JP2004231800A - アニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】各種硬化性樹脂組成物に有用な硬化促進剤、かかる硬化促進剤の製造方法、硬化性、保存性や流動性が良好なエポキシ樹脂組成物、および、耐半田クラック性や耐湿信頼性に優れる半導体装置を提供すること。
【解決手段】本発明のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、ホスホベタイン化合物の酸素アニオン上の正味電荷が、−0.7以上−0.5以下であることを特徴とするアニオン触媒(ホスホベタイン化合物(C))と、無機充填材(D)とを含むものである。
【選択図】 なし
【解決手段】本発明のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、ホスホベタイン化合物の酸素アニオン上の正味電荷が、−0.7以上−0.5以下であることを特徴とするアニオン触媒(ホスホベタイン化合物(C))と、無機充填材(D)とを含むものである。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置に関するものである。更に詳しくは、熱硬化性樹脂組成物に有用な硬化促進剤、かかる硬化促進剤を含み、硬化性、保存性、流動性が良好で、電気・電子材料分野に好適に使用されるエポキシ樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の半導体素子を封止して半導体装置を得る方法としては、エポキシ樹脂組成物のトランスファー成形が、低コスト、大量生産に適しているという点で広く用いられている。また、エポキシ樹脂や、硬化剤であるフェノール樹脂の改良により、半導体装置の特性、信頼性の向上が図られている。
【0003】
しかしながら、昨今の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体の高集積化も、年々進んでおり、また、半導体装置の表面実装化も促進されている。これに伴い、半導体素子の封止に用いられるエポキシ樹脂組成物への要求は、益々厳しいものとなってきている。このため、従来からのエポキシ樹脂組成物では、解決できない(対応できない)問題も生じている。
【0004】
近年、半導体素子の封止に用いられる材料には、生産効率の向上を目的とした速硬化性の向上と、物流・保管時の取り扱い性の向上を目的とした保存性の向上が求められるようになってきている。
【0005】
電気・電子材料分野向けのエポキシ樹脂組成物として、硬化時における樹脂の硬化反応を促進する目的で、リン系ベタイン構造の硬化促進剤を添加することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
かかる硬化促進剤は、硬化促進効果を示す温度領域が比較的低温にまで及ぶため、例えば、硬化前のエポキシ樹脂組成物と他の成分とを混合する際にも、系内に発生する熱や外部から加えられる熱により、エポキシ樹脂組成物の硬化反応は一部進行する。また、混合終了後、このエポキシ樹脂組成物を常温で保管するにあたって、反応はさらに進行する。
【0007】
この部分的な硬化反応の進行は、エポキシ樹脂組成物が液体の場合には、粘度の上昇や流動性の低下をもたらし、また、エポキシ樹脂組成物が固体の場合には、粘性を発現させるが、このような状態の変化は、エポキシ樹脂組成物内に厳密な意味で均一に生じるわけではない。このため、エポキシ樹脂組成物の各部分の硬化性には、ばらつきが生じる。
【0008】
これが原因となり、更に、高温で硬化反応を進行させ、エポキシ樹脂組成物を成形(その他賦形という概念も含んで、以下「成形」と記す)する際に、流動性低下による成形上の障害や、成形品の機械的、電気的あるいは化学的特性の低下をもたらす。
【0009】
したがって、このようにエポキシ樹脂組成物の保存性を低下させる原因となる硬化促進剤を用いる際には、諸成分混合時の厳密な品質管理、低温での保管や運搬、更に、成形条件の厳密な管理が必須であり、取り扱いが非常に煩雑である。
また、硬化促進剤の探索に当たっては、これまで化学構造と保存性および硬化性との相関関係が十分解明されていないため、種々の化合物を硬化促進剤として入手し、実験を行い、保存性および硬化性を検証する必要があった。このため、数多くの化合物の中から保存性の良い新規の硬化促進剤を見出すことは非常に煩雑であり、非常に困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭57−23626号公報(第1−4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種硬化性樹脂組成物に有用なアニオン触媒、硬化性、保存性や流動性が良好なエポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
【0013】
(1) リン原子が正電荷を帯び、酸素原子が負電荷を帯びたホスホベタイン化合物であり、該酸素原子上の正味電荷の値が、−0.70以上、−0.50以下であることを特徴とするアニオン触媒。
【0014】
(2) 負電荷を帯びた酸素原子が、フェノール性水酸基からプロトンを放出されてなる、上記(1)項記載のアニオン触媒。
【0015】
(3) 負電荷を帯びた酸素原子が、エノール性水酸基からプロトンを放出されてなる、上記(1)項記載のアニオン触媒。
【0016】
(4) 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、上記(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のアニオン触媒とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0017】
(5) 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記(4)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【化5】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【化6】
[式中、R5〜R12は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、aは、1以上の整数である。]
【0018】
(6) 前記aは、1〜10である上記(5)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0019】
(7) 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(3)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(4)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記(4)項ないし(6)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【化7】
[式中、R13〜R16は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、bは、1以上の整数である。]
【化8】
[式中、R17〜R24は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、cは、1以上の整数である。]
【0020】
(8) 前記bは、1〜10である上記(7)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0021】
(9) 前記cは、1〜10である上記(7)項または(8)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0022】
(10) 前記アニオン触媒の含有量は、0.01〜10重量%である上記(4)項ないし
(9)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【0023】
(11) 無機充填材を含む上記(4)項ないし(10)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物
。
【0024】
(12) 前記無機充填材は、溶融シリカである上記(11)項に記載のエポキシ樹脂組成物
。
【0025】
(13) 前記無機充填材は、粒状をなしている上記(11)項または(12)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0026】
(14) 前記無機充填材の平均粒径は、1〜100μmである上記(13)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0027】
(15) 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する
化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である上記(11)項ないし(14)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【0028】
(16) 上記(11)項ないし(15)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明者は、前述したような問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、次のようなI〜IIの事項を見出し、本発明を完成するに至った。
【0030】
すなわち、I:硬化促進剤の保存性に対し、ホスホベタイン化合物の酸素アニオン上の正味電荷に着目し、前記正味電荷と保存性に相関関係があることを見出し、アニオン上の正味電荷が−0.7以上−0.5以下のホスホベタイン化合物からなるアニオン触媒が各種硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進する硬化促進剤として極めて有用であることを見出した。
【0031】
II:かかるアニオン触媒を硬化性樹脂組成物、特にエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤として混合することにより、エポキシ樹脂組成物が、硬化性、保存性および流動性に優れたものとなることを見出した。
【0032】
以下、本発明のアニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明する。
【0033】
本発明によるアニオン触媒は、ホスホベタイン化合物であり、前記ホスホベタイン化合物は、酸素原子が負電荷を帯びており、該酸素アニオン上の正味電荷が−0.7以上で−0.5以下であれば良い。
これによりエポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性、他特性がバランスよく発現することができる。その理由は、ホスホベタイン化合物の酸素アニオン上の正味電荷が−0.7より小さく(即ち、絶対値が0.7より大きく)なると、反応性が増し、常温においても反応が進行し保存性が極端に低下する。また、酸素アニオン上の正味電荷が−0.5より大きく(即ち、絶対値が0.5より小さく)なると、反応性が低下し、成形温度においても反応の進行が遅く硬化性が極端に低下する。酸素アニオン上の正味電荷が−0.7以上−0.5以下の領域においてのみ、硬化性と保存性のバランスがとれる反応性を示す。
【0034】
本発明において、前記正味電荷を得る方法としては、分子軌道法によるものであり、中でも、半経験的分子軌道法によるものが好ましい(例えば、”MOPAC2002”, J. J. P. Stewart, Fujitsu Limited, Tokyo, Japan (2001))。酸素アニオン上の正味電荷について、下記化学式(5)を一例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。正味電荷は、原子上にある平均の電子数と原子核の電荷の差であり、全原子上の正味電荷を総和すると0になる。この正味電荷から、原子上にある電子の分極の度合いを知ることができ、下記化学式(5)におけるαの値を酸素アニオン上の正味電荷とすると、このαが硬化性と保存性の指標となる。
【0035】
【化9】
[式中、R25〜R27は、それぞれ、芳香族基を含み、置換もしくは無置換の1価の有機基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なってもよい。Arは、置換もしくは無置換の2価の有機基を表す。前記2価の有機基としては、フェニレン基、エチレン結合を有する基などが挙げられる。]
【0036】
本発明のアニオン触媒は、各種硬化性樹脂組成物の硬化促進剤として適用可能であるが、以下では、熱硬化性樹脂組成物の1種であるエポキシ樹脂組成物に適用した場合を代表して説明する。
【0037】
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、本発明のアニオン触媒(硬化促進剤)であるホスホベタイン化合物(C)と、無機充填材(D)とを含むものである。かかるエポキシ樹脂組成物は、硬化性、保存性および流動性に優れたものである。
【0038】
以下、各成分について、順次説明する。
