JP2004219015A - 空気調和システム - Google Patents
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Abstract
【課題】小型化・省スペース化の為に、新冷媒用の冷凍機油の供給タンクとしての機能と、配管内残留物の回収器としての機能とを兼備するオイルタンクを備え、かつ、既設配管又は新設配管の洗浄機能を有する室外機を備える空気調和システムでは、オイルタンクに新たな駆動源を設ける必要があった。
【解決手段】室外機1に圧縮機2と、アキュムレータ6と、前記圧縮機およびアキュムレータと連通されるオイルタンク27とを備え、圧縮機の駆動により冷媒回路に生じる差圧を利用して、アキュムレータからオイルタンクへ、およびオイルタンクから圧縮機へ、冷媒、冷凍機油、および新設配管または既設配管内の残留物を搬送させる。
【選択図】 図2
【解決手段】室外機1に圧縮機2と、アキュムレータ6と、前記圧縮機およびアキュムレータと連通されるオイルタンク27とを備え、圧縮機の駆動により冷媒回路に生じる差圧を利用して、アキュムレータからオイルタンクへ、およびオイルタンクから圧縮機へ、冷媒、冷凍機油、および新設配管または既設配管内の残留物を搬送させる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建造物の天井や壁等に埋設された既設配管において、該既設配管内壁に付着している従来冷媒(クロロフルオロカーボンやハイドロフルオロカーボンなど)用の冷凍機油等、および新設配管において、溶接作業時に該新設配管内部に発生する新設配管の酸化膜(スケール)やその他付着物等、といった配管内残留物(新設・既設配管内の異物の総称)を除去する技術に関する。
より詳細には、新たに施工する新冷媒を用いた室内機および室外機の配管と、既設配管または新設配管と、で冷媒循環回路を形成し、該室外機内に設けられたアキュムレータを前記配管内残留物の捕捉手段とする場合において、施工後の準備運転時に新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給する機能と、準備運転後の洗浄運転時にアキュムレータ内に捕捉された残留物を回収する機能とを兼ねるオイルタンクと、アキュムレータおよび圧縮機とを連通する冷媒回路の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和システムではCFC(クロロフルオロカ−ボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカ−ボン)といった塩素系冷媒(以下、「従来冷媒」とする)が使用されていたが、分子中に含まれる塩素が成層圏でオゾン層を破壊するため、代替として非塩素系冷媒であるHFC(ハイドロフルオロカ−ボン)(以下、「新冷媒」とする)が使用されるようになっている。
【0003】
この新冷媒への代替に伴い、以下の如き問題が生じている。
すなわち、施工工数(施工費用)削減の観点から見ると、建物の既設配管(室内機と室外機とを連通する冷媒用配管であって、壁や天井などに埋設されており、室内機および室外機を従来冷媒対応型から新冷媒対応型に交換する際に、新しい配管と交換することが困難な部分)を利用したまま、室内機および室外機を新設することが好ましいが、圧縮機に使用される冷凍機油は従来冷媒と新冷媒とでは性状が異なることから、従来冷媒用の冷凍機油は新冷媒対応型の空気調和システムには使用することができない。
【0004】
従って、新冷媒対応型の室内機および室外機を設置する際には、既設配管内に付着した従来冷媒用の冷凍機油等を除去する洗浄作業を行う必要がある。この洗浄作業は、室内機および室外機を設置する前段階において、専用の配管洗浄装置を用いて行なわれる。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0005】
また、作業工程の簡素化のために、専用の配管洗浄装置を使用せず、新設の室外機自体に既設配管の洗浄機能を持たせることが検討されている。例えば、特許文献2に記載の如くである。
【0006】
さらに、新設の室外機自体に既設配管の洗浄機能を持たせ、設置後の準備運転時において新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給する供給タンクとしての機能と、準備運転後の洗浄運転時において従来冷媒用の冷凍機油を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを設けて、室外機の省スペース化を行うことも検討されている。
【0007】
一方、新設配管(建造物の天井や壁等に新規に埋設された配管であって、冷媒等の流体を循環させていないものを指す)に新設の室内機および室外機を接続する場合においても、専用の配管洗浄装置、または新設の室外機自体に設けられた配管洗浄機能により、新設配管内を予め洗浄してから使用する(通常の冷房・暖房運転を行う)ことが室外機の性能維持等の観点から見て望ましい。
これは、配管の溶接の過程で生じる配管材料の酸化膜(スケール)やその他付着物、ゴミ等が新設配管内部に残留している場合があることによる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−246334号公報
【特許文献2】
特開2000−329432号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
新設の室外機自体に既設配管または新設配管の洗浄機能を有する室外機において、省スペース化を目的として、施工後の準備運転時に新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、準備運転後の洗浄運転時には配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを用いる場合、以下の如き問題点が生ずる。
【0010】
アキュムレータ内に捕捉された配管内残留物を回収する回収容器は、通常はアキュムレータの下方に配設され、回収容器内上部空間と連通接続される二本の配管のうち、一方はアキュムレータ底部、もう一方はアキュムレータ上部と連通接続させることにより、該配管内残留物をその自重で回収容器内に流入させて回収する。
しかし、アキュムレータよりもさらに下方に大容量の回収容器を配設すると室外機の全高が高くなって、室外機の省スペース化を行う際に設計上の制約となる。その上、アキュムレータよりも下方に配設された回収容器をオイル供給タンクとして兼用する場合、該オイル供給タンク(回収容器)内に封入された新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路まで供給するには油圧ポンプ等を新たに配設するなどして揚程を稼ぐ必要があり、装置が複雑になるとともに、小型化・省スペース化を阻害する要因となる。
すなわち、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを用いる場合、配設場所の制約が多く、また新たな駆動源(油圧ポンプなど)を追加する必要がある。
本発明は以上の如き状況に鑑み、配管洗浄機能を有し、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、配管内残留物を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを備える空気調和システムにおいて、該オイルタンクの配設場所を制約されず、かつ新たな駆動源を必要としない室外機を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1においては、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、該オイルタンクの上部とアキュムレータ下部とを回収配管で連通し、前記アキュムレータの上部と圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部に、オイルタンクの上部と下部とをそれぞれガス抜き配管とオイル供給配管の二本の配管で並列に連通するとともに、二本の配管に挟まれたアキュムレータ出口配管に差圧付与手段を設けたものである。
