JP2004223065A - 体液吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造の容易化および吸収材の更新機能の確実化を図る。
【解決手段】液透過性表面層2、防漏層3および両者間に設けられた体液吸収性部を有し、体液の吸収保持機能および体液との接触による収縮機能を有する吸収材25を体液吸収性部内に有し、かつその所定部位30を物品に対して固定してなる吸収性物品を対象とし、吸収材25として、担体26Bに高吸収性ポリマー26Aを保持させてなる体液吸収性部材26と、体液との接触により収縮する収縮性材27とを一体化してなるものでり、かつ体液吸収性部材26Aと接触する体液拡散部材dsを有するものを用いる。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、使い捨ての紙おむつ、生理用ナプキンなどの体液吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
体液吸収性物品は、基本的に、身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有する。
【0003】
この場合における、体液吸収性部の構成は、種々のものが知られているが、吸収性素材として、高吸収性ポリマー、綿状パルプ(フラッフパルプ)、クレープ紙などの吸収紙を主としている。近年の高吸収性ポリマー技術の進展に伴い、より薄型化した体液吸収性部の形成が可能となり、したがって製品の吸収部分の身体へのフィット性が向上し、モレが少なくなってきている。
【0004】
この製品の吸収特性の改善は、需要者にとって、薄型でありながら、吸収容量が大きく、さらに長時間の着用にも耐えるさらに新たな製品開発の要求となってあらわれる。
【0005】
しかるに、この要求を満たすためには、例えば、尿の場合であっては多数回の排尿量のすべてを体液吸収性部が吸収しなければならない。しかし、排尿が繰り返えされるごとに体液吸収性部の吸収速度は遅くなり、特に体液吸収性部の長手方向端部まで体液が吸収されないことが多い。この原因は、体液の縦方向(製品の長手方向)への拡散が十分でないため、および高吸収性ポリマーの膨潤による拡張濡れが阻害されるいわゆるゲルブロッキング現象が起こるためとされている。
【0006】
これらの現象を解決する手法として、特表2000−510031号公報、及び特表2000−510033号公報などの縦方向への濡れ拡がりを助ける技術、特表2000−510031号公報、特表2000−510033号公報などの高吸収性ポリマーのゲルブロッキングを防ぐ技術、高吸収性ポリマーの形状や組み込みの工夫、濡れによって膨潤する空間を確保する方法などが提案されている。
【0007】
しかしいずれの方法を用いても、十分な解決策となっていない。この原因を改めて検討すると、従来の体液吸収性物品の体液吸収性部は縦長とし製品の長手方向に沿って配置し、体液排出部位が体液吸収性部のほぼ中心に位置するように設計し、排出部位からの体液は長手方向端部まで濡れ拡がる(拡散する)であろうことを前提としていた。したがって、体液の長手方向拡散が十分でない限り、本質的に、体液吸収性部全体で体液を吸収することはできない。
【0008】
他方、かかる問題点に対して、本発明者らは、体液吸収性部内での体液の拡散には限界があることを踏まえ、吸収材が体液との接触により収縮し移動することにより、排泄部位と対応する吸収材部分が更新されるように構成した体液吸収性物品およびその改良技術について種々の提案をしている。具体的には、下記特許文献3、4の他、特願2001−148131号、特願2001−226507号、特願2001−241912号、特願2001−312765号、特願2001−331563号、特願2001−331564号、特願2002−26440号、特願2002−200894号、特願2002−200895号、特願2002−218594号、特願2002−218595号、特願2002−218596号、特願2002−226058号、特願2002−242489号において提案したものが、これに該当する。
【0009】
かかる先行技術によれば、吸収材全体を有効に利用し、全体としてみれば、吸収容量が大きく、さらに複数回の体液吸収が十分に可能であり、ひいては長時間の着用にも耐え得る体液吸収性物品を可能とする。
【0010】
これらの一連の先行技術では収縮機能を有する吸収材についても種々提案しているが、中でもリボン状繊維集合シート等からなる担体に高吸収性ポリマーを保持させたものは製造が容易である等のメリットがあり、好ましい形態(以下、先行技術の吸収材という)の一つである。
【特許文献1】
特表2000−510031号公報
【特許文献2】
特表2000−510033号公報
【特許文献3】
特開2002−315777号公報
【特許文献4】
特開2002−224162号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、リボン状繊維集合シート等からなる担体に高吸収性ポリマーを保持させた吸収材では、前述のゲルブロッキングの問題に関しては改善の余地があった。
【0012】
そこで、本発明の主たる課題は、スポット吸収によるゲルブロッキングが発生し難く、より確実に吸収材の更新機能が発揮される体液吸収性物品を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決した本発明は次記のとおりである。
<請求項1記載の発明>
身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有し、
前記体液吸収性部内に、体液の吸収保持機能および体液との接触による収縮機能を有する吸収材を有し、
前記吸収材は、担体に高吸収性ポリマーを保持させてなる体液吸収性部材と、前記体液吸収性部材に接触する体液拡散部材とを有するものである、