[1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)]
1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
【0039】
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類やフェノール樹脂、ナフトール類などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ樹脂、エポキシ化合物、または、その他、脂環式エポキシ樹脂のように、オレフィンを過酸を用いて酸化させエポキシ化したエポキシ樹脂や、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
これらの中でも、前記化合物(A)は、特に、前記一般式(1)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂および前記一般式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。
【0041】
ここで、前記一般式(1)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂の置換基R1〜R4は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R1〜R4の具体例としては、それぞれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、メチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば、半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、その硬化物は、吸水性が低減するので、得られた半導体装置は、その内部の部材の経時劣化(例えば断線の発生等)が好適に防止され、その耐湿信頼性がより向上する。
【0042】
また、前記一般式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の置換基R5〜R12は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R5〜R12の具体例としては、それぞれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となるとともに、半導体装置の耐湿信頼性がより向上する。
【0043】
また、前記一般式(2)中のaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのが、より好ましい。aを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性が、より向上する。
【0044】
[1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)]
1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであればよく、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
【0045】
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
これらの中でも、前記化合物(B)は、特に、前記一般式(3)で表されるフェノールアラルキル樹脂および前記一般式(4)で表されるビフェニルアラルキル樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性や耐湿信頼性がより向上する。
【0047】
ここで、前記一般式(3)で表されるフェノールアラルキル樹脂における置換基R13〜R16、および、前記一般式(4)で表されるビフェニルアラルキル樹脂における置換基R17〜R24は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R21〜R24およびR25〜R32の具体例としては、それぞれ、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。かかるフェノール樹脂は、それ自体の溶融粘度が低いため、エポキシ樹脂組成物中に含有しても、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を低く保持することができ、その結果、例えば、半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物(得られる半導体装置)の吸水性(吸湿性)が低減して、耐湿信頼性が、より向上するとともに、耐半田クラック性も、より向上する。
【0048】
また、前記一般式(3)中のb、および、前記一般式(4)中のcは、それぞれ、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、bおよびcは、それぞれ、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのが、より好ましい。bおよびcを、それぞれ、前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性の低下が好適に防止または抑制される。
【0049】
[ホスホベタイン化合物(C):本発明のアニオン触媒]
ホスホベタイン化合物(C)は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を促進し得る作用(機能)を有し、フェノール性水酸基もしくはエノール性水酸基からプロトンを放出されてなる負電荷を帯びた酸素原子を含む構造であるのが好ましい。
【0050】
この化合物(C)としては、例えば、2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、3−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、4−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、2−(トリブチルホスホニオ)フェノラート、5−ヒドロキシ−3−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、3−(トリ−p−メトキシフェニルホスホニオ)フェノラート、2−(トリ−p−ヒドロキシフェニルホスホニオ)フェノラート、4−フェニル−2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、2−(トリフェニルホスホニオ)−1−シクロペンテナート、ベンゾイルメチレントリフェニルホスホラン、2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロピオンアルデヒド、2−(トリフェニルホスホラニリデン)ブチルアルデヒド、2−(トリブチルホスホラニリデン)ブチルアルデヒド、2−(トリシクロヘキシルホスホラニリデン)ブチルアルデヒドが挙げられる。
本発明におけるエノール性水酸基とは、エチレン結合の一端に結合した水酸基を意味する。
【0051】
本発明において、ホスホベタイン化合物(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、0.01〜10重量%程度であるのが好ましく、0.1〜1重量%程度であるのがより好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性、他特性がバランスよく発揮される。
【0052】
また、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との配合比率も、特に限定されないが、前記化合物(A)のエポキシ基1モルに対し、前記化合物(B)のフェノール性水酸基が0.5〜2モル程度となるように用いるのが好ましく、0.7〜1.5モル程度となるように用いるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の諸特性のバランスを好適なものに維持しつつ、諸特性が、より向上する。
【0053】
[無機充填材(D)]
無機充填材(D)は、特に、本発明のエポキシ樹脂組成物を封止材料として用いる場合に、封止して得られる半導体装置の補強を目的として、エポキシ樹脂組成物中に配合(混合)されるものであり、その種類については、特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。
【0054】
この無機充填材(D)の具体例としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、無機充填材(D)としては、特に、溶融シリカであるのが好ましい。溶融シリカは、本発明の硬化促進剤との反応性に乏しいので、エポキシ樹脂組成物中に多量に配合(混合)した場合でも、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が阻害されるのを防止することができる。また、無機充填材(D)として溶融シリカを用いることにより、得られる半導体装置の補強効果が向上する。
【0055】
また、無機充填材(D)の形状としては、例えば、粒状、塊状、鱗片状等のいかなるものであってもよいが、粒状(特に、球状)であるのが好ましい。
【0056】
この場合、無機充填材(D)の平均粒径は、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜35μm程度であるのが、より好ましい。また、この場合、粒度分布は、広いものであるのが好ましい。これにより、無機充填材(D)の充填量(使用量)を多くすることができ、得られる半導体装置の補強効果が、より向上する。
【0057】
この無機充填材(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部程度であるのが好ましく、400〜1400重量部程度であるのが、より好ましい。無機充填材(D)の含有量が前記下限値未満の場合、無機充填材(D)による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、一方、無機充填材(D)の含有量が前記上限値を超えた場合、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)に、充填不良等が生じるおそれがある。
【0058】
なお、無機充填材(D)の含有量(配合量)が、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、400〜1400重量部であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなり、半田クラックの発生を防止することができる。また、かかるエポキシ樹脂組成物は、加熱溶融時の流動性も良好であるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすことが好適に防止される。
【0059】
また、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、前記化合物(A)、前記化合物(B)や無機充填材(D)自体の比重を、それぞれ考慮し、重量部を体積%に換算して取り扱うようにしてもよい。
【0060】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、前記(A)〜(D)の化合物(成分)の他に、必要に応じて、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩類、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合(混合)するようにしてもよい。
【0061】
また、本発明において硬化促進剤として機能するホスホベタイン化合物(C)の特性を損なわない範囲で、エポキシ樹脂組成物中には、例えば、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2−メチルイミダゾール等の他の公知の触媒を配合(混合)するようにしても、何ら問題はない。
【0062】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記(A)〜(D)の化合物(成分)、および、必要に応じて、その他の添加剤等を、ミキサーを用いて、常温混合し、熱ロール、加熱ニーダー等を用いて加熱混練し、冷却、粉砕することにより得られる。
【0063】
上記で得られたエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用いて、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形することにより、半導体素子等の電子部品を封止する。これにより、本発明の半導体装置が得られる。
【0064】
