JP2004222611A - 両軸受リールのレベルワインド機構 - Google Patents

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Abstract

【課題】両軸受リールのレベルワインド機構において、釣り糸の巻き取りおよび繰り出しをスムーズに行えるようにする。
【解決手段】レベルワインド機構15は、螺軸26と、釣糸案内部27と、ガイド部材25とを備えている。螺軸26は、スプールの回転軸に沿った第1方向に延び、外周面に螺旋状溝を有している。釣糸案内部27は、本体部材27aと、本体部材27aに配置され螺軸26に係合する係合部材27bと、スプール側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成された糸案内孔28dを含む筒状部材28とを有している。このとき、筒状部材28は、本体部材27aに嵌合可能に装着されている。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レベルワインド機構、特に、釣竿に装着されるリール本体に回転自在に装着されたスプールに、釣り糸をスプールの回転軸の方向に沿ってずらしながら巻き付けるための両軸受リールのレベルワインド機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
両軸受リールには、一般に、釣り糸をスプールにスプールの回転軸の方向に沿ってずらしながら巻き付けるためのレベルワインド機構が設けられている。レベルワインド機構は、スプールの糸繰り出し側でリール本体に回転自在に支持され外周面に螺旋状溝を有する螺軸と、螺軸に沿ってスプールの回転に同期して往復移動する釣糸案内部と、螺軸に沿った方向に釣糸案内部を案内するガイド部材とを備えている。特に、釣糸案内部は、本体部材と、本体部材に配置され螺軸に係合する係合部材と、スプール側から糸繰り出し側に向けて貫通して形成された糸案内孔を含み本体部材に装着される筒状部材とを有している
(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
一方で、釣糸案内部には、本体部材と、本体部材に配置され螺軸に係合する係合部材と、本体部材に設置されスプールの回転軸に沿った方向に釣り糸の移動を規制する規制部とで構成されたものもある。この規制部によって、釣り糸が、糸繰り出し側からスプール側へと案内される。そして、釣り糸が、左右に移動できる間隔を小さくして、左右にばたつかないようにしている(たとえば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−113461号公報(第5図)
【0005】
【特許文献2】
特開平11−220986号公報(第3図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前者の従来のレベルワインド機構では、釣り糸を巻き取るときに、釣糸案内部の糸案内孔において釣り糸が左右に移動して、スプールの糸巻き形状が崩れるおそれがあった。このため、後者の従来のレベルワインド機構では、釣糸案内部に規制部を設置することで、釣り糸が左右に移動できる間隔を小さくして、釣り糸をスプールに均等に巻き付けられるようにしている。しかしながら、規制部を設置した場合では、釣り糸が左右に移動できる間隔を小さくしたために、釣り糸を繰り出すときに、スプールに巻き付けられた釣り糸の位置によっては、スプールと糸案内孔との間の釣り糸に大きな傾斜角を生じるおそれがある。このため、糸案内孔において釣り糸の抵抗が大きくなり、釣り糸をスムーズに繰り出しにくくなる。
【0007】
本発明の課題は、両軸受リールのレベルワインド機構において、釣り糸の巻き取りおよび繰り出しをスムーズに行えるようにすることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、釣竿に装着されるリール本体に回転自在に装着されたスプールに、釣り糸をスプールの回転軸の方向に沿ってずらしながら巻き付けるためのものである。このレベルワインド機構は、螺軸と、釣糸案内部と、ガイド部材とを備えている。螺軸は、スプールの回転軸に沿った第1方向に延び、外周面に螺旋状溝を有している。釣糸案内部は、本体部材と、本体部材に配置され螺軸に係合する係合部材と、スプール側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成された糸案内孔を含む筒状部材とを有している。このとき、筒状部材は、本体部材に嵌合可能に装着されている。
【0009】
この両軸受リールのレベルワインド機構では、螺軸がスプールの糸繰り出し側でリール本体に回転自在に支持される。そして、釣糸案内部が、螺軸に沿ってスプールの少なくとも糸巻き取り方向の回転に同期して往復移動する。このとき、ガイド部材が、釣糸案内部を螺軸に沿った方向に案内する。
