JP2004224706A - 噴霧型日焼け止め化粧料 - Google Patents

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憲司 大橋
Takayuki Omura
孝之 大村
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Abstract

【課題】噴霧性に優れたディスペンサー型又は圧縮ガスを噴射剤としたエアゾール型の日焼け止め化粧料を提供する。
【解決手段】紫外線吸収剤、親水性界面活性剤、両親媒性物質、及び水を含有し、平均粒子径が10〜300nmで、且つ粘度が100mPa・s以下であるO/W型乳化組成物を、ディスペンサー型容器、あるいは噴射剤が圧縮ガスであるエアゾール型容器内に充填したことを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。親水性界面活性剤と両親媒性物質とは水中でゲルを形成し得るものであり、親水性界面活性剤と両親媒性物質の実質的全量が油滴界面に存在するO/W組成物を原液とする。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、噴霧型日焼け止め化粧料、特にO/W乳化組成物を原液とした噴霧型日焼け止め化粧料の噴霧性の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
日焼け止め化粧料において、噴霧型のものはこれを簡便に広範囲に塗布することのできる点で好まれる形態である。噴霧型の化粧料としては、LPGやフロンガスなどの液化ガス、あるいは窒素ガスや炭酸ガスなどの圧縮ガスを噴射剤として使用するエアゾール型のものや、噴射剤を使用しないディスペンサー型のものが知られている。
【0003】
液化ガスを噴射剤とするエアゾール型では、密閉された容器内で噴射剤が液体及び気体の状態で共存しているので安定した圧力が得られるが、直射日光に暴露されたり、高温の車内に放置されたりして容器内の温度が上昇すると、爆発や引火の危険性が高い。また、液化ガスが気化する際の気化潜熱により、塗布時に著しい冷却感を伴うため、日焼け止め化粧料においては、紫外線防御のための必要量が塗布されにくいという問題点がある。
これに対して、噴射剤を使用しないディスペンサー型や、噴射剤として圧縮ガスを用いたエアゾール型では、噴霧力や噴霧安定性は液化ガスを用いたエアゾールに比べればやや低いものの、爆発や引火の危険性は極めて低く、著しい冷却感もないという点で好ましい。
【0004】
一方、通常の日焼け止め化粧料として、紫外線吸収剤を多量に配合することができ、しかも使用感がみずみずしい等の点でO/W乳化組成物が多く使用されている。しかし、これをディスペンサー型や圧縮ガスタイプのエアゾール型にする場合、粘度が高いと均一に霧状に噴射することが困難であったり、できたとしても使用するにつれて目詰まりを起こして噴射性が悪くなってしまうことがあった。また、粘度を低くしようとすれば、通常の界面活性剤や高分子を用いた乳化方法(ノニオン乳化、高分子乳化等)では、O/W乳化物の乳化粒子径が大きくなってしまい、クリーミングや乳化粒子の合一が起こりやすく、乳化組成物の安定性が悪い。このため、継続して使用しているとやはり均一に噴霧できなくなるという問題があった。
【0005】
低粘度で経時安定性も良好なO/W乳化組成物として、水中で常温以上でゲルを形成し得る界面活性剤と両親媒性物質とを用い、高圧乳化等の強力な剪断力により乳化粒子径を小さくして、この界面活性剤と両親媒性物質との実質的全量を油滴界面に存在させた組成物が報告されている(例えば、特許文献1〜2等)。上記のような高圧乳化による低粘度O/W組成物は、透明性が高く、水溶液状の物性でありながらクリーム様の使用感を持つという新しいテクスチャーを有することは知られていたが、ディスペンサーやエアゾールとした場合の噴霧性についてはこれまで知られていない。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−271421
【特許文献2】
特開平9−301847
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、噴霧性に優れたディスペンサー型又は圧縮ガスを噴射剤としたエアゾール型の日焼け止め化粧料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために本発明者等が検討を行った結果、紫外線吸収剤を配合し、水中で常温以上でゲルを形成し得る親水性界面活性剤と両親媒性物質とを用い、高圧乳化により乳化粒子径を小さくして、この界面活性剤と両親媒性物質との実質的全量を油滴界面に存在させた低粘度O/W乳化組成物を、ディスペンサー型又は圧縮ガスを噴射剤としたエアゾール型の原液として用いれば、均一な霧状に噴霧でき、また長期にわたって使用した場合でも化粧料を最後まで安定に噴霧できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明にかかる噴霧型日焼け止め化粧料は、紫外線吸収剤、親水性界面活性剤、両親媒性物質、及び水を含有し、平均粒子径が10〜300nmで、且つ粘度が100mPa・s以下であるO/W型乳化組成物を、ディスペンサー型容器、あるいは噴射剤が圧縮ガスであるエアゾール型容器内に充填したことを特徴とする。
本発明において、親水性界面活性剤が、高級脂肪酸石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、モノ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリンから選ばれることが好適である。