本発明の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、SIP(Single Inline Package)、HSIP(SIP with Heatsink)、ZIP(Zig−zag Inline Package)、DIP(Dual Inline Package)、SDIP(Shrink Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink SmallOutline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFP(FP)(QFP Fine Pitch)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFJ(PLCC)(Quad Flat J−leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)等が挙げられる。
【0065】
なお、本実施形態では、本発明のアニオン触媒を、エポキシ樹脂組成物に用いる場合を代表して説明したが、本発明の硬化促進剤は、ホスフィンまたはホスホニウム塩を硬化促進剤として、好適に使用し得る熱硬化性樹脂組成物に対して使用可能である。かかる熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、エポキシ化合物、マレイミド化合物、シアネート化合物、イソシアネート化合物、アクリレート化合物、または、アルケニルおよびアルキニル化合物等を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0066】
また、本発明のアニオン触媒は、熱硬化性樹脂組成物の他、例えば、反応硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、嫌気硬化性樹脂組成物等の各種硬化性樹脂組成物に対しても使用可能である。
【0067】
また、本実施形態では、本発明のエポキシ樹脂組成物を、半導体装置の封止材料として用いる場合について説明したが、本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、これに限定されるものではない。また、エポキシ樹脂組成物の用途等に応じて、本発明のエポキシ樹脂組成物では、無機充填材の混合(配合)を省略することもできる。
【0068】
以上、本発明のアニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0070】
まず、硬化促進剤として使用するアニオン触媒である化合物C1〜C9を用意した。
【0071】
[硬化促進剤]
各化合物C1〜C7は、それぞれ、以下のようにして用意した。
【0072】
(化合物C1)
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、o−メトキシアニリン12.3g(0.100mol)と、予め濃塩酸(37%)25mLを200mLの純水に溶解した塩酸水溶液とを供給し、攪拌下で溶解した。
【0073】
その後、セパラブルフラスコを氷冷して、内温を0〜5℃に保ちながら、亜硝酸ナトリウム7.2g(0.104mol)の水溶液20mLを、前記溶液にゆっくりと滴下した。
【0074】
次に、セパラブルフラスコ内に、トリフェニルホスフィン20.0g(0.076mol)の酢酸エチル溶液150mLを滴下し、20分攪拌した。
【0075】
その後、セパラブルフラスコ内に、水酸化ナトリウム8.0g(0.200mol)の水溶液20mLをゆっくり滴下し、約1時間激しく攪拌した。
【0076】
次に、窒素の発泡がおさまった後、pH3以下になるまで希塩酸を加え、ヨウ化ナトリウム30g(0.200mol)を添加して、生成した沈殿を濾過、乾燥し、2−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイドの赤褐色結晶29.7gを得た。
【0077】
次に、冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、前記2−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイド29.7g(0.060mol)と、ピリジン塩酸塩88.7g(0.769mol)と、無水酢酸12.0g(0.118mol)とを供給し、還流・攪拌下200℃で5時間加熱した。
【0078】
反応終了後、反応物を室温まで冷却し、セパラブルフラスコ内へヨウ化ナトリウム3.3g(0.022mol)の水溶液250mLを投入した。析出した固形物を濾過、乾燥し、2−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイドの褐色固形物24.1gを得た。
【0079】
次に、冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、前記2−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイド24.1g(0.050mol)と、メタノール100mLとを供給し、攪拌下で溶解し、10%の炭酸水素ナトリウム水溶液125mLを、攪拌下ゆっくり滴下した。
【0080】
その後、炭酸ガスの発泡がおさまった後、約70℃で2分間程度加温し、冷却後、析出した結晶を濾過、乾燥し、黄褐色の結晶15.9gを得た。
【0081】
この化合物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(6)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C1の収率は、59%であった。
【0082】
【化10】
【0083】
(化合物C2)
o−メトキシアニリンに代わり、p−メトキシアニリン12.3g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に褐色の結晶12.0gを得た。
【0084】
この化合物をC2とした。化合物C2を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(7)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C2の収率は、45%であった。
【0085】
【化11】
【0086】
(化合物C3)
トリフェニルホスフィンに代わり、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン26.8g(0.076mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に淡黄白色の結晶16.5gを得た。
【0087】
この化合物をC3とした。化合物C3を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(8)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C3の収率は、54%であった。
【0088】
【化12】
【0089】
(化合物C4)
o−メトキシアニリンに代わり、5−フェニル−2−メトキシアニリン19.9g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に黄色結晶23.5gを得た。
【0090】
この化合物をC4とした。化合物C4を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(9)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、72%であった。
【0091】
【化13】
【0092】
(化合物C5)
トリフェニルホスフィン20g(0.076mol)と2−クロロシクロペンタノンを150mlのトルエンとともに乾燥窒素置換したガラス反応容器中に仕込み、トルエンのリフラックス温度で3時間撹拌し、冷却したところ析出が生じた。これをろ過、乾燥して20.3gの粉末を得た。この粉末を200mlの水とともにガラス反応容器に仕込み、炭酸ナトリウム10wt%水溶液を60g滴下したところ、析出が生じた。これをろ過、乾燥して12.8gの粉末を得た。
【0093】
この化合物をC5とした。化合物C5を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(10)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C5の収率は、49%であった。
【0094】
【化14】
【0095】
(化合物C6)
下記式(11)で表されるトリフェニルホスホラニリデンアセトアルデヒド(アルドリッチ カタログNo.28,093−3)を用意した。この化合物をC6とした。
【0096】
【化15】
【0097】
(化合物C7)
下記式(12)で表される1−トリフェニルホスホラニリデン−2−プロパノン(アルドリッチ カタログNo.15,875−5)を用意した。この化合物をC7とした。
【0098】
【化16】
【0099】
(化合物C8)
トリフェニルホスフィン20g(0.076mol)とクロロアセトニトリル(Cl−CH2−CN)5.75g(0.076mol)を150mlのトルエンとともに、乾燥窒素置換したガラス反応容器中に仕込み、トルエンのリフラックス温度で3時間撹拌し、冷却したところ析出が生じた。これをろ過、乾燥して19.3gの粉末を得た。この粉末を、200mlの水とともに、ガラス反応容器に仕込み、炭酸ナトリウム10wt%水溶液を65g滴下したところ、析出が生じた。これをろ過、乾燥して13.0gの粉末を得た。この粉末をさらに、クロロホルムとともに、乾燥窒素置換したガラス反応容器中に仕込み、酢酸と蟻酸の無水物(CH3COOCOH)を3.8g滴下した。クロロホルムのリフラックス温度で3時間撹拌した後、冷却し、少量の酢酸エチルを加えていくと、析出が生じた。これをろ過、乾燥して10.5gの粉末を得た。
【0100】
この化合物をC8とした。化合物C8を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(13)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C8の収率は、42%であった。
【0101】
【化17】
【0102】
(化合物C9)
トリフェニルホスフィン65.5g(0.250mol)とアセトン350mlの混合溶液をビーカーに仕込み、フェニルマレイミド43.3g(0.250mol)とアセトン140mlの混合溶液を1時間かけて滴下したところ、析出が生じた。この粉末をろ過、乾燥して14.9gの粉末を得た。
【0103】
この化合物をC9とした。化合物C9を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(14)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C9の収率は、14%であった。
【0104】
【化18】
【0105】
[エポキシ樹脂組成物の調製および半導体装置の製造]
以下のようにして、前記化合物C1〜C9を含むエポキシ樹脂組成物を調製し半導体装置を製造した。
【0106】
(実施例1)
まず、化合物(A)として下記式(15)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(16)で表されるフェノールアラルキル樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(ホスホベタイン化合物(C))として化合物C1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
【0107】
【化19】
<式(15)の化合物の物性>
軟化点 :105℃
エポキシ当量 :193
150℃のICI溶融粘度:0.15poise
【0108】
【化20】
<式(16)の化合物の物性>
軟化点 :77℃
水酸基当量 :172
150℃のICI溶融粘度:3.6poise
【0109】
次に、ビフェニル型エポキシ樹脂:52重量部、フェノールアラルキル樹脂:48重量部、化合物C1:1.77重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
【0110】
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFPのパッケージ(半導体装置)を8個、および、16ピンDIPのパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
【0111】
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
【0112】
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
【0113】
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
【0114】
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
【0115】
(実施例2)
まず、化合物(A)として下記式(17)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(18)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(ホスホベタイン化合物(C))として化合物C1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
【0116】
【化21】
<式(17)の化合物の物性>
軟化点 :60℃
エポキシ当量 :272
