JP2004231082A - ステアリングギヤボックスの支持構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】ステアリングギヤボックスの支持構造において、造を簡素化すると共にステアリングギヤボックスを適正に支持可能とする。
【解決手段】ハウジング11を鋳造製のケーシング12と板金製のシリンダチューブ13とを接合して構成し、ケーシング12を一体の取付部21によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定すると共に、シリンダチューブ13をゴム部材33を介して第1、第2ブラケット31,32により挟持し、第1ブラケット31を締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】ハウジング11を鋳造製のケーシング12と板金製のシリンダチューブ13とを接合して構成し、ケーシング12を一体の取付部21によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定すると共に、シリンダチューブ13をゴム部材33を介して第1、第2ブラケット31,32により挟持し、第1ブラケット31を締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジング内にパワーステアリング装置におけるピニオンやラック軸を収容したステアリングギヤボックスを車体側に支持するステアリングギヤボックスの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なパワーステアリング装置にて、ステアリングシャフトの下端部にはピニオンを有するインプットシャフトが連結される一方、車体に車幅方向に配設されたパイプ形状のハウジング内にはピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸が収容されている。そして、このラック軸の左右端部が左右の操舵輪の支持アームにそれぞれ連結されている。また、ハウジング内には2つの油室を形成するようにラック軸にピストンが連結されて移動自在に支持されており、ステアリングシャフトの回転方向に応じて各油室に対してオイルが給排され、ハンドル操作をアシストするようになっている。
【0003】
図8に従来のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略、図9にハウジング支持部の断面、図10に従来の別のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略を示す。
【0004】
図8及び図9に示すように、ハウジング001はステアリングシャフト側のケーシング002と、油室が形成されたシリンダチューブ003とが接合されて構成されている。ケーシング002は鋳造製であり、ステアリングシャフトの下端部に連結されたインプットシャフト004を回転自在に支持し、内部にインプットシャフト004に形成された図示しないピニオンを収容している。また、ケーシング002内にはピニオンに噛み合う図示しないラックが形成されたラック軸005が収容されている。一方、シリンダチューブ003内には2つの油室を形成するように図示しないピストンがラック軸005に結合されている。
【0005】
また、ケーシング002には取付部006がラック軸と交差するように一体に形成されており、この取付部006が締結ボルト007によりブッシュ008を介してフロントサスペンションメンバ009に固定されることで、ケーシング002が車体側に取付けられている。一方、シリンダチューブ003はゴム部材010を介して取付ブラケット011が装着され、この取付ブラケット011が締結ボルト012によりフロントサスペンションメンバ009に固定されることで車体側に取付けられている。
【0006】
このような従来のステアリングギヤボックスの支持構造としては、下記に記載した特許文献1がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−168578
【0008】
一般に、車両の走行中に車輪からステアリング装置に対して、前後荷重と左右荷重と上下荷重が作用するものであり、ステアリング装置の支持剛性はこの前後荷重と上下荷重に対しては硬く支持する必要があるが、左右荷重に対しては操舵した車輪が戻るときの反力を受け流して操縦安定性を確保するため、柔らかく支持する必要がある。上述した従来のステアリングギヤボックスの支持構造にあっては、ハウジング001をブッシュ008及びゴム部材010を介してフロントサスペンションメンバ009に固定している。そのため、ブッシュ008は左右方向にすぐりを設けることで左右方向のみ支持剛性を下げることができるが、ゴム部材010はこのような構成をとることができず、高い操縦安定性を確保することができない恐れがある。また、ハウジング001と取付ブラケット011との固定が十分でなく、横ずれが発生する可能性がある。
【0009】
そこで、シリンダチューブ003もケーシング002と同様にブッシュによる支持とすることが考えられる。即ち、図10に示すように、取付ブラケット021を鋳造製とし、シリンダチューブ003への嵌合部022から2つの取付アーム023を延出して構成している。そして、取付ブラケット021とシリンダチューブ003との間の横ずれを防止するため、シリンダチューブ003に取付ブラケット021の嵌合部022を圧入または溶接し、各取付アーム023を締結ボルト024によりブッシュ025を介して車体側に固定することで、車体側に対して前後方向及び上下方向は硬く、左右方向に柔らかい支持剛性を確保している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した鋳造製の取付ブラケット021を用いた従来のステアリングギヤボックスの支持構造においては、取付ブラケット021とシリンダチューブ003とを圧入、または溶接する必要があるため、ステアリングギヤボックスの組立工程が複雑化してしまうという問題がある。
【0011】
本発明はこのような問題を解決するものであって、構造を簡素化すると共にステアリングギヤボックスを適正に支持可能としたステアリングギヤボックスの支持構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、ステアリング作動に連動して回転するピニオンと、該ピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸と、該ラック軸を軸方向に移動可能に収容するハウジングとを具え、このハウジングの外周面に一方側から接触すると共にブッシュを介して車体側に装着される第1支持部材と、ハウジングの外周面に他方側から接触して第1支持部材に連結されることでハウジングを挟持する第2支持部材とを設けている。
【0013】
