JP2004229285A - クロック・ゲータ回路 - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来のゲータに比して、ICチップ上における専有面積が小さく、セットアップ時間の短縮が可能なクロック・ゲータを実現する。
【解決手段】 クロック・ゲータ回路400は、入力クロック信号SLCBOを受信するクロック入力とクロック出力CKの間に電気的に接続された出力クロック信号生成器104a、104bと、出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成を選択的にイネーブルまたはディゼーブルするためのスイッチ402と、それに加えられるクオリファイア信号QUALHの電圧レベルに応答して、出力クロック信号生成器によって生成したクロック信号の電圧レベルが、その現在の電圧を維持するようにする回路要素404、406を有する。
【選択図】 図4A

Description

本発明は、一般に、クロック・ゲータ回路に関するものである。とりわけ、本発明は、占有面積に影響を及ぼすことなく、そのクオリファイア信号のセット・アップ時間が短縮されるクロック・ゲータを対象にしたものである。
現在生産されている集積回路(「IC」)のほとんどではなくても、多くには、いくつかのクロックト・ロジック回路が含まれている。クロックト・ロジック回路は、クロック信号のアサート(またはディアサート)の後、その機能を実施する論理回路である。例えば、論理回路によっては(例えば、静的論理回路)、クロックトイネーブル信号がアサートされるまで、意図する機能を実施できないものもある。他の論理ゲート(例えば、一部の動的論理回路)には、クロック信号によって、プリチャージと、イネーブルが交互に行われ、クロック信号のイネーブル段階においてのみ、その意図する機能を実施することが可能になるものもある。
大規模マイクロプロセッサICは、IC上のさまざまな回路にクロック信号を分配するためのクロック分配システムを組み込んで、オーバーオールのクロック・ストラテジを実現するように設計されている。一般に、こうしたクロック分配システムには、「クロック・ゲータ」、または、ただ単に「ゲータ」と呼ばれる装置が含まれている。ゲータは、クロック信号をバッファして、回路を駆動できるように、(信号の)強度を元に戻す。
チップの残りの部分が機能し続けている間に、所定のクロック・サイクル数にわたって、ICチップ上の1つ以上の回路の動作をディゼーブルすることが必要になる場合もある(例えば、電力を節約するか、または、発熱を抑えるため)のは明らかである。これに関して、クロック・ゲータは、クロックのための単純なオン/オフ・スイッチとして機能し、クロックで制御される回路中にクロック信号を流すか否かを制御することによって、この回路が動作するか否かを制御することが可能である。
図1Aは、従来の技術によるクロック・ゲータ回路100の概略図である。ゲータ回路100には、入力クロック信号(「SLCBO」)から出力クロック信号(「CK」)を生成する独立制御プッシュ・プル・インバータ102が含まれている。すなわち、プッシュ制御信号NPUが、インバータ102のPFET104aに接続され、これによって、「プッシュ」構造が構成される。同様に、プル制御信号PDが、インバータ102のNFET104bに接続され、これによって、「プル」構造が構成される。通常動作において、インバータ102から出力される信号が、プッシュ及びプル制御信号の状態に応じて、上下に反転する。
ゲート106によってラッチされるクオリファイア(「QUALH」)信号によって、プッシュ・プル・インバータ102に対するプル制御信号PDをイネーブルまたはディゼーブルすることが可能であり、その結果、クロック信号が回路100に流れるのが、それぞれ、イネーブルまたはディゼーブルされることになる。クロック・ゲータ回路100に関する主たる問題は、セット・アップ時間、すなわち、入力クロックのファイヤリングに先立ってQUALH信号がアサートまたはディアサートされるのに必要とする時間量がかなりのものであるという点にある。結果として、QUALH信号が、入力クロック信号に対して十分早めに遷移しなければ、出力クロック信号CKは、要望どおりにイネーブルまたはディゼーブルされなくなる。クロックをディゼーブルできない場合、この結果、不必要な電力消費及び発熱を生じることになる可能性がある。さらに、クオリファイア信号が遅すぎるか、または、早すぎる(すなわち、タイミング要件に合わない)場合には、結果として余分なクロックが生じたり、あるいは、クロックが生じなかったりして、プロセッサに間違った計算を実施させる可能性がある。図1Bは、回路100のゲート・レベルのブロック図である。図1Bに最も明確に示されているように、入力クロック信号SLCBOが、ゲート120によって遅延させられて、遅延クロック信号ckdを生じ、さらに、NANDゲート122によって、QUALH信号とのNAND演算が施されて、FBN信号を生じる。