JP2004231691A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤ、特に高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善された空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、充填剤としてシリカを配合したゴム組成物をタイヤに適用することにより、タイヤが低発熱化し、また、タイヤのヒステリシスロスが増大し、悪路走行での耐チッピング性が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、充填剤としてシリカを配合したゴム組成物をタイヤに適用すると、タイヤの弾性率が低下したり、長時間加硫での加硫戻りにより低発熱化の効果が低下するという問題があった。
【0003】
また、従来、タイヤを高弾性化してその剛性を向上させるために、充填剤の配合量を増量したゴム組成物をタイヤに適用する方法もとられてきたが、この場合、充填剤の増量によりゴム組成物の粘度が上昇して混練時の作業性が悪化したり、発熱性が高くなるという問題があった。
【0004】
一方、発熱性を上昇させることなくゴムを高弾性化する手段として、ノボラック型又はレゾール型の未変性フェノール樹脂をゴム組成物に添加する方法や、トールオイル又はカシューオイル等の不飽和油、或いはキシレン又はメシチレン等の芳香族炭化水素で変性したフェノール樹脂を添加する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、上記未変性フェノール樹脂や変性フェノール樹脂は、極性の低い天然ゴムや合成ジエン系ゴムとの相溶性が低く、その添加効果を充分に発揮できていないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−291706号公報
【特許文献2】
特開2001−226528号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善された空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物をタイヤに適用することにより、高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善されたタイヤが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の空気入りタイヤは、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分に、下記式(I)で表されるフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材の少なくとも何れかに用いたことを特徴とする。
【化2】
(式中、R0は、水素、アルキル基、フェニル基又はメチロール基で;R1及びR2は、それぞれアリレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アラルキレン基、シクロアルケニレン基又はシクロアルカジエニレン基で;nは0〜10である。)
【0009】
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記ゴム組成物がメチレン供与体である硬化剤を含有してなる。
【0010】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物がシリカを含有してなる。上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、タイヤを低発熱化することができる。該シリカは、窒素吸着比表面積(N2SA)が180〜270m2/gであるのが特に好ましい。また、該シリカは、シリコーンオイルで熱処理されているものでもよい。ここで、該ゴム組成物は、更にシランカップリング剤を含有してなるのが特に好ましい。
【0011】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物がヒドラゾン化合物を含有してなる。上記ゴム組成物がヒドラゾン化合物を含有する場合、ゴム組成物の加硫戻りの抑制とタイヤの低発熱化が可能になる。
【0012】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物が、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有してなる。上記ゴム組成物が無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有する場合、ゴム組成物の未加硫時の粘度を低下させることができる。
【0013】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物がカーボンブラックを含有してなる。ここで、該カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜160m2/gであるのが特に好ましい。
【0014】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム成分が天然ゴムを20質量%以上含有する。
【0015】
本発明の空気入りタイヤは、重荷重用空気入りタイヤとして好適であり、オフロードタイヤとして特に好適である。
【0016】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記タイヤ部材がトレッドゴム及び/又はキャップ・ベース構造のトレッドにおけるベースゴムである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の空気入りタイヤは、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分に、上記式(I)で表されるフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材の少なくとも何れかに用いたことを特徴とする。従来のゴム組成物に用いられている下記式(II)で表される未変性のフェノール樹脂は、極性の官能基であるフェノール基とフェノール基との距離が短いため、極性の低い天然ゴム及び合成ジエン系ゴム等のゴム成分に対する分散性が低い。
【0018】
【化3】
【0019】
また、変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂を重合した後、該重合体を変性するので、構造的に分子の末端のみが変性され、中央部は未変性のフェノール樹脂と同じである。そのため、分子末端のゴム成分への相溶性は改善されるものの、中央部の相溶性が低いので、充分なゴム物性が得られない。
【0020】
これに対して、式(I)で表されるフェノール樹脂は、例えば、下記式(III)に示すようにフェノールとキシリレンとが分子単位で結合しているため、末端及び中央の双方のゴム成分に対する相溶性が改善されている。
【0021】
【化4】
【0022】
より詳しくは、式(I)で表されるフェノール樹脂は、複数のフェノール類がメチレンより大きな2価の基を介して結合しているため、ゴム組成物に従来用いられていた未変性又は変性フェノール樹脂よりも、極性の官能基であるフェノール基とフェノール基との距離が長い。そのため、式(I)で表されるフェノール樹脂は、上記未変性及び変性フェノール樹脂よりも極性が低く、ゴム成分中での分散性が改善され、ゴム組成物を大幅に高弾性化することができる。また、該ゴム組成物は弾性率が高く剛性が向上しているため、例えば、該ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、耐摩耗性が改善されている。