従って、第1支持部材と第2支持部材によりハウジングを挟持し、第1支持部材をブッシュを介して車体側に固定したことで、比較的簡単な構成によりステアリングギヤボックスを車体側に適正に固定することができ、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができると共に、車幅方向の入力荷重をブッシュにより吸収することで、高い操縦安定性を確保することができる。
【0014】
請求項2の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、第1支持部材及び第2支持部材とハウジングとの間に弾性部材を介装している。従って、弾性部材により第1支持部材と第2支持部材によるハウジングの挟持力を緩和することができ、ハウジングの変形を抑制することができる。
【0015】
請求項3の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第1支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成している。従って、弾性部材の凸部と第1支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを更に確実に防止することができる。
【0016】
請求項4の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第2支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成している。従って、弾性部材の凸部と第2支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1に本発明の第1実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略、図2に図1のII−II断面、図3に図1のIII−III断面、図4に図1のIV−IV断面、図5に本実施形態のステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視を示す。
【0019】
第1実施形態のステアリングギヤボックスの支持構造は、車両用のパワーステアリング装置に適用されており、図1に示すように、ステアリングギヤボックスのハウジング11は車幅方向に配設されており、ステアリングシャフト側のケーシング12と、油室が形成されるシリンダチューブ13とが接合されて構成されている。ケーシング12は鋳造製であって、図示しないステアリングシャフトの下端部に連結されたインプットシャフト14が回転自在に支持され、内部にこのインプットシャフト14に形成された図示しないピニオンが収容されている。また、このケーシング12内にはピニオンと噛み合う図示しないラックが形成されたラック軸15(図2及び図3参照)が軸方向に沿って移動自在に収容されている。
【0020】
一方、シリンダチューブ13内には2つの油室を区画するように図示しないピストンがラック軸15に結合され、軸方向に沿って移動自在に支持されている。そして、ラック軸15の他端部の両端がそれぞれ左右のタイロッド16a,16bを介して操舵輪の支持アームに連結されている。
【0021】
また、ケーシング12にはオイル経路制御部17が設けられ、このオイル経路制御部17には図示しないオイルポンプが配管を介して連結されると共に、油圧配管18a,18bを介して前述した2つの油室に連結されている。従って、ドライバがハンドルを操作してステアリングシャフトを回転させると、このステアリングシャフトに連結されたインプットシャフト14のピニオンがラックを介してラック軸15を軸方向に移動させて車輪を操舵する。このとき、ピニオンの回転方向に応じてオイルが油圧配管18a,18bを介して各油室に対して給排、つまり、一方の油室にオイルが供給され、他方の油室からオイルが排出されることで、ピストンを介してラック軸15を一方方向に押圧し、ラック軸の移動を補助してドライバのハンドル操作をアシストする。
【0022】
ところで、車両の走行中に車輪からステアリング装置に対して、前後荷重、左右荷重、上下荷重が作用するが、ステアリング装置は高い操縦安定性を確保する上で、この前後荷重と上下荷重に対しては車体側に伝達可能とするためにステアリングギヤボックスの支持剛性を高くする一方、左右荷重に対しては操舵した車輪が戻るときの反力を受け流すため、つまり、左右荷重を吸収するためにステアリングギヤボックスの支持剛性を柔らかくする必要がある。そこで、本実施形態では、ステアリングギヤボックスのハウジング11の左右両側を車体の前後方向及び上下方向は硬く、左右方向は柔らかい特性に設定したブッシュを用いて車体側に固定している。
【0023】
即ち、ハウジング11の右側を構成するケーシング12には取付部21がラック軸と交差するように一体に形成されており、この取付部21の前後端部が締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定されている。この場合、ブッシュ23は、車体の前後方向及び上下方向は硬く、左右方向は柔らかい特性に設定されており、例えば、円筒形状をなし、締結ボルト22が挿通する中心孔の左右両側に空洞部が形成されており、締結ボルト22が取付部21をブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に締結されることで、ケーシング12がこのブッシュ23に形成された空洞部の径だけ、車幅方向(左右方向)に弾性移動可能に固定されている。
【0024】
一方、シリンダチューブ13は、外周面に対して一方側から接触する第1ブラケット(第1支持部材)31と、外周面に他方側から接触してこの第1ブラケット31に連結される第2ブラケット(第2支持部材)32とによりゴム部材(弾性部材)33を介して挟持され、第1ブラケット31が締結ボルト22によりブッシュ23を介して水平なフロントサスペンションメンバ20に固定されている。
【0025】
図2乃至図5に示すように、第1ブラケット31は鋳造製であって、シリンダチューブ13の外周面に適合するようにほぼ半円形状をなしている。そして、半円状の本体41の前後のフランジ部42に取付孔43が形成されると共に、各取付孔43の両側に連結孔44がそれぞれ2つずつ形成されており、各取付孔43にブッシュ23が下方から挿入可能であり、連結孔44に雌ねじが形成されている。
【0026】
第2ブラケット32は板金性であって、シリンダチューブ13の外周面に適合するようにほぼ半円形状をなしている。そして、半円状の本体51の前後のフランジ部52に取付孔53がそれぞれ2つずつ形成されており、各取付孔53に連結ボルト54が下方から挿入して第1ブラケット31の各連結孔44に螺合可能となっている。
【0027】
