JP2004225108A - 転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材 - Google Patents
転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004225108A JP2004225108A JP2003014417A JP2003014417A JP2004225108A JP 2004225108 A JP2004225108 A JP 2004225108A JP 2003014417 A JP2003014417 A JP 2003014417A JP 2003014417 A JP2003014417 A JP 2003014417A JP 2004225108 A JP2004225108 A JP 2004225108A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- slag
- ash
- converter
- boiler
- forming
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02P—CLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
- Y02P10/00—Technologies related to metal processing
- Y02P10/20—Recycling
Landscapes
- Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
- Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)
Abstract
【課題】転炉内あるいは溶滓鍋内のフォーミングスラグ内に混合し、スラグ内気泡を大型化し脱気を促進する転炉内及び溶滓鍋内フォーミングスラグ鎮静材を開発する。
【解決手段】製鉄工程発生灰、ボイラー発生燃焼灰のうちの1種以上と紙スラジとの混合物を主原料とし、これにバインダーを添加・混合し、圧縮してブリケットに成型し、見掛け比重を1.5〜2.0にする。望ましいケースとして、主原料を紙スラジと高炉灰及びボイラー燃焼沈降灰とで構成し、乾燥状態重量%で所定値範囲内の配合とする。灰成分の配合割合は30wt.%未満として見掛け比重を2以下に確保する。
【選択図】 なし
【解決手段】製鉄工程発生灰、ボイラー発生燃焼灰のうちの1種以上と紙スラジとの混合物を主原料とし、これにバインダーを添加・混合し、圧縮してブリケットに成型し、見掛け比重を1.5〜2.0にする。望ましいケースとして、主原料を紙スラジと高炉灰及びボイラー燃焼沈降灰とで構成し、乾燥状態重量%で所定値範囲内の配合とする。灰成分の配合割合は30wt.%未満として見掛け比重を2以下に確保する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、転炉製鋼工程の精錬時に形成され転炉内に存在するか、または溶滓鍋に排出されたフォーミングスラグ、及び精錬時に転炉、電気炉等の製鋼用冶金炉から溶滓鍋に排出されたフォーミングスラグを鎮めるために、上記の転炉内及び溶滓鍋等の収納容器内に添加使用される鎮静材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
転炉精錬時(大量の酸素ガスを吹き込んで、鉱石その他の原料から含有金属を抽出し精製する製錬、あるいは金属の純度を改善するために溶湯から不純物を除去する)反応を起こさせると、共存するスラグも生成される。このスラグが炉外に膨張し流出する現象をフォーミング(泡化)と呼んでいる。
このフォーミングスラグは鎮静化させないと炉外へ流出し、操業でトラブルの要因となる。
【0003】
前記フォーミングスラグを鎮静化させるためには、これを破壊したりあるいはこれに孔を開けることにより、フォーミングスラグを脱気して収縮させスラグの表面レベルを沈下させなければならない。
フォーミングスラグを鎮静化させるために鎮静材が備えるべき要件としては、
▲1▼溶銑鍋、混銑鍋、溶鋼鍋又は溶滓鍋内に投入された場合、速やかにフォーミングスラグ層中に混合すること、
▲2▼スラグ中で速やかに熱分解反応を起こす物質が原料及び/又はバインダー中に含有されていること、
▲3▼熱分解性物質及び炭材が存在すると、スラグ中に存在する微細なCO気泡が大きく成長し、浮上分離し易くなることが重要である。
【0004】
特開平11−50124号公報は、石炭、石灰石、プラスチック及び紙スラジ(石炭等という)の1種以上を40wt.%未満と微粒鉄粉との混合物を主原料とし、これを粉砕し、バインダーを添加・混合し、圧縮してブリケットに成型し、見掛け比重を2〜5にするものと、主原料に微粒鉄粉のみを使用し、熱分解性バインダーを添加し見掛け比重が4〜5のブリケットに成型する技術を開示している。
微粒鉄粉には転炉OGダストを用いており、見掛け比重がスラグに比べ相当に高く、本来スラグ中に分散して鎮静効果を発生させる必要がある鎮静材が、スラグ中と溶鋼境界までに沈降してしまうという問題点があった。
また、重金属、アルカリ成分、S、P等の不純物が少ない鎮静材となる一方で、石炭等が相対的に少ないことから発熱成分が少ないこと、及びOGダストは酸化鉄分が高いことから、吸熱反応による溶鋼の温度低下を発生させることなどの問題があった。