【0013】
請求項2においては、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、一端がオイルタンクの上部と連通されるガス抜き配管と、一端がオイルタンクの下部に連通されるオイル供給配管とが途中で合流して、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管に連通するものである。
【0014】
請求項3においては、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部と、オイルタンクの下部に一端が連通されるオイル供給配管の他端と、の連通部にはオリフィス部が設けられるとともに、アキュムレータの下部とオイルタンクの上部とを連通する回収配管の中途部と、オイル供給配管の中途部と、をバイパス配管にて連通したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の空気調和システムの第一実施例における冷媒回路図、図2は本発明の空気調和システムの第一実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図、図3は本発明の空気調和システムの第一実施例における制御機器類のブロック図、図4は本発明の空気調和システムの第二実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図、図5は本発明の空気調和システムの第三実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図である。
【0016】
以下では、図1を用いて本発明の空気調和システムにおける冷媒回路の概略構成を説明する。
なお、以下の説明では図1に示すエンジン駆動式ヒートポンプである室外機1を用いて説明するが、本発明は、エンジン駆動式ヒートポンプに限らず、電気エアコンやその他の形式の空気調和システム全般に適用可能である。
また、室内機30・30・・・の台数は限定されず、一台以上あればよい。
【0017】
図1において、エンジン駆動式ヒートポンプの室外機1は、空調を必要とする建物等の外に設置されるものであり、圧縮機2、エンジン廃熱回収器4、室外熱交換器5、アキュムレータ6、リキッドレシーバ7等の装置と、四方弁8、オイルセパレータ10やその他の弁・配管・フィルタ等により冷媒回路を形成している。
【0018】
また、室外機1には、ラジエータ11と、冷却水三方弁12、サーモスタット13、冷却水ポンプ14、排ガス熱交換器15、冷却水管16が備えられ、前記エンジン3とともに、エンジン冷却水回路を構成している。
なお、エンジン廃熱回収器4は、圧縮機2の吸入側、即ち、圧縮機2に吸入される冷媒の流れにおいて、圧縮機2の上流側に設けられており、エンジン冷却水の一部がエンジン廃熱回収器4内を通過することにより、冷媒との間で熱交換を行い、冷媒の気化を促進する。
【0019】
以下では、冷媒回路を構成する各部材について、冷房運転時の冷媒の流れに沿って説明する。
【0020】
圧縮機2は、クラッチ(図示せず)によるエンジン3の駆動の断接により内部の回転体を駆動する構成としており、このクラッチは電磁クラッチより構成され、その断接は、図1に示す如く室外機1を運転制御するコントローラ25により制御されるようにしている。
【0021】
オイルセパレータ10は圧縮機2にて圧送された高温高圧の冷媒が最初に流入する容器であり、該オイルセパレータ10により、気体状の冷媒と、液体状の新冷媒用冷凍機油とを気液分離する。気体状の冷媒は四方弁8へ搬送され、液体状の新冷媒用冷凍機油は配管10aを介して圧縮機2の吸入口側へ搬送される。
オイルセパレータ10の底部には配管10aの一端が接続され、他端は主アキュムレータ出口配管84の中途部においてアキュムレータ出口配管開閉弁29よりも下流側(圧縮機2の吸入口に近い方)に接続される。従って、オイルセパレータ10にて冷媒と気液分離された冷凍機油は、主アキュムレータ出口配管84に流れ、再び圧縮機2へと供給されるようになっている。
【0022】
しかし、オイルセパレータ10での新冷媒用冷凍機油の回収率は100%とはならず、少量ではあるが冷媒とともに冷媒回路の下流側へ搬送されるものがある。
従って、後述する洗浄運転を継続していると、従来冷媒用の冷凍機油(洗浄運転により回収する)と、オイルセパレータ10により回収できずに冷媒回路へ搬送された一部の新冷媒用冷凍機油とが混合した状態で捕捉手段(アキュムレータ6)に捕捉される。すなわち、洗浄運転中にオイルセパレータ10よりも下流側の冷媒回路側へ搬送された分だけ、冷媒回路内の新冷媒用冷凍機油は減少する。よって、オイルタンク27から新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に補充する必要があるのである。
また、準備運転開始時には、圧縮機2内にある程度冷凍機油が封入されており、準備運転開始直後は圧縮機2の圧送口より冷凍機油が冷媒回路側へ流出するが、圧縮機2の吸入口側にすぐには冷凍機油が戻ってこないので、後述するオイルタンク27より冷凍機油を補充することが圧縮機2内部の潤滑の観点から見て有効である。
【0023】
続いて、四方弁8を通過した冷媒は冷房運転の場合、室外熱交換器5、第一膨張弁21を経てリキッドレシーバ7に流入する。リキッドレシーバ7は室外熱交換器5および第一膨張弁21を通過する過程で一部気体のまま送られ、また、冷媒量も変化するので、一時的に貯留して液が常に残留するようにして液化した冷媒を安定して膨張弁32へ送るためのものである。
【0024】
また、前記室外熱交換器5とリキッドレシーバ7とを接続する配管の中途部には、第一膨張弁21が設けられている。これは暖房時に冷媒を減圧させるためのものである。
一方、前記エンジン廃熱回収器4と、リキッドレシーバ7とを合流点45を介して通じさせる冷媒バイパス配管82の中途部には、第二膨張弁22が設けられている。
【0025】
リキッドレシーバ7を通過した気体状の冷媒は、第二開閉弁18を経て既設配管(又は新設配管)20内に流入し、室内機30・30・・・内の膨張弁32で減圧され熱交換器31で気化されて第一開閉弁17まで戻ってくる。室内機30・30・・・は、空調を必要とする建物内等に設置されるものであり、それぞれ室内熱交換器31、室内機ファン30f、室内熱交換器用膨張弁32等を備え、既設配管(又は新設配管)20に対して並列で接続される。
図1に示す如く、室内機30・30・・・は、既設配管(又は新設配管)20の一端と室外機1との間に第一開閉弁17および第二開閉弁18を介装しつつ接続し、既設配管(または新設配管)20の他端と室内機30・30・・・の配管とを接続することにより冷媒回路を形成し、該冷媒回路に新冷媒を循環させるとともに、後述するコントローラ25により四方弁8その他の制御を行うことで、循環回路内の冷媒の流路を変更し、暖房運転や冷房運転、洗浄運転などを行う構成としている。
尚、図1においては、二機の室内機30・30を設置した構成としているが、台数については、特に限定されるものではない。
【0026】
第一開閉弁17まで戻って来た冷媒は、四方弁8を経てエンジン廃熱回収器4内を通過後、アキュムレータ6内に流入する。
【0027】
以下では図1および図2に示す本発明の第一実施例におけるアキュムレータ6の詳細構成について説明する。
本発明の第一実施例のアキュムレータ6は、通常の冷房運転および暖房運転時において室内機30・30・・を経て戻ってきた冷媒を気液分離して、液化した状態の冷媒が圧縮機2の吸入口に供給されることにより発生する圧縮機2の破損や性能低下を防止するという本来の機能と、洗浄運転時に配管内残留物を気体状の冷媒と気液分離して捕捉する捕捉手段としての機能を兼ねている。
図1および図2に示す如く、アキュムレータ6は、容器40に、該容器40内部と連通する複数の配管が挿入された構成になっている。
アキュムレータ6に連通接続されている配管は、主に第一吸入管87、第二吸入管88、主アキュムレータ出口配管84(アキュムレータ6側端部にU字管83が接続されている)、副アキュムレータ出口配管85、および回収配管19である。