FBN信号は、NORゲート124によって入力クロック信号SLCBOとのNOR演算が施されて、プル・ダウン制御信号PDを生じ、FET104bのゲートに加えられる。出力クロック信号が、フィードバックされて、NANDゲート126によって入力クロック信号SLCBOとのNAND演算が施され、プッシュ・アップ制御信号NPUを生じ、FET104aのゲートに加えられる。nckノード127として表示されたFET104a、104bのドレインは、インバータ128の入力に接続されており、インバータ128の出力には、出力クロック信号CKが含まれる。インバータ128の出力は、第2のインバータ130の入力に接続されており、第2のインバータ130の出力は、インバータ128の入力に接続されて、フィードバック・ループを形成している。
図2のタイミング図には、ゲータ回路100の動作が例示されている。図2に例示のように、波形200は、時間(ナノ秒(「ns」単位)の経過につれた入力クロック信号SLCBOの電圧レベル(0.0V〜1.2V)を表わしている。図2には、3つの立ち上がりエッジ201a、201b、及び、201cと、2つの立ち下がりエッジ202a及び202bを含む入力クロック信号SLCBOの2サイクル半が例示されている。波形204a及び204bは、入力クロック信号SLCBOに対して異なる時点において、アサートされ、続いて、ディアサートされる、QUALH信号を表わしている。すなわち、波形204aによって表されたQUALH信号は、波形204bで表されたQUALH信号よりも約10ps早く、アサートされ、続いてディアサートされる。
図2を参照すると分るように、波形204aによって表された早いほうのQUALH信号は、入力クロック信号SLCBO(波形200)の直前の立ち下がりエッジ202aから時間t1経過後に、アサートされる(その立ち上がりエッジ205aによって表示のように)。時間長t1はセットアップ時間要件を満たすのに十分なほど短いので、波形208aによって表示のように、出力クロック信号CKの次のサイクルがイネーブルされる。これに対し、波形204bによって表示された遅いほうのQUALH信号は、入力クロック信号SLCBO(波形200)の直前の立ち下がりエッジ202bから時間t2経過後に、アサートされる(その立ち上がりエッジ205bによって表示のように)。この場合、時間長t2はセットアップ時間要件を満たさないので、波形208bによって表示のように、出力クロック信号CKの次のサイクルが抑制される。
同様に、第1のQUALH信号(波形204a)は、入力クロック信号SLCBO(波形200)の直前の立ち下がりエッジ202bから時間t3経過後に、ディアサートされる(その立ち下がりエッジ210aによって表示のように)。時間長t3はセットアップ時間要件を満たすので、波形212aによって表示のように、QUALH信号がディアサートされると、出力クロック信号CKの次のサイクルが抑制されることになる。これに対し、第2のQUALH信号(波形204b)は、入力クロック信号SLCBO(波形200)の直前の立ち下がりエッジ202bから時間t4経過後に、ディアサートされる(その立ち下がりエッジ210bによって表示のように)。時間長t4はセットアップ時間要件を満たさないので、波形212bによって表示のように、QUALH信号をディアサートしても、出力クロック信号CKの次のサイクルを抑制することはできない。
図2には、負のセットアップ時間の概念が例示されている。すなわち、正のセットアップ時間は、出力クロック信号をイネーブル/ディゼーブルするために、入力クロック信号のファイヤリングに先立ってQUALH信号をアサート/ディアサートしなければならない時点を表わしている。負のセットアップ時間は、入力クロック信号のファイヤリングに後続する時点であって、この時点よりも前に、直後に発生する出力クロック信号をイネーブル/ディゼーブルするためにQUALH信号をアサート/ディアサートしなければならない時点を表わしている。図2に示す例の場合、セットアップ時間は、約−70ピコ秒(「ps」)であり、直後のサイクルの出力クロック信号を有効にイネーブル/ディゼーブルするためには、入力クロック信号のファイヤリング後、70ps経過しないうちに、QUALH信号をアサート/ディアサートしなければならないということを表わしている。図2に示すように、時間t1及びt3は、セットアップ時間要件を満たすが(すなわち、70ps以内)、時間t2及びt4は、満たさない(すなわち、70psを超える)。
図3には、いくつかの追加波形300a、300b、302a、及び、302bを含んでいる点を除けば、図2に例示のタイミング図と同じタイミング図が例示されている。波形300a及び300bは、それぞれ、先にアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形204a)及び後でアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形204b)に対応する、制御信号PDの電圧レベルを表わしている。波形302a及び302bは、それぞれ、先にアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形204a)及び後でアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形204b)に対応する、nckノード127の電圧レベルを表わしている。
