JP2004221477A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一方の電極を有する基板1上に一導電型を呈する粒状結晶半導体2を多数配設して基板1と接合し、この粒状結晶半導体2間に絶縁体3を充填してこの粒状結晶半導体2上に逆導電型を呈する半導体層4を設けるとともに、逆導電型を呈する半導体層4に他方の電極5を接続して設けた光電変換装置であって、上記絶縁体3がポリイミド、あるいは無機フィラーまたはアルコキシシランもしくはその加水分解物もしくは縮重合物のいずれかを含有するポリイミドとから成ることから、基板1上の絶縁体3厚みを確保し、またウエットエッチング時における粒状結晶半導体2周囲のオーバーエッチを防止することができるため、従来の光電変換装置と比較して製造マージンが大きく、低コストで高い変換効率を有する光電変換装置を容易に製造することができる、よって信頼性の高い光電変換装置を提供できる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は太陽光発電などに使用される光電変換装置に関し、特に粒状結晶半導体を用いた光電変換装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の粒状結晶半導体を用いた光電変換装置を図2〜図5に示す。例えば図2に示すように、第1のアルミニウム箔9に開口を形成し、その開口にp型の上にn型表皮部8を持つシリコン球2を挿着し、このシリコン球2の裏側のn型表皮部8を除去し、第1のアルミニウム箔9の裏面側に酸化物絶縁層3を形成し、シリコン球2の裏側の酸化物絶縁層3を除去し、シリコン球2と第2のアルミニウム箔7とを接合する光電変換装置が開示されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
また、図3に示すように、基板1上に低融点金属層10を形成し、この低融点金属層10上に第1導電型の粒状結晶半導体2を配設し、この粒状結晶半導体2上に第2導電型のアモルファス半導体層6を上記低融点金属層10との間に絶縁層3を介して形成する光電変換装置が開示されている(例えば特許文献2参照)。
【0004】
また、図4に示すように、基板1上に高融点金属層11と低融点金属層10と半導体微小結晶粒12とを堆積し、半導体微小結晶粒12を融解させて飽和させた上で徐々に冷却して半導体を液相エビタキシャル成長させることによって多結晶薄膜12を形成する方法が開示されている(例えば特許文献3参照)。
【0005】
また、図5に示すように、シート状のモジュール基板1上に複数の第1導電型の球状半導体16を導電ぺースト14によって接着された状態で熱可塑性透明柔軟樹脂17中に埋設し、球状半導体16の表面領域に不純物を熱拡散あるいはイオン注入によってドープすることで第2導電型の表面層4を形成する方法が開示されている(例えば特許文献4参照)。
【0006】
なお、図3、図4、図5において、5は透明導電膜などから成る電極である。
【0007】
〔特許文献1〕
特開昭61−124179号公報
〔特許文献2〕
特許第2641800号公報
〔特許文献3〕
特公平8−34177号公報
〔特許文献4〕
特開2001−230429号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図2に示すような光電変換装置では、第1のアルミニウム箔9に開口を形成し、その開口にシリコン球2を押し込んでシリコン球2を第1のアルミニウム箔9に接合させる必要があるため、シリコン球2の球径に均一性が要求され、高コストになるという問題があった。また、接合させるときの処理温度がアルミニウムとシリコンとの共晶温度である577℃以下であるため、接合が不安定になるという問題があった。
【0009】
