JP2004225611A - 動弁装置におけるラッシュアジャスタ - Google Patents

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JP2004225611A JP2003014424A JP2003014424A JP2004225611A JP 2004225611 A JP2004225611 A JP 2004225611A JP 2003014424 A JP2003014424 A JP 2003014424A JP 2003014424 A JP2003014424 A JP 2003014424A JP 2004225611 A JP2004225611 A JP 2004225611A
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screw
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Ken Yamamoto
山本  憲
Eiji Maeno
栄二 前野
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NTN Corp
NTN Toyo Bearing Co Ltd
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Abstract

【課題】鋸歯状ねじ機構を採用したラッシュアジャスタにおいて、部品点数の削減によりコストの低減とコンパクト化とを図ることである。
【解決手段】リフタボディ11の端板12の下側にナット部材13を設け、そのナット部材13のねじ孔14にアジャストスクリュ15をねじ係合し、そのアジャストスクリュ15をリターンスプリング16によって押圧する。ねじ孔14の雌ねじとアジャストスクリュ15の雄ねじのねじ山を鋸歯状とする。リターンスプリング16の一端の座巻き部16aの半径を小径としてリターンスプリング16の回転抵抗を小さくし、アジャストスクリュ15が回転しつつ軸方向にスムーズに移動するようにする。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、内燃機関における動弁装置のバルブクリアランスを自動調整するラッシュアジャスタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
カムの回転によって吸気バルブあるいは排気バルブ(以下、単にバルブという)を開閉させる動弁装置においては、ラッシュアジャスタの組込みによってバルブクリアランスを自動調整している。
【0003】
この種のラッシュアジャスタとして、動弁装置の軸方向長さのコンパクト化を図ることができる部品点数の少ない組立ての容易なねじ式のラッシュアジャスタが既に提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−62519号公報
【0005】
上記公報に記載されたラッシュアジャスタは、図9に示すように、リフタボディ11’の上側に設けられた端板12’の下面にナット部材13’をロウ付け等の手段で固着し、そのナット部材13’のねじ孔14’にねじ係合されたアジャストスクリュ15’を前記ねじ孔14’の閉塞端部内に組込まれたリターンスプリング16’によって軸方向に押圧し、前記ねじ孔14’の雌ねじ14a’とアジャストスクリュ15’の外周に形成された雄ねじ15a’のねじ山を、アジャストスクリュ15’に負荷される押し込み荷重を受ける圧力側フランク17’のフランク角を遊び側フランク18’のフランク角より大きい鋸歯状とし、その鋸歯状ねじ山に、前記リターンスプリング16’の押圧によってアジャストスクリュ15’が回転しつつ軸方向に移動するリード角を設けている。
【0006】
上記の構成から成るラッシュアジャスタは、例えば、同図で示すように、カム1’とバルブ5’に設けられたバルブステム2’間に組み込み、上記バルブステム2’をカム1’側に押圧するバルブスプリング4’の弾力によってバルブステム2’の端面をアジャストスクリュ15’の端面に押し付け、その押し付け力をリフタボディ11’を通してカム1’に伝え、カム1’の回転によってバルブ5’が開閉するようにする。
【0007】
上記のようなラッシュアジャスタの組込みにおいて、シリンダヘッドの熱膨張等によりバルブステム2’とアジャストスクリュ15’間にバルブクリアランスが生じようとすると、リターンスプリング16’の押圧力によりアジャストスクリュ15’が遊び側フランク18’に沿って回転しつつ軸方向に移動して上記バルブクリアランスを吸収する。
【0008】