ゴム部材33は高硬度のゴムであり、一部に切断部61が形成された断面C形状をなすが、シリンダチューブ13の外周面に装着された状態ではリング形状をなすように構成されている。そして、このゴム部材33の外周面にて、上面に3つの凸部62が周方向に沿って形成されると共に、下面に2つの凸部63が周方向に沿って形成されている。一方、第1ブラケット31は本体41の内表面にこの3つの凸部62に嵌合する3つの凹部48が周方向に沿って形成され、第2ブラケット32は本体51の内表面にこの凸部63に嵌合する開口部(凹部)55が周方向に沿って形成されている。
【0028】
従って、シリンダチューブ13をフロントサスペンションメンバ20に固定するには、まず、シリンダチューブ13の所定の取付位置にゴム部材33を装着し、このゴム部材33を被覆するように上面部に第1ブラケッド31を嵌合し、下面部に第2ブラケット32を嵌合する。この状態で、下方から4本の連結ボルト54を第2ブラケット32の各取付孔53に挿入し、第1ブラケット31の各連結孔44に螺合することで、第1ブラケット31と第2ブラケット32とによりゴム部材33を介してシリンダチューブ13を挟持する。
【0029】
2つのブラケット31,32でシリンダチューブ13を挟持することで、このシリンダチューブ13に第1ブラケット31が一体に連結されると、次に、上方から2本の締結ボルト22を第1ブラケット31の各取付孔43に予め装着されたブッシュ23に挿入し、フロントサスペンションメンバ20に設けられた各ねじ部20aに螺合することで、シリンダチューブ13はこの第1ブラケット31を介して車体側に固定され、ブッシュ23の特性に従った取付剛性を得ることができる。
【0030】
このように第1実施形態のステアリングギヤボックスの支持構造にあっては、ハウジング11を鋳造製のケーシング12と板金性のシリンダチューブ13とを接合して構成し、ケーシング12を一体に形成された取付部21をもってブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定すると共に、シリンダチューブ13をゴム部材33を介して第1ブラケッド31と第2ブラケット32により挟持し、第1ブラケット31を締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定している。
【0031】
従って、第1ブラケット31と第2ブラケット32によりハウジング11を挟持することで、第1ブラケット31を強固にハウジング11に装着することができ、この第1ブラケット31をブッシュ23を介して車体側に固定したことで、ステアリングギヤボックスの支持剛性を適正に保って車体側に固定することができ、高い操縦安定性を確保することができる。また、シリンダチューブ13への圧入作業や溶接作業などを不要として比較的簡単な構成並びに作業工程によりステアリングギヤボックスを製作することができ、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができる。
【0032】
また、第1ブラケット31及び第2ブラケット32によりハウジング11を挟持するとき、その間にゴム部材33を介装しており、このゴム部材33の弾性力により各ブラケット31,32によるハウジング11の挟持力を緩和することができ、ハウジング11の変形を抑制することができる。
【0033】
更に、ゴム部材33の上表面に凸部62を形成すると共に、下表面に凸部63を形成する一方、第1ブラケット31の内表面にこの凸部62に嵌合する凹部48を形成し、第2ブラケット32に凸部63に嵌合する開口部55を形成している。従って、ゴム部材33の凸部62,63と第1ブラケット31の凹部48及び第2ブラケット32の開口部55が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、各ブラケット31,32とゴム部材33とが凹凸を持って連結されているため、ハウジング11に対する各ブラケット31,32の横ずれを防止することができる。
【0034】
この場合、各ブラケット31,32とゴム部材33の幅がほぼ同様であり、凸部62,63と凹部48及び開口部55が幅方向端部にないため、長期の使用により各ブラケット31,32の挟持力によりゴム部材33の一部が外方に押し出されて締結力が低下することがない。
【0035】
図6に本発明の第2実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略、図7にステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0036】
第2実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造では、図6及び図7に示すように、車体側の鉛直なフロントサスペンションメンバ60に対してステアリングギヤボックスのハウジング11を鉛直に固定するようにしている。この場合、ハウジング11を含めたステアリングギヤボックスの構成は同様である。
【0037】
ハウジング11の右側を構成するケーシング12には下方に取付部61が一体に形成され、締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ60に固定されている。
【0038】
シリンダチューブ13は、外周面に対して一方側から接触する第1ブラケット(第1支持部材)71と、外周面に他方側から接触してこの第1ブラケット71に連結される第2ブラケット(第2支持部材)72とによりゴム部材(弾性部材)33を介して挟持され、第1ブラケット71が締結ボルト22によりブッシュ23を介して水平なフロントサスペンションメンバ60に固定されている。
【0039】
即ち、第1ブラケット71は鋳造製であって、半円状の本体81の下部のフランジ部82に取付孔83が形成されると共に、その両側に連結孔84が形成されており、取付孔83にブッシュ23が挿入可能であり、連結孔84に雌ねじが形成されている。また、本体81の上部に水平な係止孔85が形成されている。第2ブラケット72は板金性であって、半円状の本体91の下部のフランジ部92に取付孔93が2つ形成されており、各取付孔93に連結ボルト94が挿入して第1ブラケット71の各連結孔84に螺合可能となっている。また、本体91の上部に第1ブラケット71の係止孔85に係止可能な係止片95が形成されている。
【0040】
また、第1ブラケット71は本体81の内表面にはゴム部材33の凸部62に嵌合する3つの凹部86が周方向に沿って形成され、第2ブラケット72は本体91の内表面に凸部63に嵌合する開口部(凹部)96が周方向に沿って形成されている。
【0041】
従って、シリンダチューブ13をフロントサスペンションメンバ60に固定するには、まず、シリンダチューブ13の所定の取付位置にゴム部材33を装着し、このゴム部材33を被覆するように一側面部に第1ブラケット71を嵌合し、係止孔85に係止片95を係止してから第2ブラケット72を他側面部に嵌合する。この状態で、2本の連結ボルト94を第2ブラケット72の各取付孔93に挿入し、第1ブラケット71の各連結孔84に螺合することで、第1ブラケット71と第2ブラケット72とによりゴム部材33を介してシリンダチューブ13を挟持する。