ことを特徴とする体液吸収性物品。
【0014】
(作用効果)
本発明が対象とする体液吸収性物品では、表面層を通過した体液は吸収材に吸収され、この際、吸収材の収縮機能が発現する。これにより吸収材が移動する。
【0015】
本発明の吸収材のように、体液吸収性部材と接触する体液拡散部材を設けると、吸収材に供給された体液は体液拡散部材を通じてより広い範囲の高吸収性ポリマーに供給される。よって、本発明によれば、スポット吸収によるゲルブロッキングが発生しにくくなり、収縮機能が円滑に働くこととなる。
【0016】
<請求項2記載の発明>
担体に高吸収性ポリマーを保持させてなる体液吸収性部材とこれに接触する体液拡散部材とを有する壁部材が、前記体液吸収性部に所定の間隔をあけて複数配置されており、
前記壁部材間に前記吸収材が配置されている、請求項1記載の体液吸収性物品。
【0017】
(作用効果)
このように壁部材間に吸収材が配置されていると、これら壁部材により身体の肌に面する側からの圧力が支えられ、それらの間に吸収材の収縮スペース及び体液の流通チャンネルが確保され、着用に際し、被着体により吸収材側に及ぼされる体圧が高くても、吸収材の収縮スペースが確実に確保され、吸収材の確実且つ効率良い収縮、ならびに体液の効率的な吸収が可能となる。
【0018】
また壁部材が、吸収材と同様の体液吸収性部材を有する(収縮性材は有しない)ものであると、体液吸収性部材によって付随的な体液吸収がなされ、壁部材を横断する方向への濡れ拡がりが抑えられ、それによって壁部材に沿う方向への濡れ拡がりが助長される。特に体液吸収性部材が高吸収性ポリマーのように膨張するものであると、体液吸収により壁部材が拡大し、上記の機能が確実に発揮される。
【0019】
しかし、かかる体液吸収性部材を有する壁部材は、吸収材と同様にスポット吸収によるゲルブロッキングが発生し、上記壁部材の諸機能が阻害されるおそれがある。そこで、本請求項2記載の発明では、吸収材と同様に体液吸収性部材と接触する体液拡散部材を設けることにより、ゲルブロッキングを防止し、もって上記壁部材の諸機能を有効に発揮できるようにしたものである。
【0020】
<請求項3記載の発明>
前記吸収材の体液吸収性部材が体液透過性袋体内に封入されている、請求項1または2記載の体液吸収性物品。
【0021】
(作用効果)
上記のように担体に高吸収性ポリマーを保持し体液吸収性部材では、ポリマー保持量がある程度を超えると、体液吸収による膨潤時にシートからポリマーが脱落して排泄部位近傍に留まり、所期の収縮機能が発揮されなくなるといった問題点がある。
【0022】
本請求項3記載のように体液吸収性部材を袋体内に封入すると、ポリマーが担体から脱落しても袋体内に保持され、袋体の収縮に伴って移動するため、上記の収縮機能が確実に発揮される。
【0023】
しかし、この場合、体液が袋体により局所的に保持され易くなるおそれがある。よって、本発明はかかる場合に好適である。
【0024】
<請求項4記載の発明>
前記吸収材は細長状をなし、その長手方向に沿って収縮性材が配置されたものであり、
この吸収材が、物品前後方向に沿って配置され且つ物品幅方向に三本以上並設されており、各前記吸収材は、長手方向一端部のみが物品に対して固定され、他端部は自由端部とされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0025】
(作用効果)
本発明は、かかる体液吸収性物品に好適なものである。
【0026】
<請求項5記載の発明>
前記担体に高吸収性ポリマーが保持されている部分における、前記担体の単位面積当たりの高吸収性ポリマーの保持量が300g/m以上とされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0027】
(作用効果)
特に、担体に高吸収性ポリマーが保持されている部分における、担体の単位面積当たりの高吸収性ポリマーの保持量が300g/m以上であると、体液吸収時、スポット吸収が生じ易く、ポリマー相互の密着によるゲルブロッキングが顕著である。よって本発明は、かかる場合に好適であり、高吸収性ポリマーを担体に対して多量に保持させても、スポット吸収が生じ難く、またこれに起因する収縮機能阻害も起こり難い。
【0028】
特に、体液吸収性部材が袋体内に封入されている場合には、ポリマーが脱落しても収縮機能が損なわれることがないため、本請求項5記載の発明のように、高吸収性ポリマーを担体に対して多量に保持させ、吸収性能の向上を図っても、ポリマーの脱落による収縮機能阻害も起こり難い。
【0029】
<請求項6記載の発明>
前記体液拡散部材は、表面親水化した合成繊維、または表面親水化した合成繊維およびセルロース系繊維の両繊維からなる、坪量30〜100g/m、JIS P 8141に規定される生理食塩水による10分後のクレム吸水度が100mm以上、かつ保水能が6.0g/g以上の繊維集合体シートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0030】
(作用効果)
本発明の体液拡散部材としては、それがない場合と比べてその体液拡散性によりスポット吸収が緩和されるものであれば良いものであるが、特に、本請求項6記載のクレム吸水度及び保水能を有する繊維集合体シートが好適である。なお、保水能の測定法については後述する。
【0031】
<請求項7>
前記繊維集合体シートは、レーヨン繊維からなるウェブまたはレーヨン繊維およびパルプ繊維からなるウェブを絡合してなるものである、請求項6記載の体液吸収性物品。
【0032】
(作用効果)
本発明では、かかる繊維集合体シートを好適に使用できる。
【0033】
<請求項8>
前記体液吸収性部は、体液が排泄される排泄部位を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0034】