【0023】
本発明の空気入りタイヤに用いるゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴム(NR);ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ポリブタジエンゴム(BR)及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)等の合成ジエン系ゴムが挙げられる。これらゴム成分は一種単独でも、ブレンドでもよい。前記ゴム成分は、天然ゴムを20質量%以上含有するのが好ましい。ゴム成分中の天然ゴムの含有量が20質量%未満では、ゴム組成物の発熱性が悪くなる。
【0024】
本発明の空気入りタイヤに用いるゴム組成物を構成するフェノール樹脂は、前記式(I)で表される。式(I)において、繰り返し単位数nは、0〜10である。また、R0は、水素、アルキル基、フェニル基又はメチロール基である。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。これらの中でも、R0としては、硬化反応の点から水素が好ましい。
【0025】
式(I)において、R1及びR2は、それぞれアリレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アラルキレン基、シクロアルケニレン基又はシクロアルカジエニレン基である。従来高弾性化を目的としてゴム組成物に配合されていたフェノール樹脂は、R1及びR2がメチレン基であるが、本発明に用いるフェノール樹脂は、R1及びR2がメチレン基より大きな2価の基であるため、フェノール基同士の距離が長くなり、前述のような作用を発揮する。ここで、アリレン基としては、フェニレン基等が挙げられ、炭素数2〜10のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、アラルキレン基としては、キシリレン基又は[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジメチレン基等が挙げられ、シクロアルケニレン基としては、シクロヘキシレン、ジシクロデシレン、トリシクロデシレン等が挙げられ、シクロアルカジエニレン基としては、シクロペンタジエニレン基等が挙げられる。これらの中でも、R1及びR2としては、キシリレン基又は[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジメチレン基が好ましい。
【0026】
上記ゴム組成物に配合する式(I)で表されるフェノール樹脂としては、市販のフェノール樹脂が使用でき、例えば、明和化成社のMEH−7800、MEH−7851等が使用できる。
【0027】
式(I)のフェノール樹脂の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜30質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。0.5質量部未満では、ゴム組成物の剛性を向上させる効果が小さく、30質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性が著しく上昇してしまう。
【0028】
上記ゴム組成物は、メチレン供与体である硬化剤を含有するのが好ましい。但し、前記R0がメチロール基の場合、該フェノール樹脂は自己硬化性なので、硬化剤は不要である。該硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメチルメチロールメラミン等が挙げられる。ここで、硬化剤の配合量は、前述した式(I)のフェノール樹脂の0〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。該硬化剤を配合しなくても、フェノール樹脂の配合量によっては所望の弾性率が得られるが、より低部数で発熱性と弾性率とを両立するには、硬化剤の配合量は3〜15質量%が好ましい。なお、硬化剤の配合量が20質量%を超えると、ゴム組成物の弾性率が著しく上昇してしまう。
【0029】
上記ゴム組成物は、シリカを含有するのが好ましい。ゴム組成物にシリカを配合することによって、ゴム組成物を低発熱化することができる。従来、ゴム組成物にシリカを配合すると、ゴム組成物の弾性率が低下するという問題があったが、本発明のタイヤに用いるゴム組成物には前記式(I)で表されるフェノール樹脂が配合されているため、該問題は解決されている。ここで、シリカの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し2〜50質量部である。シリカの配合量が2質量部未満では、低発熱化の効果やチッピング改良幅が小さく、50質量部を超えると、シリカが自己凝集するためゴム組成物を混練する際の作業性が著しく悪化する。
【0030】
上記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、180〜270m2/gであるのが好ましい。シリカのN2SAが180m2/g未満では、タイヤの耐チッピング性を改良する効果が小さく、270m2/gを超えると、ゴム組成物の粘度が上昇して混練時の作業性が著しく低下してしまう。
【0031】
上記シリカは、シリコーンオイルで熱処理されていてもよい。シリコーンオイルで熱処理することにより、シリカの表面エネルギーを低下させ、シリカ粒子間の凝集を弱め、流動性を向上させることができる。これらの目的に使用されるシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルコキシ基含有メチルシリコーンオイル等が挙げられ、これらで無触媒或いは硬化触媒と共にシリカ粉体に表面処理を施した後、必要に応じて加熱焼き付け処理が行われる。
【0032】
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、該ゴム組成物は更にシランカップリング剤を含有するのが好ましい。シランカップリング剤を配合することにより、タイヤの耐摩耗性が更に向上し、tanδが更に低下する。ここで、シランカップリング剤の配合量は、シリカの質量の3〜20質量%が好ましい。該シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等が挙げられる。
【0033】
上記ゴム組成物は、ヒドラゾン化合物を含有するのが好ましい。ゴム組成物にヒドラゾン化合物を配合することにより、ゴム組成物の加硫戻りを抑制しつつ、タイヤの発熱性を低減することができる。ここで、該ヒドラゾン化合物の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.30〜2.0質量部である。ヒドラゾン化合物の配合量が0.1質量部未満では、ゴム組成物の加硫戻りの抑制効果及びタイヤの発熱性の低減効果が小さく、5.0質量部を超えると、コスト高となり、また、効果幅も小さくなる。
【0034】
上記ヒドラゾン化合物としては、下記式(IV)〜(VI)で表されるヒドラゾン化合物が好ましい。
【化5】
【化6】
【化7】
【0035】
上記式(IV)〜(VI)において、Aは、2価の芳香族環基(結合の位置は問わず、オルト位、メタ位、パラ位の何れでもよい)、ヒダントイン環基、又は炭素数0〜18の飽和若しくは不飽和の直鎖状炭化水素基(エチレン基、テトラメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、オクタデカメチレン基、7,11−オクタデカジエニレン基等)を表す。Bは、芳香族基(フェニル基、ナフチル基等)を表す。Xは、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。Yは、ピリジル基又はヒドラジノ基を表す。R3〜R6は、水素、及び炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、芳香族環(置換基を有していてもよく、その場合の置換基の位置は問わない)であり、それぞれ互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