また、図3に示すような光電変換装置によれば、第1導電型の粒状結晶半導体2上に第2導電型のアモルファス半導体層6を設けるため、安定なpn接合を形成するにはアモルファス半導体層6を形成する前に粒状結晶半導体2の表面を十分にエッチングおよび洗浄する必要があった。また、アモルファス半導体層6の光吸収が大きいことに起因して膜厚を薄くしなければならず、アモルファス半導体層6の膜厚が薄い場合、欠陥に対する許容度も小さくなり、洗浄工程や製造環境の管理を厳しくする必要があり、その結果、高コストになるという問題があった。
【0010】
また、図4に示すような光電変換装置によれば、低融点金属層10が第1導電型の液相エピタキシャル多結晶層12中に混入するために性能が落ち、また絶縁体がないために上部電極5と下部電極11との間にリークが発生するという問題があった。
【0011】
また、図5に示すような光電変換装置によれば、第1導電型の球状半導体16の導電性ペースト14との接合部には高濃度層が存在しないため、光子により励起された電子の障壁、いわゆるバックフィールド効果を得ることができず、光電変換効率が低下することが判明した。
【0012】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、低コストで高性能な信頼性の高い光電変換装置とその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に係る光電変換装置は、一方の電極となる基板上に一導電型を呈する粒状結晶半導体を多数配設して前記基板と接合し、この粒状結晶半導体間に絶縁体を充填してこの粒状結晶半導体上に逆導電型を呈する半導体層を設けるとともに、この逆導電型を呈する半導体層に他方の電極を接続して設けた光電変換装置において、前記絶縁体がポリイミドからなることを特徴とする。
【0014】
上記光電変換装置では、前記ポリイミドの厚みが1〜250μmであることが望ましい。
【0015】
上記光電変換装置では、前記ポリイミドが無機フィラーを含有することが望ましい。
【0016】
また、上記光電変換装置では、無機フィラーがSiO2またはSiO2を主成分とするガラスからなることが望ましい。
【0017】
また、上記光電変換装置では、前記無機フィラーの形状がほぼ球形であることが望ましい。
【0018】
また、上記光電変換装置では、前記無機フィラーの含有量がポリイミド固形分に対し1〜50wt%であることが望ましい。
【0019】
また、上記光電変換装置では、前記無機フィラーの表面がアルキル基を有するSi化合物にて修飾されていることが望ましい。
【0020】
また、上記光電変換装置では、前記ポリイミドがアルコキシシランまたはその加水分解物または縮重合物のいずれかを含有することが望ましい。
【0021】
また、上記光電変換装置では、前記アルコキシシランまたはその加水分解物または縮重合物の含有量が、SiO2換算でポリイミド固形分に対し1〜50wt%であることが望ましい。
【0022】
また、上記光電変換装置では、前記アルコキシシランが上記化学式1と同じ下記化学式2
【0023】
【化2】
で表される有機官能基を有するアルコキシシランの単一化合物または混合物であることが望ましい。
【0024】
本発明の光電変換装置によれば、基板上に粒状結晶半導体を多数配置して加熱して両者の溶融した合金部によって接合し、この多数の粒状結晶半導体の間に絶縁体を充填した構造において、絶縁体が露出している基板の全面を欠陥なく覆い、なお且つ絶縁体にポリイミド、あるいは無機フィラーまたはアルコキシシランもしくはその加水分解物もしくは縮重合物のいずれかを含有するポリイミドの混合体を用いることで、基板上の絶縁体厚みを確保し、またウエットエッチング時における粒状結晶半導体周囲のオーバーエッチを防止することができるため、従来の光電変換装置と比較して製造マージンが大きく、低コストで高い変換効率を有する光電変換装置の製造が可能となる。つまり粒状結晶半導体をより低い粒径精度で製造すればよく、絶縁体によって正電極と負電極の分離を確実に行いかつシリーズ抵抗(Rs)を低く抑えることができ、その結果低コストで高い変換効率が可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明を詳細に説明する。
