JP2004219945A - 投射型表示装置の塵埃除去方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】装置を分解することなく塵埃を簡単に除去できる投射型表示装置の塵埃除去方法を提供する。
【解決手段】光の光束をランプ光源11からライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、光学像を反射ミラー1で反射させてスクリーン上に拡大投写する装置であって、反射ミラー1及び又はスクリーン3に付着した塵埃を塵埃除去手段14の振動モータ15を振動させることにより除去する。装置のキャビネット等を分解したり、蓋を開けて清掃する必要がなくなるので、スクリーン3やミラーに付着した塵埃を除去して塵埃の付着に伴う画面の輝度低下や画面に対する映り込みを防止できる。また、画面のサイズにかかわらず、付加する部品が最小限となるので、組み立て工数の簡素化が期待でき、しかも、コストや重量的にも有利となる。
【選択図】 図1
【解決手段】光の光束をランプ光源11からライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、光学像を反射ミラー1で反射させてスクリーン上に拡大投写する装置であって、反射ミラー1及び又はスクリーン3に付着した塵埃を塵埃除去手段14の振動モータ15を振動させることにより除去する。装置のキャビネット等を分解したり、蓋を開けて清掃する必要がなくなるので、スクリーン3やミラーに付着した塵埃を除去して塵埃の付着に伴う画面の輝度低下や画面に対する映り込みを防止できる。また、画面のサイズにかかわらず、付加する部品が最小限となるので、組み立て工数の簡素化が期待でき、しかも、コストや重量的にも有利となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、投射型表示装置の防塵方法に関し、より詳しくは、例えば液晶プロジェクタや液晶テレビジョン、投射型ディスプレイ等、液晶パネルやDMDパネル等のライトバルブ素子を使用してスクリーン上に任意の映像を投影する投射型表示装置の塵埃除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リアプロジェクタ等の投射型表示装置としては、白色ランプ光源の光を液晶やLCOS、DMD等のライトバルブ素子に照射し、その反射光又は透過光を投射レンズによりスクリーン上に投写し、画像を表示する装置が知られている。この投射型表示装置の光源から出た光は投影レンズにより拡大されてスクリーンに投影されるが、通常、投影レンズの焦点距離はスクリーンに直接投影するには長過ぎるので、投影レンズから出た光を反射ミラーに反射させて光路を曲げた後、スクリーンの背面に投影することにより、奥行きや薄さを確保するようにしている。投射型表示装置の使用者は、係る投影画像をスクリーンの表面より見ることができる。
【0003】
ところで、スクリーンや反射ミラーが固定される筐体の上部筐体において、塵埃等の異物がスクリーンの内面や反射ミラーの表面に付着すると、その埃の影がスクリーンに投影されて画像上にノイズとして現れたり、光の透過率の減少により、スクリーン上に表示される画像の輝度が低下するという問題が生じる。特に、全面が白色等の単色画面の場合には、ノイズとして容易に認識されることとなる。さらに、スクリーンや反射ミラーの表面は、筐体内を空気が大きく循環すると、帯電しやすくなるので、塵埃等の異物が容易に付着するおそれが少なくない。
【0004】
このような投射型表示装置においては、上部筐体内にスクリーンや反射ミラーが固定されるので、内部に侵入した塵埃等の異物がこれらに付着した場合、使用者自ら付着個所を清掃しようとしても、投射型表示装置が外部からの空気の流入を規制するよう密閉されている関係上、スクリーンや反射ミラーを外部から清掃することはできない。このため、使用者が投射型表示装置を分解してスクリーンや反射ミラーの表面を清掃するか、あるいは筐体の側面や背面の開口部から手を入れて清掃せざるを得ない。
【0005】
このような投射型表示装置の塵除去機構としては、図8に示すように、投射型表示装置を構成する筐体内のスクリーン3の背面側に、塵除去ブラシ30とこの移動用のレール31とをそれぞれ配設し、使用者がスイッチを押圧操作することにより、塵除去ブラシ30がスクリーン3の背面を左右に摺動して付着した塵を擦り落とす技術が知られている(特許文献1参照)。また、図9に示すように、上部筐体5の側面に、蓋32で開閉される開口部33を形成し、この開口部33に腕を差し込んでスクリーン3や反射ミラー1を清掃する技術も提案されている(特許文献2参照)。また、図10に示すように、スクリーン3を揺動可能に軸支してその下側を開放し、下部キャビネット6に対して前面側に持ち上げて開閉し、その後、手を差し込んでスクリーン3や反射ミラー1を清掃する技術も提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−40561号公報
【特許文献2】
特開平10−97000号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の投射型表示装置は、以上のように構成され、光源として水銀ランプが通常用いられているが、使用時には水銀ランプが発熱して200℃を超える温度となり、水銀ランプの安定した点灯を維持するためや寿命を維持するため、殆どの場合に強制冷却が必要となる。また、その他の電子部品もハイビジョン放送に対応する高画素の表示を可能にするため、高クロック動作を行っており、同様に強制冷却が必要とされる。このため、通常は、強制空冷のために空気を取り込むが、外気には塵埃が含まれているので、これがスクリーン3や反射ミラー1に付着すると、画像にその影がノイズとなって視認されることとなる。
【0008】
本来、投影レンズにより投影された画像は、反射ミラー1の表面では焦点が合っていないため、小さな塵埃の場合、反射ミラー1に付着したとしても、スクリーン3に投影された画像では、殆ど認識できないレベルにボケてしまうので特に問題となることはない。
しかしながら、1mmを超える大きな塵埃の場合、影状のものをスクリーン3上で視認することができ、ノイズとなって現れてしまうこととなる。また、スクリーン3の内面の場合、焦点が合っているので、特に塵埃の影響を蒙りやすい。