【0028】
第一吸入管87はその一端が四方弁8に接続され、エンジン廃熱回収器4を経て他端が容器40内の上部空間と連通しており、冷媒回路内を循環している冷媒をアキュムレータ6に搬送するための配管である。
【0029】
第二吸入管88は、その一端が接続点50にて第一開閉弁17と四方弁8とを接続する配管51の中途部に連通され、他端は容器40内の上部空間に連通されている。また、第二吸入管88の中途部には開閉弁49が設けられている。
【0030】
主アキュムレータ出口配管84は、アキュムレータ6と圧縮機2とを連通する配管であり、通常運転(冷房・暖房運転)時は液体状の冷媒を吸入せず、気体状の冷媒のみを圧縮機2側へ搬送し、かつ、アキュムレータ6底部に滞留した新冷媒用の冷凍機油(オイルセパレータ10により回収しきれずにアキュムレータ6まで搬送されたもの)を少量ずつ圧縮機2側へ戻すために、アキュムレータ6側端部はU字管83と接続されている。
【0031】
U字管83は略U字型に曲げられた配管であり、その一端は容器40内の上部空間にて冷媒吸入口43を開口している。またU字管83の他端は、容器40上面を貫通して容器40外に延出され、主アキュムレータ出口配管84の一端と接続される。こうして前記容器40内の上部空間と主アキュムレータ出口配管84とが連通される。
また、U字管83の底部壁面には油吸入孔24が穿設されており、通常運転時(暖房運転または冷房運転時など)にはアキュムレータ6の底部に滞留した新冷媒用の冷凍機油を圧縮機2の吸入側に搬送可能に構成される。
【0032】
副アキュムレータ出口配管85もまた、圧縮機2の吸入側とアキュムレータ6とを連通するための配管であり、副アキュムレータ出口配管85の一端は、容器40上面を貫通して容器40内に挿入され、容器40内の上部空間にて冷媒吸入口44を開口している。副アキュムレータ出口配管85の他端は接続点95にて主アキュムレータ出口配管84と連通接続される。そして、接続点95とU字管83との間において、主アキュムレータ出口配管84の中途部にはアキュムレータ出口配管開閉弁29が設けられている。
【0033】
このようにアキュムレータ6と圧縮機2との間で冷媒を搬送するアキュムレータ出口配管が二本(主アキュムレータ出口配管84と副アキュムレータ出口配管85)配設される理由は、前述の如く、アキュムレータ6が通常運転時と、洗浄運転時で機能が異なることと密接な関係がある。
すなわち、通常運転時にはアキュムレータ出口配管開閉弁29が開けられて、該アキュムレータ6にて冷媒は気液分離される。そして、主に主アキュムレータ出口配管84より気体冷媒のみが圧縮機2側へ戻される。さらに、アキュムレータ6底部に滞留する少量の新冷媒用の冷凍機油が少しずつ圧縮機2側へ回収される。
U字管83の形状は、以上の如く、気体状の冷媒と、少量の新冷媒用の冷凍機油とを選択的に圧縮機2側へ回収するためのものである。
このとき、配管の主アキュムレータ出口配管84の直径が副アキュムレータ出口配管85の直径よりも大きいことから、気体冷媒の大部分は主アキュムレータ出口配管84を通過して圧縮機2に戻される。
【0034】
一方、洗浄運転時にはアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられて、アキュムレータ6には、配管内残留物(新設・既設配管内の異物の総称)からなる液体成分が捕捉される。そして、気体冷媒のみが副アキュムレータ出口配管85から圧縮機2に搬送され、配管内残留物はアキュムレータ6内に確実に捕捉される。副アキュムレータ出口配管85のアキュムレータ6側の開口部である冷媒吸入口44はアキュムレータ6内空間上部で開口しており、冷媒吸入口44より副アキュムレータ出口配管85にアキュムレータ6で気液分離後の液体成分が流入することはない。
【0035】
次に、本発明の第一実施例におけるオイルタンク27の詳細構成について説明する。
図1および図2に示す如く、オイルタンク27は、略円柱形状の容器に、該容器内部と連通する複数の配管が挿入された構成になっている。
オイルタンク27は、準備運転時に新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給する供給タンクとしての機能と、準備運転後の洗浄運転時に、配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼ねるものである。
【0036】
オイルタンク27に連通接続されている配管は、主に回収配管19、ガス抜き配管86、オイル供給配管98である。
【0037】
回収配管19は、その一端19aがアキュムレータ6の容器40底面にて該容器40内と連通し、他端19bがオイルタンク27内の上部空間と連通している。
また、回収配管19の中途部には回収弁28が設けられている。
【0038】
ガス抜き配管86はその一端が接続点96にて副アキュムレータ出口配管85の中途部に連通され、他端はオイルタンク27内の上部空間に連通されている。また、ガス抜き配管86の中途部にはガス抜き弁94が設けられている。
【0039】
オイル供給配管98は、その一端が接続点97にて副アキュムレータ出口配管85の中途部に連通され、他端はオイルタンク27底部よりオイルタンク27内に貫挿されている。オイル供給配管98のオイルタンク27側の端部98aは閉塞されており、オイル供給配管98のオイルタンク27内に貫挿されている部分の管壁には、開口部98bが穿設されている。該開口部98bの大きさはオイル供給配管98の内径よりも小さくなるように構成される。
また、オイル供給配管98の中途部にはオイル供給弁99が設けられている。
【0040】
そして、副アキュムレータ出口配管85とオイル供給配管98との接続点97は、副アキュムレータ出口配管85とガス抜き配管86との接続点96よりも副アキュムレータ出口配管85上において下流側(圧縮機2の吸入口に近い側)に設けられる。
また、副アキュムレータ出口配管85中途部において、前記接続点97と接続点96とに挟まれる部位には、絞り部(オリフィス部)68が設けられ、接続点97と接続点96との間に生じる差圧を大きくしている。
【0041】
また、オイルタンク27の底面には外部排出弁89が設けられている。
【0042】
以上の如くオイルタンク27を構成することは、以下の如き利点を有する。
すなわち、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力をP0、接続点96での気体冷媒の圧力をP1、接続点97での気体冷媒の圧力をP2とすると、圧縮機2が作動しているときには、P0>P1>P2が成立している。
従って、回収弁28、ガス抜き弁94、およびオイル供給弁99の開閉の組み合わせにより、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力(P0)、接続点96での気体冷媒の圧力(P1)、接続点97での気体冷媒の圧力(P2)の差(差圧)を利用して種々の圧送経路を構成することが可能である。
【0043】
具体的には、▲1▼回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」や、▲2▼回収弁28を「閉」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル低速供給モード」や、▲3▼回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の三つの配管経路を形成することが可能である。
【0044】
続いて、第一実施例のアキュムレータ6、オイルタンク27、およびこれらと室外機1を構成する他の部材とを接続する冷媒回路を用いた「準備運転方法」と、「洗浄運転方法」と、準備運転時および洗浄運転時に行われる冷媒回路への新冷媒用の「冷凍機油供給方法」と、該洗浄運転時に行われる「配管内残留物の回収方法」について、図1および図2を用いて説明する。
【0045】
図1および図2に示す第一実施例の場合、既設配管(または新設配管)20に第一開閉弁17および第二開閉弁18を介して接続されたとき、圧縮機2の潤滑を行う新冷媒用の冷凍機油の補充分は、オイルタンク27内に予め封入されている。