「高速クオリファイア」、すなわち、図1A、図1B、及び、図2に例示のような従来のゲータよりもセットアップ時間の短いゲータを設計しようとする、少なくとも1つの試みがなされた。この試みの結果、0.18μmルールのプロセスにおいて、クオリファイア信号の立下りエッジについて、90psという、従来のゲータよりも有利なセットアップ時間を実現するゲータが得られたが、入力クロックに対するクオリファイア信号の到着時間次第では、クオリファイア信号の立ち上がりエッジによって、出力クロックのエッジが100psを超えて押し出される可能性がある。さらに、この設計では、プルダウン構造に介在するプリチャージャを有しており、これが利得を低減し、また、もとのFETの全てを有しているのに加え、適正な動作のために第2のクオリファイアが必要になった。この設計の結果、従来のゲータに対して最終的にFETが2つ増加し、従って、従来のゲータに比べて、ICチップ上における占有面積が増大した。
従って、本発明の目的は、セットアップ時間が法外に長くなく、ICチップ上における占有面積が従来のゲータよりも広くない、クロック・ゲータの設計を提供することにある。
本発明によれば、クロック・ゲータ回路を実現するのに有効なシステム及び方法が得られる。実施態様の1つは、入力クロック信号を受信するクロック入力とクロック出力の間に電気的に接続された出力クロック信号生成器と、出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成を選択的にイネーブルまたはディゼーブルするためのスイッチ(スイッチ素子)と、それに加えられるクオリファイア信号電圧レベルに応答して、出力クロック信号生成器によって生成したクロック信号の電圧レベルが、現状の電圧を維持するようにする回路要素を含む、クロック・ゲータ回路である。
添付の図面と関連づけて解釈すれば、下記の詳細な説明を参照することによって、本発明のより完全な理解が可能になる。
図面において、類似または同様の構成要素は、そのいくつかの図を通じて、同じ参照番号で表示されており、図示されているそれぞれの構成要素は、必ずしも一定の比率で描かれているわけではない。
図4Aは、クロック・ゲータ回路400の実施態様の1つに関する概略図である。ゲータ回路100(図1A及び1B)に対して、図4Aの実施例では、プッシュ/プル制御信号NPU及びPDは、同時に脈動することができないパルスである。その代わりに、例えば、制御信号PDが、プルして、リリースし、すなわち、脈動し、フィードバック・メカニズムによって、その後、図4Aに参照番号401で表示のノードnckの電圧レベルがローに保持される。引き続き、制御信号NPUが、プッシュして、リリースし、すなわち、脈動して、結果として、nck401の電圧レベルが逆のレベル(すなわち、ハイ)に反転し、やはり、保持される。実施態様の1つによれば、プル構造に一つのNFET(FET104b)が含まれている回路100とは対照的に、回路400の場合、プル構造には、FET104b及び参照番号402で表示の新しいFETを含む、2つのNFETが設けられている。
結果として、回路400のプル構造には、部分的NAND構造が含まれている。PDパルス信号は、nckノード401を常にローにプルするのではなく、FET104の上に位置するFET402によってゲート制御される。すなわち、FET402によって、プル・メカニズムが直接イネーブル/ディゼーブルされ、従って、クロックのスイッチングがイネーブルまたはディゼーブルされることになる。換言すれば、QUALH信号がローの(ディアサートされる)場合、nckノード401に対するFET104bの効果が、FET402によって妨げられ、ゲータの出力(すなわち、出力クロック信号CK)は揺動しない。
回路400には、参照番号404及び406で表示された、2つの新しいFETも含まれている。FET404、406は、それぞれ、PFETである。FET404、406の目的は、QUALH信号のトグルが遅くなり、FET104bが、わずかにプルし始めたが、最終的には、完全にプルしない場合に、nckノード401の電圧レベルをその以前の電圧レベルに戻すことにある。この状況では、FET404及び406は、電圧垂下が約VDD/2であっても、nckノード401の電荷を回復することが可能である。これによって、nckノード401における電圧の乱れが阻止され、回路100(図1A及び1B)に比べて、回路400ではQUALH信号をより長くトグルした状態に維持しておくことが可能になる。さらに、QUALH信号がトグルされず、ゲータ回路400がクオリファイされない場合、FET404、406は、出力クロック信号CKが小刻みに揺動しないように、固定位置に保持する。