また、アジャストスクリュ15’がバルブステム2’によって押し込み力を受けると、雌ねじ14a’と雄ねじ15a’のねじ係合部に形成された軸方向のねじ隙間を詰めるまでアジャストスクリュ15’が後退し、さらに、押し込み力がかかると、互に圧接する圧力側フランク17’により上記押し込み力を受けてアジャストスクリュ15’が回転しつつ後退動するのを防止する。
【0009】
反対に、バルブシートの摩耗によりバルブステム2’のエンドとカム1’のカム軸間の距離が縮まると、アジャストスクリュ15’はカム1’から負荷される軸方向の変動荷重により徐々に押し込まれてカム1’側に移動し、カム1’のベース円がリフタボディ11’の端板12’と接触する接触時にバルブ5’をバルブシートに完全に着座させて圧縮漏れを引き起こすことを防止する。
【0010】
このとき、アジャストスクリュ15’は前記軸方向の変動荷重の最小値が零になる位置からねじのガタ分だけさらに押し込まれ、それ以上は後退しない。
【0011】
鋸歯状ねじを採用したラッシュアジャスタにおいては、上述のように、バルブステム2’とアジャストスクリュ15’間にバルブクリアランスが生じようとすると、リターンスプリング16’の押圧力によりアジャストスクリュ15’を回転させつつ軸方向に移動させて前記バルブクリアランスを吸収する構成であるため、アジャストスクリュ15’の突出側の作動特性を円滑に行わせるためには、リターンスプリング16’によって回転抵抗が負荷されるアジャストスクリュ15’をスムーズに回転させる必要がある。
【0012】
そこで、従来のラッシュアジャスタにおいては、リターンスプリング16’の回転抵抗を小さくするために、リターンスプリング16’とアジャストスクリュ15’の接触部間にスプリングシート19’を組込み、そのスプリングシート19’に形成された球形面20’をアジャストスクリュ15’に点接触させて回転抵抗の低減化を図るようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、スプリングシート19’を組込んだラッシュアジャスタにおいては、部品点数が多くなってコストが高くなり、また、ラッシュアジャスタの軸方向長さも長くなるため、ラッシュアジャスタを採用していない従来のエンジンでは、その組込みに際して大幅な設計変更を必要とする不都合がある。
【0014】
さらに、軸方向に往復動するアジャストスクリュ15’を共振することなく突出方向に押圧するためには、リターンスプリング16’の線径、外径、巻き数あるいは長さによって決定されるばね荷重をある程度大きく設計する必要があるが、スプリングシート19’を用いると、そのための充分なスペースを確保することが困難になる。
【0015】
この発明の課題は、上述の鋸歯状ねじ機構を採用した動弁装置のラッシュアジャスタにおいて、部品点数を削減してコストの低減を図ることおよび軸方向長さのコンパクト化を図ることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明に係るラッシュアジャスタにおいては、カムとバルブステム間において軸方向にスライド自在に組込まれ、カムと接触する端板を上部に有するリフタボディと、そのリフタボディの端板下面に設けられたナット部材と、そのナット部材に形成されたねじ孔にねじ係合されたアジャストスクリュと、前記ねじ孔の閉塞端部内に組込まれて前記アジャストスクリュを軸方向に押圧するリターンスプリングとから成り、前記ねじ孔の雌ねじとアジャストスクリュの外周に形成された雄ねじのねじ山を、アジャストスクリュに負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とした動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、前記リターンスプリングの一端の座巻き部を両端の座巻き部間におけるコイル部より小径とした構成を採用したのである。
【0017】
また、第2の発明に係るラッシュアジャスタにおいては、シリンダヘッドに形成された支持孔内に挿入され、下端部内周に雌ねじが形成された筒状のボディと、そのボディ内にスライド自在に挿入され、ボディの上部開口から外部に臨む先端の球形部によってバルブステム押下げ用のロッカアームの一端部を揺動自在に支持するピボットと、前記雌ねじにねじ係合されたアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュをピボッドの下端面に向けて押圧するリターンスプリングとから成り、前記雌ねじとアジャストスクリュの外周に形成された雄ねじのねじ山を前記ピボットからアジャストスクリュに負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とした動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、前記リターンスプリングの一端の座巻き部を両端の座巻き部間におけるコイル部より小径とした構成を採用したのである。
【0018】
