以下に、原稿読み取り装置における原稿照明方式の特徴及びその問題点について述べる。
(1)蛍光燈を用いた場合の原稿照明方式
図33に蛍光燈を用いた場合の照明系の構成例を示す。蛍光燈は消費電力も小さく、安価であり最も多くの画像読み取り装置において用いられている光源である。しかし、光量変動が大きく、また拡散照明であるため読み取り位置のみを効率的に照明することは困難である。原稿面上の照度分布を測定すると蛍光燈のアパーチャ(開口部分)の真上部分が最も明るく、実際の読み取り位置はかなり照度が低下しており、照明効率が悪い。尚、図33において、30は蛍光燈、31は原稿、32は第1走行体ミラー、33は対向反射板、34はコンタクトガラスである。
(2)ハロゲンランプを用いた場合の原稿照明方式
図34にハロゲンランプを用いた場合の照明系の構成例を示す。ハロゲンランプ35の消費電力は大きいが、安定であり、高い原稿面照度を得ることが可能であるので、高解像度・高階調な原稿読み取り装置にはよく用いられる。ハロゲンランプ35は線状光源であるのでリフレクタ(反射板)36を用いて線状照明が可能である。しかし、実際には光束を絞り過ぎると原稿搭載手段としてのコンタクトガラス34が熱により割れたり、照明系の設置に高い精度が要求されるといった不具合がある。
また、リフレクタ36は高輝アルミ等の部材を折り曲げによって成形するため形状誤差による影響を低減するため、照明系の設計は照明光を故意に広げてかなり照明効率を落として使用しているのが現状である。照明効率を落とした分、原稿面照度を上げるためにハロゲンランプ35の容量を上げると、発生する熱による原稿31の損傷等の障害が発生する。したがって、ハロゲンランプ35を用いて効率の高い照明を行おうとすると、部品コストおよび設置コストが高くつくことになる。尚、図34においても、32は第1走行体ミラー、33は対向反射板を示している。
また、蛍光燈、ハロゲンランプの両者に共通することは、照明装置が結像光学系による画像の読み取りを妨げないように、照明装置は読み取り位置の真下ではなく、副走査方向のどちらかの側に配置しなければならなかったことである。このことは、光源と読み取り位置との距離を離さなければならず照明効率が低下すると共に、読み取り位置を副走査方向の片側からのみ照明すると、貼込のある原稿を読み取ったときに影が発生するので、多くの原稿読み取り装置では、図33、34に示すように片側に光源を配し、もう片方の側には対向反射板と呼ばれる鏡面からなる部材を配置しなければならず、コストを増加させるといった不具合も生じさせていた。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、請求項1記載の照明装置においては、原稿面を均一でかつ高照度に照明することができると共に、原稿の影の発生も防止することを目的とするものである。
また、請求項2記載の照明装置においては、結像光束に円筒内面からの拡散光の混入を低減して高品位な読み取りを可能とすることを目的とする。
また、請求項3記載の照明装置においては、結像光束に円筒内面からの拡散光の混入を低減して原稿照明照度を上げると共に照明幅も絞ることにより、高品位な読み取りを可能とすることを目的とするものである。
また、請求項4記載の照明装置においては、拡散光を除去するために行っていた原稿面側開口の必要以上の幅もしくは拡散反射膜の非塗布部の幅を最小限に抑えることにして原稿面照度のアップを図ることにより、高品位な読み取りを可能にすることを目的とするものである。
また、請求項5記載の照明装置においては、原稿面から円筒内部へ反射して再び原稿面を照明する光束を低減し、高品位な読み取りを可能とすることを目的とするものである。
また、請求項6記載の照明装置においては、円筒内部から射出し、原稿面を照明する光束のうち読み取り位置から離れた位置を照明する光束の一部を再び読み取り位置方向へ反射させて読み取り位置の照度をアップさせると共に高品位な原稿読み取りを可能とすることを目的とするものである。
また、請求項7記載の照明装置においては、原稿面照度を上げて、高品位な原稿読み取りを可能とすることを目的とするものである。
また、請求項8記載の照明装置においては、不必要なフレア光の発生を防いでそれらの光束を原稿照明に寄与する光束とし、これにより、高品位な原稿読み取りを可能とすることを目的とするものである。
さらに、請求項9記載の照明装置においては、拡散反射膜を透過した光束の吸収を最小限に抑えて原稿面照度をアップさせると共に高品位な原稿読み取りを可能とすることを目的とするものである。
第2の開口と第3の開口が互いに対向した円筒を用いる請求項1記載の照明装置においては、照明装置と原稿面との距離が変動した場合、読み取り位置での照度が大きく変動する。ところが、照明装置と原稿面との距離の変動を抑えるためには、装置の取付精度および構成を強固なものにしなければならず、その結果コストが高くついてしまう。したがって請求項10記載の発明は、請求項1記載の照明装置の問題点を解消した照明装置を提供することを目的とする。
請求項10記載の照明装置においては、斜め方向から読み取りを行い、かつ、正反射光を除去するための開口を新たに円筒上に設けると、光量の損失が大きくなり、このため原稿面を照明する光量が低下する問題がある。したがって請求項11記載の発明は、請求項10記載の照明装置の問題点を解消した照明装置を提供することを目的とする。