【0046】
以下では、第一実施例における「準備運転方法」について説明する。
既設配管または新設配管に室外機1、室内機30・30・・・を接続後、まず行うのが「準備運転」である。
「準備運転」は、既設配管(または新設配管)20に冷媒を循環させずに、室外機1の内部だけで冷媒を循環させて、アキュムレータ6やエンジン廃熱回収器4、オイルタンク27等を通常運転時と略同じ温度まで昇温し、以後の洗浄運転等を効率よく行うために実施される。
【0047】
本実施例の場合は、圧縮機2へのエンジン3の駆動力の伝達・遮断を行うクラッチを「切」の状態にして、エンジン3を駆動させるとともに、エンジン3の冷却水を、エンジン廃熱回収器4の温度が「所定の温度」となるまでエンジン廃熱回収器4に循環させる。この「所定の温度」とは、エンジン廃熱回収器4内を貫通する冷媒回路を冷媒が通過したときに、冷媒が気化するのに十分な温度を指す。
【0048】
次に、四方弁8を冷房側に切り替え、第一膨張弁21および第二膨張弁22を開け、第一開閉弁17および第二開閉弁18を閉じる。そして、前記クラッチを「入」の状態にして、圧縮機2を駆動し、冷媒回路内に冷媒を循環させる。
冷媒は、圧縮機2、オイルセパレータ10、四方弁8、室外熱交換器5、第一膨張弁21、リキッドレシーバ7、第二膨張弁22、冷媒バイパス配管82、合流点45、エンジン廃熱回収器4、第一吸入管87を経てアキュムレータ6内に流入する。そして、アキュムレータ6から副アキュムレータ出口配管85を経て圧縮機2に気体状の冷媒が戻される(このとき、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29は閉じられている)。
【0049】
なお、準備運転における室外機1内の冷媒流路は、四方弁8から冷房側に冷媒を流す構成としたが、例えば四方弁8から暖房側に冷媒を流し、開閉弁49を開け、第二吸入管88からアキュムレータ6に冷媒を流入させても良く、本実施例に限定されない。
【0050】
続いて、上記準備運転時に行われる「冷凍機油供給方法」について説明する。図1および図2に示す第一実施例においては、冷凍機油の冷媒回路への供給は準備運転、または後述の洗浄運転と並行して行われる。
「冷凍機油供給方法」は第一実施例においては二種類あり、以下ではそれぞれ「高速供給方法」、「低速供給方法」と呼ぶこととする。
【0051】
「高速供給方法」の場合、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路は、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられた状態で、回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」の状態となっている。
従って、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒の大部分は、副アキュムレータ出口配管85、接続点95以降(冷媒回路下流側)の主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2の吸入口に戻る。
一方、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒の一部は、アキュムレータ6と接続点97との間に生じる差圧(P0−P2)により、回収配管19を経てオイルタンク27の上部に流入する。そして、オイルタンク27内に封入されていた新冷媒用の冷凍機油は、オイル供給配管98を経て冷媒回路に供給される。
【0052】
「オイル高速供給モード」における新冷媒用冷凍機油を搬送する駆動力は、アキュムレータ6と接続点97との間に生じる差圧(P0−P2)であり、該差圧は圧縮機2の駆動により生じるため新たな駆動源を必要としない。
また、該差圧(P0−P2)の大きさは、オリフィス部68の形状、副アキュムレータ出口配管85の内径および長さ、オイル供給配管98の内径および長さ、等により調節可能である。
【0053】
「低速供給方法」の場合、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路は、前記「オイル高速供給モード」だけではなく、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられた状態で、回収弁28を「閉」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル低速供給モード」の状態となっている。
このとき、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒は、副アキュムレータ出口配管85、接続点95以降(冷媒回路下流側)の主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2の吸入口に戻る。
また、副アキュムレータ出口配管85内を通過する気体状の冷媒の一部は、接続点96と接続点97との間に生じる差圧(P1−P2)により、接続点96よりガス抜き配管86を経てオイルタンク27の上部に流入し、オイルタンク27内に封入されていた新冷媒用の冷凍機油は、オイル供給配管98を経て冷媒回路に供給される。
【0054】
「オイル低速供給モード」における新冷媒用冷凍機油を搬送する駆動力は、接続点96と接続点97との間に生じる差圧(P1−P2)であり、該差圧は圧縮機2の駆動により生じるため新たな駆動源を必要としない。
また、該差圧(P1−P2)の大きさは、オリフィス部68の形状、副アキュムレータ出口配管85の内径および長さ、ガス抜き配管86の内径および長さ、オイル供給配管98の内径および長さ、等により調節可能である。
【0055】
このように、本実施例の室外機においては、準備運転時において、オイルタンク27から冷媒回路への冷凍機油の供給速度を「高速供給方法」と「低速供給方法」を用いて二種類に切り替えることが可能であり、装置の容量や使用環境(室外温度)等の変化に応じて適当な冷凍機油の供給速度を選択することが可能である。
【0056】
「高速供給モード」は、アキュムレータ6内の圧力P0と接続点97の圧力P2との差圧(P0−P2)でオイルタンク27内の冷凍機油を冷媒回路に供給する。従って、接続点96の圧力P1と接続点97の圧力P2との差圧(P1−P2)でオイルタンク27内の冷凍機油を冷媒回路に供給する「低速供給モード」と比較して、冷凍機油を短時間で圧縮機2に供給することが可能であり、準備運転の時間短縮(ひいては施工時間の短縮)という観点から見て優れている。
ただし、気体状の冷媒は回収配管19を通じてオイルタンク27内上部空間に搬送されることから、後述の洗浄運転時においては「高速供給モード」を併用することができない。
【0057】
続いて、「洗浄運転方法」および「配管内残留物の回収方法」について説明する。
準備運転後、次に行われるのが「洗浄運転」である。洗浄運転は、新冷媒(および新冷媒内に少量混入した新冷媒用の冷凍機油との混合物)を既設配管(または新設配管)20内に循環させ、配管内残留物を洗い流し、捕捉手段であるアキュムレータ6に一時捕捉するものである。
【0058】
このとき、「配管内残留物回収」も並行して行われる。すなわち、準備運転開始前には新冷媒用の冷凍機油が封入され、準備運転時に冷媒回路に該冷凍機油を供給するオイルタンク27を、今度は配管内残留物を回収する回収容器として利用するものである。
【0059】
以下では、第一実施例における洗浄運転を示す。
準備運転から引き続き圧縮機2へのエンジン3の駆動力の伝達・遮断を行うクラッチを「入」の状態として、エンジン3を駆動させておく。そして、四方弁8は冷房側のままとし、第一膨張弁21および第二膨張弁22は開いた状態としておく。そして、第一開閉弁17および第二開閉弁18を開く。
【0060】
冷媒は、圧縮機2、オイルセパレータ10、四方弁8、室外熱交換器5、第一膨張弁21、リキッドレシーバ7、第二開閉弁18を経て既設配管(または新設配管)20に流入し、該既設配管(または新設配管)20および室内機30・30・・・内部配管に付着・残留した配管内残留物を冷媒回路の下流側へと押し流す。