上記のように、リターンスプリングの一端の座巻き部を小径とすることによって、そのリターンスプリングの回転抵抗を小さくすることができるため、スプリングシートの組込みを不要とすることができる。このため、部品点数の削減によってコストの低減を図ることができると共に、ラッシュアジャスタの軸方向長さのコンパクト化を図り、エンジンを大幅に設計変更することなくラッシュアジャスタの使用を可能とすることができる。
【0019】
また、リターンスプリングの回転抵抗も小さいため、アジャストスクリュをスムーズに回転させることができ、突出方向への作動特性もスプリングシートを用いたときと変わりない作動特性を得ることができる。
【0020】
ここで、前記リターンスプリングの座巻き部の半径をr’とし、アジャストスクリュのねじ部有効半径をrとし、その座巻き部半径r’とねじ部有効半径rとの比
Figure 2004225611
となるようにすると、アジャストスクリュを常にスムーズに突出回転させることができる。
【0021】
なお、上記式中におけるαはアジャストスクリュのリード角、θはアジャストスクリュの圧力側フランクのフランク角である。
【0022】
前記リターンスプリングは、円筒形コイルスプリングの一端の座巻き部のみを小径としたスプリングであってもよく、あるいは、円錐形コイスルプリングから成るものであってもよい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、この発明に係るラッシュアジャスタAをダイレクト型動弁装置のカム1とバルブステム2間に組込んだ状態を示している。
【0024】
バルブステム2は上端部にスプリングリテナ3を有し、そのスプリングリテナ3に付与されるバルブスプリング4の弾力によってバルブステム2は下端のバルブ5がバルブシート6に密着する方向に付勢されている。
【0025】
図2および図3に示すように、ラッシュアジャスタAは、図9に示すラッシュアジャスタと同様に、リフタボディ11を有している。リフタボディ11は、図1に示すように、シリンダヘッドBに形成されたガイド孔7内においてスライド自在とされる。このリフタボディ11はカム1と接触する端板12を上側に有し、その端板12の下側にナット部材13が設けられている。
【0026】
ナット部材13に形成されたねじ孔14は端板12によって閉塞され、そのねじ孔14にねじ係合されたアジャストスクリュ15はねじ孔14の閉塞端部内に組込まれたリターンスプリング16によって軸方向に押圧されている。
【0027】
ねじ孔14の雌ねじ14aとアジャストスクリュ15の外周に形成された雄ねじ15aのねじ山は、アジャストスクリュ15に負荷される押し込み力を受ける圧力側フランク17のフランク角が遊び側フランク18のフランク角より大きい鋸歯状とされ、その鋸歯状ねじ山に前記リターンスプリング16の押圧によってアジャストスクリュ15が回転しつつ軸方向に移動するリード角が設けられている。
【0028】
リターンスプリング16は円筒形のコイルスプリングから成り、一端の座巻き部16aは、両端の座巻き部間におけるコイル部より小径とされている。このリターンスプリング16は、小径の座巻き部16aがリフタボディ11の端板12の下面に接触する組込みとされている。
【0029】
なお、リターンスプリング16は小径の座巻き部16aがアジャストスクリュ15に接触する組込みとしてもよい。
【0030】
図2に示すように、リフタボディ11の内周上部には係合溝19と、その下方にテーパ面20とが設けられ、上記係合溝19に弾性リング21が取付けられている。
【0031】
弾性リング21は図3に示すように周方向の一部が切り離された皿ばねから成り、径方向および軸方向に弾性変形可能とされ、軸方向の弾性力によりナット部材13の外周上部に設けられたフランジ13aをリフタボディ11の端板12下面に押し付けて、ナット部材13がリフタボディ11に対して相対的に回転するのを防止している。
【0032】
なお、ナット部材13はロウ付けによる手段により端板12に固着してリフタボディ11に対して回転するのを防止するようにしてもよい。
【0033】
図1に示すように、アジャストスクリュ15とバルブステム2の間にはスライド部材22が組込まれている。このスライド部材22は保持機構30により、ナット部材13に回り止めされ、かつ軸方向に移動可能とされている。
【0034】
図2および図3に示すように、保持機構30は、ナット部材13の下方に設けられたリング状の回り止め部材31を有し、その回り止め部材31を加締めによる手段等を介してナット部材13に固定している。また、回り止め部材31の内周対向位置から下向きに一対のガイド片34を設け、そのガイド片34には回り止め部材31の内周部に至るガイド孔35を形成し、一方、スライド部材22の外周対向位置にL形の回り止め片22aを設け、その回り止め片22aを前記ガイド孔35に挿入して、スライド部材22を回り止めし、かつ軸方向に移動自在としている。