【0005】
従来品の多くは、見掛け比重がスラグより軽く、その分個重を大きくして投入エネルギーを高めて浸入深さを深くし、スラグ鎮静材としての必要条件である浸入深さの確保をしようとしている。
また、フォーミングスラグの脱気用分解ガス源を水分に求めているので、含有水分が多く個重が大きく、圧潰強度が低く脆いため、ダンプ車積み降ろし時、ベルトコンベアによる搬送時及び投入シュートからの落下時に壊れて小塊になると投入エネルギーが低下し、更に低見掛け比重によるスラグ層中沈降性能の悪さが重なって、浸入深さが急激に低下するという欠点を有する。
更に、小塊になると粉ロスも増加する。
【0006】
一方、見掛け比重を重くするために、製鋼ダスト特にOGダストを主原料とする鎮静材は、個重は小さくできるが発熱成分が少なく、また多量の酸化鉄分による吸熱反応によって、冷却され熱ロスを発生するという問題があった。また、一方、スラグの中に入り込みすぎて分散しづらいという問題点もある。
従来品には上述した問題点があり、下記問題点について更に検討した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスラグフォーミング鎮静材の主原料は、転炉精錬上有害な成分が含まれている。例えば、高炉滓及び製鋼滓を原料にすると、それぞれS及びPが混入し、鋼質や耐火物に対して有害な作用を及ぼす。
また、高炉滓及び製鋼滓はCaOを含み、生成スラグのCaOを増加させることから、スラグの再利用時の品質に悪影響を与える。
【0008】
微粒鉄粉には酸化鉄分による吸熱反応を引き起こし溶鋼、溶滓を冷却するという問題がある。
また、微粒鉄粉は重量が重く原料とした鎮静材も比重がスラグより重くなり、スラグよりさらに沈降し充分な鎮静効果が得られない。
【0009】
本発明の目的は、上述した問題を解決して、フォーミングスラグが溶湯収納容器あるいは溶滓収納容器の耐火物に対して有害な作用を及ぼすような成分を含まず、転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグに投入後速やかにスラグ内に混合崩壊し、ここでフォーミングスラグを破壊し且つ脱気することができる特性を有し、更にハンドリングし易い形状を備えたフォーミングスラグ鎮静材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スラグに対して比重が大きく燃焼成分である炭素を含有するものとして高炉ダスト・ボイラー燃焼沈降灰及び紙スラジを原料とするのが有効であることを見出した。
高炉ダストは、高炉での溶銑を製造する際に、高炉炉内に装入された原料が粉化する過程で発生する、微粒鉱石,微粒コークス粉を主体とした副産物であり、C含有率が約10wt.%と高く、更にCaO成分の含有率は4wt.%未満と相対的に低い。
また、ボイラー燃焼沈降灰はSiO2 は高いもののCaOは3wt.%未満と低く、C含有率も約5wt.%である。さらに、その形状は非常に多孔質であり、内部に水分を取り込み水分を全体に分散することなく、内部に取り込むことができる。
上記原料に紙スラジを混合しブリケット化することで、見掛け比重1.5〜2.0の鎮静材を製造する。この見掛け密度は、ほぼスラグの比重と同等であり落下エネルギーと合わせスラグ中に分散混合し水分の蒸発・崩壊・燃焼によって優れた鎮静効果を発揮する。
【0011】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、請求項1記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、製鉄工程発生灰、ボイラー発生燃焼灰のうちの1種以上と紙スラジとの混合物を主原料とし、前記主原料を混練し、これにバインダーを添加し混練混合し、次いで圧縮してブリケットに成型し、そして、得られた前記ブリケットの見掛け比重が1.5〜2.0の範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0012】
請求項2記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1において製鉄工程発生灰として高炉灰を使用することに特徴を有するものである。
【0013】
請求項3記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1においてボイラー発生燃焼灰として、ボイラー燃焼沈降灰を使用することに特徴を有するものである。
【0014】
請求項4記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1において前記灰等の配合割合を乾燥状態で30wt.%未満とし、残部を前記紙スラジとすることに特徴を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
本発明のフォーミングスラグ鎮静材は、構成原料が適度な水分と熱分解性物質を含む物質とバインダーとからなり、これら原料を混練混合し圧縮成型したブリケットである。
このブリケットは転炉内又は溶滓鍋内に投入されるとフォーミングスラグ層に速やかに混合してスラグ中で熱分解反応を起こし容易に爆発的に粉化する。