ここでは、糸案内孔は、スプール側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成されているので、糸繰り出し側において釣り糸のばたつきを抑えながら、釣り糸を繰り出したり巻き取ったりすることができる。このことから、糸巻き取り時には、釣り糸を安定した状態でスプールに導くことができ、釣り糸がスプール上のどの位置に巻き取られるとしても、釣り糸をスプールに均等に巻き取ることができる。また、糸繰り出し時には、釣り糸がスプール上のどの位置から繰り出されるとしても、スプールと糸案内孔との間の釣り糸に生じる傾斜角を小さくでき、糸案内孔において釣り糸に生じる抵抗を低減することができる。これらのことから、釣り糸の巻き取りおよび糸繰り出しをスムーズに行えるようになる。
【0010】
発明2に係る両軸受リールのレベルワインド機構では、発明1に記載のレベルワインド機構において、釣竿に対面する糸案内孔の内周面は、糸繰り出し側がスプール側より釣竿に接近するように傾斜してテーパ状に形成されている。この場合、釣竿に対面する糸案内孔の内周面は、糸繰り出し側がスプール側より釣竿に接近するように傾斜してテーパ状に形成されているので、スプールに釣り糸を巻き取っていくにつれて糸巻径が大きくなっても、釣竿に対面する糸案内孔の内周面において釣り糸に生じる抵抗を低減することができる。
【0011】
発明3に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、発明2に記載のレベルワインド機構において、糸案内孔の開口が、糸繰り出し側からスプール側まで円形に形成されている。この場合、糸案内孔の開口が糸繰り出し側からスプール側まで円形に形成されているので、糸案内孔において釣り糸に生じうる抵抗を効果的に低減することができる。
【0012】
発明4に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、発明3に記載のレベルワインド機構において、糸案内孔では、スプール側の直径に対する糸繰り出し側の直径の比率が0.2以上0.8未満に設定されている。この場合、糸案内孔のスプール側の直径に対する糸繰り出し側の直径の比率を0.2以上0.8未満に設定しているので、糸繰り出し側において釣り糸のばたつきを最適に抑えることができるように直径を規定すると、スプール側の直径を容易に設定することができる。このとき、糸案内孔の軸方向長さを実用的に必要な長さに設定する限り、糸案内孔を最適なテーパ状に形成することができる。なお、この比率を0.2未満にすると、糸案内孔の軸方向長さを実用的に必要な長さに設定しても、テーパ形状が緩くなり、糸案内孔において釣り糸に生じうる抵抗を十分に低減しにくい。また、比率を0.8以上にすると、糸案内孔の中で釣り糸が左右に移動しやすくなり、糸巻形状が崩れやすくなる。
【0013】
発明5に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、発明3又は4に記載のレベルワインド機構において、糸案内孔では、釣竿の中心軸に沿った軸方向長さに対するスプール側の直径と糸繰り出し側の直径との差である径差の比率(径差/軸方向長さ)が0.4以上に設定されている。この場合、軸方向長さに対する径差の比率が0.4以上に設定しているので、釣り糸がスプール上のどの位置から繰り出されたとしても、糸案内孔において釣り糸に生じる抵抗を効果的に低減できるように、糸案内孔をテーパ状に形成することができる。なお、この比率を0.4未満に設定すると、糸案内孔のテーパが緩くなり、釣り糸に生じる抵抗を十分に低減しにくい。
【0014】
発明6に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、発明1から5のいずれかに記載のレベルワインド機構において、糸案内孔では、釣竿側の内周面の少なくとも一部が釣竿の中心軸に略平行に形成されている。この場合、糸案内孔では、釣竿側の内周面の少なくとも一部が釣竿の中心軸に略平行に形成されているので、釣り糸を糸案内孔の内周面上で安定した状態で維持することができる。
【0015】
発明7に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、発明1から6のいずれかに記載のレベルワインド機構において、糸案内孔の周縁部が面取りされている。この場合、糸案内孔の周縁部が面取りされているので、釣り糸が糸案内孔の周縁部に接触することがあっても、糸案内孔の周縁部における釣り糸への応力集中が緩和され、糸案内孔の周縁部で釣り糸に生じる抵抗を低減することができる。
【0016】