(作用効果)
本発明は、かかる体液吸収性物品に特に好適である。
【0035】
<請求項9>
前記吸収材の所定部位を物品に対して固定してなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0036】
(作用効果)
吸収材の所定部位が物品に固定されていると、体液吸収時、吸収材は当該固定部に向って収縮する結果、体液排出部位に対して、吸収材における先に体液を吸収した部位が逃げるようになり、これに代わって吸収材の新たな部位が位置するようになる。つまり体液排出部位に対して、吸収材の吸収部が体液の排出に伴なって更新され、位置変化するようになる。
【0037】
<請求項10>
前記吸収材は、前記体液吸収性部材と、体液との接触により収縮する収縮性材とを一体化してなるものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
【0038】
(作用効果)
このように、吸収材に収縮性材を一体化することにより、収縮機能を付与することができる。すなわち、表面層を透過した体液は吸収材に吸収され、この際、体液の一部が収縮性材に接触して当該接触部分が収縮する。この結果、収縮性材が一体化された吸収材全体が収縮するようになるのである。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながらさらに詳説する。
<吸収材および体液吸収性物品について>
本発明は使い捨ての紙おむつ、生理用ナプキンなどの体液吸収性物品一般に適用されるが、おむつ使用時(装着時)に背側の左右両側部を腹側の左右両側部に持ち込み、これらをテープファスナー(粘着剤テープファスナー及び面ファスナーを含む)により接合するタイプのいわゆるテープ式紙おむつに対する適用例を説明すれば、パンツ型使い捨ておむつやパッド型使い捨て吸収性物品での実施の形態や、生理用ナプキンでの実施の形態も直ちに推測できると思われるので、後二者の例についてはその説明を省略する。
【0040】
図1〜図3は、本発明を適用した使い捨ておむつの例を示している。この使い捨ておむつは、身体の肌に面する側に設けられた液透過性の不織布シート、あるいは孔開きフィルムシートなどからなり、着用者の肌に直接触れる長方形の表面層2、身体の肌から遠ざかる側に設けられたポリエチレンプラスチックフィルムなどからなる長方形の不透液性バックシートなどからなる防漏層3、および両者の間に設けられた、体液が排泄される排泄部位Zを含む体液吸収性部1を有する。
【0041】
さらに、防漏層3より裏面側たる製品の裏面側には、可撓性の外形シート4を有し、この外形シート4は1枚の不織布または複数枚の通気・撥水性の不織布を積層固定したものからなる。
【0042】
製品の両側部には、使用面側に突出する脚周り起立カフスC,Cがそれぞれ形成され、この起立カフスCは、実質的に幅方向に連続した起立シート8と、たとえば糸ゴムからなる一本のまたは複数本の伸縮部材9とにより構成されている。さらに詳細には、起立カフスCは、起立シート8を二重にして形成され、伸縮部材9を包んでホットメルト接着剤などにより固着した状態で形成されたものである。各起立カフスC,Cを形成する起立シート8は、透液性でなく不透液性もしくは疎水性であるのが望ましい。また、不織布などの透液性シートに対してシリコン処理などにより液体をはじく性質となるようにしてもよい。さらに、通気もしくは蒸気透過性を有しているのが望ましい。起立シート8の間に不透液性フィルムシートを挟み込み、さらに防漏性を高めることができる。
【0043】
二重の起立シート8の内面は、表面層2及び外形シート4にホットメルト接着剤などにより固着されている。その結果、二重の起立シート8のこの固着始端は、起立カフスCの起立端を形成している。この起立端より先端側は、製品本体に固定されていない自由部分である。
【0044】
二重の起立シート8の長手方向前後端部は、ホットメルト接着剤などにより、自由部分がその先端を物品の中央側に向かう状態で物品に、具体的には表面層2外面に固定されている。左右の起立カフスC,Cで囲まれる空間は、尿または軟便の閉じ込め空間を形成する。この空間内に排尿されると、その尿は透液性表面層2を通って体液吸収性部1内に吸収されるとともに、軟便の固形分については、起立カフスCがバリヤーとなり、その乗り越えが防止される。
【0045】
他方、前身頃及び後身頃の長手方向端部において、ウエスト部における外形シート4の不織布間に、ウエスト周りのフィット性を高めるために、ウエスト開口部の端縁に平行に間隔を置いて細い糸ゴムからなるウエスト伸縮部材10,10…を配置し、これらが伸縮するように伸長下にホットメルト接着剤などにより固定されている。ウエスト伸縮部材10,10…の間隔および本数は適宜定めることができるが、例えば間隔としては4〜8mm程度、本数としては3〜10本程度が好ましい。符号11は背側の左右両側部を腹側の左右両側部に持ち込み、接合するためのテープファスナーを示している。
【0046】
(本発明に関連する構成等)
本発明が対象とするおむつは、体液吸収性部1内に、体液の吸収保持機能および体液との接触による収縮機能を有する吸収材25(具体例については後述する)を有するものである。本実施形態では、吸収材25の所定部位が物品に対して固定されており、この固定部が後述の図8に符号30で示されている。体液吸収性部1は、任意に設定できるものであるが、通常は、体液が排泄される排泄部位を含む範囲で、物品長手方向の50〜100%程度の長さを有し、物品股間幅の70%以上の幅を有する矩形範囲である。
【0047】