この爆発的エネルギーによりフォーミングスラグが破壊されると共に、高速で飛散する粉体及び熱分解反応で発生したH2 、CO及びCO2 等のガスがフォーミングスラグに多数の孔を開け、フォーミングスラグ中に閉じ込められている細粒ガス気泡は大型に成長し、急速に脱気し、かくしてフォーミングスラグが速やかに鎮静化する。
【0016】
本発明品の構成を上述したように限定した理由を説明する。
(1)請求項1において、本発明品の主原料中の灰等及び紙スラジは、いずれも熱分解性物質であるか、又は熱分解性物質を含有し、かつ適度な水分を保持する能力を持ち、高温に加熱されて粉化する。
高温に加熱されると、高炉灰、紙スラジは揮発分がガス化し、かつ可燃成分が燃焼しCO2 ガス及び炭化水素ガスを発生し、ボイラー燃焼沈降灰は内蔵する水分の分解によってH2 ガスを発生して、フォーミングスラグを脱気し鎮静化させる効果を発揮する。
また、これら主原料は廃棄物もしくは副産物であり、安価である利点を有する。
【0017】
(2)請求項2における主原料として使用する高炉灰は、酸化鉄粉と炭素を主成分としており、見掛け比重の調整を行うと共に、炭素が燃焼することによりCO2 ガスを発生し、フォーミングスラグ中への浸入性及びフォーミングスラグの破壊・脱気性に優れた鎮静材が得られる。
【0018】
(3)請求項3における主原料として使用するボイラー燃焼沈降灰は、主に石炭の燃え殻でありCaO成分が少ない。
また、その形状は非常に多孔質であり、内部に取り込んだ水分をそのまま保持し、水分含有量は高位に維持しつつ、全体強度の低下を防止する。
さらに、フォーミングスラグ内では、水分の分解によってH2 ガスを発生して、フォーミングスラグを脱気し鎮静化させる効果を発揮する。
【0019】
(4)請求項4の発明においては、請求項1記載の条件を満たす範囲内において、更に、各主原料の望ましい配合割合を前述した通りの各種に限定する理由を説明する。
【0020】
主原料中、製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の配合割合を30wt.%未満とし、残部を紙スラジとする理由は次の通りである。
ここで、製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の配合割合=〔製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の重量/(製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の重量+紙スラジの重量)〕×100(wt.%)である。
製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰と紙スラジとの配合割合は、スラグ鎮静材としての効果を決定する要因である。
【0021】
【表1】
【0022】
添加するバインダーとしては、熱分解性バインダー及び澱粉等の有機質系のバインダーから選ばれた一種又は二種以上のものを使用する。
【0023】
【実施例】
次に、この発明を実施例により更に説明する。
〔実施例1〕
主原料として紙スラジ70wt.%、高炉灰30wt.%を配合し、バインダーを添加した原料をフレットミルに装入し、混練混合し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜40grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は1.5〜2.0で平均は1.9であった。このスラグ鎮静材を用いて下記の試験を行った。
〔実施例2〕
主原料として紙スラジ70wt.%、ボイラー燃焼沈降灰30wt.%を配合し、バインダーを添加した原料をフレットミルに装入し、混練混合し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜40grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は1.5〜2.0で平均は1.7であった。このスラグ鎮静材を用いて下記の試験を行った。
〔実施例3〕
主原料として紙スラジ70wt.%、高炉灰15wt.%を配合し、ボイラー燃焼沈降灰を15wt.%バインダーを添加した原料をフレットミルに装入し、混練混合し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜40grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は1.5〜2.0で平均は1.8であった。このスラグ鎮静材を用いて下記の試験を行った。
【0024】
前記実施例サンプルにおける鎮静効果を以下のようにまとめる。
転炉内に排滓されたフォーミングスラグに、1回200kgの前記実施例1〜3の鎮静材をそれぞれ投入して鎮静効果を観察した。
この結果、実施例1〜3の全てにおいて投入後沸騰状態となり、フォーミングが鎮静化し、その後しばらくの間煮沸状態が続き、鎮静効果が確認できた。
また、同様に転炉排滓スラグパンに排滓されたフォーミングスラグに1回200kgの前記実施例1〜3の鎮静材をそれぞれ投入して鎮静効果を観察した。この結果、実施例1〜3の全てにおいて投入後沸騰状態となり、フォーミングが鎮静化し、その後しばらくの間煮沸状態が続き、鎮静効果が確認できた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上述の通り構成されているので次に記載する効果を奏する。
