JP2010059076A - 水中油型乳化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】乳化安定性に優れ、べたつき感が少なく、ヨレやきしみのない水中油型乳化組成物を提供する。
【解決手段】下記(a)〜(d)を含むことを特徴とする水中油型乳化組成物。
(a)粉末成分を1〜3.5質量%
(b)油相成分
(c)水溶性増粘剤を含む水相成分
(d)HLB8以下の親油性界面活性剤を0.01〜0.5質量%
【選択図】なし

Description

本発明は水中油型乳化組成物、特にその乳化安定性の向上に関する。
化粧品等に用いられる水中油型エマルションは、添加されている界面活性剤の乳化作用により、水性成分と油性成分を安定的に混合せしめている。
一方、近年安全性をより重視する消費者が増加するに伴い、ごく過敏な使用者によってはまれに刺激性を感じる恐れのある界面活性剤すら含有しない、もしくはそのような刺激を与えない含有量とした水中油型エマルションの要求がますます高くなっている。
界面活性剤を用いず、粉末を界面に吸着させることによって調製するエマルションは、ピッカリングエマルションとして従来知られている。ピッカリングエマルションの調製に関しては、これまで数多くの研究成果が報告されており(例えば非特許文献1)、香粧品の分野においてもその活用が提案されてきた(特許文献1、2)。
また近年、特定のカチオン性界面活性剤と、多価アルコールと粉末を組み合わせて用いることにより、セラミド等の両親媒性資質を含む油相を乳化して安定な水中油型乳化組成物が得られている(特許文献3参照)。
特許第2656226号公報 特表2001−518111号公報 特開2006−36763号公報 B. Binks et. Al, Advances in Colloid and Interface Science 100-102(2003)
しかしながら、エマルションを香粧品に適用する場合に必須とされる、種々の環境での温度や攪拌に対する安定性を満たしうる水中油型ピッカリングエマルションを調製することは非常に困難であった。
また特許文献3については、両親媒性物質が必須となっており、界面活性剤と液晶構造(αゲル)を形成することにより、系の安定を図っているが、使用性的にべたつく傾向がある。ピッカリングエマルションを得る目的で、微量に両親媒性物質を配合する技術についてはこれまでに報告されているものの(例えば、Mukul M, Sharma et al, Journal of Colloid and Interface Science 157, 244-253, (1993))、香粧品として十分な安定性を満たすものを得ることは困難であり、また両親媒性物質による製剤のべたつき感などの新たな使用感触上の問題も生じる。
また、例えば、上記のような水中油型ピッカリングエマルションの場合、通常時には粉体が界面に吸着し、エマルション中に乳化粒子を安定的に分散させているものの、輸送時等にエマルションが攪拌されると、乳化粒子同士が衝突すると共に一時的に変形し、粉体の吸着していない界面が現れる。その際、露になった界面同士が合一し、凝集を起こしてしまうことがあった。したがって、従来の水中油型ピッカリングエマルションは、乳化安定性の面で化粧品等の製品として十分に使用に耐えうるとは云い難い。
上記問題を解決する手段として、外相を増粘剤により増粘して衝突回数を低減し、また、粉体の配合を増量して乳化粒子の変形に耐えうる界面とすることが考えられる。
しかしながら、増粘剤を増量すると、例えば化粧品として適用する際、製剤にヨレが生じてしまうことがあった。また、粉体の増量によってきしみも著しくなり、乳化安定性を得る一方で製品としての使用性が失われてしまうというジレンマが起こる。
本発明は上記事情に鑑みて行われたものであり、乳化安定性に優れ、べたつき感が少なく、ヨレやきしみのない水中油型乳化組成物を提供することを目的とする。
前記目的を達成するために本発明者らは鋭意研究を行った結果、表面に粉末を吸着させることによって水相中に油滴を分散させるピッカリングエマルションの外相(水相)を増粘剤で増粘し、内相(油相)へ特定の親油性界面活性剤を作用させることにより、優れた乳化安定性を有し、べたつき感がなく、しかも低刺激性の水中油型乳化組成物が得られることを見出した。
さらに、前記親油性界面活性剤の添加により、低刺激性を維持したまま、増粘剤によるよれや粉末によるきしみを解消することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明にかかる水中油型乳化組成物は、(a)粉末成分を1〜3.5質量、(b)油相成分、(c)水溶性増粘剤を含む水相成分、(d)HLB8以下の親油性界面活性剤を0.01〜0.5質量%、を含有し、水相に分散した油滴上に(a)の粉末粒子が吸着してなることを特徴とする。
また、前記水中油型乳化組成物において、(d)親油性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含むことが好適である。
Figure 2010059076
(式中、m+2はポリグリセリンの平均重合度を表し、1≦m≦4である。Rは炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1≦n×m≦200である。)
また、前記水中油型乳化組成物において、さらに、(e)炭素鎖が12以上、22以下であるアルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤0.001〜0.5質量%、を含有し、前記カチオン性界面活性剤が、(a)の粉末粒子に吸着していることが好適である。
また、前記水中油型乳化組成物において、親水性界面活性剤を実質的に含有しないことが好適である。
また、前記水中油型乳化組成物の製造方法は、下記(A)及び(B)工程を含むことを特徴とする。
(A)粉末成分と、炭素鎖が12以上、22以下であるアルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤とを水相成分中に分散する工程、
(B)(A)工程後、前記分散物と、油相成分及びHLB8以下の親油性界面活性剤の混合物とを混合する工程。
また、本発明者らは、前記水中油型乳化組成物を基材として適用することにより、該組成物による優れた乳化安定性及び使用性に加え、高い紫外線防御効果及び耐水性を備えた日焼け止め化粧料が得られることを見出した。
