JPH1150124A - 溶湯及び溶滓の収納容器内のフォーミングスラグの鎮静材 - Google Patents

溶湯及び溶滓の収納容器内のフォーミングスラグの鎮静材

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JPH1150124A
JPH1150124A JP20914797A JP20914797A JPH1150124A JP H1150124 A JPH1150124 A JP H1150124A JP 20914797 A JP20914797 A JP 20914797A JP 20914797 A JP20914797 A JP 20914797A JP H1150124 A JPH1150124 A JP H1150124A
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JP
Japan
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slag
iron powder
coal
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fine iron
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Application number
JP20914797A
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English (en)
Inventor
Masahisa Tate
昌久 楯
Toshio Nayuki
利夫 名雪
Shinichiro Nishida
愼一郎 西田
Tadanobu Kobayashi
忠信 小林
Yasuji Tokuriki
靖二 徳力
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KEIHAN KK
N K MATETSUKU KK
JFE Engineering Corp
Honda KK
Original Assignee
KEIHAN KK
N K MATETSUKU KK
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Honda KK
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Publication date
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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)
  • Carbon Steel Or Casting Steel Manufacturing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶湯あるいは溶滓収納容器内のフォーミング
スラグ内を速やかに沈降し、スラグ内気泡を大型化し破
壊して脱気を促進し、また含有有害成分の少ない溶湯及
び溶滓の収容容器内のフォーミングスラグ鎮静材を開発
する。 【解決手段】 石炭、石灰石、プラスチック及び紙スラ
ジ(石炭等という)の1種以上と微粒鉄粉との混合物を
主原料とし、これを粉砕し、バインダーを添加・混合
し、圧縮してブリケットに成型し、見掛け比重を2〜5
にする。主原料に微粒鉄粉のみを使用し、熱分解性バイ
ンダーを添加し見掛け比重が4〜5のブリケットに成型
する。微粒鉄粉には転炉OGダストを用いる。望ましい
ケースとして、主原料を石炭等からの1種と微粒鉄粉と
で構成し、乾燥状態重量%で所定値範囲内の配合とす
る。石炭等の内二種以上を配合する場合は30wt.%未満
として見掛け比重を2以上に確保する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、溶銑の予備精錬
(脱珪、脱燐)時に形成され溶銑鍋、混銑車及び溶滓鍋
内に存在するフォーミングスラグ、及び製錬又は精錬時
に転炉、電気炉等の製鋼用冶金炉から溶鋼鍋、溶滓鍋に
排出されたフォーミングスラグを鎮めるために、上記の
溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及び溶滓鍋等の収納容器内に添
加使用される鎮静材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】大量の酸素ガスを吹き込んで、鉱石その
他の原料から含有金属を抽出し精製する製錬、あるいは
金属の純度を改善するために溶湯から不純物を除去する
精錬反応を起こさせると、共存するスラグが発生ガスに
よりフォーミング(泡化)し膨張する。このフォーミン
グスラグは鎮静化させないと炉外へ流出する危険性があ
るので、製錬又は精錬を継続することができない。ま
た、製錬又は精錬が終了した後に冶金炉から出湯するた
めの炉体傾動操作をすることができない。そして、迅速
な出湯により製錬又は精錬時間を短縮し、炉体耐火物の
溶損を抑制し、そして溶湯の成分変化及び温度変化の低
減を図るためには、製錬又は精錬の途中及び終点から出
湯までの、スラグ鎮静待ち時間を極力短縮することが重
要であり、また、溶湯を次工程へ搬送したり、所定の処
理を開始したりするまでの損失時間を短くすることが重
要である。このようなフォーミングスラグの鎮静化は、
製錬又は精錬の途中にスラグが溶滓鍋に流入した場合
や、製錬又は精錬の終了後に溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋又
は溶滓鍋にスラグが流入した場合も同様に必要である。
【0003】フォーミングスラグを鎮静化させるために
は、これを破壊したりあるいはこれに孔を開けたりする
ことにより、フォーミングスラグを脱気して収縮させス
ラグの表面レベルを沈下させなければならない。フォー
ミングスラグを鎮静化させるために鎮静材が備えるべき
要件としては、溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋又は溶滓鍋内
に投入された場合、速やかにフォーミングスラグ層中を
沈降すること、スラグ中で速やかに熱分解反応を起こ
す物質が原料及び/又はバインダー中に含有されている