150℃のICI溶融粘度:1.3poise
【0117】
【化22】
<式(18)の化合物の物性>
軟化点 :68℃
水酸基当量 :199
150℃のICI溶融粘度:0.9poise
【0118】
次に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:57重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:43重量部、化合物C1:1.77重量部、溶融球状シリカ:650重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて、105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0119】
(実施例3)
化合物C1に代わり、化合物C2を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0120】
(実施例4)
化合物C1に代わり、化合物C2を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0121】
(実施例5)
化合物C1に代わり、化合物C3:2.01重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0122】
(実施例6)
化合物C1に代わり、化合物C3:2.01重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0123】
(実施例7)
化合物C1に代わり、化合物C4:2.15重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0124】
(実施例8)
化合物C1に代わり、化合物C4:2.15重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0125】
(実施例9)
化合物C1に代わり、化合物C5:1.72重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0126】
(実施例10)
化合物C1に代わり、化合物C5:1.72重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0127】
(比較例1)
化合物C1に代わり、化合物C6:1.52重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0128】
(比較例2)
化合物C1に代わり、化合物C6:1.52重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0129】
(比較例3)
化合物C1に代わり、化合物C7:1.59重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0130】
(比較例4)
化合物C1に代わり、化合物C7:1.59重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0131】
(比較例5)
化合物C1に代わり、化合物C8:1.64重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0132】
(比較例6)
化合物C1に代わり、化合物C8:1.64重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0133】
(比較例7)
化合物C1に代わり、化合物C9:2.17重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0134】
(比較例8)
化合物C1に代わり、化合物C9:2.17重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0135】
[特性評価1]
各実施例および各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の特性評価▲1▼〜▲3▼、および、各実施例および各比較例で用いた硬化促進剤である化合物Cの酸素アニオン上の正味電荷計算▲4▼、および各実施例および各比較例で得られた半導体装置の特性評価▲5▼および▲6▼、をそれぞれ、以下のようにして行った。
【0136】
▲1▼:スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分で測定した。
【0137】
このスパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい程、流動性が良好であることを示す。
【0138】
▲2▼:硬化トルク
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIV PS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。
この硬化トルクは、数値が大きい程、硬化性が良好であることを示す。
【0139】
▲3▼:フロー残存率
得られたエポキシ樹脂組成物を、大気中30℃で1週間保存した後、前記▲1▼と同様にしてスパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率(%)を求めた。
このフロー残存率は、数値が大きい程、保存性が良好であることを示す。
【0140】
▲4▼:正味電荷
半経験的分子軌道法MOPAC PM5(”MOPAC2002”, J. J. P. Stewart, Fujitsu Limited, Tokyo, Japan (2001))により酸素アニオン上の正味電荷を得た。
【0141】
▲5▼:耐半田クラック性
100ピンTQFPを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。
【0142】
その後、顕微鏡下に、外部クラックの発生の有無を観察し、クラック発生率=(クラックが発生したパッケージ数)/(全パッケージ数)×100として、百分率(%)で表示した。
【0143】
また、シリコンチップとエポキシ樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率=(剥離面積)/(シリコンチップの面積)×100として、8個のパッケージの平均値を求め、百分率(%)で表示した。
【0144】
これらのクラック発生率および剥離率は、それぞれ、数値が小さい程、耐半田クラック性が良好であることを示す。
【0145】
▲6▼:耐湿信頼性
16ピンDIPに、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。
なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間超(>500)と示す。
この不良時間は、数値が大きい程、耐湿信頼性に優れることを示す。
各特性評価▲1▼〜▲6▼の結果を、表1に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
表1に示すように、各実施例で得られたエポキシ樹脂組成物(本発明のエポキシ樹脂組成物)は、いずれも、硬化性、保存性、流動性が極めて良好であり、さらに、この硬化物で封止された各実施例のパッケージ(本発明の半導体装置)は、いずれも、耐半田クラック性、耐湿信頼性が良好なものであった。
【0148】
これに対し、比較例1〜6で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、保存性、流動性に劣り、これらの比較例で得られたパッケージは、いずれも、耐半田クラック性に劣るものであった。また、比較例7および比較例8で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、硬化性が極めて悪く、これらの比較例で得られたパッケージは、いずれも、耐湿信頼性に劣るものであった。
【0149】
また、表1に示すように、化合物C1〜C9に対し、酸素アニオン上の正味電荷と保存性を表すフロー残存率および硬化性を表す硬化トルクに相関がった。すなわち、−0.7以上−0.5以下の領域において、硬化性と保存性のバランスがとれる反応性を示した。
【0150】
(実施例11〜15、比較例9〜12)
化合物(A)として、前記式(15)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:26重量部、前記式(17)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:28.5重量部、および、化合物(B)として、前記式(16)で表されるフェノールアラルキル樹脂:45.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、比較例1、3、5、7と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
【0151】
各実施例11〜15、比較例9〜12で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0152】
(実施例16〜20、比較例13〜16)
化合物(A)として、前記式(15)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:54.5重量部、化合物(B)として、前記式(16)で表されるフェノールアラルキル樹脂:24重量部、および、前記式(18)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:21.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、比較例1、3、5、7と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
【0153】
各実施例16〜20、比較例13〜16で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0154】
(実施例21〜25、比較例17)
ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミド樹脂(ケイ・アイ化成製BMI−H)100重量部に、硬化促進剤として化合物C1〜C6および化合物C9を、それぞれ、表2に示す配合比で配合し、これらを均一に混合した樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
【0155】
実施例21〜25および比較例17で得られた樹脂組成物に対して、175℃におけるゲル化時間を測定した。
この結果を、各硬化促進剤の配合比と合わせて、表2に示す。
【0156】
【表2】
【0157】
表2に示すように、各実施例で得られた樹脂組成物は、いずれも、速やかに硬化に至るものであった。これに対し、比較例で得られた樹脂組成物は、速やかに硬化しなかった。
【0158】
【発明の効果】
本発明のアニオン触媒によれば、硬化性樹脂組成物を速やかに硬化させることができ、硬化性樹脂組成物の硬化物が、高温に曝された場合であっても、この硬化物に欠陥が生じるのを好適に防止することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化性、保存性、流動性に優れる。
また、本発明の半導体装置は、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥が生じ難く、また、吸湿に伴う経時劣化も発生し難い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置に関するものである。更に詳しくは、熱硬化性樹脂組成物に有用な硬化促進剤、かかる硬化促進剤を含み、硬化性、保存性、流動性が良好で、電気・電子材料分野に好適に使用されるエポキシ樹脂組成物、およびそれを用いた半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
IC、LSI等の半導体素子を封止して半導体装置を得る方法としては、エポキシ樹脂組成物のトランスファー成形が、低コスト、大量生産に適しているという点で広く用いられている。また、エポキシ樹脂や、硬化剤であるフェノール樹脂の改良により、半導体装置の特性、信頼性の向上が図られている。
【0003】
しかしながら、昨今の電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体の高集積化も、年々進んでおり、また、半導体装置の表面実装化も促進されている。これに伴い、半導体素子の封止に用いられるエポキシ樹脂組成物への要求は、益々厳しいものとなってきている。このため、従来からのエポキシ樹脂組成物では、解決できない(対応できない)問題も生じている。
【0004】
近年、半導体素子の封止に用いられる材料には、生産効率の向上を目的とした速硬化性の向上と、物流・保管時の取り扱い性の向上を目的とした保存性の向上が求められるようになってきている。
【0005】
電気・電子材料分野向けのエポキシ樹脂組成物として、硬化時における樹脂の硬化反応を促進する目的で、リン系ベタイン構造の硬化促進剤を添加することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