図1は、請求項1に係る光電変換装置の一実施形態を示す図である。図1において、1は基板、2は粒状結晶半導体、3は絶縁体、4は粒状結晶半導体2とは逆の導電型を呈する半導体層、5は導電層、15は基板1と粒状結晶半導体2との合金層である。
【0026】
基板1は例えばアルミニウム単体もしくはアルミニウムの融点以上の融点を有する金属やセラミックを下地基板としその上にアルミニウムから成る電極層を形成した複合体を用いることができる。
【0027】
基板1上には、図1に示すように、第一導電型の結晶半導体粒子2を多数配設する。この結晶半導体粒子2は、例えばSiにp型を呈するB、Al、Ga等、又はn型を呈するP、As等が微量元素含まれているものである。結晶半導体粒子2の形状としては多角形を持つもの、曲面を持つもの等があり、粒径分布としては均一、不均一を問わないが、均一の場合は粒径を揃えるための工程が必要になるため、より安価にするためには不均一な方が有利である。さらに凸曲面を持つことによって光の光線角度の依存性も小さい。
【0028】
結晶半導体粒子2の粒径としては、0.2〜1.0mmがよく、1.0mmを越えると切削部も含めた従来の結晶板型の光電変換装置のシリコン使用量と変わらなくなり、結晶半導体粒子を用いるメリットがなくなる。また、0.2mmよりも小さいと基板1へのアッセンブルがしにくくなるという別の問題が発生する。より好適にはシリコン使用量の関係から0.2〜0.6mmがよい。
【0029】
多数の結晶半導体粒子2を基板1上に配設する方法としては、例えば結晶半導体粒子2を基板1の表面に散布した後一定の荷重を結晶半導体粒子2上に掛けながら、基板1のアルミニウムと結晶半導体粒子2のシリコンとの共晶温度577℃以上に加熱することによって、基板と結晶半導体粒子の合金層15を介して基板1と結晶半導体粒子2を接合させる方法が用いられる。
【0030】
なお、合金層15に接触している第1導電型の領域では、基板1の材料であるアルミニウムが拡散してp+層を形成している。しかしながら、単に導電性拡散領域を形成するのであれば、AlとSiとの共晶温度である577℃以下でもできるが、基板1と粒状結晶半導体2の接合が弱いために基板1から粒状結晶半導体2が離脱し、太陽電池としての構造を維持できなくなる。
【0031】
絶縁体3は、正極と負極の分離を行うための絶縁材料からなり、ポリイミドあるいは無機フィラーまたはアルコキシシランもしくはその加水分解物もしくは縮重合物のいずれかを含有するポリイミドから成る。
【0032】
絶縁体3の厚みは1〜250μmが望ましい。厚みが1μm以下になると、絶縁性が不安定になってリーク電流が流れやすくなるし、逆に厚みが250μmを越えると、クラックが発生し易くなって耐侯性や密着性等が劣化する。
【0033】
また、無機フィラーは、SiO2またはSiO2を主成分とするガラスからなることが望ましい。ポリイミドに分散されたSiO2粒子またはSiO2を主成分とするガラス粒子はHF/HNO2等によるウエットエッチングで除去されるため、それらの粒子の周囲にあったポリイミドも同時にエッチングされることになる。すなわち粒状結晶半導体2と、その周囲のポリイミドは略同時にエッチングされることからオーバーエッチを防止することができる。
【0034】
また、その無機フィラーの形状はほぼ球形であることが望ましい。無機フィラーの形状として鋭利な部分があるとポリイミド塗布厚みが薄くなり、その部分が選択的にエッチングされるため、絶縁層3のはがれ不良の原因となりやすい。
【0035】
また、無機フィラーの平均一次粒子径は0.01〜1.0μm、好適には0.03〜0.5μmがよい。平均一次粒子径が1.0μmより大きいと、基板上のポリイミドの厚みと同等となるため、フィラーがウエットエッチングで除去された時ピンホールが発生し絶縁不良の原因となる。また平均一次粒子径が0.01μmより小さいとポリイミドに単分散させることが困難となるため、部分的に1.0μmより大きい凝集粒子が発生しやすくなり、結果的に絶縁不良を起こしてしまう。