こと、熱分解性物質及び炭材が存在すると、スラグ中
に存在する微細なCO気泡が大きく成長し、浮上分離し
易くなることが重要である。
【0004】フォーミングスラグ鎮静材として、従来例
えば下記の鎮静材が提案されている。特公昭58−42
241号公報は、見掛け比重を大きくして転炉スラグの
鎮静効果を向上させること等を目的とした鎮静材とし
て、製紙スラジ・古紙スラジ、木材チップのダスト、木
材の樹皮、砂糖きびの絞りかす、又は稲わら等のセルロ
ースを含有する有機物40〜90wt.%に、フェロマンガ
ン製造時に生成されるスラグ及び/又はマンガン鉱石を
粒径10mm以下にしたMn含有率10wt.%以上の粉粒
状物10〜60wt.%を混合し、その混合物を圧縮圧力1
00kg/cm2で、粒径15〜100mm、含水率30wt.%
以下の固形体に成型したスラグ鎮静材(以下、「先行技
術1」という)を開示しており、見掛け比重は1.8以
下である。
【0005】特公昭57−39291号公報は、産業廃
棄物を利用し、鎮静効果に優れた転炉用の安価なスラグ
鎮静材として、パルプスラジ、古紙スラジ、砂糖きびの
絞りかす、又は稲わら等、Al2 3 、SiO2 等不純
物が30wt.%以下である繊維質の産業廃棄物を主成分と
し、これに鉱滓を破砕した小粒状物を30〜50wt.%混
合し、更に少量のオレフィン類重合物を加えて混練し成
型して粒径20〜80mm、見掛け見掛け比重1.0〜
2.0である粒状又は塊状物に成型固化させたスラグ鎮
静材(以下、「先行技術2」という)を開示しており、
先行技術1及び2からこれらの鎮静材の含水率は10〜
30wt.%、圧潰強度は平均85kg/個であると推定さ
れる。
【0006】特開平7−145417号公報は、産業廃
棄物を利用し、スラグの泡立ち抑制効果に優れた抑制材
として、パルパーで解離した回収パルプ質材料又は製紙
スラジを5wt.%以上含み、残部が粉砕された安定型産業
廃棄物、可燃性廃棄物の焼却灰及びアルミ灰の内少なく
とも一種からなる混合物を脱水し、乾燥して残留水30
〜50wt.%、灼熱減量25wt.%以上とした混合物から、
嵩比重1.5以上、水分25wt.%以上の所望の形状に成
型されたもの(以下、「先行技術3」という)で、中心
に12mmφの貫通孔を有する50×30mmの角柱状
成型体を開示しており、この鎮静材の圧潰強度は平均6
0kg/個であると推定される。
【0007】このように、従来品は、パルプスラジ、古
紙、砂糖きび絞り粕、稲わら等の繊維質、高炉・転炉・
電気炉スラグの破砕スラグ、Al灰、高炉・電気炉ダス
トの粉体、安定型産業廃棄物、可燃性廃棄物の焼却灰等
を主原料に使用して、成型しブリケットにしており、こ
れら主原料から入る有害成分を多く含むスラグ鎮静材が
転炉で使用されているが、溶湯鍋や溶滓鍋等の収納容器
等では使用されていない。
【0008】これら従来品は、見掛け比重がスラグより
軽く、その分個重を大きくして投入エネルギーを高めて
浸入深さを深くし、スラグ鎮静材としての必要条件であ
る浸入深さの確保をしようとしてる。しかしながら、フ
ォーミングスラグの脱気用分解ガス源を水分に求めてい
るので、含有水分が多く個重が大きく、圧潰強度が低く
脆いため、ダンプ車積み降ろし時、ベルトコンベアによ
る搬送時及び投入シュートからの落下時に壊れて小塊に
なると投入エネルギーが低下し、更に低見掛け比重によ
るスラグ層中沈降性能の劣性が重なって浸入深さが急激
に低下するという欠点を有する。更に、小塊になると粉
ロスも増加する。
【0009】従来品には上述した問題点があり、下記問
題点について更に検討した。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
(1)スラグフォーミング鎮静材の主原料に、転炉精錬
上有害な成分が含まれている。例えば、電気炉ダスト、
高炉ダスト、転炉滓、電気炉滓、安定型産業廃棄物又は
可燃性廃棄物の焼却灰を原料にすると、Zn、Cr、S
n及びPb等重金属、並びに、Na及びK等アルカリ成
分が混入し、一方、高炉滓及び製鋼滓を原料にすると、
それぞれS及びPが混入し、鋼質や耐火物に対して有害
な作用を及ぼす。また、高炉滓及び製鋼滓はSiO2
含み、特に塩基性精錬に対して有害となる。
【0011】パルプスラジ、古紙スラジ及び高炉ダスト
を原料にすると、Na及びK等アルカリ成分が混入する
し、またそれらには水分が多量に含まれているので、収
納容器耐火物の寿命を短くする等、溶銑鍋、混銑車、溶
鋼鍋又は溶滓鍋の内壁に悪影響を及ぼす。
【0012】古紙等の回収パルプ材、プラスチック屑及
び高炉ダスト等を原料にすると、これらには固定炭素が
多量に含まれているので、低炭素鋼材の精錬時には加炭
される恐れがある等の問題がある。
【0013】(2)上記物質は比重がスラグより小さい
ので、これらを原料に使用した鎮静材をフォーミングス
ラグ中に投入し沈降させるためには、投入エネルギーを
大きくする必要があり、そのためにはサイズ及び個重の
大きなブリケットに成型しなければならない。
【0014】シュートから投入される鎮静材の投入エネ
ルギーは、個重をm、投入速度をVとすると、(1/
2)mV2 で与えられ、個重に比例する。例えば、個重
が259gr、145gr及び42grである鎮
静材のスラグ中への浸入深さは、インデックス表示でそ
れぞれ13m、7m及び2mであるから、フォーミング
スラグより見掛け比重が小さい鎮静材(例えば、上記
鎮静材の見掛け比重:1.64)の場合、及び、フォー
ミングスラグとの見掛け比重差が小さい鎮静材(例え
ば、上記の鎮静材の見掛け比重:2.34)の場合で
あっても、フォーミングスラグ中を沈降し、鎮静効果を
発揮するものと考えられる。なお、上記の見掛け比重
は3.81である。
【0015】(3)一方、スラグ鎮静材のサイズ及び個
重が大きくても、圧潰強度が小さいと、ブリケットが壊
れて小塊になり、見掛け比重が小さい場合には、鎮静材
はフォーミングスラグ中をスラグとメタルとの界面まで
沈降せず、鎮静効果が十分発揮されない。
【0016】表1に、上記、及びのスラグ鎮静材
の性状を示す。スラグ鎮静材及びは、サイズ及び個
重は大きいが、比重及び圧潰強度が小さい場合の例であ
る。
【0017】
【表1】
【0018】また、鎮静材及びは、個重が仮に鎮静
材と同じく42グラムと小さいならば、付与される投
入エネルギーが小さくなるので、フォーミングスラグと
の見掛け比重差が不十分になり十分に沈降せず、鎮静効