【0009】
しかし、上記したように、塵は密閉された筐体内の反射ミラー1等に付着しているため、除去するには筐体を分解してスクリーン3や反射ミラー1を清掃するか、あるいは筐体の開口部33から手を入れて清掃する必要があった。このような投射型表示装置の筐体は、内部に塵埃が侵入しないよう、通常、スクリーン3や反射ミラー1を配置した上部筐体5と、光学ユニット7や映像回路ユニットを有する下部筐体とを備え、これら上部筐体5と下部筐体との嵌合部がスポンジやゴム等を介して密閉されており、しかも、螺子止めによる固定個所も少なくない。このため、一度清掃のために筐体を分解して密閉を開放してしまうと、逆に外部に浮遊する塵埃、筐体の内面に堆積した塵等が内部に侵入してしまうおそれがある。
【0010】
また、このような投射型表示装置は、画面対角40インチを超えるような大画面のものが大半であるので、筐体の重量が大変重いという特徴がある。したがって、取り扱いがきわめて困難であり、一般の使用者が取り扱うのは実に困難である。
【0011】
また、特許文献1の場合には、図8に示すように、スクリーン3の背面側に、塵除去ブラシ30を具備するので、塵除去ブラシ30保持用の支持部材34や塵除去ブラシ30移動用の支柱35を設置しなければならず、構成の複雑化を招くという問題がある。また、スクリーンサイズが大画面になればそれに比例して塵除去ブラシ30やその支持部材34を大型化しなければならず、装置重量の増加や部品単価のアップ等を招くこととなる。また、近年の投射型表示装置においては、画像を表示するスクリーン3の端部から筐体の外側までの幅が小さい狭額縁タイプが求められているが、支持部材34等の機構の収容空間が必要になるので、狭額縁タイプの実現がきわめて困難となる。
【0012】
また、塵除去ブラシ30によりスクリーン3を擦るので、一定以上の圧力で塵除去ブラシ30を押し付けると、繰り返しの動作時にスクリーン3に微細な傷の付く可能性がある。また、導電性の塵除去ブラシ30を使用する場合、静電気を逃がす対策を採らない限り、摩擦で帯電してしまうという問題もある。
【0013】
一方、特許文献2の場合には、図9に示すように、筐体のデザインや形により、筐体の側面に設けた開口部33の大きさが制限されてしまうので、開口部33から腕を内部に挿入する場合、手の届かない部分の生じることがある。また、開口部33を拡大すると、開口部33の隙間から塵埃が内部に侵入しやすくなり、しかも、筐体の強度が低下する。
【0014】
また、他の従来技術として、図10に示すように、スクリーン3の前面枠4を回転式に構成し、後部キャビネット2の上部等にヒンジ機構36を設置してスクリーン3の前面枠4を開閉するものがあるが、この技術の場合には、ヒンジ機構36がスクリーン3や前面枠4を開閉する関係上、これらの重量に耐えうるよう、太い軸を備えた強固なヒンジ機構36を用いなければならない。したがって、部品点数を増加しなければならず、コストアップや装置重量の増加を来たすこととなる。
【0015】
さらに、スクリーン3を開閉するので、塵埃が内部に容易に侵入してしまうという問題もある。さらにまた、投射型表示装置を工場で組み立てる場合には、クリーンルーム等の低ダスト環境で作業することができるので、塵埃の侵入を防ぐことができるが、使用者が実際に観賞している場所でスクリーン3を開放すると、使用中に蓄積した装置外面の塵埃が装置内部に侵入するおそれが少なくない。
【0016】
このように投射型表示装置の内部に塵埃が一旦侵入してしまうと、例えスクリーン3を開放できるとしても、スクリーン3や反射ミラー1の拭き取りが困難であり、汚れが残存したり、傷が付きやすいので、清掃は熟練した技術者に限定されてしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、装置を分解することなく塵埃を簡単に除去することができる投射型表示装置の塵埃除去方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を達成するため、光の光束を光源からライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、この光学像をミラーで反射させてスクリーン上に拡大投写するものであって、
ミラー及び又はスクリーンに付着した塵埃を塵埃除去手段の一部を振動させて除去することを特徴としている。
なお、塵埃除去手段は、装置の後方から前方にかけて傾斜してミラーの背面側に設置される振動モータを含んでなることが好ましい。
また、塵埃除去手段は、起立したスクリーンの装置内面側に設置される振動モータを含んでなることが好ましい。
【0019】
また、塵埃除去手段を、装置の主電源投入に基づいて所定時間動作させることが好ましい。
また、塵埃除去手段を装置の主電源投入に基づいて動作させ、この塵埃除去手段の塵埃除去動作を、光が安定してスクリーンに光学像が表示される前に完了させると良い。
また、塵埃除去手段は、装置の前面あるいはリモートコントローラに設けられる操作スイッチを含んでなると良い。
さらに、塵埃除去手段は、装置下方の投射レンズの先端部に設けられて塵埃が付着するのを規制するシャッターを含んでなると良い。
【0020】
ここで、特許請求の範囲における塵埃除去手段には、少なくとも単数複数の振動モータが含まれ、投射型表示装置の前面あるいはリモートコントローラに設けられた操作スイッチやシャッターが適宜含まれる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における投射型表示装置の塵埃除去方法は、図1等に示すように、光の光束をランプ光源11から図示しないライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、この光学像を反射ミラー1で反射させてスクリーン3上に拡大投写する装置の反射ミラー1及び又はスクリーン3に付着した塵埃を、塵埃除去手段14の一部である振動モータ15を振動させて除去するようにしている。
【0022】
