JP2004221249A - 配線パターンの埋め込み検査方法、半導体装置の製造方法および検査装置 - Google Patents

配線パターンの埋め込み検査方法、半導体装置の製造方法および検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高アスペクト比の微細な配線パターン溝への金属の埋め込み状態を簡易な構成でかつ高速に評価する。
【解決手段】ウェーハWの金属膜MFの成膜時における狙い膜厚を参照して渦電流損失測定センサ11に供給する高周波電流の周波数を設定し(ステップS1)、配線パターン溝Grが形成されている領域Bを横切るようにウェーハW上を渦電流損失測定センサ11で走査して金属膜MFのうちウェーハWの表面と同一面から上方部分の膜厚を測定し(ステップS2)、測定結果から渦電流損失測定センサ11の走査領域における膜厚差の最大値を算出する(ステップS3)。予めデータベースD2として用意した最大膜厚差と配線パターン溝の埋め込み率との関係を参照し、算出された最大膜厚差から配線パターン溝Gr内への金属の埋め込み率を算出する(ステップS4)。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、処理基板の表面に形成された配線パターン溝への金属の埋め込み状態の検査方法、これを用いた半導体装置の製造方法、および検査装置に関し、特に、LSI(Large Scale Integrated Circuit)、超LSIの半導体製造工程の金属配線工程における配線パターン溝への金属の埋め込み状態の検査を対象とする。
【0002】
【従来の技術】
従来より、配線パターン溝への金属の埋め込み状態を検査する工程においては、実配線パターンが微細であること、非接触の金属膜厚測定が難しいこと、などの理由から直接実配線パターンを測定することができなかった。このため、測定用パターンをウェーハ上に作り込み、これを測定することにより間接的に検査する方法が用いられてきた。このような間接的な検査方法の具体例として、接触法である4探針法を用いて測定用パターンのシート抵抗を測定する方法(例えば、特許文献1)、光学顕微鏡で測定用パターンを観察することで膜厚を管理する方法(例えば、特許文献2)、4探針法または渦電流法を用いてスルーホールへの埋め込み状態を層抵抗の変化で検査する方法(例えば、特許文献3)などがある。
【0003】
特許文献1に開示された方法には、接触法である上、実配線パターンを直接測定できないという問題があり、また、特許文献2に開示された方法には、光学顕微鏡を用いた測定であるために自動化、定量化が難しいという問題があった。
【0004】
さらに、特許文献3の方法は、金属配線内にボイドが生じた場合、このボイドが電流の流れに対して抵抗として寄与するという原理を用いており、ボイドが生じた不良品では層抵抗が高くなり、この一方、ボイドが無い良品では層抵抗が低くなる、という層抵抗の変化からビア(Via)の埋め込みを測定している。
【0005】
しかし、近年の微細化の加速により、高アスペクト比でかつスルーホール径の小さなパターン、非常に幅が細くなったライン(Line)等の微細パターンが増大している。このようなパターンについては、層抵抗の変化を測定しようとしても、電流が微細パターン内をほとんど流れないため、検出することが困難である。また、上述した方法のすべてに共通して、測定用パターンを作成する領域をウェーハ上に割り付けなければならないという問題点がある。
【0006】
以上の問題を克服するため、近年では、配線パターンを直接検査する方法が開発されている。このような直接検査法の具体例として、破壊検査では所望の観察位置でウェーハを割って電子顕微鏡で観察する方法、非破壊検査ではバイアス電圧を印可したウェーハへ電子ビームを照射し、埋め込まれた配線材料の導通状態(抵抗変化)に依存して二次電子放出量が異なることから電位コントラストを取得することにより検査する方法(例えば、特許文献4)などがある。
【0007】
【特許文献1】
特許第2559512号公報
【特許文献2】
特許第2570130号公報
【特許文献3】
特開平10−154737号公報
【特許文献4】