果を発揮することはできないものと考えられる。その根
拠は次のとおりである。
【0019】フォーミングスラグ中のスラグ鎮静材のレ
イノルズ数Re=duρ/μは、表1に示したとおりで
ある。但し、d:鎮静材の粒径、u:鎮静材粒子の沈降
速度、ρ:フォーミングスラグの密度、μ:フォーミン
グスラグの粘度であり、レイノルズ数は、アレンの法則
が成立する範囲内(5.8<Re<500)にある。流
体中を沈降する粒子が受ける抵抗力Rは、R=CAu2
ρ/2=Cπd2 2ρ/8で表わされ、一方、鎮静材
粒子は、重力と流体による浮力とを受け、有効重力(重
力−浮力)Fは、F=πd3 (ρs −ρ)g/6で表わ
される。但し、C:抵抗係数、A:鎮静材粒子の断面積
(πd2 /4)、ρs :鎮静材粒子の密度である。流体
内における粒子の定常沈降速度は、有効重力と抵抗力と
が釣り合う、F=Rのときの速度であるから、抵抗係数
Cは、 C=4dg(ρs −ρ)/3u2 ρ ---------------(1) で表わされ、アレンの法則において、 C=10/(Re)1/2 ---------------(2) 鎮静材粒子径dは、 d=(6m/πρs 1/3 ----------------(3) で換算できる。従って、(1) 〜(3) 式から鎮静材粒子の沈降速度uは、 u=(6m/πμρs 1/3 〔4(ρs −ρ)g/30ρ1/2 2/3 ---(4) となる。(4) 式から、鎮静材粒子の沈降速度uに及ぼす
鎮静材粒子の密度ρs の影響を知ることができる。鎮静
材、及びの沈降速度はそれぞれ、25.7cm/
sec、−30.0cm/sec(但し、−は浮上速度
を表わす)、及び、66.5cm/secと算出され
る。即ち、鎮静材粒子の沈降速度は、フォーミングスラ
グより見掛け比重が大きく、且つ見掛け比重差が大きい
ほど速いことがわかる。このように、スラグ鎮静材の見
掛け比重は、フォーミングスラグ中の沈降速度を自由に
制御することができる物性値として極めて重要なもので
ある。
【0020】(4)従来品では、輸送費、設備費、人件
費及び保管料等が多くかかる。即ち、従来品は、比較的
見掛け比重が小さいため輸送回数が増え、輸送費がかさ
むこと、主原料が非着磁性であるためリフティングマグ
ネットに付着せず、ハンドリング方法が限定され、ハン
ドリングのための人件費がより多くかかること、及び、
耐水性バインダを使用していないので雨水を避けなけれ
ばならず、屋内に保管しなければならないので、屋外保
管よりも約30%保管コストが上昇すること等の問題が
ある。
【0021】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決して、フォーミングスラグが溶湯収納容器あるい
は溶滓収納容器の耐火物に対して有害な作用を及ぼすよ
うな成分を含まず、溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及び溶滓鍋
内のフォーミングスラグに投入後速やかにスラグ内を沈
降し、ここでフォーミングスラグを破壊し且つ脱気する
ことができる特性を有し、更にハンドリングし易い特性
を備えたフォーミングスラグ鎮静材を提供することにあ
る。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
問題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、溶湯及び内張
り耐火物に対して有害成分を含まず、比重が大きく、且
つ、着磁性を有するものとして微粒鉄粉、特に転炉OG
ダストを主原料とするのが有効であることを知見した。
転炉OGダストは、高炉で製造された溶銑を原料とした
転炉精錬過程で発生する微粒鉄粉を主体とした副産物で
あり、SiO2 含有率が約1wt.%、C含有率が約1wt.%
といずれも低く、更に、Zn、Cr、S、P並びにNa
及びKのアルカリ成分の含有率も低い。そして、見掛け
比重は4〜5程度でありフォーミングスラグの見掛け比
重約2より相当に大きく、且つ、精錬メタルの比重約7
よりも小さいという、フォーミングスラグ鎮静材として
望ましいものである。バインダーとしては、耐水性を有
するものが望ましく、耐水性バインダーとしてプロパン
・ディ・アスファルト(PDA)、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ピッチ及びコ
ールタール等を選定した。
【0023】本発明は上記知見に基づいてなされたもの
であり、請求項1記載の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及び溶
滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、石炭、石灰石、
プラスチック及び紙スラジの内1種又は2種以上と、微
粒鉄粉との混合物を主原料とし、上記主原料を粉砕し、
バインダーを添加し混合し、次いで圧縮してブリケット
に成型し、得られたブリケットの見掛け比重が2〜5の
範囲内にあることに特徴を有するものである。
【0024】請求項2記載の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及
び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、主原料とし
て微粒鉄粉のみを使用し、微粒鉄粉を粉砕し、これに熱
分解性バインダーを添加し混合し、次いで圧縮してブリ
ケットに成型し、そして、得られたブリケットの見掛け
比重が4〜5の範囲内にあることに特徴を有するもので
ある。
【0025】請求項3記載の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及
び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1又
は2記載のフォーミングスラグ鎮静材において、微粒鉄
粉として転炉OGダストを使用することに特徴を有する
ものである。
【0026】請求項4記載の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及
び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1記
載のフォーミングスラグ鎮静材において、前記主原料と