製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰は上述したように、比重を最適に調整すると共に熱分解性ガスの発生源として揮発分の確保に有効であり、紙スラジは燃焼成分を含んでおり、燃焼ガスの発生によりフォーミングスラグの鎮静化に効果を発揮する。
【発明の属する技術分野】
本発明は、転炉製鋼工程の精錬時に形成され転炉内に存在するか、または溶滓鍋に排出されたフォーミングスラグ、及び精錬時に転炉、電気炉等の製鋼用冶金炉から溶滓鍋に排出されたフォーミングスラグを鎮めるために、上記の転炉内及び溶滓鍋等の収納容器内に添加使用される鎮静材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
転炉精錬時(大量の酸素ガスを吹き込んで、鉱石その他の原料から含有金属を抽出し精製する製錬、あるいは金属の純度を改善するために溶湯から不純物を除去する)反応を起こさせると、共存するスラグも生成される。このスラグが炉外に膨張し流出する現象をフォーミング(泡化)と呼んでいる。
このフォーミングスラグは鎮静化させないと炉外へ流出し、操業でトラブルの要因となる。
【0003】
前記フォーミングスラグを鎮静化させるためには、これを破壊したりあるいはこれに孔を開けることにより、フォーミングスラグを脱気して収縮させスラグの表面レベルを沈下させなければならない。
フォーミングスラグを鎮静化させるために鎮静材が備えるべき要件としては、
▲1▼溶銑鍋、混銑鍋、溶鋼鍋又は溶滓鍋内に投入された場合、速やかにフォーミングスラグ層中に混合すること、
▲2▼スラグ中で速やかに熱分解反応を起こす物質が原料及び/又はバインダー中に含有されていること、
▲3▼熱分解性物質及び炭材が存在すると、スラグ中に存在する微細なCO気泡が大きく成長し、浮上分離し易くなることが重要である。
【0004】
特開平11−50124号公報は、石炭、石灰石、プラスチック及び紙スラジ(石炭等という)の1種以上を40wt.%未満と微粒鉄粉との混合物を主原料とし、これを粉砕し、バインダーを添加・混合し、圧縮してブリケットに成型し、見掛け比重を2〜5にするものと、主原料に微粒鉄粉のみを使用し、熱分解性バインダーを添加し見掛け比重が4〜5のブリケットに成型する技術を開示している。
微粒鉄粉には転炉OGダストを用いており、見掛け比重がスラグに比べ相当に高く、本来スラグ中に分散して鎮静効果を発生させる必要がある鎮静材が、スラグ中と溶鋼境界までに沈降してしまうという問題点があった。
また、重金属、アルカリ成分、S、P等の不純物が少ない鎮静材となる一方で、石炭等が相対的に少ないことから発熱成分が少ないこと、及びOGダストは酸化鉄分が高いことから、吸熱反応による溶鋼の温度低下を発生させることなどの問題があった。
【0005】
従来品の多くは、見掛け比重がスラグより軽く、その分個重を大きくして投入エネルギーを高めて浸入深さを深くし、スラグ鎮静材としての必要条件である浸入深さの確保をしようとしている。
また、フォーミングスラグの脱気用分解ガス源を水分に求めているので、含有水分が多く個重が大きく、圧潰強度が低く脆いため、ダンプ車積み降ろし時、ベルトコンベアによる搬送時及び投入シュートからの落下時に壊れて小塊になると投入エネルギーが低下し、更に低見掛け比重によるスラグ層中沈降性能の悪さが重なって、浸入深さが急激に低下するという欠点を有する。
更に、小塊になると粉ロスも増加する。
【0006】
一方、見掛け比重を重くするために、製鋼ダスト特にOGダストを主原料とする鎮静材は、個重は小さくできるが発熱成分が少なく、また多量の酸化鉄分による吸熱反応によって、冷却され熱ロスを発生するという問題があった。また、一方、スラグの中に入り込みすぎて分散しづらいという問題点もある。
従来品には上述した問題点があり、下記問題点について更に検討した。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来のスラグフォーミング鎮静材の主原料は、転炉精錬上有害な成分が含まれている。例えば、高炉滓及び製鋼滓を原料にすると、それぞれS及びPが混入し、鋼質や耐火物に対して有害な作用を及ぼす。
また、高炉滓及び製鋼滓はCaOを含み、生成スラグのCaOを増加させることから、スラグの再利用時の品質に悪影響を与える。
【0008】
微粒鉄粉には酸化鉄分による吸熱反応を引き起こし溶鋼、溶滓を冷却するという問題がある。
また、微粒鉄粉は重量が重く原料とした鎮静材も比重がスラグより重くなり、スラグよりさらに沈降し充分な鎮静効果が得られない。
【0009】
本発明の目的は、上述した問題を解決して、フォーミングスラグが溶湯収納容器あるいは溶滓収納容器の耐火物に対して有害な作用を及ぼすような成分を含まず、転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグに投入後速やかにスラグ内に混合崩壊し、ここでフォーミングスラグを破壊し且つ脱気することができる特性を有し、更にハンドリングし易い形状を備えたフォーミングスラグ鎮静材を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述した問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、スラグに対して比重が大きく燃焼成分である炭素を含有するものとして高炉ダスト・ボイラー燃焼沈降灰及び紙スラジを原料とするのが有効であることを見出した。
