JP2004225802A - 板材の締結具および板材の締結方法 - Google Patents

板材の締結具および板材の締結方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ボルトの締付けトルクを十分な大きさに維持し、メンテナンス時の樹脂プレートの取外しを簡易に行うこと。
【解決手段】金属プレート3をナット側FRPプレートAの一端面に接合する。FRPプレートA、Bの合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するフランジ付カラー6を形成する。FRPプレートA、Bおよび金属プレート3を貫通する下穴を設け、ナット側FRPプレートAに、かしめ加工用下穴11を設ける。金属プレート3上のかしめナット用下穴に対応する位置に、かしめナット2を設け、ナット側FRPプレートAの金属プレート3と反対側にカラー挿入用穴12を有するボルト側FRPプレートBを積層する。カラー挿入用穴12にフランジ付カラー6を挿入し、フランジ付カラー6にボルト8を挿通し、ボルト8とかしめナット2とを螺合させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変形性材料からなる板材を含む複数の板材を締結する板材の締結具および板材の締結方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、変形性材料からなる板材、例えば、樹脂プレートを重ねてボルトおよびナットで締結固定する場合、緩みを防止するため、緩止めが付加されたナットが使用されている。この手法では、ナットに付加された緩止めが、板材を締め付けるボルトの緩みを防止する機能を果たしている。
【0003】
また、板材の締結具のナット部として、一端に平坦な面を有する溶接ナットを用いる手法もある。この手法では、溶接ナットの平坦面を金属プレートに溶接してナット部を構成し、そのナット部を位置決め冶具を用いて樹脂プレートに接合している。
【0004】
本願発明に関連する先行技術文献情報としては、次のものがある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−310712号公報
【特許文献2】
実開平1−119909号公報
【特許文献3】
実開昭63−171710号公報
【特許文献4】
実開昭61−134495号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、例えば、樹脂プレートが発電機のカバーとして使用されている場合等、メンテナンスのために樹脂プレートを着脱することが多い場合には、緩止めが作業効率を悪くする原因となってしまう。すなわち、ボルトを緩めるためには、緩止めによる反力を超える力を与えなければならないので、樹脂プレートの着脱における労力が大きくなり、作業効率が悪くなってしまう。また、一度緩止め付ナットからボルトを取り外すと緩止め部分が破損し、その緩止め付ナットは再び使用できなくなる。したがって、メンテナンスの際、常にナットを新しくする必要があり不要なコストが発生する。
【0007】
また、上記の手法によって、ボルトとナットとにより上下から直接に樹脂プレートに対して締付けの圧力が加えられると、樹脂材料は圧力に対する変形量が大きいので、樹脂プレートに樹脂特有の歪みや撓みが生じてしまう。その結果、十分に締付けトルクを上げることができず、または締付けトルクを上げてもそれを維持することができない。そのため、樹脂プレートが発電機のカバーに使用された場合には、振動によってボルトが緩んでしまう。
【0008】
また、ナット部を位置決め冶具を使用して樹脂プレートに接合する場合、位置決めの作業が面倒であり、特に筐体の内側など手が入らないような作業性の悪い場所では位置決めが困難である。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、変形性材料からなる板材を含む複数の板材を締結するに際し、ボルトの締付けトルクを十分な大きさに維持し、かつメンテナンス時の変形性材料からなる板材の着脱を簡易に行うことができる、板材の締結具および板材の締結方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明の板材の締結具は、変形性材料からなる板材を含む複数の板材を締結する締結具であって、前記変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さ(首下長さ)を有し、前記変形性材料からなる板材を貫通する第1の穴に挿入されるカラーと、前記カラーの一端から挿通されるボルトと、前記カラーの他端に当接し、前記ボルトと螺合するナット部とを備えることを特徴としている。
【0011】
