JP2004222410A - モータのステータ鉄心 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層間の反発力を弱めることを図った各種モータのステータ鉄心に関し、板厚とティース幅の形状を規定して、接着コーティングで固定された積層鋼板の振動を低減したモータのステータ鉄心を提供すること。
【解決手段】コイルが巻回されるティースを備えたステータを複数枚積層して用いるモータのステータ鉄心において、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にし、ロータに近いティース端部の幅W3をティース根元幅W1の1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2になるようにモータのステータ鉄心を構成すること。
【選択図】 図8
【解決手段】コイルが巻回されるティースを備えたステータを複数枚積層して用いるモータのステータ鉄心において、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にし、ロータに近いティース端部の幅W3をティース根元幅W1の1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2になるようにモータのステータ鉄心を構成すること。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は各種モータのステータ鉄心に関し、詳しくはモータのステータを形成する際に積層シートのティース先端部の接着状態を劣化させない技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば三相同期モータのステータは、電磁鋼板を回転軸の軸方向に積層して構成されている。積層されるシートの表面には、表面に絶縁層が、稀にはさらに接着層が形成されており、積層後に機械的にかしめたり、接着層を加熱溶融することで積層シートが固定される。こうしたモータの一例としては、特許文献1に示された「可変リラクタンスモータ」などが知られている。
【0003】
こうしたステータの材料として通常は無方向性電磁鋼板が採用されている。これは、次の理由による。ステータ側に形成される磁束を考えると、ティースの部位では磁束はモータの径方向となり、ヨークの部位では周方向となる。このようにティースとヨークで磁束の方向はほとんど90°異なる。さらに各ティースは中心方向を向き、それぞれ中心角分だけずれている配置になるため、磁束の流れる方向もずれることになる。磁束の方向がバラバラなステータにおいて、全体として鉄損を小さくしようとすると、磁化の容易な方向が存在する一方向性電磁鋼板では鉄損や磁束を効率よく流す組み合わせは簡単ではないため、無方向性電磁鋼板を使用することが通常採用されている。
【0004】
一方、モータコアは電磁鋼板を積層して、かしめや溶接することにより積層コアとして一体化し、固定するのが一般的であるが、かしめや溶接等の加工を施した場合、コアの磁気特性劣化が問題となる。しかしながら、かしめや溶接等の積層シートの固定方法では、部分的に固定するため固定されていない部分が、振動や騒音の原因となる可能性がある。
【0005】
ところで、電磁鋼板の表面には、渦電流損の低減を目的として絶縁被膜が施されている。この絶縁被膜には、本来の絶縁性のほかに耐食性や打抜き性などの各種機能が付与されているが、これらの被膜特性にさらに接着剤としての機能を付与することが可能で、古くから様々な技術が提案されている。すなわち、例えば、特許文献2に開示されているように電磁鋼板に塗布されている絶縁被膜を加圧と同時に加熱することにより被膜が溶融・融着して鋼板同士を固定し、コアを固定できるいわゆる接着コーティングが開発されている。通常、接着コーティングには絶縁被膜としての特性と接着剤としての特性を両立させる必要から有機樹脂が用いられている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−119561号公報
【特許文献2】
特公昭55−9815号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
モータの効率の向上、例えば三相同期モータの出力トルクの増大、形状の小型化を図るためには、ティース部において磁束密度を高くする方法があり、また回転数を上げる方法もある。反対に、出力を一定にしてモータ形状を小さくするためにはティース部の磁束密度を高くする方法が採用される。この場合、コアの積層シートから磁束がロータへ渡るが、磁束が外部へ出る個々の積層シートには同極の磁極が発生し、それらが強く反発するため、積層間に隙間ができる。特に磁極が発生するティース先端で顕著である。この状態において長期間高温で使用した場合、鋼板層間の接着強度が劣化し、部分的に隙間が開いて、機械強度が落ちる。
また、隙間が発生することによる板の自由度が増すため、振動起因による騒音が発生する。本発明ではコア積層シート間の接着強度の劣化を防ぎ、前記のごとき問題を解消することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の具体的な手段は以下の通りである。
