JP2004231199A - 輸液バック収納外包装袋 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、輸液バック収納外包装袋中で、輸液バックの揺動を防止し、輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることのできる、ガスバリア性を有する輸液バック収納外包装袋を提供することを目的とする。
【解決手段】輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
前記外包装袋の最内層がシーラント層からなり、該シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、前記積層体を成形して、三方シール袋とし、輸液バッグを収納した後、該外包装袋の頂部開口部を熱融着して封止してなる扁平袋体であることを特徴とする輸液バック収納外包装袋である。
【選択図】図1
【解決手段】輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
前記外包装袋の最内層がシーラント層からなり、該シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、前記積層体を成形して、三方シール袋とし、輸液バッグを収納した後、該外包装袋の頂部開口部を熱融着して封止してなる扁平袋体であることを特徴とする輸液バック収納外包装袋である。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液バッグ収納外包装袋に関し、特に、アミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液が封入された輸液バッグのエッジにより擦られて内面から突き刺しによるピンホールの発生を防止する、ガスバリア性を有する輸液バッグ収納外包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
輸液等の医療用薬液の容器として、従来よりガラス容器が使用されてきたが、衝撃による破損の危険性や重い点に難点があり、また、嵩張って輸送や保管に不便である等の欠点がある。
【0003】
近年、ガラス容器に替わって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック製容器が多く使用されている。然しながら、これらのプラスチック製容器は、それ自体には、ガラス容器のように薬液の酸素による変質を防止し得る高度の酸素バリアー性を有しておらず、特に、酸素に対し変質し易いアミノ酸、脂肪乳酸、糖類等の薬液を収納するプラスチック製容器には、その薬液容器を収納する酸素バリアー性を備えた袋中に脱酸素剤と共に外包装することが一般的にとられている。その薬液容器(バッグ)を外包装する外包装袋にあっては、その内部に収納保存したバッグ(以下、輸液バッグという)が視認出来ること、さらには、輸液バッグ中の薬液(薬剤)の変色等の変質をも視認出来ることが望ましく、多くの酸素バリアー性外包装袋には、透明性で、可撓性のあるプラスチック容器が一般に採用されている。
【0004】
その外包装袋の酸素バリアー性能としては、静置保存保証期間中袋内部を無酸素状態に維持するための酸素バリアー性の必要なことは勿論のことであるが、段ボール箱梱包体等を用いて輸送する時や、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールもしくは外包装袋の底部の左右両側の角部の折れ曲がり変形が反復生起し、屈曲疲労のために生じ易いピンホールに対して、極力その発生を抑える材質や袋形状であることが必要である。
【0005】
しかし、輸液バッグが2ツ折りされて外包装袋に収納することを必要とする場合においては、度々、段ボール箱梱包体の振動で、外包装袋に、ピンホールの発生が生じているのが実態であり、酸素に対して変質の早い薬剤等では問題となっていた。特に、輸液バッグの2ツ折り部が剥離可能な熱溶着シールで前後の室に分割され、各々にアミノ酸、ブドウ糖、脂肪乳酸等の酸素によって変質し易い薬剤を収納した輸液ダブルバックでは、その2ツ折りの端部はフイルム面がシールされている為、比較的に剛性が高く、いわば、エッヂ化されている状態を呈するために、外包装袋中での擦れ、また、外包装袋の段ボールとの擦れにより生じるピンホールの発生防止は重要な課題となっており、単に、形状のみで振動を防止し、ピンホールの発生防止をしようとするだけでは不充分であった。
【0006】
従来、例えば特許文献1に記載されているような、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/ポリビニルアルコール(PVA)等のバリア層/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層からなる構成、または二軸延伸ナイロン(ONy)層/PVA等のバリア層/低密度ポリエチレン(LDPE)からなる構成のバリア性積層材料が、袋形成用基材として広く使用されていたが、ピンホールの発生防止は不充分であった。輸液バック梱包体での外包装袋のピンホールの発生防止の方向として、食品包装に見られる如く外包装袋を2重包装とする手段も採用されてきた。然しながら、袋の形状として単に3方シール袋の2重包装やあるいはフイルムを2枚重ねとして3方シール袋として輸液バッグを収納した後外包装袋の頂部開口部をシールした重袋包装方式でも、外包装袋の底辺シール部近傍のフイルム面には、内層側あるいは外層側の一方又は両方共が揺動によるピンホールが発生し、その発生を防ぎ切れていないのが現状である。
【0007】
また、輸液バック梱包体での外包装袋のサイズや形状によって、内容物の輸液バッグを収納固定する方法も提案されているが、収納する輸液バック毎製袋機の調整等を必要とするなど製袋加工が煩雑となり生産効率の低下を招く問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−216325号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の有する欠点を解消するためになされたもので、輸液バック収納外包装袋中で、輸液バックの揺動を防止し、輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることのできる、ガスバリア性を有する輸液バック収納外包装袋を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
前記外包装袋の最内層がシーラント層からなり、該シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、前記積層体を成形して、三方シール袋とし、輸液バッグを収納した後、該外包装袋の頂部開口部を熱融着して封止してなる扁平袋体であることを特徴とする輸液バック収納外包装袋である。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、
請求項1記載の輸液バック収納外包装袋において、前記積層体が、少なくとも耐ピンホール性を有するプラスチック基材層からなる最外層、ガスバリア性基材層からなる中間層、シーラント層からなる最内層を、順次積層してなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、
請求項1または2記載の輸液バック収納外包装袋において、前記シーラント層が、滑剤等を含有しない無添加ポリオレフィン系樹脂からなり、該樹脂の密度が0.85〜0.93g/cm3の範囲であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸液バック収納外包装袋において、前記シーラント層が、厚さ10〜150μmの範囲の単層もしくは共押出し多層からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の輸液バック収納外包装袋において、前記ガスバリア性基材が、プラスチック基材上に金属もしくは無機酸化物からなる蒸着薄膜層を形成してなるガスバリア性蒸着フィルムであることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、
請求項5記載の輸液バック収納外包装袋において、前記無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムのいずれかあるいはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の輸液バック収納外包装袋と輸液バックの収納形態の一例を示す図である。また、図2は、本発明の輸液バック収納外包装袋と輸液バックの収納形態の他の例を示す図である。さらに、図3は、本発明の輸液バック収納外包装袋を構成する基材としての積層体の一例を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、例えば、本発明の輸液バック収納外包装袋10は、輸液等の薬液が封入されたバッグ(輸液バック)20を収納する、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
上記外包装袋の最内層10aがシーラント層からなり、そのシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、上記積層体の左右の側縁部13,14および底縁部15をそれぞれ熱融着して製袋され、これに輸液バック20を収納し、頂部開口部12の端縁部11を熱融着により封止してなる扁平袋体の輸液バック収納外包装袋10を完成する。
【0018】