【0061】
冷媒および配管内残留物が混合したものは、第一開閉弁17、接続点50、四方弁8を経てエンジン廃熱回収器4内で冷媒の気化が促進され、第一吸入管87よりアキュムレータ6内に流入する。そして、該アキュムレータ6にて気体状の冷媒と、配管内残留物とが気液分離され、冷媒は副アキュムレータ出口配管85を経て圧縮機2に戻され、配管内残留物はアキュムレータ6の底部に確実に捕捉される。
【0062】
続いて「配管内残留物回収」をおこなうためのアキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒経路の構成について説明する。
アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路は、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられた状態で、回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の状態となっている。
【0063】
従って、アキュムレータ6に流入した冷媒は、副アキュムレータ出口配管85、接続点95以降(冷媒回路下流側)の主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2の吸入口に戻る。
【0064】
一方、アキュムレータ6底部に捕捉された配管内残留物は、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒の圧力(P0)と、接続点96での冷媒の圧力(P1)との差圧(P0−P1)により、回収配管19を経てオイルタンク27に回収される。そして、オイルタンク27内にあった冷媒は、ガス抜き配管86を経て副アキュムレータ出口配管85に戻される。
【0065】
また、上述の説明は洗浄運転中に配管内残留物のオイルタンクへ27への回収作業を常時並行して行うものであるが、このような運転方法には限定されず、例えば、洗浄運転の前半は「オイル低速供給モード」とし、洗浄運転の後半は「配管内残留物回収モード」とする運転方法も考えられる。
このような運転方法を用いることにより、洗浄運転時に、新冷媒用冷凍機油の一部がオイルセパレータ10で回収しきれずに冷媒回路下流に搬送され、アキュムレータ6に配管内残留物等とともに捕捉されることによる冷媒回路内の新冷媒用冷凍機油の減少分を洗浄運転前半の「オイル低速供給モード」で補充することが可能である。
【0066】
また、図1および図2に示す如く、本発明の第一実施例においては、回収配管19のアキュムレータ6側の端部19aと、電磁式のソレノイドバルブである回収弁28との間に、手動式のボールバルブである手動回収弁53が設けられている。同様に、ガス抜き配管86の接続点96と、電磁式のソレノイドバルブであるガス抜き弁94との間に手動式のボールバルブである手動ガス抜き弁54が設けられている。同様に、オイル供給配管98の接続点97と、電磁式のソレノイドバルブであるオイル供給弁99との間に手動オイル供給弁55、がそれぞれ設けられている。
さらに、アキュムレータ出口配管開閉弁29も手動式のボールバルブで構成されている。
【0067】
このように、アキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒配管の各所に手動式のボールバルブを設ける理由は、室外機1の容量等によっては、電磁式のソレノイドバルブのみでは通常運転時の密閉性が十分に確保することができない場合があることによる。従って、密閉性が保持される場合であれば、別の形式の手動式バルブでも良く、あるいは電磁式のバルブのみで冷媒回路を構成しても良い。
【0068】
本発明の第一実施例においては、準備運転開始時点では、手動にてアキュムレータ出口配管開閉弁29を「閉」、手動回収弁53を「開」、手動ガス抜き弁54を「開」、手動オイル供給弁55を「開」としておき、準備運転および洗浄運転中は、電磁式のソレノイドバルブである回収弁28、ガス抜き弁94、オイル供給弁99の開閉を後述するコントローラ25により制御して、「オイル高速供給モード」や、「オイル低速供給モード」や、「配管内残留物回収モード」の三つの配管経路の切り替えを行う。
【0069】
そして、洗浄運転が終了した時点で、アキュムレータ出口配管開閉弁29を「開」、手動回収弁53を「閉」、手動ガス抜き弁54を「閉」、手動オイル供給弁55を「閉」とすることにより、オイルタンク27とアキュムレータ6との間(回収配管19)、およびオイルタンク27と副アキュムレータ出口配管85との間(ガス抜き配管86、オイル供給配管98)の配管を電磁式ソレノイドバルブと比較して密閉性の高い手動式のボールバルブで閉塞し、オイルタンク27内に回収された配管内残留物が通常運転時に冷媒回路内に誤って流入することを防止することが可能である。
なお、室外機の容量等により、電磁式のソレノイドバルブのみでも通常運転時に必要な密閉性が確保可能な場合は、手動式のボールバルブを省略しても良い。
【0070】
以上の準備運転、冷凍機油供給、洗浄運転、オイルタンク27への残留物の回収等は、図1および図3に示すコントローラ25により各開閉弁の開閉等が制御される。
【0071】
図3は、本実施例の空気調和システムの一実施例である室外機1の運転を制御する制御装置と、作動装置類の構成を示すものである。
制御装置であるコントローラ25は、電磁弁などからなる第一膨張弁21、第二膨張弁22、回収弁28、ガス抜き弁94、オイル供給弁99、室内熱交換器用膨張弁32、冷却水三方弁12と接続され、これらの弁の開閉制御を行い、更には、冷却水ポンプ14のON・OFF、エンジン3の回転数の制御、前記四方弁8の流路切換や、前記エンジン3と圧縮機2との間の駆動力の伝達・遮断を行うクラッチの制御などを行う構成としている。
【0072】
以上の如く、準備運転、洗浄運転を行った後に、通常運転(暖房・冷房運転)を行う。
【0073】
図1および図2に示す本発明の空気調和システムの第一実施例において行う暖房運転について説明する。
図1に示す如く、圧縮機2により圧縮された冷媒は、高温高圧過熱蒸気の状態として、オイルセパレータ10および暖房方向に切換えられた四方弁8を経由して、第一開閉弁17より既設配管(または新設配管)20内を通って室内熱交換器31・31へ送出される。室内熱交換器31・31においては、高温高圧過熱蒸気状態の冷媒から室内空気に熱が放出され冷媒は凝縮されて気体から液体に変化する。この熱放出により室内の暖房が行われる。
【0074】
冷媒は、第二開閉弁18を通過して室外機1内へ戻り、リキッドレシーバ7を経由した後、第一膨張弁21・21にて急激に膨張して、外気温よりも低温となり、室外熱交換器5を通過する間に、外気より熱を得て冷媒は液体から気体に変化する。
そして、冷媒は、四方弁8を経由し、エンジン廃熱回収器4にてエンジン3の冷却水から熱を得てさらに高温となり、ガス冷媒となってアキュムレータ6に流入し、圧縮機2に吸入される。
上述の如く冷媒回路内に冷媒を循環させることにより、暖房運転を行う。
【0075】
続いて、図1および図2に示す本発明の空気調和システムの第一実施例において行う冷房運転について説明する。
図1に示す如く、圧縮機2により圧縮された冷媒は、高温高圧過飽和蒸気の冷媒となり、オイルセパレータ10、冷房方向に切換えられた四方弁8を経由して室外熱交換器5に圧送される。このとき、室外熱交換器5を構成するフィンの表面には、室外ファン5fにより外気が強制的に吹きつけられており、冷媒は室外熱交換器5のフィンを通過する間に、外気に熱を放出して温度が低下し、冷媒は気体から液体に変化する。
【0076】
室外熱交換器5にて外気に熱を放出した冷媒は、一部液化した冷媒がリキッドレシーバ7にて気液分離された後、第二開閉弁18に接続された既設配管(または新設配管)20内を通って、室内機30・30・・・へ送られる。
それぞれの室内機30・30においては、室内熱交換器用膨張弁32にて減圧されることにより冷媒が蒸発し易い状態となる。そして、室内熱交換器31内を通過する間に、室内機ファン30f・30fにより室内熱交換器31・31のフィンの表面に吹き付けられる室内空気から蒸発熱を吸収して冷媒は液体から気体に変化する。このようにして室内空気は冷媒に熱を奪われ、冷風として室内に送風されることにより室内の冷房を行う。