【0035】
上記回り止め部材31は金属薄板をプレス成形することによって形成されている。
【0036】
上記の構成から成るラッシュアジャスタAにおいては、前述の図9に示すラッシュアジャスタと同様に、バルブステム2とアジャストスクリュ15間にバルブクリアランスが生じると、リターンスプリング16の押圧力によりアジャストスクリュ15が遊び側フランク18に沿って回転しつつ軸方向(突出方向)に移動して上記バルブクリアランスを吸収する。
【0037】
ここで、アジャストスクリュ15が回転しつつ突出方向に移動するとき、アジャストスクリュ15はリターンスプリング16の回転抵抗を受ける。その回転抵抗が大きい場合、アジャストスクリュ15を突出方向に円滑に移動させることができない。
【0038】
しかしながら、リターンスプリング16は図2に示す如く、座巻き部16aが小径であるため、リターンスプリング16の回転抵抗はきわめて小さく、アジャストスクリュ15は、スムーズに回転して突出方向に移動し、バルブクリアランスを直ちに吸収する。
【0039】
一方、アジャストスクリュ15がバルブステム2によって押し込み力を受けると、雌ねじ14aと雄ねじ15aのねじ係合部に形成された軸方向のねじ隙間を詰めるまでアジャストスクリュ15が後退し、さらに押し込み力が付与されると、互に圧接する圧力側フランク17により上記押し込み力を受けてアジャストスクリュ15が回転しつつ後退動するのを防止する。
【0040】
また、バルブステム2からアジャストスクリュ15に負荷される押し込み荷重が継続的に作用する変動荷重の場合、アジャストスクリュ15は変動荷重の最小値が零になる位置まで回転しつつ軸方向に後退してバルブクリアランスを一定に保つように作用する。
【0041】
実施の形態で示すように、アジャストスクリュ15とバルブステム2間にスライド部材22を組込み、そのスライド部材22をナット部材13に対して回り止めし、かつ軸方向にスライド自在とすることにより、バルブステム2がリフタボディ11に対して相対回転しても、その捩りモーメントはアジャストスクリュ15に伝わらず、軸方向への押し込み力のみが伝達されることになる。このとき、その軸方向への押し込み力はねじ孔14とアジャストスクリュ15のねじ係合部における圧力側フランク17により受けられ、アジャストスクリュ15は回転しつつ後退動するのが防止される。その結果、安定したバルブリフト量を維持することができる。
【0042】
図2に示す実施形態では、リターンスプリング16として円筒形コイルスプリングを採用し、そのコイルスプリングの一端の座巻き部16aを小径としたが、図4に示すように、円錐形コイルスプリングを採用してもよい。
【0043】
リターンスプリング16の一端の座巻き部16aの半径は以下の計算式によって求めることができる。
ここで、図5は、図2に示すナット部材13とアジャストスクリュ15のねじ係合部を示し、図2に示す場合と、上下を逆にして描いている。
いま、
P : リターンスプリングの押圧力(軸力)
α : ねじのリード角
θ : アジャストスクリュの軸心を含む平面上での圧力側フランクのフランク角
θ: ねじ山に直角な断面(図5の直線(イ))における圧力側フランクのフランク角
μ : ねじ係合部間の摩擦係数
とすると、
tanθ’= tanθ cosα …… ▲1▼
の関係がある。
【0044】
図5に示す鋸歯状ねじは、図6(I)、(II)に示す力学モデルに対応させることができる。
図6において、軸力Pのねじリードに平行な方向の分力をF、軸力Pのねじリードに垂直な方向の分力をF、圧力側フランクを垂直に押す力をFとすると、
【数1】
Figure 2004225611
となる。
また、圧力側フランク17での摩擦力をFとすると、
【数2】
Figure 2004225611
となる。
【0045】
リターンスプリング16の回転摩擦抵抗力を考慮しない場合において、アジャストスクリュ15を自立させるための条件は、F>F、すなわち
【数3】
Figure 2004225611
となる。
μについて解くと、
μ ≧ tanα cosθ’ …… ▲3▼
以上より、アジャストスクリュ15を静的に自立させるための条件のグラフは、
【数4】
Figure 2004225611
により描くことができる。
なお、▲1▼式より、リード角αが十分小さい場合は、cosα≒1であるから、θ=θ’として近似する。例えば、リード角α=11.5°の場合、cosα=0.9799となり、誤差は約2%程度である。
【0046】
次に、リターンスプリング16の回転摩擦抵抗を考慮する場合において、アジャストスクリュ15を自立させるための条件を以下に述べる。