【0042】
2つのブラケット71,72でシリンダチューブ13を挟持することで、このシリンダチューブ13に第1ブラケット71が一体に連結されると、次に、締結ボルト22を第1ブラケット71の取付孔83に予め装着されたブッシュ23に挿入し、フロントサスペンションメンバ60に締結することで、シリンダチューブ13はこの第1ブラケット71を介して車体側に固定される。
【0043】
このように第2実施形態のステアリングギヤボックスの支持構造にあっては、ハウジング11を鋳造製のケーシング12と板金製のシリンダチューブ13とを接合して構成し、ケーシング12の下部に一体に形成された取付部61をもってブッシュ23を介して鉛直なフロントサスペンションメンバ60に固定すると共に、シリンダチューブ13をゴム部材33を介して第1ブラケッド71と第2ブラケット72により挟持し、第1ブラケット71を締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ60に固定している。
【0044】
従って、第1ブラケット71と第2ブラケット72によりハウジング11を挟持することで、第1ブラケット71を強固にハウジング11に装着することができ、この第1ブラケット71をブッシュ23を介して車体側に固定したことで、ステアリングギヤボックスの支持剛性を適正を保って車体側に固定することができ、高い操縦安定性を確保することができる。また、圧入作業や溶接作業などを不要として比較的簡単な構成並びに作業工程によりステアリングギヤボックスを製作でき、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができる。
【0045】
また、第1ブラケット71の上部の係止孔85に第2ブラケット72の上部の係止片95を係止し、下部同士を連結ボルト94により連結することでシリンダチューブ13を挟持し、下部の取付孔83を用いて第1ブラケット71をフロントサスペンションメンバ60に締結している。従って、フロントサスペンションメンバ60に対しても容易にハウジングを固定することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態において、第1ブラケット31、71と第2ブラケット32、72とによりゴム部材33を介してシリンダチューブ13を挟持するようにしたが、小型車両であって、車幅方向に作用する荷重がそれほど大きくない場合には、ゴム部材33を省略してもよい。また、このゴム部材33は弾性部材であればよく、合成樹脂材などを用いてもよい。
【0047】
また、第1ブラケット31、71に連結ボルト54,94により第2ブラケット32、72を連結したが、所定の挟持力が得られれば、ボルトに限らず他の方法であってもよい。更に、ゴム部材33の凸部62,63の形状、並びに各ブラケット31,32,71,72の凹部48,86、開口部55,96の形状を長尺としたが、四角形状を周方向に並設するなどしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、ステアリング作動に連動して回転するピニオンと、該ピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸と、該ラック軸を軸方向に移動可能に収容するハウジングとを具え、このハウジングの外周面に一方側から接触すると共にブッシュを介して車体側に装着される第1支持部材と、ハウジングの外周面に他方側から接触して第1支持部材に連結されることでハウジングを挟持する第2支持部材とを設けたので、第1支持部材と第2支持部材によりハウジングを挟持し、第1支持部材をブッシュを介して車体側に固定したことで、比較的簡単な構成によりステアリングギヤボックスを車体側に適正に固定することができ、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができると共に、車幅方向の入力荷重をブッシュにより吸収することで、高い操縦安定性を確保することができる。
【0049】
請求項2の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、第1支持部材及び第2支持部材とハウジングとの間に弾性部材を介装したので、弾性部材により第1支持部材と第2支持部材によるハウジングの挟持力を緩和することができ、ハウジングの変形を抑制することができる。
【0050】
請求項3の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第1支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成したので、弾性部材の凸部と第1支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを防止することができる。
【0051】
請求項4の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第2支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成したので、弾性部材の凸部と第2支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】本実施形態のステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略図である。
【図7】ステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視図である。
【図8】従来のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略図である。
【図9】ハウジング支持部の断面図である。
【図10】従来のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略図である。
【符号の説明】
11 ハウジング
12 ケーシング
13 シリンダチューブ
15 ラック軸
20,60 フロントサスペンションメンバ
22 締結ボルト
23 ブッシュ
31,71 第1ブラケット(第1支持部材)
32,72 第2ブラケット(第2支持部材)
33 ゴム部材(弾性部材)
43,83 取付孔
45,84 連結孔
48,86 凹部
53,93 取付孔
55,96 開口部(凹部)
62,93 凸部
85 係止孔
95 係止片