その後、室内熱交換器31・31にて室内空気から熱を吸収した冷媒が、既設配管(または新設配管)20、第一開閉弁17を経て四方弁8を経由し、エンジン廃熱回収器4にてエンジン3の冷却水から熱を得てさらに高温となり、ガス冷媒となってアキュムレータ6に流入し、圧縮機2に吸入される。
上述の如く冷媒回路内に冷媒を循環させることにより、冷房運転を行う。
【0077】
以上の如く、本発明の空気調和システムにおいては、既設配管または新設配管内を洗浄する機能を備え、かつ、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンク27を備えているにもかかわらず、新たな駆動源を設けることなく、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧を利用してアキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給を可能としている。
従って、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンク、および配管内残留物を回収する回収容器を別体とする必要が無く、室外機の小型化、省スペース化を図ることが可能である。
また、圧縮機2により冷媒回路に生じる差圧は、オリフィス部を形成したり、冷媒配管の内径や長さを変えることにより適宜調整することが可能であり、オイルタンクを室外機1内のどこに配設しても、アキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給が可能である。よって、オイルタンクの配設位置の自由度が高く、設計が容易である。
【0078】
続いて、図4を用いて、本発明の空気調和システムの第二実施例について説明する。
本発明の空気調和システムの第二実施例は、圧縮機2の圧送口から室内機30・30・・・を経てアキュムレータ6までの冷媒回路の構成は、前記第一実施例と略同じであり、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路の構成が第一実施例と異なる。
【0079】
すなわち、本発明の第二実施例では、オイル供給配管98の手動オイル供給弁55と、電磁式のソレノイドバルブであるオイル供給弁99との間に合流点56を設け、該合流点56にガス抜き配管86の一端を連通接続したものである。
言い換えれば、オイルタンク27内上部空間に一端が連通接続されるガス抜き配管86と、オイルタンク27内下部空間に一端が連通接続されるオイル供給配管98とが合流点56にて合流し、アキュムレータ6と圧縮機2とを連通する副アキュムレータ出口配管85の中途部に連通接続されるものである。
【0080】
このように構成することにより、第一実施例における手動ガス抜き弁54、および回収弁28を省略し、製造コストの削減を行うことが可能である。
【0081】
本発明の第二実施例においては、ガス抜き弁94、およびオイル供給弁99の開閉の組み合わせにより、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力(P0)、接続点97での気体冷媒の圧力(P3)の差(差圧)を利用して二種類の圧送経路を構成することが可能である。
なお、圧縮機2が駆動しているときには、P0>P3が成立している。
【0082】
具体的には、▲1▼ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」と、▲2▼ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の二つの配管経路を形成することが可能である。
【0083】
そして、準備運転中および洗浄運転中は、手動にて、アキュムレータ出口配管開閉弁29を「閉」、手動回収弁53を「開」、手動オイル供給弁55を「開」とし、通常運転時には、アキュムレータ出口配管開閉弁29を「開」、手動回収弁53を「閉」、手動オイル供給弁55を「閉」とする。
【0084】
なお、電磁式のソレノイドバルブである回収弁28が省略可能となる理由は、本発明の第二実施例における「オイル高速供給モード」および「配管内残留物回収モード」はいずれも回収配管19を通じてアキュムレータ6より気体状冷媒または配管内残留物をオイルタンク27に圧送するため、準備運転中および洗浄運転中は回収配管19を閉塞せずに使用することによる。
【0085】
続いて、図5を用いて、本発明の空気調和システムの第三実施例について説明する。
本発明の空気調和システムの第三実施例は、圧縮機2の圧送口から室内機30・30・・・を経てアキュムレータ6までの冷媒回路の構成は、前記第一実施例と略同じであり、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路の構成が第一実施例および第二実施例と異なる。
【0086】
すなわち、第一実施例と比較すると本発明の第三実施例では、アキュムレータ6内のU字管83および副アキュムレータ出口配管85が省略され、主アキュムレータ出口配管84のアキュムレータ6側の端部はアキュムレータ6内上部空間と連通している。ガス抜き配管86の一端は、接続点196にて主アキュムレータ出口配管84の中途部と連通接続され、オイル供給配管98の一端は、前記接続点196よりも下流側の接続点197にて主アキュムレータ出口配管84の中途部と連通接続される。前記接続点197にはオリフィス部(絞り部)197aが形成される。
また、オイル供給配管98における接続点197と手動オイル供給弁55との間のバイパス点57と、回収配管19におけるアキュムレータ6側の端部19aと手動回収弁53との間のバイパス点58と、を連通接続するバイパス配管59を設け、該バイパス配管59の中途部にバイパス弁71を設けた。
【0087】
図1および図2に示す第一実施例におけるU字管83は、図5に示す第三実施例においては、回収配管19のアキュムレータ6側の端部19aからバイパス点58、バイパス配管59、バイパス点57を経て接続点197までの冷媒配管が同様の効果を奏する。また、第一実施例におけるU字管83の下端部管壁に穿設される油吸入孔24は、第三実施例においては、オリフィス部197aが同様の効果を奏する。
【0088】
このように構成することにより、アキュムレータ6内のU字管83や副アキュムレータ出口配管85を省略し(厳密には、アキュムレータ6の外部に同様の効果を奏する機構を設ける)、アキュムレータ6の構造を簡略化することが可能であり、組み立て時の作業性が向上する。
また、第一実施例では、アキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒配管に設けられる弁の数は計七個(アキュムレータ出口配管開閉弁29、回収弁28、ガス抜き弁94、オイル供給弁99、手動回収弁53、手動ガス抜き弁54、手動オイル供給弁55)であるのに対して、第三実施例ではアキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒配管に設けられる弁の数は計六個(ガス抜き弁94、オイル供給弁99、手動回収弁53、手動ガス抜き弁54、手動オイル供給弁55、バイパス弁71)であり、弁の数を削減して製造コストを抑えることが可能である。
【0089】
本発明の第三実施例においては、ガス抜き弁94、およびオイル供給弁99の開閉の組み合わせにより、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力(P0)、接続点196での気体冷媒の圧力(P4)、接続点197での気体冷媒の圧力(P5)の差(差圧)を利用して二種類の圧送経路を構成することが可能である。なお、圧縮機2が駆動しているときには、P0>P4>P5が成立している。
【0090】
具体的には、▲1▼ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」と、▲2▼ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の二つの配管経路を形成することが可能である。