請求項12記載の発明の目的は、原稿の光沢度が求められる照明装置を提供することにある。
カラー複写機のような装置で原稿の色を再現する場合、読み取った色信号から出力色信号への最適な変換が原稿種によって異なることは知られており、通常は、選択ボタンによりユーザが読み取ろうとする原稿種を指定することで、最適な色信号変換を行っている。もちろん、原稿種を自動的に判別するための手法も開発され、実用化されているものもある。しかし、この場合の原稿種の判定は、写真のような連続階調をもったものなのか、印刷のようにハーフトーン画像なのか、または文字のように2階調しかもたないものなのかといったレベルでの判定であった。しかし、今後カラー複写機に、原稿をより忠実に複写することが求められるようになったときには、原稿の光沢性までも忠実に再現する必要が生じる。つまり、光沢のある絵柄は光沢があるように読み取らなければならない。したがって、原稿の光沢度も原稿情報の一つとして読み取る必要がある。
ところが、原稿読み取り装置で現在一般に用いられている照明方式では、原稿面からの正反射光成分を取り込むことができないので、光沢度を求めることはできない。したがって請求項12記載の発明の目的は、原稿の光沢度を求めることができる照明装置を提供することである。
一般に、絵柄を見たときの印象が絵柄の光沢の有無によって異なることは、良く知られている。しかし従来の複写機では、原稿の光沢度まで忠実に再現するものはなかった。したがって請求項13記載の発明の目的は、原稿の光沢度およびその分布を求めることにより、光沢度に応じた適正な処理を実行することが可能な原稿読み取り・再現装置を提供することにある。
読み取られた各画素ごとに光沢度を求め、光沢度に応じた処理を行う場合において原稿表面の汚れ、コンタクトガラスの汚れに等によって、求められた光沢度が画素ごとに変動するようなときには、処理が画素ごとに切り替わってしまい、このため適正な画像が得られないことがある。したがって請求項14記載の発明の目的は、高品位な画像読み取りおよび画像再現が可能な原稿読み取り・再現装置を提供することである。
上記目的を達成するため、本発明(請求項1)は、円筒と、外部の光源とからなり、前記円筒が前記光源からの光が入る第1の開口と、この第1の開口から入った光を拡散、反射する拡散反射膜と、この拡散反射膜で拡散、反射した光を原稿搭載手段上の原稿読み取り位置に射出する第2の開口と、この第2の開口に対向して設けられ原稿面上に記載された情報を読み取るための読み取り光学系に光を射出する第3の開口とを有していることを特徴とするものである。
また、前記第2の開口の幅bと前記第3の開口の幅aとにおいて、b≧aであるように設定したことを特徴とするものである。
また、前記第2の開口の幅bと前記第3の開口の幅aと第2の開口を挟む両側にあって拡散反射膜を有しない領域の幅cとにおいて、c≧a>bであるように設定したことを特徴とするものである。
また、前記第3の開口の両端面に、結像と原稿照明を妨げない厚さと高さを持った遮光板を設けたことを特徴とするものである。
また、前記円筒の内面の円周方向を溝状に形成したことを特徴とするものである。
また、前記第2の開口の両側に、該第2の開口から射出して原稿読み取り位置から遠ざかる拡散光を再び原稿読み取り位置方向へ折り返す一対の反射板を設けたことを特徴とするものである。
また、円筒と、内部の光源とからなり、前記円筒が前記光源からの光を拡散、反射する拡散反射膜と、この拡散反射膜で拡散、反射した光を原稿搭載手段上の原稿読み取り位置に射出する第1の開口と、この第1の開口に対向して設けられ原稿面上に記載された情報を読み取るための読み取り光学系に光を射出する第2の開口とを有していることを特徴とするものである。
また、前記光源からの直接光が前記第1の開口及び第2の開口と通過しないように前記光源に遮光板を設けたことを特徴とするものである。さらに、前記拡散反射膜と前記円筒の素材面との間に光束の吸収を抑える鏡面を設けたことを特徴とするのものである。
上記構成とすることにより、内部に拡散反射膜を持った円筒状の部材により、光源からの光束を拡散反射させ、原稿を真下から照明するので原稿面を均一でかつ高照度に照明することができる。また、原稿の影も発生させない。
さらに、請求項1記載の照明装置の問題点を解消した請求項10に係る照明装置は円筒と、外部の光源とからなり、前記円筒が前記光源からの光が入る第1の開口と、この第1の開口から入った光を拡散、反射する拡散反射膜と、この拡散反射膜で拡散、反射した光を原稿搭載手段上の原稿読み取り位置に射出する第2の開口と、この第2の開口に対向した位置から副走査方向に一定角度傾いた位置に配置され、原稿面上に記載された情報を読み取るための読み取り光学系に光を射出する第3の開口とを有し、原稿搭載手段表面で正反射し、読み取り光学系により結像される光束中に混入する光を直接発生させる前記円筒上の対応部位が、第4の開口または非反射部材となっていることを特徴とするものである。
さらに、請求項11記載の照明装置は、請求項10において、前記第3または第4の開口を、円筒内へ光源から光を入射させるための第1の開口として併用することを特徴とする。