投射型表示装置は、図1に示すように、前部キャビネットの背面に設けられて反射ミラー1を傾斜状態に固定保持する後部キャビネット2と、画像表示用のスクリーン3を保持するスクリーン3の前面枠4とを備え、これら後部キャビネット2と前面枠4とが装置の筐体の上部筐体5を構成し、この上部筐体5が下部キャビネット6上に搭載される。この上部筐体5は、その前後部のキャビネットの相対向する嵌合部に、外部との流通を完全に密閉遮断するゴムパッキン等が挟持され、投射型表示装置の組み立て時を除いて外部の空気が流入するのが有効に規制される。
なお、図1の矢印は、投射型表示装置の内部下方の投射レンズ13から投射された画像の光線(最外形)である。
【0023】
投射型表示装置には、集光レンズやライトバルブ素子等の光学部品8が設けられるが、この光学部品8は、塵埃が付着しやすく、一旦付着すると画像への映り込みや透過率の減少に伴う輝度の低下を招くこととなる。そこで、本実施形態では図2の投射型表示装置における光学ユニット7の内部構造図に示すように、光学部品8を、光学エンジン筐体の密閉空間内に配置し、その中のみを循環する空気(矢印参照)を対流させて各部品を冷却し、外部から塵埃を含んだ空気が内部に侵入するのを規制するようにしている。また、その外部空間において、ファン9を使用して密閉空間内と連接したヒートシンク10に空気を流し、密閉空間内で発生する熱を放熱するようにしている。さらに、ランプ光源11も同様に光学ユニット7の下部から吸い込んだ空気を流すことにより、所定の許容動作温度に冷却する。
【0024】
ランプ光源11から出た光は光学ユニット7内のライトバルブ素子に照射され、後述するように信号回路12により形成された画像信号がライトバルブ素子に表示されて投射レンズ13に入射する。投射レンズ13は、上方の反射ミラー1に向けて光を投射する機能を有し、反射ミラー1の全域に光を投影可能なよう、広角タイプが使用される。反射ミラー1により方向を変えられた光線はスクリーン3に照射されてその前面に画像を映し出し、視聴者は投射型表示装置の前面よりこれを視認することができる。
【0025】
次に、図3は本実施形態における投射型表示装置の上断面図であり、反射ミラー1の背面側とスクリーン3の装置内面側下部とに、塵埃除去手段14の一部である振動モータ15がそれぞれ設置されており、この塵埃除去手段14の振動モータ15が所定の振動動作を行ってスクリーン3とその下方の反射ミラー1の表面に付着した塵埃をそれぞれ落とすよう機能する。
【0026】
図4はスクリーン3と反射ミラー1に対する振動モータ15の取り付け構造を示す断面図、図5は反射ミラー1に対する振動モータ15の取り付け構造を背面側から示す説明図である。
反射ミラー1はその周縁部が複数の上下取付具16と左右取付具17とにより保持固定され、これら上下取付具16と左右取付具17とは後部キャビネット2に直接的に配設される。左右取付具17は、画面サイズが小さく、反射ミラー1の重量が軽い場合には、適宜省略される。また、反射ミラー1、上下取付具16、左右取付具17との間には、外力を吸収する断面略U字形の保持ゴム18がそれぞれ介在される。
【0027】
保持ゴム18は、投射型表示装置の輸送時等に作用する振動や圧力を吸収するよう機能しなければならないが、必要以上に圧縮されたり、反射ミラー四辺の圧縮割合が異なると、光線の反射角度に悪影響を与えて投射レンズ13からの光線を正確にスクリーン3に反射させることができず、投射画像がスクリーン外に飛び出したり、画像投影されない黒部分がスクリーン3上に見えてしまうことがある。そこで、保持ゴム18は、厚さ1〜2mm、硬度60°〜70°Hsに形成されて光線の反射角度に悪影響を与えないようになっている。
【0028】
塵埃除去手段14の振動モータ15は、図5に示すように、反射ミラー1の背面側に取付具19を介して取り付けられる。この振動モータ15は、略円筒形に形成され、回転軸の先端部に、分銅の錘が振動子として偏芯して嵌着されており、電圧の印加に基づいて錘を回転させ、半径方向に一定の振幅を形成するよう機能する。本実施形態の振動モータ15は、振動量2〜3G程度、振動周波数180Hz程度である。この振動モータ15を反射ミラー背面のセンター位置に固定して駆動すると、一定の振幅を有する振動が反射ミラー1の厚み方向に発生することとなる。すると、反射ミラー1が垂直方向よりも装置の内部後方から前方側に倒れているため、反射ミラー1の表面に付着している直径1mmを超えるような大きさの塵埃は、振動で脱落し、反射ミラー1の表面から除去される。
【0029】
脱落した塵埃は、スクリーン3のキャビネット内に落下するが、そのままでは反射ミラー1の下方に位置する投射レンズ13の前玉レンズに落下して付着してしまうこととなる。投射レンズ13の表面は、デフォーカス状態にあるため、スクリーン3に影が認識されることはないが、時間の経過に伴い塵埃が堆積すると、スクリーン3の画像に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0030】
そこで、本実施形態においては、投射レンズ13の上部である先端部に、投射レンズ13の表面を覆うシャッター20を開閉可能に設置するようにしている。このシャッター20は、主電源オフ時には閉塞し、投射型表示装置の不使用時に投射レンズ13を保護して塵埃の堆積を防止するよう機能する。また、主電源がオンして振動モータ15が塵埃を除去する場合にも閉塞し、投射レンズ13を保護して落下のおそれのある塵埃の堆積を防止する。これに対し、振動モータ15の振動が終了して一定時間が経過し、通常の画像投影時に移行すると、シャッター20は開放して画像の投影を可能にする。
【0031】
シャッター20は、図3に示すように、複数の樹脂板や金属板が重なることにより構成されるものでも良いし、投影レンズを覆う一枚の板からなるものでも良い。但し、樹脂板を使用する場合には、投射レンズ13直後の強い光線が当たる関係上、耐熱性の材料を使用する必要がある。
【0032】
塵埃除去手段14の振動モータ15は、スクリーン3に設置される場合には、スクリーン3の左右のセンター位置下部に設置される。この設置に際しては、反射ミラー1と同様、面内の中央部に振動モータ15を設置するのが最適ではあるが、スクリーン3は反射ミラー1から反射してきた光束を透過して表面に表示する必要があるので、光路の妨害位置に振動モータ15を設置することはできない。
【0033】