このように、本発明の板材の締結具は、ボルトとナット部との間に、変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを設ける。これにより、カラーが、ナット部に当接するスペーサーとしてボルトとナット部から直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。すなわち、カラーおよびナット部と板材とが、いわゆる「ゼロ当たり」の関係にあり、変形性材料からなる板材に過大な力がかからないため、変形性材料からなる板材の変形が防止される。そのため、適当な締付けトルクで変形性材料からなる板材を含む複数の板材を締結することができる。また、ボルトの締付けトルクが十分な大きさに維持されるため、ボルトが緩まず、締結部に空隙が生じない。その結果、振動により変形性材料からなる板材の穴周辺が割れたり、磨耗したりすることがなくなる。また、ボルトが緩まないため異音の発生も防止される。また、緩止め付ナットを使用する場合に比べ、メンテナンス時の変形性材料からなる板材の着脱を容易に行うことができる。なお、変形性材料からなる板材としては、例えば、樹脂プレートが挙げられる。また、木製の板材などを含んでも良い。
【0012】
また、本発明の板材の締結具は、前記ナット部は、前記カラーの他端側の変形性材料からなる板材の表面に接合され、前記第1の穴に対応する部位に第2の穴が設けられた金属プレートと、前記金属プレートの第2の穴に設けられたかしめナットまたは溶接ナットとから構成されることを特徴としている。
【0013】
このように、本発明の板材の締結具は、変形性材料からなる板材に接合された金属プレートにかしめナットまたは溶接ナットを取り付けて、ナット部を構成している。これにより、金属プレートに溶接ナットを溶接した後で、そのナット部を変形性材料からなる板材に接合する方法に比べ、穴の位置を合わせて接合するための位置決め冶具を用いることなく、ナット部を変形性材料からなる板材の適当な位置に設けることができ、容易かつ安価に板材を締結することができる。また、すべての変形性材料からなる板材の相対的な位置関係が把握されていれば、変形性材料からなる板材に下穴(第1の穴)を設けておき、適確な位置でナット部を設けることができる。また、金属プレート自体にかしめナットまたは溶接ナットが設けられるので、取り付け強度を高くすることができる。
【0014】
また、本発明の板材の締結具は、前記複数の板材には、非変形性材料からなる板材が含まれており、前記ナット部は、前記非変形性材料からなる板材に設けられ、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴と、前記第3の穴の内側に設けられ、前記ボルトと螺合するタップ部とから構成されることを特徴としている。
【0015】
このように、締結の対象となる板材に、非変形性材料からなる板材が含まれている場合は、その非変形性材料からなる板材に第1の穴よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴を設け、第3の穴にタップ加工をすることができる。これにより、ボルト側のみから変形性材料からなる板材を非変形性材料からなる板材と締結する作業を行なうことができる。この場合、第3の穴は第1の穴よりも小径であるので、第1の穴に挿入されたカラーは、非変形性材料からなる板材に当接することとなる。これにより、カラーが、ボルトと、ナット部(非変形性材料からなる板材)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。なお、非変形性材料からなる板材は、例えば、鉄などの金属性プレートが該当する。
【0016】
また、本発明の板材の締結具は、前記複数の板材には、非変形性材料からなる板材が含まれており、前記ナット部は、前記非変形性材料からなる板材に設けられ、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴と、前記非変形性材料からなる板材の第3の穴に設けられた溶接ナットから構成されることを特徴としている。
【0017】
このように、締結の対象となる板材に、非変形性材料からなる板材が含まれている場合は、その非変形性材料からなる板材に第1の穴よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴を設け、第3の穴に溶接ナットを溶接により設けることができる。この場合、第3の穴は第1の穴よりも小径であるので、第1の穴に挿入されたカラーは、非変形性材料からなる板材に当接することとなる。これにより、カラーが、ボルトと、ナット部(非変形性材料からなる板材)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。
【0018】
また、本発明の板材の締結具は、前記カラーは、前記一端にフランジを備えることを特徴としている。
【0019】
これにより、フランジを板材の一端に接合することができるので、メンテナンス時にカラーの脱落を防止できる。特に、変形性材料からなる板材の板厚が場所により異なる場合には、カラーの軸方向の長さは、各板材の合計板厚寸法に応じて定められており代替がきかないため、脱落による紛失を防止できればカラーを新たに作り直す必要がなくなる。その結果、メンテナンス性が向上する。なお、接合とは、例えば、接着剤を用いた接着、圧力をかけることによる板材への圧入など、フランジが変形性材料からなる板材から離脱できなくなる手法をすべて含む。
【0020】