また、図2に示すように、輸液バックとして混合用薬液を2室41,42に分けて保存するための区画シール部47における弱シール部48の両端部49,49′を強シール状態とした輸液バックを収納した例を示したもので、上記同様、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ外包装袋であって、外包装袋30の最内層30aがシーラント層からなり、そのシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、上記積層体の上記積層体の左右の側縁部32,33および底縁部34をそれぞれ熱融着して製袋され、これに輸液バック20を収納し、頂部開口部の端縁部31を熱融着により封止してなる扁平袋体の輸液バック収納外包装袋10を完成する。
【0019】
外包装袋10,30の最内層シーラント層10a,30aの内表面の静摩擦係数が0.4以上としたことで、外包装袋10に収納された輸液バッグ20が外包装袋内で滑り難く、外包装袋内に固定され、段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を防止する扁平体の輸液バック収納外包装袋を提供できる。
【0020】
本発明で使用される輸液バック収納外包装袋を構成する袋形成用積層体は、図3に示すように、例えば、最外層として、耐ピンホール性、緩衝性を有するプラスチック基材51と、中間層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム等のプラスチック基材52上に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層53を形成し、その上にガスバリア性被覆層を塗布して設けてなるガスバリア性蒸着フィルム55と、最内層としてシーラント層56とを、順次積層した構成の積層体50を使用することができる。
【0021】
本発明で使用される最外層としてのプラスチック基材51としては、耐ピンホール性、緩衝性を有するものであれば特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアミド系フィルム等が挙げられる。それらの二軸延伸フィルムが好適に用いられる。
【0022】
特に、耐ピンホール性の観点からポリアミド系フィルムが好適に用いられる。好ましいホモポリアミドの具体例としては、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−9、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−2,6、ナイロン−4,6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12、ナイロン−8,6、ナイロン−10,6、ナイロン−10,10、ナイロン−12,12、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。特に、
【0023】
また、例えば、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体等のコポリアミドを用いることもできる。
【0024】
これらポリアミド系フィルムには、柔軟性を付与するため芳香族スルホンアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸、エステル類等の可塑剤を配合したり、低弾性率のエラストマー成分やラクタム類等を配合することも可能である。該エラストマー成分としては、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系熱可塑性エラストマー、変性アクリルゴム、変性エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
【0025】
上記のポリアミド系フィルムには、必要に応じて他の添加剤、たとえば可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、耐ブロッキング剤、他の樹脂などを適量ブレンドすることも可能である。
【0026】
本発明で使用される中間層としては、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいはポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)等のガスバリア性に高い高分子樹脂からなるフィルムまたはそのガスバリア性に高い高分子樹脂組成物をラミネートまたはコーティングにより設けたガスバリア性積層体を用いることができる。また、高度なガスバリア性や遮光性が要求される場合には、環境保護の点からアルミニウム箔より遙かにアルミニウム蒸着フィルムを用いることができる。
【0027】
次に、上記のガスバリア性蒸着フィルム55について詳細に説明する。
ガスバリア性蒸着フィルム55のプラスチック基材52としては、例えば、具体例としては、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン−アクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)などのハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の高水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂等が挙げられる。
【0028】
それらの中で、二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが好ましく使用される。なお、基材フィルム52の素材としては、廃棄時や、リサイクル時の環境保護性を考慮すれば、炭素と水素とからのみなる樹脂や、炭素と水素と酸素とのみからなる樹脂が好ましい。
【0029】
上記の基材フィルム構成樹脂中には、必要に応じて他の添加剤、たとえば可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、耐ブロッキング剤、他の樹脂などを適量ブレンドすることも可能である。また、該基材フィルムの片面側には、ガスバリア層を構成する無機質蒸着層が形成されるが、該蒸着の前あるいは蒸着中に、基材フィルムの表面を薄膜との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいても良く、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
【0030】
基材フィルム52の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあること、無機酸化物薄膜層53、ガスバリア被膜層54を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には1〜200μmの範囲で、用途によって5〜50μmとすることが好ましいと言える。
【0031】
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺フィルムとすることが望ましい。
【0032】
上記基材フィルム52上に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層53を設ける際の密着性を高めるために、必要に応じてアンカーコート層(図示せず)を設けることができる。これにより、内容物充填後の経時によるラミネート強度の劣化を防止することができる。
【0033】
上記目的を達成するために用いることができるアンカーコート樹脂としては、は、ポリエステル樹脂単体またはこの樹脂とイソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂のうちから選ばれる1種類以上の混入樹脂との混合物である必要がある。
【0034】
上記ポリエステル樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの反応性誘導体等の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、イソペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAAのアルキレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール等のアルコール原料から周知の方法で製造されたものが用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0035】
また、ポリエステル樹脂に添加される混入樹脂は、更に密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するために混入樹脂としては、トリレンジイソシアネート(TDI)やキシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサレンジイソシアネート(MDI)などのイソシアネート系樹脂、ビスフェノールAジグリシンエーテル型エポキシや水添ビスフェノール型エポキシなどのエポキシ系樹脂、メラミン系樹脂及びこれらの1種以上の混合物が用いることができる。中でもイソシアネート系樹脂(特にTDI)を用いる場合が、最も密着性に優れているので好ましい。
【0036】
ポリエステル樹脂と混入樹脂の混合割合としては、ポリエステル樹脂のOH基やCOOH基に対して、イソシアネート基やエポキシ基、アミノ基等が当量以上含まれていれば良い。例えば混入樹脂としてイソシアネート系樹脂単体を用いる場合、ポリエステル樹脂とイソシアネート系樹脂との配合比は(ポリエステルのOH基):(イソシアネートのNCO基)で1:0.5〜1:20の範囲であることが望ましい。当量以下であると硬化不良、架橋不足となり密着性に問題がある。しかし、あまり過剰に加えると、加えた樹脂が反応ぜずに残り膜に悪影響を与えるので好ましくまい。混合の方法については、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
【0037】