すなわち、本発明にかかる日焼け止め化粧料は、前記水中油型乳化組成物と、紫外線防御剤とを含むことを特徴とする。
前記化粧料において、さらに、油相中に疎水化処理粉体を含むことが好適である。
また、前記化粧料において、親水性界面活性剤を実質的に含有しないことが好適である。
本発明によれば、極めて優れた乳化安定性を有する水中油型乳化組成物を得ることができる。また、同組成物はべたつき感をはじめ、よれやきしみがない等、使用性に優れたものであり、紫外線防御剤とともに化粧料へ配合すれば、さらに紫外線防御能や耐水性の高い日焼け止め化粧料を得ることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明にかかる水中油型乳化組成物について説明する。
本発明の水中油型乳化組成物は、(a)粉末成分、(b)油相成分、(c)水溶性増粘剤を含む水相成分、(d)HLB8以下の親油性界面活性剤を含むものである。
まず、それぞれの成分について説明する。
(a)粉末成分
本発明の水中油型乳化組成物に含まれる粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー等)、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、チタン酸鉄等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール系顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられ、単独で用いることも2種以上を配合することもできる。また、粉末に金属酸化物等を被覆させて得られる複合粉体や、粉末表面を化合物等で処理した改質粉体を用いてもよい。
本発明においては、シリカ、二酸化チタン、酸化亜鉛又はこれらを含む複合粉末を用いることが好適であり、特にシリカ被覆酸化亜鉛、シリカ被覆酸化チタンが肌なじみや使用性、紫外線遮蔽効果付与、乳化安定性の観点から好ましい。
粉体の粒径には特に規定はないが、香粧品へ配合する際の扱い易さや、乳化安定性の観点からいえば、粒子径が1〜200nmであるものが好ましい。
本発明の水中油型エマルションにおける粉末成分の配合量としては、水中油型乳化組成物全量に対し1〜3.5質量%であることが好適である。配合量が1質量%未満であると乳化が十分に進まないことがあり、また、粉末成分の配合量が増加するに伴いきしみが生じることがある。この点において、本発明では特定の親油性界面活性剤を併用することにより、きしみを抑え、且つ少量の粉末の配合で十分な乳化安定性を得ることができる。
(b)油相成分
本発明の水中油型乳化組成物に含まれる油相成分としては、次のようなものが挙げられる。
液体油脂として、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分岐鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
(c)水相成分
本発明においては、水相成分として、水の他、低級アルコール、多価アルコールが含まれる。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-へキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解等還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール、POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
また、本発明にかかる水中油型乳化組成物においては、経時による乳化油滴の沈降、クリーミングに対する安定性、さらには粉体の凝集に対する安定性を付与するため、耐塩性をもつ増粘剤、特にサクシノグリカン、キサンタンガムまたはアクリルアミドを水相へ配合することが特に好適である。通常の増粘剤を使用する場合には、疎水化処理粉体から水相へ、経時的に徐々に溶出する塩が増粘剤に作用し、粘度を低下させることがあるが、サクシノグリカン等の耐塩性に優れた増粘剤を使用する場合には、溶出塩による影響を受けず、長期にわたり乳化粒子の沈降を防ぐことができる。
特に、前記増粘剤の配合してエマルション外相を増粘すると、外相に分散した乳化油滴同士の衝突による凝集や合一を低減することができ、組成物に高い乳化安定性を付与することができる。
前記増粘剤の好適な配合量は、組成物の使用形態等により適宜調節することができるが、乳化組成物全量に対し0.001〜1質量%の配合が好適であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%、更に好ましくは0.01〜0.1質量%である。
(d)親油性界面活性剤
HLB8以下の親油性界面活性剤としては、例えば、POE(5〜10モル)デシルテトラデシルエーテル、POE(2〜10モル)オレイルエーテル、POE(2〜8モル)ステアリルエーテル、POE(2〜10モル)グリセリルモノイソステアレート、POE(2〜10モル)グリセリルモノステアレート等のエチレンオキサイド付加型界面活性剤や、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキステアレート、ソルビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソルビタントリオレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリルモノステアレート、グリセリルモノオレート等のグリセリン脂肪酸エステル類、ジグリセリルジステアレート、ジグリセリルジイソステアレート、テトラグリセリルモノステアレート、テトラグリセリルモノオレート、デカグリセリルトリステアレート、デカグリセリルトリオレート、デカグリセリルペンタステアレート、デカグリセリルペンタオレート等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類が挙げられる。
本発明においては、親油性界面活性剤として特に下記一般式(1)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2010059076
上記式中、m+2はポリグリセリンの平均重合度を表し、1≦m≦4である。Rは炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1≦n×m≦200である。