(1)コイルが巻回されるティースを備えたステータを複数枚積層して用いるモータのステータ鉄心において、積層の固定のために接着コ−ティングを用い、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にし、ヨークの近傍のティース幅W1に対し、ロータに近いティース端部の幅W3を1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2を満たすことを特徴とするモータのステータ鉄心。
【0009】
【発明の実施の形態】
すでに述べたように、これまでモータの効率向上、出力トルクの増大、形状の小型化を図るために、ティースにおける高磁束密度化が図られている。この場合、ティース先端において磁束密度が増すために同極の強い磁極が発生し、それらが強く反発するため、積層間に離れる力が加わり接着強度が弱まる。本発明者らはこれらの部位の構造に注目し、積層シートの接着強度を劣化させない手法を効果的に実現するため鋭意研究を行った。
【0010】
以下実験にもとづき説明する。
本発明者らはティース先端に加わる積層シート間の反発力を計算し、これを基に測定した。以下に計算例を示す。ティース先端の自由度はステータの他の部分より一番高いため、この部分に加わる反発力を計算した(図1)。ティース先端間での反発力を(1)式に表す。
F=τ2/2πμ0r (1)
ここでティース先端における磁荷は幅方向に均一に分布していると仮定した。Fは鋼板間の反発力(N)、τは単位長さあたりの線磁荷(Wb/m)で、ここではティースの幅方向に一様とした。μ0は真空の透磁率(H/m)、rは線磁荷間の距離(m)で、このモデルでは鋼板の板厚に等しい。線磁荷はφ/Wと表され(φ=BS;S:ティース断面積(m2))、磁束密度Bに比例する。ここでWはティース幅(m)とする。
【0011】
単位長さあたり、板厚0.5mm、磁束密度1.0Tで鋼板間に働く反発力Fは63.3Nとなり、ティース先端から板厚長さ分、内側へ入り込んだ面積に対する反発力は0.126MPaと表される。この関係を図2に示す。反発力は磁束密度の2乗に比例し、板厚が薄くなると小さくなる。板厚との関係を図3に示す。板厚に対して反発力は比例する。これらの結果から板厚を薄くし、磁束密度を下げることで同極の磁極を弱めて反発力を小さくすることで接着強度の劣化を防ぐことができる。
【0012】
図4はティース先端の磁束密度を小さくする構造である。ここでW1はコアバックヨークに接しているティース幅、W2はティース長さLの1/2の位置である中間部のティース幅、W3はティース先端のティース幅である。W1はティースからステータのヨーク側に一番深く入り込んだ巻線スロットの位置におけるティースの幅とする。
ティース先端部での磁束密度を小さくし、W3をW1より大きくし、かつティース先端における磁束を均一に分布させるため、(2)式の条件をつけた。
W2≧(W1+W3)/2 (2)
【0013】
図5はティース幅比(W2/W1)による磁束密度比(Bw3/Bw1)の変化を示した。ここでBw1はコアバックヨークに接しているティースにおける磁束密度、Bw3はティース先端部における磁束密度を示す。(W2/W1)が1.5より大きいと磁束密度比が低位安定になり、磁荷を小さくでき積層シート間の反発力が小さくなり、接着強度の劣化を抑えられる。
また、形状に関してはティース先端部で幅が急に広くなると磁束が均一に分布しないため、局所的にBの大きい部分が発生して効果が見られない。幅を徐々に広げた方が均一に磁束密度が小さくなり、全体的な反発力が小さく接着強度の劣化が抑えられる。
【0014】
以下、実施例にもとづき本発明を説明する。
【実施例】
[実施例1]
図6に本発明を適用したモータのステータの断面図を示す。図6において、ステータ鉄心の中心に円形の電磁鋼板を固定し、回転させない状態で磁気回路を形成した。鋼板厚さ0.2mmで、積層厚が20mmになるように重ねた。雰囲気温度を100〜600℃に変え、ティース形状をA型(W1=W2=W3)とB型(2×W1=W2=W3)でティース近傍にマイクロフォンを20mmに近づけ騒音を測定した(図7)。A型では連続励磁下600℃で騒音が20dBから60dBへ増加した。これは鋼板間の接着強度か落ちたためと考えられる。一方、本発明の条件を満たすB型では騒音に実質的な変化は見られず、接着強度の劣化が小さいことを確認できた。
【0015】
[実施例2]
以下本発明の第2の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図8は0.2mm厚の鋼板をティースに打抜いて20mm厚に接着し積層したもので、温度を100〜600℃に、また(W2/W1)比を1〜2に変え、1.5Tで60日間励磁した後、ティース先端における積層シート間の隙間を観察した。この結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