発明8に係る両軸受リールのレベルワインド機構は、発明1から7のいずれかに記載のレベルワインド機構において、本体部材にはねじ穴が形成され、筒状部材にはねじ穴に螺合させたねじ部材に係合する係合部が形成されている。そして、筒状部材が係合部において本体部材にねじ部材により抜け止めされている。この場合、筒状部材が係合部において本体部材にねじ部材により抜け止めされているので、筒状部材を本体部材に確実に固定することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
〔両軸受リールの全体構成〕
本発明の一実施形態を採用した両軸受リールは、図1に示すように、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用のハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。
【0018】
リール本体1は、図1および図2に示すように、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6及び第2側カバー7と、フレーム5の前方を覆う前カバー10とを有している。フレーム5は、所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された一対の側板8、9と、これらの側板8、9を連結する複数の連結部11とを有している。下側の連結部(図示しない)には前後に長い竿取付脚部が装着されており、この竿取付脚部においてリール本体1は釣竿に装着される。フレーム5内には、スプール4と、スプール4の外周に釣り糸を均一に巻くためのレベルワインド機構15と、クラッチ機構13を操作するためのクラッチレバー17とが配置されている。フレーム5と第2側カバー7との間には、ハンドル2からの回転力をスプール4に伝えるための回転伝達機構18と、クラッチ機構13と、クラッチレバー17の操作に応じてクラッチ機構13の係脱を行うためのクラッチ係脱機構19と、ドラグ機構21と、スプール4回転時の抵抗力を調節するためのキャスティングコントロール機構22とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6との間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構23が配置されている。
【0019】
スプール4は、図2に示すように、糸巻胴部4bとフランジ部4aとを有している。糸巻胴部4bは、筒状に形成されており、外周に釣り糸が巻き付けられる。フランジ部4aは、糸巻胴部4bの両端で、糸巻胴部4bの外径より大径になるように一体に形成されている。このフランジ部4aは、糸巻胴部4bの両端で外方に向けて傾斜させている。スプール4は、糸巻胴部4bの内周側で軸方向に一体に形成されたボス部58を有しており、ボス部58を貫通するスプール軸16に回転不能に固定されている。スプール軸16は、側板9を貫通して第2側カバー7に向けて延びている。この第2側カバー7へと延びたスプール軸16の一端は、第2側カバー7に配置された軸受59aによって回転自在に支持されている。また、スプール軸16の他端は、遠心ブレーキ機構23内で軸受59bによって回転自在に支持されている。これらの軸受59a,59bは、シールドボールベアリングである。
【0020】
クラッチレバー17は、図2に示すように、スプール4の後方で一対の側板8、9の間に配置されている。このクラッチレバー17には、クラッチプレート40が装着される。クラッチプレート40は、図5に示すように、長方形の板状に形成されたレバー装着部40aと、レバー装着部40aの一端に一体に形成されたクラッチ係合部40bとを有している。フレーム5の側板9には長孔9aが形成されており、この長孔9aにレバー装着部40aの他端を挿通させて、レバー装着部40aにクラッチレバー17を装着している。なお、フレーム5の側板9とクラッチレバー17との間には保護カバー40eが装着されている。この保護カバー40eによって、クラッチレバー17を操作したときにフレーム5が傷つきにくくなっている。
【0021】
レバー装着部40aでは、図5に示すように、一端側が折り曲げ加工されており、この折り曲げ加工された部分にクラッチ係合部40bが一体に形成されている。このクラッチ係合部40bは、C形に形成されており、一端には係合孔40cが、他端にはカム係合部40dが、設けられている。係合孔40cには、ピン部材41が回転不能に固定されている。このピン部材41を、ブッシュ42を介して、側板9に形成されたプレート装着孔9bに揺動自在に装着させている。これによって、レバー装着部40aは、ピン部材41を支点として長孔9aに沿って上下方向にスライド可能となる。ここで、カム係合部40dは、クラッチカム74に係合している。このクラッチカム74は、クラッチプレート40と後述するクラッチヨーク70との間に配置されており、スプール軸16回りに回転自在になっている。このとき、クラッチプレート40のレバー装着部40aが長孔9aに沿って下方に移動すると、カム係合部40dによってクラッチカム74が回転させられる。
【0022】