【0010】
また、両親媒性物質が高級アルコール及び/又は高級脂肪酸であることが好適である。
また、親水性界面活性剤と両親媒性物質とが水中で常温以上でゲルを形成し得るものであり、前記親水性界面活性剤及び両親媒性物質のO/W界面存在量が、DSCによるピーク面積比で90%以上であることが好適である。
【0011】
また、紫外線吸収剤が、4−(1,1−ジメチルエチル)−4′−メトキシベンゾイルメタン、オクチルメトキシシンナメート、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸メチル、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキソロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、オクチルトリアゾンから選ばれることが好適である。
また、本発明の化粧料において、さらに多価アルコールを含有することが好適である。
また、本発明の化粧料において、エアゾール型であることが好適であり、さらには、噴射剤が窒素ガスであることが好適である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に用いる紫外線吸収剤は、特に限定されず、例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAメチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、
【0013】
オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p− メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等の桂皮酸系紫外線吸収剤、
【0014】
3−(4’−メチルベンジリデン)−d,1−カンファー、3−ベンジリデン−d,1−カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール、2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン、5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。本発明においては、目的とする製品に応じて、水溶性紫外線吸収剤または油溶性紫外線吸収剤の任意の一種または二種以上を用いることができる。
【0015】
好ましい紫外線吸収剤としては、4−(1,1−ジメチルエチル)−4′−メトキシベンゾイルメタン(商品名:パルソール1789)、オクチルメトキシシンナメート(商品名:パルソールMCX)、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル(商品名:サンシェルターSP)パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル(商品名:エスカロール507D)、パラジメチルアミノ安息香酸メチル(商品名:エスカロール506)、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキソロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン(商品名:チノソーブS)、オクチルトリアゾン(商品名:ユビナールT150)であり、溶解性が高く、紫外線吸収効果も高いことから、4−(1,1−ジメチルエチル)−4′−メトキシベンゾイルメタンとオクチルメトキシシンナメートが最も好ましい。
【0016】
紫外線吸収剤の配合量は特に限定されず、目的とする効果に応じて適宜決定すればよい。通常は、日焼け止め化粧料全量に対して、通常0.5〜15質量%、好ましくは4〜10質量%である。0.5質量%未満では、日焼け止め効果に乏しく、15質量%を越える配合量の紫外線防止効果は現実的に必要なく不経済であり、また皮膚への刺激を生じることもある。
なお、本発明には無機性粉体などの紫外線散乱剤を配合しないことが好ましい。紫外線散乱剤を配合すると、これが化粧料中で沈殿したり、ディスペンサーやエアゾール容器で、つまりの原因となることがある。
【0017】
本発明の噴霧型日焼け止め化粧料の原液として用いるO/W組成物には、上記紫外線吸収剤の他に、親水性界面活性剤、両親媒性物質、油分、水を必須成分とする。
前記親水性界面活性剤と両親媒性物質とは、水中で常温以上で会合してゲルを形成することができるものである。このようなゲルを形成する界面活性剤−両親媒性物質の組み合わせとしては、例えば、上記特許文献1〜2や特開平7−25724号公報に例示されているものを挙げることができるが、水中で常温以上で会合してゲルを形成することができるものであれば特に限定されるものではない。なお、乳化安定性の点では、ゲルがα−タイプであることが好適であり、さらにゲルの転移温度が60℃以上であることが好適である。ゲルがα−タイプであることはX線回折で21.4°付近の単一ピークの存在により確認できる。ゲルの転移温度はDSC(示唆走査熱量計)により測定できる。
【0018】