いま、軸力Pおよび回転力Qの合力のねじリードに平行な方向への分力(外力Pが雄ねじをリードに沿って滑らせようとする力)をF’、軸力Pおよび回転力Qの合力のねじリードに垂直な方向への分力をF’、圧力側フランクを垂直に押す力をF’および圧力側フランクでの摩擦力をF’とすると、
【数5】
Figure 2004225611
となる。
アジャストスクリュ15を自立させるための条件は、F’≧F’、すなわち、
【数6】
Figure 2004225611
となる。
【0047】
回転力Qとして、リターンスプリング16の回転抵抗を考える場合、リターンスプリング16の回転トルク抵抗をT、アジャストスクリュ16のねじ部有効半径をrとすると、Q=T/rにより、▲5▼式は以下のように書き換えることができる。
【数7】
Figure 2004225611
よって、リターンスプリング16の回転抵抗があってもアジャストスクリュ15がスムーズに突出する回転条件は、
【数8】
Figure 2004225611
となる。
ここで、θとθ’とは前述のように、θ≒θ’として取り扱うことができる。
【0048】
一方、リターンスプリング16の回転トルク抵抗Tは、リターンスプリング16の座巻き部16aの半径をr’とすると、
T=μr’P …… ▲8▼
で求められる。
そこで、▲8▼式を▲1▼式に代入すると、
【数9】
Figure 2004225611
の関係が得られる。
【0049】
一般に、オイル潤滑された金属面同士の摩擦係数μは、μ=0.08〜0.12程度であることから、アジャストスクリュ15が最も突出し難い条件であるμ=0.12を想定して、
【数10】
Figure 2004225611
の条件を満たせば、アジャストスクリュ15は常にスムーズに突出回転することになる。
【0050】
一方、量産されるばねの巻き径は、加工上、線径の4倍以上必要であり、リターンスプリング16もこの制約を受ける。
以上のことと、本発明に係るラッシュアジャスタに適するアジャストスクリュ15の、リード角α、フランク角θ’等のねじ諸元を考慮すると、リターンスプリング16の座巻き部16aの半径r’とアジャストスクリュ15のねじ部有効半径rとの比は、
【数11】
Figure 2004225611
とするのが望ましい。
【0051】
図7および図8は、この発明に係るラッシュアジャスタの他の実施形態を示す。図7は、カムの回転によりロッカアーム8を揺動させ、そのロッカアーム8によってバルブステム2を押し下げてバルブ5を開放させ、バルブスプリング4によりバルブステム2を押し上げてバルブ5を閉鎖させるようにしたロッカアーム型動弁装置を示し、前記ロッカアーム8の一端部をラッシュアジャスタAで支持し、そのラッシュアジャスタAでバルブクリアランスを調整するようにしている。
【0052】
ラッシュアジャスタAは、シリンダヘッドBに形成された支持孔9内に挿入された筒状のボディ41を有し、そのボディ41の下端部内周に雌ねじ42が形成されている。
【0053】
ボディ41の内部にはピボット43がスライド自在に挿入され、そのピボット43の上部にロッカアーム8の一端部を支持する球形部44が設けられている。
【0054】
また、ボディ41の内部には、前記ピボット43の下方にアジャストスクリュ45と、そのアジャストスクリュ45をピボット43の下端面に押し付けるリターンスプリング46で組込まれている。
【0055】
アジャストスクリュ45はボディ41の雌ねじ42にねじ係合され、そのアジャストスクリュ45の外周に設けられた雄ねじ47と雌ねじ42のねじ山は、アジャストスクリュ45に負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランク48のフランク角が遊び側フランク49のフランク角より大きい鋸歯状とされ、その鋸歯状ねじ山に、リターンスプリング46の押圧力によりアジャストスクリュ45が回転しつつ軸方向に移動するリード角が設けられている。
【0056】
リターンスプリング46は円筒形のコイルスプリングから成り、ボディ41の底面によって支持される一端の座巻き部46aは、両端の座巻き部間のコイル部より小径とされている。
【0057】
上記のように、リターンスプリング46の座巻き部46aを小径とすることによって、リターンスプリング46の回転抵抗は小さく、アジャストスクリュ45はスムーズに回転してピボット43を押し上げる方向に移動し、カム1とロッカアーム8の対向部間に形成されるバルブクリアランスを直ちに吸収することができる。
【0058】
ここで、座巻き部46aの半径は前記計算式によって求めることができる。
【0059】
なお、リターンスプリング46として、円錐形コイルスプリングを用いるようにしてもよい。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、この発明においては、リターンスプリングの一端の座巻き部を小径としたことによってリターンスプリングの回転抵抗を小さくすることができ、スプリングシートの組込みを不要とすることができる。
