JP2004231993A - 成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】真空槽内に成膜源を有し、基板の成膜処理を行う成膜装置あって、所望する薄膜形成が可能となる成膜装置を提供する。
【解決手段】成膜時に、基板1を冷却する手段と、基板1の角度を変更する手段と、基板1と成膜源(図示せず)との距離を変更する手段を備え、更に、基板公転プレート28の中央に膜厚センサー15を備える。これらの手段は、シャフト部により構成される。
【効果】基板を冷却することにより成膜時の基板温度の上昇の抑制ができ、高品位な膜の形成が可能となる。また、成膜時の基板の角度、基板と成膜源間の距離を変更および基板に対する成膜を遮ることなく基板公転プレートの中央部に設置された膜厚センサーとにより、精度の高い膜厚管理および形成が可能となる。よって、高精度の電子部品に対応した所望する手段を有する薄膜形成が可能な成膜装置が提供できる。
【選択図】 図4
【解決手段】成膜時に、基板1を冷却する手段と、基板1の角度を変更する手段と、基板1と成膜源(図示せず)との距離を変更する手段を備え、更に、基板公転プレート28の中央に膜厚センサー15を備える。これらの手段は、シャフト部により構成される。
【効果】基板を冷却することにより成膜時の基板温度の上昇の抑制ができ、高品位な膜の形成が可能となる。また、成膜時の基板の角度、基板と成膜源間の距離を変更および基板に対する成膜を遮ることなく基板公転プレートの中央部に設置された膜厚センサーとにより、精度の高い膜厚管理および形成が可能となる。よって、高精度の電子部品に対応した所望する手段を有する薄膜形成が可能な成膜装置が提供できる。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空槽内に成膜源を有し、基板への成膜処理を行う装置であって、特にスパッタ装置や真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高精度化が急速に進められるなか、電子部品においても様々な機能が要求される。電子部品に形成される薄膜においても、その精度および機能の更なる向上が求められている。薄膜を形成する方法としては、真空を利用した成膜装置が用いられるが、形成される薄膜は、その成膜条件に対して顕著な依存性を示すことは一般に知られているところである。成膜条件としては、成膜時の基板温度、基板に対する成膜粒子の入射角度、成膜粒子エネルギー等の種々の項目が挙げられる。
【0003】
その中で、成膜時の基板温度の上昇は、基板温度の上昇に伴う基板からの不純物の発生および成膜する膜の状態変化により、膜特性が劣化することが考えられる。また、成膜される基板によっては、成膜時の基板温度の上昇により基板自身の有する特性が劣化することも考えられる。更に、リフトオフ成膜においては、レジストの耐熱性の問題も考えられる。成膜時の基板温度の上昇を抑制し、成膜時の基板温度を制御することは、必要とされる特性を有する薄膜を形成する上でも重要な項目の一つである。
【0004】
そこで、成膜装置として基板を保持する基板保持具と、基板保持具に公転および自転の動作をさせる動力伝達手段を有する成膜装置において、動力伝達機構の公転部材と、基板保持具を含む自転部材の内部に、互いに連通された冷却水路を形成する。その水路に、冷却水供給装置から公転部材および自転部材に対して循環的に冷却水を供給し、基板保持具を冷却する成膜装置が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
また、成膜粒子の入射角度は、必要とされる特性を有する薄膜を形成するため、基板に対するステップカバレージ性を向上させるためおよび基板に形成される膜の厚みの均一性を向上させるための重要な成膜条件の一つである。このことからも成膜装置としては、成膜中の経時変化等に対応して、成膜源に対する基板の角度の変更を連続的に行うことは重要となる。
【0006】
そこで、成膜源を内部に設けた真空槽内に、基板が取り付けられて自公転する部材を設けた成膜装置において、公転部材に自転板を揺動部材により揺動自在に取り付ける。揺動部材に揺動回転軸を連結して該揺動回転軸の中心軸方向への移動によって揺動部材および自転板を揺動させ、入射角の異なった成膜が連続的に行える成膜装置が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0007】
一方、電子部品によっては、形成される薄膜の膜厚に対して顕著な特性の依存性を示すものも存在する。そのため、形成される薄膜の膜厚は、所望する特性を有する電子部品を形成するために、所望する膜厚を精度よく形成することが望まれる。
【0008】
そこで、真空中において付着する成膜材料の量に応じて共振周波数が変化する水晶振動子の周波数変化量に基づいて、膜厚を測定する膜厚モニターを備える成膜装置が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−250577号公報
【特許文献2】
特開平9−143717号公報
【特許文献3】
特開平11−222670号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術による成膜装置においては、以下の問題が存在する。
【0011】
特許文献1においては、基板保持具を冷却し、成膜源と基板との距離を変更可能な手段を有する。
【0012】
しかし、特許文献1においては、膜厚センサーを有しないことから、基板に形成される膜厚を精度よく管理することは困難である。また、その機構上の制約から、薄膜形成における他の重要な成膜条件である成膜時に基板の角度を連続的に変化させることは出来ない。
【0013】
したがって、精度の高い膜厚の管理や均一で高精度な膜形成が困難であるとの課題を有する。
【0014】
特許文献2においては、入射角の異なった成膜が連続的に行える成膜装置が提案されている。
【0015】
しかし、特許文献2においては、その機構上の制約から、薄膜形成における他の重要な成膜条件である成膜時の基板温度の上昇を抑制すること、成膜源と基板間距離の変更することは困難である。また、膜厚センサーを有しない。
【0016】
したがって、成膜時の基板温度の上昇は避けることができず、成膜時の基板からの不純物ガスの発生および基板によっては、その基板の有する特性が劣化するとの課題を有する。また、成膜時の膜厚の実測ができないことおよび成膜源と基板間の距離の変更ができないことから、経時変化に対応した、精度の高い膜厚の管理が困難であるとの課題を有する。
【0017】