さらに、請求項12記載の照明装置は、請求項10において、前記第4の開口を開閉可能としたことを特徴とする。
さらに、請求項13記載の発明は、請求項12記載の照明装置を有する原稿読み取り・再現装置であって、前記照明装置の第4の開口を閉じて原稿を読み取ることにより得た第1の読み取り結果と、前記照明装置の第4の開口を開いて原稿を読み取ることにより得た第2の読み取り結果と、前記照明装置の第4の開口を閉じて原稿が原稿搭載手段上に置かれない状態で読み取ることにより得た第3の読み取り結果とから原稿の光沢度を算出する光沢度算出手段を有し、異なる光沢度を持つ部位に対し異なる処理を行うことを特徴とする。
さらに、請求項14記載の発明は、請求項12記載の照明装置を有する原稿読み取り・再現装置であって、前記照明装置の第4の開口を閉じて原稿を読み取ることにより得た第1の読み取り結果と、前記照明装置の第4の開口を開いて原稿を読み取ることにより得た第2の読み取り結果と、前記照明装置の第4の開口を閉じて原稿が原稿搭載手段上に置かれない状態で読み取ることにより得た第3の読み取り結果とから原稿の光沢度を算出する光沢度算出手段と、実行する処理方法の選択を前記光沢度算出手段により得た光沢度に基づいて行う第1の処理方法選択手段と、注目画素に隣接した周辺の画素が第1の処理方法選択手段によって注目画素と同一処理を行うと判定され、かつ、所定画素数以上からなる連続した領域を形成するか否かを判定する同一処理領域の有無判定手段と、実行する処理方法の選択を前記同一処理領域の有無判定手段による結果に基づいて行う第2の処理方法選択手段とを有することを特徴とする。
以上述べた如く、本発明の請求項1記載の照明装置によれば、内部に拡散反射膜を持った円筒状の部材により、光源からの光束を拡散反射させ、原稿を真下から照明するので原稿面を均一でかつ高照度に照明することができると共に、原稿の影の発生も防止することができる。
また、本発明の請求項2記載の照明装置によれば、原稿を照明する側の開口幅をレンズ側の開口幅よりも広く設定すれば、結像光束に円筒内面からの拡散光の混入を低減でき、高品位な読み取りが可能となる。
また、本発明の請求項3記載の照明装置によれば、原稿面を照明する側の開口の幅をレンズ側の開口幅よりも狭く設定し、原稿面側開口を中心としてレンズ側の開口幅よりも広い範囲にわたって、拡散反射膜を形成しないので、結像光束に円筒内面からの拡散光の混入を低減でき、かつ原稿照明照度を上げ、照明幅も絞ることができるので高品位な読み取りが可能となる。
また、本発明の請求項4記載の照明装置によれば、結像レンズ側開口に遮光板を設け、円筒状部材内部からレンズへ入射する拡散光の一部を遮光したので、前記拡散光を除去するために行っていた原稿面側開口の必要以上の幅もしくは拡散反射膜の非塗布部の幅を最小限に抑えることができ、原稿面照度のアップを図ることができるため高品位な読み取りが可能となる。
また、本発明の請求項5記載の照明装置によれば、円筒状部材の内面に円周方向の溝状の構造に形成したので、原稿面から円筒内部へ反射して再び原稿面を照明する光束を低減でき、高品位な読み取りが可能となる。
また、本発明の請求項6記載の照明装置によれば、円筒状部材の原稿照明側開口の両側に反射板を設置したので、円筒内部から射出し、原稿面を照明する光束のうち読み取り位置から離れた位置を照明する光束の一部を再び読み取り位置方向へ反射させることができ、読み取り位置の照度がアップすると共に高品位な原稿読み取りが可能となる。
また、本発明の請求項7記載の照明装置によれば、光源を円筒の内部に設置したので、原稿面照度を上げることができ、高品位な原稿読み取りが可能となる。
また、本発明の請求項8記載の照明装置によれば、円筒の内部におかれた光源からの光束のうち、原稿照明と結像に寄与しない光源から直接開口を通過する光束を遮光する板を配置したので、不必要なフレア光の発生を防ぎ、かつそれらの光束を原稿照明に寄与する光束とすることができるので、高品位な原稿読み取りが可能となる。
さらに、本発明の請求項9記載の照明装置によれば、円筒の内面に形成された拡散反射膜の裏面を鏡面としたので、拡散反射膜を透過した光束の吸収を最小限に抑えることができ、原稿面照度をアップさせることができると共に、高品位な原稿読み取りが可能となる。
さらに、本発明の請求項10記載の照明装置によれば、請求項1記載の照明装置においては原稿読み取り位置の直下にあった、読み取り光学系により原稿を読み取るための第3の開口を、原稿読み取り位置直下から所定角度傾けて配置し、斜め方向から原稿を読み取るようにし、さらには読み取り光束中に混入する原稿搭載手段または原稿面からの正反射光を発生させる円筒上の部分に開口を設けるか、または前記円筒上部分を光を拡散反射させない部材により形成したため、原稿読み取り部分が直下方向から照明されるので、原稿面と照明装置との間隔が変動しても、読み取り位置の照度変動を低く抑えることができるとともに、請求項1記載の照明装置の不具合が解消される。したがって、高性能の原稿読み取り装置を安価に得ることが可能となる。
さらに、本発明の請求項11記載の照明装置によれば、光源からの光束を円筒内部に入射させるための開口を、読み取り光学系により原稿を読み取るための第3の開口、または読み取り光束への正反射光の混入を防ぐための第4の開口として併用するように構成したため、円筒内部から射出し、原稿面を照明するための光量の損失を低減できるので、請求項10記載の照明装置よりも高い照度で原稿を照明することができ、したがって、より高品位な原稿読み取りを行うことが可能となる。