かかる硬化促進剤は、硬化促進効果を示す温度領域が比較的低温にまで及ぶため、例えば、硬化前のエポキシ樹脂組成物と他の成分とを混合する際にも、系内に発生する熱や外部から加えられる熱により、エポキシ樹脂組成物の硬化反応は一部進行する。また、混合終了後、このエポキシ樹脂組成物を常温で保管するにあたって、反応はさらに進行する。
【0007】
この部分的な硬化反応の進行は、エポキシ樹脂組成物が液体の場合には、粘度の上昇や流動性の低下をもたらし、また、エポキシ樹脂組成物が固体の場合には、粘性を発現させるが、このような状態の変化は、エポキシ樹脂組成物内に厳密な意味で均一に生じるわけではない。このため、エポキシ樹脂組成物の各部分の硬化性には、ばらつきが生じる。
【0008】
これが原因となり、更に、高温で硬化反応を進行させ、エポキシ樹脂組成物を成形(その他賦形という概念も含んで、以下「成形」と記す)する際に、流動性低下による成形上の障害や、成形品の機械的、電気的あるいは化学的特性の低下をもたらす。
【0009】
したがって、このようにエポキシ樹脂組成物の保存性を低下させる原因となる硬化促進剤を用いる際には、諸成分混合時の厳密な品質管理、低温での保管や運搬、更に、成形条件の厳密な管理が必須であり、取り扱いが非常に煩雑である。
また、硬化促進剤の探索に当たっては、これまで化学構造と保存性および硬化性との相関関係が十分解明されていないため、種々の化合物を硬化促進剤として入手し、実験を行い、保存性および硬化性を検証する必要があった。このため、数多くの化合物の中から保存性の良い新規の硬化促進剤を見出すことは非常に煩雑であり、非常に困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開昭57−23626号公報(第1−4頁)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種硬化性樹脂組成物に有用なアニオン触媒、硬化性、保存性や流動性が良好なエポキシ樹脂組成物およびそれを用いた半導体装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(16)の本発明により達成される。
【0013】
(1) リン原子が正電荷を帯び、酸素原子が負電荷を帯びたホスホベタイン化合物であり、該酸素原子上の正味電荷の値が、−0.70以上、−0.50以下であることを特徴とするアニオン触媒。
【0014】
(2) 負電荷を帯びた酸素原子が、フェノール性水酸基からプロトンを放出されてなる、上記(1)項記載のアニオン触媒。
【0015】
(3) 負電荷を帯びた酸素原子が、エノール性水酸基からプロトンを放出されてなる、上記(1)項記載のアニオン触媒。
【0016】
(4) 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、上記(1)項ないし(3)項のいずれかに記載のアニオン触媒とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
【0017】
(5) 前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は、下記一般式(1)で表されるエポキシ樹脂および下記一般式(2)で表されるエポキシ樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記(4)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【化5】
[式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。]
【化6】
[式中、R5〜R12は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、aは、1以上の整数である。]
【0018】
(6) 前記aは、1〜10である上記(5)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0019】
(7) 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(3)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(4)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする上記(4)項ないし(6)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【化7】
[式中、R13〜R16は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、bは、1以上の整数である。]
【化8】
[式中、R17〜R24は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、互いに同一であっても異なっていてもよい。ただし、cは、1以上の整数である。]
【0020】
(8) 前記bは、1〜10である上記(7)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0021】
(9) 前記cは、1〜10である上記(7)項または(8)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0022】
(10) 前記アニオン触媒の含有量は、0.01〜10重量%である上記(4)項ないし
(9)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【0023】
(11) 無機充填材を含む上記(4)項ないし(10)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物
。
【0024】
(12) 前記無機充填材は、溶融シリカである上記(11)項に記載のエポキシ樹脂組成物
。
【0025】
(13) 前記無機充填材は、粒状をなしている上記(11)項または(12)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0026】
(14) 前記無機充填材の平均粒径は、1〜100μmである上記(13)項に記載のエポキシ樹脂組成物。
【0027】
(15) 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する
化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である上記(11)項ないし(14)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
【0028】
(16) 上記(11)項ないし(15)項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明者は、前述したような問題点を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、次のようなI〜IIの事項を見出し、本発明を完成するに至った。
【0030】
すなわち、I:硬化促進剤の保存性に対し、ホスホベタイン化合物の酸素アニオン上の正味電荷に着目し、前記正味電荷と保存性に相関関係があることを見出し、アニオン上の正味電荷が−0.7以上−0.5以下のホスホベタイン化合物からなるアニオン触媒が各種硬化性樹脂組成物の硬化反応を促進する硬化促進剤として極めて有用であることを見出した。
【0031】
II:かかるアニオン触媒を硬化性樹脂組成物、特にエポキシ樹脂組成物に硬化促進剤として混合することにより、エポキシ樹脂組成物が、硬化性、保存性および流動性に優れたものとなることを見出した。
【0032】
以下、本発明のアニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明する。
【0033】
本発明によるアニオン触媒は、ホスホベタイン化合物であり、前記ホスホベタイン化合物は、酸素原子が負電荷を帯びており、該酸素アニオン上の正味電荷が−0.7以上で−0.5以下であれば良い。
これによりエポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性、他特性がバランスよく発現することができる。その理由は、ホスホベタイン化合物の酸素アニオン上の正味電荷が−0.7より小さく(即ち、絶対値が0.7より大きく)なると、反応性が増し、常温においても反応が進行し保存性が極端に低下する。また、酸素アニオン上の正味電荷が−0.5より大きく(即ち、絶対値が0.5より小さく)なると、反応性が低下し、成形温度においても反応の進行が遅く硬化性が極端に低下する。酸素アニオン上の正味電荷が−0.7以上−0.5以下の領域においてのみ、硬化性と保存性のバランスがとれる反応性を示す。
【0034】
本発明において、前記正味電荷を得る方法としては、分子軌道法によるものであり、中でも、半経験的分子軌道法によるものが好ましい(例えば、”MOPAC2002”, J. J. P. Stewart, Fujitsu Limited, Tokyo, Japan (2001))。酸素アニオン上の正味電荷について、下記化学式(5)を一例として説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。正味電荷は、原子上にある平均の電子数と原子核の電荷の差であり、全原子上の正味電荷を総和すると0になる。この正味電荷から、原子上にある電子の分極の度合いを知ることができ、下記化学式(5)におけるαの値を酸素アニオン上の正味電荷とすると、このαが硬化性と保存性の指標となる。
【0035】
【化9】
[式中、R25〜R27は、それぞれ、芳香族基を含み、置換もしくは無置換の1価の有機基、または、置換もしくは無置換の1価のアルキル基を表し、互いに同一であっても異なってもよい。Arは、置換もしくは無置換の2価の有機基を表す。前記2価の有機基としては、フェニレン基、エチレン結合を有する基などが挙げられる。]
【0036】
本発明のアニオン触媒は、各種硬化性樹脂組成物の硬化促進剤として適用可能であるが、以下では、熱硬化性樹脂組成物の1種であるエポキシ樹脂組成物に適用した場合を代表して説明する。
【0037】
本実施形態のエポキシ樹脂組成物は、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)と、本発明のアニオン触媒(硬化促進剤)であるホスホベタイン化合物(C)と、無機充填材(D)とを含むものである。かかるエポキシ樹脂組成物は、硬化性、保存性および流動性に優れたものである。
【0038】
以下、各成分について、順次説明する。
[1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)]
1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するものであれば、何ら制限はない。
【0039】
この化合物(A)としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノール型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂など、フェノール類やフェノール樹脂、ナフトール類などの水酸基にエピクロロヒドリンを反応させて製造するエポキシ樹脂、エポキシ化合物、または、その他、脂環式エポキシ樹脂のように、オレフィンを過酸を用いて酸化させエポキシ化したエポキシ樹脂や、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0040】
これらの中でも、前記化合物(A)は、特に、前記一般式(1)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂および前記一般式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。
【0041】
ここで、前記一般式(1)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂の置換基R1〜R4は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の鎖状もしくは環状アルキル基、フェニル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R1〜R4の具体例としては、それぞれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、メチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば、半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、その硬化物は、吸水性が低減するので、得られた半導体装置は、その内部の部材の経時劣化(例えば断線の発生等)が好適に防止され、その耐湿信頼性がより向上する。
【0042】
また、前記一般式(2)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂の置換基R5〜R12は、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R5〜R12の具体例としては、それぞれ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が低下し、例えば半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となるとともに、半導体装置の耐湿信頼性がより向上する。
