JP2004225449A - シリコーン汚染耐性に優れた外装材及びそれを用いた建築物の外壁 - Google Patents

シリコーン汚染耐性に優れた外装材及びそれを用いた建築物の外壁 Download PDF

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Abstract

【課題】外装材及びそれを用いた建築物の外壁において、シリコーンシーリング材からの溶出成分による汚染に対する耐性の実現を図る。
【解決手段】基材1表面のシリコーンコーティング層Cは、無機フイラー11を含有し、有機シリコーン系低分子化合物に対して膜厚方向に浸透性を有する。また、シリコーンコーティング層Cは、塗膜中に光半導体12を含有している。シリコーンシーリング材100からの溶出成分101中のSi−CH基は、光半導体12により分解され、親水基Si−OH基となり、塗膜は雨水などの水分との親和性が高くなり、塗膜内部の浸透性が向上する。フィラー11による浸透性及び光半導体12による分解作用により、光半導体12による分解反応速度がシリコーン成分溶出速度を上まわり、汚染耐性が実現する。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種基材の表面にコーティング層を形成して製造した外装材及びそれを用いた建築物の外壁に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、外壁材の施工時には、各部材間の接合部や隙間(一般に目地と呼ばれる)に充填し目地に水密、気密性を持たせるものとしてシーリング材が使用されている。シーリング材には、種々のものがあるが、窓枠などの部位には、耐水性、耐久性、耐候性に優れたシリコーン系シーリング材が使用されることが多い。シリコーン系シーリング材を充填した個所の周辺に通常の塗装を施した場合、シリコーンシーリング材中の低分子化合物が溶出し、その塗装膜(塗膜)表面を被覆してしまい、さらに大気中の汚染物質が付着し、外壁面の外観が著しく汚染されるといった問題点がある。
【0003】
シリコーンシーリング材は主に硬化過程の副生成化合物の種類により酢酸型、オキシム型、アミノキシ型、アルコール型などに大別される。シリコーンシーリング材の基本構造は、図13(a)に示すように主鎖にシロキサン結合(−Si−O−Si−)を有するものであり、ポリマーの末端の官能基は、図13(b)に示すようなジメチル基と結合したシラノール基になっており、空気中の湿気を利用しながら加水分解反応が進行する。このようにシリコーンシーリング材は、骨格の一部にSi−CH基などの撥水性官能基を含んでいる。シリコーンシーリング材の注入後、硬化過程の間、未反応のシリコンの低分子化合物が徐々に溶出し、塗膜表面に沈着していくと、塗膜表面は徐々に撥水性になり、大気中の有機性の汚染成分が蓄積していき、汚染が目立つようになる。
【0004】
近年、大気中の有機性汚染物質が塗膜表面に付着しにくい低汚染塗料というものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。この低汚染塗料は、ウレタン塗料中にテトラアルコキシシラン低縮合物を混在させ塗膜表面を親水性にし、付着した油性の汚染物質を塗膜表面の親水性を利用して降雨時の雨水により洗い流すものである。
【0005】
また、塗膜表面の親水性に関して、シリカ微粒子の突き出た微細粗面になっていて、微細構造を有するシリカ微粒子と珪酸質バインダーで結合した親水性の微細多孔質構造がシリコーンシーリング材の溶出物に由来する汚れに対して効果を発揮するとするものが知られている(例えば、特許文献2参照)。親水基の数が多いシリカ微粒子と珪酸バインダーを用い、微細多孔質構造を形成させることで、親水基を表面に配列させただけの構造よりは、親水基の量が多く、シリコーン溶出物に対する抵抗性が高くなる。
【0006】
また、光半導体を含有し、塗膜表面に超親水性皮膜を形成させ、セルフクリーニング機能を保持することで汚れを付着しにくくする技術も提案されてきている。光半導体は、光電気化学反応を利用し、無尽蔵に地球に降り注ぐ紫外光線の力を利用したすばらしい材料である。光半導体は、シリコーンシーリング材からの溶出物の骨格のシロキサン結合は、分解することはできないが、骨格に結合しているSi−CH基を分解することは可能である。
【0007】
【特許文献1】
特開平10−102000号公報
【特許文献2】
特開2001−72893号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した特許文献1に示すような低汚染塗料の塗膜は、一般的な部位には良好な耐汚染性を発揮するが、図14(a)に示すように外装材の基材1表面の低汚染塗料の塗膜200がシリコーンシーリング材100と併用された場合、次第に汚染耐性の効果が失われる。これは、シリコーンシーリング材100を設置した場合、シリコーンシーリング材100から溶出したシリコーン成分(シリコーン低分子化合物)101が塗膜200の表面をはうようにつたっていき、低汚染塗料の塗膜表面に生成された親水基を有する塗膜表面が、次第に撥水性のシリコーン溶出成分に覆われてしまうからである。覆われた後の塗膜表面が、図14(b)に示すように、徐々に撥水性の表面300になり、しかもシリコーン溶出成分101は、大気中の有機性の汚染物質との親和性が高いため汚れが付着しやすくなる。このような表面汚染は、図15のフローに示すように、時間の経過とともに進行していくことになる。