また、本発明の板材の締結方法は、変形性材料からなる複数の板材を締結する板材の締結方法であって、前記各板材よりも面積が小さい金属プレートを前記いずれか一つの板材の一端面に接合する工程と、前記各板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを形成する工程と、前記各板材を貫通する第1の穴を設ける工程と、前記金属プレートの前記第1の穴に対応する部位に、前記金属プレートを貫通する第2の穴を設ける工程と、前記金属プレートが接合された板材に、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも大径の第4の穴を設ける工程と、前記金属プレートの第2の穴にかしめナットを設ける工程と、前記金属プレートが接合された板材の前記金属プレートと反対側に前記第1の穴の中心軸が揃うように他の板材を積層し、積層した板材の第1の穴に前記カラーを挿入し、前記カラーにボルトを挿通し、前記ボルトと前記かしめナットとを螺合させる工程とを含むことを特徴としている。
【0021】
このように、本発明の板材の締結方法は、ボルトとナットの間に変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを設ける。これにより、カラーが、ナット部に当接するスペーサーとしてボルトとナットから直接に締付け力を受け、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。すなわち、カラーおよびナット部と板材とが、いわゆる「ゼロ当たり」の関係にあり、変形性材料からなる板材に過大な力がかからないため、変形性材料からなる板材の変形が防止される。そのため、適当な締付けトルクで変形性材料からなる板材を締結することができる。また、ボルトの締付けトルクが十分な大きさに維持されるため、ボルトが緩まず、締結部に空隙が生じない。その結果、振動により変形性材料からなる板材の穴周辺が割れたり、磨耗したりすることがなくなる。また、ボルトが緩まないため異音の発生も防止される。また、緩止め付ナットを使用する場合に比べ、メンテナンス時の変形性材料からなる板材の着脱を容易に行うことができる。なお、変形性材料からなる板材としては、例えば、樹脂プレートが挙げられる。また、木製の板材などを含んでも良い。
【0022】
また、あらかじめ変形性材料からなる板材よりも面積が小さい金属プレートをいずれか一つの板材の一端面に接合し、その後に金属プレート上の第1の穴に対応する位置に下穴(第2の穴)を加工し、かしめナットを設けている。
【0023】
これにより、金属プレートに溶接ナットを溶接してナット部を構成した後に、そのナット部を変形性材料からなる板材に接合する方法に比べ、穴の位置を合わせて接合するための位置決め冶具を用いることなく、ナット部を変形性材料からなる板材の適当な位置に設けることができ、容易かつ安価に変形性材料からなる板材を締結することができる。また、すべての変形性材料からなる板材の相対的な位置関係が把握されていれば、変形性材料からなる板材に下穴を設けておき、適確な位置でナット部を設けることができる。また、金属プレートにかしめナットが設けられるので、直接変形性材料からなる板材にかしめナットを取り付けるよりも取り付け強度を高くすることができる。この場合、金属プレートが接合された板材に、第1の穴と同一の中心軸を有し、第1の穴よりも大径の第4の穴が設けられているので、かしめナットを取り付けるための工具を適切に用いることができる。
【0024】
また、本発明の板材の締結方法は、変形性材料からなる板材および非変形性材料からなる板材を締結する板材の締結方法であって、前記変形性材料からなる板材を貫通する第1の穴を設ける工程と、前記非変形性材料からなる板材に、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴を設ける工程と、前記変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを形成する工程と、前記非変形性材料からなる板材の前記第3の穴に、前記ボルトと螺合するタップ部を設ける工程と、前記第1の穴および第3の穴の中心軸が揃うように、前記非変形性材料からなる板材上に変形性材料からなる板材を積層し、積層した変形性材料からなる板材の第1の穴に前記カラーを挿入し、前記カラーにボルトを挿通し、前記ボルトと前記タップ部とを螺合させる工程とを含むことを特徴としている。
【0025】
このように、締結の対象となる板材に、非変形性材料からなる板材が含まれている場合は、その非変形性材料からなる板材に第1の穴よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴を設け、第3の穴にタップ加工をすることができる。これにより、ボルト側のみから変形性材料からなる板材を非変形性材料からなる板材と締結する作業を行なうことができる。この場合、第3の穴は第1の穴よりも小径であるので、第1の穴に挿入されたカラーは、非変形性材料からなる板材に当接することとなる。これにより、カラーが、ボルトと、ナット部(非変形性材料からなる板材)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。
【0026】
また、本発明の板材の締結方法は、変形性材料からなる板材および非変形性材料からなる板材を締結する板材の締結方法であって、前記変形性材料からなる板材を貫通する第1の穴を設ける工程と、前記非変形性材料からなる板材に、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴を設ける工程と、前記変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを形成する工程と、前記第1の穴および第3の穴の中心軸が揃うように、前記非変形性材料からなる板材上に変形性材料からなる板材を積層し、積層した変形性材料からなる板材の第1の穴に前記カラーを挿入し、前記カラーにボルトを挿通し、前記ボルトと溶接ナットとを螺合させる工程と、前記非変形性材料からなる板材と前記溶接ナットとを溶接する工程とを含むことを特徴としている。
