JP2004225838A - トルクコンバータ - Google Patents
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Abstract
【課題】正転および逆転出力可能なトルクコンバータにおいて、コンバータ領域を減少させ、ロックアップ領域を増大させ、正逆転切り替え用のクラッチおよびブレーキの締結に必要な油圧の低減を可能とするトルクコンバータを提案する。
【解決手段】トルクコンバータ1はポンプインペラ2、正転タービン3、逆転タービン4およびステータ5の4要素の羽根車から構成される。トルクコンバータ1内を循環する流体は、入力軸21と同方向に回転するポンプインペラ2から正転タービン3に流れ込み正転タービン3にポンプインペラ2の回転方向と同方向の回転トルクを与え、次に正転タービン3から逆転タービン4に流れ込み逆転タービン4にポンプインペラ2の回転方向と逆方向の回転トルクを与え、次に逆転タービン4からステータ5を経てポンプインペラ2へ戻りポンプインペラ2のポンプ力を増大させる。
【選択図】 図1
【解決手段】トルクコンバータ1はポンプインペラ2、正転タービン3、逆転タービン4およびステータ5の4要素の羽根車から構成される。トルクコンバータ1内を循環する流体は、入力軸21と同方向に回転するポンプインペラ2から正転タービン3に流れ込み正転タービン3にポンプインペラ2の回転方向と同方向の回転トルクを与え、次に正転タービン3から逆転タービン4に流れ込み逆転タービン4にポンプインペラ2の回転方向と逆方向の回転トルクを与え、次に逆転タービン4からステータ5を経てポンプインペラ2へ戻りポンプインペラ2のポンプ力を増大させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン側から入力される駆動力のトルクおよび回転数を、流体を用いて変換して変速機側へ出力するトルクコンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン側から入力される回転駆動力を同方向または逆方向の回転として切り替え可能に出力するトルクコンバータとしては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−190192号公報
【0004】
特許文献1に記載のトルクコンバータは、エンジン側と連結する1本の入力軸と、変速機側と連結する1本の駆動軸と、ポンプインぺラ、第2ステータ、逆転タービン、正転タービンおよび第1ステータの5要素から構成されており、エンジン側からの入力を受けポンプインペラが回転する場合に、正転タービンはポンプインペラと同方向に回転可能とし、逆転タービンは逆方向に回転可能とするものである。
【0005】
そして、入力軸と同方向の回転を駆動軸に伝達する場合には逆転タービンを固定しつつ正転タービンを駆動軸と連結し、また逆方向の回転を出力する場合には正転タービンを固定しつつ逆転タービンを駆動軸に連結するよう構成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のようなトルクコンバータにあっては、以下に説明するような問題を生ずる。
つまり、ポンプインペラ、第2ステータ、逆転タービン、正転タービンおよび第1ステータの5要素から構成されるため、部品点数が増加し構造が複雑になる。また各羽根車が小さくなり、伝達トルク容量が小さくなるため、コンバータ領域が増大し、逆にロックアップ領域が減少する。また、逆転タービンを固定しつつ正転タービンを駆動軸と連結するあるいはその逆の固定および連結をするために、トルクコンバータの回転中心付近に、クラッチおよびブレーキを配置しなければならず、モーメントの原理から強力な締結力を必要とし、該締結に必要な油圧の確保が難しくなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明によるトルクコンバータは、請求項1に記載のごとく、
入力軸と駆動結合したポンプインペラと、該ポンプインペラと同方向に回転する正転タービンと、上記ポンプインペラと逆方向に回転する逆転タービンと、ステータとを具え、 上記ポンプインペラの回転に対して同方向の回転、及び逆方向の回転駆動力を出力可能なトルクコンバータにおいて、
流体がポンプインペラ、正転タービン、逆転タービン、ステータの順に循環するよう各要素を配置すると共に、
上記正転タービンと駆動結合する前進用駆動軸と、
上記逆転タービンを駆動結合する後進用駆動軸と、
上記入力軸の回転駆動力を前進用駆動軸へ出力する時に、上記逆転タービンの回転を制動させる逆転タービン制動手段と、