高炉ダストは、高炉での溶銑を製造する際に、高炉炉内に装入された原料が粉化する過程で発生する、微粒鉱石,微粒コークス粉を主体とした副産物であり、C含有率が約10wt.%と高く、更にCaO成分の含有率は4wt.%未満と相対的に低い。
また、ボイラー燃焼沈降灰はSiO2 は高いもののCaOは3wt.%未満と低く、C含有率も約5wt.%である。さらに、その形状は非常に多孔質であり、内部に水分を取り込み水分を全体に分散することなく、内部に取り込むことができる。
上記原料に紙スラジを混合しブリケット化することで、見掛け比重1.5〜2.0の鎮静材を製造する。この見掛け密度は、ほぼスラグの比重と同等であり落下エネルギーと合わせスラグ中に分散混合し水分の蒸発・崩壊・燃焼によって優れた鎮静効果を発揮する。
【0011】
本発明は上記知見に基づいてなされたものであり、請求項1記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、製鉄工程発生灰、ボイラー発生燃焼灰のうちの1種以上と紙スラジとの混合物を主原料とし、前記主原料を混練し、これにバインダーを添加し混練混合し、次いで圧縮してブリケットに成型し、そして、得られた前記ブリケットの見掛け比重が1.5〜2.0の範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0012】
請求項2記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1において製鉄工程発生灰として高炉灰を使用することに特徴を有するものである。
【0013】
請求項3記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1においてボイラー発生燃焼灰として、ボイラー燃焼沈降灰を使用することに特徴を有するものである。
【0014】
請求項4記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1において前記灰等の配合割合を乾燥状態で30wt.%未満とし、残部を前記紙スラジとすることに特徴を有するものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づき説明する。
本発明のフォーミングスラグ鎮静材は、構成原料が適度な水分と熱分解性物質を含む物質とバインダーとからなり、これら原料を混練混合し圧縮成型したブリケットである。
このブリケットは転炉内又は溶滓鍋内に投入されるとフォーミングスラグ層に速やかに混合してスラグ中で熱分解反応を起こし容易に爆発的に粉化する。
この爆発的エネルギーによりフォーミングスラグが破壊されると共に、高速で飛散する粉体及び熱分解反応で発生したH2 、CO及びCO2 等のガスがフォーミングスラグに多数の孔を開け、フォーミングスラグ中に閉じ込められている細粒ガス気泡は大型に成長し、急速に脱気し、かくしてフォーミングスラグが速やかに鎮静化する。
【0016】
本発明品の構成を上述したように限定した理由を説明する。
(1)請求項1において、本発明品の主原料中の灰等及び紙スラジは、いずれも熱分解性物質であるか、又は熱分解性物質を含有し、かつ適度な水分を保持する能力を持ち、高温に加熱されて粉化する。
高温に加熱されると、高炉灰、紙スラジは揮発分がガス化し、かつ可燃成分が燃焼しCO2 ガス及び炭化水素ガスを発生し、ボイラー燃焼沈降灰は内蔵する水分の分解によってH2 ガスを発生して、フォーミングスラグを脱気し鎮静化させる効果を発揮する。
また、これら主原料は廃棄物もしくは副産物であり、安価である利点を有する。
【0017】
(2)請求項2における主原料として使用する高炉灰は、酸化鉄粉と炭素を主成分としており、見掛け比重の調整を行うと共に、炭素が燃焼することによりCO2 ガスを発生し、フォーミングスラグ中への浸入性及びフォーミングスラグの破壊・脱気性に優れた鎮静材が得られる。
【0018】
(3)請求項3における主原料として使用するボイラー燃焼沈降灰は、主に石炭の燃え殻でありCaO成分が少ない。
また、その形状は非常に多孔質であり、内部に取り込んだ水分をそのまま保持し、水分含有量は高位に維持しつつ、全体強度の低下を防止する。
さらに、フォーミングスラグ内では、水分の分解によってH2 ガスを発生して、フォーミングスラグを脱気し鎮静化させる効果を発揮する。
【0019】
(4)請求項4の発明においては、請求項1記載の条件を満たす範囲内において、更に、各主原料の望ましい配合割合を前述した通りの各種に限定する理由を説明する。
【0020】
主原料中、製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の配合割合を30wt.%未満とし、残部を紙スラジとする理由は次の通りである。