前記式(IV)で表されるヒドラゾン化合物としては、例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ヒドラジドの誘導体であるイソフタル酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド等が挙げられる。また、これらの他、例えば、テレフタル酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イコサノイックジカルボン酸ジヒドラジド等の誘導体も挙げられる。これらの中でも、発熱性を悪化させることなくムーニー粘度を低減させることができる点で、イソフタル酸ジヒドラジドの誘導体が好ましい。
【0037】
前記式(V)で表されるヒドラゾン化合物としては、例えば、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体の他、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)サリチル酸ヒドラジド(BMS)、4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、アントラニル酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジドの各誘導体等が挙げられる。3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体としては、例えば、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド等の3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体や、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)サリチル酸ヒドラジド(BMS)の誘導体は、発熱性を悪化させることなく、ムーニー粘度を低く抑えることができる点で好ましく、効果が顕著な点で、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体である3−ヒドロキシ,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド(BMH)が特に好ましい。
【0038】
前記式(VI)で表されるヒドラゾン化合物としては、例えば、イソニコチン酸(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド等のイソニコチン酸ヒドラジドの誘導体の他、炭酸ジヒドラジドの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、イソニコチン酸ヒドラジドの誘導体は、発熱性を悪化させることなく、ムーニー粘度を低減させることができる点で好ましい。
【0039】
前記式(IV)〜(VI)で表されるヒドラゾン化合物は、ゴム組成物の加硫戻りの抑制効果に優れ、前記ゴム成分として天然ゴムを含むゴム組成物に好適であり、高温加硫条件下でもその性能の低下が少ない。該ヒドラゾン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記式(IV)〜(VI)で表されるヒドラゾン化合物は、Pant, U. C.; Ramchandran, Reena; Joshi, B. C. Rev. Roum. Chim. (1979) 24 (3), 471−82の文献に記載された方法に基いて製造することができる。
【0040】
上記ゴム組成物は、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有するのが好ましい。ゴム組成物に無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを配合することにより、ゴム組成物の未加硫時の粘度を低下させることができる。ここで、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.2〜5.0質量部であり、より好ましくは0.5〜3.0質量部である。無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルの配合量が0.1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度の低減効果が小さく、5.0質量部を超えると、未加硫ゴム組成物の粘度を低減する効果が飽和する一方、コスト高となる。
【0041】
上記無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルとしては、下記式(VII)で表される化合物が挙げられる。
【化8】
(式中、mは平均重合度を表わす1以上の数であり、R7はアルキレン基、R8はアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基又はアシル基である。)
【0042】
式(VII)において、mは1〜10であるのが好ましい。また、R7は、炭素数2〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基又はプロピレン基であるのがより好ましく、プロピレン基であるのが特に好ましい。更に、R8は、炭素数2〜28のアルキル基又はアルケニル基であるのが好ましく、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基であるのがより好ましい。
【0043】
式(VII)で表される化合物は、無水マレイン酸と、(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを反応させることで得られる。ここで、(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、例えば、1個以上の水酸基を持った平均重合度1以上の(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、好ましくは1〜2個の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物であり、特に好ましくは1個の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物である。(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸モノエステル等のエステル型;(ポリ)オキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸アミド、(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン等の含窒素型等が挙げられるが、これらの中でもエーテル型とエステル型が好ましく、エーテル型が特に好ましい。
【0044】