【0043】
また、前記一般式(2)中のaは、エポキシ樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、aは、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのが、より好ましい。aを前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性が、より向上する。
【0044】
[1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)]
1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するものであればよく、前記化合物(A)の硬化剤として作用(機能)するものである。
【0045】
この化合物(B)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノール樹脂、トリスフェノール樹脂、キシリレン変性ノボラック樹脂、テルペン変性ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0046】
これらの中でも、前記化合物(B)は、特に、前記一般式(3)で表されるフェノールアラルキル樹脂および前記一般式(4)で表されるビフェニルアラルキル樹脂のいずれか一方または双方を主成分とするものを用いるのが好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)の流動性が向上するとともに、得られた半導体装置の耐半田クラック性や耐湿信頼性がより向上する。
【0047】
ここで、前記一般式(3)で表されるフェノールアラルキル樹脂における置換基R13〜R16、および、前記一般式(4)で表されるビフェニルアラルキル樹脂における置換基R17〜R24は、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基およびハロゲン原子から選択される1種を表し、これらは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
これらの置換基R21〜R24およびR25〜R32の具体例としては、それぞれ、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、塩素原子、臭素原子等が挙げられるが、これらの中でも、特に、水素原子またはメチル基であるのが好ましい。かかるフェノール樹脂は、それ自体の溶融粘度が低いため、エポキシ樹脂組成物中に含有しても、エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を低く保持することができ、その結果、例えば、半導体装置の製造時等に、その取り扱いが容易となる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物(得られる半導体装置)の吸水性(吸湿性)が低減して、耐湿信頼性が、より向上するとともに、耐半田クラック性も、より向上する。
【0048】
また、前記一般式(3)中のb、および、前記一般式(4)中のcは、それぞれ、フェノール樹脂単位の平均の繰り返し数を表している。すなわち、bおよびcは、それぞれ、1以上の整数であれば、特に限定されず、1〜10程度であるのが好ましく、1〜5程度であるのが、より好ましい。bおよびcを、それぞれ、前記範囲とすることにより、エポキシ樹脂組成物の流動性の低下が好適に防止または抑制される。
【0049】
[ホスホベタイン化合物(C):本発明のアニオン触媒]
ホスホベタイン化合物(C)は、エポキシ樹脂組成物の硬化反応を促進し得る作用(機能)を有し、フェノール性水酸基もしくはエノール性水酸基からプロトンを放出されてなる負電荷を帯びた酸素原子を含む構造であるのが好ましい。
【0050】
この化合物(C)としては、例えば、2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、3−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、4−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、2−(トリブチルホスホニオ)フェノラート、5−ヒドロキシ−3−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、3−(トリ−p−メトキシフェニルホスホニオ)フェノラート、2−(トリ−p−ヒドロキシフェニルホスホニオ)フェノラート、4−フェニル−2−(トリフェニルホスホニオ)フェノラート、2−(トリフェニルホスホニオ)−1−シクロペンテナート、ベンゾイルメチレントリフェニルホスホラン、2−(トリフェニルホスホラニリデン)プロピオンアルデヒド、2−(トリフェニルホスホラニリデン)ブチルアルデヒド、2−(トリブチルホスホラニリデン)ブチルアルデヒド、2−(トリシクロヘキシルホスホラニリデン)ブチルアルデヒドが挙げられる。
本発明におけるエノール性水酸基とは、エチレン結合の一端に結合した水酸基を意味する。
【0051】
本発明において、ホスホベタイン化合物(C)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、0.01〜10重量%程度であるのが好ましく、0.1〜1重量%程度であるのがより好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の硬化性、保存性、流動性、他特性がバランスよく発揮される。
【0052】
また、1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物(A)と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物(B)との配合比率も、特に限定されないが、前記化合物(A)のエポキシ基1モルに対し、前記化合物(B)のフェノール性水酸基が0.5〜2モル程度となるように用いるのが好ましく、0.7〜1.5モル程度となるように用いるのが、より好ましい。これにより、エポキシ樹脂組成物の諸特性のバランスを好適なものに維持しつつ、諸特性が、より向上する。
【0053】
[無機充填材(D)]
無機充填材(D)は、特に、本発明のエポキシ樹脂組成物を封止材料として用いる場合に、封止して得られる半導体装置の補強を目的として、エポキシ樹脂組成物中に配合(混合)されるものであり、その種類については、特に制限はなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。
【0054】
この無機充填材(D)の具体例としては、例えば、溶融破砕シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、無機充填材(D)としては、特に、溶融シリカであるのが好ましい。溶融シリカは、本発明の硬化促進剤との反応性に乏しいので、エポキシ樹脂組成物中に多量に配合(混合)した場合でも、エポキシ樹脂組成物の硬化反応が阻害されるのを防止することができる。また、無機充填材(D)として溶融シリカを用いることにより、得られる半導体装置の補強効果が向上する。
【0055】
また、無機充填材(D)の形状としては、例えば、粒状、塊状、鱗片状等のいかなるものであってもよいが、粒状(特に、球状)であるのが好ましい。
【0056】
この場合、無機充填材(D)の平均粒径は、1〜100μm程度であるのが好ましく、5〜35μm程度であるのが、より好ましい。また、この場合、粒度分布は、広いものであるのが好ましい。これにより、無機充填材(D)の充填量(使用量)を多くすることができ、得られる半導体装置の補強効果が、より向上する。
【0057】
この無機充填材(D)の含有量(配合量)は、特に限定されないが、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部程度であるのが好ましく、400〜1400重量部程度であるのが、より好ましい。無機充填材(D)の含有量が前記下限値未満の場合、無機充填材(D)による補強効果が充分に発現しないおそれがあり、一方、無機充填材(D)の含有量が前記上限値を超えた場合、エポキシ樹脂組成物の流動性が低下し、エポキシ樹脂組成物の成形時(例えば半導体装置の製造時等)に、充填不良等が生じるおそれがある。
【0058】
なお、無機充填材(D)の含有量(配合量)が、前記化合物(A)と前記化合物(B)との合計量100重量部あたり、400〜1400重量部であれば、エポキシ樹脂組成物の硬化物の吸湿率が低くなり、半田クラックの発生を防止することができる。また、かかるエポキシ樹脂組成物は、加熱溶融時の流動性も良好であるため、半導体装置内部の金線変形を引き起こすことが好適に防止される。
【0059】
また、無機充填材(D)の含有量(配合量)は、前記化合物(A)、前記化合物(B)や無機充填材(D)自体の比重を、それぞれ考慮し、重量部を体積%に換算して取り扱うようにしてもよい。
【0060】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物中には、前記(A)〜(D)の化合物(成分)の他に、必要に応じて、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のカップリング剤、カーボンブラック等の着色剤、臭素化エポキシ樹脂、酸化アンチモン、リン化合物等の難燃剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、天然ワックス、合成ワックス、高級脂肪酸またはその金属塩類、パラフィン等の離型剤、酸化防止剤等の各種添加剤を配合(混合)するようにしてもよい。
【0061】
また、本発明において硬化促進剤として機能するホスホベタイン化合物(C)の特性を損なわない範囲で、エポキシ樹脂組成物中には、例えば、トリフェニルホスフィン、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−7−ウンデセン、2−メチルイミダゾール等の他の公知の触媒を配合(混合)するようにしても、何ら問題はない。
【0062】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、前記(A)〜(D)の化合物(成分)、および、必要に応じて、その他の添加剤等を、ミキサーを用いて、常温混合し、熱ロール、加熱ニーダー等を用いて加熱混練し、冷却、粉砕することにより得られる。
【0063】
上記で得られたエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用いて、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の成形方法で硬化成形することにより、半導体素子等の電子部品を封止する。これにより、本発明の半導体装置が得られる。
【0064】
本発明の半導体装置の形態としては、特に限定されないが、例えば、SIP(Single Inline Package)、HSIP(SIP with Heatsink)、ZIP(Zig−zag Inline Package)、DIP(Dual Inline Package)、SDIP(Shrink Dual Inline Package)、SOP(Small Outline Package)、SSOP(Shrink SmallOutline Package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−leaded Package)、QFP(Quad Flat Package)、QFP(FP)(QFP Fine Pitch)、TQFP(Thin Quad Flat Package)、QFJ(PLCC)(Quad Flat J−leaded Package)、BGA(Ball Grid Array)等が挙げられる。
【0065】
なお、本実施形態では、本発明のアニオン触媒を、エポキシ樹脂組成物に用いる場合を代表して説明したが、本発明の硬化促進剤は、ホスフィンまたはホスホニウム塩を硬化促進剤として、好適に使用し得る熱硬化性樹脂組成物に対して使用可能である。かかる熱硬化性樹脂組成物としては、例えば、エポキシ化合物、マレイミド化合物、シアネート化合物、イソシアネート化合物、アクリレート化合物、または、アルケニルおよびアルキニル化合物等を含む樹脂組成物が挙げられる。
【0066】
また、本発明のアニオン触媒は、熱硬化性樹脂組成物の他、例えば、反応硬化性樹脂組成物、光硬化性樹脂組成物、嫌気硬化性樹脂組成物等の各種硬化性樹脂組成物に対しても使用可能である。
【0067】
また、本実施形態では、本発明のエポキシ樹脂組成物を、半導体装置の封止材料として用いる場合について説明したが、本発明のエポキシ樹脂組成物の用途としては、これに限定されるものではない。また、エポキシ樹脂組成物の用途等に応じて、本発明のエポキシ樹脂組成物では、無機充填材の混合(配合)を省略することもできる。
【0068】
以上、本発明のアニオン触媒、エポキシ樹脂組成物および半導体装置の好適実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0069】
【実施例】