アンカーコート樹脂を溶解する有機溶剤としては、樹脂を溶解することが可能であれば特に限定されることはなく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類のうち単独または任意に配合したものが使用できる。好ましくは、塗膜加工及び臭気の面からトルエンとメチルエチルケトンを混合したものが良い。
【0038】
アンカコート樹脂に各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホウホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加することも可能である。
【0039】
アンカコート層の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01μm〜1.0μmの範囲、特に好ましくは0.01μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0040】
アンカコート層の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件でよい。
【0041】
本発明における無機酸化物からなる蒸着薄膜層53は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよいが、生産性、透明性の観点から酸化アルミニウムが好ましい。ただし、本発明における蒸着薄膜層は、上述した無機酸化物に限定されることなく、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0042】
蒸着薄膜層53の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜2000Åの範囲、より好ましくは5〜500Åの範囲で、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が5Å未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が500Åを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。また、厚みが厚くなり経済的な面でも不利である。
【0043】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層53を基材フィルム52上に形成する方法としては種々あり、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式とすることが好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0044】
ガスバリア性被膜層54は、無機酸化物からなる蒸着薄膜層53上に設けられ、アルミニウム箔並の高いガスバリア性を付与するために設けられるものであり、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなる。水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を蒸着薄膜層にコーティング、加熱乾燥し形成したものである。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
【0045】
上記コーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAとする)を本発明の積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAまでを含み、特に限定されるものではない。
【0046】
また、塩化錫は塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、或いはそれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
【0047】
さらに、金属アルコキシドは、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などの一般式、
M(OR)n
(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C2H5等のアルキル基)で表せるものである。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0048】
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。
【0049】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(以下TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(以下TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(以下TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
【0050】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.1μm以上あれば良いが、厚さが10μm以上では膜にクラックが生じやすくなるため、0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。
【0051】
本発明で使用される外包装袋の最内層を構成するシーラント層56の素材は、シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上、好ましくは0.4以上、2.0以下の範囲で調整できる材質であれば特に限定されない。このシーラント層56の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびそれらの金属架橋物等のアイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0052】
特に、上記のポリオレフィン系樹脂の密度が0.85〜0.93g/cm3の範囲の滑剤等を含有しない無添加ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
シーラント層56は、上記のポリオレフィン系樹脂に、さらに粘着付与剤やエラストマーを含有することができる。
【0054】
粘着付与剤としては、シーラント層56の粘着性を調整する作用を有するものであり、具体的には、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、重合ロジン等のロジン系樹脂、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジシクロペンタジエン重合体、テルペン−フェノール重合体等のテルペン系樹脂、炭素数5〜9の石油樹脂およびそれらの水素添加物などが挙げられる。これらのなかでも、特に好ましいのは、石油樹脂の水素添加物である。
【0055】
エラストマーとしては、シーラント層56の耐衝撃性を向上させる作用を有するものであり、通常、熱可塑性のエラストマーとして知られているもの、たとえばエチレン−プロピレン共重合体系ゴム、エチレン−ブテン−1共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−共役ジオレフィンブロック共重合ゴム、1,2−ポリブタジエンゴムが挙げられる。これらのなかでも、好ましいのはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム、スチレン−共役ジオレフィンブロック共重合ゴムである。
【0056】
シーラント層を形成するポリオレフィン系樹脂に上記粘着付与剤やエラストマーの配合割合は、外包装袋の最内層を形成するシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上、好ましくは0.4以上、2.0以下の範囲になるように適宜配合割合を決定すればよい。
【0057】
シーラント層56は、上記のポリオレフィン系樹脂からなる単層構造としてもよいし、多層構造であってもよい。厚さは、通常、10〜150μmの範囲で適宜選択すればよい。
【0058】
シーラント層56の積層方法としては、例えば、フィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法を採用して積層してもよいし、シーラント樹脂を押し出しラミネート法を採用して積層してもよい。また、ポリエチレン層等を介してサンドイッチラミネートしてもよいし、あるいは共押し出し法を採用して積層してもよい。
【0059】
この外包装袋において、最外層基材層11の裏面(シーラント層側)には、通常、印刷による絵柄等の印刷層を設けることもできる。この印刷層は、外包装袋として実用的に用いられるために、外観用の文字、図形、記号、絵柄等の美麗な装飾模様が形成されるものである。インキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤、その他添加剤などを添加されてなるインキにより構成される層である。形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式や、また、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。厚さは、0.1〜2.0μmでよい。
【0060】
以上、上述したように、本発明の輸液バッグ収納外包装袋を構成することで、輸液バッグを収納した外包装袋を段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることができる。従って、ガスバリア性が安定に保持され、輸液バックの内容物であるアミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液野品質保持効果に優れるものである。
【0061】
【実施例】
【0062】
<実施例1>