【0036】
また、無機フィラーの含有量はポリイミド固形分に対し1〜50wt%、好適には3〜30wt%、より好適には5〜20wt%がよい。ポリイミド固形分に対し1wt%より少ないとフィラー添加の効果はなく、50wt%より多いとHF/HNO2等によるウエットエッチングでクラック等が発生しやすくなる。
【0037】
また、無機フィラーの表面がアルキル基を有するSi化合物、例えばシランカップリング剤にて修飾されてもよい。
【0038】
また、無機フィラーの代わりに、アルコキシシランまたはその加水分解物または縮重合物のいずれかをポリイミドに添加してもかまわない。これらの化合物も無機フィラーと同様、HF/HNO2等に対するエッチング効果により、粒状結晶半導体周囲のオーバーエッチを防止することができる。
【0039】
また、アルコキシシランまたはその加水分解物または縮重合物の含有量はポリイミド固形分に対しSiO2換算で1〜50wt%、好適には3〜30wt%、より好適にはは3〜20wt%がよい。その理由は無機フィラーの場合と同じである。
【0040】
また、アルコキシシランは上記化学式1、2と同じ下記化学式3
【0041】
【化3】
からなることが望ましく、コスト面からはテトラエトキシシラン、またはその加水分解物、縮重合物を用いるのがより望ましい。
【0042】
また、ポリイミドあるいは無機フィラーまたはアルコキシシランもしくはその加水分解物もしくは縮重合物のいずれかを含有するポリイミドは有機溶媒に溶かして用いるが、有機溶媒としては、N−メチルピロリドン、NN‘−ジメチルホルムアミド、NN‘−ジメチルアセトアミド、o,m,p−メチルフェノール等を用いることができ、中でも溶解性、毒性、コストの観点からN−メチルピロリドン、NN‘−ジメチルアセトアミドが望ましい。
【0043】
溶液の濃度と粘度は、絶縁体3の形成性と、熱処理後の厚み、粒状結晶半導体2上でのはじき性等の関係から、10%〜20%、および30〜300mPa・sが適切である。
【0044】
半導体層4は例えばSiから成り、気相成長法等で例えばシラン化合物の気相にn型を呈するリン系化合物の気相、又はp型を呈するホウ素系化合物の気相を微量導入して形成する。膜質としては結晶質、非晶質、結晶質と非晶質とが混在するのいずれでもよいが、光線透過率を考慮すると結晶質又は結晶質と非晶質とが混在するものがよく、光線透過率については、粒状結晶半導体2がない部分で入射光の一部が半導体層4を透過し、下部の基板1で反射して粒状結晶半導体2に照射されることで、光電変換装置全体に照射される光エネルギーを効率よく粒状結晶半導体2に照射することが可能となる。
【0045】
導電性については、半導体層4中の微量元素の濃度は高くてもよく、例えば1×1016〜1021atm/cm3台程度である。
【0046】
さらに、半導体層4は粒状結晶半導体2の表面に沿って形成し、粒状結晶半導体2の凸曲面形状に沿って形成することが望ましい。粒状結晶半導体2の凸曲面状の表面に沿って形成することによってpn接合の面積を広く稼ぐことができ、粒状結晶半導体2の内部で生成したキャリアを効率よく収集することが可能となる。なお、その外郭にn型を呈するP、As等、又はp型を呈するB、Al、Ga等が微量含まれている粒状結晶半導体2を用いる場合には、半導体層4はなくてもよく、その上に導電層5を形成してもよい。
【0047】
導電層5はスパッタリング法や気相成長法等の成膜方法あるいは塗布焼成等によって形成し、SnO2、In2O3、ITO、ZnO、TiO2等から選ばれる1種又は複数の酸化物系膜、又はTi、Pt、Au等から選ばれる1種又は複数の金属系膜を形成する。なお、このような導電層5は透明であることが必要であり、粒状結晶半導体2がない部分で入射光の一部が導電層5を透過し、下部の基板1で反射して粒状結晶半導体2に照射されることで、光電変換装置全体に照射される光エネルギーを効率よく粒状結晶半導体2に照射することが可能となる。
【0048】