【0009】
また、上述した特許文献2に示すような構造の塗膜では、シリコーンシーリング材からの溶出物は、長い年月をかけて徐々に溶出してくるため、ある期間内では効果を発揮するものの、親水基が長い期間を経て、シリコーンシーリング材により被覆され、シリコーンシーリング材の溶出物によって親水基が被覆された後は効果を発揮しなくなる。これは、シリコーンシーリング材から溶出した低分子化合物の末端のシラノール基が親水性塗膜の親水基と結合するためである。
【0010】
また、上述したような光半導体を用いたセルフクリーニング機能の技術においては、初期には光半導体による分解・親水性機能により汚れ防止効果を発揮することができるが、次第に触媒機能の低下により、溶出成分の分解効果が低下していくという問題点がある。シリコーンシーリング材から溶出してくる溶出成分の官能基であるSi−CH基を光半導体により分解する速度が、シリコーン溶出物の溶出速度よりも遅くなった場合は、次第に触媒活性が低下し、シリコーン溶出成分が塗膜表面に蓄積していく。このように、分解反応速度よりもシリコーンシーリング材からの溶出物の溶出速度が速い場合は、溶出物が塗膜表面に蓄積していくため汚れが沈着してくることになる。
【0011】
本発明は、上記課題を解消するものであって、シリコーンシーリング材からの溶出成分による汚染に対する耐性に優れたコーティング層を有し、シリコーンシーリング材と併用することができる外装材及びそれを用いた建築物の外壁を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を達成するために、請求項1の発明は、基材表面に、光半導体を含有し、水に対する接触角が40゜以下の親水性を有し、かつ、表層から厚み方向に連続する微細孔を有する多孔質構造を有するシリコーンコーティング層を形成し、該シリコーンコーティング層からなる塗膜が有機シリコーン系低分子化合物に対して膜厚方向への浸透性を有している外装材である。
【0013】
上記構成においては、多孔質構造で有機シリコーン系低分子化合物に対して膜厚方向への浸透性を有し、かつ、光半導体を含有しシリコーン溶出成分のSi−CH基の分解効果があり塗膜表面の親水性を保持することができるシリコーンコーティング層を形成しているので、シリコーン溶出成分を分解した生成物を雨水などの水により塗膜表面ではなく塗膜内部へ浸透させ、流すことで長期的にシリコーン溶出物による汚れを塗膜表面に付着しにくくすることができる。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1記載の外装材において、前記シリコーンコーティング層は、シリコーンコーティング組成物として針状顔料、繊維状顔料、鱗片状顔料、又は多孔質球状顔料から選ばれた少なくとも一種の無機フィラーを含有しているものである。
【0015】
上記構成においては、球状でない顔料、又は球状であるが多孔質の顔料からなる無機フィラーを含有しているので、表層から厚み方向に連続する微細孔を有する多孔質構造を効果的に形成することができる。また、光半導体による分解性及び親水性の効果に、無機フィラーによる膜厚方向への浸透性を効果的に併用することができる。
【0016】
請求項3発明は、請求項2記載の外装材において、前記無機フィラーは、ウィスカ、セピオライト、モンロリロナイト、ウォラストナイト、ベントナイト、タルク、マイカ、又はシリカから選ばれた少なくとも一種のものである。
【0017】
上記構成においては、選ばれた顔料により塗膜表面に粗度(凹凸)をつけることができ、また、適した配合量で塗料中に分散することで浸透性を持たせることができ、さらに、これらの顔料は、顔料表面に水酸基など水と親和性の高い官能基を多数保持しており、シリコーンシーリング(コーキング)材から染み出したシリコーンの低分子成分などを塗膜内部に浸透させるのに有効に機能することができる。
【0018】
請求項4の発明は、請求項1又は請求項3記載の外装材において、前記無機フィラーはシリコーンコーティング組成物のシリコーン樹脂と前記光半導体と当該無機フィラーとの合計量に対して体積比率5〜50%の含有量のものである。
【0019】
上記構成においては、フィラーの合計量に対するフィラーの体積比率を、膜厚方向への浸透性の効果を有し、かつ、塗膜の強度を保った好適の値とした外装材とすることができる。
【0020】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4のいずれか記載の外装材において、前記シリコーンコーティング層の空隙率が1〜50%のものである。
【0021】
上記構成においては、シリコーン溶出成分が塗膜表面を覆って光半導体による分解反応がシリコーン溶出物の溶出速度に追いつかなくなることのないような塗膜の浸透性が確保でき、また、強度的にも好適の空隙率の値とした外装材とすることができる。