【0027】
このように、締結の対象となる板材に、非変形性材料からなる板材が含まれている場合は、その非変形性材料からなる板材に第1の穴よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴を設け、第3の穴に溶接ナットを溶接により設けることができる。この場合、第3の穴は第1の穴よりも小径であるので、第1の穴に挿入されたカラーは、非変形性材料からなる板材に当接することとなる。これにより、カラーが、ボルトと、ナット部(非変形性材料からなる板材)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。
【0028】
また、本発明の板材の締結方法は、前記カラーの一端にフランジを設ける工程と、前記フランジを前記積層した板材の端面に接合する工程とをさらに含むことを特徴としている。
【0029】
このように、本発明の板材の締結方法は、カラーの一端にフランジを設け、そのフランジを板材の端面に接合している。これにより、メンテナンス時にカラーの脱落を防止できる。特に、変形性材料からなる板材の板厚が場所により異なる場合には、カラーの軸方向の長さは、各板材の合計板厚寸法に応じて定められており代替がきかないため、脱落による紛失を防止できればカラーを新たに作り直す必要がなくなる。その結果、メンテナンス性が向上する。なお、接合とは、例えば、接着剤を用いた接着、圧力をかけることによる板材への圧入など、フランジが変形性材料からなる板材から離脱できなくなる手法をすべて含む。
【0030】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る板材の締結具1を構成する部材および板材の斜視図である。実施の形態1では、図1に示すようにナット側から、かしめナット2、金属プレート3、フランジ付カラー6、ワッシャ7、ボルト8の順の相対的な位置関係で板材の締結具1が構成され、ナット側FRPプレートA、ボルト側FRPプレートBが締結される。
【0031】
フランジ付カラー6とは、パイプ状の中空の円筒形部材をいう。フランジ付カラー6は、かしめナットが「つば無し」の場合、軸方向の長さ(首下長さ)が各FRPプレートA、Bの合計板厚寸法に応じて定められており、ナット部20と当接して、ボルト8の締付けトルクを適当な大きさまで上げるためのスペーサーとしての機能を有する。実施の形態1において、カラーは、その一端にフランジ部22を備える。フランジ部22をボルト側プレートBの表面に接着することにより、メンテナンス時に脱落によるカラーの紛失を防止できる。特に、FRPプレートの板厚が場所により異なる場合には、カラーの軸方向の長さ(首下長さ)は、各板材の合計板厚寸法に応じて定められており代替がきかないため、脱落による紛失を防止できればカラーを新たに作り直す必要がなくなる。
【0032】
ナット部とは、かしめナット2を含んで構成され、全体としてナットの機能を果たす部材である。ナット部は、ナット側FRPプレートAの表面に接合され、穴10が設けられた金属プレート3と、金属プレート3の穴10に設けられたかしめナット2とから構成される。かしめナットとは、かしめ工具により、ボルト側から穴に挿入され引っ張られることで、その円筒の外側が変形され、物理的に板材の穴に固定されるナットをいう。なお、かしめナットには「つば付き」と「つば無し」の二種類が存在するが、実施の形態1に係る板材の締結具は、いずれのかしめナットでも使用可能である。かしめナットが「つば付き」の場合は、フランジ付カラー6の軸方向の長さ(首下長さ)は、各FRPプレートA、Bの合計板厚寸法からつばの厚さを引いて算出される。
【0033】
次に、実施の形態1に係る板材の締結方法について説明する。図2は、実施の形態1に係る板材の締結方法を示すフローチャートである。まず、各板材よりも面積が小さい金属プレート3をナット側FRPプレートAのナット側端面に接着剤21により接合する(ステップS1)。なお、接合は、例えば、接着剤を用いた接着の他、圧力をかけることによる板材への圧入など、フランジが変形性材料からなる板材から離脱できなくなる手法をすべて含む。
【0034】
次に、各FRPプレートの合計板厚寸法を計測する(ステップS2)。板厚が不均一のFPRプレートを重ねたときには、ボルト締結部の合計板厚寸法を計測する。そして、各FRPプレートの合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するフランジ付カラー6を形成する(ステップS3)。その際、軸方向の長さをFRPプレートの合計板厚寸法より長めに製作しておいたフランジ付カラーを板厚寸法に一致するように切削または切断加工する。これにより、板厚が均一でないFRPプレートにおいても、重ねた枚数の厚みに合わせた金属のカラーを簡単に寸法合せで現場加工し、板厚に合わせた軸方向の長さを有するカラーを得て、通常のボルトの規定締付けトルク管理による締付けができる。