さらに、本発明の請求項12記載の照明装置によれば、円筒の第4の開口を蓋により開閉可能としたため、原稿読み取り用のものとは異なる光源およびセンサを用いることなく、原稿の光沢度を求めることができる。したがって、この照明装置を用いることで、原稿の光沢度を含めた忠実、かつ、高品位な原稿読み取り・再現が可能となる。
さらに、本発明の請求項13記載の原稿読み取り・再現装置によれば、算出した光沢度によって処理を異ならせるように構成したため、原稿の光沢度に最適な画像再現が行えるので、原稿の光沢度を含めた忠実、かつ、高品位な原稿読み取り・再現が可能となる。
さらに、本発明の請求項14記載の原稿読み取り・再現装置によれば、所定範囲の光沢度をもつ画素が、所定画素数以上からなる連続した領域をもつ場合にのみ、標準の処理とは異なる処理を行うように構成したため、汚れ等のノイズに強い安定した処理が行えるので、高品位な原稿読み取り・再現が可能となる。
以下、本発明に係る実施例を図に基づいて説明する。図1は第1実施例を説明するための図であり、原稿読み取り装置における照明装置と原稿搭載手段を示したものである。図中2は開口4、5、6を有する円筒であり、その内面には高い拡散性と反射率を持った白色の拡散反射膜3が塗布等の手段により形成されている。光源7から発した光束はリフレクタ8により第1の開口4を通して円筒2の内に導かれ内部を照明する。円筒2の内壁を照明した光束は拡散反射膜3により拡散と反射を円筒内部で繰り返し、その一部の光束は円筒2の開口4、5、6から射出する。図中9は光源からの光束が直接原稿面を照明しないための遮光板である。
第2の開口5から射出した光束は原稿搭載手段としてのコンタクトガラス1上に置かれた原稿を照明する。第2の開口5と第3の開口6は対向するように配置されており、この第3の開口6を通して図中には記載しない読み取り光学系により、原稿面上に記載された情報を読み取ることができる。説明の都合上、円筒2の大きさに対して開口の幅を大きく描いているが、本来は円筒内部の拡散面の面積に比べて、開口部分の面積をなるべく狭く設定することで、開口部分での輝度をより高くすることができる。
さらに、拡散反射膜3として完全拡散面に近い特性をもつものを使用することにより、円筒内での照度を均一化することができる。したがって、第2の開口5の端面では第1の開口4と第3の開口6からの光束はないものの、均一な照度分布を作っている。つぎに、第2の開口5から射出した光束が原稿面上に作る照度分布について考える。第2の開口5から射出される光束は拡散光であり、かつ前述したとおり第3の開口6からの光束成分はないので、第2の開口5の直上方向つまり図1における原稿読み取り位置Rでの照度よりも高い照度をもつ極大値が読み取り位置Rの両側に生じる。この傾向は第2の開口5と原稿面との距離に比例して大きくなり、また第2の開口5の幅が狭いほど顕著となる。
しかし、第2の開口は読み取り位置Rの真下にあって非常に近接した位置に設置することが可能であり、また第2の開口5の幅を適当に調節することで、読み取り精度上問題とならない程度に均一な照明が容易に可能である。本発明の大きな特徴は、原稿を照明する実質的な光源が第2の開口5の位置に置かれていると見なせる点にある。つまり、従来の照明方式は結像を妨げないように読み取り位置の前後に光源を配置せざるを得なかった。このため、光源と読み取り位置が離れてしまい、照明効率の低下が生じていた。特に蛍光燈照明の場合には顕著であった。
本発明の原稿照明装置を用いるならば、実質的な照明光源である第2の開口5を、原稿面上の読み取り位置Rの直下にあって非常に近接した位置に配置可能であるので、読み取り位置を中心として一定幅を均一でかつ高照度に照明可能であり、また貼込原稿に対しても影を発生させずに読み取ることが可能である。
図2は第1実施例を原稿移動型の読み取り装置に適用した場合であり、また光源からの光束を光ファイバ10を用いて円筒2に導いた場合である。尚、図2において、11は加圧ローラ、12は原稿送りローラである。図3は本実施例における円筒2の一部の見取り図である。
図4は図1、2、3で示した第1実施例とは異なる第2実施例を説明するものである。第2の開口5および第3の開口6を通して原稿の情報を読み取る場合、第3の開口6から射出する光束には原稿面から反射した光束と円筒2内で多重反射した拡散光が存在する。
高品質な画像読み取りを行うためには、円筒2内で多重反射した拡散光を含まず、原稿面から反射した光束のみを結像レンズに取り込み、光電変換素子上に結像する必要がある。また、第2の開口5および第3の開口6に要求される開口幅の最小値は、レンズによる原稿からの反射光の取り込みを妨げない幅である。この意味では原稿面に近い第2の開口5の最小幅は第3の開口6よりも狭いことになる。そこで、b<aの場合を考えると、第2の開口5に隣接した円筒2の内壁で反射した光束の一部には結像光学系の光軸に平行もしくは平行に近い角度で第3の開口6を通過する光束が存在する。こうした光束は、読み取ろうとする原稿からの光束との分離がほとんど困難であり、フレア光として読み取り画像品質を低下させる(光軸に対し角度を持ったフレア光は、光路中にスリット等を設置することで除去可能である)。