特許文献3においては、飛来する成膜材料を間欠的に遮蔽する手段を有する膜厚モニターを備える。
【0018】
膜厚モニターは、その機構上の制約から成膜する基板の外側に設置する構成となる。本来、膜厚モニターの設置位置は、成膜される基板の近傍、または成膜状態の最も安定する位置に設置されるべきでものである。基板から離れたところでの膜厚のモニターリングは、連続使用時における膜厚測定精度を劣化させることになり、高精度な膜厚管理が行えないとの課題を有する。
【0019】
しかし、特許文献3においては、その機構上の制約から、基板を遮蔽することなく成膜状態の最も安定する中央部近傍に膜厚センサーを設置することが困難なことは明確である。また、薄膜形成における他の重要な成膜条件である、成膜時の基板温度の上昇を抑制すること、基板の角度の連続的な変更および成膜源と基板間の距離を変更する手段を設けることは困難である。
【0020】
したがって、所望の機能を有する薄膜形成および精度の高い膜厚の管理が困難であるとの課題を有する。
【0021】
本発明は上記の問題点を解決することを目的とするもので、膜形成として重要な項目となる、成膜時の基板の温度上昇の抑制、膜厚の管理、基板への入射角度および基板と成膜源間の距離の変更手段を有することにより、高精度の電子部品に対応した薄膜を形成することが可能となる成膜装置を提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決すべく本発明は、真空槽内に成膜源を有し、基板への成膜処理を行う装置であって、大気中から真空槽内に導入されるシャフト部であって、冷却媒体の流路の一部が構成されて多重構造をしたシャフト部と、真空槽内でシャフト部に接続され、回転運動が伝達される基板公転プレートと、複数の基板を保持可能であり、かつ基板公転プレートに設けられ、流路を通る冷却媒体により基板を冷却する基板ホルダーと、基板公転プレートの中央部近傍に位置し、シャフト部の内部に配線が施される膜厚センサーとを備える成膜装置である。
【0023】
また、シャフト部と基板ホルダーとの間に設けられた、冷却媒体を基板ホルダーに循環させるフレキシブルチューブを備える成膜装置である。
【0024】
また、基板の角度を変更するための揺動手段と、揺動手段にシャフト部の上下運動を伝達手段とを備える成膜装置である。更に、基板と成膜源との距離を変更するための上下運動する手段がシャフト部に設けられている成膜装置である。
【0025】
以上のような本発明の成膜装置によれば、薄膜形成における重要な成膜条件である成膜時の基板温度の上昇を抑制すること、成膜時の基板の角度および成膜源と基板間の距離を変更することが可能となる。また、基板に対する成膜を遮ることなく精度の高い膜厚の管理が可能となる。よって、高精度の電子部品に対応した薄膜形成が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付図に基いて詳細を説明する。
【0027】
図1は、本発明の成膜装置における一実施例の一部概略断面図を示す。
【0028】
図1において、成膜装置50は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0029】
成膜装置50は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー2と、基板ホルダー2が固定された中空構造を有する基板公転プレート3を備える。
【0030】
基板公転プレート3は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部へ貫通するシャフト部を構成する管状部材である回転伝達シャフト5と中間シャフト13に接続される。また、回転伝達シャフト5は、回転支持部6を介してモーター等の回転機構(図示せず)へと接続される。
【0031】
回転伝達シャフト5および中間シャフト13は、シール機構7を介して回転運動をA側大気部からB側真空部へと導入する。また、回転伝達シャフト5は、その上部において天板11およびシール機構12によりシールされ、保持された状態となる。シール機構7およびシール機構12は、磁性流体シールが望ましいが、求める真空度によっては、Oリングでも可能である。
【0032】
更に、基板公転プレート3は、その内部に冷却媒体を循環する手段を有しており、冷却媒体の整流のために整流板8を備える。整流板8は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部へ貫通するシャフト部を構成する中間シャフト14に接続される。
【0033】
供給部9から導入された冷却媒体は、回転伝達シャフト5と中間シャフト14との隙間により形成された往路を通りチャンバー4の中に入り、基板公転プレート3の内部に導入される。その後、所定の流路を通り、中間シャフト14と中間シャフト13との隙間により形成された復路を通り排出部10より排出される。冷却媒体としては、温度制御された水や不凍液を用いることが好ましい。
【0034】
供給部9を構成する部材と回転伝達シャフト5および中間シャフト14とのシール、また、排出部10を構成する部材と中間シャフト13とのシールには、Oリング、オイルシールおよびメカニカルシール等を用いると良い。
【0035】
回転伝達シャフト5、中間シャフト13および中間シャフト14は、同一軸上にてシャフト部を構成する。シャフト部においては、回転伝達シャフト5の外側に中間シャフト14を配し、中間シャフト14の外側に中間シャフト13を備える構造となる。シャフト部は、前記したシール機構7を介してA側大気部からB側真空部へと導入される。
【0036】
膜厚センサー15は、回転伝達シャフト5の内部に配線が施され、基板公転プレート3の中央部近傍に位置する。天板11は、膜厚センサー15の配線部を保持し、シール機構12に設置されている。
【0037】
基板公転プレート3の回転機構を説明する。モーター等の回転機構から回転支持部6に伝達された回転運動は、回転伝達シャフト5、回転伝達シャフト5に接続された中間シャフト14および中間シャフト13とともにシール機構7を介してA側大気部よりB側真空部に導入される。回転伝達シャフト5、中間シャフト14および中間シャフト13が基板公転プレート3にそれぞれ接続されていることから導入された回転運動は、基板公転プレート3を回転させる。
【0038】
この時、回転伝達シャフト5の上部に位置する天板11およびシール機構12、また、冷却媒体の供給部9、排出部10、シール機構7および膜厚センサー15は静止した状態である。
【0039】