ここで、製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の配合割合=〔製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の重量/(製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰の重量+紙スラジの重量)〕×100(wt.%)である。
製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰と紙スラジとの配合割合は、スラグ鎮静材としての効果を決定する要因である。
【0021】
【表1】
【0022】
添加するバインダーとしては、熱分解性バインダー及び澱粉等の有機質系のバインダーから選ばれた一種又は二種以上のものを使用する。
【0023】
【実施例】
次に、この発明を実施例により更に説明する。
〔実施例1〕
主原料として紙スラジ70wt.%、高炉灰30wt.%を配合し、バインダーを添加した原料をフレットミルに装入し、混練混合し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜40grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は1.5〜2.0で平均は1.9であった。このスラグ鎮静材を用いて下記の試験を行った。
〔実施例2〕
主原料として紙スラジ70wt.%、ボイラー燃焼沈降灰30wt.%を配合し、バインダーを添加した原料をフレットミルに装入し、混練混合し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜40grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は1.5〜2.0で平均は1.7であった。このスラグ鎮静材を用いて下記の試験を行った。
〔実施例3〕
主原料として紙スラジ70wt.%、高炉灰15wt.%を配合し、ボイラー燃焼沈降灰を15wt.%バインダーを添加した原料をフレットミルに装入し、混練混合し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜40grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は1.5〜2.0で平均は1.8であった。このスラグ鎮静材を用いて下記の試験を行った。
【0024】
前記実施例サンプルにおける鎮静効果を以下のようにまとめる。
転炉内に排滓されたフォーミングスラグに、1回200kgの前記実施例1〜3の鎮静材をそれぞれ投入して鎮静効果を観察した。
この結果、実施例1〜3の全てにおいて投入後沸騰状態となり、フォーミングが鎮静化し、その後しばらくの間煮沸状態が続き、鎮静効果が確認できた。
また、同様に転炉排滓スラグパンに排滓されたフォーミングスラグに1回200kgの前記実施例1〜3の鎮静材をそれぞれ投入して鎮静効果を観察した。この結果、実施例1〜3の全てにおいて投入後沸騰状態となり、フォーミングが鎮静化し、その後しばらくの間煮沸状態が続き、鎮静効果が確認できた。
【0025】
【発明の効果】
本発明は、上述の通り構成されているので次に記載する効果を奏する。
製鉄工程発生灰あるいは発電用ボイラー発生燃焼灰は上述したように、比重を最適に調整すると共に熱分解性ガスの発生源として揮発分の確保に有効であり、紙スラジは燃焼成分を含んでおり、燃焼ガスの発生によりフォーミングスラグの鎮静化に効果を発揮する。
Claims (4)
- 製鉄工程発生灰、発電用ボイラー発生燃焼灰のうちの1種以上と紙スラジとの混合物を主原料とし、前記主原料を混練し、これにバインダーを添加し混練混合し、次いで圧縮してブリケットに成型し、そして、得られた前記ブリケットの見掛け比重が1.5〜2.0の範囲内にあることを特徴とする転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材。
- 製鉄工程発生灰は、高炉灰である請求項1記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材。
- 発電用ボイラー発生燃焼灰は、ボイラー燃焼沈降灰である請求項1記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材。
- 主原料は、前記灰等の配合割合を乾燥状態で30wt.%未満とし、残部を紙スラジとすることを特徴とする請求項1記載の転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003014417A JP2004225108A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003014417A JP2004225108A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004225108A true JP2004225108A (ja) | 2004-08-12 |
Family
ID=32902478
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003014417A Withdrawn JP2004225108A (ja) | 2003-01-23 | 2003-01-23 | 転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004225108A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100629840B1 (ko) * | 2005-03-25 | 2006-09-28 | 한봉대 | 황토 혼합 전로슬래그 진정제 |