そこで第2実施例は、第2の開口5の開口幅bを第3の開口6の幅aよりも広くすることを特徴としたものであり、これにより前述のフレア光を低減することが可能となる。
図5および図6は図4で説明した第2実施例とは異なる第3実施例を説明するためのものである。第2実施例は第2の開口5の幅を第3の開口6よりも広くすることでフレア光を低減させるというものであったが、第2の開口5の幅bを広くすることにより、第2の開口5における輝度は低下する。一方、原稿面における照度とその分布の最適化は原稿面と円筒2との距離に依存することは先に述べた通りである。ここで図2に示した原稿移動型の読み取り装置に第1実施例を適用した場合を考える。この場合には、原稿と第2の開口5が接しているため、最も均一かつ高照度な証明が可能である。高品位読み取りを行うためには、読み取り位置Rのみを高い照度で照明し、読み取り位置以外には証明しないのが理想であり、これは第2の開口5の幅を狭くすることで実現可能である。しかし、第2実施例において説明したとおり、第2の開口5の幅bが第3の開口6の幅aよりも狭く(b<a)なるとフレア光により読み取り品質が逆に低下する。
図5において第2の開口5(幅b)は第3の開口6(幅a)よりも狭く構成されている。しかし、第2の開口5を挟んでその両側には拡散反射膜3を塗布しない、幅cの領域(c>a)を形成することにより、第2実施例と同様に結像光束へのフレア光の混入を防ぐことができる。これにより、図2で示した原稿移動型の原稿読み取り装置では照明幅を絞り、かつ高照度照明が可能となる。
図6は、第3の開口6よりも広い幅をもつ第2の開口5の真上に、別部材からなる第3の開口よりも狭い開口幅b(b<a)をもつ遮光板13を設置して実質的な第2の開口5の幅をbとすることで同様の効果が得られる。このとき、拡散反射膜3が塗布されていない部分14を、光をほとんど反射させないように黒色処理を行うか、そうした黒色の部材を塗布もしくは張り付けることで、よりフレア光の発生を抑制する効果を高めることができる。
図7、8は第4実施例を説明するものである。前述の第2実施例及び第3実施例は、第1実施例における照明方式においてフレア光を低減させる方法として、第2の開口5の幅を広げるかまたは拡散反射膜の塗布を部分的に行わないというものであった。これらの方法により、円筒2内部の拡散反射膜の実効面積を減らし過ぎると、円筒内部における平均反射率が低下し光量損失が増大するため、原稿面の照度が低下するといった事態が発生する。
これを避けるためには、第2実施例及び第3実施例で示した第2の開口5の幅、もしくは第2の開口5を挟む円筒内壁の拡散反射膜3の非塗布領域の幅を、第3の開口6の幅と等しいか若干広い程度に設定し、図7中の遮光板15を円筒2と一体もしくは別部材により構成することで、結像光学系の光軸とより近い角度をもつフレア光成分を除去することができる。これにより、原稿面照度の低下を最小に押さえて、スリット等を光路中に設置しても除去困難なフレア光成分を低減できるので、より高品位な原稿読み取りが可能となる。
図中7の斜線部分103は、第2の開口5に最も近い円筒内壁の拡散面上の点Aから拡散し、第3の開口6を通過する光束のうち遮光板15により遮光される成分を示している。直線A−Bは遮光板がないときに開口6を通過する光束のうち最も角度がのろい(光軸に近い)光束であり、直線A−Cは遮光板を設置したときに開口6を通過する光束のうち最も角度がのろい(光軸に近い)光束である。また、一対の遮光板15で挟まれた側の面は光の反射を低減させるように黒色処理を行い、円筒内部にある前述の黒色処理を行った面とは反対の面には拡散反射膜3と同じ反射膜を塗布することで原稿面照度の低下を防ぐことができる。また、図8も同様である。
図9、図10及び図11は第5実施例を説明するものである。第1実施例による円筒内面にて多重拡散反射による原稿照明を行った場合、原稿面にて拡散反射した光束が円筒内面で拡散反射し、再び原稿面を照明することがある。こうした光束を再帰反射光とここではよぶことにする。再帰反射光成分が多いと、白ベタ中の黒線の出力レベルが実際よりも上がったり、逆に黒ベタ中の白線の出力レベルが実際よりも下がったりという現象を引き起こし、読み取り品質を大きく低下させる。主走査方向のある1点に注目した場合、この点における再帰反射光の影響を低減するためには、照明された注目点以外の領域からの再帰反射光を防がなければならない。第5実施例はこうした再帰反射光成分の発生を抑え高品位な読み取りを行うことを目的としている。
即ち、図10は第1〜4実施例において用いられた円筒2の内壁の一部Dを拡大したものである。図10で示すように円筒2の円周方向に凹凸をした細かい溝状の構造を形成している。凹凸の溝の形は、溝のエッジが直角をしたもの(図10)と、台形状のもの(図11)を示しているがこれに限るものではない。また、溝の深さおよび凹凸のピッチは原稿面との距離や開口の幅、必要な原稿面照度と抑制すべき再帰反射光の発生量との関係から最適化しなければならない。