図8に示すように、本実施形態の吸収材25は、体液吸収性部1と略同じか若干短い程度の長さを有する細長帯状をなし、物品前後方向に沿って腹側から背側まで延在され且つ物品幅方向に三本並設されており、中央の吸収材25は排泄部位Zと対応する部分を有するように配置され、両側の吸収材25,25は排泄部位Zと対応する部分を有しない位置に配置されており、さらに、各吸収材25は、長手方向一端部30のみが物品に対して、ホットメルト接着剤等の接着剤やヒートシール等の接合手段等により固定され、他端部は自由端部とされている。図示形態では、背側に吸収材25を移動させるために固定部30も背側にのみ設けているが、腹側に吸収材25を移動させたい場合には、腹側にのみ設けることもできる。このように、固定部30は吸収材25の移動先となる任意の位置に設けることができるものである。
【0048】
本実施形態の吸収材25は、図4〜図6に示すように、細長状袋体28と、その内面に(図11(a)に示すように外面であっても良い)、長手方向の略全体にわたり取り付けられた、体液との接触により収縮する細長状の収縮性材27と、袋体28内の長手方向の略全体にわたるように配置された、繊維集合シートからなるリボン状担体26Bに高吸収性ポリマー26Aを保持させてなる体液吸収性部材26とを主要構成として備えるものであり、全体として細長状をなすものである。
【0049】
本実施形態では、かかる吸収材25に対して、本発明に従って体液拡散部材dsが体液吸収性部材26と接触するように設けられている。体液拡散部材dsは、体液吸収性部材26における体液の拡散を促すものであるから、排泄部位Zと対応する位置およびその近傍(特に吸収材固定部位30側の所定部位まで)、特に本実施形態のように体液吸収性部材26が細長状をなす場合にはその長手方向に沿って且つその略全長にわたるように設けるのが望ましい。
【0050】
またこの体液拡散部材dsは、例えば本実施形態の吸収材25のように袋体28内の裏面層3側面に収縮性材27を配置し、その表面層2側に体液吸収性部材26を配置する場合には、図示のように体液吸収性部材26と収縮性材27との間に設けるのが望ましい。ただし、体液拡散部材dsは、体液吸収性部材26と接触する位置に設ける限り、任意の位置に設けることができる。図11は体液吸収性部材26に対する体液拡散部材の各種配置例をまとめて示したものである。同図(a)および(b)からも判るように、体液拡散部材dsは体液吸収性部材26の裏面層3側にのみ配置する他、体液吸収性部材26の表面層2側にのみ配置することもできる。また、同図(c)及び(d)に示すように、一つの体液吸収性部材26に対して体液拡散部材dsを複数設けることもできる。この場合、図示のように体液拡散部材dsを体液吸収性部材26の表面層2側または裏面層3側にのみ複数設ける他、図示しないが表面層2側および裏面層3側の両方にそれぞれ設けることもできる。後者の場合、体液拡散部材ds,ds相互の間隔を空けるのが望ましい。さらに、図示のように体液吸収性部材26の幅方向両脇部に体液拡散部材をそれぞれ設け、それらの間に高吸収性ポリマー26Aの露出部や収縮性材27の接合面を確保することもできる。
【0051】
また、本発明の体液拡散部材dsは体液吸収性部材26と直接接触するのが好ましいことは当然であるが、図11(e)に示すように袋体28のような体液透過性の材料を介して間接的に接触させることもできる。図示例では体液拡散部材dsが袋体28の表面層2側の面に配置されているが、袋体28を介した体液吸収性部材26との間接接触が確保できる限り、袋体28外面における他の位置に配置することもできる。
【0052】
また、本発明では、体液拡散部材dsに高吸収性ポリマーを固定することもでき、この場合、体液拡散部材dsと体液吸収性部材26とを隣接させなくても良い。
【0053】
本発明の体液拡散部材dsの素材としては、それがない場合と比べてその体液拡散性によりスポット吸収が緩和されるものであれば特に限定されないが、例えば、表面親水化した合成繊維(レーヨン繊維等)からなるか、または表面親水化した合成繊維(レーヨン繊維等)およびセルロース系繊維(パルプ繊維等)の両繊維からなり、坪量が30〜100g/m、特に30〜50g/mであり、かつJIS P 8141に規定される生理食塩水による10分後のクレム吸水度が100mm以上、特に150mm以上であり、保水能が6.0g/g以上、特に7.0g/g以上である繊維集合体シートを用いることができる。特に、レーヨン繊維のウェブをウォータージェットにより絡合した繊維集合体や、レーヨン繊維のウェブにパルプ繊維を積層し、これらをウォータージェットにより絡合した繊維集合体が好適である。
【0054】
ここで、本発明における「保水能」とは、下記▲1▼〜▲5▼の手順で測定するものである。
▲1▼縦110mm×横100mmのサイズに切り取ったサンプルを用意する。
▲2▼サンプルの未保水重量(g)を測定する。
▲3▼サンプルを生理食塩水の入ったバットに1分間浸漬する。
▲4▼次いでサンプルを生理食塩水中から取り出し、縦方向が鉛直方向に沿う姿勢で5分間吊るす。
▲5▼サンプルの保水後重量(g)を測定する。
▲6▼保水後重量(g)と未保水重量(g)との差を未保水重量で除した値を保水能(g/g)とする。
【0055】
他方、本実施形態で用いる袋体28は、2枚のシートを重ね合わせ周縁部相互を接合することでも形成できるが、図示のように一枚の帯状シートstを幅方向に折り畳み、周縁部相互を重ね合わせて接合するほうが製造が容易であり好ましい。この接合は、図6に×印で示してあり、体液との接触により解離しないように、ヒートシール、高周波シールまたは超音波シールにより接合される。
【0056】
袋体28の素材としては、適宜選択することができ、少なくとも一部が不織布、孔開きフィルム等の体液透過性のものが使用される。特に、熱可塑性合成繊維を含む坪量15〜20g/m程度の液透過性親水性不織布(公知の、スパンボンド不織布、カードウエブを接着した不織布、メルトブローン不織布、それらの混成不織布等)や、合成パルプ(三井石油化学社製のSWPなど)を含む坪量15〜20g/m程度のティッシュペーパーなどが好ましく使用できる。なお、袋体28は、収縮性材27と一体化され、収縮性材27の収縮時には収縮性材27との接合部位に10〜20N程度の力がかかるので、それに耐えることができる程度の湿潤強度を有するのが望ましい。