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハウジング内にパワーステアリング装置におけるピニオンやラック軸を収容したステアリングギヤボックスを車体側に支持するステアリングギヤボックスの支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的なパワーステアリング装置にて、ステアリングシャフトの下端部にはピニオンを有するインプットシャフトが連結される一方、車体に車幅方向に配設されたパイプ形状のハウジング内にはピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸が収容されている。そして、このラック軸の左右端部が左右の操舵輪の支持アームにそれぞれ連結されている。また、ハウジング内には2つの油室を形成するようにラック軸にピストンが連結されて移動自在に支持されており、ステアリングシャフトの回転方向に応じて各油室に対してオイルが給排され、ハンドル操作をアシストするようになっている。
【0003】
図8に従来のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略、図9にハウジング支持部の断面、図10に従来の別のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略を示す。
【0004】
図8及び図9に示すように、ハウジング001はステアリングシャフト側のケーシング002と、油室が形成されたシリンダチューブ003とが接合されて構成されている。ケーシング002は鋳造製であり、ステアリングシャフトの下端部に連結されたインプットシャフト004を回転自在に支持し、内部にインプットシャフト004に形成された図示しないピニオンを収容している。また、ケーシング002内にはピニオンに噛み合う図示しないラックが形成されたラック軸005が収容されている。一方、シリンダチューブ003内には2つの油室を形成するように図示しないピストンがラック軸005に結合されている。
【0005】
また、ケーシング002には取付部006がラック軸と交差するように一体に形成されており、この取付部006が締結ボルト007によりブッシュ008を介してフロントサスペンションメンバ009に固定されることで、ケーシング002が車体側に取付けられている。一方、シリンダチューブ003はゴム部材010を介して取付ブラケット011が装着され、この取付ブラケット011が締結ボルト012によりフロントサスペンションメンバ009に固定されることで車体側に取付けられている。
【0006】
このような従来のステアリングギヤボックスの支持構造としては、下記に記載した特許文献1がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−168578
【0008】
一般に、車両の走行中に車輪からステアリング装置に対して、前後荷重と左右荷重と上下荷重が作用するものであり、ステアリング装置の支持剛性はこの前後荷重と上下荷重に対しては硬く支持する必要があるが、左右荷重に対しては操舵した車輪が戻るときの反力を受け流して操縦安定性を確保するため、柔らかく支持する必要がある。上述した従来のステアリングギヤボックスの支持構造にあっては、ハウジング001をブッシュ008及びゴム部材010を介してフロントサスペンションメンバ009に固定している。そのため、ブッシュ008は左右方向にすぐりを設けることで左右方向のみ支持剛性を下げることができるが、ゴム部材010はこのような構成をとることができず、高い操縦安定性を確保することができない恐れがある。また、ハウジング001と取付ブラケット011との固定が十分でなく、横ずれが発生する可能性がある。
【0009】
そこで、シリンダチューブ003もケーシング002と同様にブッシュによる支持とすることが考えられる。即ち、図10に示すように、取付ブラケット021を鋳造製とし、シリンダチューブ003への嵌合部022から2つの取付アーム023を延出して構成している。そして、取付ブラケット021とシリンダチューブ003との間の横ずれを防止するため、シリンダチューブ003に取付ブラケット021の嵌合部022を圧入または溶接し、各取付アーム023を締結ボルト024によりブッシュ025を介して車体側に固定することで、車体側に対して前後方向及び上下方向は硬く、左右方向に柔らかい支持剛性を確保している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した鋳造製の取付ブラケット021を用いた従来のステアリングギヤボックスの支持構造においては、取付ブラケット021とシリンダチューブ003とを圧入、または溶接する必要があるため、ステアリングギヤボックスの組立工程が複雑化してしまうという問題がある。
【0011】
本発明はこのような問題を解決するものであって、構造を簡素化すると共にステアリングギヤボックスを適正に支持可能としたステアリングギヤボックスの支持構造を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するための請求項1の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、ステアリング作動に連動して回転するピニオンと、該ピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸と、該ラック軸を軸方向に移動可能に収容するハウジングとを具え、このハウジングの外周面に一方側から接触すると共にブッシュを介して車体側に装着される第1支持部材と、ハウジングの外周面に他方側から接触して第1支持部材に連結されることでハウジングを挟持する第2支持部材とを設けている。
【0013】
従って、第1支持部材と第2支持部材によりハウジングを挟持し、第1支持部材をブッシュを介して車体側に固定したことで、比較的簡単な構成によりステアリングギヤボックスを車体側に適正に固定することができ、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができると共に、車幅方向の入力荷重をブッシュにより吸収することで、高い操縦安定性を確保することができる。
【0014】
請求項2の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、第1支持部材及び第2支持部材とハウジングとの間に弾性部材を介装している。従って、弾性部材により第1支持部材と第2支持部材によるハウジングの挟持力を緩和することができ、ハウジングの変形を抑制することができる。
【0015】
請求項3の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第1支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成している。従って、弾性部材の凸部と第1支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを更に確実に防止することができる。
【0016】