して、当該主原料中の前記石炭の配合割合を乾燥状態で
40wt.%未満とし、残部を前記微粒鉄粉とするか、当該
主原料中の前記石灰石の配合割合を乾燥状態で30wt.%
未満とし、残部を前記微粒鉄粉とするか、当該主原料中
の前記プラスチックの配合割合を乾燥状態で35wt.%未
満とし、残部を前記微粒鉄粉とするか、又は、当該主原
料中の前記紙スラジの配合割合を乾燥状態で25wt.%未
満とし、残部を前記微粒鉄粉とするかの内、いずれか一
つとすることに特徴を有するものである。
【0027】請求項5記載の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及
び溶滓鍋内のフォーミングスラグ鎮静材は、請求項1記
載のフォーミングスラグ鎮静材において、前記主原料と
して、当該主原料中の前記石炭等の内二種以上の配合割
合を乾燥状態で30wt.%未満とし、残部を前記微粒鉄粉
とすることに特徴を有するものである。
【0028】なお、時として微粒鉄粉が擬似粒子化し塊
状になっていることがあるので、これを粉砕することが
必要である。
【0029】
【発明の実施の形態】本発明のフォーミングスラグ鎮静
材は、構成原料が粉砕された熱分解性物質を含む高比重
の物質とバインダーとからなるか、又は熱分解性物質を
含まない高比重の微粒鉄粉と熱分解性バインダーとから
なり、これら原料を混合し圧縮成型したブリケットであ
る。このブリケットは溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋又は溶滓
鍋内に投入されるとフォーミングスラグ層を速やかに沈
降してスラグ中で熱分解反応を起こし容易に爆発的に粉
化する。この爆発的エネルギーによりフォーミングスラ
グが破壊されると共に、高速で飛散する粉体及び熱分解
反応で発生したH2 、CO及びCO2 等のガスがフォー
ミングスラグに多数の孔を開け、フォーミングスラグ中
に閉じ込められている細粒ガス気泡は大型に成長し、急
速に脱気し、かくしてフォーミングスラグが速やかに鎮
静化する。
【0030】本発明品の構成を上述したように限定した
理由を説明する。 (1)請求項1において、本発明品の主原料中の石炭、
石灰石、プラスチック及び紙スラジはいずれも熱分解性
物質であるか、又は熱分解性物質を含有し、しかも、高
温に加熱されて粉化する。高温に加熱されると、石炭は
揮発分がガス化し、石灰石はCO2 ガスを発生し、プラ
スチックはH2 ガス及び炭化水素ガスを発生し、そし
て、紙スラジはCO2 ガス、H2 ガス及び炭化水素ガス
を発生して、フォーミングスラグを脱気し鎮静化させる
効果を発揮する。一方、主原料中の微粒鉄粉は、通常、
比重が約5程度であるので、鎮静材粒子の見掛け比重を
大きくすることができ、フォーミングスラグ中を速やか
に沈降させるのに好適であり、特に転炉OGダストは更
に、有害成分の含有率も低く、且つ安価である利点を有
する。
【0031】上記主原料にバインダーを添加して圧縮成
型されたブリケットは、見掛け比重を2〜5の範囲内に
なるように原料配合及び成型条件を選択することによ
り、フォーミングスラグ(見掛け比重:約2)とメタル
(比重:約7)との界面に速やかに到達することができ
る。
【0032】(2)請求項2における主原料として微粒
鉄粉を100wt.%使用し、バインダーとして熱分解性バ
インダーを使用すれば、フォーミングスラグ中への浸入
性及びフォーミングスラグの破壊・脱気性に優れた鎮静
材が得られる。特に、溶銑脱珪時等のSiO2 含有率の
高いスラグは粘性が高いので、見掛け比重を大きくし、
4〜5の範囲内にするのが望ましい。
【0033】(3)請求項3の発明においては、請求項
1及び2の各々に記載した発明の条件を満たす範囲内に
おいて、更に前記微粒鉄粉として転炉OGダストを使用
すれば、フォーミングスラグ中への浸入性、有害成分の
排除性、フォーミングスラグの破壊・脱気性、及び経済
性に優れた鎮静材が得られるので、一層望ましい。
【0034】(4)請求項4の発明においては、請求項
1記載の条件を満たす範囲内において、更に、各主原料
の望ましい配合割合を前述した通りの各種に限定する理
由を説明する。
【0035】(イ)主原料中石炭の配合割合を40wt.%
未満とし、残部を微粒鉄粉とする理由は次の通りであ
る。ここで、石炭の配合割合=〔石炭の重量/(石炭の
重量+微粒鉄粉の重量)〕×100(wt.%)である。石
炭と微粒鉄粉との配合割合は、鉄源として金属状Feの
資源利用、及び、スラグ鎮静材としての効果を決定する
要因である。即ち、石炭は上述したように、熱分解性ガ
スの発生源として揮発分の確保に有効であり、フォーミ
ングスラグの鎮静化に効果を発揮する。しかしながら、
石炭は比重が小さいので配合割合が多過ぎると、フォー
ミングスラグ中を沈降するのに必要な見掛け比重を付与
することができない。
【0036】図1は、石炭の配合割合と鎮静材の見掛け
比重及び揮発分との関係を示すグラフであり、石炭の配
合割合が増加するに従い鎮静材の見掛け比重は小さくな
り、その配合割合が40wt.%のとき見掛け比重は2とな
る。投入された鎮静材が速やかにスラグ中を沈降するた
めには、鎮静材の見掛け比重がフォーミングスラグの見
掛け比重2より大きいことが必要である。
【0037】また、主原料中に石炭を配合せず、微粒鉄
粉のみを熱分解性バインダーのPDAにより成型したブ
リケット(但し、揮発分:4.9wt.%、見掛け比重:
5)を使用した場合でもフォーミングスラグの鎮静効果
が認められた。従って、以上により、石炭の配合割合
は、40wt.%未満に限定することが望ましい。更に、ブ
リケット成型物の圧潰強度を十分大きく確保するため
に、石炭の配合割合を3〜15wt.%の範囲内に限定する
ことが一層望ましい。
【0038】なお、図1には、石炭の配合割合に対する
鎮静材中の石炭揮発分含有率についても併記した。石炭
の配合割合が増加すると揮発分含有率が増加する状況が
わかる。
【0039】(ロ)主原料中石灰石の配合割合を30w
t.%未満とし、残部を微粒鉄粉とする理由は次の通りで
ある。ここで、石灰石の配合割合=〔石灰石の重量/
(石灰石の重量+微粒鉄粉の重量)〕×100(wt.%)
である。主原料中に石灰石を使用すると、石灰石の熱分
解反応:CaCO3 →CaO+CO2 で生成するCO2
が、フォーミングスラグの鎮静化に効果を発揮する。し
かしながら、石灰石の配合割合を30wt.%以上にする