上記入力軸の回転駆動力を後進用駆動軸へ出力する時に、上記正転タービンの回転を制動させる正転タービン制動手段とを設けたことを特徴としたものである。
【0008】
【発明の効果】
かかる本発明のコンバータによれば、ポンプインペラ、正転タービン、逆転タービン、ステータの4要素から構成されることから、上記従来の5要素トルクコンバータよりも1要素を省略することができ、構成部品点数の減少および構造を簡素化することができる。また各羽根車が大きくなり、伝達トルク容量が大きくなるため、コンバータ領域が減少し、逆にロックアップ領域が増大する。さらに前進時には入力軸からトルクコンバータへ入力される駆動力と同回転方向の駆動力を前進用駆動軸へ伝達し、後退時には逆回転方向の駆動力を後進用駆動軸へ伝達するため、トルクコンバータの回転中心付近に、クラッチおよびブレーキを配置する必要がなく、クラッチおよびブレーキを締結させるために上記のような高い油圧を必要することもない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態になる4要素の羽根車を有するトルクコンバータが変速機と駆動結合した状態の要部を示した側面断面図である。
また図2は図1におけるトルクコンバータ1の拡大図であり、この図を用いてトルクコンバータ1を循環する流体について説明すると、図示せざるエンジンと入力軸21を介して連結したコンバータカバー22の内周はポンプインペラ2と一体に連結し、コンバータカバー22およびポンプインペラ2はエンジンからの駆動力により回転する。ポンプインペラ2内の流体は該回転による遠心力を受け、図2上においてポンプインペラ2から反時計回りに正転タービン3、逆転タービン4、ステータ5へ流入し、再びポンプインペラ2へ戻って循環する。
【0010】
このとき上記流体が各羽根車に設けられた羽根に衝突するため、正転タービン3および逆転タービン4にはポンプインペラ2の回転方向と同方向(正転方向)および逆転方向の回転トルクが発生する。流体の流れの向きと各羽根車の羽根の形状と回転トルクの関係を図3上において示すに、図上上向きが正方向の回転トルク、下向きが逆方向の回転トルクであり、右から左へ流体が循環する。ポンプインペラ2の内側には円周方向に並んだ多数の羽根2hが設けられており、ポンプインペラ2が正転方向(図上上向き)に回転すると、遠心力の作用で流体が羽根2hの形状に沿って、正転タービン3へ斜め上方向に流れ込む。
【0011】
図3上において、正転タービン3へ斜め上方向に流れ込んだ流体は、正転タービン3に多数設けられた羽根3hに衝突し、流れの向きを斜め下方向に変更して逆転タービン4へ流れ込む。この際、正転タービン3は流体からの力を受け上向き(正転方向)の回転トルクを得る。さらに、逆転タービン4が固定され、正転タービン3が回転する場合には、正転タービン3から逆転タービン4へ流体が流れ、固定されている逆転タービン4の羽根4hに衝突することによってもたらされる斜め上方向(正転方向)の反力が正転タービン3の回転力に加えられ、正転タービン3の上記回転トルクが増大する。
【0012】
逆転タービン4へ斜め下方向に流れ込んだ流体は、逆転タービン4に多数設けられた羽根4hに衝突し、流れの向きを斜め上方向に変更してステータ5へ流れ込む。この際、逆転タービン4は流体からの力を受け下向き(逆転方向)の回転トルクを得る。さらに、正転タービン3が固定され、逆転タービン4が回転する場合には、流体が逆転タービン4から、固定されているステータ5に流入して、ステータ5の羽根5hに衝突することによってもたらされる斜め下向き(逆転方向)の反力が逆転タービン4の回転力に加えられ、逆転タービン4の上記回転トルクが増大する。
【0013】
ステータ5へ斜め上方向に流れ込んだ流体は、ステータ5に多数設けられた羽根5hの上向きの面(以下、背面という)に衝突し、流れの向きを斜め下方向に変更する。次に上記羽根5hに隣接する羽根5hの下向きの面(以下、前面という)に衝突し、流れの向きを斜め上方向に変更し再びポンプインペラ2へ流れ込む。この結果、流体の流れは前記ポンプインペラ2の正転方向と同方向にしてポンプインペラ2の後押しを行い、ポンプ力を増大させる。
【0014】
以上に説明した回転トルクによって、車両の前進時には逆転タービン4を固定すると共に正転タービン3が正方向に回転し、また後退時には正転タービン3を固定すると共に逆転タービン4が逆方向に回転するが、それぞれの場合においては以下に説明する手段により各タービン3,4の回転トルクを変速機15に伝達し、また各タービン4,3の回転を制動する。
【0015】