最外層として、厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)と、中間層として厚さ12μmのポリビニルアルコールフィルム(PVA)とを積層し、そのPVA層側に、さらにシーラント層として、厚さ90μmのスリップ剤等を含有しない無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)を積層して、下記の構成▲1▼の本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
また、上記シーラント層として、密度0.92g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)と上記と同様のスリップ剤等を含有しない無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂とを共押し出ししてなる2層構成の共押し出しフィルムを積層して、下記の構成▲2▼の本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
[構成▲1▼の外包装袋形成用基材]
OPP層(30μm)/PVA層(12μm)/IO層(0.94g/cm3、90μm)
[構成▲2▼の外包装袋形成用基材]
OPP層(30μm)/PVA層(12μm)/[LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/IO層(0.94g/cm3、30μm)]
【0063】
<実施例2>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.92g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.92g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/LDPE層(0.92g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0064】
<実施例3>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.89g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーランと層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.89g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/LDPE層(0.89g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0065】
<実施例4>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材の中間層(バリア層)として、PVA層の代わりに、酸化アルミニウム蒸着層の表面にガスバリア被覆層を塗布形成した蒸着フィルム(厚さ12μm)(凸版印刷株式会社製、商品名「GL―AEH」)を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0066】
<比較例1>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.94g/cm3の中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.94g/cm3の中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/MDPE層(0.94g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0067】
<比較例2>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシランと層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.91g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーランと層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.91g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/LLDPE層(0.91g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0068】
上記の実施例1〜4および比較例1、2で得られた外包装袋形成用基材としての積層体の最内層のシーラント層内表面の静摩擦係数を測定した。その結果を表1に示す。
【0069】
また、上記の実施例1〜3および比較例1、2で得られた外包装袋形成用基材を300mm×300mmの大きさの四方シール扁平形状の外包装袋を作成し、別途用意した内容物としてアミノ酸溶液を1000ml入り輸液バッグを上記外包装袋に収納した10袋を段ボールに5段×2列に段積みし、輸液バッグ収納外包装袋が段ボール内で動かないように緩衝材を詰めた。この段ボールを振動試験機にて、±2.5Gで垂直30分、縦横各々15分の条件で振動した後、輸液バッグを取り出し、収納外包装袋にピンホールを発生した外包装袋の個数を数えた。その結果を表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表1より、比較例1、2で得られた輸液バッグ収納外包装袋形成用基材としての積層体の最内面シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4より小さい値であるのに対して、実施例1〜4で得られた本発明の輸液バッグ収納外包装袋形成用基材としての積層体の最内面シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であることから、表2に示すように、振動試験において、比較例1、2で得られた輸液バッグ収納外包装袋にピンホールの発生が確認されたのに対して、本発明の輸液バッグ収納外包装袋にはピンホールの発生が見られない。このことは、本発明の輸液バッグ収納外包装袋最内層のシーラント層内表面の静摩擦係数を0.4以上としたことで、輸液バッグを収納した外包装袋において、外包装袋に収納された輸液バッグが外包装袋内で滑り難く、外包装袋内に固定され、段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることができた。従って、ガスバリア性が安定に保持され、輸液バックの内容物であるアミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液野品質保持効果に優れるものである。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ外包装袋の最内層がシーラント層からなり、そのシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上としたことでであり、外包装袋に収納された輸液バッグが外包装袋内で滑り難く、外包装袋内に固定され、段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を防止する扁平体の輸液バック収納外包装袋を提供できる。
【0074】
従って、ガスバリア性が安定に保持され、輸液バックの内容物であるアミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液野品質保持効果に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸液バック収納外包装袋の一例を説明する説明図である。
【図2】本発明の輸液バック収納外包装袋の他の例を説明する説明図である。
【図3】本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10、30・・・外包装袋
10a、30a・・・外包装袋最内層(シーラント層)
10b、30b・・・外包装袋中間層(ガスバリア層)
10c、30c・・・外包装袋最外層(基材層)
11、31・・・開口部シール部
12・・・開口部
13、32・・・側縁部シール部
14、33・・・側縁部シール部
15、34・・・底縁部シール部
20、40・・・輸液バック
21、45、46・・・口栓
22・・・吊り手部
41・・・第1薬液室
42・・・第2薬液室
43・・・輸液バック上端部強シール部
44・・・輸液バック下端部強シール部
47・・・区画シール部
48・・・区画弱シール部
49・・・区画強シール部
50・・・外包装袋形成用積層基材
51・・・最外層(基材層)
52・・・基材層
53・・・蒸着薄膜層
54・・・被覆層
55・・・中間層(例えば、ガスバリア性蒸着フィルム)
56・・・最内層(シーラント層)
【発明の属する技術分野】
本発明は、輸液バッグ収納外包装袋に関し、特に、アミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液が封入された輸液バッグのエッジにより擦られて内面から突き刺しによるピンホールの発生を防止する、ガスバリア性を有する輸液バッグ収納外包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
輸液等の医療用薬液の容器として、従来よりガラス容器が使用されてきたが、衝撃による破損の危険性や重い点に難点があり、また、嵩張って輸送や保管に不便である等の欠点がある。
【0003】