【0022】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか記載の外装材において、前記シリコーンコーティング層の膜厚が1〜200μmのものある。
【0023】
上記構成においては、光半導体含有量及び浸透流路を確保してシリコーンシーリング材からの溶出成分に対する清浄化の効果が得られ、かつ、塗膜の強度及び経済的観点から好適のコーティング層の膜厚とした外装材とすることができる。
【0024】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6のいずれか記載の外装材を複数並べて施工すると共に、外装材間の目地にシリコーンシーリング材を打設した建築物の外壁である。
【0025】
上記構成においては、シリコーン汚染耐性に優れた外装材を用いるので、シリコーンシーリング材と併用して耐候性のある美観に優れた外壁とすることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係るシリコーン汚染耐性に優れた外装材及びそれを用いた建築物の外壁について、図面を参照して説明する。本発明に係る外装材は、図1に示すように、基材1の表面に、水に対する接触角が40゜以下の親水性を有し、かつ、表層から厚み方向に連続する微細孔を有する多孔質構造を有するシリコーンコーティング層Cが形成されたものである。このシリコーンコーティング層Cは、組成物として、例えば、針状顔料、繊維状顔料、鱗片状顔料、又は多孔質球状顔料から選ばれた少なくとも一種の無機フィラー11、及び光半導体12を含有している。また、このシリコーンコーティング層Cからなる塗膜は有機シリコーン系低分子化合物に対して膜厚方向への浸透性を有するものになっている。
【0027】
このように構成された外装材は、図2及び図3に示すように、シリコーンシーリング材100からの溶出成分101による汚染に対して優れた耐性を有するものとなる。このようなシリコーンコーティング層Cを有する外装材の清浄作用について説明する。シリコーンシーリング材100からの溶出成分101中のSi−CH基は、シリコーンコーティング層C中に含まれる光半導体12により分解され、親水基Si−OH基となる(S1,S2)。また、以下に示すように、この溶出成分101が塗膜表面を流れずに塗膜中を浸透しながら流れていくので、塗膜の表面は溶出物により被覆されることがない。
【0028】
上述したように、溶出したシリコーン成分の側鎖のSi−CH基は、光半導体12による分解作用により分解され、親水基であるシラノール基Si−OHを生成し(S2)、塗膜において雨水などの水分との親和性が高くなる(S3,S4)。このことから、塗膜内部の浸透性が向上する(S5)。分解されたシリコーン溶出成分102は、フィラー効果の働きにより、塗膜の内部に浸透して流れる(S6)。本発明に係る外装材の塗膜表面は、フィラー11による浸透性及び光半導体12による分解作用により、光半導体12による分解反応速度がシリコーン成分溶出速度を上まわるので、その清浄作用により常に親水性を帯びて親水性表面103が維持形成され、付着した汚れは雨水と一緒に洗い流される(S7)。
【0029】
(塗膜の空隙率)
上述したように、塗膜の浸透性は重要な機能を果たしており、このような浸透性がない場合は、シリコーン溶出成分が塗膜表面を覆うため光半導体12による分解反応がシリコーン溶出物の溶出速度に追いつかなくなり、次第に効果はなくなる。そこで、このような浸透性を得るために塗膜の空隙率は、1〜50%の範囲のものを用いることが望ましい。ここで空隙率とは、塗膜中の空間の体積を示すものであって下記の式によって表される。
空隙率=1−(塗膜のかさ比重/塗膜の真比重)
かさ比重は、空隙を有する塗膜そのもの比重であり、塗膜に吸着するガス重量からBET法により細孔容積を求めることから算出することができる。また、塗膜の細孔容積は、例えば、湯浅アイオニクス株式会社製の全自動ガス吸着測定装置を用いて測定することができる。塗膜の空隙率が1%以下であると緻密な膜構造であるため浸透性の効果が得られず、逆に50%以上であると空隙が大きすぎ、塗膜が脆く、クラックが入りやすくなる。
【0030】
以下にコーティング層の構成成分について説明する。
(シリコーン樹脂)
使用するシリコーン樹脂は、塗膜内部に適当な空隙率と親水性を保持する材料としてテトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等の部分加水分解縮合物などで代表されるようなオルガノシロキサン樹脂などが好適に用いられる。以下に本発明に使用するオルガノシロキサン樹脂の説明を示す。
【0031】
本発明に使用するオルガノシロキサン樹脂は、原料(A1):一般式R2Si(OR1)で表される珪素化合物に、原料(A2):一般式Si(OR1)で表される珪素化合物及び/又はコロイダルシリカと、原料(A3):一般式R2Si(OR1)で表される珪素化合物とを含む加水分解性混合物(ここでR1、R2は1価の炭化水素基を示す)の加水分解重縮合物であって、この加水分解重縮合物の重量平均分子量がポリスチレン換算で900以上になるように調整されているオルガノシロキサンである。以下、これを「オルガノシロキサン溶液(A)」と称することがある。