【0057】
また図示例の袋体28は、長手方向に多数の隔室r,r…を有するものとされている(もちろん、隔室r,r…を省略することもできる)。この隔室r,r…相互を仕切る区画部分d,d…は、例えば図6(b)に断面を示すように、袋体28の長手方向に間隔をあけて袋体28の内面相互の幅方向にわたる接合により形成できる。この区画部分dの接合部分は+印により示してある。この接合により体液吸収性部材26及び収縮性材27は袋体内面間に挟まれ袋体28に対して固定されている。
【0058】
この区画部分dの接合方法としては、体液との接触により解離する接合手法を採るのが好ましい。このために、体液との接触により接着力が弱まるような接着剤、例えばポリビニルアルコール、ポリアルキレンオキサイドなどを主成分とする水分散型ホットメルト接着剤や、デンプン糊、カルボキシメチルセルロース等の水溶性接着剤用いた接合形態を採ることができる。この場合、接着強度が体液接触時に対して体液非接触時が2倍以上となるように、接着剤の選択、接着面積・パータン(スパイラル状、直線状、曲線状等の各種線状のほか、面状、点状等)の選択等を行うのが望ましい。
【0059】
この場合、吸収材25の区画部分dが体液と接触すると、区画部分dの接合が解離するとともに、当該区画部分dの接合により固定されていた収縮性材の固定も解かれる。よって、隔室r内の高吸収性ポリマー26Aは当初の隔室容積を超えて膨張でき、いわゆるゲルブロッキングが発生しにくくなり、また収縮性材27は固定が解かれた部分において袋体28による拘束を受けずに自由に収縮できる。またこの際、収縮性材27の体液非接触部位は固定が解かれないので、収縮性材27の収縮に伴う吸収材25の収縮が確実になされる。
【0060】
ただし、かかる解離構成を採用する場合には、収縮性材27と袋体28とを、少なくとも長手方向の収縮範囲の両端部(本実施形態の場合、吸収材25の固定部位30の排泄部位Z側における長手方向両端部である)において収縮性材27の収縮力よりも強い力をもって相互に固定する。このため本実施形態では、収縮性材27の両端部は袋体28の長手方向両端部26e,26eのシート間に挟まれ、これらシート相互を収縮性材27を含めて、ヒートシールや超音波シール等によって体液との接触により解離しないように接合している。かくして、収縮性材27の長手方向両端部は体液と接触しても固定が解かれなくなる。
【0061】
また、収縮性材27は、上記の区画部分d,d…による間欠的な固定だけでなく、必要に応じて他の部位または長手方向全体を袋体28内面に対してホットメルト接着等により固定することもできる。この固定は、体液との接触により解離するほうが好ましいが、解離しないようにすることもできる。この固定部は図6中に#印で示してある。
【0062】
他方、体液吸収性部材26としては、前述のとおり繊維集合体シートからなるリボン状担体26Bに高吸収性ポリマー26Aを保持させてなるものが好適に使用でき、この場合、図7(a)に示すようにポリマーを担体26B外面に保持させることもできるし、図7(b)に示すように嵩高な繊維集合体シートからなる担体26Bを用い、その内部の繊維間に保持させることもできる。後者の場合さらに担体26B外面にもポリマー26Aを保持させることもできる。また前者の場合においては、少なくとも表面層2側の外面にはポリマーを配置するほうが好ましい。
【0063】
ポリマー26Aを担体26B外面に保持させる場合には、ホットメルト接着剤等を用いて接着するほか、ポリマー26Aに水分を与えることにより粘着力を付与し、粘着させることもできる。また、担体26B内の繊維間にポリマー26Aを保持させる場合には、接着や粘着を用いることもできるが、単に機械的に絡ませるだけでも良い。さらに場合によっては、これらの保持手段を採らずに単に付着させるだけでも良い。いずれにせよ、少なくとも吸収材製造完了までの間、好ましくは製品が使用されて体液が膨潤するまでの間、高吸収性ポリマー26Aが担体に保持されているのが望ましい。
【0064】
担体26Bとしては、繊維集合体シートであれば、親水性・疎水性を問わず使用できるが、親水性のものが好ましく、特に密度0.05〜0.1g/cm、坪量30〜100g/mの、親水性繊維(表面親水化した合成繊維か、あるいは表面親水化した合成繊維とセルロース系繊維との両者を含むものが好ましい。)からなる不織布シートが好ましい。
【0065】
担体26B内にポリマー26Aを保持させる場合には、嵩高な繊維集合体、具体的には密度0.03〜0.08g/cm、坪量20〜50g/mの、親水性繊維からなる不織布シートが好適に使用できる。
【0066】
また、高吸収性ポリマー26Aとしては、この種の使い捨て吸収性物品において用いられる、自重のたとえば20倍以上の体液を吸収して保持するものを使用できる。この例として、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん−アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん−アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などを挙げることができる。
【0067】
高吸収性ポリマー26Aの吸収特性としては10秒間で10倍以上吸収し膨潤するものが望ましい。高吸収性ポリマー26Aの形状としては、現在一般的な粉粒体状のもののほか、これに替えて若しくはこれとともに繊維状のものも用いることができる。繊維状高吸収性ポリマーは紡糸等により糸状または紐状となして使用することもできる。
【0068】