上記一般式(1)で示される親油性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(28モル)メチルトリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(42モル)メチルトリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(56モル)メチルトリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(28モル)トリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(42モル)トリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(50モル)トリグリセリルエーテル、ポリオキシブチレン(56モル)トリグリセリルエーテル等が挙げられ、特にポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテルの使用が好適である。
前記親油性界面活性剤を油相中に配合することにより、本乳化組成物の油相/水相における界面張力が低下し、乳化油滴が衝突・変形した際に油滴の合一ないし凝集が起こりにくくなる。その結果、組成物の乳化安定性が向上すると考えられる。また、増粘剤の配合により生じる組成物使用時のよれや、粉末成分の配合により生じるきしみ感を抑え、使用性に優れた乳化組成物を製造することができる。
前記親油性界面活性剤の配合量は、組成物に対し0.01〜0.5質量%であることが好適である。より好ましくは、0.01〜0.25質量%、さらに好ましくは0.01〜0.1質量%である。
本発明の水中油型乳化組成物は、上記した成分を含み、粉末成分により油相を水相中へ分散させたエマルション、いわゆるピッカリングエマルションを形成するものである。
本発明の水中油型乳化組成物は従来の粉末による乳化方法に準じて製造することができる。例えば、水の一部に粉末成分をホモミキサーないし超音波処理により分散し、残部の水および水相成分を添加・混合し、これを親油性界面活性剤を添加した油相成分と合わせ、乳化機等で乳化して得ることができる。
さらに、本発明にかかる水中油型乳化組成物には、上記成分に加え、次のカチオン性界面活性剤を配合することが好適である。
(e)カチオン性界面活性剤
本発明に使用するカチオン性界面活性剤としては、特にアルキル鎖を2つ有する2鎖型カチオン性界面活性剤が好ましい。
前記2鎖型カチオン性界面活性剤のアルキル鎖は直鎖でも分岐でもよく、また、同一でなくてもかまわない。このような2鎖型カチオン性界面活性剤としては、例えば、塩化ジメチルジラウリルアンモニウム、塩化ジエチルジラウリルアンモニウム、塩化ジプロピルジラウリルアンモニウム、塩化ジメチルジパルミチルアンモニウム、塩化ジエチルジパルミチルアンモニウム、塩化ジプロピルジパルミチルアンモニウム、塩化ジメチルジセチルアンモニウム、塩化ジエチルジセチルアンモニウム、塩化ジプロピルジセチルアンモニウム、塩化ジメチルジステアリルアンモニウム、塩化ジエチルジステアリルアンモニウム、塩化ジプロピルジステアリルアンモニウム、塩化ジメチルジベヘニルアンモニウム、塩化ジエチルジベヘニルアンモニウム、塩化ジプロピルジベヘニルアンモニウム、ジステアロイルエチルジモニウムクロリド、ジパルミトイエチルジモニウムクロリド、ジステアロイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、ジパルミトイルエチルヒドロキシエチルモニウムメトサルフェート、等があげられる。
前記2鎖型カチオン性界面活性剤のアルキル基の鎖の長さは、12〜22であることが好適である。鎖長が12未満であると、乳化力、乳化安定性に問題が生じ、また22を超えると、べたつき感が増して使用性上に問題が生じることがある。前記アルキル鎖長として、より好ましくは16〜20であり、このような2鎖型カチオン性界面活性剤として本発明に特に適した化合物は、塩化ジメチルジアルキルアンモニウムである。
本発明の水中油型乳化組成物に対する2鎖型カチオン性界面活性剤の配合量は、0.001〜0.5質量%であり、好ましくは0.001〜0.1質量%である。2鎖型カチオン性界面活性剤の配合量が多すぎると、組成物がαゲルを形成してべたつきが生じ、使用感触が低下する傾向にある。
なお、前記2鎖型カチオン性界面活性剤は、本発明にかかる水中油型乳化組成物の製造において、次のように適用することができる。
まず、粉末成分と、炭素鎖が12以上、22以下であるアルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤とを、水中に分散させる。
具体的には、例えば、粉末成分とカチオン性界面活性剤を水に添加し、これをホモミキサーないしは超音波処理等を用いて均一な水中分散物とする。または、粉末成分とカチオン性界面活性剤を、それぞれ別々に水の一部へ分散させ、その後これらの分散物を混合してもよい。
また、この工程において、その他の水相成分を添加・混合することもできる。
本発明に配合可能な炭素鎖が12以上、22以下であるアルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤は、水中において広い濃度及び温度範囲で、親油基が会合したラメラ液晶構造を形成する。例えば、塩化ジメチルジアルキルアンモニウムは、水との二成分系において、低濃度で図1に示すような液晶構造をとることが知られている。本発明では、特に、前記カチオン性界面活性剤が、図1中の水/液晶の安定分散相(water/liquid crystal stable dispersion)に相当する状態、すなわち、カチオン性界面活性剤の小さなラメラ構造が水中に分散している状態であることが望ましい。
前記のようなラメラ液晶状態のカチオン性界面活性剤は、粉末成分と同じ水系中に分散させると、正に帯電する液晶の親水基が、通常負に帯電する粉末粒子表面に吸着する。これを適当な処理で分散することで、液晶状態の界面活性剤を表面に無数に付着させた粉末粒子の分散物が生成されると考えられる。