正転タービン3は前進用駆動軸11の一端と一体に連結される。前進用駆動軸11は該中間部に設けたクラッチ27を介して変速機15と締結可能である。さらに前進用駆動軸11の他端側は上記変速機15を貫通しており、該他端に設けたブレーキ14を介して変速機15を包囲するハウジング16と締結が可能である。
【0016】
逆転タービン4は後進用駆動軸13の一端とワンウェイクラッチ8を介して連結される。後進用駆動軸13のトルクコンバータ1側の一端にはブレーキ9を設け、ステータ5を支持する固定軸12と締結可能とし、また後進用駆動軸13の他端にはクラッチ26を設け、該後進用駆動軸13は変速機15と締結可能である。後進用駆動軸13は中空であり、該内部を駆動軸11が同軸に延在している。
【0017】
ステータ5は固定軸12のトルクコンバータ1側の先端に設けたロックアップ時用ブレーキ10を介して支持され、該ロックアップ時用ブレーキ10を締結することによりステータ5を固定可能とする。固定軸12の他端はハウジング16に固定されている。固定軸12は中空であり、該内部を駆動軸11および後進用駆動軸13が同軸に延在している。
【0018】
トルクコンバータカバー22の回転中心は、ハウジング16方向に延在する中空軸22aを形成し、該先端は上記ハウジング16に隣接して設けられたオイルポンプ23に駆動力を伝達する。オイルポンプ23は各ブレーキ9,10,14,各クラッチ26,27等に必要な油圧を供給する。
【0019】
車両が前方に発進する場合には、クラッチ27を変速機15に締結し、ブレーキ14を解除することで、正転タービン3の正方向回転トルクを前進用駆動軸11から変速機15へ出力する。一方、ブレーキ9を締結しクラッチ26を解除し後進用駆動軸13を固定することにより、コンバータ領域では逆転タービン4の回転を拘束し、該逆転タービン4は第2のステータの役割を果たす。またコンバータ領域ではロックアップ時用ブレーキ10がステータ5を締結・固定する。
【0020】
以上に説明した車両前進時における各ブレーキおよびクラッチの作動の様子を、締結中を黒で、解除中を白で図4に示す。
【0021】
車両前進時において、車速が一定速に達した場合には、コンバータ領域からロックアップ領域に切り替わる必要があるため、ワンウェイクラッチ8は正方向にフリーとすることで逆転タービン4は正転可能となる。またロックアップ時用ブレーキ10を解除することでステータ5を正転可能とする。
【0022】
また車両が後退する場合には、ブレーキ9を解除し、クラッチ26を締結することで、逆転タービン4の逆方向回転トルクを後進用駆動軸13から変速機15へ出力する。一方、クラッチ27を解除しブレーキ14を締結することで、正転タービン3を固定し、該正転タービン3は第2のステータの役割を果たす。またロックアップ時用ブレーキ10はステータ5を締結・固定する。
【0023】
以上に説明した車両後退時における各ブレーキおよびクラッチの作動の様子を、締結中を黒で、解除中を白で図5に示す。
【0024】
ところで本実施の形態においては、流体がポンプインペラ2、正転タービン3、逆転タービン4、ステータ5の順に循環するよう4要素の羽根車をトルクコンバータに配置したことから、前記特許文献1に記載の従来の5要素からなるトルクコンバータに比べ、トルクコンバータの構造を簡素化することができると共に、各羽根車が5要素からなるトルクコンバータのものと比べて大きいため、コンバータ領域が減少し、逆にロックアップ領域が増大するという効果を得ることができる。
【0025】
また、上記正転タービン3は前進用駆動軸11と駆動結合し、上記逆転タービン4は後進用駆動軸13と駆動結合したことから、1本の駆動軸を用いた場合と比べて、正転および逆転切り替え用のクラッチおよびブレーキをトルクコンバータの回転中心付近に配置する必要がなく、該クラッチおよびブレーキを締結させるために高い油圧を必要することもない。
【0026】
また、正転タービン3および逆転タービン4のいずれか一方が駆動軸11,13へ駆動力を出力する時に、他方のタービンの回転を制動する手段を設けたことから、他方のタービンが固定され第2のステータの役割を果たすこととなり、上記駆動力の出力トルク増大効果を得ることができる。
【0027】
また、上述のタービン回転を制動する手段として、前進用駆動軸11は変速機15を貫通し、該先端には回転軸Oからオフセットした位置にブレーキ14を設け、変速機用ハウジング16と締結可能としたため、前進用駆動軸11の回転を拘束する場合には、モーメントの原理によりオフセット量が大きいほど少ない締結力で正転タービン3を固定することができ、従来のようにエンジン側から軸中心付近で固定する場合と比べてブレーキ14の締結に必要な油圧を低減することができる。