高吸収性ポリマー26Aの担体26Bへの配設量は、当該吸収性物品の吸収量の設定により決定される。本発明では、体液拡散部材dsの効果によりゲルブロッキングが発生し難いため、袋体28内部に高吸収性ポリマー26Aを多量に、具体的には担体の単位面積(1m)当たり300g以上保持させることができる。ただし、あまりに多量の高吸収性ポリマーを用いると、ゲルブロッキングを防ぎきれず、体液の濡れ広がりが阻害され、吸収材25の更新機能が損なわれるおそれがある。したがって、これを防止するために、袋体26Bを平坦に潰した状態の内空部分の面積5〜20cmあたり高吸収性ポリマーの量が0.1〜0.6gとなるようにして、袋体26B内に空隙を形成し、高吸収性ポリマーの膨潤後の容積を袋体26B内に予め確保しておくのが好ましい。
【0069】
かくして形成された体液吸収性部材26は、図示のように袋体28内に非固定状態で配置したり、袋体28内面または収縮性材27に対して固定したりすることもできる。図示のように袋体内に収縮性材27を配置する場合には、これに接触させて体液吸収性部材26を配置するのが好ましく、特に図示のように袋体28内の内面下部に収縮性材27を配置するとともに、その上に体液吸収性部材26を配置して、収縮性材27を袋体28内面と体液吸収性部材26との間に挟むようにするのが望ましい。
【0070】
また体液吸収性部材26は、図示のように吸収材25の長手方向に連続する形態のほか、長さの短いものを連ねてまたは断続的に配置する形態を採ることもできる。特に上記例のように袋体が長手方向に複数の隔室r,r…を有する場合には、隔室に体液吸収性部材26をそれぞれ相互独立した状態で配置することもできる。さらに、体液吸収性部材26は、図示のように一つの袋体あたり一本設ける形態に限られず、複数本設けることもできる。
【0071】
他方、吸収材25の収縮力を発生させる収縮性材27としては、ポリビニルアルコール系長繊維を複数本引き揃えてなる収縮糸や、セルロース系短繊維を紡績し、これをカルボキシメチル化した後に強撚してなる収縮糸を好適に使用できる。具体的には、特公平6−102068号公報、特許第2656245号公報に開示されているものや、市販のものとしては、株式会社ニチビの商品名「ソルブロン」を用いることができ、太さは500〜1600dtexのものが好適である。収縮性材27としては、横断面円形や四角形の糸状のものや、又はシート状、フィルム状若しくは網状のものなど、あらゆる形状のものを用いることができる。収縮性材27としては、フィラメント状や紡績糸であることもできる。吸収材25の効率良い移動を達成するためには、収縮性材は1本あたり10N以上の体液吸収時収縮力を有しているのが好ましい。
【0072】
他方、吸収材25の製造に際しては、担体26Bに高吸水性ポリマー26Aを保持させた体液吸収性部材26を得た後、袋体形成シート上に収縮性材27と体液吸収性部材26とを配置し、当該シートを折り返して周縁部を接合する、或いは別途のシートを重ねて周縁部を接合する形態を採ることもできるし、担体26Bに高吸水性ポリマー26Aを保持させた体液吸収性部材26を得て、これを袋体形成シート上に配置し、当該シートを折り返して周縁部を接合する、或いは別途のシートを重ねて周縁部を接合した後、袋体外面に収縮性材27を固定する形態等を採ることもできる。
【0073】
かくして構成された紙おむつにおいては、図9及び図10に示すように、尿等の体液が排泄部位Zに排出され、その体液が領域Yまで拡散したとすると、その体液と接触した吸収材25,25…はそれぞれ収縮する。より詳細には、吸収材25に供給された体液は袋体28内に透過し、内部の高吸収性ポリマー26Aに吸収され保持される一方で、一部が収縮性材27に接触することによって当該接触部分が収縮し、その結果、収縮性材が一体化された吸収材が収縮するのである。この際、収縮性材27が袋体28内にあるので、収縮性材27に対しても体液が確実に供給されるようになる。
【0074】
そして、吸収材25の一端部30が固定されていると、図9に示すように固定部30に設けて吸収材25,25…が収縮する結果、体液排出部位に対して、吸収材25における先に体液を吸収した部位が逃げるようになり、これに代わって吸収材25の新たな部位が位置するようになる。つまり体液排出部位に対して、吸収材25の吸収部が体液の排出に伴なって更新され、位置変化する。したがって、吸収材25全体は有効的に利用され、全体としてみれば吸収容量が著しく向上されるがその割には薄型で済むことになる。よって、この本発明を適用したおむつは、長時間の着用にも耐え得るものである。
【0075】
ここで、前述のとおり、体液吸収性部材の担体における単位面積あたりのポリマー量が多ければ多いほど、スポット吸収によるゲルブロッキングが発生し、更新機能が阻害される。しかし、本実施形態のように、体液拡散部材dsが吸収材25の体液吸収性部材26と接するように設けられていると、吸収材25に供給された体液は、一部は直ちに当該部位に存在するポリマー26Aにより吸収されるものの、未吸収分はポリマー26Aによる吸収を待たずに体液拡散部材に浸透し、これを通じて周囲のポリマー26Aに供給される。よって、本発明によればより広い範囲の高吸収性ポリマー26Aに体液を供給することができるようになり、スポット吸収によるゲルブロッキングを抑制し、吸収材の更新機能を確実に発揮させることができるようになる。またその結果、本発明の吸収材25では、高吸収性ポリマー26Aを担体26Bに対して多量に保持させることができ、吸収性能の向上を容易に図ることができるという利点ももたらされる。
【0076】
