JP2004230246A - 水処理用の透過膜洗浄剤及び洗浄方法 - Google Patents
水処理用の透過膜洗浄剤及び洗浄方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】無機物によって汚染した水処理用透過膜の洗浄に用いられる膜洗浄剤であって、アスコルビン酸又はエリソルビン酸を含み、無機酸を混合しないことを特徴とする膜洗浄剤としたものであり、前記アスコルビン酸又はエリソルビン酸は、濃度が0.05〜0.35重量%であるのがよく、また、前記洗浄剤を含有する洗浄液を用いて、無機物によって汚染した水処理用透過膜の洗浄する膜の洗浄方法としたものである。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膜の洗浄剤に係り、特に、無機物によって汚染した水処理用透過膜の薬品洗浄に使用する膜洗浄剤及び洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】特開平11−19490号公報
浄水処理や下排水処理において、分離膜を利用した膜ろ過プロセスが導入され、近年、急速な普及を見せている。その多くは、精密ろ過膜や限外ろ過膜を固液分離に使用したものであり、浄水処理においては、精密ろ過膜や限外ろ過膜を凝集沈殿砂ろ過の代替プロセスとして、下排水処理では浮遊培養型バイオリアクターの固液分離や、固定床リアクターのポリッシュアップヘの適用が盛んである。膜ろ過の処理原理は、基本的には単なる物理的な篩い分けであることから、処理水質に見合った膜孔径を選択すれば、安定な処理水質が得られるものの、処理時間の増大と共に膜汚染が生じ、膜の透水性能は次第に低下する。通常の場合、膜汚染が進行し、膜の透水性能が実用的なレベル以下に達した時、薬品洗浄を行い、膜の透水性能を回復させる。
【0003】
一般に、有機性の汚染物質を洗浄する場合には、次亜塩素酸ナトリウムなどの酸化剤を使用し、鉄、マンガンなどの無機物による汚染には、シュウ酸、クエン酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸、又は、それらの混合物を使用する。
上記したように、鉄、マンガンなどの金属酸化物に汚染された膜の洗浄には、酸洗浄が行われる。しかし、塩酸や硫酸などの無機酸は、低濃度では効果ないこと、加温が必要なこと、洗浄時間が長くなるなどの問題がある。また、高濃度での使用では、ある程度効果が高まるものの、それ自身の強い刺激臭、膜材料へ悪影響があるなどの問題がある。
【0004】
シュウ酸やクエン酸などの有機酸は、無機酸よりも洗浄効果はあるが、シュウ酸は人体に対して毒性があるため、特に、浄水処理への使用には抵抗が持たれている。クエン酸は毒性はないものの、シュウ酸よりも洗浄効果が小さく、数%以上の高濃度で使用したり、加温の必要、洗浄時間の長期化などの問題がある。また、クエン酸などの有機酸を使用する場合、洗浄効果を上げるため、塩酸などの無機酸を添加し、pHを下げて洗浄することをも実施されているが、上記した強い刺激臭などによる作業性の悪化、安全性への危倶、薬品種類が増えることによる作業工程増加などの問題もある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解決し、洗浄効果が強く、膜及び人体への悪影響がない水処理用透過膜の洗浄剤及び洗浄方法を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明では、無機物によって汚染した水処理用透過膜の洗浄に用いられる膜洗浄剤であって、アスコルビン酸又はエリソルビン酸を含み、無機酸を混合しないことを特徴とする膜洗浄剤としたものである。
前記膜洗浄剤において、アスコルビン酸又はエリソルビン酸は、濃度が0.005〜0.35重量%で用いるのがよい。
また、本発明では、前記洗浄剤を含有する洗浄液を用いて、無機物によって汚染した水処理用透過膜を洗浄することを特徴とする膜の洗浄方法としたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
水処理用透過膜において、膜に付着する代表的な無機汚染物質にマンガンがある。膜では、二酸化マンガンの状態で付着しており、膜から洗浄除去するということは、これを分解し、2価のマンガンイオンにして水に溶解することである。この反応を表記すると、次のようになる。
MnO2+4H++4e−→Mn2++2H2O
上記式を見てわかるように、二酸化マンガンをマンガンイオンにするためには、水素イオンと電子が必要であり、反応を速やかに進めるためには、洗浄液のpHを酸性側にして、還元雰囲気を作る必要がある。
【0008】
アスコルビン酸は、別名、ビタミンCとも呼ばれ、食品添加物に指定されている。強い還元剤であると共に有機酸であるため、水に溶解した状態では酸性水溶液となる。従って、それ単独で酸性を示す還元剤として機能するので、高濃度の無機酸などの薬品を扱うことなく薬品準備の工程を少なく、かつ、安全にマンガンなどの金属酸化物の洗浄に対する良好な洗浄剤を得ることができる。また、粉末状であるため、異臭などもなく取り扱いが容易である。
エリソルビン酸は、アスコルビン酸の光学異性体であり、同様な還元力を持ち、食品添加物にも指定されている。洗浄剤にはどちらの物質を使用してもかまわないが、入手しやすいアスコルビン酸が好ましい。
本発明の洗浄剤は、鉄、マンガンなどの金属酸化物を含む無機物の洗浄に使用することができ、薬品の安全性から、特に、浄水処理の膜の洗浄には好ましい。
【0009】
また、本発明では、アスコルビン酸又はエリソルビン酸は、濃度が0.05〜0.35重量%で用いるのがよい。実験によると、0.35重量%より濃い濃度にしても洗浄効果の向上はあまりなく、0.05〜0.35重量%の濃度で使用するのが、薬品の使用量を少なくする観点から好ましい。
他の洗浄を行う時の種々の条件、例えば、洗浄温度、洗浄時間などは、洗浄する膜の汚染状態に応じて、作業者が適宜決定してもかまわない。