円筒内壁の溝により、まず第1の開口4を通して円筒内に入射し、溝の凹部で拡散反射した光束のうち主走査方向への反射成分の一部は凸部によって妨げられる。また、これが反射を繰り返すうちに原稿面の1点を照明する光束の大部分は、注目した1点を通り主走査方向と垂直な断面に存在する。一般の原稿は完全拡散面ではないから、原稿面で主走査方向へ反射する光束は照明方向に依存して少なくなる。
また、原稿面で主走査方向へ反射した光束もまた円筒面で反射する際に、先程と同様に溝の凹部で拡散反射した光束のうち主走査方向への反射成分の一部は凸部によって妨げられるので、再帰反射光性分はさらに低減する。本実施例の溝状構造とはマクロ的には図示したような溝からミクロ的には一般にグレーティングと呼ばれるような微細なパターンを含むものであり、発明の主旨は円周方向に向けられた円筒の長手方向に繰り返されるパターンにより、円筒内面での拡散方向を円筒断面内に規制することを目的としたものである。
図12は第6実施例を説明するものである。原稿面における主走査方向の照度分布は、中央部で高く両端で低くなる傾向を示す。これは、中央部付近では主走査方向の両側から照明光束が存在するのに対し、両端付近では片側のみになるからである。原稿面での照度分布はシェーディング補正を行うにしても、S/Nを低下させる原因となるため極力主走査方向に均一な照明を行うことが、高品位な読み取りを行うためには重要である。図12は濃度分布が一様な原稿を読み取ったときに光電変換を行うセンサ上での照度分布を均一になるように図1で示した円筒2に設けられた開口4、5、6のいずれかにより照明光束もしくは結像光束の一部を遮光したもので、その形状を中央部で狭く、両端部で広く設定した例である。
図13及び図14は内壁に溝を有する、円筒2の作製方法に関するものである。円筒状の部材の内面に同心円状の溝を形成することは、加工上困難であり部品コスト高となる。そこで以下にその作製法を示す。まず第1〜6実施例で用いた円筒2を3つの開口により分割される3個の部材p1、p2、p3に分割する。部材p1、p2、p3は実際に円筒を分割しても、または異なる部材より作製してもよく、本発明が限定するものではない。次に各部材p1、p2、p3の円筒内壁に相当する側面に切削により溝を形成する。溝を形成された各部材p1、p2、p3は、拡散反射膜3を塗布等の手段により内壁に形成した後、主走査方向の両端部に置かれる円筒状部材51により、部材p1、p2、p3を円筒状部材2と同形状をなすように固定する。図13はねじによる固定を行うように、円筒状部材51および部材p1、p2、p3には、ねじ穴が設けられている。本例においては、固定方法を限定するものではないが、ねじによる固定のほか、接着により固定してもよい。図14は溝が形成された部材p1の内面の様子を示したものである。
以下は、他の作製方法を説明するものである。前述における内壁に溝を有する、円筒2の作製方法の問題点は部品点数が多いことである。図示しない円筒の内壁にら旋状の溝を作製する。ら旋状の溝は一般には螺子を切るのと全く同様であり、加工も容易であり、加工コストは安くて済む。この後、内面の反射膜の塗布および開口部の作製を行う。この作製方法は、ら旋状の溝を円筒内面に形成することを特徴としたものであり、その他の各工程の順序は特に規定するものではない。
図15、16は第7実施例を説明するものである。第2の開口5から原稿面へ向かう光束のほとんどが、読み取り位置Rに対して副走査の前後方向へ発散していく光束である。第2の開口5の両側に一対の反射板16を設置することで第2の開口5から射出して原稿読み取り位置Rから遠ざかる拡散光を再び原稿読み取り位置R方向へ折り返すことができるため、読み取り位置近傍をより高い照度で照明することが可能となる。図16は反射板16を図6で説明した第2の開口5の幅を実質的に狭めるための遮光板13と併用した例である。
図17、図18は第8実施例を説明するものである。図17は円筒2の内部に光源7を設置したため、第1の開口21及び第2の開口22のみで前述の開口4を設けていない。これにより、前述の開口4による光量損失および光源7からの光束を円筒2の内部に導く際に生じる光量損失もなくすることができるので、より高照度な照明が可能となる。光源7は、結像光学系の光路を妨げない位置に配置しなければならない。光源7の種類については本実施例は限定するものではないが、主走査方向にのびた線状光源もしくは主走査方向に単独の光源を複数個配列したものでもよい。また、線状光源も前述した結像を妨げる位置でなければ図18に示すように複数個設置してもよい。
図19は第9実施例を説明するものである。第8実施例において円筒2の内部に光源7を配置した場合、光源7からの直接光が原稿面上の読み取りとは関係のない位置を照明して余分なフレア光を発生させたり、結像光学系へ直接光が混入するといった不具合が発生する場合がある。これを避けるために、遮光板17を光源7に対して第1の開口21と第2の開口22側に設置し、光源7からの直接光が第1の開口21と第2の開口22を通過させないようにした。前記遮光板17の表面には拡散反射膜3を塗布することで、遮光板17による原稿面照度の低下を防ぐことができる。