と、鎮静材の見掛け比重については3.5〜2.5の範
囲内にあるのでフォーミングスラグの見掛け比重よりも
大きく確保することができるが、他方、ブリケットの圧
潰強度が低下し、ハンドリング工程において小塊の発生
量が急激に増大する。
【0040】図2は、石灰石の配合割合と、鎮静材の見
掛け比重及び圧潰強度との関係を示すグラフである。石
灰石の配合割合が増加するに従い鎮静材の見掛け比重及
び圧潰強度が共に小さくなり、その配合割合が30wt.%
のとき見掛け比重は3.5、圧潰強度は100kgであ
る。鎮静材の小塊化を許容範囲内とするために、石灰石
の配合割合を30wt.%未満に限定することが望ましい。
更に、ブリケット成型物の圧潰強度を十分大きく確保す
るために、石灰石の配合割合を5〜20wt.%の範囲内に
限定することが一層望ましい。
【0041】(ハ)主原料中プラスチックの配合割合を
35wt.%未満とし、残部を微粒鉄粉とする理由は次の通
りである。ここで、プラスチックの配合割合=〔プラス
チックの重量/(プラスチックの重量+微粒鉄粉の重
量)〕×100(wt.%)である。主原料中にプラスチッ
ク、例えば、ポリエチレンを使用すると、その熱分解反
応:〔 -CH2 ・CH2-〕n →H2 +C+Cm n で生
成するH2 ガス並びにCH4 ガス及びC2 6 ガス等の
炭化水素ガスが、フォーミングスラグの鎮静化に効果を
発揮する。しかしながら、プラスチックも石炭同様、比
重が小さいので配合割合が多過ぎると、フォーミングス
ラグ中を沈降するのに必要な見掛け比重を付与すること
ができない。そこでプラスチックの配合割合についても
石炭の場合に準じた理由により、鎮静材の見掛け比重を
2以上にするために、35wt.%未満に限定することが望
ましい。更に、ブリケット成型物の圧潰強度を十分大き
く確保するために、プラスチックの配合割合を3〜15
wt.%の範囲内に限定することが一層望ましい。
【0042】(ニ)主原料中紙スラジの配合割合を25
wt.%未満とし、残部を微粒鉄粉とする理由は次の通りで
ある。ここで、紙スラジの配合割合=〔紙スラジの重量
/(紙スラジの重量+微粒鉄粉の重量)〕×100(w
t.%)である。主原料中に紙スラジを使用すると、その
揮発分の熱分解反応で生成するCO2 ガス、H2 ガス及
び炭化水素ガスが、フォーミングスラグの鎮静化に効果
を発揮する。しかしながら、紙スラジも石炭及びポリエ
チレン同様、比重が小さいので配合割合が多過ぎると、
フォーミングスラグ中を沈降するのに必要な見掛け比重
を付与することができない。そこで紙スラジの配合割合
についても石炭及びポリエチレンの場合に準じた理由に
より、鎮静材の見掛け比重を2以上にするために、25
wt.%未満に限定することが望ましい。更に、ブリケット
成型物の圧潰強度を十分大きく確保するために、紙スラ
ジの配合割合を3〜15wt.%の範囲内に限定することが
一層望ましい。
【0043】(5)請求項5の発明においては、請求項
1記載の条件を満たす範囲内において、更に、主原料の
望ましい配合割合を前述した通りに限定する理由を説明
する。
【0044】主原料中石炭等の内二種以上の配合割合を
30wt.%未満とし、残部を微粒鉄粉とする理由は、上記
(イ)で請求項4についてした説明に準じるものによ
る。。ここで、石炭等の内二種以上の配合割合=〔当該
二種以上の重量/(当該二種以上の重量+微粒鉄粉の重
量)〕×100(wt.%)である。
【0045】なお、添加する熱分解性バインダーとして
は、プロパン・ディ・アスファルト(PDA)、ポリエ
チレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニール
樹脂、ポリアミド(ナイロン)、アセタール樹脂、熱可
塑性アクリル系樹脂、コールタール、ピッチ、カルボキ
シ・メチルセルロース(CMC)、ポリビニール・アル
コール(PVA)及び澱粉等の有機質系のバインダーか
ら選ばれた一種又は二種以上のものを用いることがで
き、また、非熱分解性バインダーとしてはベントナイ
ト、セメント及び水ガラス等の無機質系バインダーから
選ばれた一種又は二種以上のものを用いることができ、
適宜、熱分解性バインダー及び非熱分解性バインダーの
内少なくとも一つを用いればよい。
【0046】表2に、原料及びバインダーの配合並びに
ブリケット成型物の物性を示す。
【0047】
【表2】
【0048】熱可塑性プラスチックをバインダーに選定
した理由を説明する。熱可塑性のプラスチックは、常温
では固体であるが、加熱すると弾性率は著しく低下し、
軟化して、約150℃以上になると、粘い糊状になり、
バインダーとして機能するようになる。
【0049】ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン
(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン等ポリアミ
ド(PA)、塩化ビニール(PVA)、アセタール樹脂
(POM)は、熱可塑性プラスチックである。これらの
プラスチックを150℃まで昇温したときの物性変化を
弾性率で示すと、図3の通りである。
【0050】図3より、熱可塑性プラスチックを150
℃以上に昇温すると弾性が殆んどなくなり、加圧・成型
すれば容易に変形することを示しており、且つ粘着力が
あるのでバインダーとして使用できる。
【0051】上述したように、本発明品では、主原料に
低含水率の熱分解性物質を配合し水分含有率を低く調整
すると共に、圧潰強度を大きくし、且つ高見掛け比重と
したので、フォーミングスラグ中の沈降性能が格段に向
上する。また、壊れ難く高見掛け比重のブリケット化に
成功し、鎮静材のサイズ及び個重が小型化されたので、
大容量の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及び溶滓鍋内において
も、フォーミングスラグの広い領域に分散投入すること
ができるようになり、脱気及び鎮静化が均一化され、一
層鎮静化が速やかになった。例えば、表1に示したスラ
グ鎮静材の場合、100kg当たりの個数は、従来品の
及びの場合は、それぞれ386個及び690個であ
るのに対して、本発明品のの場合には、2380個で
ある。
【0052】
【実施例】次に、この発明を実施例により更に説明す
る。 〔実施例1〕主原料として転炉OGダストに石炭を9.