以上の構成により、導入された冷却媒体で基板ホルダー2が冷却され、基板ホルダー2により保持された基板1が冷却される。冷却媒体は、形成された経路を流れることにより、効率のよい熱交換を行うことが可能となる。成膜時における基板温度の上昇の抑制は、基板1からの不純物ガス発生の抑制および成膜する膜特性の安定化につながることから高品位の成膜が可能となる。また、基板1によっては、基板温度の上昇により有する特性を劣化させるものも存在することから、基板1の有する特性の安定化にもつながる。更に、リフトオフ成膜の場合、リフトオフ成膜では、使用するレジストの耐熱性に対応することが可能となる。
【0040】
また、膜厚センサー15は、基板公転プレート3の中央部近傍に位置しているにもかかわらず配線が基板1を遮蔽することなく、基板1における成膜に対する遮蔽についても問題とはならない。基板公転プレート3の中央部に設置した膜厚センサー15により、成膜時の精度の高い膜厚測定が可能となり、所望する膜厚に対し、精度の高い膜厚の管理が可能となる。
【0041】
次に、図2は、本発明の成膜装置における別の実施例の一部概略断面図を示す。
【0042】
図2において、成膜装置60は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0043】
成膜装置60は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー16と、基板ホルダー16が固定された基板公転プレート17とを備える。
【0044】
基板公転プレート17は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部へと貫通するシャフト部を構成する管状部材である回転伝達シャフト18に接続され、回転支持部6よりモーター等の回転機構(図示せず)へと接続されている。また、その上部において天板11およびシール機構12により密閉され、保持された状態となる。
【0045】
また、基板ホルダー16は、ベース基板19とで形成されるその内部に、冷却媒体を循環する手段を備える。ベース基板19の内部には、図5に示すように冷却媒体の流路が形成されている。
【0046】
供給部9から供給された冷却媒体は、回転伝達シャフト18と中間シャフト20との隙間により形成された往路を通り、フレキシブルチューブ22を介して、供給ジョイント23に接続される。冷却媒体は、基板ホルダー16と、ベース基板19とに形成されたその内部に導入される。次に、排出ジョイント24に接続されたフレキシブルチューブ25を介して、中間シャフト20と中間シャフト21との隙間により形成された復路を通り、排出部10より排出される。
【0047】
回転伝達シャフト18、中間シャフト20および中間シャフト21は、同一軸上にて、シャフト部を構成する。また、回転伝達シャフト18の外側に中間シャフト20を配し、中間シャフト20の外側に中間シャフト21を備える構造となる。シャフト部は、シール機構7を介して、A側大気部からB側真空部へと導入される。
【0048】
また、ベース基板19は、揺動部材26、揺動アーム27により基板公転プレート17に取り付けられている。更に、シャフト部とベース基板19との間の冷却媒体の経路がフレキシブルチューブにて構成されている。これにより、初期設定時に基板ホルダー16の角度の変更が可能となる。
【0049】
また、膜厚センサー15は、回転伝達シャフト18の内部に配線が施され、基板公転プレート17の中央近傍に位置する。高さ方向においては、基板1の高さに調整されている。天板11は、膜厚センサー15の配線部を保持し、シール機構12に設置されている。
【0050】
基板公転プレート17の回転機構を下記に示す。モーター等の回転機構(図示せず)から回転支持部6に伝達された回転運動は、回転伝達シャフト16、回転伝達シャフト16に接続された中間シャフト20および中間シャフト21とともにシール機構7を介してA側大気部よりB側真空部に導入される。回転伝達シャフト18が基板公転プレート17に接続されていることから、導入された回転運動により、基板ホルダー16を含む基板公転プレート17が回転する。
【0051】
この時、回転伝達シャフト18の上部を位置する天板11およびシール機構12、また、冷却媒体の供給部9、排出部10、シール機構7および膜厚センサー15は静止した状態となる。
【0052】
以上の構成により、導入された冷却媒体で基板ホルダー16および基板ホルダー16により保持された基板1が冷却され、所望する膜の形成および基板1の特性を劣化させることなく膜を形成することが可能となる。
【0053】
また、基板公転プレート17の中央部近傍に位置した膜厚センサー15により、成膜時の精度の高い膜厚管理が可能となる。
【0054】
更に、基板1の角度は、基板1に対する初期状態での設定変更が可能となり、成膜条件の拡大につながる。また、基板ベース19には、図5に示した冷却媒体の流路を形成されており、流路における冷却媒体のたまりの発生をすることを回避できる。その結果、冷却効率の向上が可能となる。
【0055】
次に、図3に、本発明の成膜装置における更に別の実施例の一部概略断面図を示す。
【0056】
図3において、成膜装置70は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0057】
成膜装置70は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー16と、基板ホルダー16を固定する基板公転プレート28とを備える。
【0058】
基板公転プレート28は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部に貫通するシャフト部を構成する回転伝達シャフト18に接続され、回転支持部6よりモーター等の回転機構(図示せず)へと接続されている。
【0059】
基板ホルダー16は、ベース基板19とで形成されるその内部に、冷却媒体を循環する手段を備える。ベース基板19の内部および冷却媒体の流路は、前記した図2に示す実施例と同様であることから、記載は省略する。この構成により、基板1が冷却される。
【0060】
更に、基板ホルダー16は、基板公転プレート28に揺動可能なように揺動部材26にて取り付けされ、基板1の角度を変更する手段を備える。基板1の角度を変更する揺動手段にシャフトの上下運動を伝達する手段として、シャフト部の最内部に構成された管状形状した中空シャフト33に設けられた逆円錐台形状したカム部29と、ローラー部30と、バネ部31と、揺動支持部32および揺動アーム27とを備える。ローラー部30は、バネ部31によりカム部29のテーパー部に押し付けられた状態となる。
