の数は、インジェクタ1に要求される燃料噴射特性に応じて任意に変更可能である。
【0036】
以上、説明した第1実施例から第5実施例では、上流側プレート53と下流側プレート54との間に隙間55を形成するための窪み部543を下流側プレート54に形成する例について説明した。しかし、窪み部543は下流側プレート54に限らず上流側プレート53に形成してもよい。
【0037】
(第6実施例)
第6実施例は、上流側プレート53にも窪み部を形成した実施例である。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第6実施例では、図8および図9に示すように上流側プレート53は噴孔51を構成する燃料孔531とともに窪み部532を有している。窪み部532は、上流側プレート53の下流側プレート54と対向する側から弁ボディ30方向すなわち反下流側プレート方向へ窪んで形成されている。一方、下流側プレート54は、燃料孔541、エア導入孔542および窪み部543を有している。下流側プレート54の燃料孔541の燃料入口側は、井桁状に形成されている窪み部543の交差部分に開口している。なお、図8(B)の破線は、上流側プレート53の窪み部532の位置を示している。
【0038】
これにより、エア導入孔542から導入されたエアは、上流側プレート53の窪み部532によって下流側プレート54との間に形成される隙間56に沿って流れる。そして、エアは、下流側プレート54の窪み部543によって上流側プレート53との間に形成される隙間55を経由して燃料孔541の燃料入口側へ流れる。そのため、第4実施例と同様に各燃料孔541へ流入する燃料には、四方からエアが衝突し混合される。したがって、噴孔51から噴射される燃料の微粒化をさらに促進することができる。
【0039】
以上、説明した第1実施例から第6実施例では、下流側プレート54のみ、または上流側プレート53および下流側プレート54の双方に窪み部を形成する例について説明した。しかし、窪み部は、上流側プレート53のみに形成してもよい。
【0040】
(第7、第8実施例)
本発明の第7実施例および第8実施例によるインジェクタの噴孔プレートの近傍をそれぞれ図10または図11に示す。なお、第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
第7実施例の場合、図10に示すように下流側プレート54の窪み部543は段差を有している。すなわち、窪み部543は、窪みの浅い上段部543aと窪みの深い下段部543bとを有する階段状に形成されている。噴孔51を構成する燃料孔541の燃料入口側は下段部543bに開口している。これに対し、エア導入孔542の窪み部543側は上段部543aに開口している。なお、燃料孔541およびエア導入孔542の数および配置は、上述の各実施例で説明したように種々変更可能である。
【0041】
窪み部543により形成される隙間55に燃料孔541およびエア導入孔542が連通する場合、上流側プレート53の燃料孔531から隙間55に流入した燃料は、下流側プレート54の燃料孔541だけでなくエア導入孔542にも流入するおそれがある。そこで、第7実施例のように窪み部543に段差を形成することにより、燃料は、下段部543bに開口する燃料孔541へ流入し、上段部543aに開口するエア導入孔542に流入しにくくなる。したがって、エア導入孔542への燃料の流入、ならびにエア導入孔542からの燃料の噴射を防止することができる。
【0042】
第8実施例の場合、図11に示すように下流側プレート54の窪み部543は傾斜している。すなわち、窪み部543は噴孔プレート50の外周側から中心側にかけて深さが増して形成されている。噴孔51を構成する燃料孔541は、窪み部543が深い噴孔プレート50の中心よりに開口している。これに対し、エア導入孔542は窪み部543が浅い燃料孔541の外周側に開口している。なお、燃料孔541およびエア導入孔542の数および配置は、上述の各実施例で説明したように種々変更可能である。
【0043】
第8実施例では、燃料は、窪み部543の深い部分に開口する燃料孔541に流入し、窪み部543の浅い部分に開口するエア導入孔542に流入しにくくなる。したがって、第7実施例と同様にエア導入孔542への燃料の流入、ならびにエア導入孔542からの燃料の噴射を防止することができる。
【0044】
(第9、第10実施例)
第9実施例の場合、図12に示すように下流側プレート54が形成する燃料孔541は燃料出口に向かうにしたがって内径が拡大している。すなわち、噴孔51を構成する燃料孔541はテーパ状に形成されている。
【0045】
また、第10実施例の場合、図13に示すように下流側プレート54が形成する燃料孔541は燃料出口に向かうにしたがって内径が縮小している。
第9実施例または第10実施例では、インジェクタ1に要求される燃料噴射特性の仕様に応じて噴孔51を構成する燃料孔541の形状を任意に変更可能である。これにより、噴孔51から噴射される燃料の微粒化特性を制御することができる。
【0046】
(第11実施例)