特に、本実施形態のように体液吸収性部材26と収縮性材27との間に体液拡散部材dsを設けると、その内部を通じて拡散される体液が周囲のポリマーのみならず収縮性材27にも供給されるため、より容易に吸収材の収縮移動を発生させることができる。またこの場合において、吸収材25における少なくとも排泄部位Zと対応する位置からその固定部30側にわたる範囲に体液拡散部材dsを設けると、吸収材25に供給された体液は体液拡散部材dsを通じて吸収材の固定部30側に向かう拡散が促進される。この結果、吸収材25の固定部30側が優先的に濡れて収縮し、より効率的な吸収材25の更新が可能となるのである。すなわち、吸収材25の固定部30側は新たに排泄部位Zに移動するものではないのに対し、反対の自由端部側は新たに排泄部位Zに移動するものであるから、前者に対して優先的に体液を供給し収縮させることで、より効率良く吸収材25の未吸収部分を排泄部位Zに移動させることができるのである。
【0077】
他方、本実施形態では、主に吸収材25の移動スペース確保のために、体液吸収性部1内、具体的には表面層2と防漏層3との間に、物品長手方向に沿って吸収材と同程度延在する壁部材29を、吸収材幅よりも広い間隔をおいて吸収材25の数よりも一本多く設け、これらの壁部材29,29間に吸収材をそれぞれ配置している。しかし、本発明ではかかる壁部材29,29…を省略することももちろん可能である。
【0078】
吸収材25の移動スペース確保の場合には、壁部材29を体液吸収性部1内にホットメルト接着やヒートシール接着等を用いて固定するほうが望ましいが、そうでない場合には、固定せず単に載せ置くようにしたりすることもできる。
【0079】
壁部材29は、単なる繊維集合体やスポンジ体等であっても良いが、前述の吸収材25から収縮性材27を省略した形態、すなわち体液透過性シートからなる密閉袋体内に、体液吸収性部材26及びこれと接触する体液拡散部材dsを封入して形成したものを好適に使用することができる。壁部材29の形状は適宜定めることができるが、それらの間に吸収材25を配置することを考慮すると、図示のように細長で厚さの薄い形状が好ましい。この場合、壁部材29は倒れた状態で設けることができる。また、壁部材29における体液拡散部材の配設位置(図示形態では長手方向位置)と、吸収材25におけるそれとは対応させるのが望ましい。さらに壁部材29においては、体液吸収性部材26に対する体液拡散部材dsの配置は任意であるが、体液吸収性部材26の物品幅方向中央側にの配置する他、体液吸収性部材26の物品幅方向外側にのみ配置したり、両方に配置したり、さらに一つの体液吸収性部材26に対して体液拡散部材dsを複数設けたりすることもできる(図示せず)。
【0080】
他の構成は、変形例も含めて前述の吸収材25と同様であり、図中には同じ符号を付したので、敢えて説明は省略する。
【0081】
かくして壁部材29,29間に吸収材25が配置されていると、これら壁部材29,29により身体の肌に面する側からの圧力が支えられ、それらの間に吸収材25の収縮スペース及び体液の流通チャンネルが確保され、着用に際し、被着体により吸収材25側に及ぼされる体圧が高くても、吸収材25の収縮スペースが確実に確保され、吸収材25の確実且つ効率良い更新、ならびに体液の効率的な吸収が可能となる。
【0082】
また、壁部材29が、体液吸収性部材26を袋体内に封入した形態を有していると、体液吸収性部材26によって付随的な体液吸収がなされ、製品幅方向への濡れ拡がりが抑えられ、製品長手方向への濡れ拡がりが助長される。よって、使い捨ておむつや生理用ナプキンにおいて従来から問題視されてきた所謂横漏れも効果的に防止される。特に体液吸収性部材26が高吸収性ポリマー26Aのように膨張するものであると、体液吸収により壁部材29が拡大し、上記の機能が確実に発揮される。
【0083】
また、壁部材29の袋体に、体液との接触により解除される区画を設けた場合、壁部材29内の体液吸収性部材26が体液を吸収して膨張したとき、同時に体液との接触により区画が解除され、隔室の形状が自然に安定な形状に変化できるため、壁部材29が横倒しになったり局所的に膨出したりして吸収材25の収縮スペースが無くなるといったことが発生しにくく、壁部材29本来の機能が体液吸収によって阻害されることなく、常に確実に発揮されるようになる。
【0084】
さらに、壁部材29が体液吸収性部材26と接触する体液拡散部材dsを有すると、吸収材25の場合と同様に、壁部材内において長手方向への体液拡散が促進され、ゲルブロッキングが防止される。その結果、上記壁部材の諸機能が確実に発揮される。
【0085】
(その他)
以上、各種の形態について述べたが、本発明の範囲内において、従来の技術の項で述べた、本出願人による先願に開示された構成を適宜選択して採用できる。
【0086】
また、本発明における排泄部位Zは、体液が排泄される物品上の領域として定まるものであり、通常は排泄器官の位置や使用者の性別等に応じて定まるものである。よって、排泄部位Zは、体液が排泄される物品上の領域として定まる限り、物品の長手方向中央かつ幅方向中央の直径1〜5cm程度の円形範囲、物品前後方向を長軸とする楕円形範囲、または物品前後方向を長辺とする矩形範囲等、適宜設定することができる。また、排泄部位Zは、男性用、女性用、幼児用、成人用等の種別に応じて適宜定めることができる。
【0087】
また、本発明における吸収材の収縮範囲は適宜設定できるものであり、吸収材の長手方向全体としたり、その一部としたりすることができるが、少なくとも排泄部位Zは含むようにするのが好ましい。
【0088】
また、上記実施形態の吸収材25では、体液吸収性部材26が袋体28内に設けられているが、この袋体28は例えば図11(d)に示すように省略することもできる。この場合、収縮性材27は体液吸収性部材26の担体26Bに一体化される。
【0089】
さらに、現在市販の紙おむつでは、綿状パルプ(フラッフパルプ)を主体とし、ある程度の剛性を有する(半剛性の)長方形の吸収コアをクレープ紙で包むなどして形成した非収縮吸収材が、体液吸収性部内に備え付けられている。本発明では、この非収縮吸収材とともに前述の収縮移動吸収材25を設けることができ、この場合収縮移動する吸収材25は、非収縮吸収材の内外の適宜の位置、具体的には、表面層とクレープ紙との間、クレープ紙と吸収コアとの間、吸収コアの内部、クレープ紙と防漏層との間など、適宜の位置に配置することができる(図示せず)