【0035】
次に、FRPプレートのボルト締結位置に下穴を設ける(ステップS4)。そして、ボルト側FRPプレートBにカラー挿入用穴12を設ける(ステップS5)。カラー挿入用穴12は、第1の穴に該当する。
【0036】
次に、ボルト側FRPプレートBにフランジ付カラー6を挿入し、フランジ部22をボルト側FRPプレートBに接着させる(ステップS6)。これにより、メンテナンス時に脱落によるカラーの紛失を防止できる。特に、FRPプレートの板厚が場所により異なる場合には、カラーの軸方向の長さは、各板材の合計板厚寸法に応じて定められており代替がきかないため、紛失を防止できればカラーを新たに作り直す必要がなくなる。その結果、メンテナンス性が向上する。ここで、フランジ付カラーは、カラー部とフランジ部を一体にして切り出し、またはプレス加工してもよいし、ワッシャ状のフランジ部材にフランジ無しのカラーを挿入・圧着させて形成してもよい。
【0037】
次に、ナット側FRPプレートAの金属プレート接合面の反対の端面にホルソーまたは専用ドリル刃を使用して、ナット側FRPプレートAのみ貫通するようにカラー挿入用穴12よりも大径のかしめ工程用下穴11を設ける(ステップS7)。かしめ工程用下穴11は、第4の穴に該当する。
【0038】
次に、ボルト側FRPプレートBのカラー挿入用穴12をもとに金属プレートにかしめナット用下穴10の加工をし、かしめ工具を使用して、金属プレート3のかしめナット用下穴10にボルト側から、かしめナット2を挿通させた上で引き込んで取付ける(ステップS8)。かしめナット用下穴10は、第2の穴に該当する。この手法により、ナット側FRPプレートAが密閉型容器の壁板として使用されている場合であっても、かしめナットの取り付け作業が可能になる。また、金属プレートに溶接ナットを溶接してナット部を構成した後に、そのナット部をFRPプレートに接合する方法に比べ、穴の位置を合わせて接合するための位置決め冶具を用いることなく、ナット部をFRPプレートの適当な位置に設けることができ、容易かつ安価にFRPプレートを締結することができる。また、すべてのFRPプレートの相対的な位置関係が把握されていれば、FRPプレートに下穴を設けておき、適確な位置でナット部を設けることができる。また、ナット部のFRPプレートへの圧着強度を確保することができる。
【0039】
最後に、積層したFRPプレートのカラー挿入用穴12にフランジ付カラー6を挿入し、フランジ付カラー6にボルト8を挿通し、ボルト8とかしめナット2を螺合させる(ステップS9)。
【0040】
図3は、実施の形態1に係る板材の締結具1を用いて実際に板材を締結した状態を示す断面図である。図3に示すように、金属プレート3は、ナット側FRPプレートAに接着剤21で接合されている。また、金属プレート3には、かしめナット用下穴10が設けられている。ナット側FRPプレートAには、かしめ工程用下穴11が設けられており、かしめナット2は金属プレート3に物理的に固定されている。ボルト側FRPプレートBにはカラー挿入用穴12が設けられており、その穴から2枚のFRPプレートの合計板厚の軸方向の長さを有するフランジ付カラー6が挿入され、ワッシャ7を通したボルト8がフランジ付カラー6を挿通してナット部20に螺合されている。
【0041】
これにより、フランジ付カラー6が、ナット部20に当接するスペーサーとしてボルト8とナット部20から直接に締付け力を受け、FRPプレートに圧力がかかりすぎず、FRPプレートは変形しないため、ボルトの螺合時にボルト8を強固に締めて、FRPプレートAおよびBにかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。すなわち、フランジ付カラー6およびナット部20とFRPプレートAおよびBとが、いわゆる「ゼロ当たり」の関係にあり、FRPプレートAおよびBに過大な力がかからないため、FRPプレートの変形が防止される。そのため、適当な締付けトルクでFRPプレートを含む複数の板材を締結することができる。また、ボルトの締付けトルクが十分な大きさに維持されるため、ボルト8が緩まず、締結部に空隙が生じない。その結果、振動によりFRPプレートの穴11または20の周辺が割れたり、磨耗したりすることがなくなる。また、ボルト8が緩まないため異音の発生も防止される。また、緩止め付ナットを使用する場合に比べ、メンテナンス時のFRPプレートの着脱を容易に行うことができる。
【0042】
(実施の形態2)
実施の形態2では、FRPプレートと金属板とを締結する場合を説明する。図4に示すように、実施の形態2では、実施の形態1におけるナット側FRPプレートAの変わりに、金属板A−2を用い、ボルト側FRPプレートBと金属板A−2とを締結する。まず、ボルト側FRPプレートBに、図1に示すカラー挿入用穴12に該当する第1の穴12−2を設ける。次に、金属板A−2に第1の穴12−2と同一の中心軸を有し、第1の穴12−2よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴Cを設け、その第3の穴Cに、ボルト8と螺合するタップ部A−3をタップ加工により設ける。一方、ボルト側FRPプレートBの板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラー6を形成する。そして、第1の穴12−2および第3の穴Cの中心軸が揃うように、金属板A−2上にボルト側FRPプレートBを積層し、積層したボルト側FRPプレートBの第1の穴12−2にカラー6を挿入する。その際、フランジ22をボルト側FRPプレートBに接着する。最後に、カラー6にワッシャ7を有するボルト8を挿通し、ボルト8とタップ部A−3とを螺合させる。