特開2001−313322号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3に開示された方法では、測定までに複数のステップが必要であるために多大な時間とコストがかかるという問題点の他、破壊検査であるために製品ウェーハでは使用できないなどの制限がある。
【0009】
また、特許文献4に開示の方法は、非接触で製品ウェーハにおける配線パターン溝への埋め込み状態を検査できる方法として期待されているが、検査装置として、真空系を含む複雑な構成が必要となるために非常に大型で高価な装置が必要になってしまうこと、スループットが遅いこと、検査が安定して行えないことなど、多くの問題点が指摘されている。
【0010】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、非接触でかつ直接に製品ウェーハを測定することにより、高アスペクト比の微細な配線パターン溝への金属の埋め込み状態を簡易な構成でかつ高速に評価できる検査方法、これを用いた半導体装置の製造方法、および検査装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の手段により上記課題の解決を図る。
【0012】
即ち、本発明によれば、
配線パターン溝が表面に形成された基板上に金属膜を成膜することによりこの配線パターン溝を金属で埋め込んで配線パターンを形成する工程に用いられ、基板上に成膜された金属膜のうち、基板面と実質的に同一の面から上方に堆積した金属で構成される部分である基板上方部分の膜厚を選択的に測定する膜厚測定工程と、この膜厚測定工程により得られた膜厚測定結果に基づいて上記配線パターン溝への上記金属の埋め込み状態を評価する評価工程と、を備える配線パターンの埋め込み検査方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、
上述した配線パターンの埋め込み検査方法を用いる半導体装置の製造方法が提供される。
【0014】
また、本発明によれば、
配線パターン溝が表面に形成された基板上に金属膜を成膜することによりこの配線パターン溝を金属で埋め込んで配線パターンを形成する工程に用いられ、上記配線パターン溝への上記金属の埋め込み状態を検査する検査装置であって、基板上に成膜された金属膜のうち、基板面と実質的に同一の面から上方に堆積した金属で構成される部分である基板上方部分の膜厚を選択的に測定する膜厚測定手段と、この膜厚測定手段により得られた膜厚測定結果に基づいて上記配線パターン溝への上記金属の埋め込み状態を評価する評価手段と、を備える検査装置が提供される。
【0015】
【発明の実施の形態】
まず、本発明が依拠する検査原理について図1〜図5を参照しながら簡単に説明する。
【0016】
図1〜図5は、ウェーハの表面に金属配線を形成する工程を具体的に説明する略示断面図である。
【0017】
これらの断面図において、ウェーハWの上面には予め配線を形成するためのラインパターンやビア(Via)の溝Grがエッチング加工により形成されている。ウェーハW上にスパッタリング法、めっき法、CVD (Chemical Vapor Deposition) 法等により、金属材料が配線パターン溝Grを埋め込んでなおその周辺領域上に延在するように金属膜MFが成膜され、これにより、配線パターン溝Grに配線が形成される。図1および図4は、埋め込みが正しく行われた良品の例を示す。この一方、図2、図3および図5は埋め込みが正しく行われていない不良品の例を示す。なお、図1と図4同士、または図2と図5同士における膜形状の違いは、配線パターンPwの種類や形状(アスペクト比、サイズ)、パターン密度、成膜方法等に依存するものである。
【0018】
図1〜図5において、領域BはウェーハWの最上層に配線パターンPwの溝Grが形成されている領域であり、ウェーハW上に金属膜MFを成膜することにより、領域Bで金属材料が配線パターン溝Grの中へ埋め込まれ、配線パターンPwが形成される。領域AおよびCは、最上層に配線パターン溝Grが形成されない領域である。
【0019】