図2は、塩化ジメチルジステアリルアンモニウムの配合量を変え、シリカ被覆酸化チタン:3重量%、油分:47重量%、水:残余とした水中油型乳化組成物の製造において、塩化ジメチルジステアリルアンモニウムと共に水中に分散したシリカ被覆酸化チタン粉末のζ電位を測定した結果である。図2が示すように、カチオン性界面活性剤濃度が上昇するに伴い、粉末の表面電位を表すζ電位が正方向へシフトすることから、カチオン基を有する塩化ジメチルジステアリルアンモニウムが粉末表面へ吸着されていることが推察される。図2から明らかなように、粉末に対するカチオン性界面活性剤の配合は、高くするほど吸着量は増加するが、配合量が高すぎると乳化時に油中水型に転相してしまうことがある。したがって、本発明において、粉末成分に対する特定カチオン性界面活性剤の配合比は、他の処方成分にもよるが、5:0.001〜5:1程度とすることが好ましい。
上記工程後、カチオン性界面活性剤を吸着した粉末粒子の分散物へ、親油性界面活性剤を加えた油相成分を添加し、乳化機等で乳化することにより、本発明にかかる水中油型乳化組成物を得ることができる。油相成分の添加は、必要により加熱下で行ってもよく、油相成分の状態により予め破砕等の処理を施しておくこともできる。
すなわち、本発明は、油相を特定カチオン性界面活性剤を吸着した微粒子によって水相へ均一に分散するO/P/W型乳化物であるといえる。
ここで、添加された油分は、粉末に吸着したラメラ液晶の親油基の会合部分に入り込み、水相との界面に粉末粒子を吸着した油滴を形成すると考えられる。その際、特定のカチオン性界面活性剤の作用により粉末の油滴への吸着が補強され、粉末の吸着力のみで油滴を分散する従来のO/P/W型乳化物よりも、乳化安定性に優れた組成物を得ることができると推察される。
以上のことから、本発明の乳化組成物は、水相に分散した油滴上に粉末粒子が吸着し、さらに前記粉末粒子にカチオン性界面活性剤が吸着した構造を形成していると考えられる。
なお、本発明にかかる水中油型乳化組成物の製造方法では、上記したように、水相と油相の乳化を行う前に、粉末に液晶状態の特定カチオン性界面活性剤を吸着させておくことが好適である。乳化時または乳化後に前記カチオン性界面活性剤を加えても、乳化状態及び乳化安定性の十分な向上は得られない。
なお、本発明の水中油型乳化組成物には、刺激性低減の観点から、実質的に親水性界面活性剤を含まないことが望ましい。また、親水性の高い界面活性剤を配合しないことで、耐水性に優れた組成物とすることができる。
さらに、本発明の水中油型乳化組成物には、上記成分の他、その効果を損なわない範囲において、通常化粧料や医薬部外品に用いられる成分を適宜配合することができる。配合可能な成分には制限はないが、例えば保湿剤、単糖、オリゴ糖、有機アミン、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等)、美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン、トラネキサム酸、4−メトキシサリチル酸カリウム等)、各種抽出物(例えば、ショウガ、オウバク、オウレン、シコン、バーチ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、ボタン、海藻等)、賦活剤(例えば、パンテニールエチルエーテル、ニコチン酸アミド、ビオチン、パントテン酸、ローヤルゼリー、コレステロール誘導体等)、抗脂漏剤(例えば、ピリドキシン類、チアントール等)、香料、色素等が挙げられる。
保湿剤としては、前記多価アルコールのほか、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル−12−ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl−ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D−グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D−エリトロース、D−エリトルロース、D−トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L−アラビノース、D−キシロース、L−リキソース、D−アラビノース、D−リボース、D−リブロース、D−キシルロース、L−キシルロース等);六炭糖(例えば、D−グルコース、D−タロース、D−プシコース、D−ガラクトース、D−フルクトース、L−ガラクトース、L−マンノース、D−タガトース等;七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2−デオキシ−D−リボース、6−デオキシ−L−ガラクトース、6−デオキシ−L−マンノース等);アミノ糖(例えば、D−グルコサミン、D−ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D−グルクロン酸、D−マンヌロン酸、L−グルロン酸、D−ガラクツロン酸、L−イズロン酸等)等が挙げられる。
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α−トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム)、アシルグルタミン酸塩、アシルβ−アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール等が挙げられる。
本発明に適用し得る紫外線防御剤としては、有機化合物である紫外線吸収剤として、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルさリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロへキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−4’−メチルベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸塩、4−フェニルベンゾフェノン、2−エチルヘキシル−4’−フェニル−ベンゾフェノン−2−カルボキシレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、4−ヒドロキシ−3−カルボキシベンゾフェノン等);3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン等が挙げられる。