ここで、○は隙間発生無し、△は一つのコアにおいて隙間が20%発生、×は20%を越えて発生したことを表す。100℃の場合では目視で殆ど隙間に変化は見られないが、温度が300℃において、ティースの形状が細長い(W2/W1=1)と途中磁束の先端で部分的に接着強度が弱くなり20%程度隙間が発生した。これはティース先端で十分磁束が均一化せず、局所的にBの大きい部分が発生し、これから振動によって隙間が発生すると考えられる。W2/W1=2の条件では温度にかかわらず殆ど積層間の隙間は見られなかった。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、積層シート間の固定のために接着コ−ティングを用い、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にすることで、コアの積層シート間に働く強い反発力を抑えることができ、長い期間高温で使用した場合の、コアの積層シート間に隙間が開くことを避けることが図れる。
また、ロータに近いティース端部の幅W3をティース根元幅W1の1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2を満たすことにより、上記と同様に振動から発生する騒音を著しく低減させる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】反発力を計算するためのティースの横断面を示す図である。
【図2】磁束密度と鋼板間反発力の関係を示す図である。
【図3】板厚と鋼板間反発力の関係を示す図である。
【図4】ティースの形状を規定するパラメータを示す図である。
【図5】ティースの形状とティース根元と先端の磁束密度比を示す図である。
【図6】ティース振動を測定するコアを示す図である。
【図7】励磁時間とティース振動による騒音を示す図である。
【図8】振動によって発生するティースの隙間を観察する図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は各種モータのステータ鉄心に関し、詳しくはモータのステータを形成する際に積層シートのティース先端部の接着状態を劣化させない技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば三相同期モータのステータは、電磁鋼板を回転軸の軸方向に積層して構成されている。積層されるシートの表面には、表面に絶縁層が、稀にはさらに接着層が形成されており、積層後に機械的にかしめたり、接着層を加熱溶融することで積層シートが固定される。こうしたモータの一例としては、特許文献1に示された「可変リラクタンスモータ」などが知られている。
【0003】
こうしたステータの材料として通常は無方向性電磁鋼板が採用されている。これは、次の理由による。ステータ側に形成される磁束を考えると、ティースの部位では磁束はモータの径方向となり、ヨークの部位では周方向となる。このようにティースとヨークで磁束の方向はほとんど90°異なる。さらに各ティースは中心方向を向き、それぞれ中心角分だけずれている配置になるため、磁束の流れる方向もずれることになる。磁束の方向がバラバラなステータにおいて、全体として鉄損を小さくしようとすると、磁化の容易な方向が存在する一方向性電磁鋼板では鉄損や磁束を効率よく流す組み合わせは簡単ではないため、無方向性電磁鋼板を使用することが通常採用されている。
【0004】
一方、モータコアは電磁鋼板を積層して、かしめや溶接することにより積層コアとして一体化し、固定するのが一般的であるが、かしめや溶接等の加工を施した場合、コアの磁気特性劣化が問題となる。しかしながら、かしめや溶接等の積層シートの固定方法では、部分的に固定するため固定されていない部分が、振動や騒音の原因となる可能性がある。
【0005】
ところで、電磁鋼板の表面には、渦電流損の低減を目的として絶縁被膜が施されている。この絶縁被膜には、本来の絶縁性のほかに耐食性や打抜き性などの各種機能が付与されているが、これらの被膜特性にさらに接着剤としての機能を付与することが可能で、古くから様々な技術が提案されている。すなわち、例えば、特許文献2に開示されているように電磁鋼板に塗布されている絶縁被膜を加圧と同時に加熱することにより被膜が溶融・融着して鋼板同士を固定し、コアを固定できるいわゆる接着コーティングが開発されている。通常、接着コーティングには絶縁被膜としての特性と接着剤としての特性を両立させる必要から有機樹脂が用いられている。
【0006】
【特許文献1】
特開平2−119561号公報
【特許文献2】
特公昭55−9815号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
モータの効率の向上、例えば三相同期モータの出力トルクの増大、形状の小型化を図るためには、ティース部において磁束密度を高くする方法があり、また回転数を上げる方法もある。反対に、出力を一定にしてモータ形状を小さくするためにはティース部の磁束密度を高くする方法が採用される。この場合、コアの積層シートから磁束がロータへ渡るが、磁束が外部へ出る個々の積層シートには同極の磁極が発生し、それらが強く反発するため、積層間に隙間ができる。特に磁極が発生するティース先端で顕著である。この状態において長期間高温で使用した場合、鋼板層間の接着強度が劣化し、部分的に隙間が開いて、機械強度が落ちる。