上記エーテル型の(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレン脂肪族エーテル;ポリオキシエチレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジル化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン芳香族エーテル等が挙げられるが、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルが好ましい。更には、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、及びポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテルが好ましく、特にポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンの平均重合度が1〜10で、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8〜18であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンをPOE(q)、ポリオキシプロピレンをPOP(r)と略し、q,rを各々平均重合度とすれば、POE(3)オクチルエーテル、POE(4)2−エチルヘキシルエーテル、POE(3)デシルエーテル、POE(5)デシルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(8)ラウリルエーテル、POE(1)ステアリルエーテル、POP(3)ラウリルエーテル、POP(5)ラウリルエーテル、POP(5)ミリスチルエーテルなどが挙げられる。上記(ポリ)オキシアルキレン誘導体は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記ゴム組成物に配合する充填剤としては、上述したシリカの他、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー等が挙げられ、これら充填剤は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜160m2/gであるカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックのN2SAが30m2/g未満では、タイヤの低発熱化に優れるものの耐摩耗性等の破壊特性が著しく低下し、N2SAが160m2/gを超えると、ゴム組成物の混練時の作業性が著しく低下してしまう。
【0046】
上記ゴム組成物には、上記ゴム成分、フェノール樹脂、硬化剤、充填剤、シランカップリング剤、ヒドラゾン化合物、無水マレイン酸の部分エステルの他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を目的に応じて適宜配合することができる。
【0047】
本発明の空気入りタイヤは、上述のように高弾性且つ低発熱性で耐摩耗性が改善されたゴム組成物をタイヤ部材の少なくとも何れかに適用してなるため、重荷重用空気入りタイヤとして好適である。また、該タイヤは、悪路走行用のオフロードタイヤとして特に好適である。なお、本発明の空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0048】
上記ゴム組成物を適用するタイヤ部材としては、トレッドゴム、キャップ・ベース構造のトレッドにおけるベースゴムが挙げられる。上記ゴム組成物は耐摩耗性が高いため、トレッドゴムに好適であり、また、剛性が高く低発熱性であるためベースゴムとしても好適である。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、その弾性率を以下の方法で評価した。また、該ゴム組成物をトレッドに用い、通常の加硫条件で加硫して、サイズ3700R57のタイヤ(オフロードタイヤ)を試作し、下記に示す方法で発熱性及び耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中、フェノール樹脂(未変性)は前記式(II)で表され、フェノール樹脂(キシリレン型)は前記式(III)で表され、フェノール樹脂(ビフェニレン型)は下記式(VIII)で表される。
【0051】
【化9】
【0052】
(1)弾性率
上記ゴム組成物を加硫したサンプルについて、東洋精機社製スペクトロメーターを用い、歪1%、50Hz、測定温度25℃にて動的貯蔵弾性率(E’)を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、弾性率が高く、剛性が高いことを示す。
【0053】
(2)発熱性
上記供試タイヤに対し、一定速度・ステップロード条件のドラムテストを実施し、タイヤトレッド内部の一定深さ位置の温度を測定し、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、温度が低く、低発熱化の効果が大きいことを示す。
【0054】
(3)耐摩耗性
上記供試タイヤをオフロードカーの4輪に装着して2000時間走行した後、
走行距離/(トレッドの走行前溝深さ−走行後溝深さ)
を算出し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が高く良好であることを示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から、未変性のフェノール樹脂に代えて式(I)で表されるフェノール樹脂を用いた実施例のゴム組成物は、弾性率が向上していることがわかる。また、該ゴム組成物をトレッドに用いた実施例のタイヤは、発熱性が低く、耐摩耗性も向上していた。
【0057】
次に、表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、上記の方法で弾性率、発熱性及び耐摩耗性を評価し、更に下記の方法でムーニー粘度を測定し、表2に示す結果を得た。ここで、シリコーン改質シリカは、シリカをシリコーンオイルで熱処理したものを用いた。
【0058】
(4)ムーニー粘度
JIS K 6300に準拠し東洋精機社製RLM−01型テスターを用いて上記ゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、ムーニー粘度が低く、混練時の作業性が良好であることを示す。
【0059】
【表2】
【0060】
表2から、未処理のシリカに代えて、シリコーンオイルで熱処理したシリカをゴム組成物に配合することにより、ムーニー粘度が低下して、ゴム組成物の混練時の作業性が向上することが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物を空気入りタイヤに適用することにより、高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善されたタイヤを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤ、特に高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善された空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、充填剤としてシリカを配合したゴム組成物をタイヤに適用することにより、タイヤが低発熱化し、また、タイヤのヒステリシスロスが増大し、悪路走行での耐チッピング性が向上することが知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、充填剤としてシリカを配合したゴム組成物をタイヤに適用すると、タイヤの弾性率が低下したり、長時間加硫での加硫戻りにより低発熱化の効果が低下するという問題があった。
【0003】
また、従来、タイヤを高弾性化してその剛性を向上させるために、充填剤の配合量を増量したゴム組成物をタイヤに適用する方法もとられてきたが、この場合、充填剤の増量によりゴム組成物の粘度が上昇して混練時の作業性が悪化したり、発熱性が高くなるという問題があった。