【0032】
コロイダルシリカ以外の珪素化合物(A1)〜(A3)は、一般式R2Si(OR1)4−pで総体的に表すことができる。ここでR1、R2は1価の炭化水素基を示し、pは0〜2の整数である。
【0033】
R2としては、特に限定はされないが、例えば、置換又は非置換で炭素数1〜8の1価の炭化水素基が挙げられる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基、3−フェニルプロピル基等のアラルキル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−メタクリロキシプロピル基、γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−メルカプトプロピル基等の置換炭化水素基等を例示することができる。これらの中でも、合成の容易さ、又は入手の容易さから炭素数1〜4のアルキル基及びフェニル基が好ましい。
【0034】
また、R1としては、特に限定はされないが、例えば、炭素数1〜4のアルキル基を主原料とするものが用いられる。
【0035】
特に、p=0のテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが例示でき、p=1のオルガノトリアルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシランなどが例示できる。また、p=2のジオルガノジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシランなどが例示できる。
【0036】
これらR1、R2は、珪素化合物(A1)〜(A3)の間で同一のものであってもよいし、違うものであってもよい。
【0037】
オルガノシロキサン溶液(A)は、例えば、前記加水分解性混合物を適当な溶剤で希釈し、そこに硬化剤としての水及び必要に応じて触媒(例えば、塩酸、酢酸、ハロゲン化シラン、クロロ酢酸、クエン酸、安息香酸、ジメチルマロン酸、蟻酸、プロピオン酸、グルタール酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、トルエンスルホン酸、しゅう酸などの有機酸および無機酸等の1種又は2種以上)等を必要量添加して(必要に応じ加温(例えば、40〜100℃)してもよい)、加水分解及び重縮合反応を行わせてプレポリマー化させることにより調製することができる。
【0038】
その際、得られるプレポリマー(加水分解重縮合物)の重量平均分子量(Mw)がポリスチレン換算で900以上、好ましくは1000以上になるように調整する。プレポリマーの分子量分布(重量平均分子量(Mw))が900より小さいときは、縮重合の際の硬化収縮が大きくて、硬化後に塗膜にクラックが発生しやすくなったりする。
【0039】
オルガノシロキサン溶液(A)を調製する際の原料(A1)〜(A3)の使用量は、(A1)100重量部に対して、(A2)5〜30000重量部(好ましくは10〜25000重量部、より好ましくは20〜20000重量部)、(A3)60重量部以下(好ましくは40重量部以下、より好ましくは30重量部以下)の割合である。
【0040】
原料(A2)の使用量が上記範囲より少ないか、又は、(A3)の使用量が上記範囲より多いと、硬化被膜の所望の硬度が得られない(硬度が低くなる)という問題がある。
【0041】
また、(A2)の使用量が上記範囲より多いと、硬化被膜の架橋密度が高すぎて硬度が高くなりすぎ、そのためクラックを発生しやすいという問題がある。
【0042】
原料(A2)としては、前記一般式Si(OR1)で表される珪素化合物及びコロイダルシリカのうちのいずれか一方又は両方が用いられる。使用できるコロイダルシリカとしては、特に限定はされないが、例えば、水分散性又はアルコール等の非水系の有機溶媒分散性コロイダルシリカが使用できる。一般に、このようなコロイダルシリカは、固形分としてのシリカを20〜50重量%含有しており、この値からシリカ配合量を決定できる。
【0043】
また、水分散性コロイダルシリカを使用する場合、固形分以外の成分として存在する水は、後に示すように硬化剤として用いることができる。水分散性コロイダルシリカは、通常、水ガラスから作られるが、市販品として容易に入手することができる。
【0044】
また、有機溶媒分散性コロイダルシリカは、前記水分散性コロイダルシリカの水を有機溶媒と置換することで容易に調製することができる。このような有機溶媒分散性コロイダルシリカも水分散性コロイダルシリカと同様に市販品として容易に入手することができる。
【0045】
有機溶媒分散性コロイダルシリカにおいて、コロイダルシリカが分散している有機溶媒の種類は、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;及びジアセトンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種又は2種以上のものを使用することができる。これらの親水性有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシム等も用いることができる。