親水性界面活性剤としては、高級脂肪酸石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、モノ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリンが挙げられるが、好ましくは高級脂肪酸石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルであり、このうち、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩が安定性、噴霧性、使用感等の点で非常に優れており、特に好ましい。
【0019】
高級脂肪酸石鹸としては、その高級脂肪酸が、直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12〜22の脂肪酸であるものを用いることができ、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。高級脂肪酸石鹸の対イオンとしては、例えばK、Na等の金属イオンが挙げられる(特許文献1参照)。高級脂肪酸石鹸の炭素鎖長が長い方が、また鎖長の異なるものを組み合わせて用いる方が好ましい。
【0020】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、その脂肪酸が直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12から22のものを用いることができる。好ましくは、ショ糖脂肪酸エステル中のジエステルの純度が50%以上であるが、ジエステル以外のモノエステル及びトリエステルについて、モノ:トリ=1:3〜1:20の範囲にある場合には、ジエステルの純度は35%以上であればよい。このような高純度のジエステルは、市販のショ糖脂肪酸エステル(モノ、ジ、トリ体の混合物)を溶媒分別やカラムクロマトグラフィー等により精製して得ることができる(特開平7−25724参照)。
なお、ショ糖脂肪酸エステルが水相に分散しにくい場合、イオン性界面活性剤を併用すればこれを良好に分散することが可能である。イオン性界面活性剤としては特に限定されず、例えば、特開平7−25724に例示のアニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤を適当量、例えば、ショ糖脂肪酸ジエステルと両親媒性物質の合計量に対し、0.4モル%以上、好ましくは1モル%以上配合すればよい。
【0021】
N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩としては、その長鎖アシル基が、直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12〜22、好ましくは16以上のものを用いることができる。このようなアシル基としては、例えば、ステアロイル、パルミトイル、ミリストイル、ラウロイル、ココイル等が挙げられる。酸性アミノ酸としてはグルタミン酸、アスパラギン酸等が挙げられる。塩としては、ナトリウム、カリウム、トリエタノールアミン等の塩が挙げられる。好ましいものとしては、N−ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ラウロイルグルタミン酸カリウム、N−ミリストイルグルタミン酸ナトリウム、N−ミリストイルグルタミン酸カリウム、N−ステアロイルグルタミン酸ナトリウム、N−ステアロイルグルタミン酸カリウムが挙げられ、中でも、安定性に優れ、使用感触が良好であることから、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ナトリウムが最も好ましい。
【0022】
なお、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩は、その中和率によって、水系での存在形態が遊離型(酸性型)−モノ塩型−ジ塩型のように変化する(特許文献2参照)。モノ塩は、ジ塩に比べて安定性が良好であり、また、組成物の液性も弱酸性となるので好ましい。ジ塩を含有する場合には、モノ塩に対してモル比で0.25倍量以下、特に0.1倍量以下とすることが好適である。また、遊離型のN−長鎖アシル酸性アミノ酸は後述する両親媒性物質として機能することができる。
【0023】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルとしては、例えば、ポリオキシエチレン(POE)C12−22アルキルエーテル、ポリオキシプロピレン(POP)C12−22アルキルエーテル等が挙げられる。そのPOE付加モル数としては、10〜30が好適である。好ましい例として、POE(15)オレイルエーテル等が挙げられる。
【0024】
モノ脂肪酸POEグリセリンとしては、その脂肪酸が、直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12〜22のものであり、HLB値としては8以上のものが好適である。具体例としては、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルが挙げられる。
【0025】
両親媒性物質とは、界面活性を有するが、それ自体は疎水性が強く一般の界面活性剤ほど界面活性を有さないものであり、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、モノグリセリド、グリセロールモノアルキルエーテル、モノアルキルアミン、およびステロール類(コレステロール、フィトステロール等)が挙げられる。また、親水性界面活性剤がN−長鎖アシル酸性アミノ酸塩である場合には、遊離のN−長鎖アシル酸性アミノ酸を両親媒性物質とすることも可能である。これらのうち、好ましい両親媒性物質としては、高級脂肪酸、高級脂肪族アルコール、N−長鎖アシル酸性アミノ酸であり、特に好ましくは高級脂肪族アルコールである。