請求項4の発明のステアリングギヤボックスの支持構造では、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第2支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成している。従って、弾性部材の凸部と第2支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを防止することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1に本発明の第1実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略、図2に図1のII−II断面、図3に図1のIII−III断面、図4に図1のIV−IV断面、図5に本実施形態のステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視を示す。
【0019】
第1実施形態のステアリングギヤボックスの支持構造は、車両用のパワーステアリング装置に適用されており、図1に示すように、ステアリングギヤボックスのハウジング11は車幅方向に配設されており、ステアリングシャフト側のケーシング12と、油室が形成されるシリンダチューブ13とが接合されて構成されている。ケーシング12は鋳造製であって、図示しないステアリングシャフトの下端部に連結されたインプットシャフト14が回転自在に支持され、内部にこのインプットシャフト14に形成された図示しないピニオンが収容されている。また、このケーシング12内にはピニオンと噛み合う図示しないラックが形成されたラック軸15(図2及び図3参照)が軸方向に沿って移動自在に収容されている。
【0020】
一方、シリンダチューブ13内には2つの油室を区画するように図示しないピストンがラック軸15に結合され、軸方向に沿って移動自在に支持されている。そして、ラック軸15の他端部の両端がそれぞれ左右のタイロッド16a,16bを介して操舵輪の支持アームに連結されている。
【0021】
また、ケーシング12にはオイル経路制御部17が設けられ、このオイル経路制御部17には図示しないオイルポンプが配管を介して連結されると共に、油圧配管18a,18bを介して前述した2つの油室に連結されている。従って、ドライバがハンドルを操作してステアリングシャフトを回転させると、このステアリングシャフトに連結されたインプットシャフト14のピニオンがラックを介してラック軸15を軸方向に移動させて車輪を操舵する。このとき、ピニオンの回転方向に応じてオイルが油圧配管18a,18bを介して各油室に対して給排、つまり、一方の油室にオイルが供給され、他方の油室からオイルが排出されることで、ピストンを介してラック軸15を一方方向に押圧し、ラック軸の移動を補助してドライバのハンドル操作をアシストする。
【0022】
ところで、車両の走行中に車輪からステアリング装置に対して、前後荷重、左右荷重、上下荷重が作用するが、ステアリング装置は高い操縦安定性を確保する上で、この前後荷重と上下荷重に対しては車体側に伝達可能とするためにステアリングギヤボックスの支持剛性を高くする一方、左右荷重に対しては操舵した車輪が戻るときの反力を受け流すため、つまり、左右荷重を吸収するためにステアリングギヤボックスの支持剛性を柔らかくする必要がある。そこで、本実施形態では、ステアリングギヤボックスのハウジング11の左右両側を車体の前後方向及び上下方向は硬く、左右方向は柔らかい特性に設定したブッシュを用いて車体側に固定している。
【0023】
即ち、ハウジング11の右側を構成するケーシング12には取付部21がラック軸と交差するように一体に形成されており、この取付部21の前後端部が締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定されている。この場合、ブッシュ23は、車体の前後方向及び上下方向は硬く、左右方向は柔らかい特性に設定されており、例えば、円筒形状をなし、締結ボルト22が挿通する中心孔の左右両側に空洞部が形成されており、締結ボルト22が取付部21をブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に締結されることで、ケーシング12がこのブッシュ23に形成された空洞部の径だけ、車幅方向(左右方向)に弾性移動可能に固定されている。
【0024】
一方、シリンダチューブ13は、外周面に対して一方側から接触する第1ブラケット(第1支持部材)31と、外周面に他方側から接触してこの第1ブラケット31に連結される第2ブラケット(第2支持部材)32とによりゴム部材(弾性部材)33を介して挟持され、第1ブラケット31が締結ボルト22によりブッシュ23を介して水平なフロントサスペンションメンバ20に固定されている。
【0025】
図2乃至図5に示すように、第1ブラケット31は鋳造製であって、シリンダチューブ13の外周面に適合するようにほぼ半円形状をなしている。そして、半円状の本体41の前後のフランジ部42に取付孔43が形成されると共に、各取付孔43の両側に連結孔44がそれぞれ2つずつ形成されており、各取付孔43にブッシュ23が下方から挿入可能であり、連結孔44に雌ねじが形成されている。
【0026】
第2ブラケット32は板金性であって、シリンダチューブ13の外周面に適合するようにほぼ半円形状をなしている。そして、半円状の本体51の前後のフランジ部52に取付孔53がそれぞれ2つずつ形成されており、各取付孔53に連結ボルト54が下方から挿入して第1ブラケット31の各連結孔44に螺合可能となっている。
【0027】
ゴム部材33は高硬度のゴムであり、一部に切断部61が形成された断面C形状をなすが、シリンダチューブ13の外周面に装着された状態ではリング形状をなすように構成されている。そして、このゴム部材33の外周面にて、上面に3つの凸部62が周方向に沿って形成されると共に、下面に2つの凸部63が周方向に沿って形成されている。一方、第1ブラケット31は本体41の内表面にこの3つの凸部62に嵌合する3つの凹部48が周方向に沿って形成され、第2ブラケット32は本体51の内表面にこの凸部63に嵌合する開口部(凹部)55が周方向に沿って形成されている。
【0028】
従って、シリンダチューブ13をフロントサスペンションメンバ20に固定するには、まず、シリンダチューブ13の所定の取付位置にゴム部材33を装着し、このゴム部材33を被覆するように上面部に第1ブラケッド31を嵌合し、下面部に第2ブラケット32を嵌合する。この状態で、下方から4本の連結ボルト54を第2ブラケット32の各取付孔53に挿入し、第1ブラケット31の各連結孔44に螺合することで、第1ブラケット31と第2ブラケット32とによりゴム部材33を介してシリンダチューブ13を挟持する。
【0029】
2つのブラケット31,32でシリンダチューブ13を挟持することで、このシリンダチューブ13に第1ブラケット31が一体に連結されると、次に、上方から2本の締結ボルト22を第1ブラケット31の各取付孔43に予め装着されたブッシュ23に挿入し、フロントサスペンションメンバ20に設けられた各ねじ部20aに螺合することで、シリンダチューブ13はこの第1ブラケット31を介して車体側に固定され、ブッシュ23の特性に従った取付剛性を得ることができる。