さらに、本発明では、前記洗浄剤を含有する洗浄液を用いて膜を洗浄する膜の洗浄方法である。これにより、刺激臭などを生じず安全に、かつ、使用薬品量を少なく洗浄を行うことができる。
本発明の洗浄剤を含有する洗浄液においては、それぞれの洗浄液において、他に洗浄を促進する有機酸、界面活性剤、キレート剤を含ませてもよい。
【0010】
本発明は、膜の種類に限定されるものではないが、例としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、ナノろ過膜、逆浸透膜などが含まれる。また、ダイナミックろ過に使用する不織布、織布などのろ過体やろ過支持体でもよいし、また、膜の形態、形状に限定されず、例えば、平膜、中空糸膜、管状膜、スパイラル膜でよい。
膜の材質にも限定されるものではなく、例としては、ポリオレフィン、ポリスルフォン、ポリアクリルニトリル、ポリビニルアルコール、セルロース系、フッ素系ポリマー、セラミックなどが含まれる。
本発明は、膜と洗浄液の接触中に他の物理的洗浄方法を加えてもよい。例えば、超音波洗浄、スポンジによる洗浄が含まれる。また、エアーバブリングを使用してもよいが、使用するガスは、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの洗浄剤と反応しない不活性ガスが好ましく、空気を使用する場合は、間欠的に行う方がよい。
【0011】
【実施例】
以下に、本発明を、実施例により具体的に説明する。
実施例1
地下水を原水として、実際の浄水処理に使用した中空糸膜モジュール(公称孔径:0.1μm、材質:ポリエチレン)を薬品洗浄した。膜ろ過装置の形式は、槽浸漬型吸引ろ過方式であり、物理洗浄にはエアースクラビング洗浄を使用していた。薬品洗浄は、膜モジュールを膜ろ過装置から取り外して行うオフライン洗浄で行った。取り外した膜モジュールは、水道水の水流で洗浄した後に薬品洗浄に供した。洗浄前の膜は褐色に着色していたことから、明らかに鉄、マンガンなどの汚染物質が付着していた。
洗浄には、0.25重量%アスコルビン酸を使用し、洗浄時間は60分、洗浄温度は20℃とした。洗浄後の清水透水性能は次のとおりであった。
膜の透水性能(m/day/mAq at20℃)
使用前 1.50
洗浄前 0.30
洗浄後 1.49
【0012】
実施例2
実施例1の汚染膜を、0.30重量%アスコルビン酸を使用し、洗浄時間60分、洗浄温度20℃で洗浄した。洗浄後の清水透水性能は次のとおりであった。
膜の透水性能(m/day/mAq at20℃)
使用前 1.50
洗浄前 0.30
洗浄後 1.48
【0013】
実施例3
実施例1の汚染膜を、0.05重量%アスコルビン酸を使用し、洗浄時間60分、洗浄温度20℃で洗浄した。洗浄後の清水透水性能は次のとおりであった。
膜の透水性能(m/day/mAq at20℃)
使用前 1.50
洗浄前 0.30
洗浄後 1.40
【0014】
比較例1
実施例1の汚染膜を、0.25重量%アスコルビン酸に0.1N塩酸を加えた薬品を使用し、洗浄時間60分、洗浄温度20℃で洗浄した。洗浄後の清水透水性能は次のとおりであった。
膜の透水性能(m/day/m−Aq at20℃)
使用前 1.50
洗浄前 0.30
洗浄後 1.48
【0015】
比較例2
実施例1の汚染膜を、1重量%クエン酸を使用し、洗浄時間60分、洗浄温度20℃で洗浄した。洗浄後の清水透水性能は次のとおりであった。
膜の透水性能(m/day/m−Aq at20℃)
使用前 1.50
洗浄前 0.30
洗浄後 0.31
【0016】
【発明の効果】
アスコルビン酸又はエリソルビン酸を含み、他の無機酸を混合しない膜洗浄剤を使用することにより、鉄、マンガンなどの金属酸化物によって閉塞した膜の洗浄を従来使用されてきた有機酸よりも効果的に洗浄できる。特に、浄水処理に使用する膜の洗浄については、より安全性な洗浄が可能となる。
Claims (3)
- 無機物によって汚染した水処理用透過膜の洗浄に用いられる膜洗浄剤であって、アスコルビン酸又はエリソルビン酸を含み、無機酸を混合しないことを特徴とする膜洗浄剤。
- 前記アスコルビン酸又はエリソルビン酸は、濃度が0.05〜0.35重量%であることを特徴とする請求項1記載の膜洗浄剤。
- 請求項1又は2に記載の膜洗浄剤を含有する洗浄液を用いて、無機物によって汚染した水処理用透過膜を洗浄することを特徴とする膜の洗浄方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003019867A JP2004230246A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 水処理用の透過膜洗浄剤及び洗浄方法 |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003019867A JP2004230246A (ja) | 2003-01-29 | 2003-01-29 | 水処理用の透過膜洗浄剤及び洗浄方法 |
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JP2004230246A true JP2004230246A (ja) | 2004-08-19 |
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JP (1) | JP2004230246A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105709604A (zh) * | 2015-08-13 | 2016-06-29 | 常州联江环保科技有限公司 | 一种适用于超滤膜或反渗透膜的酸性清洗剂 |
-
2003
- 2003-01-29 JP JP2003019867A patent/JP2004230246A/ja active Pending
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