近年、ガラス容器に替わって、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル樹脂等のプラスチック製容器が多く使用されている。然しながら、これらのプラスチック製容器は、それ自体には、ガラス容器のように薬液の酸素による変質を防止し得る高度の酸素バリアー性を有しておらず、特に、酸素に対し変質し易いアミノ酸、脂肪乳酸、糖類等の薬液を収納するプラスチック製容器には、その薬液容器を収納する酸素バリアー性を備えた袋中に脱酸素剤と共に外包装することが一般的にとられている。その薬液容器(バッグ)を外包装する外包装袋にあっては、その内部に収納保存したバッグ(以下、輸液バッグという)が視認出来ること、さらには、輸液バッグ中の薬液(薬剤)の変色等の変質をも視認出来ることが望ましく、多くの酸素バリアー性外包装袋には、透明性で、可撓性のあるプラスチック容器が一般に採用されている。
【0004】
その外包装袋の酸素バリアー性能としては、静置保存保証期間中袋内部を無酸素状態に維持するための酸素バリアー性の必要なことは勿論のことであるが、段ボール箱梱包体等を用いて輸送する時や、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールもしくは外包装袋の底部の左右両側の角部の折れ曲がり変形が反復生起し、屈曲疲労のために生じ易いピンホールに対して、極力その発生を抑える材質や袋形状であることが必要である。
【0005】
しかし、輸液バッグが2ツ折りされて外包装袋に収納することを必要とする場合においては、度々、段ボール箱梱包体の振動で、外包装袋に、ピンホールの発生が生じているのが実態であり、酸素に対して変質の早い薬剤等では問題となっていた。特に、輸液バッグの2ツ折り部が剥離可能な熱溶着シールで前後の室に分割され、各々にアミノ酸、ブドウ糖、脂肪乳酸等の酸素によって変質し易い薬剤を収納した輸液ダブルバックでは、その2ツ折りの端部はフイルム面がシールされている為、比較的に剛性が高く、いわば、エッヂ化されている状態を呈するために、外包装袋中での擦れ、また、外包装袋の段ボールとの擦れにより生じるピンホールの発生防止は重要な課題となっており、単に、形状のみで振動を防止し、ピンホールの発生防止をしようとするだけでは不充分であった。
【0006】
従来、例えば特許文献1に記載されているような、二軸延伸ポリプロピレン(OPP)層/ポリビニルアルコール(PVA)等のバリア層/直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)層からなる構成、または二軸延伸ナイロン(ONy)層/PVA等のバリア層/低密度ポリエチレン(LDPE)からなる構成のバリア性積層材料が、袋形成用基材として広く使用されていたが、ピンホールの発生防止は不充分であった。輸液バック梱包体での外包装袋のピンホールの発生防止の方向として、食品包装に見られる如く外包装袋を2重包装とする手段も採用されてきた。然しながら、袋の形状として単に3方シール袋の2重包装やあるいはフイルムを2枚重ねとして3方シール袋として輸液バッグを収納した後外包装袋の頂部開口部をシールした重袋包装方式でも、外包装袋の底辺シール部近傍のフイルム面には、内層側あるいは外層側の一方又は両方共が揺動によるピンホールが発生し、その発生を防ぎ切れていないのが現状である。
【0007】
また、輸液バック梱包体での外包装袋のサイズや形状によって、内容物の輸液バッグを収納固定する方法も提案されているが、収納する輸液バック毎製袋機の調整等を必要とするなど製袋加工が煩雑となり生産効率の低下を招く問題があった。
【0008】
【特許文献1】
特開平8−216325号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の有する欠点を解消するためになされたもので、輸液バック収納外包装袋中で、輸液バックの揺動を防止し、輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることのできる、ガスバリア性を有する輸液バック収納外包装袋を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、
輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
前記外包装袋の最内層がシーラント層からなり、該シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、前記積層体を成形して、三方シール袋とし、輸液バッグを収納した後、該外包装袋の頂部開口部を熱融着して封止してなる扁平袋体であることを特徴とする輸液バック収納外包装袋である。
【0011】
また、請求項2に係る発明は、
請求項1記載の輸液バック収納外包装袋において、前記積層体が、少なくとも耐ピンホール性を有するプラスチック基材層からなる最外層、ガスバリア性基材層からなる中間層、シーラント層からなる最内層を、順次積層してなることを特徴とする。
【0012】
また、請求項3に係る発明は、
請求項1または2記載の輸液バック収納外包装袋において、前記シーラント層が、滑剤等を含有しない無添加ポリオレフィン系樹脂からなり、該樹脂の密度が0.85〜0.93g/cm3の範囲であることを特徴とする。
【0013】
また、請求項4に係る発明は、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸液バック収納外包装袋において、前記シーラント層が、厚さ10〜150μmの範囲の単層もしくは共押出し多層からなることを特徴とする。
【0014】
また、請求項5に係る発明は、
請求項1〜4のいずれか1項に記載の輸液バック収納外包装袋において、前記ガスバリア性基材が、プラスチック基材上に金属もしくは無機酸化物からなる蒸着薄膜層を形成してなるガスバリア性蒸着フィルムであることを特徴とする。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、
請求項5記載の輸液バック収納外包装袋において、前記無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムのいずれかあるいはそれらの混合物であることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の輸液バック収納外包装袋と輸液バックの収納形態の一例を示す図である。また、図2は、本発明の輸液バック収納外包装袋と輸液バックの収納形態の他の例を示す図である。さらに、図3は、本発明の輸液バック収納外包装袋を構成する基材としての積層体の一例を示す断面図である。
【0017】
図1に示すように、例えば、本発明の輸液バック収納外包装袋10は、輸液等の薬液が封入されたバッグ(輸液バック)20を収納する、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
上記外包装袋の最内層10aがシーラント層からなり、そのシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、上記積層体の左右の側縁部13,14および底縁部15をそれぞれ熱融着して製袋され、これに輸液バック20を収納し、頂部開口部12の端縁部11を熱融着により封止してなる扁平袋体の輸液バック収納外包装袋10を完成する。
【0018】
また、図2に示すように、輸液バックとして混合用薬液を2室41,42に分けて保存するための区画シール部47における弱シール部48の両端部49,49′を強シール状態とした輸液バックを収納した例を示したもので、上記同様、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ外包装袋であって、外包装袋30の最内層30aがシーラント層からなり、そのシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、上記積層体の上記積層体の左右の側縁部32,33および底縁部34をそれぞれ熱融着して製袋され、これに輸液バック20を収納し、頂部開口部の端縁部31を熱融着により封止してなる扁平袋体の輸液バック収納外包装袋10を完成する。
【0019】
外包装袋10,30の最内層シーラント層10a,30aの内表面の静摩擦係数が0.4以上としたことで、外包装袋10に収納された輸液バッグ20が外包装袋内で滑り難く、外包装袋内に固定され、段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を防止する扁平体の輸液バック収納外包装袋を提供できる。
【0020】
本発明で使用される輸液バック収納外包装袋を構成する袋形成用積層体は、図3に示すように、例えば、最外層として、耐ピンホール性、緩衝性を有するプラスチック基材51と、中間層として、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム等のプラスチック基材52上に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層53を形成し、その上にガスバリア性被覆層を塗布して設けてなるガスバリア性蒸着フィルム55と、最内層としてシーラント層56とを、順次積層した構成の積層体50を使用することができる。
【0021】
本発明で使用される最外層としてのプラスチック基材51としては、耐ピンホール性、緩衝性を有するものであれば特に限定されないが、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステルフィルム、ポリアミド系フィルム等が挙げられる。それらの二軸延伸フィルムが好適に用いられる。
【0022】
特に、耐ピンホール性の観点からポリアミド系フィルムが好適に用いられる。好ましいホモポリアミドの具体例としては、ナイロン−6、ナイロン−7、ナイロン−9、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−2,6、ナイロン−4,6、ナイロン−6,6、ナイロン−6,10、ナイロン−6,12、ナイロン−8,6、ナイロン−10,6、ナイロン−10,10、ナイロン−12,12、メタキシレンジアミン−6ナイロン(MXD6)等を挙げることができる。特に、
【0023】
また、例えば、カプロラクタム/ラウリンラクタム共重合体、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート共重合体等のコポリアミドを用いることもできる。