【0061】
基板ホルダー16の角度の変更は、カム部29を備える中空シャフト33の上下運動により行う。中空シャフト33は、ベローズ34およびベローズ35が図示を省略した別の手段によって伸縮することにより上下運動し、A側大気部よりB側真空部に導入される。上下運動の導入は、ベローズの使用が望ましいが、求める真空度によっては、Oリングでも可能である。
【0062】
導入された上下運動は、中空シャフト33に備えられるカム部29を介して、バネ部31により押し付けられているローラー部30へと伝達される。更に、揺動支持部32を介し、揺動部材26により支持された揺動アーム27により基板ホルダー16へと伝達される。これらにより、中空シャフト33の上下運動が基板1の角度を変更する水平方向の運動へと変換される。
【0063】
成膜中における基板1の角度の変更によって、大気に開放することなく異なる材料を成膜する時に、その材料に適切な基板1と成膜源間との距離の設定に対応し、常に成膜源に対して基板1を正対させることが可能となる。また、微細な成膜パターンを形成する時に、ステップカバレージ性を制御することも可能となる。
【0064】
シャフト部の全体構成については、最内部に位置する中空シャフト30を除き、図2にて示した実施例と同様であることから記載を省略する。
【0065】
また、膜厚センサー15は、中空シャフト33の内部に配線が施され、基板公転プレート28の中央部近傍に位置する。更に、膜厚センサー15は、高さ方向において、基板1の高さに調整されている。
【0066】
また、中空シャフト33の上部の上下面には、ベローズ34およびベローズ35がそれぞれ備えられる。
【0067】
基板公転プレート28の回転は、モーター等の回転機構(図示せず)から回転支持部6に伝達された回転運動が、回転伝達シャフト18、回転伝達シャフト18に接続された中間シャフト20および中間シャフト21とともにシール機構7およびシール機構36を介してA側大気部よりB側真空部に導入される。回転伝達シャフト18が基板公転プレート28に接続されていることから、導入された回転運動により、基板ホルダー16を含む基板公転プレート28が回転する。この時、中空シャフト33、中空シャフト33の上部を構成する、ベローズ34、ベローズ35および天板11、更にシール機構36、冷却媒体の供給部9、排出部10、シール機構7および膜厚センサー15は静止した状態となる。
【0068】
以上の構成により、成膜時の基板1の冷却、成膜時の経時変化に対応した角度の変更および精度の高い膜厚管理が可能となる。
【0069】
次に図4に、本発明の成膜装置における更に別の実施例の一部概略断面図を示す。
【0070】
図4において、成膜装置80は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0071】
成膜装置80は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー16と、基板ホルダー16を固定する基板公転プレート28とを備える。
【0072】
基板ホルダー16は、基板1の冷却手段および角度の変更手段を有する。また、基板公転プレート28の中央部近傍に位置した膜厚センサー15が備えられる。これらの構成の詳細は、図2および図3にて示した実施例の内容と同様なので記載を省略する。
【0073】
更に、成膜源(図示せず)と基板1との距離の変更する手段がシャフト部に設けられる。ベローズ34、ベローズ35およびベローズ38が図示を省略した別の手段によって伸縮する。シャフト構成部である中空シャフト33、回転伝達シャフト18、中間シャフト20、および中間シャフト21が上下運動し、基板公転プレート28を上下運動させる。基板公転プレート28に備えられた基板ホルダー16も、上下運動が可能となる。
【0074】
また、これらのシャフト部を構成する部材は、シール機構7およびシール機構36を回転シール部として、A側大気部よりB側真空部に導入される。更に、シール機構7とチャンバー4との間には、ベローズ38が設けられている。
【0075】
基板公転プレート28の回転の状態は、図3にて示した実施例と同様であることから記載を省略する。
【0076】
以上の構成により、成膜時の基板1の角度変更、冷却、精度の高い膜厚管理および基板1と成膜源間の距離の変更が可能となる。
【0077】
通常スパッタ装置においては、成膜に伴う経時変化により、ターゲットにエロージョンが形成される。形成されたエロージョンは、基板と成膜源との距離および基板に飛来する成膜粒子に対しても影響を及ぼす。これは、基板に入射する成膜粒子状態が経時的に変化することを意味する。本発明は、この経時変化および大気に開放することなく異なる材料を成膜する時に、その材料に適切な基板1と成膜源間との距離の設定に対応し、基板角度を補正し常に成膜源に対し正対させることが可能となる。
【0078】
また微細な成膜パターンを形成する時に、ステップカバレージ性を制御することも可能となり安定した成膜が可能となる。
【0079】
更に、本発明の成膜装置は、上記に示した種々の手段において、所望する手段の組合せが可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上のような本発明の成膜装置によれば、多重構造したシャフト部に、冷却媒体を循環させる手段と、基板公転プレートの中央部近傍に膜厚センサーを位置する手段と、基板の角度を変更する手段と、基板と成膜源間の距離を変更する手段とを備え、これらを組み合わせた成膜装置を提供することが可能となる。
【0081】
よって、所望する膜を形成する時の重要な成膜条件である、成膜時の基板温度の上昇の抑制、成膜時の精度の高い膜厚の管理、成膜時の基板への入射角度の変更および基板と成膜源との距離を任意に設定することが可能となり、高精度な電子部品に対応した所望の薄膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弾性表面波装置の一実施例の平面図である。
【図2】本発明による弾性表面波装置の別の実施例の断面図である。
【図3】本発明による弾性表面波装置の別の実施例の断面図である。
【図4】本発明による弾性表面波装置の別の実施例の断面図である。
【図5】基板ホルダー内の冷却媒体の経路図である。
【符号の説明】
1…基板
2、16…基板ホルダー
3、17、28…基板公転プレート
4…チャンバー
5、18…回転伝達シャフト
6…回転支持部
7、12、36…シール機構
8…整流板
9…供給部
10…排出部
11…天板
13、14、20、21…中間シャフト
15…膜厚センサー
19…ベース基板