回転伝達機構18は、図2に示すように、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、後述する螺軸26(レベルワインド機構の構成を参照)の端部に固定された第1ギア50と、第1ギア50に噛み合いハンドル軸30に回転不能に固定された第2ギア51とを有している。ハンドル軸30はスプール軸16と平行に配置されている。ハンドル軸30の一端は側板9側に回転自在に支持されており、ハンドル軸30の他端はハンドル2に固定されている。
【0023】
ピニオンギア32は、図2に示すように、中央部をスプール軸16が貫通可能な筒状の部材である。このピニオンギア32は、スプール軸16に軸方向移動自在に装着され、リール本体1に回転自在に支持されている。このように配置されたピニオンギア32は、メインギア31に噛み合う歯部61と、スプール軸16に噛み合う噛み合い部62と、歯部61と噛み合い部62との間に形成されたくびれ部63とを有している。噛み合い部62には凹溝64が端面の直径に沿って形成されており、この凹溝64にスプール軸16を貫通して固定された係合ピン65が係合可能になっている。このように、噛み合い部62と係合ピン65とで構成される機構がクラッチ機構13である。クラッチ機構13において、ピニオンギア32の凹溝64とスプール軸16の係合ピン65とが係合すると、ハンドル軸30からの回転力がスプール4に伝達される。この状態がクラッチオン状態である。一方で、ピニオンギア32が外方に移動して、ピニオンギア32の凹溝64とスプール軸16の係合ピン65とが離脱すると、ハンドル軸30からの回転力はスプール軸16には伝達されない。この状態がクラッチオフ状態である。クラッチオフ状態では、スプール4は自由に回転する。
【0024】
クラッチ係脱機構19は、図2および図5に示すように、クラッチヨーク70と、2本のピン71を立設させたヨーク係合部材73と、スプリング72とで構成されている。クラッチヨーク70は、ピニオンギア32の外周側に配置されており、2本のピン71によってスプール軸16の回転軸に沿った方向に移動可能に支持されている。このとき、クラッチヨーク70は、スプール軸16の回転に連動して回転しないようになっている。クラッチヨーク70は、中央部にギア係合部70aを有しており、このギア係合部70aにおいてピニオンギア32のくびれ部63に係合している。クラッチヨーク70と第2側カバー7との間には、2本のピン71の外周にスプリング72がそれぞれ配置されている。このスプリング72によって、クラッチヨーク70は常にフレーム5の側板9側に付勢されている。
【0025】
このようなクラッチ係脱機構19では、クラッチレバー17を下方に移動させると、クラッチプレート40によってクラッチカム74が回転させられる。このクラッチカム74の回転によって、クラッチヨーク70は外方に押圧される。すると、ピニオンギア32の噛み合い部62とスプール軸16の係合ピン65との係合が外れて、クラッチオフ状態になる。一方で、ハンドル2を回転させると、ハンドル軸30の回転に連動して、クラッチカム74の係止孔74bに装着されたカム係合部材(図示しない)によって、クラッチカム74がクラッチヨーク70に対して相対回転する。すると、クラッチヨーク70の押圧が解除され、ピニオンギア32の噛み合い部62とスプール軸16の係合ピン65とが係合して、クラッチオン状態になる。
【0026】
ドラグ機構21は、図2に示すように、メインギア31を押圧する摩擦プレート75と、スタードラグ3の回転操作によってメインギア31に摩擦プレート75を所定の力で押圧するための押圧プレート77とを有している。遠心ブレーキ機構23は、ブレーキケース82と、ブレーキケース82内に設置された回転部83と、回転部83に周方向に間隔を隔てて配置された摺動子84とを有している。ブレーキケース82は、側板8に形成された円形の開口にバヨネット構造により着脱自在に装着されている。摺動子84は、回転部83の径方向に移動自在になっている。キャスティングコントロール機構22は、スプール軸16の両端を挟むように配置された複数の摩擦プレート80a,80bと、摩擦プレート80a,80bによりスプール軸16の挟持力を調節するためのキャップ81とを有している。スプール軸16の一端に配置された摩擦プレート80aは、ブレーキケース82内に装着されており、スプール軸16の他端に配置された摩擦プレート80bは、キャップ81内に装着されている。
【0027】
ハンドル2は、図1および図2に示すように、リール本体1の側方に配置され、釣竿の中心軸にくい違う軸回りに回転自在になっている。ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手2bとを有している。アーム部2aでは、外側面がつなぎ目のない滑らかな面に形成されており、釣り糸が絡みにくくなっている。把手2bはダブルハンドル型になっている。
【0028】
〔レベルワインド機構の構成〕