【0046】
なお、原料(A2)の少なくとも一部としてコロイダルシリカを用いる場合、(A2)の前記使用量に含まれるコロイダルシリカの量は、シリカ分としての重量部である。
【0047】
また、前記加水分解性混合物の加水分解重縮合反応の際に用いられる硬化剤としては、水が用いられるが、この量としては、加水分解性混合物中に含まれるOR1基1モル当量当たり、水0.01〜3.0モルが好ましく、0.3〜1.5モルがさらに好ましい。
【0048】
加水分解性混合物の加水分解重縮合反応の際に用いられる希釈溶剤としては、コロイダルシリカの分散溶媒として前述した、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール等の低級脂肪族アルコール類;エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル等のエチレングリコール誘導体;ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のジエチレングリコール誘導体;及びジアセトンアルコール等を挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種又は2種以上のものを使用することができる。これらの親水性有機溶媒と併用してトルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトオキシムなども例示することができる。
【0049】
また、オルガノシロキサン溶液(A)のpHは3.8〜6の範囲内に調整されていることが好ましい。pHがこの範囲内であれば、前記の分子量の範囲内で、安定してオルガノシロキサン溶液(A)を使用することができる。pHがこの範囲外であると、オルガノシロキサン溶液(A)の安定性が悪いため、塗料調製時からの使用できる期間が限られてしまう。ここで、pH調整方法は、特に限定されるものではないが、例えば、オルガノシロキサン溶液(A)の原料混合時、pHが3.8未満となった場合は、例えば、アンモニア等の塩基性試薬を用いて前記範囲内のpHに調整すればよく、pHが6を超えた場合も、例えば、塩酸等の酸性試薬を用いて調整すればよい。また、pHによっては、分子量が小さいまま逆に反応が進まず、前記分子量範囲に到達させるのに時間がかかる場合は、オルガノシロキサン溶液(A)を加熱して反応を促進してもよいし、酸性試薬でpHを下げて反応を進めた後、塩基性試薬で所定のpHに戻してもよい。
【0050】
硬化触媒としては、特に限定はされないが、例えば、アルキルチタン酸塩類;オクチル酸錫、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジマレエート等のカルボン酸金属塩類;ジブチルアミン−2−ヘキソエート、ジメチルアミンアセテート、エタノールアミンアセテート等のアミン塩類;酢酸テトラメチルアンモニウム等のカルボン酸第4級アンモニウム塩;テトラエチルペンタミン等のアミン類、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミン系シランカップリング剤;p−トルエンスルホン酸、フタル酸、塩酸等の酸類;アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート等のアルミニウム化合物;酢酸リチウム、酢酸カリウム、蟻酸リチウム、蟻酸ナトリウム、リン酸カリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属塩;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタニウムテトラアセチルアセトネート等のチタニウム化合物;メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルモノクロロシラン等のハロゲン化シラン類等が挙げられる。しかし、これらの他に、オルガノシロキサン溶液(A)成分の縮合反応の促進に有効なものであれば特に制限はない。
【0051】
このような部分加水分解縮合物は、加水分解、縮重合の過程において塗膜内部に適当な空隙率を形成しやすくシリコーン溶出物などの浸透性を高めるのに有効に機能する。また、縮重合の過程で得られるアルコキシ基などは、空気中の水分などと反応し、シラノール基などの水酸基を表面や塗膜内部に形成しやすいためシリコーン溶出物を浸透させるのに効果を示す。
【0052】
(フィラー)