上記の第1実施例から第10実施例では、噴孔プレートを上流側プレートおよび下流側プレートから構成する例について説明した。しかし、第11実施例では、図14に示すように1枚の噴孔プレート60に噴孔61および導入孔62を形成している。第11実施例の場合、噴孔プレート60は燃料入口側の端面から燃料出口側の端面まで貫く噴孔61を形成している。噴孔プレート60の中心軸に対する噴孔61の傾斜角、ならびに噴孔61の内径などは任意に変更可能である。また、噴孔プレート60は、噴孔プレート60の燃料出口側の端面と噴孔61とを連通する導入孔62を形成している。導入孔62は、第1実施例におけるエア導入孔および隙間に相当する。
【0047】
第11実施例では、噴孔61を燃料が流れることにより噴孔61の内部の圧力は低下する。そのため、噴孔61の内部と導入孔62の反噴孔側の端部との間には圧力差が形成される。これにより、導入孔62からはエアが導入され、導入されたエアは噴孔61の内部を流れる燃料に衝突する。その結果、燃料はエアと混合され、噴孔61から噴射される。燃料はエアと混合されることにより、微粒化が促進される。したがって、簡単な構造で噴孔61を流れる燃料にエアが混合され、燃料の微粒化を促進することができる。
【0048】
(第12実施例)
第12実施例は、第11実施例の変形例であり、図15に示すように導入孔62を噴孔61の燃料入口側の近傍に連通させた例である。噴孔プレート60は、噴孔61ならびに噴孔61の外周側に位置する導入孔62を形成している。噴孔プレート60は突出部63を有しており、突出部63の先端部に噴孔61の燃料入口側が開口している。噴孔プレート60は、二重環を形成する内筒部64を有している。噴孔プレート60の内周壁60aと内筒部64の外周壁64aとの間には導入孔62が形成される。また、内筒部64の内周側には噴孔61が形成される。内筒部64は、図示しない支持手段によって噴孔プレート60と一体に支持されている。導入孔62は、一方の端部が噴孔プレート60の燃料出口側の端部に開口し、他方の端部が内筒部64の突出部63側の端部を回り込んで噴孔61に開口している。導入孔62の噴孔61側の端部は、噴孔61の周方向に連続して連通している。
【0049】
突出部63の先端部から噴孔61に流入した燃料は、内筒部64の内周側を経由して噴射される。このとき、噴孔61を流れる燃料により噴孔61の内部の圧力は低下する。そのため、噴孔61の内部と導入孔62の反噴孔側の端部との間には圧力差が形成される。これにより、導入孔62からはエアが導入され、導入されたエアは噴孔61の内部を流れる燃料に衝突する。その結果、燃料はエアと混合され、噴孔61から噴射される。燃料はエアと混合されることにより、微粒化が促進される。したがって、簡単な構造で噴孔61を流れる燃料にエアが混合され、燃料の微粒化を促進することができる。
【0050】
(第13、第14実施例)
第13実施例の場合、図16に示すように導入孔62は噴孔61の燃料入口側と燃料出口側との間に連通している。導入孔62は複数の円筒状の管から構成されている。そのため、導入孔62の噴孔61側の端部は噴孔61の周方向へ不連続に連通し、導入孔62の噴孔61側の端部は概ね円形状の開口となる。
【0051】
第14実施例の場合、図17に示すように導入孔62は噴孔61の燃料入口側と燃料出口側との間に連通している。導入孔62は複数の扁平な管から構成されている。そのため、導入孔62の噴孔61側の端部は噴孔61の周方向へ不連続に連通し、導入孔62の噴孔61側の端部は扁平な帯状の開口となる。
【0052】
(第15実施例)
第15実施例の場合、図18に示すように噴孔プレート70は噴孔71および導入孔72を形成している。噴孔71は、噴孔プレート70の弁ボディ30側の端面から反弁ボディ側の端面まで貫いている。導入孔72は、一方の端部が噴孔プレート70の燃料出口側の端面に開口している。導入孔72は、途中で二手に分岐しており、分岐したそれぞれの孔の端部が噴孔71の燃料入口側と燃料出口側との間に開口している。これにより、導入孔72は、噴孔71の燃料入口側から燃料出口側までの複数の位置で噴孔71に連通する。そのため、噴孔71を流れる燃料には多段的にエアが衝突する。なお、導入孔72を三手以上に分岐する構成としてもよい。
【0053】
以上、説明した複数の実施例では、各実施例を個別に適用したインジェクタについて説明したが、複数の実施例を組み合わせてインジェクタに適用してもよい。また、噴孔プレートにおいて噴孔よりも径方向外側に導入孔を配置する例を主に説明したが、噴孔よりも径方向内側に導入孔を配置してもよい。さらに、窪み部に連通する燃料孔あるいは導入孔の数および配置などはインジェクタに要求される燃料噴射特性に応じて任意に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図2】本発明の第1実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図3】本発明の第1実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図であって、(B)は(A)のB部分を拡大した図である。