【0028】
また本実施の形態においては、ステータ5に流入する流体がまずステータ5に設けた羽根5hの背面に衝突して向きを変えるように羽根5hの形状を構成したため、上記流体の流れは逆転タービン4および後進用駆動力13に出力トルク増大効果を与え、
次に該羽根5hに隣接する羽根5hの前面に衝突して向きを変えるように羽根5hの形状を構成したため、ポンプインペラ2の正転方向と同方向に流体が流入してポンプインペラ2の後押しを行い、ポンプ力を増大させる。
【0029】
さらに、本実施の形態たるトルクコンバータ1をベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機に併用した場合には、前進用駆動軸11と後進用駆動軸13で変速比が変わらないため、後退時でのトルク比不足などの問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になるトルクコンバ−タが変速機と駆動結合した状態の要部を示した側面断面図である。
【図2】図1に示したトルクコンバータの拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態になるトルクコンバ−タ内を循環する流体の流れる方向を基準として、各タービンの羽根の向きおよび各タービンに発生する回転トルクの向きを模式的に示した図である。
【図4】図1に示したトルクコンバータおよび変速機において、車両前進時の各ブレーキおよびクラッチの締結および解除状態を示す側面断面図である。
【図5】図1に示したトルクコンバータおよび変速機において、車両後退時の各ブレーキおよびクラッチの締結および解除状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ
2 ポンプインペラ
3 正転タービン
4 逆転タービン
5 ステータ
8 ワンウェイクラッチ
9,10,14 ブレーキ
26,27 クラッチ
11 前進用駆動軸
12 固定軸
13 後進用駆動軸
15 変速機
16 ハウジング
21 入力軸
22 トルクコンバータカバー
23 オイルポンプ
24 油圧路
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジン側から入力される駆動力のトルクおよび回転数を、流体を用いて変換して変速機側へ出力するトルクコンバータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン側から入力される回転駆動力を同方向または逆方向の回転として切り替え可能に出力するトルクコンバータとしては従来、例えば特許文献1に記載のごときものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−190192号公報
【0004】
特許文献1に記載のトルクコンバータは、エンジン側と連結する1本の入力軸と、変速機側と連結する1本の駆動軸と、ポンプインぺラ、第2ステータ、逆転タービン、正転タービンおよび第1ステータの5要素から構成されており、エンジン側からの入力を受けポンプインペラが回転する場合に、正転タービンはポンプインペラと同方向に回転可能とし、逆転タービンは逆方向に回転可能とするものである。
【0005】
そして、入力軸と同方向の回転を駆動軸に伝達する場合には逆転タービンを固定しつつ正転タービンを駆動軸と連結し、また逆方向の回転を出力する場合には正転タービンを固定しつつ逆転タービンを駆動軸に連結するよう構成していた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来のようなトルクコンバータにあっては、以下に説明するような問題を生ずる。
つまり、ポンプインペラ、第2ステータ、逆転タービン、正転タービンおよび第1ステータの5要素から構成されるため、部品点数が増加し構造が複雑になる。また各羽根車が小さくなり、伝達トルク容量が小さくなるため、コンバータ領域が増大し、逆にロックアップ領域が減少する。また、逆転タービンを固定しつつ正転タービンを駆動軸と連結するあるいはその逆の固定および連結をするために、トルクコンバータの回転中心付近に、クラッチおよびブレーキを配置しなければならず、モーメントの原理から強力な締結力を必要とし、該締結に必要な油圧の確保が難しくなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この目的のため本発明によるトルクコンバータは、請求項1に記載のごとく、