使用するフィラーは、シリコーンシーリング材の溶出物を浸透させやすい塗膜構造を形成させるために用いられる。一般的に塗料に用いられる球状顔料で設計するよりも針状顔料、繊維状顔料、鱗片状顔料、多孔質球状顔料が好適に用いられる。塗膜に混入するフィラーは、塗膜に浸透性を持たせるため、針状顔料、繊維状顔料、鱗片状顔料、多孔質球状顔料を含有させることが望ましい。シリコーンの溶出物は、雨水とともに溶出してくるため、塗膜にシリコーン溶出物の浸透力を向上させるためには、塗膜に適当な空隙率を保持することと塗膜内部にも親水性を保持することが必要である。これらの顔料は、塗膜表面に粗度(凹凸)をつけ、適した配合量で塗料中に分散することで、浸透性を持たせることができる。またこれらの顔料は、顔料表面に水酸基など水と親和性の高い官能基を多数保持しており、シリコーンシーリング(コーキング)材から染み出したシリコーンの低分子成分などを塗膜内部に浸透させるのに有効に機能する。
【0053】
本発明で用いられるフィラーを以下に例示する。
針状顔料・・ウィスカ(針状酸化チタン、針状酸化亜鉛)が挙げられる。
繊維状顔料・・セピオライト、モンロリロナイト、ウォラストナイト、アタパルジャイト等が挙げられる。
鱗片状顔料・・マイカ、タルク、ベントナイト等が挙げられる。
多孔質球状顔料・・シリカ等があげらる。
【0054】
混入するフィラー成分の含有量は、シリコーン樹脂とフィラーの合計量に対するフィラーの体積比率が5〜50%の範囲で混入することが望ましい。5%を切ると膜厚方向への浸透性の効果がなくなり、50%以上であると膜厚方向への浸透性の効果はあるが、塗膜の強度がなくなり、膜が脆くなる傾向になる。
【0055】
(光半導体)
光半導体は、溶出してくるシリコーン溶出物を分解する作用があり、しかも塗膜の親水性を維持する材料である。光半導体としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化タングステン、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化ルテニウム、酸化ゲルマニウム、酸化鉛、酸化カドミウム、酸化銅、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化タンタル、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化ロジウム、酸化ニッケル及び酸化レニウムなどが挙げられる。一般的にはアナタース型の酸化チタンが好適に用いられる。
【0056】
光半導体の含有量としては、シリコーン樹脂と光半導体とフィラーの合計量に対する光半導体の体積比率が1〜50%の範囲で添加することが好ましい。光半導体の体積比率が1%を切ると光半導体の効果の期待が出来なくなる傾向にあり、50%以上であると塗膜が脆くなる傾向がある。
【0057】
光半導体の粒子径は、1〜200nmのものを好適に用いることができる。光半導体の粒子径が小さいと粒子の表面積が増え、活性が強くなる傾向がある。粒子径が大きいと粒子の表面積が大きくなるが、活性が弱くなる傾向にある。
【0058】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によって本発明を詳細に説明する。実施例及び比較例中、特に断らない限り、「部」はすべて「重量部」を、「%」はすべて「重量%」を表す。また、分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により、測定機種として東ソー株式会社のHLC8020を用いて、標準ポリスチレンで検量線を作成し、その換算値として測定したものである。なお、本発明は下記実施例に限定されない。
【0059】
(実施例1)
コーティング材の作製フローを図4に示す。原料(A1)としてメチルトリメトキシシラン100部に、原料(A2)としてテトラエトキシシラン10部、同じく原料(A2)として酸性コロイダルシリカであるIPAオルガノシリカゾル(商品名「OSCAL1432」、触媒化成工業株式会社製、固形分30%)90部、原料(A3)としてジメチルジメトキシシラン30部、希釈溶媒としてイソプロピルアルコール(以下IPAと略す)100部を混合し、更に、水90部を添加し、攪拌した(S11)。得られた液を60℃恒温槽中で5時間加熱することにより(S12)、反応生成物のオルガノシロキサン溶液の重量平均分子量(Mw)を1500に調整してオルガノシロキサンのアルコール溶液(A)を得た(S13)。このときの全縮合化合物換算固形分は、23.3%であった。オルガノシロキサンのアルコール溶液(A)の調製条件は、〔水〕/〔OR1〕モル比1.73、重量平均分子量1500、全縮合化合物換算固形分23.3%である。
【0060】
この溶液70部に、光半導体としてST−01(石原産業株式会社製光半導体酸化チタン粉末)を15部、フィラー成分としてFTL−300(石原産業株式会社製針状酸化チタン粉末)を15部ほど添加し(S14)、直径5mmのガラスビーズを使用してペイントシェーカーにて2時間ほど分散させ(S15)、無機塗料(1)を得た。このときの光半導体酸化チタンとフィラーの添加量は、シリコーン樹脂の全縮合化合物換算固形分と光半導体酸化チタンとフィラーの合計量に対する体積比率として32.3%であった。
【0061】