【0024】
これらポリアミド系フィルムには、柔軟性を付与するため芳香族スルホンアミド類、p−ヒドロキシ安息香酸、エステル類等の可塑剤を配合したり、低弾性率のエラストマー成分やラクタム類等を配合することも可能である。該エラストマー成分としては、アイオノマー樹脂、変性ポリオレフィン系樹脂、熱可塑性ポリウレタン、ポリエーテルブロックアミド、ポリエステルブロックアミド、ポリエーテルエステルアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、変性スチレン系熱可塑性エラストマー、変性アクリルゴム、変性エチレンプロピレンゴム等が挙げられる。
【0025】
上記のポリアミド系フィルムには、必要に応じて他の添加剤、たとえば可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、耐ブロッキング剤、他の樹脂などを適量ブレンドすることも可能である。
【0026】
本発明で使用される中間層としては、無機酸化物からなるガスバリア性蒸着フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体、あるいはポリ塩化ビニリデン樹脂(PVDC)等のガスバリア性に高い高分子樹脂からなるフィルムまたはそのガスバリア性に高い高分子樹脂組成物をラミネートまたはコーティングにより設けたガスバリア性積層体を用いることができる。また、高度なガスバリア性や遮光性が要求される場合には、環境保護の点からアルミニウム箔より遙かにアルミニウム蒸着フィルムを用いることができる。
【0027】
次に、上記のガスバリア性蒸着フィルム55について詳細に説明する。
ガスバリア性蒸着フィルム55のプラスチック基材52としては、例えば、具体例としては、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミドなどのアミド系樹脂、ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリルなどのスチレン−アクリロニトリル系樹脂、トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどの疎水化セルロース系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、テフロン(登録商標)などのハロゲン含有樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の高水素結合性樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂等が挙げられる。
【0028】
それらの中で、二軸延伸されたポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンなどが好ましく使用される。なお、基材フィルム52の素材としては、廃棄時や、リサイクル時の環境保護性を考慮すれば、炭素と水素とからのみなる樹脂や、炭素と水素と酸素とのみからなる樹脂が好ましい。
【0029】
上記の基材フィルム構成樹脂中には、必要に応じて他の添加剤、たとえば可塑剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、着色剤、フィラー、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、耐ブロッキング剤、他の樹脂などを適量ブレンドすることも可能である。また、該基材フィルムの片面側には、ガスバリア層を構成する無機質蒸着層が形成されるが、該蒸着の前あるいは蒸着中に、基材フィルムの表面を薄膜との密着性を良くするために、前処理としてコロナ処理、低温プラズマ処理、イオンボンバード処理を施しておいても良く、さらに薬品処理、溶剤処理などを施しても良い。
【0030】
基材フィルム52の厚さは、特に制限を受けるものではないが、包装材料としての適性、他の層を積層する場合もあること、無機酸化物薄膜層53、ガスバリア被膜層54を形成する場合の加工性を考慮すると、実用的には1〜200μmの範囲で、用途によって5〜50μmとすることが好ましいと言える。
【0031】
また、量産性を考慮すれば、連続的に各層を形成できるように長尺フィルムとすることが望ましい。
【0032】
上記基材フィルム52上に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層53を設ける際の密着性を高めるために、必要に応じてアンカーコート層(図示せず)を設けることができる。これにより、内容物充填後の経時によるラミネート強度の劣化を防止することができる。
【0033】
上記目的を達成するために用いることができるアンカーコート樹脂としては、は、ポリエステル樹脂単体またはこの樹脂とイソシアネート系樹脂、エポキシ系樹脂、メラミン系樹脂のうちから選ばれる1種類以上の混入樹脂との混合物である必要がある。
【0034】
上記ポリエステル樹脂は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸およびこれらの反応性誘導体等の酸原料と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、イソペンチルグリコール、ビスヒドロキシエチルテレフタレート、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールAAのアルキレンオキサイド付加物、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2,2,4−トリメチルペンタン−1,3−ジオール等のアルコール原料から周知の方法で製造されたものが用いることができるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0035】
また、ポリエステル樹脂に添加される混入樹脂は、更に密着性を高めるために添加されるもので主に架橋剤もしくは硬化剤として作用する。これを達成するために混入樹脂としては、トリレンジイソシアネート(TDI)やキシレンジイソシアネート(XDI)、ヘキサレンジイソシアネート(MDI)などのイソシアネート系樹脂、ビスフェノールAジグリシンエーテル型エポキシや水添ビスフェノール型エポキシなどのエポキシ系樹脂、メラミン系樹脂及びこれらの1種以上の混合物が用いることができる。中でもイソシアネート系樹脂(特にTDI)を用いる場合が、最も密着性に優れているので好ましい。
【0036】
ポリエステル樹脂と混入樹脂の混合割合としては、ポリエステル樹脂のOH基やCOOH基に対して、イソシアネート基やエポキシ基、アミノ基等が当量以上含まれていれば良い。例えば混入樹脂としてイソシアネート系樹脂単体を用いる場合、ポリエステル樹脂とイソシアネート系樹脂との配合比は(ポリエステルのOH基):(イソシアネートのNCO基)で1:0.5〜1:20の範囲であることが望ましい。当量以下であると硬化不良、架橋不足となり密着性に問題がある。しかし、あまり過剰に加えると、加えた樹脂が反応ぜずに残り膜に悪影響を与えるので好ましくまい。混合の方法については、周知の方法が使用可能で特に限定しない。
【0037】
アンカーコート樹脂を溶解する有機溶剤としては、樹脂を溶解することが可能であれば特に限定されることはなく、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類のうち単独または任意に配合したものが使用できる。好ましくは、塗膜加工及び臭気の面からトルエンとメチルエチルケトンを混合したものが良い。
【0038】
アンカコート樹脂に各種添加剤、例えば、3級アミン、イミダゾール誘導体、カルボン酸の金属塩化合物、4級アンモニウム塩、4級ホウホニウム塩等の硬化促進剤や、フェノール系、硫黄系、ホスファイト系等の酸化防止剤、レベリング剤、流動調整剤、触媒、架橋反応促進剤、充填剤等を添加することも可能である。
【0039】
アンカコート層の厚さは、均一に塗膜が形成することができれば特に限定しないが、一般的に0.01μm〜1.0μmの範囲、特に好ましくは0.01μm〜0.5μmの範囲内であることが好ましい。
【0040】
アンカコート層の形成方法としては、例えばオフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法等の周知の印刷方式や、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。乾燥条件については、一般的に使用される条件でよい。
【0041】
本発明における無機酸化物からなる蒸着薄膜層53は、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、あるいはそれらの混合物などの無機酸化物の蒸着膜からなり、透明性を有し、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよいが、生産性、透明性の観点から酸化アルミニウムが好ましい。ただし、本発明における蒸着薄膜層は、上述した無機酸化物に限定されることなく、上記条件に適合する材料であれば用いることができる。
【0042】
蒸着薄膜層53の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成により最適条件が異なるが、一般的には5〜2000Åの範囲、より好ましくは5〜500Åの範囲で、その値は適宜選択される。ただし、膜厚が5Å未満であると均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また、膜厚が500Åを越える場合は薄膜にフレキシビリティを保持させることができず、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、薄膜に亀裂を生じるおそれがある。また、厚みが厚くなり経済的な面でも不利である。
【0043】