8wt.%配合し、バインダーとしてPDAを2.4wt.%添
加した原料を高速撹拌羽根を有する高速回転ミキサーに
装入し、混合、加熱、溶解及び脱水処理をし、次いで成
型機でブリケットにし、個重が40〜50grのスラグ
鎮静材を製造した。この鎮静材の見掛け比重は3.5〜
4.2で平均は3.8であった。このスラグ鎮静材を用
いて下記〜の試験を行ない、それぞれ良好な結果を
得た。
【0053】250tonの溶銑を保有する溶銑鍋及
び混銑車のそれぞれにおいて、溶銑の予備精錬(脱珪、
脱燐)を行なった際に形成されるフォーミングスラグに
100kgの鎮静材を投入した。その結果、熱分解反応
が起きフォーミングスラグが良好に鎮静・沈下し、溶銑
の予備処理時に形成されるフォーミングスラグに対して
もこの鎮静材は効果があることが確認された。
【0054】電気炉の出鋼時、電気炉を傾動し、出鋼
樋を通して溶鋼鍋に受鋼する。この時、鍋内で溶鋼と溶
滓とが反応して、溶滓が泡立つ。この時、100ton
の溶鋼鍋に対して鎮静材を一度にバラの姿で30kgを
添加し、溶滓が鎮静することを確認した。
【0055】電気炉の溶解期から精錬期にかけて、炉
から流出するスラグが溶滓鍋(ノロパン)内でフォーミ
ングする。溶滓鍋内の泡立った溶滓12tonに対して
鎮静材を7kgずつ袋詰めしたものを、4回にわたって
合計28kgをスラグ表面のガスと焔が吹き出している
面へ投入した。その結果、溶滓は沈降し、泡立ちは消え
鎮静した。
【0056】以上、フォーミングスラグに対して鎮静材
の投入の仕方には、1回にまとめて投入する場合(A)
と、数回に分けて分散投入する場合(B)とがある。
(A)の場合は、フォーミングスラグの気泡が小さく、
フォーミングスラグの粘性が小さく、フォーミングスラ
グの表面全体が弱い焔に包まれた場合、及び炉内に添加
する場合に相当する。このケースではブリケット単味の
形態で添加される。
【0057】(B)の場合は、フォーミングスラグの気
泡が大型であり、フォーミングスラグの粘性が(A)の
場合より高く、フォーミングスラグの表面の所々からガ
スと焔が噴出する。このような場合は鎮静材ブリケット
を数kgずつ袋詰めした鎮静材を、ガスと焔が噴出して
いる部分に投入し、フォーミングスラグを鎮静させた。
【0058】上記結果を表3に示す。鎮静材の適用効
果:優、良、可をそれぞれ評点5、4、3で表わした。
【0059】
【表3】
【0060】上記鎮静材は、の通り、溶銑鍋及び混銑
車のような溶銑用容器内に溶銑予備処理時に形成される
フォーミングスラグに対して有効であり、更に、及び
の通り、冶金用炉内に形成されたフォーミングスラグ
が製錬又は精錬の途中又は終了後に当該冶金炉から溶鋼
鍋又は溶滓鍋に流出した場合にも有効であることが確認
された。
【0061】〔実施例2〕主原料として転炉OGダスト
にバインダーとしてPDAを2.3wt.%添加した原料を
高速撹拌羽根を有する高速回転ミキサーに装入し、加
熱、溶解及び脱水処理をし、次いで成型機で圧縮成型し
ブリケットにし、個重が50〜60grのスラグ鎮静材
を製造した。この鎮静材の見掛け比重は4.5〜5.1
で平均は4.9であった。このスラグ鎮静材を使用して
下記の試験結果が得られた。
【0062】250tonの溶銑を保有する溶銑鍋及
び混銑車のそれぞれにおいて、溶銑の予備精錬(脱珪、
脱燐)を行なった際に形成されるフォーミングスラグに
100kgの鎮静材を投入した。その結果、熱分解反応
が起きフォーミングスラグが良好に鎮静・沈下し、溶銑
の予備処理時に形成されるフォーミングスラグに対して
もこの鎮静材は効果があることが確認された。
【0063】電気炉の出鋼時、電気炉を傾動し、出鋼
樋を通して溶鋼鍋に受鋼する。この時、鍋内で溶鋼と溶
滓とが反応して、溶滓が泡立つ。この時、100ton
の溶鋼鍋に対して鎮静材30kgを添加し、溶滓が鎮静
することを確認した。
【0064】電気炉の溶解期から精錬期にかけて、炉
から流出するスラグが溶滓鍋(ノロパン)内でフォーミ
ングする。溶滓鍋内の泡立った溶滓12tonに対して
鎮静材を7kgずつ袋詰めしたものを、4回にわたって
合計28kgを投入した。その結果、溶滓は沈降し、泡
立ちは消え鎮静した。
【0065】上記結果を表3に示す。上記鎮静材は、
の通り、溶銑鍋及び混銑車のような溶銑用容器内に溶銑
予備処理時に形成されるフォーミングスラグに対して有
効であり、更に、及びの通り、冶金用炉内に形成さ
れたフォーミングスラグが製錬又は精錬の途中又は終了
後に当該冶金炉から溶鋼鍋又は溶滓鍋に流出した場合に
も有効であることが確認された。
【0066】〔実施例3〕主原料として転炉OGダスト
に石炭を29.1wt.%配合し、バインダーとしてPDA
を3.1wt.%添加した原料を高速撹拌羽根を有する高速
回転ミキサーに装入し、混合、加熱、溶解及び脱水処理
をし、次いで成型機でブリケットにし、個重が25〜3
0grのスラグ鎮静材を製造した。この鎮静材の見掛け
比重は2.3〜2.5で平均は2.4であった。
【0067】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。 〔実施例4〕主原料として転炉OGダストに石灰石を1
4.6wt.%配合し、バインダーとしてPDAを2.4w
t.%添加した原料を高速撹拌羽根を有する高速回転ミキ
サーに装入し、混合、加熱、溶解及び脱水処理をし、次
いで成型機でブリケットにし、個重が40〜50grの
スラグ鎮静材を製造した。この鎮静材の見掛け比重は
3.5〜4.2で平均は3.9であった。
【0068】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。 〔実施例5〕主原料として転炉OGダストにポリエチレ
ン(比重:0.9)を9.8wt.%配合し、これにバイン
ダーとしてPDAを2.4wt.%添加した原料を高速撹拌
羽根を有する高速回転ミキサーに装入し、混合、加熱、
溶解及び脱水処理をし、次いで成型機でブリケットに
し、個重が35〜42grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は3.0〜3.8で平均は3.