22、25…フレキシブルチューブ
23…供給ジョイント
24…排出ジョイント
26…揺動部材
27…揺動アーム
29…カム部
30…ローラー部
31…バネ部
32…揺動支持部
33…中空シャフト
34、35、38…ベローズ
50、60、70、80…成膜装置
A…大気部
B…真空部
【発明の属する技術分野】
本発明は、真空槽内に成膜源を有し、基板への成膜処理を行う装置であって、特にスパッタ装置や真空蒸着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器の高精度化が急速に進められるなか、電子部品においても様々な機能が要求される。電子部品に形成される薄膜においても、その精度および機能の更なる向上が求められている。薄膜を形成する方法としては、真空を利用した成膜装置が用いられるが、形成される薄膜は、その成膜条件に対して顕著な依存性を示すことは一般に知られているところである。成膜条件としては、成膜時の基板温度、基板に対する成膜粒子の入射角度、成膜粒子エネルギー等の種々の項目が挙げられる。
【0003】
その中で、成膜時の基板温度の上昇は、基板温度の上昇に伴う基板からの不純物の発生および成膜する膜の状態変化により、膜特性が劣化することが考えられる。また、成膜される基板によっては、成膜時の基板温度の上昇により基板自身の有する特性が劣化することも考えられる。更に、リフトオフ成膜においては、レジストの耐熱性の問題も考えられる。成膜時の基板温度の上昇を抑制し、成膜時の基板温度を制御することは、必要とされる特性を有する薄膜を形成する上でも重要な項目の一つである。
【0004】
そこで、成膜装置として基板を保持する基板保持具と、基板保持具に公転および自転の動作をさせる動力伝達手段を有する成膜装置において、動力伝達機構の公転部材と、基板保持具を含む自転部材の内部に、互いに連通された冷却水路を形成する。その水路に、冷却水供給装置から公転部材および自転部材に対して循環的に冷却水を供給し、基板保持具を冷却する成膜装置が提案されている(例えば特許文献1参照。)。
【0005】
また、成膜粒子の入射角度は、必要とされる特性を有する薄膜を形成するため、基板に対するステップカバレージ性を向上させるためおよび基板に形成される膜の厚みの均一性を向上させるための重要な成膜条件の一つである。このことからも成膜装置としては、成膜中の経時変化等に対応して、成膜源に対する基板の角度の変更を連続的に行うことは重要となる。
【0006】
そこで、成膜源を内部に設けた真空槽内に、基板が取り付けられて自公転する部材を設けた成膜装置において、公転部材に自転板を揺動部材により揺動自在に取り付ける。揺動部材に揺動回転軸を連結して該揺動回転軸の中心軸方向への移動によって揺動部材および自転板を揺動させ、入射角の異なった成膜が連続的に行える成膜装置が提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0007】
一方、電子部品によっては、形成される薄膜の膜厚に対して顕著な特性の依存性を示すものも存在する。そのため、形成される薄膜の膜厚は、所望する特性を有する電子部品を形成するために、所望する膜厚を精度よく形成することが望まれる。
【0008】
そこで、真空中において付着する成膜材料の量に応じて共振周波数が変化する水晶振動子の周波数変化量に基づいて、膜厚を測定する膜厚モニターを備える成膜装置が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
【0009】
【特許文献1】
特開平8−250577号公報
【特許文献2】
特開平9−143717号公報
【特許文献3】
特開平11−222670号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来技術による成膜装置においては、以下の問題が存在する。
【0011】
特許文献1においては、基板保持具を冷却し、成膜源と基板との距離を変更可能な手段を有する。
【0012】
しかし、特許文献1においては、膜厚センサーを有しないことから、基板に形成される膜厚を精度よく管理することは困難である。また、その機構上の制約から、薄膜形成における他の重要な成膜条件である成膜時に基板の角度を連続的に変化させることは出来ない。
【0013】
したがって、精度の高い膜厚の管理や均一で高精度な膜形成が困難であるとの課題を有する。
【0014】
特許文献2においては、入射角の異なった成膜が連続的に行える成膜装置が提案されている。
【0015】
しかし、特許文献2においては、その機構上の制約から、薄膜形成における他の重要な成膜条件である成膜時の基板温度の上昇を抑制すること、成膜源と基板間距離の変更することは困難である。また、膜厚センサーを有しない。
【0016】
したがって、成膜時の基板温度の上昇は避けることができず、成膜時の基板からの不純物ガスの発生および基板によっては、その基板の有する特性が劣化するとの課題を有する。また、成膜時の膜厚の実測ができないことおよび成膜源と基板間の距離の変更ができないことから、経時変化に対応した、精度の高い膜厚の管理が困難であるとの課題を有する。
【0017】
特許文献3においては、飛来する成膜材料を間欠的に遮蔽する手段を有する膜厚モニターを備える。
【0018】
膜厚モニターは、その機構上の制約から成膜する基板の外側に設置する構成となる。本来、膜厚モニターの設置位置は、成膜される基板の近傍、または成膜状態の最も安定する位置に設置されるべきでものである。基板から離れたところでの膜厚のモニターリングは、連続使用時における膜厚測定精度を劣化させることになり、高精度な膜厚管理が行えないとの課題を有する。
【0019】
しかし、特許文献3においては、その機構上の制約から、基板を遮蔽することなく成膜状態の最も安定する中央部近傍に膜厚センサーを設置することが困難なことは明確である。また、薄膜形成における他の重要な成膜条件である、成膜時の基板温度の上昇を抑制すること、基板の角度の連続的な変更および成膜源と基板間の距離を変更する手段を設けることは困難である。
【0020】
したがって、所望の機能を有する薄膜形成および精度の高い膜厚の管理が困難であるとの課題を有する。
【0021】