【0030】
このように第1実施形態のステアリングギヤボックスの支持構造にあっては、ハウジング11を鋳造製のケーシング12と板金性のシリンダチューブ13とを接合して構成し、ケーシング12を一体に形成された取付部21をもってブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定すると共に、シリンダチューブ13をゴム部材33を介して第1ブラケッド31と第2ブラケット32により挟持し、第1ブラケット31を締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ20に固定している。
【0031】
従って、第1ブラケット31と第2ブラケット32によりハウジング11を挟持することで、第1ブラケット31を強固にハウジング11に装着することができ、この第1ブラケット31をブッシュ23を介して車体側に固定したことで、ステアリングギヤボックスの支持剛性を適正に保って車体側に固定することができ、高い操縦安定性を確保することができる。また、シリンダチューブ13への圧入作業や溶接作業などを不要として比較的簡単な構成並びに作業工程によりステアリングギヤボックスを製作することができ、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができる。
【0032】
また、第1ブラケット31及び第2ブラケット32によりハウジング11を挟持するとき、その間にゴム部材33を介装しており、このゴム部材33の弾性力により各ブラケット31,32によるハウジング11の挟持力を緩和することができ、ハウジング11の変形を抑制することができる。
【0033】
更に、ゴム部材33の上表面に凸部62を形成すると共に、下表面に凸部63を形成する一方、第1ブラケット31の内表面にこの凸部62に嵌合する凹部48を形成し、第2ブラケット32に凸部63に嵌合する開口部55を形成している。従って、ゴム部材33の凸部62,63と第1ブラケット31の凹部48及び第2ブラケット32の開口部55が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、各ブラケット31,32とゴム部材33とが凹凸を持って連結されているため、ハウジング11に対する各ブラケット31,32の横ずれを防止することができる。
【0034】
この場合、各ブラケット31,32とゴム部材33の幅がほぼ同様であり、凸部62,63と凹部48及び開口部55が幅方向端部にないため、長期の使用により各ブラケット31,32の挟持力によりゴム部材33の一部が外方に押し出されて締結力が低下することがない。
【0035】
図6に本発明の第2実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略、図7にステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視を示す。なお、前述した実施形態で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
【0036】
第2実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造では、図6及び図7に示すように、車体側の鉛直なフロントサスペンションメンバ60に対してステアリングギヤボックスのハウジング11を鉛直に固定するようにしている。この場合、ハウジング11を含めたステアリングギヤボックスの構成は同様である。
【0037】
ハウジング11の右側を構成するケーシング12には下方に取付部61が一体に形成され、締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ60に固定されている。
【0038】
シリンダチューブ13は、外周面に対して一方側から接触する第1ブラケット(第1支持部材)71と、外周面に他方側から接触してこの第1ブラケット71に連結される第2ブラケット(第2支持部材)72とによりゴム部材(弾性部材)33を介して挟持され、第1ブラケット71が締結ボルト22によりブッシュ23を介して水平なフロントサスペンションメンバ60に固定されている。
【0039】
即ち、第1ブラケット71は鋳造製であって、半円状の本体81の下部のフランジ部82に取付孔83が形成されると共に、その両側に連結孔84が形成されており、取付孔83にブッシュ23が挿入可能であり、連結孔84に雌ねじが形成されている。また、本体81の上部に水平な係止孔85が形成されている。第2ブラケット72は板金性であって、半円状の本体91の下部のフランジ部92に取付孔93が2つ形成されており、各取付孔93に連結ボルト94が挿入して第1ブラケット71の各連結孔84に螺合可能となっている。また、本体91の上部に第1ブラケット71の係止孔85に係止可能な係止片95が形成されている。
【0040】
また、第1ブラケット71は本体81の内表面にはゴム部材33の凸部62に嵌合する3つの凹部86が周方向に沿って形成され、第2ブラケット72は本体91の内表面に凸部63に嵌合する開口部(凹部)96が周方向に沿って形成されている。
【0041】
従って、シリンダチューブ13をフロントサスペンションメンバ60に固定するには、まず、シリンダチューブ13の所定の取付位置にゴム部材33を装着し、このゴム部材33を被覆するように一側面部に第1ブラケット71を嵌合し、係止孔85に係止片95を係止してから第2ブラケット72を他側面部に嵌合する。この状態で、2本の連結ボルト94を第2ブラケット72の各取付孔93に挿入し、第1ブラケット71の各連結孔84に螺合することで、第1ブラケット71と第2ブラケット72とによりゴム部材33を介してシリンダチューブ13を挟持する。
【0042】
2つのブラケット71,72でシリンダチューブ13を挟持することで、このシリンダチューブ13に第1ブラケット71が一体に連結されると、次に、締結ボルト22を第1ブラケット71の取付孔83に予め装着されたブッシュ23に挿入し、フロントサスペンションメンバ60に締結することで、シリンダチューブ13はこの第1ブラケット71を介して車体側に固定される。
【0043】
このように第2実施形態のステアリングギヤボックスの支持構造にあっては、ハウジング11を鋳造製のケーシング12と板金製のシリンダチューブ13とを接合して構成し、ケーシング12の下部に一体に形成された取付部61をもってブッシュ23を介して鉛直なフロントサスペンションメンバ60に固定すると共に、シリンダチューブ13をゴム部材33を介して第1ブラケッド71と第2ブラケット72により挟持し、第1ブラケット71を締結ボルト22によりブッシュ23を介してフロントサスペンションメンバ60に固定している。
【0044】