【0043】
実施の形態2によれば、締結の対象となる板材に、金属板A−2が含まれている場合は、金属板A−2に、FRPプレートBに設けられた第1の穴12−2よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴Cを設け、第3の穴Cにタップ加工をしてタップ部A−3を設けることができる。これにより、ボルト8側のみからFRPプレートBを金属板A−2と締結する作業を行なうことができる。この場合、第3の穴Cは第1の穴12−2よりも小径であるので、第1の穴12−2に挿入されたカラー6は、金属板A−2に当接することとなる。これにより、カラー6が、ボルト8と、ナット部(金属板A−2)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、ボルト側FRPプレートBに圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルト8の螺合時にボルト8を強固に締めて、ボルト側FRPプレートBにかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。なお、図4では、FRPプレートおよび金属板がそれぞれ1枚の場合を示したが、FRPプレートおよび金属板をそれぞれ複数締結する場合にも本発明は適用可能である。
【0044】
(実施の形態3)
実施の形態3では、実施の形態2と同様に、FRPプレートと金属板とを締結する場合を説明する。図5に示すように、実施の形態3では、実施の形態1におけるナット側FRPプレートAの変わりに、金属板A−2を用い、ボルト側FRPプレートBと金属板A−2とを締結する。まず、ボルト側FRPプレートBに第1の穴12−2を設ける。次に、金属板A−2に、第1の穴12−2と同一の中心軸を有し、第1の穴12−2よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴Cを設ける。一方、ボルト側FRPプレートBの板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラー6を形成する。そして、第1の穴12−2および第3の穴Cの中心軸が揃うように、金属板A−2上にボルト側FRPプレートBを積層し、積層したボルト側FRPプレートBの第1の穴12−2にカラー6を挿入する。次に、カラー6にワッシャ7を有するボルト8を挿通し、ボルト8、カラー6、第1の穴12−2、第3の穴C、および溶接ナット3−2の位置を確認する。
【0045】
次に、ボルト側FRPプレートBが溶接時に発生する熱から影響を受けないように、ボルト8を抜いてボルト側FRPプレートBを取り外す。そして、改めて第3の穴Cにボルト8を通してボルト8と溶接ナット3−2とを螺合させる。そして、溶接部3−3において溶接を行なう。次に、ボルト8を溶接ナット3−2から取り外し、再び、第1の穴12−2および第3の穴Cの中心軸が揃うように、金属板A−2上にボルト側FRPプレートBを積層し、積層したボルト側FRPプレートBの第1の穴12−2にカラー6を挿入する。次に、カラー6にワッシャ7を有するボルト8を挿通し、ボルト8を溶接ナット3−2に螺合させる。
【0046】
このように、締結の対象となる板材に、金属板A−2が含まれている場合は、金属板A−2に第1の穴12−2よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴Cを設け、第3の穴Cに溶接ナット3−2を溶接により設けることができる。この場合、第3の穴Cは第1の穴12−2よりも小径であるので、第1の穴12−2に挿入されたカラー6は、金属板A−2に当接することとなる。これにより、カラー6が、ボルト8と、ナット部(金属板A−2)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、ボルト側FRPプレートBに圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルト8の螺合時にボルト8を強固に締めて、ボルト側FRPプレートBにかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。なお、溶接ナット3−2は、どのような形状であってもよい。例えば、T形、四角、六角など、各種の溶接用ナットが使用できる。また、金属板A−2への溶接ナット3−2の溶接は、どの段階で行なってもよい。例えば、金属板A−2に位置決めのための印をつけておき、その印に基づいて溶接ナット3−2を溶接しても良いし、上記のように、第3の穴Cが設けられた金属板A−2に溶接ナット3−2を溶接しても良い。また、図5では、FRPプレートおよび金属板がそれぞれ1枚の場合を示したが、FRPプレートおよび金属板をそれぞれ複数締結する場合にも本発明は適用可能である。
【0047】