【図4】本発明の第2実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図5】本発明の第3実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図6】本発明の第4実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図7】本発明の第5実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図8】本発明の第6実施例によるインジェクタの噴孔近傍を示す図であって、(A)は(B)のA−A線で切断した断面図、(B)は下流側プレートを(A)のB−B線から見た概略図である。
【図9】本発明の第6実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図10】本発明の第7実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図11】本発明の第8実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図12】本発明の第9実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図13】本発明の第10実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図14】本発明の第11実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【図15】本発明の第12実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す部分断面斜視図である。
【図16】本発明の第13実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す部分断面斜視図である。
【図17】本発明の第14実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す部分断面斜視図である。
【図18】本発明の第15実施例によるインジェクタの噴孔プレートを示す断面図である。
【符号の説明】
1 インジェクタ(燃料噴射装置)
30 弁ボディ
31 弁座
32 燃料通路
40 ニードル
42 当接部
50、60、70 噴孔プレート
51、61、71 噴孔
53 上流側プレート
54 下流側プレート
62、72 導入孔
531 燃料孔(噴孔、第一孔部)
532 窪み部
541 燃料孔(噴孔、第二孔部)
542 エア導入孔(導入孔、第三孔部)
543 窪み部
Claims (8)
- 燃料通路を形成する内周面に弁座を有する弁ボディと、
前記弁座に対し燃料の流れの下流側に設置され、前記燃料通路を流れる燃料を噴射する複数の噴孔を形成している噴孔プレートと、
前記弁座に着座することにより前記噴孔からの燃料噴射を遮断し、前記弁座から離座することにより前記噴孔からの燃料噴射を許容する弁部材とを備え、
前記噴孔プレートは、前記噴孔の燃料出口側と前記噴孔とを連通し前記噴孔の内部を燃料が流れる際に形成される吸引力により前記噴孔の燃料出口側から前記噴孔へエアが導入される導入孔を有することを特徴とする燃料噴射装置。 - 前記噴孔プレートは、前記弁ボディ側の第一プレートと前記第一プレートの反弁ボディ側に積層される第二プレートとを有することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
- 前記第一プレートと前記第二プレートとの間には隙間が形成されており、前記隙間に前記噴孔を流れる燃料と前記導入孔から導入されたエアとが衝突する衝突部を有することを特徴とする請求項2記載の燃料噴射装置。
- 前記第一プレートまたは前記第二プレートの少なくともいずれか一方は、対向する前記第二プレートまたは前記第一プレート側から反第二プレート側または反第一プレート側へ窪んだ窪み部を有することを特徴とする請求項3記載の燃料噴射装置。
- 前記第一プレートは前記噴孔を形成する第一孔部を有し、前記第二プレートは前記噴孔を形成する第二孔部ならびに前記導入孔を形成する第三孔部を有することを特徴とする請求項2、3または4記載の燃料噴射装置。
- 前記噴孔プレートは、中心軸を通り直径方向に伸びる仮想直線により分割された各領域に、前記噴孔ならびに前記噴孔に連通する前記導入孔を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一方記載の燃料噴射装置。
- 前記連通孔の前記噴孔側の端部は、前記噴孔の周方向へ連続して連通していることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
- 前記連通孔の前記噴孔側の端部は、前記噴孔の周方向へ不連続に連通していることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
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