【0061】
このため、部品点数を削減し、ラッシュアジャスタのコストの低減を図ることができると共に、軸方向長さのコンパクト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るラッシュアジャスタを組込んだダイレクト型動弁装置の縦断正面図
【図2】図1に示すラッシュアジャスタの縦断正面図
【図3】図2の底面図
【図4】ラッシュアジャスタの他の例を示す一部拡大断面図
【図5】図2に示すラッシュアジャスタのアジャストスクリュのねじ係合部を示す断面図
【図6】(I)は力学モデルの正面図、(II)は側面図
【図7】この発明に係るラッシュアジャスタを組込んだロッカアーム型動弁装置の縦断正面図
【図8】図7に示すラッシュアジャスタの縦断正面図
【図9】従来のラッシュアジャスタを採用した動弁装置の縦断正面図
【符号の説明】
B シリンダヘッド
1 カム
2 バルブステム
9 支持孔
11 リフタボディ
12 端板
13 ナット部材
14 ねじ孔
14a 雌ねじ
15 アジャストスクリュ
15a 雄ねじ
16 リターンスプリング
17 圧力側フランク
18 遊び側フランク
41 ボディ
42 雌ねじ
43 ピボット
44 球形部
45 アジャストスクリュ
46 リターンスプリング
46a 座巻き部
47 雄ねじ
48 圧力側フランク
49 遊び側フランク

Claims (4)

  1. カムとバルブステム間において軸方向にスライド自在に組込まれ、カムと接触する端板を上部に有するリフタボディと、そのリフタボディの端板下面に設けられたナット部材と、そのナット部材に形成されたねじ孔にねじ係合されたアジャストスクリュと、前記ねじ孔の閉塞端部内に組込まれて前記アジャストスクリュを軸方向に押圧するリターンスプリングとから成り、前記ねじ孔の雌ねじとアジャストスクリュの外周に形成された雄ねじのねじ山を、アジャストスクリュに負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とした動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、前記リターンスプリングの一端の座巻き部を両端の座巻き部間におけるコイル部より小径としたことを特徴とする動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  2. シリンダヘッドに形成された支持孔内に挿入され、下端部内周に雌ねじが形成された筒状のボディと、そのボディ内にスライド自在に挿入され、ボディの上部開口から外部に臨む先端の球形部によってバルブステム押下げ用のロッカアームの一端部を揺動自在に支持するピボットと、前記雌ねじにねじ係合されたアジャストスクリュと、そのアジャストスクリュをピボッドの下端面に向けて押圧するリターンスプリングとから成り、前記雌ねじとアジャストスクリュの外周に形成された雄ねじのねじ山を前記ピボットからアジャストスクリュに負荷される軸方向の押込み荷重を受ける圧力側フランクのフランク角が遊び側フランクのフランク角より大きい鋸歯状とした動弁装置におけるラッシュアジャスタにおいて、前記リターンスプリングの一端の座巻き部を両端の座巻き部間におけるコイル部より小径としたことを特徴とする動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
  3. 前記リターンスプリングの座巻き部の半径をr’とし、アジャストスクリュのねじ部有効半径をrとし、その座巻き部半径r’とねじ部有効半径rとの比
    Figure 2004225611
    となるようにした請求項1又は2に記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
    (ただし、αはアジャストスクリュのリード角、θはアジャストスクリュの圧力側フランクのフランク角である。)
  4. 前記リターンスプリングが円錐形コイルスプリングから成る請求項1乃至3のいずれかに記載の動弁装置におけるラッシュアジャスタ。
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WO2006126471A1 (ja) * 2005-05-23 2006-11-30 Ntn Corporation 動弁装置におけるラッシュアジャスタおよびアーム式動弁装置
US7474978B2 (en) 2006-10-31 2009-01-06 Avago Technologies Ecbu Ip (Singapore) Pte. Ltd. High dynamic range optical receiver

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