【0026】
高級脂肪酸、高級脂肪族アルコールは、直鎖状あるいは分岐鎖状の、飽和あるいは不飽和の、炭素数12〜22のものであり、特に炭素数16以上のものが好適である。高級脂肪族アルコールとしては、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の直鎖高級脂肪族アルコール;グリセリルモノステアリルエーテル(バチルアルコール)、グリセリルモノセチルエーテル(キミルアルコール)等の分岐鎖高級脂肪族アルコールが挙げられるが、好ましくは直鎖高級脂肪族アルコールである。
【0027】
高級脂肪酸としては、例えばラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸(ベヘニン酸)、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0028】
油相となる油分としては、特に限定されず、液状油分、固型油分、半固型油分の何れでも良い。また、水に難溶性の物質を油相中に配合することも可能である。油分としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、月見草油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン等の液体油脂、
カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等の固型油脂、
【0029】
ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等のロウ類、
流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素、
【0030】
ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアレン酸イソセチル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジ−2−エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキシル酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキシル酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキシル酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル−2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オイル、セトステアリルアルコール、アセトグリセライド、パルミチン酸−2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソプロピル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セパチン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸−2−ヘキシルデシル、パルミチン酸−2−ヘキシルデシル、アジピン酸−2−ヘキシルデシル、セバチル酸ジイソプロピル、コハク酸−2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、クエン酸トリエチル等の合成エステル等が挙げられる。
【0031】
また、これらの油分に加えて、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、エポキシ変性シリコーン油、エポキシ・ポリエーテル変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルコール変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油等の変性シリコーン油等のシリコーン油、
【0032】
トリメチルシロキシケイ酸等の3次元構造若しくはこれを形成し得るシリコーン樹脂、高重合ジメチルポリシロキサン、高重合メチルフェニルポリシロキサン、高重合メチルビニルポリシロキサン等の高重合メチルポリシロキサン、高重合アミノ変性メチルポリシロキサン等の高重合変性ポリシロキサン等のシリコーン樹脂、
パーフルオロデカリン、パーフルオロヘキサン、トリパーフルオロ−n−ブチルアミン等のパーフルオロカーボンないしパーフルオロポリエーテル、
ビタミンA及びその誘導体、ビタミンD及びその誘導体、ビタミンE及びその誘導体、ビタミンK及びその誘導体等のビタミン類、ステロール類、天然及び合成の香料等を配合することも可能である。
【0033】
本発明において、原液として用いるO/W乳化組成物は、例えば特許文献1〜2に記載の高圧乳化方法に準じて製造できる。すなわち、上記必須成分の混合分散液をホモミキサーよりも強力な剪断力をかけられる乳化機、例えば、マントンゴウリン、フレンチプレス、コロイドミル、マイクロフルイタイザー、超音波乳化機等で、強力な剪断力により処理する。マントンゴウリン、フレンチプレス、マイクロフルイタイザー等の高圧ホモジナイザーを用いる場合には、1,000psi以上、好ましくは3,000psi以上の圧力で乳化し、平均粒子径10〜300nm、粘度100mPa・s以下とする。