図1A及び1Bに例示のゲータ回路100では、出力クロックCKを抑制すべき場合には、プル制御信号PDは揺動しない。これに対して、後述する図6にさらに詳細に例示されるように、図4Aに例示のゲータ回路400の場合、プル制御信号PDは、入力クロック信号SLCBOのファイアリング時にはいつでも、揺動する。しかし、nckノード401に対するプル制御信号PDの効果は、QUALH信号のアサート/ディアサートによって「クオリファイ」される。すなわち、QUALH信号がローにトグルするのが、入力クロック信号SLCBOのファイアリングに対して極めて遅い場合には、nckノード401は、ローへのプルを開始し得るが、FET404、406は、nck401のプルアップを行うので、出力クロック信号CKは揺動せず、結果として、セットアップ時間が短縮される。
回路400は、回路100には含まれていない3つの新しいFET(402、404、及び、406)を利用して実施されるが、回路100に含まれる6つのFETが排除されるので、クロック・ゲータ回路要素の実施に用いられるFET数は、結局、3つ減少することになる。さらに、ゲータ回路100の場合、QUALH信号は、nckノード127に対して約3つのゲート遅延を生じる。ゲータ回路400の場合、QUALH信号は、nckノード401に対して約1つのゲート遅延を生じる。従って、実施態様の1つでは、占有面積に影響を及ぼすことなく、ゲート遅延(すなわち、セットアップ時間)が有効に短縮される。実際、FETの総数を減らすことによって、回路面積がかなり節約されることになる。当然明らかなように、典型的なVLSIプロセッサに数万のゲータ回路が含まれる可能性がある場合、本明細書に解説の実施態様を用いて実現する回路面積の節約は、極めて重要になる可能性がある。
図4Bは、回路400のゲート・レベルのブロック図である。図4Bに示すように、入力クロック信号SLCBOは、インバータ420によって反転されて、反転遅延クロック信号nckdを生じる。反転遅延クロック信号nckdは、NORゲート422によって入力クロック信号SLCBOとのNOR演算を施されて、プルダウン制御信号PDを生じる。プルダウン制御信号PDは、FET104bのゲートに加えられる。FET104bのドレインは、FET402のソースに結合されている。QUALH信号は、FET402とFET404の両方のゲートに直接加えられる。出力クロック信号CKは、フィードバックされ、NANDゲート426によって入力クロック信号SLCBOとのNAND演算を施されて、プッシュアップ制御信号NPUを生じ、FET104aのゲートに加えられる。nckノードとして表示されたFET104a、402のドレインは、インバータ428の入力に接続され、インバータ428の出力には、出力クロック信号CKが含まれる。インバータ428の出力は、第2のインバータ430の入力に接続され、第2のインバータ430の出力は、インバータ428の入力に接続されて、フィードバック・ループ432が形成される。出力クロック信号CKは、FET406のゲートにも加えられる。
ゲータ回路400の動作が、図5のタイミング図に例示されている。図5に例示のように、波形500は、時間経過(ナノ秒(「ns」)単位)に応じた入力ロック信号SLCBOの電圧レベル(0.0V〜1.2V)を表わしている。図5には、3つの立ち上がりエッジ501a、501b、及び、501cと、2つの立ち下がりエッジ502a、502bを含む、入力クロック信号SLCBOの2サイクル半が例示されている。波形504a及び504bは、入力クロック信号SLCBOに対する異なる時点において、アサートされ、続いて、ディアサートされるQUALH信号を表わしている。すなわち、波形504aによって表示されたQUALH信号は、波形504bで表示されたQUALH信号よりも約10ps早く、アサートされ、続いてディアサートされる。
図5を参照すると分るように、波形504aによって表示された早いほうのQUALH信号は、入力クロック信号SLCBO(波形500)の直前の立ち下がりエッジ502aから時間t5経過後に、アサートされる(その立ち上がりエッジ505aによって表示のように)。時間長t5はセットアップ時間要件を満たすのに十分なほど短いので、波形508aによって表示のように、出力クロック信号CKの次のサイクルがイネーブルされる。これに対し、波形504bによって表示された遅いほうのQUALH信号は、入力クロック信号SLCBO(波形500)の直前の立ち下がりエッジ502bから時間t6経過後に、アサートされる(その立ち上がりエッジ505bによって表示のように)。この場合、時間長t6はセットアップ時間要件を満たさないので、波形508bによって表示のように、出力クロック信号CKの次のサイクルが抑制される。