【0004】
一方、発熱性を上昇させることなくゴムを高弾性化する手段として、ノボラック型又はレゾール型の未変性フェノール樹脂をゴム組成物に添加する方法や、トールオイル又はカシューオイル等の不飽和油、或いはキシレン又はメシチレン等の芳香族炭化水素で変性したフェノール樹脂を添加する方法が提案されている。(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、上記未変性フェノール樹脂や変性フェノール樹脂は、極性の低い天然ゴムや合成ジエン系ゴムとの相溶性が低く、その添加効果を充分に発揮できていないという問題があった。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−291706号公報
【特許文献2】
特開2001−226528号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題を解決し、高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善された空気入りタイヤを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、特定のフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物をタイヤに適用することにより、高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善されたタイヤが得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、本発明の空気入りタイヤは、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分に、下記式(I)で表されるフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材の少なくとも何れかに用いたことを特徴とする。
【化2】
(式中、R0は、水素、アルキル基、フェニル基又はメチロール基で;R1及びR2は、それぞれアリレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アラルキレン基、シクロアルケニレン基又はシクロアルカジエニレン基で;nは0〜10である。)
【0009】
本発明の空気入りタイヤの好適例においては、前記ゴム組成物がメチレン供与体である硬化剤を含有してなる。
【0010】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物がシリカを含有してなる。上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、タイヤを低発熱化することができる。該シリカは、窒素吸着比表面積(N2SA)が180〜270m2/gであるのが特に好ましい。また、該シリカは、シリコーンオイルで熱処理されているものでもよい。ここで、該ゴム組成物は、更にシランカップリング剤を含有してなるのが特に好ましい。
【0011】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物がヒドラゾン化合物を含有してなる。上記ゴム組成物がヒドラゾン化合物を含有する場合、ゴム組成物の加硫戻りの抑制とタイヤの低発熱化が可能になる。
【0012】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物が、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有してなる。上記ゴム組成物が無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有する場合、ゴム組成物の未加硫時の粘度を低下させることができる。
【0013】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム組成物がカーボンブラックを含有してなる。ここで、該カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜160m2/gであるのが特に好ましい。
【0014】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記ゴム成分が天然ゴムを20質量%以上含有する。
【0015】
本発明の空気入りタイヤは、重荷重用空気入りタイヤとして好適であり、オフロードタイヤとして特に好適である。
【0016】
本発明の空気入りタイヤの他の好適例においては、前記タイヤ部材がトレッドゴム及び/又はキャップ・ベース構造のトレッドにおけるベースゴムである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。本発明の空気入りタイヤは、天然ゴム及び合成ジエン系ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分に、上記式(I)で表されるフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物をタイヤ部材の少なくとも何れかに用いたことを特徴とする。従来のゴム組成物に用いられている下記式(II)で表される未変性のフェノール樹脂は、極性の官能基であるフェノール基とフェノール基との距離が短いため、極性の低い天然ゴム及び合成ジエン系ゴム等のゴム成分に対する分散性が低い。
【0018】
【化3】
【0019】
また、変性フェノール樹脂は、フェノール樹脂を重合した後、該重合体を変性するので、構造的に分子の末端のみが変性され、中央部は未変性のフェノール樹脂と同じである。そのため、分子末端のゴム成分への相溶性は改善されるものの、中央部の相溶性が低いので、充分なゴム物性が得られない。
【0020】
これに対して、式(I)で表されるフェノール樹脂は、例えば、下記式(III)に示すようにフェノールとキシリレンとが分子単位で結合しているため、末端及び中央の双方のゴム成分に対する相溶性が改善されている。
【0021】
【化4】
【0022】
より詳しくは、式(I)で表されるフェノール樹脂は、複数のフェノール類がメチレンより大きな2価の基を介して結合しているため、ゴム組成物に従来用いられていた未変性又は変性フェノール樹脂よりも、極性の官能基であるフェノール基とフェノール基との距離が長い。そのため、式(I)で表されるフェノール樹脂は、上記未変性及び変性フェノール樹脂よりも極性が低く、ゴム成分中での分散性が改善され、ゴム組成物を大幅に高弾性化することができる。また、該ゴム組成物は弾性率が高く剛性が向上しているため、例えば、該ゴム組成物をトレッドに用いたタイヤは、耐摩耗性が改善されている。
【0023】
本発明の空気入りタイヤに用いるゴム組成物のゴム成分としては、天然ゴム(NR);ポリイソプレンゴム(IR)、ブチルゴム(IIR)、ポリブタジエンゴム(BR)及びスチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)等の合成ジエン系ゴムが挙げられる。これらゴム成分は一種単独でも、ブレンドでもよい。前記ゴム成分は、天然ゴムを20質量%以上含有するのが好ましい。ゴム成分中の天然ゴムの含有量が20質量%未満では、ゴム組成物の発熱性が悪くなる。
【0024】
本発明の空気入りタイヤに用いるゴム組成物を構成するフェノール樹脂は、前記式(I)で表される。式(I)において、繰り返し単位数nは、0〜10である。また、R0は、水素、アルキル基、フェニル基又はメチロール基である。ここで、アルキル基としては、メチル基、エチル基等が挙げられる。これらの中でも、R0としては、硬化反応の点から水素が好ましい。
【0025】