このような乳化処理は、系全量を行ってもよいし、場合によっては一部を処理し、その後に水あるいは多価アルコール等の他の配合物により希釈してもよい。また、乳化時の温度は、界面活性剤−両親媒性物質が形成する水系ゲルの転移温度以上で行なうのが望ましい。
【0034】
このような乳化処理により、乳化粒子径を10〜300nmまで微細にし、界面活性剤−両親媒性物質のゲルの実質的全量をO/Wの油滴界面に存在させることにより、100mPa・sという低粘度でも乳化安定性が非常に良好なO/W型日焼け止め化粧料が得られる。そして、これをディスペンサー型あるいは圧縮ガスタイプのエアゾール型とすることで、安全性が高く、噴霧性が良好且つ安定で、最後まで霧状に噴霧できる日焼け止め化粧料とすることができる。なお、親水性界面活性剤及び両親媒性物質の油滴界面又は水相中における存在量はDSC(示差走査熱量計)測定によって確認することができる(特許文献1〜2参照)。本発明においては、親水性界面活性剤及び両親媒性物質のO/W境界面存在量がDSCによるピーク面積比で90%以上であることが好適である。
【0035】
本発明のO/W乳化組成物の平均乳化粒子径は10〜300nmであり、特に100〜200nmが好適である。粒子径が300nmを越えると、クリーミングを生じやすくなる。本発明における平均乳化粒子径は、動的光散乱法により測定されたものであり、具体的にはNICOMP−270(HIAC/ROYCO社製)によって測定したものである。
粘度は、100mPa・s以下とすることが好適である。粘度が高くなると、噴霧性に影響を及ぼすことがある。なお、本発明における粘度とは、単一円筒型回転粘度計を用いて測定される25℃における粘度をいう。なお、粘度の測定にあたっては、上記粘度計の1つである、芝浦システム(株)製「DIGITAL VISMETRON VDA(ローターNo.1)」を使用し、回転数12rpm、60sec.の条件で測定した。
【0036】
親水性界面活性剤および両親媒性物質の配合量は、その境界面存在量がDSCによるピーク面積比で90%以上となるように決定されるが、通常、親水性界面活性剤及び両親媒性物質の合計量は、水相に対して0.2重量%、好ましくは0.5重量%以上である。
親水性界面活性剤と両親媒性物質との配合比についても、本発明の効果を発揮する範囲で適宜調製可能である。例えば、N−長鎖アシル酸性アミノ酸モノ塩:両親媒性物質の場合には、通常モル比で1:1〜1:5、好ましくは1:2〜1:4である。ショ糖脂肪酸ジエステル:両親媒性物質の場合には、通常モル比で1:1〜1:5、好ましくは1:1.5〜1:3である。
油相量は親水性界面活性剤及び両親媒性物質の合計量に対して重量比で1/2倍量、好ましくは当量以上である。油相量が少ないと、安定性が低下する傾向がある。
【0037】
本発明において、さらに多価アルコールを配合した場合には、乳化粒子径が小さくなりやすい。本発明に用いる多価アルコールは、特に限定されないが、例えばグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、糖類およびその誘導体などが挙げられ、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、糖類が好ましく用いられる。多価アルコールの配合量は特に限定されないが、日焼け止め化粧料全量に対して、通常1〜20質量%、好ましくは5〜10質量%配合される。1質量%未満では、多価アルコールの添加効果が十分に発揮されず、20質量%を越えて配合しても配合量に見合った効果の増大が見込めず、かえってべたつきや刺激性などの問題を生じることがある。
【0038】
本発明の日焼け止め化粧料は、ディスペンサー又は噴射剤が圧縮ガスであるエアゾールにより霧状に噴霧して用いられ得る。ディスペンサー又はエアゾール容器は、特に限定されず、通常用いられているものを使用することができる。
本発明に噴射剤として用いられる圧縮ガスとは、窒素ガス、炭酸ガス、笑気ガスなど常温、低圧下では液化しないガスである。中でも、水への溶解性が低いことから、窒素ガスが好ましい。
【0039】
本発明の日焼け止め化粧料には、上記必須成分の他に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて、通常化粧料に配合される他の成分を配合することができる。
具体的には、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン、1,3−ブチレングリコール,エリスリトール,ソルビトール,キシリトール,マルチトール等の保湿剤;セルロース,ヒドロキシエチルセルロース,ヒドロキシプロピルセルロース,メチルヒドロキシプロピルセルロース,メチルセルロース,カルボキシメチルセルロース,クインスシード,カラギーナン,ペクチン,マンナン,カードラン,コンドロイチン硫酸,デンプン,ガラクタン,デルマタン硫酸,グリコーゲン,アラビアガム,ヘパラン硫酸,ヒアルロン酸,ヒアルロン酸ナトリウム,トラガントガム,ケラタン硫酸,コンドロイチン,キサンタンガム,ムコイチン硫酸,ヒドロキシエチルグアガム,カルボキシメチルグアガム,グアガム,デキストラン,ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン,カルボキシメチルキチン,寒天等の増粘剤、
【0040】
エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン,トコフェロール,フィチン等の酸化防止剤;安息香酸,サリチル酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸アルキルエステル,ヘキサクロロフェン等の抗菌剤;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸,リンゴ酸,酒石酸,乳酸等の有機酸;ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2及びその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸,アスコルビン酸硫酸エステル(塩),アスコルビン酸リン酸エステル(塩),アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,δ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、トラネキサム酸、アルブチン、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤、
【0041】
ギシギシ,クララ,コウホネ,オレンジ,セージ,ノコギリソウ,ゼニアオイ,センブリ,タイム,トウキ,トウヒ,バーチ,スギナ,ヘチマ,マロニエ,ユキノシタ,アルニカ,ユリ,ヨモギ,シャクヤク,アロエ,クチナシ,サワラ等の植物の抽出物、色素、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、中和剤、酸化防止剤、保湿剤、防腐剤、香料、顔料、薬剤等が配合可能である。
【0042】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。まず、本発明で用いた試験方法について、説明する。
<粒子径測定方法>
エマルションの平均粒子径の測定は、平均粒子径が1μm以上の場合は顕微鏡観察により行った。平均粒子径が1μm以下の場合は動的光散乱法により測定されたものであり、具体的にはNICOMP−270(HIAC/ROYCO社製)によって測定した。
【0043】
<粘度測定方法>
芝浦システム(株)製「DIGITAL VISMETRON VDA(ローターNo.1)」を使用し、回転数12rpm、60sec.の条件で測定した。
<使用性評価>
20名の女性パネルの前腕に、試験品(原液)を1.2mg/cm塗布し、使用感触(べたつきのなさ、さっぱり感)の使用性試験を行ない、下記の通り評価した。
◎ :17名以上が良いと回答
○ :12名〜16名が良いと回答
△ :9名〜11名が良いと回答
× :5名〜8名が良いと回答
××:4名以下が良いと回答
【0044】
<安定性評価>
試料(原液)をそれぞれ0℃、室温、37℃、50℃において4週間保存した後、状態を目視および乳化粒子径を測定することにより安定性の評価を行った。
◎:良好
○:若干の乳化粒子の合一が認められるものの、外観に問題ない
△:乳化粒子の合一が認められ、若干の油浮きも観察される
×:乳化粒子の合一が認められ、油相が分離する
【0045】
<紫外線防止効果試験>
試料(原液)の紫外線防止効果を、特開平7−167781号記載のin vitro
SPF測定システムを用いて測定した。
<噴霧性評価>
試料(原液)をそれぞれ噴霧式ディスペンサー容器、またはエアゾール容器(噴射剤=窒素ガス)に充填し、その吐出状態を目視により観察することで、噴霧パターンの確認を行った(製造直後)。また、エアゾール試料を50℃において4週間保存した後の噴霧パターンについても観察した。
◎:良好
○:吐出状態に若干のムラが認められるものの、問題ない
×:明らかにムラがあり、霧状に吐出されない
【0046】
試験例1 乳化方法
下記表1の処方でO/W乳化組成物を調製し、これを試料(原液)としてエアゾール容器に充填し、エアゾールバルブ装着の直前または取り付け後に窒素ガスを充填し、エアゾール密閉製品とした。
【0047】
【表1】
Figure 2004224706
Figure 2004224706
*商品名:アミソフトHS−11P(F)、味の素(株)製。
【0048】
(原液調製方法)
実施例1:油相部を70〜80℃で攪拌溶解後、水相部1を70℃で加熱溶解したものに攪拌しながら添加し、乳化した。この乳液を7,000psiの圧力下、70〜80℃において高圧ホモジナイザーを用いて乳化した後、水相部2を添加、混合して冷却し、得られたO/W組成物を原液試料とした。
比較例1〜3:油相部を70〜80℃で攪拌溶解後、水相部にホモミキサー処理(9,000rpm)を行いながら添加して乳化後、脱気・冷却して得られたO/W組成物を原液試料とした。
【0049】
比較例1〜2はノニオン乳化、比較例3は高分子乳化によって調製された通常のO/W乳化組成物を原液とした場合である。比較例1では粘度は低いものの乳化安定性が非常に悪く、乳化安定性改善のためにこれに水溶性高分子(カルボキシビニルポリマー等)を添加した比較例2では、粘度が高く噴霧性が悪かった。比較例3においても、乳化安定性は良好であるもののやはり粘度が高いため、噴霧性が悪かった。
これに対し、実施例1は水中でゲルを形成することが知られているN−ステアロイルグルタミン酸ナトリウム(親水性界面活性剤)−ステアリルアルコール(両親媒性物質)を用い、高圧乳化(7,000psi)により調製したO/W乳化組成物(平均粒子径0.1μm、粘度5mPa・s)を原液とした場合である。
実施例1の原液は乳化粒子径ならびに粘度が小さいにもかかわらず、乳化安定性が非常に高く、エアゾール容器あるいは噴霧式ディスペンサー容器から均一に噴霧することができた。また、50℃4週間保存後も噴霧性の劣化が認められなかった。また、使用感においても、べたつきがなく、さっぱりとした良好な使用感を有していた。