【0090】
【実施例】
図1〜図7(a)に示す形態であり、吸収材(高吸収性ポリマー量300g/m)25および壁部材29ともに前記クレム吸水度および保水能を有する体液拡散部材dsを備えた本発明に係る紙おむつと、体液拡散部材を省略した以外は構成を共通にした紙おむつとを製造し、それぞれ角度15度の傾斜板上に展開状態で貼り付け、製品長手方向が傾斜の上下方向となるように固定し、次いで1回あたり200mlの人工尿(温度37℃)を4回、10分間隔で製品長手方向および幅方向中央の排泄部位に滴下した。また、未滴下時の吸収材の長さおよび各滴下時から5分後の吸収材の長さを測定し、収縮率を算出した。なお、この収縮率とは、各滴下後の測定値を未滴下時の吸収材の長さで除した値である。
【0091】
測定結果を表1に示した。また本実験中に体液の拡散状態を観察したところ、本発明の体液拡散部材を設けていない比較例では、初回吸収時にゲルブロッキングが発生し、人工尿が排泄部位近傍にスポット的に吸収されたが、本発明の体液拡散部材を設けた実施例では体液が吸収材の長手方向により広い範囲に拡散した。その結果、表1に示すように、本発明に係る実施例の吸収材は、比較例と比べて初回吸収時から4回目までバランスの良い収縮移動がなされた。
【0092】
【表1】
Figure 2004223065
【0093】
【発明の効果】
以上のとおり本発明によれば、スポット吸収によるゲルブロッキングが発生し難く、より確実に吸収材の更新機能が発揮される体液吸収性物品となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る使い捨て紙おむつ例の展開状態における表面層側平面図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】図1のIII−III断面図である。
【図4】吸収材の平面図である。
【図5】吸収材の要部斜視図である。
【図6】吸収材の(a)隔室部分の断面概略図、ならびに(b)区画部分の断面概略図である。
【図7】体液吸収性部材の概略を示す拡大断面図である。
【図8】吸収材の平面配置を示す説明図である。
【図9】吸収材の収縮状態を示す説明図である。
【図10】要部拡大縦断面図である。
【図11】吸収材の各種形態を示す断面概要図である。
【符号の説明】
1…体液吸収性部、2…表面層、3…防漏層、20…透過拡散層、21…透過抑制層、25…吸収材、26…体液吸収性部材、26A…高吸収性ポリマー、26B…担体、27…収縮性材、28…袋体、29…壁部材、r…隔室、d…区画、ds…体液拡散部材。

Claims (10)

  1. 身体の肌に面する側に設けられた液透過性の表面層、身体の肌から遠ざかる側に設けられた防漏層、および両者の間に設けられた体液吸収性部を有し、
    前記体液吸収性部内に、体液の吸収保持機能および体液との接触による収縮機能を有する吸収材を有し、
    前記吸収材は、担体に高吸収性ポリマーを保持させてなる体液吸収性部材と、前記体液吸収性部材に接触する体液拡散部材とを有するものである、
    ことを特徴とする体液吸収性物品。
  2. 担体に高吸収性ポリマーを保持させてなる体液吸収性部材とこれに接触する体液拡散部材とを有する壁部材が、前記体液吸収性部に所定の間隔をあけて複数配置されており、
    前記壁部材間に前記吸収材が配置されている、請求項1記載の体液吸収性物品。
  3. 前記吸収材の体液吸収性部材が体液透過性袋体内に封入されている、請求項1または2記載の体液吸収性物品。
  4. 前記吸収材は細長状をなし、その長手方向に沿って収縮性材が配置されたものであり、
    この吸収材が、物品前後方向に沿って配置され且つ物品幅方向に三本以上並設されており、各前記吸収材は、長手方向一端部のみが物品に対して固定され、他端部は自由端部とされている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
  5. 前記担体に高吸収性ポリマーが保持されている部分における、前記担体の単位面積当たりの高吸収性ポリマーの保持量が300g/m以上とされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
  6. 前記体液拡散部材は、表面親水化した合成繊維、または表面親水化した合成繊維およびセルロース系繊維の両繊維からなる、坪量30〜100g/m、JIS P 8141に規定される生理食塩水による10分後のクレム吸水度が100mm以上、かつ保水能が6.0g/g以上の繊維集合体シートである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
  7. 前記繊維集合体シートは、レーヨン繊維からなるウェブまたはレーヨン繊維およびパルプ繊維からなるウェブを絡合してなるものである、請求項6記載の体液吸収性物品。
  8. 前記体液吸収性部は、体液が排泄される排泄部位を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
  9. 前記吸収材の所定部位を物品に対して固定してなる、請求項1〜8のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
  10. 前記吸収材は、前記体液吸収性部材と、体液との接触により収縮する収縮性材とを一体化してなるものである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の体液吸収性物品。
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