正常に配線パターン溝Grへ金属が埋め込まれている場合は、例えば図1に示すように、領域Bにおいて金属膜MFの表面に大きな凹凸が現れ、ウェーハWの上面と同一の面、即ち、配線パターンPwが完全な埋め込み配線である場合の配線パターンPwの上面から金属膜MF表面の凹部底面までの膜厚TB1が領域A,Cにおける金属膜MFの膜厚TAに比べ薄くなる。また、例えば図4に示すように、領域BにおいてウェーハWの上面と同一の面から金属膜MFの表面までの膜厚TB7が領域A,Cにおける膜厚TAに比べて薄くなる。
【0020】
これとは反対に、埋め込みが正常に行われていない場合には、埋め込み不良の度合いが大きくなるほど、領域Bにおいて、ウェーハWの上面と同一の面から上方に堆積した部分の金属膜の膜厚と、他の領域A,Cにおける金属膜の膜厚との差が小さくなる。
【0021】
例えば図1に示す膜形状について埋め込み不良が生じると、図2に示すように領域Bの金属膜表面の凸凹が小さくなっていくので、領域BにおいてウェーハWの上面と同一面から金属膜MF3の凹部底面までの膜厚TB3は図1の膜厚TB1に比べて厚くなる。また、例えば図4に示す膜形状については、図5に示すようにウェーハWの上面と同一面から金属膜MF7の表面までの膜厚TB9が単純に厚くなっていく。さらに、例えば図1に示す膜形状について配線パターン溝Gr内へ金属が全く埋め込まれていない場合は、図3に示すように、領域A、B、C間に膜厚の差がなくなる。
【0022】
従って、配線パターンPwが形成された領域Bにおける金属膜MFのうち、配線パターン溝内の部分を除く、ウェーハWの上面と同一面から上方に堆積した部分の膜厚変化をモニタすることにより配線パターン溝Grへの金属材料の埋め込み状態の情報を取得することが可能になる。ここで、配線パターン溝Grの密度が高いほど、(領域Bにおける)配線パターン溝Grを埋め込んでなおウェーハWの上面と同一面から上方に堆積する金属の体積が大幅に減少し、膜厚TAと膜厚TBの差が大きくなる。従って、配線パターン溝Grの密度の高い領域で測定することにより、配線パターン溝Grへの金属材料の埋め込み状態に対しての膜厚TAと膜厚TBの変化分を大きくでき、測定精度を向上させることができる。このような検査のための代表的な測定法としては、接触方式では4探針式、非接触方式では光学式、光学音響式、X線式および渦電流式などがあるが、任意の測定方式による金属膜厚測定装置で測定可能である。
【0023】
以下、本発明の実施の形態のいくつかについて図6乃至図13を参照しながら説明する。以下の実施形態では、渦電流方式の膜厚測定装置を用いる場合を取り上げて説明する。
【0024】
図6は、本発明にかかる検査装置の実施の一形態を概略的に示すブロック図である。同図に示す検査装置1は、渦電流損失測定センサユニット10と、インピーダンスアナライザ20と、変位センサコントローラ30と、制御コンピュータ40と、メモリMRと、X−Y−Zステージ50と、ステージドライバ60とを備える。渦電流損失測定センサユニット10は、渦電流損失測定センサ11と、静電容量式変位センサ13と、Zステージ17とを含む。メモリMRは、制御コンピュータ40に接続され、後述するデータベースD1およびD2を格納する。インピーダンスアナライザ20、変位センサコントローラ30およびステージドライバ60は、制御コンピュータ40に接続され、それぞれ指令信号を受け取る。X−Y−Zステージ50は、その上面でウェーハWを支持し、ステージドライバ60に接続されて駆動信号を受け、X−Y−Zの3方向において自在にウェーハWを移動させる。Zステージ17もステージドライバ60に接続され、駆動信号を受けて渦電流損失測定センサユニット10をZ方向に移動させる。渦電流損失測定センサユニット10の静電容量式変位センサ13は、変位センサコントローラ30に接続され、静電容量式変位センサ電極13EL(図7(b)参照)−金属膜MF間の静電容量の変化を変位センサコントローラ30が測定し、測定結果を制御コンピュータ40に伝送する。
【0025】
図7は、渦電流損失測定センサユニット10のより詳細な説明図であり、(a)は、その正面図を、上面に金属膜MFが形成されたウェーハWの部分断面図とともに示し、(b)は、渦電流損失測定センサユニット10の底面図を示す。
【0026】