なお、上記の説明では、変形性材料からなる板材としてFRPプレートを使用する場合を説明したが、いずれの変形性材料からなる板材についても本発明を適用できる。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ボルトとナット部との間に、変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーが設けられる。これにより、カラーが、ナット部に当接するスペーサーとしてボルトとナット部から直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。すなわち、カラーおよびナット部と板材とが、いわゆる「ゼロ当たり」の関係にあり、変形性材料からなる板材に過大な力がかからないため、変形性材料からなる板材の変形が防止される。そのため、適当な締付けトルクで変形性材料からなる板材を含む複数の板材を締結することができる。また、ボルトの締付けトルクが十分な大きさに維持されるため、ボルトが緩まず、締結部に空隙が生じない。その結果、振動により変形性材料からなる板材の穴周辺が割れたり、磨耗したりすることがなくなる。また、ボルトが緩まないため異音の発生も防止される。また、緩止め付ナットを使用する場合に比べ、メンテナンス時の変形性材料からなる板材の着脱を容易に行うことができる。
【0049】
また、本発明は、変形性材料からなる板材に接合された金属プレートにかしめナットまたは溶接ナットを取り付けて、ナット部を構成している。これにより、金属プレートに溶接ナットを溶接した後で、そのナット部を変形性材料からなる板材に接合する方法に比べ、穴の位置を合わせて接合するための位置決め冶具を用いることなく、ナット部を変形性材料からなる板材の適当な位置に設けることができ、容易かつ安価に板材を締結することができる。また、すべての変形性材料からなる板材の相対的な位置関係が把握されていれば、変形性材料からなる板材に下穴(第1の穴)を設けておき、適確な位置でナット部を設けることができる。また、金属プレート自体にかしめナットまたは溶接ナットが設けられるので、取り付け強度を高くすることができる。
【0050】
また、本発明によれば、締結の対象となる板材に、非変形性材料からなる板材が含まれている場合は、その非変形性材料からなる板材に第1の穴よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴を設け、第3の穴にタップ加工をすることができる。これにより、ボルト側のみから変形性材料からなる板材を非変形性材料からなる板材と締結する作業を行なうことができる。この場合、第3の穴は第1の穴よりも小径であるので、第1の穴に挿入されたカラーは、非変形性材料からなる板材に当接することとなる。これにより、カラーが、ボルトと、ナット部(非変形性材料からなる板材)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。なお、非変形性材料からなる板材は、例えば、鉄などの金属性プレートが該当する。
【0051】
また、本発明によれば、締結の対象となる板材に、非変形性材料からなる板材が含まれている場合は、その非変形性材料からなる板材に第1の穴よりも小径でボルトが通過可能な第3の穴を設け、第3の穴に溶接ナットを溶接により設けることができる。この場合、第3の穴は第1の穴よりも小径であるので、第1の穴に挿入されたカラーは、非変形性材料からなる板材に当接することとなる。これにより、カラーが、ボルトと、ナット部(非変形性材料からなる板材)とから直接に締付け力を受けることとなる。その結果、変形性材料からなる板材に圧力がかかりすぎず、変形が生じないため、ボルトの螺合時にボルトを強固に締めて、変形性材料からなる板材にかかる締付けトルクを適当な大きさまで上げることができる。
【0052】
また、本発明によれば、フランジを板材の一端に接合することができるので、メンテナンス時にカラーの脱落を防止できる。特に、変形性材料からなる板材の板厚が場所により異なる場合には、カラーの軸方向の長さは、各板材の合計板厚寸法に応じて定められており代替がきかないため、脱落による紛失を防止できればカラーを新たに作り直す必要がなくなる。その結果、メンテナンス性が向上する。なお、接合とは、例えば、接着剤を用いた接着、圧力をかけることによる板材への圧入など、フランジが変形性材料からなる板材から離脱できなくなる手法をすべて含む。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る板材の締結具を構成する部材および板材の斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る板材の締結方法を示すフローチャートである。
【図3】実施の形態1に係る板材の締結具により板材を締結した場合の締結具および板材の断面図である。
【図4】実施の形態2に係る板材の締結具により板材を締結した場合の締結具および板材の断面図である。
【図5】実施の形態3に係る板材の締結具により板材を締結した場合の締結具および板材の断面図である。
【符号の説明】
1…締結具、2…かしめナット、3…金属プレート、3−2…溶接ナット、6…フランジ付カラー、7…ワッシャ、8…ボルト、A…ナット側FRPプレート、A−2…金属板、A−3…タップ部、B…ボルト側FRPプレート、10…かしめナット用下穴(第2の穴)、11…かしめ加工用下穴、12…カラー挿入用穴、12−2…カラー挿入用穴(第1の穴)、20…ナット部、21…接着剤、22…フランジ部、C…第3の穴