そこで、本実施形態においては、スクリーン3上に投影される画像位置の範囲外である図6の位置に振動モータ15を設置するようにしている。本構成において、スクリーン3は略垂直に起立しているので、振動モータ15の駆動後に脱落した塵埃は落下するが、投射レンズ13がシャッター20に保護されているので、塵埃の付着を防止することができる。
【0034】
次に、図7等に基づいて本実施形態における投射型表示装置の動作について説明する。先ず、投射型表示装置の主電源がオン(S1)され、投射型表示装置のスイッチ類及びリモートコントローラからの信号に対して待機状態となる。ここで、装置の正面である前面又はリモートコントローラに設けられた塵除去スイッチ、換言すれば、操作スイッチを操作する(S2)と、振動モータ15が2〜3秒駆動して反射ミラー1及び又はスクリーン3の表面に付着していた塵埃を除去し、その後、振動モータ15が停止して待機状態となる。
【0035】
また、主電源スイッチが押圧操作されて投射型表示装置が起動する(S5)と、電源ユニット基板21からランプ光源11用のランプドライバー基板に電力が供給され、ランプ光源11が点灯を開始する(S6)。同時に振動モータ15が起動(S7)し、反射ミラー1及び又はスクリーン3が起振されてその表面に付着していた塵埃が除去される。同様に振動モータ15が停止する(S8)とともに、投影レンズ上のシャッター20が開放(S9)し、スクリーン3に画像が投影され始める。
【0036】
本実施形態のような投射型表示装置に一般的に使用される水銀ランプは、起動されてから定格に近い光束量の発光を始めるまでに数秒の時間が必要であり、さらに安定して発光するまでには起動から5分程度かかっている。このため、主電源スイッチが押圧操作される(S5)と、スクリーン3上で徐々に画像の明度が上がり、使用者が係る画像の内容を認識できるまでには最低5秒程度必要となる。
【0037】
そこで、本実施形態においては、係る時間を利用して振動モータ15を駆動し、塵埃を除去する。すなわち、ランプ光源11が点灯を開始して数秒間経過するまで投射レンズ13のシャッター20を閉じておき、その間に振動モータ15を駆動して塵埃を除去する。これにより、振動モータ15が駆動している間に生じる画像の微小な揺れが使用者には把握できないこととなり、投射型表示装置の起動時に行われる塵埃の除去動作を使用者に認識させないようにすることが可能になる。また、振動の振幅は画面に対して垂直方向に生じるので、画像が映っていない場合には、その動きが殆ど外部から把握されることはない。
塵埃の除去動作が完了し、ランプ光源11の点灯が安定した時点でシャッター20が開放し、画像の視聴が可能になる。
【0038】
視聴が終了する場合には、主電源スイッチをオフにすることにより(S10)、ランプ光源11は消灯(S11)し、スクリーン3上の画像はフェードアウトして黒の状態となる。その後、シャッター20が閉じ、主電源スイッチをオフにすることにより、投射型表示装置の動作が終了する。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、装置を分解することなく塵埃を除去することができるという効果がある。すなわち、装置のキャビネット等を分解したり、蓋を開けて清掃する必要がなくなるので、スクリーンやミラーに付着した塵埃を除去して塵埃の付着に伴う画面の輝度低下や画面に対する映り込みを有効に防止することができる。また、画面のサイズにかかわらず、付加する部品が最小限となるので、組み立て工数の簡素化が期待でき、しかも、コストや重量的にも有利となる。
【0040】
また、使用者は、通常の視聴動作であるオンオフ動作だけで塵埃を除去することができるので、除去動作を特に意識することなく表示装置を使用することができる。
また、投射レンズ上にシャッターを設け、振動モータによる塵埃除去動作を光源の光束が安定して画像の明度が上がる前に完了させるので、モータの駆動で起振されたスクリーンやミラーの微小な振動を使用者に感知されにくくすることが可能になる。また、投射レンズ上にシャッターを設けるので、塵埃の除去後に投射レンズに塵埃が再度付着するのを防止することができるので、装置の不使用時にも投射レンズを有効に保護することが可能になる。
【0041】
さらに、使用者は、主電源オン時に行われる通常の塵埃除去動作以外に装置の前面に設けられた操作スイッチ、あるいはリモートコントローラの操作スイッチを操作することにより、意図的に係る動作を行うことができる。したがって、通常の塵埃除去動作で塵埃を除去できなかった場合、任意の時間に振動モータを動作させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態を示す模式断面説明図である。
【図2】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態における光学ユニット内部の部品構造を示す模式断面説明図である。
【図3】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態を示す模式断面説明図である。
【図4】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態におけるスクリーンと反射ミラーに対する振動モータの取り付け位置を示す横断面説明図である。
【図5】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態における反射ミラーに対する振動モータの取り付け位置を示す背面図である。
【図6】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態におけるスクリーンに対する振動モータの取り付け位置を示す横断面説明図である。
【図7】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態における塵埃除去動作を示すフローチャートである。
【図8】特開2002−40651号公報に記載された従来例を示す斜視説明図である。
【図9】特開平10−97000号公報に記載された従来例を示す斜視説明図である。
【図10】特開平10−97000号公報のスクリーン部を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 反射ミラー(ミラー)