式(I)において、R1及びR2は、それぞれアリレン基、炭素数2〜10のアルキレン基、アラルキレン基、シクロアルケニレン基又はシクロアルカジエニレン基である。従来高弾性化を目的としてゴム組成物に配合されていたフェノール樹脂は、R1及びR2がメチレン基であるが、本発明に用いるフェノール樹脂は、R1及びR2がメチレン基より大きな2価の基であるため、フェノール基同士の距離が長くなり、前述のような作用を発揮する。ここで、アリレン基としては、フェニレン基等が挙げられ、炭素数2〜10のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基等が挙げられ、アラルキレン基としては、キシリレン基又は[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジメチレン基等が挙げられ、シクロアルケニレン基としては、シクロヘキシレン、ジシクロデシレン、トリシクロデシレン等が挙げられ、シクロアルカジエニレン基としては、シクロペンタジエニレン基等が挙げられる。これらの中でも、R1及びR2としては、キシリレン基又は[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジメチレン基が好ましい。
【0026】
上記ゴム組成物に配合する式(I)で表されるフェノール樹脂としては、市販のフェノール樹脂が使用でき、例えば、明和化成社のMEH−7800、MEH−7851等が使用できる。
【0027】
式(I)のフェノール樹脂の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対して0.5〜30質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。0.5質量部未満では、ゴム組成物の剛性を向上させる効果が小さく、30質量部を超えると、ゴム組成物の発熱性が著しく上昇してしまう。
【0028】
上記ゴム組成物は、メチレン供与体である硬化剤を含有するのが好ましい。但し、前記R0がメチロール基の場合、該フェノール樹脂は自己硬化性なので、硬化剤は不要である。該硬化剤としては、ヘキサメチレンテトラミン、ヘキサメチルメチロールメラミン等が挙げられる。ここで、硬化剤の配合量は、前述した式(I)のフェノール樹脂の0〜20質量%、好ましくは3〜15質量%である。該硬化剤を配合しなくても、フェノール樹脂の配合量によっては所望の弾性率が得られるが、より低部数で発熱性と弾性率とを両立するには、硬化剤の配合量は3〜15質量%が好ましい。なお、硬化剤の配合量が20質量%を超えると、ゴム組成物の弾性率が著しく上昇してしまう。
【0029】
上記ゴム組成物は、シリカを含有するのが好ましい。ゴム組成物にシリカを配合することによって、ゴム組成物を低発熱化することができる。従来、ゴム組成物にシリカを配合すると、ゴム組成物の弾性率が低下するという問題があったが、本発明のタイヤに用いるゴム組成物には前記式(I)で表されるフェノール樹脂が配合されているため、該問題は解決されている。ここで、シリカの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し2〜50質量部である。シリカの配合量が2質量部未満では、低発熱化の効果やチッピング改良幅が小さく、50質量部を超えると、シリカが自己凝集するためゴム組成物を混練する際の作業性が著しく悪化する。
【0030】
上記シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、180〜270m2/gであるのが好ましい。シリカのN2SAが180m2/g未満では、タイヤの耐チッピング性を改良する効果が小さく、270m2/gを超えると、ゴム組成物の粘度が上昇して混練時の作業性が著しく低下してしまう。
【0031】
上記シリカは、シリコーンオイルで熱処理されていてもよい。シリコーンオイルで熱処理することにより、シリカの表面エネルギーを低下させ、シリカ粒子間の凝集を弱め、流動性を向上させることができる。これらの目的に使用されるシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、アルコキシ基含有メチルシリコーンオイル等が挙げられ、これらで無触媒或いは硬化触媒と共にシリカ粉体に表面処理を施した後、必要に応じて加熱焼き付け処理が行われる。
【0032】
上記ゴム組成物がシリカを含有する場合、該ゴム組成物は更にシランカップリング剤を含有するのが好ましい。シランカップリング剤を配合することにより、タイヤの耐摩耗性が更に向上し、tanδが更に低下する。ここで、シランカップリング剤の配合量は、シリカの質量の3〜20質量%が好ましい。該シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシ−エトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロへキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)テトラスルフィド、ビス(3−(トリエトキシシリル)プロピル)ジスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルジメチルチオカルバミルテトラスルフィド、γ−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアジルテトラスルフィド等が挙げられる。
【0033】
上記ゴム組成物は、ヒドラゾン化合物を含有するのが好ましい。ゴム組成物にヒドラゾン化合物を配合することにより、ゴム組成物の加硫戻りを抑制しつつ、タイヤの発熱性を低減することができる。ここで、該ヒドラゾン化合物の配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.30〜2.0質量部である。ヒドラゾン化合物の配合量が0.1質量部未満では、ゴム組成物の加硫戻りの抑制効果及びタイヤの発熱性の低減効果が小さく、5.0質量部を超えると、コスト高となり、また、効果幅も小さくなる。
【0034】
上記ヒドラゾン化合物としては、下記式(IV)〜(VI)で表されるヒドラゾン化合物が好ましい。
【化5】
【化6】
【化7】
【0035】
上記式(IV)〜(VI)において、Aは、2価の芳香族環基(結合の位置は問わず、オルト位、メタ位、パラ位の何れでもよい)、ヒダントイン環基、又は炭素数0〜18の飽和若しくは不飽和の直鎖状炭化水素基(エチレン基、テトラメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、オクタデカメチレン基、7,11−オクタデカジエニレン基等)を表す。Bは、芳香族基(フェニル基、ナフチル基等)を表す。Xは、ヒドロキシ基又はアミノ基を表す。Yは、ピリジル基又はヒドラジノ基を表す。R3〜R6は、水素、及び炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、芳香族環(置換基を有していてもよく、その場合の置換基の位置は問わない)であり、それぞれ互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0036】
前記式(IV)で表されるヒドラゾン化合物としては、例えば、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ヒドラジドの誘導体であるイソフタル酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、イソフタル酸ジ(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド、アジピン酸ジ(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド等が挙げられる。また、これらの他、例えば、テレフタル酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、イコサノイックジカルボン酸ジヒドラジド等の誘導体も挙げられる。これらの中でも、発熱性を悪化させることなくムーニー粘度を低減させることができる点で、イソフタル酸ジヒドラジドの誘導体が好ましい。