Claims (9)

  1. 変形性材料からなる板材を含む複数の板材を締結する締結具であって、
    前記変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有し、前記変形性材料からなる板材を貫通する第1の穴に挿入されるカラーと、
    前記カラーの一端から挿通されるボルトと、
    前記カラーの他端に当接し、前記ボルトと螺合するナット部とを備えることを特徴とする板材の締結具。
  2. 前記ナット部は、
    前記カラーの他端側の変形性材料からなる板材の表面に接合され、前記第1の穴に対応する部位に第2の穴が設けられた金属プレートと、
    前記金属プレートの第2の穴に設けられたかしめナットまたは溶接ナットとから構成されることを特徴とする請求項1記載の板材の締結具。
  3. 前記複数の板材には、非変形性材料からなる板材が含まれており、
    前記ナット部は、
    前記非変形性材料からなる板材に設けられ、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴と、
    前記第3の穴の内側に設けられ、前記ボルトと螺合するタップ部とから構成されることを特徴とする請求項1記載の板材の締結具。
  4. 前記複数の板材には、非変形性材料からなる板材が含まれており、
    前記ナット部は、
    前記非変形性材料からなる板材に設けられ、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴と、
    前記非変形性材料からなる板材の第3の穴に設けられた溶接ナットから構成されることを特徴とする板材の締結具。
  5. 前記カラーは、前記一端にフランジを備えることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の板材の締結具。
  6. 変形性材料からなる複数の板材を締結する板材の締結方法であって、
    前記各板材よりも面積が小さい金属プレートを前記いずれか一つの板材の一端面に接合する工程と、
    前記各板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを形成する工程と、
    前記各板材を貫通する第1の穴を設ける工程と、
    前記金属プレートの前記第1の穴に対応する部位に、前記金属プレートを貫通する第2の穴を設ける工程と、
    前記金属プレートが接合された板材に、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも大径の第4の穴を設ける工程と、
    前記金属プレートの第2の穴にかしめナットを設ける工程と、
    前記金属プレートが接合された板材の前記金属プレートと反対側に前記第1の穴の中心軸が揃うように他の板材を積層し、積層した板材の第1の穴に前記カラーを挿入し、前記カラーにボルトを挿通し、前記ボルトと前記かしめナットとを螺合させる工程とを含むことを特徴とする板材の締結方法。
  7. 変形性材料からなる板材および非変形性材料からなる板材を締結する板材の締結方法であって、
    前記変形性材料からなる板材を貫通する第1の穴を設ける工程と、
    前記非変形性材料からなる板材に、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴を設ける工程と、
    前記変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを形成する工程と、
    前記非変形性材料からなる板材の前記第3の穴に、前記ボルトと螺合するタップ部を設ける工程と、
    前記第1の穴および第3の穴の中心軸が揃うように、前記非変形性材料からなる板材上に変形性材料からなる板材を積層し、積層した変形性材料からなる板材の第1の穴に前記カラーを挿入し、前記カラーにボルトを挿通し、前記ボルトと前記タップ部とを螺合させる工程とを含むことを特徴とする板材の締結方法。
  8. 変形性材料からなる板材および非変形性材料からなる板材を締結する板材の締結方法であって、
    前記変形性材料からなる板材を貫通する第1の穴を設ける工程と、
    前記非変形性材料からなる板材に、前記第1の穴と同一の中心軸を有し、前記第1の穴よりも小径で前記ボルトが通過可能な第3の穴を設ける工程と、
    前記変形性材料からなる板材の合計板厚寸法に応じて定められた軸方向の長さを有するカラーを形成する工程と、
    前記第1の穴および第3の穴の中心軸が揃うように、前記非変形性材料からなる板材上に変形性材料からなる板材を積層し、積層した変形性材料からなる板材の第1の穴に前記カラーを挿入し、前記カラーにボルトを挿通し、前記ボルトと溶接ナットとを螺合させる工程と、
    前記非変形性材料からなる板材と前記溶接ナットとを溶接する工程とを含むことを特徴とする板材の締結方法。
  9. 前記カラーの一端にフランジを設ける工程と、前記フランジを前記積層した板材の端面に接合する工程とをさらに含むことを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の板材の締結方法。
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