渦電流損失測定センサ11は、励起受信一体型コイルLを有し、インピーダンスアナライザ20に接続されてインピーダンスアナライザ20から高周波電流の供給を受けてコイルLにより高周波磁界を励起する。渦電流損失測定センサ11は、ウェーハWの金属膜MFの上方に位置するときに、励起する磁界の磁束線MFL(図7(a)参照)が金属膜MFの表面部を局所的に通過するように構成されている。この磁界により金属膜MFに渦電流が励起され、次式に表わされるように、高周波電流の周波数fの二乗と金属膜MFの膜厚tとに比例し、かつ、金属膜MFの抵抗率ρに反比例する渦電流損失Pが発生する。
【0027】
P∝(f・t)/ρ
この電流損失Pが金属膜MF内で発生すると、渦電流損失測定センサ11が渦電流により発生した磁界とコイルLにより励磁された磁界との合成磁界を受信し、この結果、金属膜MFの膜厚TAおよびTBに応じて渦電流損失測定センサ11のインピーダンス、インピーダンスアナライザ20から渦電流損失測定センサ11のコイルLに供給される高周波電流の電流値または位相が変化する。この変化をインピーダンスアナライザ20が測定し、測定結果を制御コンピュータ40に伝送する。
【0028】
静電容量式変位センサ13は、図7(b)に示すように、励起受信一体型コイルLを覆うように形成された絶縁材料15を介して渦電流損失測定センサ11のコイルLの底部を周回するように設けられたセンサ電極13ELを有する。センサ電極13ELは変位センサコントローラ30に接続され、変位センサコントローラ30は図示しない配線によりグランド接続される。金属膜MFも図示しない配線によりグランド接続される。これにより、静電容量式変位センサ電極13ELと導電性膜MFとはコンデンサの両側の電極をなす。図7(a)に示すように、本実施形態において、センサ電極13ELは、その底面と渦電流損失測定センサ11の底面とが同一の平面内に位置するように配置され、これにより、渦電流損失測定センサユニット10および金属膜MF間の変位に応じて静電容量式変位センサ電極13EL−金属膜MF間の静電容量が変化し、この静電容量の変化を変位センサコントローラ30が検知してその結果を制御コンピュータ40に伝送する。静電容量式変位センサ13は、配線パターン形成部Bよりも十分広い領域で静電容量を測定でき、変位測定結果はセンサ電極13ELの面内で積分される。このため、配線パターン表面の凸凹による影響は非常に小さく抑えられている。
【0029】
図6に戻り、制御コンピュータ40は、インピーダンスアナライザ20から高周波電流を渦電流損失測定センサ11に供給させ、変位センサコントローラ30を介して渦電流損失測定センサ11および金属膜MF間の変位を静電容量式変位センサ13により測定しながら、X−Y−Zステージ50もしくはZステージ17またはこれらの両方をステージドライバ60を介して動作させることにより、ウェーハWの表面領域を走査する。この走査中に、制御コンピュータ40は、インピーダンスアナライザ20から渦電流損失測定センサ11の測定結果を受け取り、同時にメモリMRに格納されたデータベースD1およびD2を参照して金属膜MFの膜厚を算出する。
【0030】
静電容量式変位センサ13の測定結果を利用したX−Y−Zステージ50およびZステージ17の制御方法としては、ウェーハW上の金属膜MFと渦電流損失測定センサ11との距離を一定に保持しながら渦電流損失を測定する方法の他、Zステージ17を動作させることなく、渦電流損失測定センサ11および金属膜MF間の変位の測定結果を用いて渦電流損失測定センサ11により得られた渦電流損失測定値に補正処理を実行する方法もある。
【0031】
配線パターンPw内の部分や配線パターン領域Bの表面の凸凹部分(例えば図1参照)のように金属膜が小さな体積に分割されている領域では抵抗が高い。渦電流は原理的に、このような高抵抗の領域では非常に流れにくい特徴を持っている。この結果、配線パターンPw内に埋め込まれた金属の厚さよりもウェーハWの表面(金属膜MFが成膜される面)と同一面から上方に堆積した金属で構成される部分(以下、単に基板上方部分という)の膜厚TBおよび(TB+TP)が選択的に測定されることになる。また、本実施形態のような渦電流損失に基づく膜厚測定では、比較的大きな領域が一括して測定され、測定領域全体の基板上方部分の膜厚を積分した測定結果が得られるため、配線パターンPwがより高密度かつ多数形成されている程、配線パターン溝Grへの金属材料の埋め込み状態に対しての膜厚TAと膜厚TBの変化分を大きくでき、測定精度を向上させることができるという利点がある。