同様に、第1のQUALH信号(波形504a)は、入力クロック信号SLCBO(波形500)の直前の立ち下がりエッジ502bから時間t7経過後に、ディアサートされる(その立ち下がりエッジ510aによって表示のように)。時間長t7はセットアップ時間要件を満たすので、波形512aによって表示のように、QUALH信号がディアサートされると、出力クロック信号CKの次のサイクルが抑制されることになる。これに対し、第2のQUALH信号(波形504b)は、入力クロック信号SLCBO(波形500)の直前の立ち下がりエッジ502bから時間t8経過後に、ディアサートされる(その立ち下がりエッジ510bによって表示のように)。時間長t8はセットアップ時間要件を満たさないので、波形512bによって表示のように、QUALH信号をディアサートしても、出力クロック信号CKの次のサイクルを抑制することはできない。
図6には、いくつかの追加波形600a、602a、及び、602bを含んでいる点を除けば、図5に例示のタイミング図と同じタイミング図が例示されている。この実施態様の場合、先にアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形504a)及び後でアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形504b)の両方に対応する、制御信号PDの電圧レベルを表わすものとして、一つの波形600aが用いられている。このように一つの波形600aが用いられるのは、図示した両QUALH信号に対応する、時間経過に応じたPD信号の電圧レベルが、ほぼ同じになるためである。波形602a及び602bは、それぞれ、先にアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形504a)及び後でアサート/ディアサートされるQUALH信号(波形504b)に対応する、nckノードの電圧レベルを表わしている。
図5に例示のタイミング図と図2に例示のタイミング図とを比較すると、波形504aで表示のQUALH信号が、波形204aで表示のQUALH信号よりも約100ps遅れて、また、波形204bで表示のQUALH信号の約90ps後に、アサートされ、続いて、ディアサートされることになるが、それにもかかわらず、本明細書に解説の実施態様の特徴に従って、やはり、首尾よく、出力クロック信号CKのそれぞれ次のサイクルがイネーブルされ、続いて、ディゼーブルされるという点が重要である。
前述の図6のタイミング図に最も明確に示されているように、制御信号PD(波形600a)は、SLCBOの立ち下がりエッジが生じると必ず脈動する。しかし、nckノードにおけるプル制御信号PDの効果は、QUALH信号(波形504a、504b)のアサート/ディアサートによって「クオリファイ」される。すなわち、QUALH信号がローにトグルするのが、入力クロック信号SLCBOのファイアリングに対して極めて遅い場合には、nckノード401は、ローへのプルを開始し得るが、FET404、406が、nck401のプルアップを行うので、出力クロック信号CKは揺動しない。
従って、図6に例示のように、QUALH信号がアサートされて、プル制御PD(波形600a)のファイアリングが生じた後でも、QUALH信号は、同じサイクルにおいてローに遷移して出力クロックを抑制することが可能である。QUALH信号はまた、PDのファイアリング後、かなり経過してからハイに遷移して、クロックイベントをトリガすることも可能である。この結果は非常にマイナスの、すなわち減少したセットアップ時間をもたらす。
FETのサイジングが特定の用途の要件によって決まるのは明らかである。一般に、典型的な位相ゲータの場合、FET402の幅は、FET104bの幅と同じか、わずかに小さくすることが可能である。FET404及びFET406の幅は、同じくらいであることが望ましく、また、FET104bの幅の約1/4であることが望ましい。FET104bの幅は、駆動される負荷によって決まる。
従って、本明細書に解説の本発明の実施例によれば、占有面積に影響を及ぼすことなく、クオリファイア信号のセットアップ時間を短縮することが可能なゲータ回路が得られる。本発明の動作及び構成については、以上の詳細な説明から明らかであると確信する。
留意すべきは、本明細書では、位相ゲータについて解説してきたが、本明細書に述べた教示に従って、パルス・ゲータ、デューティ・サイクルを修正した位相ゲータ等のような他のタイプのゲータを実施することも可能であるという点である。
本発明の解説は、いくつかの説明図に関して行われたが、もちろん、図示及び解説の本発明の形態は、単なる例証となる実施態様として扱うべきである。付属の請求項によって定義された本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、さまざまな代替及び修正実施態様を実現することが可能である。
なお、本発明は例として次の態様を含む。( )内の数字は添付図面の参照符号に対応する。
[1] 入力クロック信号を受信するためのクロック入力と、クロック出力との間に電気的に接続された出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)と、