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
【0070】
まず、硬化促進剤として使用するアニオン触媒である化合物C1〜C9を用意した。
【0071】
[硬化促進剤]
各化合物C1〜C7は、それぞれ、以下のようにして用意した。
【0072】
(化合物C1)
冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、o−メトキシアニリン12.3g(0.100mol)と、予め濃塩酸(37%)25mLを200mLの純水に溶解した塩酸水溶液とを供給し、攪拌下で溶解した。
【0073】
その後、セパラブルフラスコを氷冷して、内温を0〜5℃に保ちながら、亜硝酸ナトリウム7.2g(0.104mol)の水溶液20mLを、前記溶液にゆっくりと滴下した。
【0074】
次に、セパラブルフラスコ内に、トリフェニルホスフィン20.0g(0.076mol)の酢酸エチル溶液150mLを滴下し、20分攪拌した。
【0075】
その後、セパラブルフラスコ内に、水酸化ナトリウム8.0g(0.200mol)の水溶液20mLをゆっくり滴下し、約1時間激しく攪拌した。
【0076】
次に、窒素の発泡がおさまった後、pH3以下になるまで希塩酸を加え、ヨウ化ナトリウム30g(0.200mol)を添加して、生成した沈殿を濾過、乾燥し、2−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイドの赤褐色結晶29.7gを得た。
【0077】
次に、冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、前記2−メトキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイド29.7g(0.060mol)と、ピリジン塩酸塩88.7g(0.769mol)と、無水酢酸12.0g(0.118mol)とを供給し、還流・攪拌下200℃で5時間加熱した。
【0078】
反応終了後、反応物を室温まで冷却し、セパラブルフラスコ内へヨウ化ナトリウム3.3g(0.022mol)の水溶液250mLを投入した。析出した固形物を濾過、乾燥し、2−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイドの褐色固形物24.1gを得た。
【0079】
次に、冷却管および撹拌装置付きのセパラブルフラスコ(容量:500mL)に、前記2−ヒドロキシフェニルトリフェニルホスホニウムヨーダイド24.1g(0.050mol)と、メタノール100mLとを供給し、攪拌下で溶解し、10%の炭酸水素ナトリウム水溶液125mLを、攪拌下ゆっくり滴下した。
【0080】
その後、炭酸ガスの発泡がおさまった後、約70℃で2分間程度加温し、冷却後、析出した結晶を濾過、乾燥し、黄褐色の結晶15.9gを得た。
【0081】
この化合物をC1とした。化合物C1を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(6)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C1の収率は、59%であった。
【0082】
【化10】
【0083】
(化合物C2)
o−メトキシアニリンに代わり、p−メトキシアニリン12.3g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に褐色の結晶12.0gを得た。
【0084】
この化合物をC2とした。化合物C2を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(7)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C2の収率は、45%であった。
【0085】
【化11】
【0086】
(化合物C3)
トリフェニルホスフィンに代わり、トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン26.8g(0.076mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に淡黄白色の結晶16.5gを得た。
【0087】
この化合物をC3とした。化合物C3を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(8)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C3の収率は、54%であった。
【0088】
【化12】
【0089】
(化合物C4)
o−メトキシアニリンに代わり、5−フェニル−2−メトキシアニリン19.9g(0.100mol)を用いた以外は、前記化合物C1の合成と同じ手順で合成を行い、最終的に黄色結晶23.5gを得た。
【0090】
この化合物をC4とした。化合物C4を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(9)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C4の収率は、72%であった。
【0091】
【化13】
【0092】
(化合物C5)
トリフェニルホスフィン20g(0.076mol)と2−クロロシクロペンタノンを150mlのトルエンとともに乾燥窒素置換したガラス反応容器中に仕込み、トルエンのリフラックス温度で3時間撹拌し、冷却したところ析出が生じた。これをろ過、乾燥して20.3gの粉末を得た。この粉末を200mlの水とともにガラス反応容器に仕込み、炭酸ナトリウム10wt%水溶液を60g滴下したところ、析出が生じた。これをろ過、乾燥して12.8gの粉末を得た。
【0093】
この化合物をC5とした。化合物C5を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(10)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C5の収率は、49%であった。
【0094】
【化14】
【0095】
(化合物C6)
下記式(11)で表されるトリフェニルホスホラニリデンアセトアルデヒド(アルドリッチ カタログNo.28,093−3)を用意した。この化合物をC6とした。
【0096】
【化15】
【0097】
(化合物C7)
下記式(12)で表される1−トリフェニルホスホラニリデン−2−プロパノン(アルドリッチ カタログNo.15,875−5)を用意した。この化合物をC7とした。
【0098】
【化16】
【0099】
(化合物C8)
トリフェニルホスフィン20g(0.076mol)とクロロアセトニトリル(Cl−CH2−CN)5.75g(0.076mol)を150mlのトルエンとともに、乾燥窒素置換したガラス反応容器中に仕込み、トルエンのリフラックス温度で3時間撹拌し、冷却したところ析出が生じた。これをろ過、乾燥して19.3gの粉末を得た。この粉末を、200mlの水とともに、ガラス反応容器に仕込み、炭酸ナトリウム10wt%水溶液を65g滴下したところ、析出が生じた。これをろ過、乾燥して13.0gの粉末を得た。この粉末をさらに、クロロホルムとともに、乾燥窒素置換したガラス反応容器中に仕込み、酢酸と蟻酸の無水物(CH3COOCOH)を3.8g滴下した。クロロホルムのリフラックス温度で3時間撹拌した後、冷却し、少量の酢酸エチルを加えていくと、析出が生じた。これをろ過、乾燥して10.5gの粉末を得た。
【0100】
この化合物をC8とした。化合物C8を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(13)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C8の収率は、42%であった。
【0101】
【化17】
【0102】
(化合物C9)
トリフェニルホスフィン65.5g(0.250mol)とアセトン350mlの混合溶液をビーカーに仕込み、フェニルマレイミド43.3g(0.250mol)とアセトン140mlの混合溶液を1時間かけて滴下したところ、析出が生じた。この粉末をろ過、乾燥して14.9gの粉末を得た。
【0103】
この化合物をC9とした。化合物C9を、1H−NMR、マススペクトル、元素分析で分析した結果、下記式(14)で表される目的のホスホベタイン化合物であることが確認された。得られた化合物C9の収率は、14%であった。
【0104】
【化18】
【0105】
[エポキシ樹脂組成物の調製および半導体装置の製造]
以下のようにして、前記化合物C1〜C9を含むエポキシ樹脂組成物を調製し半導体装置を製造した。
【0106】
(実施例1)
まず、化合物(A)として下記式(15)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(16)で表されるフェノールアラルキル樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(ホスホベタイン化合物(C))として化合物C1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
【0107】
【化19】
<式(15)の化合物の物性>
軟化点 :105℃
エポキシ当量 :193
150℃のICI溶融粘度:0.15poise
【0108】
【化20】
<式(16)の化合物の物性>
軟化点 :77℃
水酸基当量 :172
150℃のICI溶融粘度:3.6poise
【0109】
次に、ビフェニル型エポキシ樹脂:52重量部、フェノールアラルキル樹脂:48重量部、化合物C1:1.77重量部、溶融球状シリカ:730重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで熱ロールを用いて105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
【0110】
次に、このエポキシ樹脂組成物をモールド樹脂として用い、100ピンTQFPのパッケージ(半導体装置)を8個、および、16ピンDIPのパッケージ(半導体装置)を15個、それぞれ製造した。
【0111】
100ピンTQFPは、金型温度175℃、注入圧力7.4MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
【0112】
なお、この100ピンTQFPのパッケージサイズは、14×14mm、厚み1.4mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、8.0×8.0mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
【0113】
また、16ピンDIPは、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分でトランスファーモールド成形し、175℃、8時間で後硬化させることにより製造した。
【0114】
なお、この16ピンDIPのパッケージサイズは、6.4×19.8mm、厚み3.5mm、シリコンチップ(半導体素子)サイズは、3.5×3.5mm、リードフレームは、42アロイ製とした。
【0115】
(実施例2)
まず、化合物(A)として下記式(17)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、化合物(B)として下記式(18)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(ただし、繰り返し単位数:3は、平均値を示す。)、硬化促進剤(ホスホベタイン化合物(C))として化合物C1、無機充填材(D)として溶融球状シリカ(平均粒径15μm)、その他の添加剤としてカーボンブラック、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびカルナバワックスを、それぞれ用意した。
【0116】
【化21】
<式(17)の化合物の物性>
軟化点 :60℃
エポキシ当量 :272
150℃のICI溶融粘度:1.3poise
【0117】
【化22】
<式(18)の化合物の物性>
軟化点 :68℃
水酸基当量 :199
150℃のICI溶融粘度:0.9poise
【0118】
次に、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:57重量部、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:43重量部、化合物C1:1.77重量部、溶融球状シリカ:650重量部、カーボンブラック:2重量部、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂:2重量部、カルナバワックス:2重量部を、まず室温で混合し、次いで、熱ロールを用いて、105℃で8分間混練した後、冷却粉砕して、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
次に、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0119】
(実施例3)
化合物C1に代わり、化合物C2を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0120】
(実施例4)