図20は第10実施例を説明するものである。第1〜9実施例の中で説明した円筒2の内壁に塗布等の手段により形成された拡散反射膜3裏側、つまり反射膜3と円筒2で挟まれた部分を鏡面18とすることにより、拡散反射膜3を透過して円筒2で吸収されていた光束を最小限に抑えることができる。これによって、円筒内部での光量損失を最低限に抑えることが可能となり、より高照度な照明が可能となる。これにより、拡散反射膜3を必要以上に厚くする必要がなく、拡散反射膜3自体での吸収も最小にすることができる。
尚、ハロゲンランプは高い光量を得られることから、原稿照明用光源としてよく用いられるが、分光成分のほとんどが赤外域にあり、発熱が大きく原稿へダメージを与えるなど影響が大きい。これを避けるために、拡散反射膜3の中に熱吸収ガラス等の可視光はほとんど透過し、赤外光を吸収する媒体の粉末を混入させることで、原稿面を照明する光束の赤外成分を低減させ、熱による原稿のダメージを抑えることができる。もちろん拡散反射膜3自体の分光反射率特性も、可視域での吸収が少なく赤外域での吸収が大きい部材を選択することが望ましい。
図21は、第11実施例を説明するためのものであり、原稿読み取り装置における照明装置と原稿搭載手段とを示したものである。図中2は第1の開口4、第2の開口5、第3の開口6、および第4の開口6aを有する円筒であり、その内面には高い拡散性と反射率を持った白色の拡散反射膜3が塗布等の手段により形成されている。
光源7から発した光束はリフレクタ8により第1の開口4を通して円筒2内に導かれ内部を照明する。円筒2の内壁を照明した光束は、円筒2の内部で拡散反射膜3により拡散と反射を繰り返し、その一部の光束は開口4,5,6,6aから射出する。第2の開口5から射出した光束は、原稿載置手段としてのコンタクトガラス1上に置かれた原稿を照明する。第2の開口5と第3の開口6は対向した位置から所定の角度θだけ傾いた位置に配置されている。この第3の開口6を通して、図示されない読み取り光学系により、原稿面上に記載された情報を読み取ることができる。
第4の開口6aは、結像光束に混入するコンタクトガラスおよび原稿面での正反射光成分を発生させる円筒内面部分に対応しており、この部分を開口とすることにより、上記正反射光成分を除去し、原稿情報を正しく読み取ることができる。したがって、開口6aの設置位置は、読み取り光学系により結像される光束の光軸が、原稿面に対して読み取り位置から引かれる垂線となす角度θと、前記垂線に対し同じ角度θだけ開口6と反対方向の位置を中心として配置され、さらに開口6aの開口幅は、結像光束の見込み角ηにより決定される。
図22は第11実施例(図21)の効果を、図23に示す第1実施例(図1を参照)の問題点と比較して示すものである。図22は、原稿面の位置がAからBに変化し、円筒2および光源7からなる照明装置と原稿面との間隔が変動した場合の、原稿面上における相対的な照度分布を示している。これに対し図23は、原稿面上に記載された情報を読み取り光学系により読み取るための第3の開口6が、第2の開口5と対向した位置に設けられた照明方式における照明装置と原稿面との間隔が変動した場合の、原稿面上における相対的な照度分布を示している。図23中の点線で示される照度分布は、同図中の読み取り位置を境に円筒の左右各部分からの光束が原稿面上に作る照度分布を示している。
図23に示す照明装置の場合、原稿読み取り位置の直下に開口5,6が存在するため、直下方向からの照明光束は存在せず、読み取り位置は図中の左右の円筒内部からの拡散反射光によって照明される。したがって、円筒の左右各部が原稿面上に作る照度分布は、点線で示されるように、照明装置と原稿面との間隔が広がるにつれて照度のピーク位置が横方向に移動する。このため、原稿読み取り位置が照度分布の谷となる問題がある。
これに対し、図21の原稿照明装置においては、開口6と6aとで囲まれた円筒部分からの拡散反射光束が、原稿読み取り位置を直下から最も強く照明している。このため、図22に示すように照明装置と原稿面との距離の変動が生じても照度のピーク位置は変化せず、常に安定して、かつ、高照度で読み取り位置を照明することができる。
図24は、第12実施例を説明するための図である。この実施例は、第4の開口6aから射出する光束が迷光となって結像光学系へ混入することを防ぐために、内壁が黒色の部材からなるトラップ6bを開口6aの外側に設けたものである。開口6aを設けた理由はコンタクトガラス、原稿面からの正反射光成分が結像光束に混入しないようにするためであるから、必ずしも円筒2に開口6aを設ける必要はない。すなわち、円筒2の内壁の開口6aに相当する位置に拡散反射膜を形成しないようにするか、または、上記位置に低反射率の黒色部材からなる薄膜を形成する等の手段を採用することができ、同等の効果が得られる。
図25は、第13実施例を説明するための図である。この実施例において光源7からの光束は、リフレクタ8により開口6aを通して円筒2内に導かれ、内部を照明する。円筒2の内壁を照明した光束は、拡散反射膜3により拡散と反射を円筒内部で繰り返し、その一部の光束は開口5,6,6aから射出する。第2の開口5から射出した光束は、原稿搭載手段としてのコンタクトガラス1上に置かれた原稿を照明する。第2の開口5と第3の開口6とは、対向した位置から所定の角度θだけ傾いた位置に配置されている。原稿面上に記載された情報は、図25には示されない読み取り光学系により、第3の開口6を通して読み取ることができる。
図26は、第14実施例を説明するための図である。この実施例は、円筒2内部への光の入射を、開口6を通して行うようにしたものである。