前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によるクロック信号の生成を選択的にイネーブルまたはディゼーブルするためのスイッチ素子(402)と、
クオリファイア信号の電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によって生成されたクロック信号の電圧レベルが、現状の電圧を維持するようにする回路要素(404、406)と、
を具備することを特徴とするクロック・ゲータ回路(400)。
[2] 前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によって生成されたクロック信号の電圧レベルが現状の電圧を維持するようにする前記回路要素(404、406)は、VDDと前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)の出力との間で直列に接続された第1及び第2のMOSFET(406、404)を含み、
前記第1のMOSFET(406)のゲートが、前記クロック出力に接続され、
前記第2のMOSFET(404)のゲートが、前記クオリファイア信号の入力に接続される、
ことを特徴とする上記[1]に記載のクロック・ゲータ回路(400)。
[3] 前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)は、直列に接続されたプルアップMOSFET(104(a))及びプルダウンMOSFET(104(b))を含み、
前記スイッチ素子は、前記プルアップMOSFET(104(a))と前記プルダウンMOSFET(104(b))の間に直列に接続されたMOSFET(402)が含まれることを特徴とする上記[1]または[2]に記載のクロック・ゲータ回路(400)。
[4] 前記スイッチ素子(402)は、前記クオリファイア信号のハイの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によるクロック信号の生成をイネーブルすることを特徴とする上記[3]に記載のクロック・ゲータ回路(400)。
[5] 前記スイッチ素子(402)は、前記クオリファイア信号のローの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によるクロック信号の生成をディゼーブルすることを特徴とする上記[3]に記載のクロック・ゲータ回路(400)。
[6] 前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)の前記出力に接続された入力と、前記クロック出力を含む出力を備えたインバータ(428)とをさらに含むことを特徴とする上記[1]から[5]のいずれか一つに記載のクロック・ゲータ回路(400)。
[7] クロック・ゲータ回路(400)を利用して、クロック信号を生成する方法であって、
前記クロック・ゲータ回路(400)の出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によるクロック信号の生成を選択的にイネーブルまたはディゼーブルすることと、
クオリファイア信号の電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)で生成された前記クロック信号の電圧レベルを現状の電圧に維持することと、
を有することを特徴とする方法。
[8] 前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)で生成された前記クロック信号の電圧レベルを現状の電圧に維持することが、VDDと前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)の出力との間に直列に接続された第1及び第2のMOSFET(406、404)を設けることをさらに有し、
前記第1のMOSFET(406)のゲートが、前記出力クロック信号生成器の出力に接続され、
前記第2のMOSFET(404)のゲートが、前記クオリファイア信号の入力に接続される、
ことを特徴とする上記[7]に記載の方法。
[9] 前記クオリファイア信号のハイの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によるクロック信号の生成をイネーブルすることをさらに有することを特徴とする上記[7]または[8]に記載の方法。
[10] 前記クオリファイア信号のローの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器(104(a)、104(b)、402)によるクロック信号の生成をディゼーブルすることをさらに有することを特徴とする上記[7]から[9]のいずれか一つに記載の方法。