また、隙間が発生することによる板の自由度が増すため、振動起因による騒音が発生する。本発明ではコア積層シート間の接着強度の劣化を防ぎ、前記のごとき問題を解消することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の具体的な手段は以下の通りである。
(1)コイルが巻回されるティースを備えたステータを複数枚積層して用いるモータのステータ鉄心において、積層の固定のために接着コ−ティングを用い、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にし、ヨークの近傍のティース幅W1に対し、ロータに近いティース端部の幅W3を1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2を満たすことを特徴とするモータのステータ鉄心。
【0009】
【発明の実施の形態】
すでに述べたように、これまでモータの効率向上、出力トルクの増大、形状の小型化を図るために、ティースにおける高磁束密度化が図られている。この場合、ティース先端において磁束密度が増すために同極の強い磁極が発生し、それらが強く反発するため、積層間に離れる力が加わり接着強度が弱まる。本発明者らはこれらの部位の構造に注目し、積層シートの接着強度を劣化させない手法を効果的に実現するため鋭意研究を行った。
【0010】
以下実験にもとづき説明する。
本発明者らはティース先端に加わる積層シート間の反発力を計算し、これを基に測定した。以下に計算例を示す。ティース先端の自由度はステータの他の部分より一番高いため、この部分に加わる反発力を計算した(図1)。ティース先端間での反発力を(1)式に表す。
F=τ2/2πμ0r (1)
ここでティース先端における磁荷は幅方向に均一に分布していると仮定した。Fは鋼板間の反発力(N)、τは単位長さあたりの線磁荷(Wb/m)で、ここではティースの幅方向に一様とした。μ0は真空の透磁率(H/m)、rは線磁荷間の距離(m)で、このモデルでは鋼板の板厚に等しい。線磁荷はφ/Wと表され(φ=BS;S:ティース断面積(m2))、磁束密度Bに比例する。ここでWはティース幅(m)とする。
【0011】
単位長さあたり、板厚0.5mm、磁束密度1.0Tで鋼板間に働く反発力Fは63.3Nとなり、ティース先端から板厚長さ分、内側へ入り込んだ面積に対する反発力は0.126MPaと表される。この関係を図2に示す。反発力は磁束密度の2乗に比例し、板厚が薄くなると小さくなる。板厚との関係を図3に示す。板厚に対して反発力は比例する。これらの結果から板厚を薄くし、磁束密度を下げることで同極の磁極を弱めて反発力を小さくすることで接着強度の劣化を防ぐことができる。
【0012】
図4はティース先端の磁束密度を小さくする構造である。ここでW1はコアバックヨークに接しているティース幅、W2はティース長さLの1/2の位置である中間部のティース幅、W3はティース先端のティース幅である。W1はティースからステータのヨーク側に一番深く入り込んだ巻線スロットの位置におけるティースの幅とする。
ティース先端部での磁束密度を小さくし、W3をW1より大きくし、かつティース先端における磁束を均一に分布させるため、(2)式の条件をつけた。
W2≧(W1+W3)/2 (2)
【0013】
図5はティース幅比(W2/W1)による磁束密度比(Bw3/Bw1)の変化を示した。ここでBw1はコアバックヨークに接しているティースにおける磁束密度、Bw3はティース先端部における磁束密度を示す。(W2/W1)が1.5より大きいと磁束密度比が低位安定になり、磁荷を小さくでき積層シート間の反発力が小さくなり、接着強度の劣化を抑えられる。
また、形状に関してはティース先端部で幅が急に広くなると磁束が均一に分布しないため、局所的にBの大きい部分が発生して効果が見られない。幅を徐々に広げた方が均一に磁束密度が小さくなり、全体的な反発力が小さく接着強度の劣化が抑えられる。
【0014】
以下、実施例にもとづき本発明を説明する。
【実施例】
[実施例1]
図6に本発明を適用したモータのステータの断面図を示す。図6において、ステータ鉄心の中心に円形の電磁鋼板を固定し、回転させない状態で磁気回路を形成した。鋼板厚さ0.2mmで、積層厚が20mmになるように重ねた。雰囲気温度を100〜600℃に変え、ティース形状をA型(W1=W2=W3)とB型(2×W1=W2=W3)でティース近傍にマイクロフォンを20mmに近づけ騒音を測定した(図7)。A型では連続励磁下600℃で騒音が20dBから60dBへ増加した。これは鋼板間の接着強度か落ちたためと考えられる。一方、本発明の条件を満たすB型では騒音に実質的な変化は見られず、接着強度の劣化が小さいことを確認できた。
【0015】
[実施例2]
以下本発明の第2の実施例について、図面を参照しながら説明する。
図8は0.2mm厚の鋼板をティースに打抜いて20mm厚に接着し積層したもので、温度を100〜600℃に、また(W2/W1)比を1〜2に変え、1.5Tで60日間励磁した後、ティース先端における積層シート間の隙間を観察した。この結果を表1に示す。
【0016】
【表1】
【0017】