透明導電層5は膜厚を選べば反射防止膜としての効果も期待できる。さらに、導電層5は半導体層4あるいは粒状結晶半導体2の表面に沿って形成し、粒状結晶半導体2の凸曲面形状に沿って形成することが望ましい。粒状結晶半導体2の凸曲面状の表面に沿って形成することによってpn接合の面積を広く稼ぐことができ、粒状結晶半導体2の内部で生成したキャリアを効率よく収集することが可能となる。
【0049】
半導体層4あるいは導電層5上に保護層(不図示)を形成してもよい。このような保護層としては透明誘電体の特性を持つものがよく、CVD法やPVD法等で例えば酸化珪素、酸化セシウム、酸化アルミニウム、窒化珪素、酸化チタン、SiO2−TiO2、酸化タンタル、酸化イットリウム等を単一組成又は複数組成で単層又は組み合わせて半導体層4又は導電層5上に形成する。保護層は、光の入射面に設けられるために、透明性が必要であり、また半導体層4又は導電層5と外部との間のリークを防止するために、誘電体であることが必要である。なお、保護層の膜厚を最適化すれば反射防止膜としての機能も期待できる。
【0050】
また、直列抵抗値を低くするために、半導体層4又は導電層5の上に一定間隔のフィンガーやバスバーといったパターン電極(不図示)を設けて直接的又は間接的に半導体層4と接続し、変換効率を向上させることも可能である。
【0051】
【実施例】
次に、本発明の光電変換装置の実施例を説明する。
【0052】
〔実施例1〕
アルミニウム基板1上に直径0.3〜0.5mmのp型シリコン粒子2を多数設置した後、p型シリコン粒子2が動かないように一定の荷重をかけて押し付けた状態で、N2−H2雰囲気中の630℃で10分間加熱処理してp型シリコン粒子2をアルミニウム基板1に接合させた(接合部15)。
【0053】
ポリイミド樹脂のN−メチルピロリドン溶液に樹脂固形分に対し10wt%の球状SiO2(平均粒径=0.5μm)を分散し、上記シリコン粒子2を接合したアルミニウム基板1上に塗布した。その後300℃−1時間加熱処理し、p型シリコン粒子2間のアルミニウム基板1上にポリイミド樹脂の絶縁層3を形成した。得られた絶縁層3の厚みはアルミニウム基板1上で2〜5μm、シリコン粒子2同士が接近しているところで100〜200μmであった。
【0054】
p型シリコン粒子2の上部表面をクリーニングするために、前述のp型シリコン粒子2間を絶縁体3で充填した基板1を弗酸硝酸混合液(HF:HNO3=1:20)に1分間浸漬して純水で十分洗浄した。
【0055】
次に、シランガスと微量のP化合物からなる混合ガスを用いたプラズマCVD法により、p型シリコン粒子2上に厚み50nmのn型非晶質シリコン半導体層4を成膜し、その上にスパッタリング法によって厚み100nmのITO膜5を作製した。
【0056】
フィンガーおよびバスバーからなるパターン電極を設けた後、光電変換率を測定したところ、8.7%と比較的高い値が得られた。また、この試料に対し−40℃〜90℃の温度サイクル試験500サイクルを行ったところ、絶縁体3にクラック、剥がれ等は発生せず、光電変換率も8.5%と特性劣化はほとんど見られなかった。
【0057】
〔実施例2〕
ポリイミド樹脂に添加する無機フィラーとして、予めシランカップリング剤をコートし分散性を向上させた球状SiO2(平均粒径=0.5μm)を用いる他は実施例1と同様にして光電変換装置を作製した。得られた絶縁層3の厚みは実施例1と同等であった。光電変換率を測定したところ、8.3%と比較的高い値が得られた。また、この試料に対し−40℃〜90℃の温度サイクル試験500サイクルを行ったところ、絶縁体3にクラック、剥がれ等は発生せず、光電変換率も8.0%と特性劣化はほとんど見られなかった。
【0058】
〔実施例3〕
ポリイミド樹脂に添加するフィラーの代わりに、SiO2換算で樹脂固形分に対し5wt%のテトラエトキシシランを用いる他は実施例1と同様にして光電変換装置を作製した。得られた絶縁層3の厚みは実施例1と同等であった。光電変換率を測定したところ、8.9%と比較的高い値が得られた。また、この試料に対し−40℃〜90℃の温度サイクル試験500サイクルを行ったところ、絶縁体3にクラック、剥がれ等は発生せず、光電変換率も8.5%と特性劣化はほとんど見られなかった。