4であった。
【0069】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。 〔実施例6〕主原料として転炉OGダストに紙スラジを
14.6wt.%配合し、これにバインダーとしてPDAを
2.9wt.%添加したものを高速撹拌羽根を有する高速回
転ミキサーに装入し、混合、加熱、溶解及び脱水処理を
し、次いで成型機でブリケットにし、個重が30〜40
grのスラグ鎮静材を製造した。この鎮静材の見掛け比
重は3.0〜3.6で平均は3.3であった。
【0070】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。 〔実施例7〕主原料として転炉OGダストに石炭を7.
8wt.%及び石灰石を4.9wt.%配合し、これにバインダ
ーとしてPDAを2.4wt.%添加した原料を高速撹拌羽
根を有する高速回転ミキサーに装入し、混合、加熱、溶
解及び脱水処理をし、次いで成型機でブリケットにし、
個重が40〜50grのスラグ鎮静材を製造した。この
鎮静材の見掛け比重は3.3〜4.0で平均は3.8で
あった。
【0071】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。 〔実施例8〕主原料として転炉OGダストに石炭を9.
7wt.%配合し、これにバインダーとしてポリエチレンを
2.9wt.%添加した原料を高速撹拌羽根を有する高速回
転ミキサーに装入し、混合、加熱、溶解及び脱水処理を
し、次いで成型機でブリケットにし、個重が35〜45
grのスラグ鎮静材を製造した。この鎮静材の見掛け比
重は3.6〜4.1で平均は3.7であった。
【0072】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。 〔実施例9〕主原料として転炉OGダストに、バインダ
ーとしてポリエチレンを2wt.%添加した原料を高速撹拌
羽根を有する高速回転ミキサーに装入し、混合、加熱、
溶解及び脱水処理をし、次いで成型機でブリケットに
し、個重が47〜52grのスラグ鎮静材を製造した。
この鎮静材の見掛け比重は4.5〜5.0で平均は4.
7であった。
【0073】このスラグ鎮静材を各種収納容器内に投入
した。その結果、表3に示す通り良好な鎮静効果が得ら
れた。なお、微粒鉄粉に対する石炭等の配合を、石炭等
の内二種以上を配合した場合と、石炭等の内一種のみを
配合した場合とについて製造されたブリケットの圧潰強
度を比較すると、微粒鉄粉に対する石炭等の配合割合が
同じ場合には、二種類以上を配合した場合の方が圧潰強
度が低下する。そこで、ブリケットの圧潰強度を確保す
るために、石炭等の内二種以上を配合する場合の方がそ
の配合率を低くした。
【0074】表4に、実施例1〜9で製造したスラグ鎮
静材の主原料配合割合、バインダー添加量、見掛け比
重、個重、並びに、揮発分、トランプエレメント及び水
分等の一例をまとめて示した。また従来品についても同
様に併記した。
【0075】
【表4】
【0076】実施例1〜9においては、配合主原料サイ
ズが、転炉OGダスト:3mm以下、石炭:100mm
以下(高速回転ミキサーで破砕後5mm以下)、石灰
石:3mm以下、ポリエチレン:6mm以下のものを使
用し、紙スラジは有り姿のままで使用した。そして、縦
30mm×横25×深さ7.5mmのアーモンド型モー
ルドで成型して鎮静材を製造した。
【0077】PDA及びポリエチレン等有機質系バイン
ダーは熱分解性であるから主原料の微粒鉄粉に添加・ブ
リケット化し、スラグ内で熱分解させ、一方、セメント
など無機質系バインダーは熱分解性を有しないので、石
炭等の熱分解性主原料と組み合わせてブリケット化し、
スラグ鎮静材として使用し効果があった。また、主原料
として転炉OGダストを100wt.%使用し、バインダー
としてPDAを2wt.%添加したもの、及びポリエチレン
2wt.%添加し、混合、加熱及び脱水処理をして製造した
ブリケット1tonをそれぞれ、溶鋼が300ton入
っている転炉に鉄源として投入した。その結果、ブリケ
ット含有鉄の歩留りは93wt.%であった。また、溶鋼の
冷却材としても有効であることがわかった。
【0078】
【発明の効果】本発明は、下記効果が得られるフォーミ
ングスラグ鎮静材を提供することができ、工業上有用な
効果がもたらされる。
【0079】1.本発明品は、主原料に微粒鉄粉を使用
するが、特に転炉OGダストは有害成分が少ないので安
心して、精錬が終了し出鋼後の鍋内溶鋼、あるいは、溶
銑の脱珪、脱燐等予備処理後の溶銑鍋又は混銑車の溶銑
に使用できる。そして、見掛け比重がフォーミングスラ
グより大きく且つメタルより小さいので、フォーミング
スラグ中を従来品の約2倍の沈降速度で沈降することが
でき、且つ、主原料中の石炭、石灰石、プラスチック及
び紙スラジ、並びに、有機質系バインダーが熱分解する
のでフォーミングスラグ中の気泡を大型化し、脱気を促
進し、鎮静化するので、操業時間を従来品の使用時より
短縮し、改善することができる。また、フォーミングス
ラグが製鋼炉等から流出し、溶滓鍋等に流入したフォー
ミングスラグに対しても、急速に脱気する効果がある。
【0080】2.本発明品を、各種収納容器内フォーミ
ングスラグの鎮静化に適用すると下記効果がある。 250tonの溶銑鍋又は混銑車では、地金・滓付着
が減少し、溶銑予備処理時間が1回当たり5分短縮さ
れ、またその結果、溶銑鍋又は混銑車の寿命が約100