2 後部キャビネット
3 スクリーン
4 前面枠
5 上部筐体
6 下部キャビネット
11 ランプ光源(光源)
13 投射レンズ
14 塵埃除去手段
15 振動モータ(塵埃除去手段の一部)
20 シャッター
【発明の属する技術分野】
本発明は、投射型表示装置の防塵方法に関し、より詳しくは、例えば液晶プロジェクタや液晶テレビジョン、投射型ディスプレイ等、液晶パネルやDMDパネル等のライトバルブ素子を使用してスクリーン上に任意の映像を投影する投射型表示装置の塵埃除去方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、リアプロジェクタ等の投射型表示装置としては、白色ランプ光源の光を液晶やLCOS、DMD等のライトバルブ素子に照射し、その反射光又は透過光を投射レンズによりスクリーン上に投写し、画像を表示する装置が知られている。この投射型表示装置の光源から出た光は投影レンズにより拡大されてスクリーンに投影されるが、通常、投影レンズの焦点距離はスクリーンに直接投影するには長過ぎるので、投影レンズから出た光を反射ミラーに反射させて光路を曲げた後、スクリーンの背面に投影することにより、奥行きや薄さを確保するようにしている。投射型表示装置の使用者は、係る投影画像をスクリーンの表面より見ることができる。
【0003】
ところで、スクリーンや反射ミラーが固定される筐体の上部筐体において、塵埃等の異物がスクリーンの内面や反射ミラーの表面に付着すると、その埃の影がスクリーンに投影されて画像上にノイズとして現れたり、光の透過率の減少により、スクリーン上に表示される画像の輝度が低下するという問題が生じる。特に、全面が白色等の単色画面の場合には、ノイズとして容易に認識されることとなる。さらに、スクリーンや反射ミラーの表面は、筐体内を空気が大きく循環すると、帯電しやすくなるので、塵埃等の異物が容易に付着するおそれが少なくない。
【0004】
このような投射型表示装置においては、上部筐体内にスクリーンや反射ミラーが固定されるので、内部に侵入した塵埃等の異物がこれらに付着した場合、使用者自ら付着個所を清掃しようとしても、投射型表示装置が外部からの空気の流入を規制するよう密閉されている関係上、スクリーンや反射ミラーを外部から清掃することはできない。このため、使用者が投射型表示装置を分解してスクリーンや反射ミラーの表面を清掃するか、あるいは筐体の側面や背面の開口部から手を入れて清掃せざるを得ない。
【0005】
このような投射型表示装置の塵除去機構としては、図8に示すように、投射型表示装置を構成する筐体内のスクリーン3の背面側に、塵除去ブラシ30とこの移動用のレール31とをそれぞれ配設し、使用者がスイッチを押圧操作することにより、塵除去ブラシ30がスクリーン3の背面を左右に摺動して付着した塵を擦り落とす技術が知られている(特許文献1参照)。また、図9に示すように、上部筐体5の側面に、蓋32で開閉される開口部33を形成し、この開口部33に腕を差し込んでスクリーン3や反射ミラー1を清掃する技術も提案されている(特許文献2参照)。また、図10に示すように、スクリーン3を揺動可能に軸支してその下側を開放し、下部キャビネット6に対して前面側に持ち上げて開閉し、その後、手を差し込んでスクリーン3や反射ミラー1を清掃する技術も提案されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−40561号公報
【特許文献2】
特開平10−97000号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従来の投射型表示装置は、以上のように構成され、光源として水銀ランプが通常用いられているが、使用時には水銀ランプが発熱して200℃を超える温度となり、水銀ランプの安定した点灯を維持するためや寿命を維持するため、殆どの場合に強制冷却が必要となる。また、その他の電子部品もハイビジョン放送に対応する高画素の表示を可能にするため、高クロック動作を行っており、同様に強制冷却が必要とされる。このため、通常は、強制空冷のために空気を取り込むが、外気には塵埃が含まれているので、これがスクリーン3や反射ミラー1に付着すると、画像にその影がノイズとなって視認されることとなる。
【0008】
本来、投影レンズにより投影された画像は、反射ミラー1の表面では焦点が合っていないため、小さな塵埃の場合、反射ミラー1に付着したとしても、スクリーン3に投影された画像では、殆ど認識できないレベルにボケてしまうので特に問題となることはない。
しかしながら、1mmを超える大きな塵埃の場合、影状のものをスクリーン3上で視認することができ、ノイズとなって現れてしまうこととなる。また、スクリーン3の内面の場合、焦点が合っているので、特に塵埃の影響を蒙りやすい。
【0009】
しかし、上記したように、塵は密閉された筐体内の反射ミラー1等に付着しているため、除去するには筐体を分解してスクリーン3や反射ミラー1を清掃するか、あるいは筐体の開口部33から手を入れて清掃する必要があった。このような投射型表示装置の筐体は、内部に塵埃が侵入しないよう、通常、スクリーン3や反射ミラー1を配置した上部筐体5と、光学ユニット7や映像回路ユニットを有する下部筐体とを備え、これら上部筐体5と下部筐体との嵌合部がスポンジやゴム等を介して密閉されており、しかも、螺子止めによる固定個所も少なくない。このため、一度清掃のために筐体を分解して密閉を開放してしまうと、逆に外部に浮遊する塵埃、筐体の内面に堆積した塵等が内部に侵入してしまうおそれがある。
【0010】
また、このような投射型表示装置は、画面対角40インチを超えるような大画面のものが大半であるので、筐体の重量が大変重いという特徴がある。したがって、取り扱いがきわめて困難であり、一般の使用者が取り扱うのは実に困難である。
【0011】
また、特許文献1の場合には、図8に示すように、スクリーン3の背面側に、塵除去ブラシ30を具備するので、塵除去ブラシ30保持用の支持部材34や塵除去ブラシ30移動用の支柱35を設置しなければならず、構成の複雑化を招くという問題がある。また、スクリーンサイズが大画面になればそれに比例して塵除去ブラシ30やその支持部材34を大型化しなければならず、装置重量の増加や部品単価のアップ等を招くこととなる。また、近年の投射型表示装置においては、画像を表示するスクリーン3の端部から筐体の外側までの幅が小さい狭額縁タイプが求められているが、支持部材34等の機構の収容空間が必要になるので、狭額縁タイプの実現がきわめて困難となる。