【0050】
試験例2 乳化粒子径、粘度
前記実施例1の処方で、高圧乳化時の圧力(剪断力)を変えて乳化を行い、乳化粒子径、粘度の異なるO/W乳化組成物を調製した。これを原液として試験を行った結果を表2に示す。
表2より、良好な噴霧性を得るためには、平均乳化粒子径0.3μm以下、粘度が100mPa・s以下であることが好適であることが理解される。
【0051】
【表2】
Figure 2004224706
【0052】
試験例3 界面活性剤及び両親媒性物質
ゲルを形成し得る種々の界面活性剤−両親媒性物質の組み合わせについても検討した。具体的には、下記表3の処方で実施例1の製法に準じてO/W組成物を調製し、これを原液として用いた。
【0053】
【表3】
Figure 2004224706
Figure 2004224706
【0054】
実施例3はPOE(60)硬化ヒマシ油(界面活性剤)−ステアリルアルコール(両親媒性物質)、実施例4は長鎖脂肪酸カリウム石鹸(界面活性剤)−ステアリルアルコール(両親媒性物質)、実施例5はPOEアルキルエーテル(界面活性剤)−ステアリルアルコール(両親媒性物質)の組み合わせをそれぞれ用いて、実施例1と同様の方法で高圧乳化法により調製したO/W組成物を原液としたものである。
実施例4〜5の何れも乳化安定性、噴霧性共に良好であった。実施例3は高温保存で若干噴霧性にムラを生じることはあったものの、著しい劣化ではなく、大きな問題はなかった。
なお、実施例3〜5の場合には、実施例1のように界面活性剤として長鎖アシル酸性アミノ酸塩を用いた場合に比べてべたつきのなさ、さっぱり感において劣る傾向があった。
【0055】
試験例4 紫外線吸収剤
表4は、実施例1の紫外線吸収剤(オクチルメトキシシンナメート)の配合量を変えて検討を行った結果である(増減は2−エチルヘキサン酸エチルで調整)。表4から、紫外線吸収剤量の増加に伴いSPF値が増大するが、10%を越えてもSPF値はそれほど増大せず、かえって使用感等を損なう傾向があることが理解される。
【0056】
【表4】
Figure 2004224706
【0057】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外線吸収剤、親水性界面活性剤、両親媒性物質、及び水を含有し、平均粒子径が10〜300nmで、且つ粘度が100mPa・s以下であるO/W型乳化組成物を、ディスペンサー型、あるいは噴射剤が圧縮ガスであるエアゾール型化粧料の原液として用いることにより、噴射性に優れる日焼け止め化粧料を得ることができる。親水性界面活性剤と両親媒性物質は水中でゲルを形成し得るものであり、本発明の原液となるO/W組成物は、親水性界面活性剤と両親媒性物質の実質的全量が微細な油滴界面に存在した低粘度O/W組成物であり、長期間の使用においても、最後まで安定して均一に霧状に噴霧することができる。

Claims (8)

  1. 紫外線吸収剤、親水性界面活性剤、両親媒性物質、及び水を含有し、平均粒子径が10〜300nmで、且つ粘度が100mPa・s以下であるO/W型乳化組成物を、ディスペンサー型容器、あるいは噴射剤が圧縮ガスであるエアゾール型容器内に充填したことを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  2. 請求項1記載の化粧料において、親水性界面活性剤が、高級脂肪酸石鹸、ショ糖脂肪酸エステル、N−長鎖アシル酸性アミノ酸塩、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、モノ脂肪酸ポリオキシエチレングリセリンから選ばれることを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  3. 請求項1又は2記載の化粧料において、両親媒性物質が高級アルコール及び/又は高級脂肪酸であることを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の化粧料において、親水性界面活性剤と両親媒性物質とが水中で常温以上でゲルを形成し得るものであり、前記親水性界面活性剤及び両親媒性物質のO/W界面存在量が、DSCによるピーク面積比で90%以上であることを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の化粧料において、紫外線吸収剤が、4−(1,1−ジメチルエチル)−4′−メトキシベンゾイルメタン、オクチルメトキシシンナメート、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸メチル、2,4−ビス−[{4−(2−エチルヘキソロキシ)−2−ヒドロキシ}−フェニル]−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、オクチルトリアゾンから選ばれることを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の化粧料において、さらに多価アルコールを含有することを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載の化粧料において、エアゾール型であることを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
  8. 請求項7記載の化粧料において、噴射剤が窒素ガスであることを特徴とする噴霧型日焼け止め化粧料。
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