【0091】
そして、準備運転中および洗浄運転中は、手動にて、手動回収弁53を「開」、手動ガス抜き弁54を「開」、手動オイル供給弁55を「開」、バイパス弁71を「閉」とし、通常運転時には、手動回収弁53を「閉」、手動ガス抜き弁54を「閉」、手動オイル供給弁55を「閉」、バイパス弁71を「開」とする。
【0092】
このように構成することにより、図5に示す第三実施例では、通常運転時は、オイルセパレータ10にて回収しきれずにアキュムレータ6まで搬送されてきた新冷媒用の冷凍機油は、回収配管19のアキュムレータ6側の端部19aからバイパス点58、バイパス配管59、バイパス点57を経て接続点197までの冷媒配管により、圧縮機2に戻される。また、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒は主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2に戻される。
すなわち、気体状の冷媒が戻る経路と、新冷媒用の冷凍機油が戻る経路とが分けられており、U字管83を設ける必要がないので、該U字管83による圧力損失を抑え、性能向上を図ることが可能である。
【0093】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0094】
即ち、請求項1に示す如く、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、該オイルタンクの上部とアキュムレータ下部とを回収配管で連通し、前記アキュムレータの上部と圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部に、オイルタンクの上部と下部とをそれぞれガス抜き配管とオイル供給配管の二本の配管で並列に連通するとともに、二本の配管に挟まれたアキュムレータ出口配管に差圧付与手段を設けたので、圧縮機の駆動により冷媒回路に差圧を生じさせることができ、新たな駆動源を設けることなく、この差圧を利用して、アキュムレータからオイルタンクへ、およびオイルタンクから圧縮機へ、冷媒、冷凍機油、および新設配管または既設配管内の残留物、を搬送する回路を容易に構成することができ、アキュムレータから圧縮機の吸入口までの冷媒回路に設けられる弁の数を削減し、製造コストを抑えることが可能である。また、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンク、および配管内残留物を回収する回収容器を別体とする必要が無く、室外機の小型化、省スペース化を図ることが可能である。
また、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧は、オリフィス部を形成したり、冷媒配管の内径や長さを変えることにより適宜調整することが可能であり、オイルタンクを室外機内のどこに配設しても、アキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給が可能である。
よって、オイルタンクの配設位置の自由度が高く、設計が容易である。
【0095】
請求項2に示す如く、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、一端がオイルタンクの上部と連通されるガス抜き配管と、一端がオイルタンクの下部に連通されるオイル供給配管とが途中で合流して、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管に連通するので、新たな駆動源を設けることなく、アキュムレータからオイルタンクへ、およびオイルタンクから圧縮機へ、冷媒、冷凍機油、および新設配管または既設配管内の残留物、を搬送することができる。
また、アキュムレータから圧縮機の吸入口までの冷媒回路に設けられる弁の数を削減し、製造コストを抑えることが可能である。
【0096】
請求項3に示す如く、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部と、オイルタンクの下部に一端が連通されるオイル供給配管の他端と、の連通部にはオリフィス部が設けられるとともに、アキュムレータの下部とオイルタンクの上部とを連通する回収配管の中途部と、オイル供給配管の中途部と、をバイパス配管にて連通したので、新たな駆動源を設けることなく、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧を利用してアキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給を可能としている。
従って、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンク、および配管内残留物を回収する回収容器を別体とする必要が無く、室外機の小型化、省スペース化を図ることが可能である。
また、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧は、オリフィス部を形成したり、冷媒配管の内径や長さを変えることにより適宜調整することが可能であり、オイルタンクを室外機内のどこに配設しても、アキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給が可能であり、オイルタンクの配設位置の自由度が高く、設計が容易である。
さらに、アキュムレータ内のU字管を省略し、アキュムレータの構造を簡略化することが可能であり、組み立て時の作業性が向上する。
また、アキュムレータから圧縮機の吸入口までの冷媒回路に設けられる弁の数を削減し、製造コストを抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気調和システムの第一実施例における冷媒回路図。
【図2】本発明の空気調和システムの第一実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図。
【図3】本発明の空気調和システムの第一実施例における制御機器類のブロック図。
【図4】本発明の空気調和システムの第二実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図。
【図5】本発明の空気調和システムの第三実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図。
【符号の説明】
1 室外機
2 圧縮機
6 アキュムレータ
19 回収配管
27 オイルタンク
28 回収弁
59 バイパス配管
84 主アキュムレータ出口配管
85 副アキュムレータ出口配管
86 ガス抜き配管
94 ガス抜き弁
98 オイル供給配管
99 オイル供給弁
197a オリフィス部
【発明の属する技術分野】
本発明は、建造物の天井や壁等に埋設された既設配管において、該既設配管内壁に付着している従来冷媒(クロロフルオロカーボンやハイドロフルオロカーボンなど)用の冷凍機油等、および新設配管において、溶接作業時に該新設配管内部に発生する新設配管の酸化膜(スケール)やその他付着物等、といった配管内残留物(新設・既設配管内の異物の総称)を除去する技術に関する。
より詳細には、新たに施工する新冷媒を用いた室内機および室外機の配管と、既設配管または新設配管と、で冷媒循環回路を形成し、該室外機内に設けられたアキュムレータを前記配管内残留物の捕捉手段とする場合において、施工後の準備運転時に新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給する機能と、準備運転後の洗浄運転時にアキュムレータ内に捕捉された残留物を回収する機能とを兼ねるオイルタンクと、アキュムレータおよび圧縮機とを連通する冷媒回路の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、空気調和システムではCFC(クロロフルオロカ−ボン)やHCFC(ハイドロクロロフルオロカ−ボン)といった塩素系冷媒(以下、「従来冷媒」とする)が使用されていたが、分子中に含まれる塩素が成層圏でオゾン層を破壊するため、代替として非塩素系冷媒であるHFC(ハイドロフルオロカ−ボン)(以下、「新冷媒」とする)が使用されるようになっている。