【0012】
また、塵除去ブラシ30によりスクリーン3を擦るので、一定以上の圧力で塵除去ブラシ30を押し付けると、繰り返しの動作時にスクリーン3に微細な傷の付く可能性がある。また、導電性の塵除去ブラシ30を使用する場合、静電気を逃がす対策を採らない限り、摩擦で帯電してしまうという問題もある。
【0013】
一方、特許文献2の場合には、図9に示すように、筐体のデザインや形により、筐体の側面に設けた開口部33の大きさが制限されてしまうので、開口部33から腕を内部に挿入する場合、手の届かない部分の生じることがある。また、開口部33を拡大すると、開口部33の隙間から塵埃が内部に侵入しやすくなり、しかも、筐体の強度が低下する。
【0014】
また、他の従来技術として、図10に示すように、スクリーン3の前面枠4を回転式に構成し、後部キャビネット2の上部等にヒンジ機構36を設置してスクリーン3の前面枠4を開閉するものがあるが、この技術の場合には、ヒンジ機構36がスクリーン3や前面枠4を開閉する関係上、これらの重量に耐えうるよう、太い軸を備えた強固なヒンジ機構36を用いなければならない。したがって、部品点数を増加しなければならず、コストアップや装置重量の増加を来たすこととなる。
【0015】
さらに、スクリーン3を開閉するので、塵埃が内部に容易に侵入してしまうという問題もある。さらにまた、投射型表示装置を工場で組み立てる場合には、クリーンルーム等の低ダスト環境で作業することができるので、塵埃の侵入を防ぐことができるが、使用者が実際に観賞している場所でスクリーン3を開放すると、使用中に蓄積した装置外面の塵埃が装置内部に侵入するおそれが少なくない。
【0016】
このように投射型表示装置の内部に塵埃が一旦侵入してしまうと、例えスクリーン3を開放できるとしても、スクリーン3や反射ミラー1の拭き取りが困難であり、汚れが残存したり、傷が付きやすいので、清掃は熟練した技術者に限定されてしまうという問題がある。
【0017】
本発明は、上記に鑑みなされたもので、装置を分解することなく塵埃を簡単に除去することができる投射型表示装置の塵埃除去方法を提供することを目的としている。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、上記課題を達成するため、光の光束を光源からライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、この光学像をミラーで反射させてスクリーン上に拡大投写するものであって、
ミラー及び又はスクリーンに付着した塵埃を塵埃除去手段の一部を振動させて除去することを特徴としている。
なお、塵埃除去手段は、装置の後方から前方にかけて傾斜してミラーの背面側に設置される振動モータを含んでなることが好ましい。
また、塵埃除去手段は、起立したスクリーンの装置内面側に設置される振動モータを含んでなることが好ましい。
【0019】
また、塵埃除去手段を、装置の主電源投入に基づいて所定時間動作させることが好ましい。
また、塵埃除去手段を装置の主電源投入に基づいて動作させ、この塵埃除去手段の塵埃除去動作を、光が安定してスクリーンに光学像が表示される前に完了させると良い。
また、塵埃除去手段は、装置の前面あるいはリモートコントローラに設けられる操作スイッチを含んでなると良い。
さらに、塵埃除去手段は、装置下方の投射レンズの先端部に設けられて塵埃が付着するのを規制するシャッターを含んでなると良い。
【0020】
ここで、特許請求の範囲における塵埃除去手段には、少なくとも単数複数の振動モータが含まれ、投射型表示装置の前面あるいはリモートコントローラに設けられた操作スイッチやシャッターが適宜含まれる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における投射型表示装置の塵埃除去方法は、図1等に示すように、光の光束をランプ光源11から図示しないライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、この光学像を反射ミラー1で反射させてスクリーン3上に拡大投写する装置の反射ミラー1及び又はスクリーン3に付着した塵埃を、塵埃除去手段14の一部である振動モータ15を振動させて除去するようにしている。
【0022】
投射型表示装置は、図1に示すように、前部キャビネットの背面に設けられて反射ミラー1を傾斜状態に固定保持する後部キャビネット2と、画像表示用のスクリーン3を保持するスクリーン3の前面枠4とを備え、これら後部キャビネット2と前面枠4とが装置の筐体の上部筐体5を構成し、この上部筐体5が下部キャビネット6上に搭載される。この上部筐体5は、その前後部のキャビネットの相対向する嵌合部に、外部との流通を完全に密閉遮断するゴムパッキン等が挟持され、投射型表示装置の組み立て時を除いて外部の空気が流入するのが有効に規制される。
なお、図1の矢印は、投射型表示装置の内部下方の投射レンズ13から投射された画像の光線(最外形)である。
【0023】
投射型表示装置には、集光レンズやライトバルブ素子等の光学部品8が設けられるが、この光学部品8は、塵埃が付着しやすく、一旦付着すると画像への映り込みや透過率の減少に伴う輝度の低下を招くこととなる。そこで、本実施形態では図2の投射型表示装置における光学ユニット7の内部構造図に示すように、光学部品8を、光学エンジン筐体の密閉空間内に配置し、その中のみを循環する空気(矢印参照)を対流させて各部品を冷却し、外部から塵埃を含んだ空気が内部に侵入するのを規制するようにしている。また、その外部空間において、ファン9を使用して密閉空間内と連接したヒートシンク10に空気を流し、密閉空間内で発生する熱を放熱するようにしている。さらに、ランプ光源11も同様に光学ユニット7の下部から吸い込んだ空気を流すことにより、所定の許容動作温度に冷却する。
【0024】