【0032】
メモリMRに格納され金属膜の基板上方部分の膜厚算出に用いられるデータベースD1およびD2について説明する。
データベースD1には、渦電流損失測定センサ11のインピーダンスの変化、インピーダンスアナライザ20からコイルLに供給される高周波電流の電流量および位相の変化と、金属膜の基板上方部分の膜厚、抵抗率ρ、金属膜および渦電流損失測定センサ間の変位との関係を表すデータが予め測定されて作成されている。このようなデータの具体例を図8および図9に示す。図8は、渦電流損失測定センサ11および金属膜MF間の変位に対する渦電流損失測定センサ11のインダクタンスおよび抵抗の変化を、金属膜MFの基板上方部分の膜厚をパラメータとしてプロットしたグラフの一例を示す。また、図9は、金属膜MFの基板上方部分の膜厚と渦電流損失測定センサ11のインダクタンスおよび抵抗の関係を、金属膜MFの抵抗率ρの違いをパラメータとしてプロットしたグラフの一例を示す。制御コンピュータ40は、このようなデータベースD1を参照することにより、インピーダンスアナライザ20から供給された渦電流損失測定センサ11の測定結果を金属膜MFの基板上方部分の膜厚に換算する。
【0033】
データベースD2には、金属膜MFの基板上方部分の膜厚と配線パターン溝Grへの埋め込み率との関係を表すデータが予め測定されて作成されている。このようなデータの一例を図10に示す。同図は、金属膜MFの基板上方部分における最大膜厚差と配線パターン溝Grへの埋め込み率との相関関係をプロットしたグラフである。制御コンピュータ40は、ウェーハWの走査により得られた、金属膜MFの基板上方部分の膜厚値から、配線パターン溝Grが形成されていない領域A、Cと配線パターン溝Grが形成されている領域Bとの膜厚差を算出し、データベースD2を参照することにより、配線パターン溝Gr内への金属の埋め込み率を算出して出力する。
【0034】
図6に示す検査装置1を用いた配線パターンの埋め込み検査方法の第1の実施の形態について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
【0035】
まず、ウェーハWの金属膜MFの成膜時に企図した狙い膜厚を参照し、インピーダンスアナライザ20から渦電流損失測定センサ11に供給する高周波電流の周波数を金属膜MFの狙い膜厚に最適な値に設定する(ステップS1)。可変周波数の範囲は、例えば1MHzから10MHzである。
【0036】
次に、設定した周波数でインピーダンスアナライザ20から高周波電流を渦電流損失測定センサ11に供給して高周波磁界を励磁させながら、X−Y−Zステージ50もしくはZステージ17またはこれらの両方を駆動することにより、配線パターン溝Grが形成されていない領域Aからスタートして配線パターン溝Grが形成されている領域Bを通り、配線パターン溝Grが形成されていない領域Cまでを渦電流損失測定センサ11により走査し、金属膜MFの基板上方部分の膜厚を測定する(ステップS2)。
【0037】
次に、膜厚測定結果から渦電流損失測定センサ11による走査領域における膜厚差の最大値を算出する(ステップS3)。このような膜厚測定結果の一例として、図2の領域Aから領域Cまでを走査して得られた測定結果を図12に示す。
【0038】
最後に、データベースD2(図6参照)としてメモリMRに格納された金属膜の基板上方部分の最大膜厚差と配線パターン溝への埋め込み率との相関関係に基づいて、測定対象の配線パターンPwについて配線パターン溝Grへの金属の埋め込み率を出力する(ステップS4)。
【0039】
ここで、製品の良否を判定する閾値として、例えば図10における80%の値を設定しておき、算出された埋め込み率が80%を越える場合に良品と判定することもできる。
【0040】
図13は、検査装置1を用いた配線パターンの埋め込み検査方法の第2の実施の形態の概略手順を示すフローチャートである。本実施形態では、メモリMRに格納されるデータベースD2として、配線パターン溝Grが良好に埋め込まれた良品の領域Bについて測定された、金属膜MFの基板上方部分の最小膜厚値と配線パターン溝Grへの埋め込み率との関係(図示せず)を予め準備しておく。
【0041】