本発明は上記の問題点を解決することを目的とするもので、膜形成として重要な項目となる、成膜時の基板の温度上昇の抑制、膜厚の管理、基板への入射角度および基板と成膜源間の距離の変更手段を有することにより、高精度の電子部品に対応した薄膜を形成することが可能となる成膜装置を提供する。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決すべく本発明は、真空槽内に成膜源を有し、基板への成膜処理を行う装置であって、大気中から真空槽内に導入されるシャフト部であって、冷却媒体の流路の一部が構成されて多重構造をしたシャフト部と、真空槽内でシャフト部に接続され、回転運動が伝達される基板公転プレートと、複数の基板を保持可能であり、かつ基板公転プレートに設けられ、流路を通る冷却媒体により基板を冷却する基板ホルダーと、基板公転プレートの中央部近傍に位置し、シャフト部の内部に配線が施される膜厚センサーとを備える成膜装置である。
【0023】
また、シャフト部と基板ホルダーとの間に設けられた、冷却媒体を基板ホルダーに循環させるフレキシブルチューブを備える成膜装置である。
【0024】
また、基板の角度を変更するための揺動手段と、揺動手段にシャフト部の上下運動を伝達手段とを備える成膜装置である。更に、基板と成膜源との距離を変更するための上下運動する手段がシャフト部に設けられている成膜装置である。
【0025】
以上のような本発明の成膜装置によれば、薄膜形成における重要な成膜条件である成膜時の基板温度の上昇を抑制すること、成膜時の基板の角度および成膜源と基板間の距離を変更することが可能となる。また、基板に対する成膜を遮ることなく精度の高い膜厚の管理が可能となる。よって、高精度の電子部品に対応した薄膜形成が可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について添付図に基いて詳細を説明する。
【0027】
図1は、本発明の成膜装置における一実施例の一部概略断面図を示す。
【0028】
図1において、成膜装置50は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0029】
成膜装置50は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー2と、基板ホルダー2が固定された中空構造を有する基板公転プレート3を備える。
【0030】
基板公転プレート3は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部へ貫通するシャフト部を構成する管状部材である回転伝達シャフト5と中間シャフト13に接続される。また、回転伝達シャフト5は、回転支持部6を介してモーター等の回転機構(図示せず)へと接続される。
【0031】
回転伝達シャフト5および中間シャフト13は、シール機構7を介して回転運動をA側大気部からB側真空部へと導入する。また、回転伝達シャフト5は、その上部において天板11およびシール機構12によりシールされ、保持された状態となる。シール機構7およびシール機構12は、磁性流体シールが望ましいが、求める真空度によっては、Oリングでも可能である。
【0032】
更に、基板公転プレート3は、その内部に冷却媒体を循環する手段を有しており、冷却媒体の整流のために整流板8を備える。整流板8は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部へ貫通するシャフト部を構成する中間シャフト14に接続される。
【0033】
供給部9から導入された冷却媒体は、回転伝達シャフト5と中間シャフト14との隙間により形成された往路を通りチャンバー4の中に入り、基板公転プレート3の内部に導入される。その後、所定の流路を通り、中間シャフト14と中間シャフト13との隙間により形成された復路を通り排出部10より排出される。冷却媒体としては、温度制御された水や不凍液を用いることが好ましい。
【0034】
供給部9を構成する部材と回転伝達シャフト5および中間シャフト14とのシール、また、排出部10を構成する部材と中間シャフト13とのシールには、Oリング、オイルシールおよびメカニカルシール等を用いると良い。
【0035】
回転伝達シャフト5、中間シャフト13および中間シャフト14は、同一軸上にてシャフト部を構成する。シャフト部においては、回転伝達シャフト5の外側に中間シャフト14を配し、中間シャフト14の外側に中間シャフト13を備える構造となる。シャフト部は、前記したシール機構7を介してA側大気部からB側真空部へと導入される。
【0036】
膜厚センサー15は、回転伝達シャフト5の内部に配線が施され、基板公転プレート3の中央部近傍に位置する。天板11は、膜厚センサー15の配線部を保持し、シール機構12に設置されている。
【0037】
基板公転プレート3の回転機構を説明する。モーター等の回転機構から回転支持部6に伝達された回転運動は、回転伝達シャフト5、回転伝達シャフト5に接続された中間シャフト14および中間シャフト13とともにシール機構7を介してA側大気部よりB側真空部に導入される。回転伝達シャフト5、中間シャフト14および中間シャフト13が基板公転プレート3にそれぞれ接続されていることから導入された回転運動は、基板公転プレート3を回転させる。
【0038】
この時、回転伝達シャフト5の上部に位置する天板11およびシール機構12、また、冷却媒体の供給部9、排出部10、シール機構7および膜厚センサー15は静止した状態である。
【0039】
以上の構成により、導入された冷却媒体で基板ホルダー2が冷却され、基板ホルダー2により保持された基板1が冷却される。冷却媒体は、形成された経路を流れることにより、効率のよい熱交換を行うことが可能となる。成膜時における基板温度の上昇の抑制は、基板1からの不純物ガス発生の抑制および成膜する膜特性の安定化につながることから高品位の成膜が可能となる。また、基板1によっては、基板温度の上昇により有する特性を劣化させるものも存在することから、基板1の有する特性の安定化にもつながる。更に、リフトオフ成膜の場合、リフトオフ成膜では、使用するレジストの耐熱性に対応することが可能となる。
【0040】
また、膜厚センサー15は、基板公転プレート3の中央部近傍に位置しているにもかかわらず配線が基板1を遮蔽することなく、基板1における成膜に対する遮蔽についても問題とはならない。基板公転プレート3の中央部に設置した膜厚センサー15により、成膜時の精度の高い膜厚測定が可能となり、所望する膜厚に対し、精度の高い膜厚の管理が可能となる。
【0041】
次に、図2は、本発明の成膜装置における別の実施例の一部概略断面図を示す。
【0042】
図2において、成膜装置60は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0043】
成膜装置60は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー16と、基板ホルダー16が固定された基板公転プレート17とを備える。