無機化合物である紫外線吸収剤としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化セリウム、又はこれらを含む複合粉末等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
本発明にかかる水中油型乳化組成物の剤形に特に規定はなく、ローション状、乳液状、クリーム状、ジェル状等、処方成分や使用目的等によって適宜決定すればよい。
本発明にかかる水中油型乳化組成物は、一般的な化粧品、医薬品及び医薬部外品等に適宜配合し、使用することができる。
特に、本発明の水中油型乳化組成物を紫外線防御剤とともに化粧料基材として配合することにより、機能性に優れた日焼け止め化粧料を製造することができる。
一般に、日焼け止めの化粧料には、油剤である有機紫外線防御剤及び/または粉末状の無機紫外線防御剤が基剤へ配合される。これらの紫外線防御剤を多量に配合する観点から、基剤として油中水型乳化組成物が汎用されているが、このような構成の化粧料は不快な油性感を有し、粉末感も強いため良好な使用感触が得られないことがある。
一方、基材として水中油型乳化組成物を適用すると、該組成物の特性から、みずみずしさ、さっぱり感をもつ化粧料が得られるが、上記した紫外線防御剤を十分に配合し、且つ乳化安定性を維持することは困難であった。また、従来の水中油型の日焼け止め化粧料は、油中水型のものに比べ耐水性に劣り、汗や皮脂により落ち易い点も問題とされていた。
そこで、本発明者らは、本発明にかかる水中油型乳化組成物の性質をさらに検討し、該組成物を基材とすることで、乳化安定性及び耐水性に優れ、きしみ感の少ない日焼け止め化粧料が得られることを見出した。
本発明にかかる日焼け止め化粧料に使用し得る紫外線防御剤及び酸化防止助剤は、前述のとおりである。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
本発明の日焼け止め化粧料においては、上記紫外線防御剤を1種又は2種以上組み合わせて配合することができる。配合量に特に制限はないが、化粧料全量に対して0.1〜20質量%程度が好ましい。
本発明の日焼け止め化粧料は、上記成分を用い、上記した本発明の水中油型乳化化粧料の製造に準じて製造することができる。例えば、水の一部に粉末及びカチオン性界面活性剤を加熱下で混合し、残部の水および水相成分を添加・混合した後、紫外線吸収剤を混合した油相成分を添加・混合することにより製造することができる。
また、本発明にかかる日焼け止め化粧料には、紫外線防御効果をさらに向上させるため、特に疎水化処理粉体を油相中に配合することが好適である。
疎水化処理粉体としては、例えば、無機粉体粒子の表面を例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン等のシリコーン類、デキストリン脂肪酸エステル、高級脂肪酸、高級アルコール、脂肪酸エステル、金属石鹸、アルキルリン酸エーテル、フッ素化合物、またはスクワラン、パラフィン等の炭化水素類を、溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等により疎水化処理したもの、あるいは無機粉体粒子をシリカで被覆した後、アルキル変性したシランカップリング剤等によって疎水化処理を施したものなどが挙げられる。
前記疎水化処理を行う無機粉体粒子としては、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、雲母チタン、黒酸化鉄、黄酸化鉄、ベンガラ、群青、紺青、酸化クロム、水酸化クロム等が挙げられる。本発明においては、特に、疎水化処理微粒子二酸化チタン及び/または疎水化処理微粒子酸化亜鉛を含むことが好適である。
本発明においては、特に、無機粉体粒子をオクチルトリエトキシシラン等で処理したシランカップリング剤処理粉体(OTSTM等)をカチオン性界面活性剤で処理した疎水化処理粉体の適用が好ましい。
前記疎水化処理粉体の粒子径は、油相である乳化粒子よりも小さいことが好適である。特に、前記疎水化処理粉体を紫外線散乱剤として使用する場合には、湿式分散機で破砕後の粉体の平均粒子径が100nm以下のものが好ましい。
また、前記疎水化処理粉体の配合量は、化粧料に対し0.1〜20質量%であることが好適である。疎水化処理粉体を20質量%を超えて配合すると、油相中に均一に分散しきれず、組成物の乳化安定性を低下させてしまうことがある。
本発明にかかる化粧料の基材となる水中油型乳化組成物は、前述のように、油相と水相とを粉末を介して乳化せしめるピッカリングエマルションを形成するものである。したがって、例えば、乳化にかかる粉末として酸化チタン等の金属酸化物を用いることで、該粉末による紫外線防御効果を化粧料に付与することができる。これに加え、油相中に上記疎水化処理粉体を配合することで、化粧料の紫外線防御効果はさらに向上する。
また、本発明にかかる化粧料においては、親水性界面活性剤を実質的に含有しないことが好ましい。本発明の場合、粉末成分により油相及び水相の混合を達成するため、通常の水中油型エマルションの製造に使用されるような親水性の界面活性剤を特に配合する必要はない。親水性界面活性剤を配合した化粧料は、該活性剤の特性ゆえに耐水性が不十分となる傾向にあるため、親水性界面活性剤の配合を抑えることにより、化粧料に高い耐水性が維持される他、刺激性を低減することもできる。
本発明の日焼け止め化粧料には、上記成分のほか、一般的に化粧品へ配合される成分を適宜配合することができ、サンプロテクターないしサンスクリーン等いずれの日焼け止め化粧料の形態もとり得る。
また、本発明にかかる化粧料の剤形に制限はなく、ローション状、乳液状、クリーム状、ジェル状等、処方成分や使用目的等によって適宜決定すればよい。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきものではない。なお本実施例中、配合量を示す「質量%」または「%」は、特に断らない限り組成物全量に対する質量%を意味する。
<水中油型乳化組成物の構成成分>
下記表1に示す配合組成の水中油型乳化組成物を調製し、以下に記載する方法により評価を行った。
評価(1):乳化安定性
(回転試験)
円筒形の容器に試料を半量充填し、室温にて45rpmで4時間回転運動を与え、試料の状態変化について観察した。
(乳化粒子の凝集)
○:乳化粒子は均一で、合一や凝集は認められなかった。