図21の実施例では円筒2の内壁に4つの開口を設け、図24の実施例では円筒2の内壁に3つの開口と、開口と同等の効果をもつ非反射部材とを設けたので、図23に示すような円筒上に開口を3つしか持たない照明装置に比べて光の損失が多く、結局、原稿面を照明する光量が低下していた。これに対し、図25,26に示す実施例では、円筒に形成される開口は図23の照明装置と同じく3つであり、したがって、図23の照明装置と同等の原稿面照度を得ることができる。
図27は、第15実施例を説明するための図である。この実施例は、照明装置が大きくなり過ぎないように、光源7からの光束をリフレクタ8を介して円筒2内へ入射させるようにしたものである。
図28および図29は、第16実施例を説明するための図である。開口6,6aは図21における開口6,6aと同じ役割をもつものである。つまり、開口6は読み取り光学系により原稿の情報を読み取るためのものであり、開口6aは読み取り光学系により結像される光束中にコンタクトガラス、原稿面からの正反射光を混入させないためのものである。開口6aには、開口6aを塞ぎ、かつ、開閉可能な蓋19が取り付けられている。蓋19の円筒内面側には円筒2と同様に拡散反射膜3が塗布等の手段により形成されている。
いま、蓋19を開いた状態(図28)で原稿を読み取ったときの出力値をIoとする。これは、コンタクトガラスおよび原稿からの正反射光成分を含まない値である。つぎに、蓋19を閉じて(図29)同じ原稿を読み取ったときの出力値をIsとする。IsはIoと、コンタクトガラスからの正反射光成分Icと、原稿からの正反射光成分Igとの和と考えることができる。つまり、Is=Io+Ic+Igと表すことができる。
ここで、Icは原稿によらず一定であるから、予め測定し記憶させておく。蓋19を閉じて読み取られた値Isから、上記Icを減算した値はIo+Igとなる。Igは原稿表面の光沢性によって変化する。したがって、Ioと(Io+Ig)の比を求めることによって、原稿の光沢度を知ることができる。読み取り対象原稿の光沢度、およびその変化具合を知ることで、原稿が写真か否か、写真の場合には光沢、半光沢のいずれであるか、さらには普通原稿に写真が部分的に貼り込まれているかどうかといった情報を得ることができる。
図30は、第17実施例(原稿読み取り・再現装置)を説明するための図であって、図28,29の原稿照明装置を用いて原稿の光沢度Tを検出し、光沢度Tに応じて異なる処理を行う場合のフローチャートである。初めに蓋19を閉めて第1の読み取り走査を行い、正反射光成分を含む値Isを読み取る。読み取った結果は、一旦メモリ上に蓄積する。つづいて蓋19を開けて第2の読み取り走査を行う。このとき読み取られた値はIoである。別途、原稿が原稿搭載手段(コンタクトガラス)上に置かれず、かつ蓋19が閉じられた場合での読み取り値Icが測定され、記憶されている。上記Is,Io,Icを用いて、光沢度TはT=(Is−Ic)/Ioとして求められる。
図30ではTの値が、適当な設定値N1,N2によって3つの場合すなわち、T<N1、N1≦T≦N2、T>N2にクラス分けされ、それぞれのクラスに応じて異なる処理(処理1、処理2、処理3)が行われる。なお、図30では3つの場合にクラス分けしているが、本発明はこれに限定されるものではない。
図31は、第18実施例(原稿読み取り・再現装置)を説明するための図であって、図28,29の原稿照明装置を用いて原稿の光沢度Tを検出し、光沢度Tに応じて異なる処理を行う場合のフローチャートである。読み取られた各画素ごとに光沢度を求め、光沢度に応じた処理を行う図30の原稿読み取り・再現装置においては、原稿表面の汚れやコンタクトガラスの汚れ等によって、求められた光沢度が画素ごとに変動する場合に、処理が画素ごとに切り替わってしまい、適正な画像が得られないことがある。図31の実施例は、この不具合をなくしたものである。
すなわち図31では、画素ごとに求められる光沢度に応じて処理を異ならせる場合において、光沢度が特定の範囲(図31ではN1≦T≦N2)に入る場合の処理を標準の処理(図31では処理2)とする。そして、注目画素の光沢度が前述の範囲に入らなかった(図31ではT<N1、T>N2)場合には、注目画素周辺の画素の光沢度を探索し、注目画素と同じ範疇にクラス分けされた画素が連続し、かつ、所定の画素数以上の領域を有するか否かを判断し、有する場合には前述のクラスごとに固有の処理(図31では処理1および処理3)を行い、それ以外の場合には、標準の処理(図31では処理2)を行う。
図32は図31の実施例に係るもので、読み取られた原稿の光沢度から、図31のフローチャートに従って判別し、処理1,2および3を行うべき領域を示したものである。
図30の実施例、および図31の実施例においては、光沢度に応じて処理を異ならせるようにしているが、この場合の処理として以下のものが考えられる。すなわち、(1)光沢の異なる各種原稿〔例えば、写真(光沢/半光沢/絹目)、印刷(コート紙、新聞等)〕に対して異なる色変換マトリックスを作成しておき、光沢度に応じてこれらを切り替えて色変換するもの、(2)光沢度に応じて部分的にラミネート(例えば図32の処理1と処理3の部分をラミネートする)を行う、などの処理が可能である。