【0044】
基板公転プレート17は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部へと貫通するシャフト部を構成する管状部材である回転伝達シャフト18に接続され、回転支持部6よりモーター等の回転機構(図示せず)へと接続されている。また、その上部において天板11およびシール機構12により密閉され、保持された状態となる。
【0045】
また、基板ホルダー16は、ベース基板19とで形成されるその内部に、冷却媒体を循環する手段を備える。ベース基板19の内部には、図5に示すように冷却媒体の流路が形成されている。
【0046】
供給部9から供給された冷却媒体は、回転伝達シャフト18と中間シャフト20との隙間により形成された往路を通り、フレキシブルチューブ22を介して、供給ジョイント23に接続される。冷却媒体は、基板ホルダー16と、ベース基板19とに形成されたその内部に導入される。次に、排出ジョイント24に接続されたフレキシブルチューブ25を介して、中間シャフト20と中間シャフト21との隙間により形成された復路を通り、排出部10より排出される。
【0047】
回転伝達シャフト18、中間シャフト20および中間シャフト21は、同一軸上にて、シャフト部を構成する。また、回転伝達シャフト18の外側に中間シャフト20を配し、中間シャフト20の外側に中間シャフト21を備える構造となる。シャフト部は、シール機構7を介して、A側大気部からB側真空部へと導入される。
【0048】
また、ベース基板19は、揺動部材26、揺動アーム27により基板公転プレート17に取り付けられている。更に、シャフト部とベース基板19との間の冷却媒体の経路がフレキシブルチューブにて構成されている。これにより、初期設定時に基板ホルダー16の角度の変更が可能となる。
【0049】
また、膜厚センサー15は、回転伝達シャフト18の内部に配線が施され、基板公転プレート17の中央近傍に位置する。高さ方向においては、基板1の高さに調整されている。天板11は、膜厚センサー15の配線部を保持し、シール機構12に設置されている。
【0050】
基板公転プレート17の回転機構を下記に示す。モーター等の回転機構(図示せず)から回転支持部6に伝達された回転運動は、回転伝達シャフト16、回転伝達シャフト16に接続された中間シャフト20および中間シャフト21とともにシール機構7を介してA側大気部よりB側真空部に導入される。回転伝達シャフト18が基板公転プレート17に接続されていることから、導入された回転運動により、基板ホルダー16を含む基板公転プレート17が回転する。
【0051】
この時、回転伝達シャフト18の上部を位置する天板11およびシール機構12、また、冷却媒体の供給部9、排出部10、シール機構7および膜厚センサー15は静止した状態となる。
【0052】
以上の構成により、導入された冷却媒体で基板ホルダー16および基板ホルダー16により保持された基板1が冷却され、所望する膜の形成および基板1の特性を劣化させることなく膜を形成することが可能となる。
【0053】
また、基板公転プレート17の中央部近傍に位置した膜厚センサー15により、成膜時の精度の高い膜厚管理が可能となる。
【0054】
更に、基板1の角度は、基板1に対する初期状態での設定変更が可能となり、成膜条件の拡大につながる。また、基板ベース19には、図5に示した冷却媒体の流路を形成されており、流路における冷却媒体のたまりの発生をすることを回避できる。その結果、冷却効率の向上が可能となる。
【0055】
次に、図3に、本発明の成膜装置における更に別の実施例の一部概略断面図を示す。
【0056】
図3において、成膜装置70は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0057】
成膜装置70は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー16と、基板ホルダー16を固定する基板公転プレート28とを備える。
【0058】
基板公転プレート28は、チャンバー4をA側大気部からB側真空部に貫通するシャフト部を構成する回転伝達シャフト18に接続され、回転支持部6よりモーター等の回転機構(図示せず)へと接続されている。
【0059】
基板ホルダー16は、ベース基板19とで形成されるその内部に、冷却媒体を循環する手段を備える。ベース基板19の内部および冷却媒体の流路は、前記した図2に示す実施例と同様であることから、記載は省略する。この構成により、基板1が冷却される。
【0060】
更に、基板ホルダー16は、基板公転プレート28に揺動可能なように揺動部材26にて取り付けされ、基板1の角度を変更する手段を備える。基板1の角度を変更する揺動手段にシャフトの上下運動を伝達する手段として、シャフト部の最内部に構成された管状形状した中空シャフト33に設けられた逆円錐台形状したカム部29と、ローラー部30と、バネ部31と、揺動支持部32および揺動アーム27とを備える。ローラー部30は、バネ部31によりカム部29のテーパー部に押し付けられた状態となる。
【0061】
基板ホルダー16の角度の変更は、カム部29を備える中空シャフト33の上下運動により行う。中空シャフト33は、ベローズ34およびベローズ35が図示を省略した別の手段によって伸縮することにより上下運動し、A側大気部よりB側真空部に導入される。上下運動の導入は、ベローズの使用が望ましいが、求める真空度によっては、Oリングでも可能である。
【0062】
導入された上下運動は、中空シャフト33に備えられるカム部29を介して、バネ部31により押し付けられているローラー部30へと伝達される。更に、揺動支持部32を介し、揺動部材26により支持された揺動アーム27により基板ホルダー16へと伝達される。これらにより、中空シャフト33の上下運動が基板1の角度を変更する水平方向の運動へと変換される。
【0063】
成膜中における基板1の角度の変更によって、大気に開放することなく異なる材料を成膜する時に、その材料に適切な基板1と成膜源間との距離の設定に対応し、常に成膜源に対して基板1を正対させることが可能となる。また、微細な成膜パターンを形成する時に、ステップカバレージ性を制御することも可能となる。
【0064】
シャフト部の全体構成については、最内部に位置する中空シャフト30を除き、図2にて示した実施例と同様であることから記載を省略する。
【0065】
また、膜厚センサー15は、中空シャフト33の内部に配線が施され、基板公転プレート28の中央部近傍に位置する。更に、膜厚センサー15は、高さ方向において、基板1の高さに調整されている。