実施例1における基材を図5に、また、外装材作成のフローを図6に示す。まず、図5(a)(b)に示すシリコーンシーリング材注入部分31を備えた基材(試験板)3をアセトンで洗浄した後、上記により作製した無機塗料(1)を、スプレー塗装法により塗布し、塗膜を室温で24時間乾燥硬化させることにより、コーティング層Cを有する試験板を得た(S31)。このときの塗膜の硬化後の膜厚は10μmであった。次に、そのシリコーンシーリング材注入部分31の窪みに市販のシリコーンシーリング材(東芝シリコーン社製)を注入し、24時間乾燥させて、図5(c)(d)に示す無機塗料塗装品1を作成した。
【0062】
(実施例2)
実施例2における外装材作成のフローを図7に示す。実施例1において、フィラー成分として、針状酸化チタンの代わりにPANSIL(楠本化成株式会社製セピオライト粉末)を同じ量用いたこと以外は実施例1と同様にして無機塗料(2)を得た。このときの光半導体酸化チタンとフィラーの添加量は、シリコーン樹脂の全縮合化合物換算固形分と光半導体酸化チタンとフィラーの合計量に対する体積比率として41.2%であった。また、実施例1と同様に試験パネルを作成し(S41、S42)、無機塗料塗装品2を得た。このときの塗膜の硬化後の膜厚は10μmであった。
【0063】
(実施例3)
実施例3における外装材作成のフローを図8に示す。実施例1において、フィラー成分として、針状酸化チタンの代わりにマイカ粉末を同じ量用いたこと以外は実施例1と同様にして無機塗料(3)を得た。このときの光半導体酸化チタンとフィラーの添加量は、シリコーン樹脂の全縮合化合物換算固形分と光半導体酸化チタンとフィラーの合計量に対する体積比率として39.61%であった。また、実施例1と同様に試験パネルを作成し(S51,S52)、無機塗料塗装品3を得た。このときの塗膜の硬化後の膜厚は10μmであった。
【0064】
(実施例4)
実施例4における外装材作成のフローを図9に示す。実施例1において、フィラー成分として、針状酸化チタンの代わりにP−526(水澤化学工業社製シリカ粉末)を同じ量用いたこと以外は実施例1と同様にして無機塗料(4)を得た。このときの光半導体酸化チタンとフィラーの添加量は、シリコーン樹脂の全縮合化合物換算固形分と光半導体酸化チタンとフィラーの合計量に対する体積比率として43.83%であった。また、実施例1と同様に試験パネルを作成し(S61,S62)、無機塗料塗装品4を得た。このときの塗膜の硬化後の膜厚は10μmであった。
【0065】
(比較例1)
比較例1における外装材作成のフローを図10に示す。比較例1は、実施例1〜4までの配合に対して、光半導体酸化チタンを含有しない例とした。まず、オルガノシロキサンのアルコール溶液の調製条件を〔水〕/〔OR1〕モル比1.73、重量平均分子量1500、全縮合化合物換算固形分23.3%とした。このオルガノシロキサンのアルコール溶液70部に、フィラー成分としてFTL−300(石原産業株式会社製針状酸化チタン粉末)を30部ほど添加し、直径5mmのガラスビーズを使用してペイントシェーカーにて2時間ほど分散させて無機塗料(5)を得た。このときのフィラーの添加量は、シリコーン樹脂の全縮合化合物換算固形分とフィラーの合計量に対する体積比率として32.3%であった。また、実施例1と同様に試験パネルを作成し(S71、S72)、無機塗料塗装品5を得た。
【0066】
(比較例2)
比較例2における外装材作成のフローを図11に示す。市販されている低汚染塗料の一つである無機系低汚染親水性塗料セラタイト(エスケー化研株式会社製)を用いて実施例1と同様に塗装して試験パネルを作成し(S81、S82)、無機塗料塗装品6を得た。
【0067】
(比較例3)
比較例3における外装材作成のフローを図12に示す。市販されている光半導体塗料の例として光半導体コーティング材STK−01(石原産業社製)を用いて実施例1と同様に塗装して試験パネルを作成し(S91、S92)、無機塗料塗装品7を得た。
【0068】
(評価試験)
上記により作成した試験板(無機塗料塗装品1〜7)を松下電工株式会社門真工場の屋上暴露台の南面に垂直に設置し、6ケ月後の塗膜表面の接触角と外観の汚れの度合いを確認する評価試験を行った。暴露開始から6ケ月後に試験板を取り外し、塗膜面の水に対する接触角を接触角計(協和界面化学社製)を用いて測定して塗装面の水に対する接触角の評価を行った。評価は次の4段階で行った。
◎水に対する接触角が10゜以下である。
○水に対する接触角が40゜以下である。
△水に対する接触角が40゜〜60゜である。
×水に対する接触角が61゜以上である。
【0069】
また、汚染耐性を評価するため、暴露開始から6ケ月後の試験板を取り外し、初期及び6ケ月後の試験板の塗膜の色差を色差計を用いて測定した。汚染耐性の評価は、測定した色差と目視による雨筋汚れの観察結果とを組み合わせた次の4段階で行った。
◎初期板と6ケ月後の塗膜の色差が1以下であり雨筋汚れはなし。
○初期板と6ケ月後の塗膜の色差が1〜2であり雨筋汚れはほとんどなし。
△初期板と6ケ月後の塗膜の色差が2〜3であり雨筋汚れが認められる。
×初期板と6ケ月後の塗膜の色差が3以上であり雨筋汚れが激しい。
【0070】
評価試験結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
Figure 2004225449
【0072】