△:乳化粒子はほぼ均一であるが、若干の合一や凝集が認められた。
×:乳化粒子は均一でなく、著しい合一や凝集が認められた。
(油浮き)
○:乳化状態は均一で、油分の分離は認められなかった。
△:若干の油分の分離が認められた。
×:油分が完全に分離した。
評価(2):皮膚刺激試験
10名のパネルの上腕内側部に24時間の閉塞パッチを行ない、その後以下の基準により平均値を算出した。
0…全く異常が認められない。
1…わずかに赤みが認められる。
2…赤みが認められる。
3…赤みと丘疹が認められる。
「皮膚刺激試験」の評価基準は以下の通りである。
◎:パネル10名の平均値が0以上0.15未満
○:パネル10名の平均値が0.15以上0.2未満
△:パネル10名の平均値が0.2以上0.3未満
×:パネル10名の平均値が0.3以上
評価(3):塗布時のべたつき感の評価
専門パネル10名によって、各々の試料の実使用試験を実施した。評価基準は以下のとおりである。
◎:パネル8名以上が、塗布中べたつき感がないと認めた。
○:パネル6名以上8名未満が、塗布中べたつき感がないと認めた。
△:パネル3名以上6名未満が、塗布中べたつき感がないと認めた。
×:パネル3名未満が、塗布中べたつき感がないと認めた。
Figure 2010059076
(製造方法)
(1)〜(3)及び(5)、(14)を70℃に加熱し、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合した後、(4)を加えてさらに攪拌する。ここに、(6)〜(13)を混合したものを加え、乳化機で乳化した。(15)、(16)を添加・攪拌し、組成物を得た。
表1によれば、粉末による水相及び油相の乳化物において、水相に増粘剤、油相に特定の親油性界面活性剤を配合した試験例1は、回転に対する乳化安定性に優れ、皮膚刺激性やべたつき感のない水中油型乳化組成物であった。また、乳化前に粉末を特定カチオン性界面活性剤で処理した試験例2も、良好な結果を示した。
一方、増粘剤を配合しなかった試験例3、特定の親油性界面活性剤を配合しなかった試験例4では、回転により油相と水相の分離や粉末の凝集が認められ、安定した乳化状態を保持することができなかった。
さらに、乳化を介する粉末を加えず、特定の親油性界面活性剤のみを添加した試験例5では、乳化が十分に進まず、粉末に代えて汎用の乳化剤にて乳化を行った試験例6では、皮膚刺激性やべたつき感が認められた。
以上のことから、粉末による水相および油相の乳化に際し、外相に増粘剤、内相に特定の親油性界面活性剤を配合することにより、皮膚刺激性やべたつき感を抑えたまま乳化安定性を改善することができることが明らかである。
<増粘剤の配合によるよれ>
下記表2に示す配合組成で水中油型乳化組成物を製造し、上記評価(1)及び下記評価(4)について評価を行った。結果は表2に示すとおりである。
評価(4):製剤のよれ
上腕部に被験試料を手で塗布し、乾き際のよれ具合について下記基準にて評価した。
○:よれない
△:ややよれる
×:よれる
Figure 2010059076
(製造方法)
(1)〜(3)及び(5)、(15)を70℃に加熱し、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合した後、(4)を加えてさらに攪拌する。ここに、(6)〜(14)を混合したものを加え、乳化機で乳化した。(16)、(17)を添加・攪拌し、組成物を得た。
表2によれば、試験例12のように粉末により水相中に油相を分散させたのみでは回転により乳化粒子の合一等が起き、安定した乳化は得られなかった。外相を増粘剤にて増粘したもの(試験例10)、内相に親油性界面活性剤を添加して界面張力を下げたもの(試験例11)は、試験例12に比べ乳化安定性に改善が認められたものの十分ではなく、特に試験例10に至っては増粘剤の添加により製剤によれが生じた。
一方、試験例7に示すように、増粘剤と親油性界面活性剤の両方を適用すると、乳化安定性が著しく向上し、さらに増粘剤によるよれも解消された。また、試験例7〜9の結果から、親油性界面活性剤として、特にHLB8以下のものが乳化安定性の点で優れていることが認められた。
したがって、本発明において、増粘剤及びHLB8以下の親油性界面活性剤を適用することにより、優れた乳化安定性を有するよれのない水中油型乳化組成物を得ることができる。
<親油性界面活性剤の配合によるきしみの改善と粉末配合量>
下記表3に示す配合組成で水中油型乳化組成物を製造し、上記評価(1)及び下記評価(5)について評価を行った。結果は表3に示すとおりである。
評価5:使用後のきしみ感
試料を使用した後のきしみ感の有無について、専門パネル10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎:パネル8名以上が、使用後きしみ感がないと認めた。
○:パネル6名以上8名未満が、使用後きしみ感がないと認めた。
△:パネル3名以上6名未満が、使用後きしみ感がないと認めた。
×:パネル3名未満が、使用後きしみ感がないと認めた。
Figure 2010059076
(製造方法)
(1)〜(3)及び(5)、(15)を70℃に加熱し、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合した後、(4)を加えてさらに攪拌する。ここに、(6)〜(14)を混合したものを加え、乳化機で乳化した。(16)、(17)を添加・攪拌し、組成物を得た。
表3によれば、試験例13〜16に示すとおり、乳化にかかる粉末成分の配合量を増量するほど乳化安定性が向上した。しかしながら、増量に伴い、塗布時にきしみ感が生じるようになり、製剤としての使用性は低下した。
一方、試験例17に示すように親油性界面活性剤を添加すると、粉末成分を同量としたもの(試験例15)に比べ、乳化安定性及びきしみ感が共に改善された。
また、試験例17〜19において、ポリオキシブチレン(25モル)、メチルトリグリセリルエーテルを配合したものが最もきしみ感の解消に優れていた。
したがって、本発明においては、HLB8以下の親油性界面活性剤を配合することにより、少量の粉末成分の配合で優れた乳化安定性を得ることができる。また、該活性剤の配合により、粉末成分の配合に付随するきしみ感も改善されることが認められた。
すなわち、本発明にかかる水中油型乳化組成物において、粉末成分の配合量を1〜3.5質量%とし、HLB8以下の親油性界面活性剤を配合することが好適である。
<親油性界面活性剤の配合量>