JP2007302951A (ja) * | 2006-05-11 | 2007-11-22 | Kurosaki Harima Corp | 耐火物廃材を使用した転炉スラグフォーミング鎮静材 |
KR101008157B1 (ko) | 2008-12-11 | 2011-01-13 | 주식회사 포스코 | 전로진정제 및 그 제조방법 |
KR101328693B1 (ko) * | 2011-11-29 | 2013-11-14 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 폐석면을 함유하는 전로 진정제 및 그 제조방법 |
CN103540706A (zh) * | 2012-07-11 | 2014-01-29 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种抑制炉渣泡沫化的方法 |
-
2003
- 2003-01-23 JP JP2003014417A patent/JP2004225108A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100629840B1 (ko) * | 2005-03-25 | 2006-09-28 | 한봉대 | 황토 혼합 전로슬래그 진정제 |
JP2007302951A (ja) * | 2006-05-11 | 2007-11-22 | Kurosaki Harima Corp | 耐火物廃材を使用した転炉スラグフォーミング鎮静材 |
JP4669437B2 (ja) * | 2006-05-11 | 2011-04-13 | 黒崎播磨株式会社 | 耐火物廃材を使用した転炉スラグフォーミング鎮静材 |
KR101008157B1 (ko) | 2008-12-11 | 2011-01-13 | 주식회사 포스코 | 전로진정제 및 그 제조방법 |
KR101328693B1 (ko) * | 2011-11-29 | 2013-11-14 | 재단법인 포항산업과학연구원 | 폐석면을 함유하는 전로 진정제 및 그 제조방법 |
CN103540706A (zh) * | 2012-07-11 | 2014-01-29 | 攀钢集团研究院有限公司 | 一种抑制炉渣泡沫化的方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Tangstad | Ferrosilicon and silicon technology | |
CN102016081B (zh) | 炉渣起泡镇静材料及炉渣起泡镇静方法 | |
JP5094879B2 (ja) | 電気アーク炉中でのクロム含有量の多いスラグの還元方法 | |
US4613363A (en) | Process of making silicon, iron and ferroalloys | |
JPH06145836A (ja) | アルミニウム滓を利用した合金の製法 | |
JP2004225108A (ja) | 転炉内及び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材 | |
JP5582685B2 (ja) | 固体燃料および固体燃料の製造方法 | |
JP2007302951A (ja) | 耐火物廃材を使用した転炉スラグフォーミング鎮静材 | |
JP4580434B2 (ja) | スラグのフォーミング鎮静材及びその鎮静方法 | |
US3389990A (en) | Manganese nitride | |
JPH09217107A (ja) | フォーミングスラグ鎮静材 | |
JP4479541B2 (ja) | 高クロム溶鋼の溶製方法 | |
JP2007253031A (ja) | 製鉄用副資材の製造方法 | |
JP2004232024A (ja) | 製鋼方法 | |
JPH1150124A (ja) | 溶湯及び溶滓の収納容器内のフォーミングスラグの鎮静材 | |
JP2002192124A (ja) | 無機質廃棄粉体の溶融処理方法 | |
JP7495615B2 (ja) | フォーミング鎮静材 | |
JP2000093919A (ja) | 廃棄物の処理方法 | |
JP5187473B2 (ja) | 焼結鉱の製造方法 | |
KR100228048B1 (ko) | 포밍슬래그의 진정재 및 그 제조방법 | |
JP4593443B2 (ja) | シュレッダーダストの再資源化方法 | |
JP3042393B2 (ja) | 竪型炉への合成樹脂材の吹き込み方法 | |
JP2005194537A (ja) | コークスの製造方法 | |
JP2002275457A (ja) | テルミット発熱反応剤 | |
JPS60215704A (ja) | 製鋼スラグの処理方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060404 |