まず、前述した第1の実施形態と同様にして渦電流損失測定センサ11に供給する高周波電流の周波数を金属膜MFの狙い膜厚に最適な値に設定した後(ステップS11)、配線パターン溝Grが形成されていない領域AおよびCについては走査することなく、配線パターン溝Grが形成された領域Bのみを走査して金属膜MFの基板上方部分の膜厚のみを測定する(ステップS12)。最後に、得られた膜厚値から最小膜厚値を取り出し、データベースD2として準備された最小膜厚値と配線パターン溝Grへの埋め込み率との関係(図示せず)を参照し、領域Bにおける最小膜厚値から、測定対象の配線パターンPwについて配線パターン溝Grへの金属の埋め込み率を算出する(ステップS13)。
【0042】
このように、金属膜MFのうち配線パターン溝Grが形成された領域Bにおける基板上方部分の膜厚のみを測定することによっても、配線パターン溝Grへの金属の埋め込み率を算出することができる。
【0043】
上述した実施形態によれば、従来の技術では測定が困難であった高アスペクト比の微細な配線パターン溝への金属の埋め込み状態を容易に評価することができる。また、非接触で製品ウェーハを直接測定することができるので、検査工程の大幅な簡略化が実現できる。
【0044】
また、上述した実施形態によれば、渦電流方式を採用するので、簡易かつ小型の測定系で高速の測定が可能になり、成膜装置内での非接触のIn−line、In−situの測定および検査が可能になる。
【0045】
さらに、上述した測定方法を用いて半導体装置を製造することにより、高い歩留まりでかつ高いスループットで半導体装置を製造することが可能になる。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記形態に限られるものでは決して無く、その技術的範囲内で種々変更して実施することができることは勿論である。上述した測定方法では、製品パターンを直接測定した場合について説明したが、検査用のパターンを測定する場合にも用いることができる。
【0047】
また、図6に示す検査装置では、単一の渦電流損失測定センサ11を備える場合について説明したが、複数の渦電流損失測定センサ11を測定装置に配置すれば、スループットを向上させることができる上、ウェーハ面内の複数のチップを同時に測定し検査することも可能になる。
【0048】
また、上述した検査装置を成膜装置へ組み込むことにより、真空中でのIn−line、In−situ測定も可能になる。なお、成膜中にIn−situ測定を行うためには、渦電流損失測定センサ11をウェーハWの裏面側に配置すればよい。
【0049】
さらに、上述した実施形態では、渦電流方式について詳細に説明したが、他の方式の金属膜厚測定装置を用いても、上述した測定方法、測定アルゴリズムを用いることにより同様にパターンの埋め込み状態を容易に測定することができる。
【0050】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、本発明は、以下の効果を奏する。
【0051】
即ち、本発明によれば、高アスペクト比の微細な配線パターン溝への金属の埋め込み状態を製品ウェーハに接触することなく直接に評価することができる。これにより、配線パターンの埋め込み検査の工程を大幅に簡略化することができる。
【0052】
また、本発明によれば、上記効果を奏する配線パターンの埋め込み検査方法を用いるので、高い歩留まりおよびスループットで半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による配線パターンの埋め込み検査方法の検査原理を説明するためのウェーハの略示断面図である。
【図2】本発明による配線パターンの埋め込み検査方法の検査原理を説明するためのウェーハの略示断面図である。
【図3】本発明による配線パターンの埋め込み検査方法の検査原理を説明するためのウェーハの略示断面図である。
【図4】本発明による配線パターンの埋め込み検査方法の検査原理を説明するためのウェーハの略示断面図である。
【図5】本発明による配線パターンの埋め込み検査方法の検査原理を説明するためのウェーハの略示断面図である。
【図6】本発明にかかる検査装置の実施の一形態を概略的に示すブロック図である。