入力軸と駆動結合したポンプインペラと、該ポンプインペラと同方向に回転する正転タービンと、上記ポンプインペラと逆方向に回転する逆転タービンと、ステータとを具え、 上記ポンプインペラの回転に対して同方向の回転、及び逆方向の回転駆動力を出力可能なトルクコンバータにおいて、
流体がポンプインペラ、正転タービン、逆転タービン、ステータの順に循環するよう各要素を配置すると共に、
上記正転タービンと駆動結合する前進用駆動軸と、
上記逆転タービンを駆動結合する後進用駆動軸と、
上記入力軸の回転駆動力を前進用駆動軸へ出力する時に、上記逆転タービンの回転を制動させる逆転タービン制動手段と、
上記入力軸の回転駆動力を後進用駆動軸へ出力する時に、上記正転タービンの回転を制動させる正転タービン制動手段とを設けたことを特徴としたものである。
【0008】
【発明の効果】
かかる本発明のコンバータによれば、ポンプインペラ、正転タービン、逆転タービン、ステータの4要素から構成されることから、上記従来の5要素トルクコンバータよりも1要素を省略することができ、構成部品点数の減少および構造を簡素化することができる。また各羽根車が大きくなり、伝達トルク容量が大きくなるため、コンバータ領域が減少し、逆にロックアップ領域が増大する。さらに前進時には入力軸からトルクコンバータへ入力される駆動力と同回転方向の駆動力を前進用駆動軸へ伝達し、後退時には逆回転方向の駆動力を後進用駆動軸へ伝達するため、トルクコンバータの回転中心付近に、クラッチおよびブレーキを配置する必要がなく、クラッチおよびブレーキを締結させるために上記のような高い油圧を必要することもない。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態になる4要素の羽根車を有するトルクコンバータが変速機と駆動結合した状態の要部を示した側面断面図である。
また図2は図1におけるトルクコンバータ1の拡大図であり、この図を用いてトルクコンバータ1を循環する流体について説明すると、図示せざるエンジンと入力軸21を介して連結したコンバータカバー22の内周はポンプインペラ2と一体に連結し、コンバータカバー22およびポンプインペラ2はエンジンからの駆動力により回転する。ポンプインペラ2内の流体は該回転による遠心力を受け、図2上においてポンプインペラ2から反時計回りに正転タービン3、逆転タービン4、ステータ5へ流入し、再びポンプインペラ2へ戻って循環する。
【0010】
このとき上記流体が各羽根車に設けられた羽根に衝突するため、正転タービン3および逆転タービン4にはポンプインペラ2の回転方向と同方向(正転方向)および逆転方向の回転トルクが発生する。流体の流れの向きと各羽根車の羽根の形状と回転トルクの関係を図3上において示すに、図上上向きが正方向の回転トルク、下向きが逆方向の回転トルクであり、右から左へ流体が循環する。ポンプインペラ2の内側には円周方向に並んだ多数の羽根2hが設けられており、ポンプインペラ2が正転方向(図上上向き)に回転すると、遠心力の作用で流体が羽根2hの形状に沿って、正転タービン3へ斜め上方向に流れ込む。
【0011】
図3上において、正転タービン3へ斜め上方向に流れ込んだ流体は、正転タービン3に多数設けられた羽根3hに衝突し、流れの向きを斜め下方向に変更して逆転タービン4へ流れ込む。この際、正転タービン3は流体からの力を受け上向き(正転方向)の回転トルクを得る。さらに、逆転タービン4が固定され、正転タービン3が回転する場合には、正転タービン3から逆転タービン4へ流体が流れ、固定されている逆転タービン4の羽根4hに衝突することによってもたらされる斜め上方向(正転方向)の反力が正転タービン3の回転力に加えられ、正転タービン3の上記回転トルクが増大する。
【0012】
逆転タービン4へ斜め下方向に流れ込んだ流体は、逆転タービン4に多数設けられた羽根4hに衝突し、流れの向きを斜め上方向に変更してステータ5へ流れ込む。この際、逆転タービン4は流体からの力を受け下向き(逆転方向)の回転トルクを得る。さらに、正転タービン3が固定され、逆転タービン4が回転する場合には、流体が逆転タービン4から、固定されているステータ5に流入して、ステータ5の羽根5hに衝突することによってもたらされる斜め下向き(逆転方向)の反力が逆転タービン4の回転力に加えられ、逆転タービン4の上記回転トルクが増大する。
【0013】
ステータ5へ斜め上方向に流れ込んだ流体は、ステータ5に多数設けられた羽根5hの上向きの面(以下、背面という)に衝突し、流れの向きを斜め下方向に変更する。次に上記羽根5hに隣接する羽根5hの下向きの面(以下、前面という)に衝突し、流れの向きを斜め上方向に変更し再びポンプインペラ2へ流れ込む。この結果、流体の流れは前記ポンプインペラ2の正転方向と同方向にしてポンプインペラ2の後押しを行い、ポンプ力を増大させる。