下記表4に示す配合組成で水中油型乳化組成物を製造し、上記評価(1)、(2)、(4)、(5)について評価を行った。結果は表4に示すとおりである。
Figure 2010059076
(製造方法)
(1)〜(3)及び(5)、(13)を70℃に加熱し、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合した後、(4)を加えてさらに攪拌する。ここに、(6)〜(12)を混合したものを加え、乳化機で乳化した。(14)、(15)を添加・攪拌し、組成物を得た。
表4に示すとおり、HLB8以下の親油性界面活性剤を組成物に対し0.01〜0.5質量%配合した試験例21〜23は、乳化安定性、皮膚刺激性、増粘剤によるよれ及び粉末成分によるきしみ感の解消において優れた結果が得られた。
一方、親油性界面活性剤を0.001質量%配合した試験例20では、乳化安定性、よれ及びきしみ感の解消が不十分であった。また、試験例24のように1.0質量%配合すると、乳化安定性が低下し、皮膚刺激性も認められるようになった。
したがって、本発明にかかる水中油型乳化組成物において、HLB8以下の親油性界面活性剤の配合量は、組成物に対し0.01〜0.5質量%とすることが好適である。
<カチオン性界面活性剤の種類>
続いて、表5に記載した配合組成によりなる水中油型エマルションを製造し、各試料について、上記評価(1)〜(3)に関する評価試験を行った。
Figure 2010059076
(製造方法)
(1)〜(3)及び(5)〜(8)、(16)を70℃に加熱し、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合した後、(4)を加えてさらに攪拌する。ここに、(9)〜(15)を混合したものを加え、乳化機で乳化した。(17)、(18)を添加・攪拌し、組成物を得た。
表5に示すとおり、試験例26〜27において、エマルションは優れた乳化安定性及び低いべたつき感、低皮膚刺激性を示した。一方、鎖長が10であった試験例25のエマルションは、乳化性が劣るものであり、鎖長が22(試験例28)と伸びると、べたつき感が高くなった。
したがって、本発明の水中油型エマルションは、カチオン活性剤の2つのアルキル鎖長12から22であることが好適である。
<組成物の製造方法>
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法について検討を行った。下記の各製造方法にて表6に示す処方の乳化組成物を製造し、乳化状態を評価した。評価結果を表7に示す。
製造方法
(試験例35)
水相成分、及び粉末成分を精製水の一部に均一分散したものと、カチオン性界面活性剤成分を精製水の残部に均一分散したものを混合し、70℃に加熱して超音波処理を行った。ここへ、親油性界面活性剤成分を加えて70℃に加熱した油相成分を添加し、乳化機で乳化して組成物を得た。
(試験例36)
水相成分、及び粉末成分を精製水中で混合し、70℃に加熱して超音波処理を行った。ここへ、親油性界面活性剤成分を加えて70℃に加熱した油相成分、及びカチオン性界面活性剤成分を添加し、乳化機で乳化した。
(試験例37)
粉末成分、及びカチオン性界面活性剤成分を適量のエタノール中で攪拌したのち、エタノールを揮発させて界面活性剤処理粉末を得た。前記粉末、及び水相成分を精製水中で混合し、70℃に加熱して超音波処理を行った。ここへ、親油性界面活性剤成分を加え70℃に加熱した油相成分を添加し、乳化機で乳化して組成物を得た。
評価方法
評価(6):乳化安定性(外観)
エマルション調製後1日以内に、エマルションの外観を肉眼で観察した。
○:試料は均一で、油浮きや粉の凝集を認めなかった。
△:試料はほぼ均一であるが、わずかな油浮きなどを認めた。
×:試料が均一でないか、著しい油相の分離、もしくは粉の凝集を認めた。
評価(7):乳化安定性(乳化粒子)
試料を光学顕微鏡で観察したときに、
○:乳化粒子は均一で、合一や凝集を認めなかった。
△:乳化粒子はほぼ均一であるが、わずかな合一や凝集などを認めた。
×:乳化粒子が均一でなく、著しい合一や凝集を認めた。
(表6)
処方 質量(%)
(粉末成分)
シリカ被覆酸化亜鉛 3.0
(カチオン性界面活性剤成分)
塩化ジメチルジステアリルアンモニウム 0.05
(親油性界面活性剤成分)
ポリオキシブチレン(25モル)メチルトリグリセリルエーテル 0.1
(油相成分)
シクロメチコン 8.0
イソノナン酸イソノニル 5.0
p-メトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5.0
(水相成分)
グリセリン 3.0
サクシノグリカン 0.35
精製水 残 余
(表7)
試験例
29 30 31
評価(6):外観 ○ △ △
評価(7):乳化粒子 ○ △ △
表7に示すとおり、水中に分散した状態の特定のカチオン性界面活性剤を粉末成分と混合したのちに、油相成分と乳化を行った試験例29は、優れた乳化安定性を示した。
一方、前記工程を経ずに、水相と油相の乳化時に特定のカチオン性界面活性剤を添加した試験例30では、安定した乳化が得られず、油滴ないし粉末の合一や凝集が認められた。また、粉末およびカチオン性界面活性剤を水中で処理せず、エタノール中で別途処理を行った試験例31においても、油滴ないし粉末の合一や凝集が認められた。
試験例29及び30の比較から、本発明にかかる水中油型乳化組成物は、水中に分散してラメラ液晶状態とした特定カチオン性界面活性剤を、水中で粉末粒子に吸着させ、その後で乳化を行うことにより、安定した乳化粒子を得ることができることが明らかである。また、試験例31との比較から、液晶状態の特定カチオン性界面活性剤で粉末を処理することにより、乳化安定性の高い組成物を簡便に製造できることが認められた。
本発明にかかる日焼け止め化粧料に関し、紫外線防止効果及び耐水性試験を下記のごとく試験した。
まず、紫外線防止効果の評価方法ついて説明する。
紫外線防止効果
日本化粧品工業連合会で策定した「SPF測定法基準」(2000年制定)に準じて、各試料のSPF値を測定した。評価基準は以下のとおりである。
○:SPF値30以上
△:SPF値20以上30未満及び/またはPA+
×:SPF値20未満
下記表8に示す配合組成で水中油型乳化組成物を製造し、上記紫外線防止効果、実施例1の評価(1)及び(2)について評価を行った。結果は表8に示すとおりである。
Figure 2010059076