無機酸化物からなる蒸着薄膜層53を基材フィルム52上に形成する方法としては種々あり、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを用いることもできる。ただし、生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法による真空蒸着装置の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式とすることが好ましく、薄膜と基材の密着成及び薄膜の緻密性を向上させるために、プラズマアシスト法やイオンビームアシスト法を用いることも可能である。また、蒸着膜の透明性を上げるために蒸着の際、酸素ガスなど吹き込んだりする反応蒸着を行っても一向に構わない。
【0044】
ガスバリア性被膜層54は、無機酸化物からなる蒸着薄膜層53上に設けられ、アルミニウム箔並の高いガスバリア性を付与するために設けられるものであり、水溶性高分子と、(a)1種以上の金属アルコキシド及び加水分解物又は、(b)塩化錫、の少なくとも一方を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤からなる。水溶性高分子と塩化錫を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させた溶液、或いはこれに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなど処理を行ったものを混合した溶液を蒸着薄膜層にコーティング、加熱乾燥し形成したものである。コーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。
【0045】
上記コーティング剤に用いられる水溶性高分子は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。特にポリビニルアルコール(以下、PVAとする)を本発明の積層体のコーティング剤に用いた場合にガスバリア性が最も優れる。ここでいうPVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVAから酢酸基が数%しか残存していない完全PVAまでを含み、特に限定されるものではない。
【0046】
また、塩化錫は塩化第一錫(SnCl2)、塩化第二錫(SnCl4)、或いはそれらの混合物であってもよく、無水物でも水和物でも用いることができる。
【0047】
さらに、金属アルコキシドは、テトラエトキシシラン〔Si(OC2H5)4〕、トリイソプロポキシアルミニウム〔Al(O−2’−C3H7)3〕などの一般式、
M(OR)n
(M:Si,Ti,Al,Zr等の金属、R:CH3,C2H5等のアルキル基)で表せるものである。中でもテトラエトキシシラン、トリイソプロポキシアルミニウムが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるので好ましい。
【0048】
上述した各成分を単独又はいくつかを組み合わせてコーティング剤に加えることができ、さらにコーティング剤のガスバリア性を損なわない範囲で、イソシアネート化合物、シランカップリング剤、あるいは分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤などの公知の添加剤を加えることができる。
【0049】
例えば、コーティング剤に加えられるイソシアネート化合物は、その分子中に2個以上のイソシアネート基(NCO基)を有するものであり、例えばトリレンジイソシアネート(以下TDI)、トリフェニルメタントリイソシアネート(以下TTI)、テトラメチルキシレンジイソシアネート(以下TMXDI)などのモノマー類と、これらの重合体、誘導体などがある。
【0050】
コーティング剤の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法などの従来公知の手段を用いることができる。被膜の厚さは、コーティング剤の種類や加工条件によって異なるが、乾燥後の厚さが0.1μm以上あれば良いが、厚さが10μm以上では膜にクラックが生じやすくなるため、0.1〜10μmの範囲であることが好ましい。
【0051】
本発明で使用される外包装袋の最内層を構成するシーラント層56の素材は、シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上、好ましくは0.4以上、2.0以下の範囲で調整できる材質であれば特に限定されない。このシーラント層56の材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体およびそれらの金属架橋物等のアイオノマー樹脂などのポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
【0052】
特に、上記のポリオレフィン系樹脂の密度が0.85〜0.93g/cm3の範囲の滑剤等を含有しない無添加ポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。
【0053】
シーラント層56は、上記のポリオレフィン系樹脂に、さらに粘着付与剤やエラストマーを含有することができる。
【0054】
粘着付与剤としては、シーラント層56の粘着性を調整する作用を有するものであり、具体的には、ロジン、ロジンエステル、水添ロジン、重合ロジン等のロジン系樹脂、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、ジシクロペンタジエン重合体、テルペン−フェノール重合体等のテルペン系樹脂、炭素数5〜9の石油樹脂およびそれらの水素添加物などが挙げられる。これらのなかでも、特に好ましいのは、石油樹脂の水素添加物である。
【0055】
エラストマーとしては、シーラント層56の耐衝撃性を向上させる作用を有するものであり、通常、熱可塑性のエラストマーとして知られているもの、たとえばエチレン−プロピレン共重合体系ゴム、エチレン−ブテン−1共重合ゴム、エチレン−プロピレン−ブテン−1共重合ゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−共役ジオレフィンブロック共重合ゴム、1,2−ポリブタジエンゴムが挙げられる。これらのなかでも、好ましいのはエチレン−プロピレン共重合体系ゴム、スチレン−共役ジオレフィンブロック共重合ゴムである。
【0056】
シーラント層を形成するポリオレフィン系樹脂に上記粘着付与剤やエラストマーの配合割合は、外包装袋の最内層を形成するシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上、好ましくは0.4以上、2.0以下の範囲になるように適宜配合割合を決定すればよい。
【0057】
シーラント層56は、上記のポリオレフィン系樹脂からなる単層構造としてもよいし、多層構造であってもよい。厚さは、通常、10〜150μmの範囲で適宜選択すればよい。
【0058】
シーラント層56の積層方法としては、例えば、フィルム状のものを2液硬化型ウレタン樹脂などの接着剤を用いて貼り合わせるドライラミネート法を採用して積層してもよいし、シーラント樹脂を押し出しラミネート法を採用して積層してもよい。また、ポリエチレン層等を介してサンドイッチラミネートしてもよいし、あるいは共押し出し法を採用して積層してもよい。
【0059】
この外包装袋において、最外層基材層11の裏面(シーラント層側)には、通常、印刷による絵柄等の印刷層を設けることもできる。この印刷層は、外包装袋として実用的に用いられるために、外観用の文字、図形、記号、絵柄等の美麗な装飾模様が形成されるものである。インキバインダー樹脂に各種顔料、体質顔料及び可塑剤、乾燥剤、安定剤、その他添加剤などを添加されてなるインキにより構成される層である。形成方法としては、例えば、オフセット印刷法、グラビア印刷法、シルクスクリーン印刷法などの周知の印刷方式や、また、ロールコート、ナイフエッジコート、グラビアコートなどの周知の塗布方式を用いることができる。厚さは、0.1〜2.0μmでよい。
【0060】
以上、上述したように、本発明の輸液バッグ収納外包装袋を構成することで、輸液バッグを収納した外包装袋を段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることができる。従って、ガスバリア性が安定に保持され、輸液バックの内容物であるアミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液野品質保持効果に優れるものである。
【0061】
【実施例】
【0062】
<実施例1>
最外層として、厚さ30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)と、中間層として厚さ12μmのポリビニルアルコールフィルム(PVA)とを積層し、そのPVA層側に、さらにシーラント層として、厚さ90μmのスリップ剤等を含有しない無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)を積層して、下記の構成▲1▼の本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
また、上記シーラント層として、密度0.92g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)と上記と同様のスリップ剤等を含有しない無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂とを共押し出ししてなる2層構成の共押し出しフィルムを積層して、下記の構成▲2▼の本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
[構成▲1▼の外包装袋形成用基材]
OPP層(30μm)/PVA層(12μm)/IO層(0.94g/cm3、90μm)
[構成▲2▼の外包装袋形成用基材]