実施例1〜4による無機塗料塗装品1〜4は、シリコーン樹脂とフィラーと光半導体を含有させ、有機シリコーン系低分子化合物に対して膜厚方向への浸透性と水に対して低い接触角を有する塗膜構造を形成したものである。これらの無機塗料塗装品1〜4は、暴露開始から6ケ月後の水の接触角も10゜以下の低接触角を維持しており、雨筋汚れも認められない。これらの6ケ月後の水の接触角の値が暴露1週間後の水の接触角の値(不図示)からほとんど悪化していないことから、塗膜表面がシリコーン溶出物により被覆されていないことが分かる。
【0073】
これに対して、光半導体を含有しない比較例1、市販の低汚染塗料を使用した比較例2、市販の光半導体塗料を用いた比較例3は、いずれもシリコーン溶出物により塗膜表面が被覆された結果、水の接触角が上がり、雨筋汚れが認められる。
【0074】
なお、本発明は、上記構成に限られることなく種々の変形が可能である。例えば、着色顔料や艶消し顔料を、本発明の効果に影響しない程度に配合して用いることができる。また、本発明の外装材のコーティング層は基材の最終の仕上げ面に形成されているものであり、基材に直接塗装したものの他、基材表面に何らかの下地処理による表面処理を施して塗装したものであってもよい。
【0075】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、シリコーン溶出物に対する汚れに対しては、光半導体を含有し、水に対する接触角が低くする構造とフィラーを含有し膜厚方向への浸透性を有する塗膜構造がシリコーン溶出物に対する汚れに対して有効に機能することが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る外装材の断面図。
【図2】同上外装材の、シリコーンシーリング材からの溶出成分に対する、汚染耐性を説明する断面図。
【図3】同上外装材の、シリコーンシーリング材からの溶出成分に対する、清浄作用を説明するフロー図。
【図4】本発明の一実施形態に係るシリコーンコーティング材の作製を示すフロー図。
【図5】(a)は外装材試験板の断面図、(b)は同試験板の平面図、(c)は同試験板に本発明の一実施形態に係るコーティング層を塗布してシリコーンシーリング材を充填した無機塗料塗装品の断面図、(d)は前記無機塗料塗装品の平面図。
【図6】本発明の一実施形態に係る外装材の実施例の作成フロー図。
【図7】本発明の一実施形態に係る外装材の実施例の作成フロー図。
【図8】本発明の一実施形態に係る外装材の実施例の作成フロー図。
【図9】本発明の一実施形態に係る外装材の実施例の作成フロー図。
【図10】外装材の比較例の作成フロー図。
【図11】外装材の比較例の作成フロー図。
【図12】外装材の比較例の作成フロー図。
【図13】(a)シリコーンシーリング材の主鎖構造を示す分子構造図、(b)はシリコーンシーリング材の官能基構造を示す分子構造図。
【図14】(a)はシリコーンシーリング材からの成分溶出を示す外装材の断面図、(b)は従来の外装材における表面汚染を説明する断面図。
【図15】従来の外装材におけるシリコーンシーリング材からの成分溶出による表面汚染を説明するフロー図。
【符号の説明】
1 基材
11 フィラー
12 光半導体
C シリコーンコーティング層

Claims (7)

  1. 基材表面に、光半導体を含有し、水に対する接触角が40゜以下の親水性を有し、かつ、表層から厚み方向に連続する微細孔を有する多孔質構造を有するシリコーンコーティング層を形成し、
    該シリコーンコーティング層からなる塗膜が有機シリコーン系低分子化合物に対して膜厚方向への浸透性を有していることを特徴とする外装材。
  2. 前記シリコーンコーティング層は、シリコーンコーティング組成物として針状顔料、繊維状顔料、鱗片状顔料、又は多孔質球状顔料から選ばれた少なくとも一種の無機フィラーを含有していることを特徴とする請求項1記載の外装材。
  3. 前記無機フィラーは、ウィスカ、セピオライト、モンロリロナイト、ウォラストナイト、ベントナイト、タルク、マイカ、又はシリカから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする請求項2記載の外装材。
  4. 前記無機フィラーはシリコーンコーティング組成物のシリコーン樹脂と前記光半導体と当該無機フィラーとの合計量に対して体積比率5〜50%の含有量であることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の外装材。
  5. 前記シリコーンコーティング層の空隙率が1〜50%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか記載の外装材。
  6. 前記シリコーンコーティング層の膜厚が1〜200μmであることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか記載の外装材。
  7. 請求項1乃至請求項6のいずれか記載の外装材を複数並べて施工すると共に、外装材間の目地にシリコーンシーリング材を打設したことを特徴とする建築物の外壁。
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