【0037】
前記式(V)で表されるヒドラゾン化合物としては、例えば、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体の他、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)サリチル酸ヒドラジド(BMS)、4−ヒドロキシ安息香酸ヒドラジド、アントラニル酸ヒドラジド、1−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジドの各誘導体等が挙げられる。3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体としては、例えば、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド等の3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド等が挙げられる。これらの中でも、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体や、N’−(1,3−ジメチルブチリデン)サリチル酸ヒドラジド(BMS)の誘導体は、発熱性を悪化させることなく、ムーニー粘度を低く抑えることができる点で好ましく、効果が顕著な点で、3−ヒドロキシ,2−ナフトエ酸ヒドラジド(HNH)の誘導体である3−ヒドロキシ,N’−(1,3−ジメチルブチリデン)−2−ナフトエ酸ヒドラジド(BMH)が特に好ましい。
【0038】
前記式(VI)で表されるヒドラゾン化合物としては、例えば、イソニコチン酸(1−メチルエチリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1−メチルプロピリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1,3−ジメチルプロピリデン)ヒドラジド、イソニコチン酸(1−フェニルエチリデン)ヒドラジド等のイソニコチン酸ヒドラジドの誘導体の他、炭酸ジヒドラジドの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、イソニコチン酸ヒドラジドの誘導体は、発熱性を悪化させることなく、ムーニー粘度を低減させることができる点で好ましい。
【0039】
前記式(IV)〜(VI)で表されるヒドラゾン化合物は、ゴム組成物の加硫戻りの抑制効果に優れ、前記ゴム成分として天然ゴムを含むゴム組成物に好適であり、高温加硫条件下でもその性能の低下が少ない。該ヒドラゾン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。なお、前記式(IV)〜(VI)で表されるヒドラゾン化合物は、Pant, U. C.; Ramchandran, Reena; Joshi, B. C. Rev. Roum. Chim. (1979) 24 (3), 471−82の文献に記載された方法に基いて製造することができる。
【0040】
上記ゴム組成物は、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有するのが好ましい。ゴム組成物に無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを配合することにより、ゴム組成物の未加硫時の粘度を低下させることができる。ここで、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルの配合量は、前記ゴム成分100質量部に対し0.1〜5.0質量部であり、好ましくは0.2〜5.0質量部であり、より好ましくは0.5〜3.0質量部である。無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルの配合量が0.1質量部未満では、未加硫ゴム組成物の粘度の低減効果が小さく、5.0質量部を超えると、未加硫ゴム組成物の粘度を低減する効果が飽和する一方、コスト高となる。
【0041】
上記無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルとしては、下記式(VII)で表される化合物が挙げられる。
【化8】
(式中、mは平均重合度を表わす1以上の数であり、R7はアルキレン基、R8はアルキル基、アルケニル基、アルキルアリール基又はアシル基である。)
【0042】
式(VII)において、mは1〜10であるのが好ましい。また、R7は、炭素数2〜4のアルキレン基であるのが好ましく、エチレン基又はプロピレン基であるのがより好ましく、プロピレン基であるのが特に好ましい。更に、R8は、炭素数2〜28のアルキル基又はアルケニル基であるのが好ましく、炭素数8〜18のアルキル基又はアルケニル基であるのがより好ましい。
【0043】
式(VII)で表される化合物は、無水マレイン酸と、(ポリ)オキシアルキレン誘導体とを反応させることで得られる。ここで、(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、例えば、1個以上の水酸基を持った平均重合度1以上の(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、好ましくは1〜2個の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物であり、特に好ましくは1個の水酸基を持った(ポリ)オキシアルキレン基を有する化合物である。(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、(ポリ)オキシアルキレンアルキルエーテル等のエーテル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸モノエステル等のエステル型;(ポリ)オキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型;(ポリ)オキシアルキレン脂肪酸アミド、(ポリ)オキシアルキレンアルキルアミン等の含窒素型等が挙げられるが、これらの中でもエーテル型とエステル型が好ましく、エーテル型が特に好ましい。
【0044】
上記エーテル型の(ポリ)オキシアルキレン誘導体としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレン2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシアルキレン脂肪族エーテル;ポリオキシエチレンベンジルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンベンジル化フェニルエーテル等のポリオキシアルキレン芳香族エーテル等が挙げられるが、ポリオキシアルキレン脂肪族エーテルが好ましい。更には、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、及びポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテルが好ましく、特にポリオキシエチレン又はポリオキシプロピレンの平均重合度が1〜10で、アルキル基又はアルケニル基の炭素数が8〜18であることが好ましい。具体的には、ポリオキシエチレンをPOE(q)、ポリオキシプロピレンをPOP(r)と略し、q,rを各々平均重合度とすれば、POE(3)オクチルエーテル、POE(4)2−エチルヘキシルエーテル、POE(3)デシルエーテル、POE(5)デシルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(8)ラウリルエーテル、POE(1)ステアリルエーテル、POP(3)ラウリルエーテル、POP(5)ラウリルエーテル、POP(5)ミリスチルエーテルなどが挙げられる。上記(ポリ)オキシアルキレン誘導体は、単独で用いてもよく、また2種以上を併用してもよい。