【図7】(a)は、図6に示す検査装置が備える渦電流損失測定センサユニットのより詳細な構成を示す断面図であり、(b)は図6に示す検査装置の渦電流損失測定センサユニットの底面図である。
【図8】図6に示す検査装置が備えるメモリに格納されたデータベースD1のデータ内容の一部を例示するグラフである。
【図9】図6に示す検査装置が備えるメモリに格納されたデータベースD1のデータ内容の他の一部を例示するグラフである。
【図10】図6に示す検査装置が備えるメモリに格納されたデータベースD2のデータ内容の一部を例示するグラフである。
【図11】本発明にかかる配線パターンの埋め込み検査方法の第1の実施の形態の概略手順を示すフローチャートである。
【図12】図2に示す領域Aから領域Cまでを渦電流損失測定センサで走査して膜厚測定した結果の一例を示す。
【図13】本発明にかかる配線パターンの埋め込み検査方法の第2の実施の形態の概略手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 検査装置
10 渦電流損失測定センサユニット
11 渦電流損失測定センサ
13 静電容量式変位センサ
15 絶縁材料
17 Zステージ
20 インピーダンスアナライザ
30 変位センサコントローラ
40 制御コンピュータ
50 X−Y−Zステージ
60 ステージドライバ
D1,D2 データベース
Gr 配線パターン溝
L コイル
MF 金属膜
MFL 磁束線
MR メモリ
Pw 配線パターン
TA,TB1,TB3,TB9,TB7 膜厚
VD ボイド
W ウェーハ

Claims (15)

  1. 配線パターン溝が表面に形成された基板上に金属膜を成膜することにより前記配線パターン溝を金属で埋め込んで配線パターンを形成する工程に用いられ、
    基板上に成膜された金属膜のうち、基板面と実質的に同一の面から上方に堆積した金属で構成される部分である基板上方部分の膜厚を選択的に測定する膜厚測定工程と、
    前記膜厚測定工程により得られた膜厚測定結果に基づいて前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み状態を評価する評価工程と、
    を備える配線パターンの埋め込み検査方法。
  2. 前記評価工程は、良品の前記基板上方部分について予め測定された基準膜厚値と、前記膜厚測定工程により得られた前記膜厚の値とを比較することにより、前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み率を算出する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の配線パターンの埋め込み検査方法。
  3. 前記膜厚測定工程は、前記配線パターン溝を横切るように前記基板面を走査して前記膜厚を測定する工程を含み、
    前記評価工程は、測定された前記膜厚の値のうち最小の膜厚値を取り出す工程と、取り出した前記最小膜厚値と、良品の前記基板上方部分について予め測定された基準最小膜厚値と、を比較することにより、前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み率を算出する工程とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の配線パターンの埋め込み検査方法。
  4. 前記膜厚測定工程は、前記配線パターン溝が形成された領域を横切るように前記基板面を走査して前記膜厚を測定する工程を含み、
    前記評価工程は、測定された前記膜厚の値から最大膜厚差を算出する工程と、予め測定され準備された、前記金属膜の前記基板上方部分の最大膜厚差とパターン溝への埋め込み率との相関関係に基づいて、算出された前記最大膜厚差から前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み率を算出する工程とを含む、ことを特徴とする請求項1に記載の配線パターンの埋め込み検査方法。
  5. 前記膜厚測定工程は、前記金属膜の表面に渦電流を励起させ、これにより生ずる渦電流損失を測定し、得られた渦電流損失の値に基づいて前記金属膜の前記基板上方部分の膜厚を算出する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の配線パターンの埋め込み検査方法。