ランプ光源11から出た光は光学ユニット7内のライトバルブ素子に照射され、後述するように信号回路12により形成された画像信号がライトバルブ素子に表示されて投射レンズ13に入射する。投射レンズ13は、上方の反射ミラー1に向けて光を投射する機能を有し、反射ミラー1の全域に光を投影可能なよう、広角タイプが使用される。反射ミラー1により方向を変えられた光線はスクリーン3に照射されてその前面に画像を映し出し、視聴者は投射型表示装置の前面よりこれを視認することができる。
【0025】
次に、図3は本実施形態における投射型表示装置の上断面図であり、反射ミラー1の背面側とスクリーン3の装置内面側下部とに、塵埃除去手段14の一部である振動モータ15がそれぞれ設置されており、この塵埃除去手段14の振動モータ15が所定の振動動作を行ってスクリーン3とその下方の反射ミラー1の表面に付着した塵埃をそれぞれ落とすよう機能する。
【0026】
図4はスクリーン3と反射ミラー1に対する振動モータ15の取り付け構造を示す断面図、図5は反射ミラー1に対する振動モータ15の取り付け構造を背面側から示す説明図である。
反射ミラー1はその周縁部が複数の上下取付具16と左右取付具17とにより保持固定され、これら上下取付具16と左右取付具17とは後部キャビネット2に直接的に配設される。左右取付具17は、画面サイズが小さく、反射ミラー1の重量が軽い場合には、適宜省略される。また、反射ミラー1、上下取付具16、左右取付具17との間には、外力を吸収する断面略U字形の保持ゴム18がそれぞれ介在される。
【0027】
保持ゴム18は、投射型表示装置の輸送時等に作用する振動や圧力を吸収するよう機能しなければならないが、必要以上に圧縮されたり、反射ミラー四辺の圧縮割合が異なると、光線の反射角度に悪影響を与えて投射レンズ13からの光線を正確にスクリーン3に反射させることができず、投射画像がスクリーン外に飛び出したり、画像投影されない黒部分がスクリーン3上に見えてしまうことがある。そこで、保持ゴム18は、厚さ1〜2mm、硬度60°〜70°Hsに形成されて光線の反射角度に悪影響を与えないようになっている。
【0028】
塵埃除去手段14の振動モータ15は、図5に示すように、反射ミラー1の背面側に取付具19を介して取り付けられる。この振動モータ15は、略円筒形に形成され、回転軸の先端部に、分銅の錘が振動子として偏芯して嵌着されており、電圧の印加に基づいて錘を回転させ、半径方向に一定の振幅を形成するよう機能する。本実施形態の振動モータ15は、振動量2〜3G程度、振動周波数180Hz程度である。この振動モータ15を反射ミラー背面のセンター位置に固定して駆動すると、一定の振幅を有する振動が反射ミラー1の厚み方向に発生することとなる。すると、反射ミラー1が垂直方向よりも装置の内部後方から前方側に倒れているため、反射ミラー1の表面に付着している直径1mmを超えるような大きさの塵埃は、振動で脱落し、反射ミラー1の表面から除去される。
【0029】
脱落した塵埃は、スクリーン3のキャビネット内に落下するが、そのままでは反射ミラー1の下方に位置する投射レンズ13の前玉レンズに落下して付着してしまうこととなる。投射レンズ13の表面は、デフォーカス状態にあるため、スクリーン3に影が認識されることはないが、時間の経過に伴い塵埃が堆積すると、スクリーン3の画像に悪影響を及ぼすおそれがある。
【0030】
そこで、本実施形態においては、投射レンズ13の上部である先端部に、投射レンズ13の表面を覆うシャッター20を開閉可能に設置するようにしている。このシャッター20は、主電源オフ時には閉塞し、投射型表示装置の不使用時に投射レンズ13を保護して塵埃の堆積を防止するよう機能する。また、主電源がオンして振動モータ15が塵埃を除去する場合にも閉塞し、投射レンズ13を保護して落下のおそれのある塵埃の堆積を防止する。これに対し、振動モータ15の振動が終了して一定時間が経過し、通常の画像投影時に移行すると、シャッター20は開放して画像の投影を可能にする。
【0031】
シャッター20は、図3に示すように、複数の樹脂板や金属板が重なることにより構成されるものでも良いし、投影レンズを覆う一枚の板からなるものでも良い。但し、樹脂板を使用する場合には、投射レンズ13直後の強い光線が当たる関係上、耐熱性の材料を使用する必要がある。
【0032】
塵埃除去手段14の振動モータ15は、スクリーン3に設置される場合には、スクリーン3の左右のセンター位置下部に設置される。この設置に際しては、反射ミラー1と同様、面内の中央部に振動モータ15を設置するのが最適ではあるが、スクリーン3は反射ミラー1から反射してきた光束を透過して表面に表示する必要があるので、光路の妨害位置に振動モータ15を設置することはできない。
【0033】
そこで、本実施形態においては、スクリーン3上に投影される画像位置の範囲外である図6の位置に振動モータ15を設置するようにしている。本構成において、スクリーン3は略垂直に起立しているので、振動モータ15の駆動後に脱落した塵埃は落下するが、投射レンズ13がシャッター20に保護されているので、塵埃の付着を防止することができる。
【0034】
次に、図7等に基づいて本実施形態における投射型表示装置の動作について説明する。先ず、投射型表示装置の主電源がオン(S1)され、投射型表示装置のスイッチ類及びリモートコントローラからの信号に対して待機状態となる。ここで、装置の正面である前面又はリモートコントローラに設けられた塵除去スイッチ、換言すれば、操作スイッチを操作する(S2)と、振動モータ15が2〜3秒駆動して反射ミラー1及び又はスクリーン3の表面に付着していた塵埃を除去し、その後、振動モータ15が停止して待機状態となる。
【0035】
また、主電源スイッチが押圧操作されて投射型表示装置が起動する(S5)と、電源ユニット基板21からランプ光源11用のランプドライバー基板に電力が供給され、ランプ光源11が点灯を開始する(S6)。同時に振動モータ15が起動(S7)し、反射ミラー1及び又はスクリーン3が起振されてその表面に付着していた塵埃が除去される。同様に振動モータ15が停止する(S8)とともに、投影レンズ上のシャッター20が開放(S9)し、スクリーン3に画像が投影され始める。
【0036】
本実施形態のような投射型表示装置に一般的に使用される水銀ランプは、起動されてから定格に近い光束量の発光を始めるまでに数秒の時間が必要であり、さらに安定して発光するまでには起動から5分程度かかっている。このため、主電源スイッチが押圧操作される(S5)と、スクリーン3上で徐々に画像の明度が上がり、使用者が係る画像の内容を認識できるまでには最低5秒程度必要となる。