【0045】
上記ゴム組成物に配合する充填剤としては、上述したシリカの他、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ、クレー等が挙げられ、これら充填剤は、一種単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、窒素吸着比表面積(N2SA)が30〜160m2/gであるカーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックのN2SAが30m2/g未満では、タイヤの低発熱化に優れるものの耐摩耗性等の破壊特性が著しく低下し、N2SAが160m2/gを超えると、ゴム組成物の混練時の作業性が著しく低下してしまう。
【0046】
上記ゴム組成物には、上記ゴム成分、フェノール樹脂、硬化剤、充填剤、シランカップリング剤、ヒドラゾン化合物、無水マレイン酸の部分エステルの他に、ゴム業界で通常使用される配合剤、例えば、軟化剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等を目的に応じて適宜配合することができる。
【0047】
本発明の空気入りタイヤは、上述のように高弾性且つ低発熱性で耐摩耗性が改善されたゴム組成物をタイヤ部材の少なくとも何れかに適用してなるため、重荷重用空気入りタイヤとして好適である。また、該タイヤは、悪路走行用のオフロードタイヤとして特に好適である。なお、本発明の空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
【0048】
上記ゴム組成物を適用するタイヤ部材としては、トレッドゴム、キャップ・ベース構造のトレッドにおけるベースゴムが挙げられる。上記ゴム組成物は耐摩耗性が高いため、トレッドゴムに好適であり、また、剛性が高く低発熱性であるためベースゴムとしても好適である。
【0049】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、 本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0050】
表1に示す配合処方のゴム組成物を調製し、その弾性率を以下の方法で評価した。また、該ゴム組成物をトレッドに用い、通常の加硫条件で加硫して、サイズ3700R57のタイヤ(オフロードタイヤ)を試作し、下記に示す方法で発熱性及び耐摩耗性を評価した。結果を表1に示す。なお、表1中、フェノール樹脂(未変性)は前記式(II)で表され、フェノール樹脂(キシリレン型)は前記式(III)で表され、フェノール樹脂(ビフェニレン型)は下記式(VIII)で表される。
【0051】
【化9】
【0052】
(1)弾性率
上記ゴム組成物を加硫したサンプルについて、東洋精機社製スペクトロメーターを用い、歪1%、50Hz、測定温度25℃にて動的貯蔵弾性率(E’)を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、弾性率が高く、剛性が高いことを示す。
【0053】
(2)発熱性
上記供試タイヤに対し、一定速度・ステップロード条件のドラムテストを実施し、タイヤトレッド内部の一定深さ位置の温度を測定し、比較例1の値を100として指数表示した。指数値が大きい程、温度が低く、低発熱化の効果が大きいことを示す。
【0054】
(3)耐摩耗性
上記供試タイヤをオフロードカーの4輪に装着して2000時間走行した後、
走行距離/(トレッドの走行前溝深さ−走行後溝深さ)
を算出し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、耐摩耗性が高く良好であることを示す。
【0055】
【表1】
【0056】
表1から、未変性のフェノール樹脂に代えて式(I)で表されるフェノール樹脂を用いた実施例のゴム組成物は、弾性率が向上していることがわかる。また、該ゴム組成物をトレッドに用いた実施例のタイヤは、発熱性が低く、耐摩耗性も向上していた。
【0057】
次に、表2に示す配合処方のゴム組成物を調製し、上記の方法で弾性率、発熱性及び耐摩耗性を評価し、更に下記の方法でムーニー粘度を測定し、表2に示す結果を得た。ここで、シリコーン改質シリカは、シリカをシリコーンオイルで熱処理したものを用いた。
【0058】
(4)ムーニー粘度
JIS K 6300に準拠し東洋精機社製RLM−01型テスターを用いて上記ゴム組成物のムーニー粘度ML1+4(130℃)を測定し、比較例1を100として指数表示した。指数値が大きい程、ムーニー粘度が低く、混練時の作業性が良好であることを示す。
【0059】
【表2】
【0060】
表2から、未処理のシリカに代えて、シリコーンオイルで熱処理したシリカをゴム組成物に配合することにより、ムーニー粘度が低下して、ゴム組成物の混練時の作業性が向上することが分かる。
【0061】
【発明の効果】
本発明によれば、特定のフェノール樹脂を配合してなるゴム組成物を空気入りタイヤに適用することにより、高弾性且つ低発熱性で、耐摩耗性が改善されたタイヤを提供することができる。
Claims (13)
- 前記ゴム組成物がメチレン供与体である硬化剤を含有してなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物がシリカを含有してなることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物がシランカップリング剤を含有してなることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物がヒドラゾン化合物を含有してなることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物が、無水マレイン酸と(ポリ)オキシアルキレン誘導体との部分エステルを含有してなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物がカーボンブラックを含有してなることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム成分が天然ゴムを20質量%以上含有することを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記シリカがシリコーンオイルで熱処理されていることを特徴とする請求項3に記載の空気入りタイヤ。
- 前記空気入りタイヤが重荷重用空気入りタイヤであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記重荷重用空気入りタイヤがオフロードタイヤであることを特徴とする請求項10に記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ部材がトレッドゴムであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記タイヤ部材が、キャップ・ベース構造のトレッドにおけるベースゴムであることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の空気入りタイヤ。
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