  6. 前記渦電流は、高周波電流を受けて高周波磁界を励磁する渦電流損失測定センサを用いて励起され、
    前記高周波電流の周波数は、前記金属膜の成膜時における狙いの膜厚に応じて設定される、ことを特徴とする請求項5に記載の配線パターンの埋め込み検査方法。
  7. 前記膜厚測定工程と前記評価工程とは、前記配線パターンを形成する工程と並行して実行されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の配線パターンの埋め込み検査方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれかに記載の配線パターンの埋め込み検査方法を用いる半導体装置の製造方法。
  9. 配線パターン溝が表面に形成された基板上に金属膜を成膜することにより前記配線パターン溝を金属で埋め込んで配線パターンを形成する工程に用いられ、前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み状態を検査する検査装置であって、
    基板上に成膜された金属膜のうち、基板面と実質的に同一の面から上方に堆積した金属で構成される部分である基板上方部分の膜厚を選択的に測定する膜厚測定手段と、
    前記膜厚測定手段により得られた膜厚測定結果に基づいて前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み状態を評価する評価手段と、
    を備える検査装置。
  10. 良品の前記基板上方部分について予め測定された基準膜厚値を格納する記憶手段をさらに備え、
    前記評価手段は、前記基準膜厚値と、前記膜厚測定手段により得られた前記膜厚の値とを比較することにより、前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み率を算出する、ことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
  11. 良品の前記基板上方部分について予め測定された基準最小膜厚値を格納する記憶手段をさらに備え、
    前記膜厚測定手段は、前記配線パターン溝を横切るように前記基板面を走査して前記膜厚を測定し、
    前記評価手段は、前記基準最小膜厚値と、測定された前記膜厚の値のうち最小の膜厚値とを比較することにより、前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み率を算出する、ことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
  12. 予め測定され準備された、前記金属膜の前記基板上方部分の最大膜厚差とパターン溝への埋め込み率との相関関係を表すデータを格納する記憶手段をさらに備え、
    前記膜厚測定手段は、前記配線パターン溝が形成された領域を横切るように前記基板面を走査して前記膜厚を測定し、
    前記評価手段は、測定された前記膜厚の値から最大膜厚差を算出し、前記相関関係を表すデータに基づいて、算出された前記最大膜厚差から前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み率を算出する、ことを特徴とする請求項9に記載の検査装置。
  13. 前記膜厚測定手段は、高周波電流を受けて高周波磁界を励磁し、前記金属膜の表面に渦電流を励起させ、これにより生ずる渦電流損失を測定する渦電流損失測定センサを含むことを特徴とする請求項9乃至12のいずれかに記載の検査装置。
  14. 前記高周波電流の周波数は、前記金属膜の成膜時における狙いの膜厚に応じて設定されることを特徴とする請求項13に記載の検査装置。
  15. 前記基板を受け入れて前記基板上に金属膜を成膜する成膜装置内に設けられ、前記配線パターンの形成工程と並行して前記配線パターン溝への前記金属の埋め込み状態を検査することを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の検査装置。
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