回延長する。 100ton電気炉の溶鋼鍋では、出鋼後のフォーミ
ングスラグ鎮静に要する時間が1回当たり3分短縮さ
れ、Fe−Si粉が30kg節約され、またその結果、
溶鋼鍋寿命が5回延長する。 電気炉用の12ton溶滓鍋では、フォーミングスラ
グの鎮静化が容易になり、溶滓鍋からのスラグオーバー
フローがなくなり、流出滓の片付けの省力化が可能とな
る。またその結果、当該作業1回当たり3人×15分/
人=45分節約される。
【0081】3.本発明品は、見掛け比重が大きいので
サイズ及び個重を小さくすることができ、従って、溶銑
鍋、溶鋼鍋及び溶滓鍋等での使用に際し、切出し時の鎮
静材の流れ込み量を低減することができ、秤量・切出し
精度を向上させることができるので、コスト低減に寄与
する。
【0082】4.本発明品は、見掛け比重が大きいので
ブリケットを貯蔵するために大容積の容器やバンカー等
が不要となるので設備費が安価になる。 5.本発明品は、主原料中に微粒鉄粉を60wt.%以上使
用しているので着磁性を有し、リフティングマグネット
に付着し、ハンドリングが容易となり、ハンドリング作
業のための人件費が低減される。
【0083】6.本発明品において、バインダーにPD
A及びポリエチレン等の耐水性バインダーを使用してい
るので、雨水等による鎮静材の吸水劣化の心配がなく屋
外に置くことができるので、屋内保管コストより約30
%安くなる。
【0084】7.本発明品は、主原料が100wt.%微粒
鉄粉からなる場合は、精錬時における溶湯の鉄源及び冷
却材として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明における石炭の配合割合と、鎮静材の
見掛け比重及び揮発分との関係を例示するグラフであ
る。
【図2】この発明における石灰石の配合割合と、鎮静材
の見掛け比重及び圧潰強度との関係を例示するグラフで
ある。
【図3】各種熱可塑性プラスチックの弾性率の温度依存
性を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 596020277 株式会社ホンダ 神奈川県川崎市川崎区池田1丁目13番8号 (72)発明者 楯 昌久 神奈川県横浜市戸塚区下倉田1479−108 (72)発明者 名雪 利夫 東京都中央区佃2−11−6 (72)発明者 西田 愼一郎 京都府京都市右京区嵯峨大覚寺門前登り町 8 (72)発明者 小林 忠信 東京都稲城市矢野口153−2−515 (72)発明者 徳力 靖二 神奈川県横須賀市長瀬1−11−3

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 石炭、石灰石、プラスチック及び紙スラ
    ジ(以下、「石炭等」という)の内1種又は2種以上
    と、微粒鉄粉との混合物を主原料とし、前記主原料を粉
    砕し、これにバインダーを添加し混合し、次いで圧縮し
    てブリケットに成型し、そして、得られた前記ブリケッ
    トの見掛け比重が2〜5の範囲内にあることを特徴とす
    る、溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及び溶滓鍋内のフォーミン
    グスラグの鎮静材。
  2. 【請求項2】 主原料として微粒鉄粉のみを使用し、前
    記微粒鉄粉を粉砕し、これに熱分解性バインダーを添加
    し混合し、次いで圧縮してブリケットに成型し、そし
    て、得られた前記ブリケットの見掛け比重が4〜5の範
    囲内にあることを特徴とする、溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋
    及び溶滓鍋内のフォーミングスラグの鎮静材。
  3. 【請求項3】 前記微粒鉄粉は、転炉OGダストである
    請求項1又は請求項2記載の溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及
    び溶滓鍋内のフォーミングスラグの鎮静材。
  4. 【請求項4】 前記主原料は、前記石炭の配合割合を乾
    燥状態で40wt.%未満とし、残部を前記微粒鉄粉とする
    か、前記石灰石の配合割合を乾燥状態で30wt.%未満と
    し、残部を前記微粒鉄粉とするか、前記プラスチックの
    配合割合を乾燥状態で35wt.%未満とし、残部を前記微
    粒鉄粉とするか、前記紙スラジの配合割合を乾燥状態で
    25wt.%未満とし、残部を前記微粒鉄粉とするかの内、
    いずれか一つとすることを特徴とする、請求項1記載の
    溶銑鍋、混銑車、溶鋼鍋及び溶滓鍋内のフォーミングス
    ラグの鎮静材。
  5. 【請求項5】 前記主原料は、前記石炭等の内二種以上
    の配合割合を乾燥状態で30wt.%未満とし、そして、残
    部を前記微粒鉄粉とする、請求項1記載の溶銑鍋、混銑
    車、溶鋼鍋及び溶滓鍋内のフォーミングスラグの鎮静
    材。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008255446A (ja) * 2007-04-06 2008-10-23 Nippon Steel Corp スラグの鎮静方法
KR20200062305A (ko) 2018-04-24 2020-06-03 닛폰세이테츠 가부시키가이샤 용선의 탈인 방법

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