【0059】
〔実施例4〕
フィラーを全く添加しないポリイミド樹脂を用いる他は実施例1と同様にして光電変換装置を作製した。得られた絶縁層3の厚みは実施例1と同等であった。光電変換率を測定したところ、8.0%と比較的高い値が得られた。また、この試料に対し−40℃〜90℃の温度サイクル試験500サイクルを行ったところ、絶縁体3にクラック、剥がれ等は発生せず、光電変換率も7.8%と特性劣化はほとんど見られなかった。
【0060】
【発明の効果】
以上のように、請求項1に係る光電変換装置によれば、基板上に接合した粒状結晶半導体間に充填する絶縁体がポリイミド、あるいは無機フィラーまたはアルコキシシランもしくはその加水分解物もしくは縮重合物のいずれかを含有するポリイミドとから成ることから、基板上の絶縁体の厚みを確保し、またウエットエッチング時における粒状結晶半導体周囲のオーバーエッチを防止することができるため、従来の光電変換装置と比較して製造マージンが大きく、低コストで高い変換効率を有する光電変換装置を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光電変換装置の一実施形態を示す断面図である。
【図2】従来例1の光電変換装置を示す断面図である。
【図3】従来例2の光電変換装置を示す断面図である。
【図4】従来例3の光電変換装置を示す断面図である。
【図5】従来例4の光電変換装置を示す断面図である。
【符号の説明】
1・・・・基板
2・・・・一導電型を呈する粒状結晶半導体
3・・・・絶縁体
4・・・・逆導電型の半導体層
5・・・・他方の電極層
15・・・アルミニウムとシリコンとの合金層
Claims (11)
- 一方の電極となる基板上に一導電型を呈する粒状結晶半導体を多数配設して前記基板と接合し、この粒状結晶半導体間に絶縁体を充填してこの粒状結晶半導体上に逆導電型を呈する半導体層を設けるとともに、この逆導電型を呈する半導体層に他方の電極を接続して設けた光電変換装置において、前記絶縁体がポリイミドからなることを特徴とする光電変換装置。
- 前記ポリイミドの厚みが1〜250μmであることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記ポリイミドが無機フィラーを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
- 前記無機フィラーがSiO2またはSiO2を主成分とするガラスからなることを特徴とする請求項3に記載の光電変換装置。
- 前記無機フィラーの平均一次粒子径が0.01〜1.0μmであることを特徴とする請求項3または4に記載の光電変換装置。
- 前記無機フィラーの形状がほぼ球形であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記無機フィラーの含有量がポリイミド固形分に対し1〜50wt%であることを特徴とする請求項3ないし6のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記無機フィラーの表面がアルキル基を有するSi化合物にて修飾されていることを特徴とする請求項3ないし7のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記ポリイミドがアルコキシシランまたはその加水分解物または縮重合物のいずれかを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の光電変換装置。
- 前記アルコキシシランまたはその加水分解物または縮重合物の含有量が、SiO2換算でポリイミド固形分に対し1〜50wt%であることを特徴とする請求項9に記載の光電変換装置。
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