【0014】
以上に説明した回転トルクによって、車両の前進時には逆転タービン4を固定すると共に正転タービン3が正方向に回転し、また後退時には正転タービン3を固定すると共に逆転タービン4が逆方向に回転するが、それぞれの場合においては以下に説明する手段により各タービン3,4の回転トルクを変速機15に伝達し、また各タービン4,3の回転を制動する。
【0015】
正転タービン3は前進用駆動軸11の一端と一体に連結される。前進用駆動軸11は該中間部に設けたクラッチ27を介して変速機15と締結可能である。さらに前進用駆動軸11の他端側は上記変速機15を貫通しており、該他端に設けたブレーキ14を介して変速機15を包囲するハウジング16と締結が可能である。
【0016】
逆転タービン4は後進用駆動軸13の一端とワンウェイクラッチ8を介して連結される。後進用駆動軸13のトルクコンバータ1側の一端にはブレーキ9を設け、ステータ5を支持する固定軸12と締結可能とし、また後進用駆動軸13の他端にはクラッチ26を設け、該後進用駆動軸13は変速機15と締結可能である。後進用駆動軸13は中空であり、該内部を駆動軸11が同軸に延在している。
【0017】
ステータ5は固定軸12のトルクコンバータ1側の先端に設けたロックアップ時用ブレーキ10を介して支持され、該ロックアップ時用ブレーキ10を締結することによりステータ5を固定可能とする。固定軸12の他端はハウジング16に固定されている。固定軸12は中空であり、該内部を駆動軸11および後進用駆動軸13が同軸に延在している。
【0018】
トルクコンバータカバー22の回転中心は、ハウジング16方向に延在する中空軸22aを形成し、該先端は上記ハウジング16に隣接して設けられたオイルポンプ23に駆動力を伝達する。オイルポンプ23は各ブレーキ9,10,14,各クラッチ26,27等に必要な油圧を供給する。
【0019】
車両が前方に発進する場合には、クラッチ27を変速機15に締結し、ブレーキ14を解除することで、正転タービン3の正方向回転トルクを前進用駆動軸11から変速機15へ出力する。一方、ブレーキ9を締結しクラッチ26を解除し後進用駆動軸13を固定することにより、コンバータ領域では逆転タービン4の回転を拘束し、該逆転タービン4は第2のステータの役割を果たす。またコンバータ領域ではロックアップ時用ブレーキ10がステータ5を締結・固定する。
【0020】
以上に説明した車両前進時における各ブレーキおよびクラッチの作動の様子を、締結中を黒で、解除中を白で図4に示す。
【0021】
車両前進時において、車速が一定速に達した場合には、コンバータ領域からロックアップ領域に切り替わる必要があるため、ワンウェイクラッチ8は正方向にフリーとすることで逆転タービン4は正転可能となる。またロックアップ時用ブレーキ10を解除することでステータ5を正転可能とする。
【0022】
また車両が後退する場合には、ブレーキ9を解除し、クラッチ26を締結することで、逆転タービン4の逆方向回転トルクを後進用駆動軸13から変速機15へ出力する。一方、クラッチ27を解除しブレーキ14を締結することで、正転タービン3を固定し、該正転タービン3は第2のステータの役割を果たす。またロックアップ時用ブレーキ10はステータ5を締結・固定する。
【0023】
以上に説明した車両後退時における各ブレーキおよびクラッチの作動の様子を、締結中を黒で、解除中を白で図5に示す。
【0024】
ところで本実施の形態においては、流体がポンプインペラ2、正転タービン3、逆転タービン4、ステータ5の順に循環するよう4要素の羽根車をトルクコンバータに配置したことから、前記特許文献1に記載の従来の5要素からなるトルクコンバータに比べ、トルクコンバータの構造を簡素化することができると共に、各羽根車が5要素からなるトルクコンバータのものと比べて大きいため、コンバータ領域が減少し、逆にロックアップ領域が増大するという効果を得ることができる。
【0025】
また、上記正転タービン3は前進用駆動軸11と駆動結合し、上記逆転タービン4は後進用駆動軸13と駆動結合したことから、1本の駆動軸を用いた場合と比べて、正転および逆転切り替え用のクラッチおよびブレーキをトルクコンバータの回転中心付近に配置する必要がなく、該クラッチおよびブレーキを締結させるために高い油圧を必要することもない。
【0026】
また、正転タービン3および逆転タービン4のいずれか一方が駆動軸11,13へ駆動力を出力する時に、他方のタービンの回転を制動する手段を設けたことから、他方のタービンが固定され第2のステータの役割を果たすこととなり、上記駆動力の出力トルク増大効果を得ることができる。