従って、第1ブラケット71と第2ブラケット72によりハウジング11を挟持することで、第1ブラケット71を強固にハウジング11に装着することができ、この第1ブラケット71をブッシュ23を介して車体側に固定したことで、ステアリングギヤボックスの支持剛性を適正を保って車体側に固定することができ、高い操縦安定性を確保することができる。また、圧入作業や溶接作業などを不要として比較的簡単な構成並びに作業工程によりステアリングギヤボックスを製作でき、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができる。
【0045】
また、第1ブラケット71の上部の係止孔85に第2ブラケット72の上部の係止片95を係止し、下部同士を連結ボルト94により連結することでシリンダチューブ13を挟持し、下部の取付孔83を用いて第1ブラケット71をフロントサスペンションメンバ60に締結している。従って、フロントサスペンションメンバ60に対しても容易にハウジングを固定することができる。
【0046】
なお、上述した実施形態において、第1ブラケット31、71と第2ブラケット32、72とによりゴム部材33を介してシリンダチューブ13を挟持するようにしたが、小型車両であって、車幅方向に作用する荷重がそれほど大きくない場合には、ゴム部材33を省略してもよい。また、このゴム部材33は弾性部材であればよく、合成樹脂材などを用いてもよい。
【0047】
また、第1ブラケット31、71に連結ボルト54,94により第2ブラケット32、72を連結したが、所定の挟持力が得られれば、ボルトに限らず他の方法であってもよい。更に、ゴム部材33の凸部62,63の形状、並びに各ブラケット31,32,71,72の凹部48,86、開口部55,96の形状を長尺としたが、四角形状を周方向に並設するなどしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上、実施形態において詳細に説明したように請求項1の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、ステアリング作動に連動して回転するピニオンと、該ピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸と、該ラック軸を軸方向に移動可能に収容するハウジングとを具え、このハウジングの外周面に一方側から接触すると共にブッシュを介して車体側に装着される第1支持部材と、ハウジングの外周面に他方側から接触して第1支持部材に連結されることでハウジングを挟持する第2支持部材とを設けたので、第1支持部材と第2支持部材によりハウジングを挟持し、第1支持部材をブッシュを介して車体側に固定したことで、比較的簡単な構成によりステアリングギヤボックスを車体側に適正に固定することができ、構造の簡素化並びに低コスト化を図ることができると共に、車幅方向の入力荷重をブッシュにより吸収することで、高い操縦安定性を確保することができる。
【0049】
請求項2の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、第1支持部材及び第2支持部材とハウジングとの間に弾性部材を介装したので、弾性部材により第1支持部材と第2支持部材によるハウジングの挟持力を緩和することができ、ハウジングの変形を抑制することができる。
【0050】
請求項3の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第1支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成したので、弾性部材の凸部と第1支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを防止することができる。
【0051】
請求項4の発明のステアリングギヤボックスの支持構造によれば、弾性部材の外表面に凸部を形成すると共に、第2支持部材の内表面にこの凸部に嵌合する凹部を形成したので、弾性部材の凸部と第2支持部材の凹部が嵌合することで、ステアリングギヤボックスに車幅方向の大荷重が作用しても、ハウジングに対する各支持部材の横ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】図1のIV−IV断面図である。
【図5】本実施形態のステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係るステアリングギヤボックスの支持構造を表すステアリングギヤボックスの概略図である。
【図7】ステアリングギヤボックスの支持部の分解斜視図である。
【図8】従来のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略図である。
【図9】ハウジング支持部の断面図である。
【図10】従来のステアリングギヤボックスの支持構造を表す概略図である。
【符号の説明】
11 ハウジング
12 ケーシング
13 シリンダチューブ
15 ラック軸
20,60 フロントサスペンションメンバ
22 締結ボルト
23 ブッシュ
31,71 第1ブラケット(第1支持部材)
32,72 第2ブラケット(第2支持部材)
33 ゴム部材(弾性部材)
43,83 取付孔
45,84 連結孔
48,86 凹部
53,93 取付孔
55,96 開口部(凹部)
62,93 凸部
85 係止孔
95 係止片
Claims (4)
- ステアリング作動に連動して回転するピニオンと、該ピニオンに噛み合うラックが形成されたラック軸と、該ラック軸を軸方向に移動可能に収容するハウジングとを具えたステアリングギヤボックスにおいて、前記ハウジングの外周面に一方側から接触すると共にブッシュを介して車体側に装着される第1支持部材と、前記ハウジングの外周面に他方側から接触して前記第1支持部材に連結されることで前記ハウジングを挟持する第2支持部材とを設けたことを特徴とするステアリングギヤボックスの支持構造。
- 請求項1記載のステアリングギヤボックスの支持構造において、前記第1支持部材及び前記第2支持部材と前記ハウジングとの間に弾性部材が介装されたことを特徴とするステアリングギヤボックスの支持構造。
- 請求項2記載のステアリングギヤボックスの支持構造において、前記弾性部材の外表面に凸部が形成されると共に、前記第1支持部材の内表面に該凸部に嵌合する凹部が形成されたことを特徴とするステアリングギヤボックスの支持構造。
- 請求項2または3記載のステアリングギヤボックスの支持構造において、前記弾性部材の外表面に凸部が形成されると共に、前記第2支持部材の内表面に該凸部に嵌合する凹部が形成されたことを特徴とするステアリングギヤボックスの支持構造。
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2003
- 2003-01-31 JP JP2003023049A patent/JP2004231082A/ja active Pending
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