OPP層(30μm)/PVA層(12μm)/[LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/IO層(0.94g/cm3、30μm)]
【0063】
<実施例2>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.92g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.92g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/LDPE層(0.92g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0064】
<実施例3>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.89g/cm3の低密度ポリエチレンフィルム(LDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーランと層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.89g/cm3の低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/LDPE層(0.89g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0065】
<実施例4>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材の中間層(バリア層)として、PVA層の代わりに、酸化アルミニウム蒸着層の表面にガスバリア被覆層を塗布形成した蒸着フィルム(厚さ12μm)(凸版印刷株式会社製、商品名「GL―AEH」)を用いた以外は実施例1と同様にして本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0066】
<比較例1>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.94g/cm3の中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーラント層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.94g/cm3の中密度ポリエチレンフィルム(MDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/MDPE層(0.94g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0067】
<比較例2>
実施例1と同様、構成▲1▼の外包装袋形成用基材のシランと層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂からなるフィルム(IO)の代わりに、密度0.91g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を用い、また構成▲2▼の外包装袋形成用基材のシーランと層として、無添加ポリエチレンアイオノマー樹脂の代わりに、密度0.91g/cm3の直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(LLDPE)を用いて、LDPE層(0.92g/cm3、60μm)/LLDPE層(0.91g/cm3、30μm)の共押し出しフィルムを積層した以外は実施例1と同様にして外包装袋形成用基材としての積層体を作成した。
【0068】
上記の実施例1〜4および比較例1、2で得られた外包装袋形成用基材としての積層体の最内層のシーラント層内表面の静摩擦係数を測定した。その結果を表1に示す。
【0069】
また、上記の実施例1〜3および比較例1、2で得られた外包装袋形成用基材を300mm×300mmの大きさの四方シール扁平形状の外包装袋を作成し、別途用意した内容物としてアミノ酸溶液を1000ml入り輸液バッグを上記外包装袋に収納した10袋を段ボールに5段×2列に段積みし、輸液バッグ収納外包装袋が段ボール内で動かないように緩衝材を詰めた。この段ボールを振動試験機にて、±2.5Gで垂直30分、縦横各々15分の条件で振動した後、輸液バッグを取り出し、収納外包装袋にピンホールを発生した外包装袋の個数を数えた。その結果を表2に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【表2】
【0072】
表1より、比較例1、2で得られた輸液バッグ収納外包装袋形成用基材としての積層体の最内面シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4より小さい値であるのに対して、実施例1〜4で得られた本発明の輸液バッグ収納外包装袋形成用基材としての積層体の最内面シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であることから、表2に示すように、振動試験において、比較例1、2で得られた輸液バッグ収納外包装袋にピンホールの発生が確認されたのに対して、本発明の輸液バッグ収納外包装袋にはピンホールの発生が見られない。このことは、本発明の輸液バッグ収納外包装袋最内層のシーラント層内表面の静摩擦係数を0.4以上としたことで、輸液バッグを収納した外包装袋において、外包装袋に収納された輸液バッグが外包装袋内で滑り難く、外包装袋内に固定され、段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を抑えることができた。従って、ガスバリア性が安定に保持され、輸液バックの内容物であるアミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液野品質保持効果に優れるものである。
【0073】
【発明の効果】
本発明により、輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ外包装袋の最内層がシーラント層からなり、そのシーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上としたことでであり、外包装袋に収納された輸液バッグが外包装袋内で滑り難く、外包装袋内に固定され、段ボール箱に箱詰め梱包体等を用いて輸送、その他の取り扱い過程で、落下や振動に対する外包装袋の輸液バッグ端部との擦れや段ボール箱内でのガタツキによる擦れ等から生じ易いピンホールの発生を防止する扁平体の輸液バック収納外包装袋を提供できる。
【0074】
従って、ガスバリア性が安定に保持され、輸液バックの内容物であるアミノ酸、脂肪乳酸、還元糖等のような酸素との接触で変質し易い薬液野品質保持効果に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の輸液バック収納外包装袋の一例を説明する説明図である。
【図2】本発明の輸液バック収納外包装袋の他の例を説明する説明図である。
【図3】本発明の輸液バック収納外包装袋形成用基材としての積層体の一例を示す断面図である。
【符号の説明】
10、30・・・外包装袋
10a、30a・・・外包装袋最内層(シーラント層)
10b、30b・・・外包装袋中間層(ガスバリア層)
10c、30c・・・外包装袋最外層(基材層)
11、31・・・開口部シール部
12・・・開口部
13、32・・・側縁部シール部
14、33・・・側縁部シール部
15、34・・・底縁部シール部
20、40・・・輸液バック
21、45、46・・・口栓
22・・・吊り手部
41・・・第1薬液室
42・・・第2薬液室
43・・・輸液バック上端部強シール部
44・・・輸液バック下端部強シール部
47・・・区画シール部
48・・・区画弱シール部
49・・・区画強シール部
50・・・外包装袋形成用積層基材
51・・・最外層(基材層)
52・・・基材層
53・・・蒸着薄膜層
54・・・被覆層
55・・・中間層(例えば、ガスバリア性蒸着フィルム)
56・・・最内層(シーラント層)
Claims (6)
- 輸液等の薬液が封入されたバッグを収納することができる、シーラント層を有する積層体で構成される輸液バッグ収納外包装袋であって、
前記外包装袋の最内層がシーラント層からなり、該シーラント層内表面の静摩擦係数が0.4以上であり、前記積層体を成形して、三方シール袋とし、輸液バッグを収納した後、該外包装袋の頂部開口部を熱融着して封止してなる扁平袋体であることを特徴とする輸液バック収納外包装袋。 - 前記積層体が、少なくとも耐ピンホール性を有するプラスチック基材層からなる最外層、ガスバリア性基材層からなる中間層、シーラント層からなる最内層を、順次積層してなることを特徴とする請求項1記載の輸液バック収納外包装袋。
- 前記シーラント層が、滑剤等を含有しない無添加ポリオレフィン系樹脂からなり、該樹脂の密度が0.85〜0.93g/cm3の範囲であることを特徴とする請求項1または2記載の輸液バック収納外包装袋。
- 前記シーラント層が、厚さ10〜150μmの範囲の単層もしくは共押出し多層からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の輸液バック収納外包装袋。
- 前記ガスバリア性基材が、プラスチック基材上に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層を形成してなるガスバリア性蒸着フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の輸液バック収納外包装袋。
- 前記無機酸化物からなる透明蒸着薄膜層が、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウムのいずれかあるいはそれらの混合物であることを特徴とする請求項5記載の輸液バック収納外包装袋。
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