レベルワインド機構15は、スプール4に釣り糸をスプール4の軸方向に沿ってずらしながら巻き付けるためのものである。このレベルワインド機構15は、図2に示すように、螺軸26と、釣糸案内部27と、ガイド部材25とを備えている。螺軸26は、スプール軸16に沿った方向に左右に延び、スプール4の糸繰り出し側でリール本体1に回転自在に支持されている。この螺軸26には、外周面に螺旋状溝26aが形成されている。釣糸案内部27は、図3および図4に示すように、本体部材27aと、本体部材27aに配置され螺軸26に係合する係合部材27bと、本体部材27aに嵌合可能に装着される筒状部材28とを有している。この釣糸案内部27は、螺軸26に沿ってスプール4の糸巻き取り方向の回転に同期して往復移動する。本体部材27aは、移動部27eと突出部27fとを有している。移動部27eには、螺軸26とガイド部材25とが貫通して配置されている。突出部27fは、移動部27eの上部に突出して一体に形成されている。この突出部27fをスプール4側から糸繰り出し側に貫通して、嵌合孔27gが設けられている。また、突出部27fの側面には、ねじ穴27hが形成されている。本体部材27aの下部にはガイド孔27cが設けられており、このガイド孔27cは螺軸26に平行に本体部材27aを貫通して形成されている。
【0029】
筒状部材28は、たとえば、セラミックスまたは硬質のステンレス合金により形成されている。この筒状部材28は、図4に示すように、嵌合孔27gにスプール4側から糸繰り出し側に向けて嵌合され装着される。筒状部材28には、ねじ穴27hに螺合するねじ部材29に係合可能な係合部28aが設けられている。そして、この係合部28aにねじ部材29を係合させながら、たとえば六角穴付き止めねじ等のねじ部材29により、筒状部材28は本体部材27aに抜け止めされる。
【0030】
筒状部材28は、図4に示すように、筒状部28bと鍔部28cとを有している。筒状部28bには糸案内孔28dが設けられている。この糸案内孔28dは、スプール4側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成されている。また、糸案内孔28dの上面側の内周面は、糸繰り出し側がスプール4側より釣竿に接近するように傾斜してテーパ状に形成されている。さらに、糸案内孔28dの下側内周面は、釣竿の中心軸に略平行になるように形成されている。ここで、糸案内孔28dの内周縁部には面取りが施されている。糸案内孔28dの開口形状は、糸繰り出し側からスプール4側まで円形になっている。この糸案内孔28dでは、スプール4側の直径r1(面取り部を除く)に対する糸繰り出し側の直径r2(面取り部を除く)の比率(r2/r1)が0.2以上0.8未満に設定されている。そして、釣竿の中心軸に沿った軸方向長さL(面取り部を除く)に対するスプール4側の直径r1(面取り部を除く)と糸繰り出し側の直径r2(面取り部を除く)との差である径差(r1−r2)の比率((r1−r2)/L)が0.4以上に設定されている。鍔部28cは、筒状部28bのスプール4側において、筒状部材28の端部外周面上に径方向に突出して一体に形成されている。
【0031】
ガイド部材25は、図3に示すように、釣糸案内部27を螺軸26に沿った方向に案内するためのものである。ガイド部材25は、ガイド筒25aとガイド棒25bとで構成されている。ガイド筒25aとガイド棒25bとは、1対の側板8、9間に固定され、スプール軸16と平行に配置されている。ガイド筒25aは筒状に形成されており、ガイド筒25aの外周面には軸方向に長い開口部が形成されている。このガイド筒25a内に螺軸26が配置されている。そして、ガイド筒25aに形成された開口部により、ガイド筒25aの外方から内部に向けて、釣糸案内部27の係合部材27bが螺軸26に係合可能になっている。ガイド棒25bは、釣糸案内部27に形成されたガイド孔27cに、軸方向に摺動自在に挿通させている。
【0032】
〔両軸受リールおよびレベルワインド機構の動作〕
キャスティングを行う場合には、まず、バックラッシュを抑えるためにキャスティングコントロール機構22のキャップ81を回転させて制動力を調整する。次に、クラッチレバー17を下方に押すと、クラッチレバー17が側板8,9に設けられた長孔9aに沿って下方に移動する。すると、クラッチプレート40を介してクラッチカム74が回転して、クラッチ係脱機構19のクラッチヨーク70が外方に押圧され移動する。これによって、クラッチヨーク70に係合したピニオンギア32が外方に移動させられる。この状態は、ピニオンギア32の噛み合い部62とスプール軸16の係合ピン65との係合が外れているので、クラッチオフ状態である。つまり、ハンドル軸30からの回転はスプール軸16に伝達されず、スプール4は自由に回転する。このクラッチオフ状態で、クラッチレバー17に置いた親指でスプール4をサミングしながらキャスティングすると、スプール4が糸繰り出し方向に自由回転し、釣り糸が筒状部材28の糸案内孔28dから繰り出される。