従来の技術によるクロック・ゲータ回路の概略図である。 図1Aのゲータ回路のゲート・レベル・ブロック図である。 図1A及び図1Bに示す従来の技術によるゲータ回路の動作を例示するタイミング図である。 図1A及び図1Bに示す従来の技術によるゲータ回路の動作を例示するもう一つのタイミング図である。 クロック・ゲータ回路の実施態様の1つに関する概略図である。 図4Aのゲータ回路のゲート・レベル・ブロック図である。 図4A及び図4Bのクロック・ゲータ回路の動作を例示すタイミング図である。 図4Aおよび図4Bのクロック・ゲータ回路の動作を例示するもう一つのタイミング図である。
符号の説明
104a 出力クロック信号生成器、FET
104b 出力クロック信号生成器、FET
400 クロック・ゲータ回路
401 nckノード
402 出力クロック信号生成器、FET
404 第2のMOSFET、
406 第1のMOSFET

Claims (10)

  1. 入力クロック信号を受信するためのクロック入力と、クロック出力との間に電気的に接続された出力クロック信号生成器と、
    前記出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成を選択的にイネーブルまたはディゼーブルするためのスイッチ素子と、
    クオリファイア信号の電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器によって生成されたクロック信号の電圧レベルが、現状の電圧を維持するようにする回路要素と、
    を具備することを特徴とするクロック・ゲータ回路。
  2. 前記出力クロック信号生成器によって生成されたクロック信号の電圧レベルが現状の電圧を維持するようにする前記回路要素は、VDDと前記出力クロック信号生成器の出力との間で直列に接続された第1及び第2のMOSFETを含み、
    前記第1のMOSFETのゲートが、前記クロック出力に接続され、
    前記第2のMOSFETのゲートが、前記クオリファイア信号の入力に接続される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のクロック・ゲータ回路。
  3. 前記出力クロック信号生成器は、直列に接続されたプルアップMOSFET及びプルダウンMOSFETを含み、
    前記スイッチ素子は、前記プルアップMOSFETと前記プルダウンMOSFETとの間に直列に接続されたMOSFETを含む、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のクロック・ゲータ回路。
  4. 前記スイッチ素子は、前記クオリファイア信号のハイの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成をイネーブルすることを特徴とする請求項3に記載のクロック・ゲータ回路。
  5. 前記スイッチ素子は、前記クオリファイア信号のローの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成をディゼーブルすることを特徴とする請求項3に記載のクロック・ゲータ回路。
  6. 前記出力クロック信号生成器の前記出力に接続された入力と、前記クロック出力を含む出力とを備えたインバータとをさらに含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載のクロック・ゲータ回路。
  7. クロック・ゲータ回路を利用して、クロック信号を生成する方法であって、
    前記クロック・ゲータ回路の出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成を選択的にイネーブルまたはディゼーブルすることと、
    クオリファイア信号の電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器で生成された前記クロック信号の電圧レベルを現状の電圧に維持することと、
    を有することを特徴とする方法。
  8. 前記出力クロック信号生成器で生成された前記クロック信号の電圧レベルを現状の電圧に維持することが、VDDと前記出力クロック信号生成器の出力との間に直列に接続された第1及び第2のMOSFETを設けることをさらに有し、
    前記第1のMOSFETのゲートが、前記出力クロック信号生成器の出力に接続され、前記第2のMOSFETのゲートが、前記クオリファイア信号の入力に接続される、
    ことを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 前記クオリファイア信号のハイの電圧レベルに応答して、前記出力クロック信号生成器によるクロック信号の生成をイネーブルすることをさらに有することを特徴とする請求項7または請求項8に記載の方法。
  10. 前記クオリファイア信号のローの電圧レベルに応答して、前記出力クロック出力信号生成器によるクロック信号の生成をディゼーブルすることをさらに有することを特徴とする請求項7から9のいずれか一つに記載の方法。
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