ここで、○は隙間発生無し、△は一つのコアにおいて隙間が20%発生、×は20%を越えて発生したことを表す。100℃の場合では目視で殆ど隙間に変化は見られないが、温度が300℃において、ティースの形状が細長い(W2/W1=1)と途中磁束の先端で部分的に接着強度が弱くなり20%程度隙間が発生した。これはティース先端で十分磁束が均一化せず、局所的にBの大きい部分が発生し、これから振動によって隙間が発生すると考えられる。W2/W1=2の条件では温度にかかわらず殆ど積層間の隙間は見られなかった。
【0018】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、積層シート間の固定のために接着コ−ティングを用い、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にすることで、コアの積層シート間に働く強い反発力を抑えることができ、長い期間高温で使用した場合の、コアの積層シート間に隙間が開くことを避けることが図れる。
また、ロータに近いティース端部の幅W3をティース根元幅W1の1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2を満たすことにより、上記と同様に振動から発生する騒音を著しく低減させる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】反発力を計算するためのティースの横断面を示す図である。
【図2】磁束密度と鋼板間反発力の関係を示す図である。
【図3】板厚と鋼板間反発力の関係を示す図である。
【図4】ティースの形状を規定するパラメータを示す図である。
【図5】ティースの形状とティース根元と先端の磁束密度比を示す図である。
【図6】ティース振動を測定するコアを示す図である。
【図7】励磁時間とティース振動による騒音を示す図である。
【図8】振動によって発生するティースの隙間を観察する図である。
Claims (1)
- コイルが巻回されるティースを備えたステータを複数枚積層して用いるモータのステータ鉄心において、積層の固定のために接着コーティングを用い、積層する電磁鋼板の板厚を0.2mm以下にし、ヨーク近傍のティース幅W1に対し、ロータに近いティース端部の幅W3を1.5倍以上とし、かつその中間部のティース幅W2が(W1+W3)/2≦W2を満たすことを特徴とするモータのステータ鉄心。
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JP2003006596A JP2004222410A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | モータのステータ鉄心 |
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JP2003006596A JP2004222410A (ja) | 2003-01-15 | 2003-01-15 | モータのステータ鉄心 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP (1) | JP2004222410A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009089548A (ja) * | 2007-10-02 | 2009-04-23 | Hitachi Appliances Inc | 洗濯乾燥機のファン駆動用永久磁石式回転電機 |
CN103415979A (zh) * | 2011-03-08 | 2013-11-27 | 松下电器产业株式会社 | 电动机的定子以及电动机 |
WO2014195999A1 (ja) * | 2013-06-03 | 2014-12-11 | 三菱電機株式会社 | 同期電動機 |
-
2003
- 2003-01-15 JP JP2003006596A patent/JP2004222410A/ja not_active Withdrawn
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US9548633B2 (en) | 2011-03-08 | 2017-01-17 | Panasonic Intellectual Property Management Co., Ltd. | Stator of motor having tooth portions with different widths |
WO2014195999A1 (ja) * | 2013-06-03 | 2014-12-11 | 三菱電機株式会社 | 同期電動機 |
WO2014196353A1 (ja) * | 2013-06-03 | 2014-12-11 | 三菱電機株式会社 | 同期電動機 |
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US10601274B2 (en) | 2013-06-03 | 2020-03-24 | Mitsubishi Electric Corporation | 10-pole/9-slot synchronous motor |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060404 |