【0033】
キャスティング後、着水した仕掛けを巻き取るときには、左手でパーミングしながら、右手でハンドル2を回転させる。すると、ピニオンギア32の噛み合い部62とスプール軸16の係合ピン65とが係合した状態(クラッチオン状態)になり、ハンドル2の回転力がハンドル軸30およびメインギア31を介してピニオンギア32に伝達されて、スプール4が回転する。一方で、ハンドル2を回転させたときには、ハンドル軸30に回転不能に固定された第2ギア51から、螺軸26の端部に固定された第1ギア50へと、ハンドル2の回転力が伝達されて、螺軸26が回転する。すると、螺軸26に係合した係合部材27bによって、釣糸案内部27は、ガイド部材25に案内されながら螺軸26に沿った方向に往復移動させられる。このとき、釣り糸は、糸繰り出し側からスプール4側へと筒状部材28の糸案内孔28dを通って、スプール4の回転に対して少しずつずれながら、スプール4に巻き付けられていく。
【0034】
以上のような両軸受リールを使用する場合、糸繰り出し時や糸巻き取り時には、釣り糸が、釣糸案内部27に装着された筒状部材28の糸案内孔28dを通って、スプール4側に巻き取られたり、スプール4側から繰り出されたりする。このとき、釣糸案内部27の糸案内孔28dにおいて釣り糸がばたつかないようにしておくことは、釣り糸をスプール4に均一かつ密に巻き取るためには有効で、スプール4の糸巻き形状を崩れにくくする。また、釣糸案内部27の糸案内孔28dにおける釣り糸の抵抗を小さくすることができれば、釣り糸をスムーズにスプール4に巻き取ったり繰り出したりすることができる。
【0035】
本実施形態のレベルワインド機構15では、糸案内孔28dは、スプール4側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成されているので、糸繰り出し側において釣り糸のばたつきを抑えながら、釣り糸を繰り出したり巻き取ったりすることができる。このことから、糸巻き取り時には、釣り糸を安定した状態でスプール4に導くことができ、釣り糸がスプール4上のどの位置に巻き取られるとしても、釣り糸をスプール4に均等に巻き取ることができる。また、糸繰り出し時には、釣り糸がスプール4上のどの位置から繰り出されるとしても、スプール4と糸案内孔28dとの間の釣り糸に生じる傾斜角を小さくでき、糸案内孔28dにおいて釣り糸に生じる抵抗を低減することができる。これらのことから、釣り糸の巻き取りおよび糸繰り出しをスムーズに行えるようになる。
【0036】
〔他の実施形態〕
(a) 前記実施形態では、糸案内孔28dの開口形状が円形に形成される場合の例を示したが、糸案内孔28dの開口形状は、前記実施形態に限定されず、糸案内孔28dのスプール4側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように、糸案内孔28dが糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成されていれば、どのような形状でも良い。たとえば、糸案内孔28dの開口形状を、左右又は上下に長い長円にして、スプール側から糸繰り出し側に向けて開口を左右に先細りさせてテーパ状に形成しても良い。
【0037】
(b) 前記実施形態では、筒状部材28がねじ部材29により本体部材27aに抜け止めされる場合の例を示したが、筒状部材28の本体部材27aへの装着方法は、前記実施形態に限定されず、筒状部材28が本体部材27aから脱落しなければ、どのようなものでも良い。
たとえば、本体部材27aの嵌合孔27gに雌ねじ部を形成しておいて、この雌ねじ部に螺合可能な雄ねじ部を筒状部材28の外周面に設けることで、筒状部材28を嵌合孔27gに螺合させて本体部材27aに装着するようにしても良い。
【0038】
また、筒状部材28を本体部材27aの嵌合孔27gにスプール4側から糸繰り出し側に向けて嵌合して、筒状部材28の糸繰り出し側の先端部が本体部材27aから突出するようにしておき、糸繰り出し側に突出させた筒状部材28に、たとえばC形止め輪のような抜け止め部材を装着することで、筒状部材28を本体部材27aに抜け止めしても良い。
【0039】
(c) 前記実施形態では、筒状部材28がセラミックスまたは硬質のステンレス合金により形成される場合の例を示したが、筒状部材28の材質は、前記実施形態に限定されるものではなく、どのようなものでも良い。