【0066】
また、中空シャフト33の上部の上下面には、ベローズ34およびベローズ35がそれぞれ備えられる。
【0067】
基板公転プレート28の回転は、モーター等の回転機構(図示せず)から回転支持部6に伝達された回転運動が、回転伝達シャフト18、回転伝達シャフト18に接続された中間シャフト20および中間シャフト21とともにシール機構7およびシール機構36を介してA側大気部よりB側真空部に導入される。回転伝達シャフト18が基板公転プレート28に接続されていることから、導入された回転運動により、基板ホルダー16を含む基板公転プレート28が回転する。この時、中空シャフト33、中空シャフト33の上部を構成する、ベローズ34、ベローズ35および天板11、更にシール機構36、冷却媒体の供給部9、排出部10、シール機構7および膜厚センサー15は静止した状態となる。
【0068】
以上の構成により、成膜時の基板1の冷却、成膜時の経時変化に対応した角度の変更および精度の高い膜厚管理が可能となる。
【0069】
次に図4に、本発明の成膜装置における更に別の実施例の一部概略断面図を示す。
【0070】
図4において、成膜装置80は、チャンバー4を隔て、A側を大気部、B側を真空部とする。
【0071】
成膜装置80は、B側真空部内に複数の基板1を保持する基板ホルダー16と、基板ホルダー16を固定する基板公転プレート28とを備える。
【0072】
基板ホルダー16は、基板1の冷却手段および角度の変更手段を有する。また、基板公転プレート28の中央部近傍に位置した膜厚センサー15が備えられる。これらの構成の詳細は、図2および図3にて示した実施例の内容と同様なので記載を省略する。
【0073】
更に、成膜源(図示せず)と基板1との距離の変更する手段がシャフト部に設けられる。ベローズ34、ベローズ35およびベローズ38が図示を省略した別の手段によって伸縮する。シャフト構成部である中空シャフト33、回転伝達シャフト18、中間シャフト20、および中間シャフト21が上下運動し、基板公転プレート28を上下運動させる。基板公転プレート28に備えられた基板ホルダー16も、上下運動が可能となる。
【0074】
また、これらのシャフト部を構成する部材は、シール機構7およびシール機構36を回転シール部として、A側大気部よりB側真空部に導入される。更に、シール機構7とチャンバー4との間には、ベローズ38が設けられている。
【0075】
基板公転プレート28の回転の状態は、図3にて示した実施例と同様であることから記載を省略する。
【0076】
以上の構成により、成膜時の基板1の角度変更、冷却、精度の高い膜厚管理および基板1と成膜源間の距離の変更が可能となる。
【0077】
通常スパッタ装置においては、成膜に伴う経時変化により、ターゲットにエロージョンが形成される。形成されたエロージョンは、基板と成膜源との距離および基板に飛来する成膜粒子に対しても影響を及ぼす。これは、基板に入射する成膜粒子状態が経時的に変化することを意味する。本発明は、この経時変化および大気に開放することなく異なる材料を成膜する時に、その材料に適切な基板1と成膜源間との距離の設定に対応し、基板角度を補正し常に成膜源に対し正対させることが可能となる。
【0078】
また微細な成膜パターンを形成する時に、ステップカバレージ性を制御することも可能となり安定した成膜が可能となる。
【0079】
更に、本発明の成膜装置は、上記に示した種々の手段において、所望する手段の組合せが可能である。
【0080】
【発明の効果】
以上のような本発明の成膜装置によれば、多重構造したシャフト部に、冷却媒体を循環させる手段と、基板公転プレートの中央部近傍に膜厚センサーを位置する手段と、基板の角度を変更する手段と、基板と成膜源間の距離を変更する手段とを備え、これらを組み合わせた成膜装置を提供することが可能となる。
【0081】
よって、所望する膜を形成する時の重要な成膜条件である、成膜時の基板温度の上昇の抑制、成膜時の精度の高い膜厚の管理、成膜時の基板への入射角度の変更および基板と成膜源との距離を任意に設定することが可能となり、高精度な電子部品に対応した所望の薄膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弾性表面波装置の一実施例の平面図である。
【図2】本発明による弾性表面波装置の別の実施例の断面図である。
【図3】本発明による弾性表面波装置の別の実施例の断面図である。
【図4】本発明による弾性表面波装置の別の実施例の断面図である。
【図5】基板ホルダー内の冷却媒体の経路図である。
【符号の説明】
1…基板
2、16…基板ホルダー
3、17、28…基板公転プレート
4…チャンバー
5、18…回転伝達シャフト
6…回転支持部
7、12、36…シール機構
8…整流板
9…供給部
10…排出部
11…天板
13、14、20、21…中間シャフト
15…膜厚センサー
19…ベース基板
22、25…フレキシブルチューブ
23…供給ジョイント
24…排出ジョイント
26…揺動部材
27…揺動アーム
29…カム部
30…ローラー部
31…バネ部
32…揺動支持部
33…中空シャフト
34、35、38…ベローズ
50、60、70、80…成膜装置
A…大気部
B…真空部
Claims (4)
- 真空槽内に成膜源を有し、基板への成膜処理を行う装置であって、
大気中から真空槽内に導入されるシャフト部であって、冷却媒体の流路の一部が構成された多重構造をした前記シャフト部と、
前記真空槽内で前記シャフト部に接続され、該シャフト部の回転運動が伝達される基板公転プレートと、
複数の前記基板を保持可能であり、かつ前記基板公転プレートに設けられた基板ホルダーであって、前記流路を通る冷却媒体により前記基板を冷却する基板ホルダーと、
前記基板公転プレートの中央部近傍に位置し、前記シャフト部の内部に配線が施された膜厚センサーとを備えることを特徴とする成膜装置。 - 前記流路と前記基板ホルダーとを連結し、前記冷却媒体を前記基板ホルダーに循環させるフレキシブルチューブを備えることを特徴とする、請求項1に記載の成膜装置。
- 前記基板の角度を変更するための揺動手段と、前記揺動手段に前記シャフト部の上下運動を伝達する手段とを備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の成膜装置。
- 前記基板と前記成膜源との距離を変更するための上下運動する手段が前記シャフト部に設けられることを特徴とする、請求項1乃至3に記載の成膜装置。
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