【0037】
そこで、本実施形態においては、係る時間を利用して振動モータ15を駆動し、塵埃を除去する。すなわち、ランプ光源11が点灯を開始して数秒間経過するまで投射レンズ13のシャッター20を閉じておき、その間に振動モータ15を駆動して塵埃を除去する。これにより、振動モータ15が駆動している間に生じる画像の微小な揺れが使用者には把握できないこととなり、投射型表示装置の起動時に行われる塵埃の除去動作を使用者に認識させないようにすることが可能になる。また、振動の振幅は画面に対して垂直方向に生じるので、画像が映っていない場合には、その動きが殆ど外部から把握されることはない。
塵埃の除去動作が完了し、ランプ光源11の点灯が安定した時点でシャッター20が開放し、画像の視聴が可能になる。
【0038】
視聴が終了する場合には、主電源スイッチをオフにすることにより(S10)、ランプ光源11は消灯(S11)し、スクリーン3上の画像はフェードアウトして黒の状態となる。その後、シャッター20が閉じ、主電源スイッチをオフにすることにより、投射型表示装置の動作が終了する。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、装置を分解することなく塵埃を除去することができるという効果がある。すなわち、装置のキャビネット等を分解したり、蓋を開けて清掃する必要がなくなるので、スクリーンやミラーに付着した塵埃を除去して塵埃の付着に伴う画面の輝度低下や画面に対する映り込みを有効に防止することができる。また、画面のサイズにかかわらず、付加する部品が最小限となるので、組み立て工数の簡素化が期待でき、しかも、コストや重量的にも有利となる。
【0040】
また、使用者は、通常の視聴動作であるオンオフ動作だけで塵埃を除去することができるので、除去動作を特に意識することなく表示装置を使用することができる。
また、投射レンズ上にシャッターを設け、振動モータによる塵埃除去動作を光源の光束が安定して画像の明度が上がる前に完了させるので、モータの駆動で起振されたスクリーンやミラーの微小な振動を使用者に感知されにくくすることが可能になる。また、投射レンズ上にシャッターを設けるので、塵埃の除去後に投射レンズに塵埃が再度付着するのを防止することができるので、装置の不使用時にも投射レンズを有効に保護することが可能になる。
【0041】
さらに、使用者は、主電源オン時に行われる通常の塵埃除去動作以外に装置の前面に設けられた操作スイッチ、あるいはリモートコントローラの操作スイッチを操作することにより、意図的に係る動作を行うことができる。したがって、通常の塵埃除去動作で塵埃を除去できなかった場合、任意の時間に振動モータを動作させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態を示す模式断面説明図である。
【図2】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態における光学ユニット内部の部品構造を示す模式断面説明図である。
【図3】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態を示す模式断面説明図である。
【図4】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態におけるスクリーンと反射ミラーに対する振動モータの取り付け位置を示す横断面説明図である。
【図5】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態における反射ミラーに対する振動モータの取り付け位置を示す背面図である。
【図6】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態におけるスクリーンに対する振動モータの取り付け位置を示す横断面説明図である。
【図7】本発明に係る投射型表示装置の塵埃除去方法の実施形態における塵埃除去動作を示すフローチャートである。
【図8】特開2002−40651号公報に記載された従来例を示す斜視説明図である。
【図9】特開平10−97000号公報に記載された従来例を示す斜視説明図である。
【図10】特開平10−97000号公報のスクリーン部を示す断面説明図である。
【符号の説明】
1 反射ミラー(ミラー)
2 後部キャビネット
3 スクリーン
4 前面枠
5 上部筐体
6 下部キャビネット
11 ランプ光源(光源)
13 投射レンズ
14 塵埃除去手段
15 振動モータ(塵埃除去手段の一部)
20 シャッター
Claims (7)
- 光の光束を光源からライトバルブ素子に照射して光学像を形成し、この光学像をミラーで反射させてスクリーン上に拡大投写する投射型表示装置であって、
ミラー及び又はスクリーンに付着した塵埃を塵埃除去手段の一部を振動させて除去することを特徴とする投射型表示装置の塵埃除去方法。 - 塵埃除去手段は、装置の後方から前方にかけて傾斜してミラーの背面側に設置される振動モータを含んでなる請求項1記載の投射型表示装置の塵埃除去方法。
- 塵埃除去手段は、起立したスクリーンの装置内面側に設置される振動モータを含んでなる請求項1又は2記載の投射型表示装置の塵埃除去方法。
- 塵埃除去手段を、装置の主電源投入に基づいて所定時間動作させる請求項1、2、又は3記載の投射型表示装置の塵埃除去方法。
- 塵埃除去手段を装置の主電源投入に基づいて動作させ、この塵埃除去手段の塵埃除去動作を、光が安定してスクリーンに光学像が表示される前に完了させる請求項1ないし4いずれかに記載の投射型表示装置の塵埃除去方法。
- 塵埃除去手段は、装置の前面あるいはリモートコントローラに設けられる操作スイッチを含んでなる請求項1ないし5いずれかに記載の投射型表示装置の塵埃除去方法。
- 塵埃除去手段は、投射型表示装置下方の投射レンズの先端部に設けられて塵埃が付着するのを規制するシャッターを含んでなる請求項1ないし6いずれかに記載の投射型表示装置の塵埃除去方法。
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