化合物C1に代わり、化合物C2を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0121】
(実施例5)
化合物C1に代わり、化合物C3:2.01重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0122】
(実施例6)
化合物C1に代わり、化合物C3:2.01重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0123】
(実施例7)
化合物C1に代わり、化合物C4:2.15重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0124】
(実施例8)
化合物C1に代わり、化合物C4:2.15重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0125】
(実施例9)
化合物C1に代わり、化合物C5:1.72重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0126】
(実施例10)
化合物C1に代わり、化合物C5:1.72重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0127】
(比較例1)
化合物C1に代わり、化合物C6:1.52重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0128】
(比較例2)
化合物C1に代わり、化合物C6:1.52重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0129】
(比較例3)
化合物C1に代わり、化合物C7:1.59重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0130】
(比較例4)
化合物C1に代わり、化合物C7:1.59重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0131】
(比較例5)
化合物C1に代わり、化合物C8:1.64重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0132】
(比較例6)
化合物C1に代わり、化合物C8:1.64重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0133】
(比較例7)
化合物C1に代わり、化合物C9:2.17重量部を用いた以外は、前記実施例1と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例1と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0134】
(比較例8)
化合物C1に代わり、化合物C9:2.17重量部を用いた以外は、前記実施例2と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、前記実施例2と同様にしてパッケージ(半導体装置)を製造した。
【0135】
[特性評価1]
各実施例および各比較例で得られたエポキシ樹脂組成物の特性評価▲1▼〜▲3▼、および、各実施例および各比較例で用いた硬化促進剤である化合物Cの酸素アニオン上の正味電荷計算▲4▼、および各実施例および各比較例で得られた半導体装置の特性評価▲5▼および▲6▼、をそれぞれ、以下のようにして行った。
【0136】
▲1▼:スパイラルフロー
EMMI−I−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型を用い、金型温度175℃、注入圧力6.8MPa、硬化時間2分で測定した。
【0137】
このスパイラルフローは、流動性のパラメータであり、数値が大きい程、流動性が良好であることを示す。
【0138】
▲2▼:硬化トルク
キュラストメーター(オリエンテック(株)製、JSRキュラストメーターIV PS型)を用い、175℃、45秒後のトルクを測定した。
この硬化トルクは、数値が大きい程、硬化性が良好であることを示す。
【0139】
▲3▼:フロー残存率
得られたエポキシ樹脂組成物を、大気中30℃で1週間保存した後、前記▲1▼と同様にしてスパイラルフローを測定し、調製直後のスパイラルフローに対する百分率(%)を求めた。
このフロー残存率は、数値が大きい程、保存性が良好であることを示す。
【0140】
▲4▼:正味電荷
半経験的分子軌道法MOPAC PM5(”MOPAC2002”, J. J. P. Stewart, Fujitsu Limited, Tokyo, Japan (2001))により酸素アニオン上の正味電荷を得た。
【0141】
▲5▼:耐半田クラック性
100ピンTQFPを85℃、相対湿度85%の環境下で168時間放置し、その後、260℃の半田槽に10秒間浸漬した。
【0142】
その後、顕微鏡下に、外部クラックの発生の有無を観察し、クラック発生率=(クラックが発生したパッケージ数)/(全パッケージ数)×100として、百分率(%)で表示した。
【0143】
また、シリコンチップとエポキシ樹脂組成物の硬化物との剥離面積の割合を、超音波探傷装置を用いて測定し、剥離率=(剥離面積)/(シリコンチップの面積)×100として、8個のパッケージの平均値を求め、百分率(%)で表示した。
【0144】
これらのクラック発生率および剥離率は、それぞれ、数値が小さい程、耐半田クラック性が良好であることを示す。
【0145】
▲6▼:耐湿信頼性
16ピンDIPに、125℃、相対湿度100%の水蒸気中で、20Vの電圧を印加し、断線不良を調べた。15個のパッケージのうち8個以上に不良が出るまでの時間を不良時間とした。
なお、測定時間は、最長で500時間とし、その時点で不良パッケージ数が8個未満であったものは、不良時間を500時間超(>500)と示す。
この不良時間は、数値が大きい程、耐湿信頼性に優れることを示す。
各特性評価▲1▼〜▲6▼の結果を、表1に示す。
【0146】
【表1】
【0147】
表1に示すように、各実施例で得られたエポキシ樹脂組成物(本発明のエポキシ樹脂組成物)は、いずれも、硬化性、保存性、流動性が極めて良好であり、さらに、この硬化物で封止された各実施例のパッケージ(本発明の半導体装置)は、いずれも、耐半田クラック性、耐湿信頼性が良好なものであった。
【0148】
これに対し、比較例1〜6で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、保存性、流動性に劣り、これらの比較例で得られたパッケージは、いずれも、耐半田クラック性に劣るものであった。また、比較例7および比較例8で得られたエポキシ樹脂組成物は、いずれも、硬化性が極めて悪く、これらの比較例で得られたパッケージは、いずれも、耐湿信頼性に劣るものであった。
【0149】
また、表1に示すように、化合物C1〜C9に対し、酸素アニオン上の正味電荷と保存性を表すフロー残存率および硬化性を表す硬化トルクに相関がった。すなわち、−0.7以上−0.5以下の領域において、硬化性と保存性のバランスがとれる反応性を示した。
【0150】
(実施例11〜15、比較例9〜12)
化合物(A)として、前記式(15)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:26重量部、前記式(17)で表されるビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂:28.5重量部、および、化合物(B)として、前記式(16)で表されるフェノールアラルキル樹脂:45.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、比較例1、3、5、7と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
【0151】
各実施例11〜15、比較例9〜12で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0152】
(実施例16〜20、比較例13〜16)
化合物(A)として、前記式(15)で表されるビフェニル型エポキシ樹脂:54.5重量部、化合物(B)として、前記式(16)で表されるフェノールアラルキル樹脂:24重量部、および、前記式(18)で表されるビフェニルアラルキル型フェノール樹脂:21.5重量部を配合した以外は、それぞれ、前記実施例1、3、5、7、9、比較例1、3、5、7と同様にして、エポキシ樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得、このエポキシ樹脂組成物を用いて、パッケージ(半導体装置)を製造した。
【0153】
各実施例16〜20、比較例13〜16で得られたエポキシ樹脂組成物およびパッケージの特性評価を、前記と同様にして行ったところ、前記表1とほぼ同様の結果が得られた。
【0154】
(実施例21〜25、比較例17)
ジアミノジフェニルメタンのビスマレイミド樹脂(ケイ・アイ化成製BMI−H)100重量部に、硬化促進剤として化合物C1〜C6および化合物C9を、それぞれ、表2に示す配合比で配合し、これらを均一に混合した樹脂組成物(熱硬化性樹脂組成物)を得た。
【0155】
実施例21〜25および比較例17で得られた樹脂組成物に対して、175℃におけるゲル化時間を測定した。
この結果を、各硬化促進剤の配合比と合わせて、表2に示す。
【0156】
【表2】
【0157】
表2に示すように、各実施例で得られた樹脂組成物は、いずれも、速やかに硬化に至るものであった。これに対し、比較例で得られた樹脂組成物は、速やかに硬化しなかった。
【0158】
【発明の効果】
本発明のアニオン触媒によれば、硬化性樹脂組成物を速やかに硬化させることができ、硬化性樹脂組成物の硬化物が、高温に曝された場合であっても、この硬化物に欠陥が生じるのを好適に防止することができる。
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、硬化性、保存性、流動性に優れる。
また、本発明の半導体装置は、高温に曝された場合であっても、クラックや剥離等の欠陥が生じ難く、また、吸湿に伴う経時劣化も発生し難い。
Claims (16)
- リン原子が正電荷を帯び、酸素原子が負電荷を帯びたホスホベタイン化合物であり、酸素原子上の正味電荷の値が、−0.70以上、−0.50以下であることを特徴とするアニオン触媒。
- 負電荷を帯びた酸素原子が、フェノール性水酸基からプロトンを放出されてなる、請求項1記載のアニオン触媒。
- 負電荷を帯びた酸素原子が、エノール性水酸基からプロトンを放出されてなる、請求項1記載のアニオン触媒。
- 1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物と、請求項1ないし3のいずれかに記載のアニオン触媒とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 前記aは、1〜10である請求項5に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物は、下記一般式(3)で表されるフェノール樹脂および下記一般式(4)で表されるフェノール樹脂の少なくとも一方を主成分とする請求項4ないし6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記bは、1〜10である請求項7に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記cは、1〜10である請求項7または8に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記アニオン触媒の含有量は、0.01〜10重量%である請求項4ないし9のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 無機充填材を含む請求項4ないし10のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材は、溶融シリカである請求項11に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材は、粒状をなしている請求項11または12に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材の平均粒径は、1〜100μmである請求項13に記載のエポキシ樹脂組成物。
- 前記無機充填材の含有量は、前記1分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物と、前記1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有する化合物との合計量100重量部あたり、200〜2400重量部である請求項11ないし14のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
- 請求項11ないし15のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物により半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
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