(製造方法)
(1)〜(3)及び(4)、(12)を70℃に加熱し、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合した後、(4)を加えてさらに攪拌する。ここに、(5)〜(11)、(14)〜(16)を混合し、(13)を撹拌分散したものを加え、乳化機で乳化した。(17)、(18)を添加・攪拌し、組成物を得た。
表8によれば、汎用される親水性界面活性剤による乳化を行った試験例34及び35は、粉末成分により乳化を行った試験例32及び33に比べ、乳化安定性や皮膚刺激性に劣るものであった。また、試験例32及び33の結果から、油相中に疎水化処理粉体を配合することにより、乳化安定性に影響なく紫外線防止効果を向上できることが明らかになった。
さらに、上記試験例33及び34の試料を用い、下記耐水性試験を行った。
耐水性試験
5×5cmのVitro skinシートを予め専用保湿チャンバー中に終夜放置し吸湿平衡に到達させた。該シート状に50μLの製剤を均一に塗布(2μL/cm)し、塗布15分後にスペクトルメーターで製剤適用直後の吸光度を測定した。次に該シートを専用保湿チャンバー中に終夜放置し、再び吸湿平衡に到達させた。
続いて、該シートを流水に20分間曝し、軽く室温で乾かした後、チャンバー中に終夜放置した。その後、スペクトルメーターで該シートの吸光度を測定し、水洗前の結果と比較した(図3)。
図3に示すとおり、シリカ被覆二酸化チタンによりピッカリングエマルションを形成している試験例33においては、水洗後も高い耐水性を維持していた。一方、水溶性の界面活性剤を用いて乳化したエマルションである試験例34では、水洗により紫外線防御効果が著しく低下し、耐水性をほとんど有さないことが明らかになった。
試験例33が試験例34よりも優れた耐水性を示したのは、前者が親水性の高い界面活性剤を含まないためであると考えられる。
以上の結果から、本発明にかかる日焼け止め化粧料によれば、優れた乳化安定性を維持しながら、高い紫外線防御効果を付与することが可能であることが認められた。さらに、油相中に疎水性処理粉体を分散させることにより、紫外線防御効果をより高めることができる。また、前記化粧料においては、耐水性維持の面から、水溶性界面活性剤を配合しないことが好適である。
以下に、本発明の処方例を示すが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。下記処方例の組成物はいずれも、優れた乳化安定性を有し、べたつき感ないしはヨレ及びきしみのない、使用感に優れたものであった。
<処方例1> サンプロテクター
(質量%)
(1)精製水 残 余
(2)シリカ被覆酸化チタン 3.0
(3)塩化ジメチルジステアリルアンモニウム 0.03
(4)サクシノグリカン 0.3
(5)シクロメチコン 10.0
(6)ポリオキシブチレン(56モル)トリグリセリルエーテル 0.1
(7)イソノナン酸イソノニル 2.0
(8)オクトクリレン 3.0
(9)パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 5.0
(10)グリセリン 3.0
(11)ジプロピレングリコール 3.0
(12)フェノキシエタノール 0.5
(製法)
(1)〜(3)を70℃の加熱下で、ホモミキサー(6000rpm)にて1分間混合し、(4)を添加・攪拌する。これに、(5)〜(9)の混合物を加え、ホモミキサー(9000rpm)にて2分間混合する。その後、(10)〜(12)を加えて攪拌し、サンプロテクターを得た。
上記サンプロテクターは、長期間にわたり凝集や合一のない安定した乳化を保ち、回転試験においても優れた結果を示した。
塩化ジメチルジステアリルアンモニウムの相変化を示したグラフである。 塩化ジメチルジステアリルアンモニウムと共に水中に分散したシリカ被覆酸化チタン粉末のζ電位を示すグラフである。 本発明にかかる日焼け止め化粧料の耐水性を示すグラフである。

Claims (8)

  1. (a)粉末成分を1〜3.5質量、
    (b)油相成分、
    (c)水溶性増粘剤を含む水相成分、
    (d)HLB8以下の親油性界面活性剤を0.01〜0.5質量%、
    を含有し、
    水相に分散した油滴上に(a)の粉末粒子が吸着してなることを特徴とする水中油型乳化組成物。
  2. (d)親油性界面活性剤が、下記一般式(1)で表される化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
    Figure 2010059076
    (式中、m+2はポリグリセリンの平均重合度を表し、1≦m≦4である。Rは炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を表し、1≦n×m≦200である。)
  3. さらに、
    (e)炭素鎖が12以上、22以下であるアルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤0.001〜0.5質量%、
    を含有し、
    前記カチオン性界面活性剤が、(a)の粉末粒子に吸着していることを特徴とする請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
  4. 親水性界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の水中油型乳化組成物。
  5. 下記(A)及び(B)工程を含むことを特徴とする請求項3に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。
    (A)粉末成分と、炭素鎖が12以上、22以下であるアルキル鎖を2つ有するカチオン性界面活性剤とを水相成分中に分散する工程、
    (B)(A)工程後、前記分散物と、油相成分及びHLB8以下の親油性界面活性剤の混合物とを混合する工程。
  6. 請求項1〜4のいずれかに記載の水中油型乳化組成物と、紫外線防御剤とを含むことを特徴とする日焼け止め化粧料。
  7. さらに、油相中に疎水化処理粉体を含むことを特徴とする請求項6に記載の日焼け止め化粧料。
  8. 親水性界面活性剤を実質的に含有しないことを特徴とする請求項6または7に記載の日焼け止め化粧料。
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