(d) 前記実施形態では、回転伝達機構18の第1ギア50と第2ギア51とによりスプール4の糸巻き取り方向に対してのみ螺軸26が回転する場合の例を示したが、スプール4の糸繰り出し方向に対しても螺軸26が回転するような機構を設けても良い。この場合は、スプール軸16に連動する連動機構を設置することで、糸繰り出し方向に対して螺軸26を回転させることができる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、両軸受リールのレベルワインド機構において、糸案内孔は、スプール側の第1方向長さが糸繰り出し側の第1方向長さより大きくなるように糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成されているので、糸繰り出し側において釣り糸のばたつきを抑えながら、釣り糸を繰り出したり巻き取ったりすることができる。このことから、糸巻き取り時には、釣り糸を安定した状態でスプールに導くことができ、釣り糸がスプール上のどの位置に巻き取られるとしても、釣り糸をスプールに均等に巻き取ることができる。また、糸繰り出し時には、釣り糸がスプール上のどの位置から繰り出されるとしても、スプールと糸案内孔との間の釣り糸に生じる傾斜角を小さくでき、糸案内孔において釣り糸に生じる抵抗を低減することができる。これらのことから、釣り糸の巻き取りおよび糸繰り出しをスムーズに行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による両軸受リールの平面図。
【図2】前記両軸受リールの平面断面図。
【図3】前記両軸受リールにおけるレベルワインド機構の釣糸案内部の前面拡大図および側面断面図。
【図4】前記両軸受リールにおける前記レベルワインド機構の筒状部材の側面断面図および平面断面図(V−V)。
【図5】前記両軸受リールのクラッチプレートの斜視図
【符号の説明】
1 リール本体
2 ハンドル
4 スプール
15 レベルワインド機構
16 スプール軸
25 ガイド部材
26 螺軸
26a 螺旋状溝
27 釣糸案内部
27a 本体部材
27b 係合部材
27e 移動部
27f 突出部
27g 嵌合孔
27h ねじ穴
28 筒状部材
28a 係合部
28b 筒状部
28c 鍔部
28d 糸案内孔
29 ねじ部材

Claims (8)

  1. 釣竿に装着されるリール本体に回転自在に装着されたスプールに、釣り糸を前記スプールの回転軸の方向に沿ってずらしながら巻き付けるための両軸受リールのレベルワインド機構であって、
    前記スプールの回転軸に沿った第1方向に延び前記スプールの糸繰り出し側で前記リール本体に回転自在に支持され、外周面に螺旋状溝を有する螺軸と、
    本体部材と、前記本体部材に配置され前記螺軸に係合する係合部材と、前記スプール側の前記第1方向長さが前記糸繰り出し側の前記第1方向長さより大きくなるように前記糸繰り出し側に向けて先細りテーパ状に形成された糸案内孔を含み前記本体部材に嵌合可能に装着される筒状部材とを有し、前記螺軸に沿って前記スプールの少なくとも糸巻き取り方向の回転に同期して往復移動する釣糸案内部と、
    前記螺軸に沿った方向に前記釣糸案内部を案内するガイド部材と、
    を備える両軸受リールのレベルワインド機構。
  2. 前記釣竿に対面する前記糸案内孔の内周面は、前記糸繰り出し側が前記スプール側より前記釣竿に接近するように傾斜してテーパ状に形成されている、請求項1に記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
  3. 前記糸案内孔の前記開口は、前記糸繰り出し側から前記スプール側まで円形に形成されている、請求項2に記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
  4. 前記糸案内孔では、前記スプール側の直径に対する前記糸繰り出し側の直径の比率が0.2以上0.8未満に設定されている、請求項3に記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
  5. 前記糸案内孔では、前記釣竿の中心軸に沿った軸方向長さに対する前記スプール側の直径と前記糸繰り出し側の直径との差である径差の比率(前記径差/前記軸方向長さ)が0.4以上に設定されている、請求項3又は4に記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
  6. 前記糸案内孔では、前記釣竿側の内周面の少なくとも一部が前記釣竿の中心軸に略平行に形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
  7. 前記糸案内孔の内周縁部は、面取りされている、請求項1から6のいずれかに記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
  8. 前記本体部材にはねじ穴が形成され、前記筒状部材には前記ねじ穴に螺合させたねじ部材に係合する係合部が形成されており、前記筒状部材が前記係合部において前記本体部材に前記ねじ部材により抜け止めされている、請求項1から7のいずれかに記載の両軸受リールのレベルワインド機構。
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