【0027】
また、上述のタービン回転を制動する手段として、前進用駆動軸11は変速機15を貫通し、該先端には回転軸Oからオフセットした位置にブレーキ14を設け、変速機用ハウジング16と締結可能としたため、前進用駆動軸11の回転を拘束する場合には、モーメントの原理によりオフセット量が大きいほど少ない締結力で正転タービン3を固定することができ、従来のようにエンジン側から軸中心付近で固定する場合と比べてブレーキ14の締結に必要な油圧を低減することができる。
【0028】
また本実施の形態においては、ステータ5に流入する流体がまずステータ5に設けた羽根5hの背面に衝突して向きを変えるように羽根5hの形状を構成したため、上記流体の流れは逆転タービン4および後進用駆動力13に出力トルク増大効果を与え、
次に該羽根5hに隣接する羽根5hの前面に衝突して向きを変えるように羽根5hの形状を構成したため、ポンプインペラ2の正転方向と同方向に流体が流入してポンプインペラ2の後押しを行い、ポンプ力を増大させる。
【0029】
さらに、本実施の形態たるトルクコンバータ1をベルト式無段変速機やトロイダル式無段変速機に併用した場合には、前進用駆動軸11と後進用駆動軸13で変速比が変わらないため、後退時でのトルク比不足などの問題を解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態になるトルクコンバ−タが変速機と駆動結合した状態の要部を示した側面断面図である。
【図2】図1に示したトルクコンバータの拡大断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態になるトルクコンバ−タ内を循環する流体の流れる方向を基準として、各タービンの羽根の向きおよび各タービンに発生する回転トルクの向きを模式的に示した図である。
【図4】図1に示したトルクコンバータおよび変速機において、車両前進時の各ブレーキおよびクラッチの締結および解除状態を示す側面断面図である。
【図5】図1に示したトルクコンバータおよび変速機において、車両後退時の各ブレーキおよびクラッチの締結および解除状態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ
2 ポンプインペラ
3 正転タービン
4 逆転タービン
5 ステータ
8 ワンウェイクラッチ
9,10,14 ブレーキ
26,27 クラッチ
11 前進用駆動軸
12 固定軸
13 後進用駆動軸
15 変速機
16 ハウジング
21 入力軸
22 トルクコンバータカバー
23 オイルポンプ
24 油圧路
Claims (4)
- 入力軸と駆動結合したポンプインペラと、該ポンプインペラと同方向に回転する正転タービンと、上記ポンプインペラと逆方向に回転する逆転タービンと、ステータとを具え、上記ポンプインペラの回転に対して同方向の回転、及び逆方向の回転駆動力を出力可能なトルクコンバータにおいて、
流体がポンプインペラ、正転タービン、逆転タービン、ステータの順に循環するよう各要素を配置すると共に、
上記正転タービンと駆動結合する前進用駆動軸と、
上記逆転タービンを駆動結合する後進用駆動軸と、
上記入力軸の回転駆動力を前進用駆動軸へ出力する時に、上記逆転タービンの回転を制動させる逆転タービン制動手段と、
上記入力軸の回転駆動力を後進用駆動軸へ出力する時に、上記正転タービンの回転を制動させる正転タービン制動手段とを設けたことを特徴とするトルクコンバータ。 - 請求項1に記載のトルクコンバータにおいて、上記正転タービン制動手段は、上記前進用駆動軸が変速機を貫通し該変速機用ハウジングと締結するよう構成したことを特徴とするトルクコンバータ。
- 請求項1または2に記載のトルクコンバータにおいて、コンバータ領域では、上記ステータに流入する流体が該ステータに設けた羽根の背面に衝突して流れの向きを変え、次に隣接する羽根の前面に衝突して流れの向きを変えるように、上記羽根の形状を構成したことを特徴とするトルクコンバータ。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のトルクコンバータの前進用駆動軸および後進用駆動軸が、無段変速機と駆動結合したことを特徴とする車両の駆動装置。
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2003
- 2003-01-24 JP JP2003015846A patent/JP2004225838A/ja active Pending
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