【0003】
この新冷媒への代替に伴い、以下の如き問題が生じている。
すなわち、施工工数(施工費用)削減の観点から見ると、建物の既設配管(室内機と室外機とを連通する冷媒用配管であって、壁や天井などに埋設されており、室内機および室外機を従来冷媒対応型から新冷媒対応型に交換する際に、新しい配管と交換することが困難な部分)を利用したまま、室内機および室外機を新設することが好ましいが、圧縮機に使用される冷凍機油は従来冷媒と新冷媒とでは性状が異なることから、従来冷媒用の冷凍機油は新冷媒対応型の空気調和システムには使用することができない。
【0004】
従って、新冷媒対応型の室内機および室外機を設置する際には、既設配管内に付着した従来冷媒用の冷凍機油等を除去する洗浄作業を行う必要がある。この洗浄作業は、室内機および室外機を設置する前段階において、専用の配管洗浄装置を用いて行なわれる。例えば、特許文献1に記載の如くである。
【0005】
また、作業工程の簡素化のために、専用の配管洗浄装置を使用せず、新設の室外機自体に既設配管の洗浄機能を持たせることが検討されている。例えば、特許文献2に記載の如くである。
【0006】
さらに、新設の室外機自体に既設配管の洗浄機能を持たせ、設置後の準備運転時において新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給する供給タンクとしての機能と、準備運転後の洗浄運転時において従来冷媒用の冷凍機油を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを設けて、室外機の省スペース化を行うことも検討されている。
【0007】
一方、新設配管(建造物の天井や壁等に新規に埋設された配管であって、冷媒等の流体を循環させていないものを指す)に新設の室内機および室外機を接続する場合においても、専用の配管洗浄装置、または新設の室外機自体に設けられた配管洗浄機能により、新設配管内を予め洗浄してから使用する(通常の冷房・暖房運転を行う)ことが室外機の性能維持等の観点から見て望ましい。
これは、配管の溶接の過程で生じる配管材料の酸化膜(スケール)やその他付着物、ゴミ等が新設配管内部に残留している場合があることによる。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−246334号公報
【特許文献2】
特開2000−329432号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
新設の室外機自体に既設配管または新設配管の洗浄機能を有する室外機において、省スペース化を目的として、施工後の準備運転時に新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、準備運転後の洗浄運転時には配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを用いる場合、以下の如き問題点が生ずる。
【0010】
アキュムレータ内に捕捉された配管内残留物を回収する回収容器は、通常はアキュムレータの下方に配設され、回収容器内上部空間と連通接続される二本の配管のうち、一方はアキュムレータ底部、もう一方はアキュムレータ上部と連通接続させることにより、該配管内残留物をその自重で回収容器内に流入させて回収する。
しかし、アキュムレータよりもさらに下方に大容量の回収容器を配設すると室外機の全高が高くなって、室外機の省スペース化を行う際に設計上の制約となる。その上、アキュムレータよりも下方に配設された回収容器をオイル供給タンクとして兼用する場合、該オイル供給タンク(回収容器)内に封入された新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路まで供給するには油圧ポンプ等を新たに配設するなどして揚程を稼ぐ必要があり、装置が複雑になるとともに、小型化・省スペース化を阻害する要因となる。
すなわち、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを用いる場合、配設場所の制約が多く、また新たな駆動源(油圧ポンプなど)を追加する必要がある。
本発明は以上の如き状況に鑑み、配管洗浄機能を有し、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、配管内残留物を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンクを備える空気調和システムにおいて、該オイルタンクの配設場所を制約されず、かつ新たな駆動源を必要としない室外機を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1においては、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、該オイルタンクの上部とアキュムレータ下部とを回収配管で連通し、前記アキュムレータの上部と圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部に、オイルタンクの上部と下部とをそれぞれガス抜き配管とオイル供給配管の二本の配管で並列に連通するとともに、二本の配管に挟まれたアキュムレータ出口配管に差圧付与手段を設けたものである。
【0013】
請求項2においては、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、一端がオイルタンクの上部と連通されるガス抜き配管と、一端がオイルタンクの下部に連通されるオイル供給配管とが途中で合流して、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管に連通するものである。
【0014】
請求項3においては、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部と、オイルタンクの下部に一端が連通されるオイル供給配管の他端と、の連通部にはオリフィス部が設けられるとともに、アキュムレータの下部とオイルタンクの上部とを連通する回収配管の中途部と、オイル供給配管の中途部と、をバイパス配管にて連通したものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、発明の実施の形態を説明する。
図1は本発明の空気調和システムの第一実施例における冷媒回路図、図2は本発明の空気調和システムの第一実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図、図3は本発明の空気調和システムの第一実施例における制御機器類のブロック図、図4は本発明の空気調和システムの第二実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図、図5は本発明の空気調和システムの第三実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図である。
【0016】
以下では、図1を用いて本発明の空気調和システムにおける冷媒回路の概略構成を説明する。
なお、以下の説明では図1に示すエンジン駆動式ヒートポンプである室外機1を用いて説明するが、本発明は、エンジン駆動式ヒートポンプに限らず、電気エアコンやその他の形式の空気調和システム全般に適用可能である。
また、室内機30・30・・・の台数は限定されず、一台以上あればよい。
【0017】
図1において、エンジン駆動式ヒートポンプの室外機1は、空調を必要とする建物等の外に設置されるものであり、圧縮機2、エンジン廃熱回収器4、室外熱交換器5、アキュムレータ6、リキッドレシーバ7等の装置と、四方弁8、オイルセパレータ10やその他の弁・配管・フィルタ等により冷媒回路を形成している。
【0018】
また、室外機1には、ラジエータ11と、冷却水三方弁12、サーモスタット13、冷却水ポンプ14、排ガス熱交換器15、冷却水管16が備えられ、前記エンジン3とともに、エンジン冷却水回路を構成している。
なお、エンジン廃熱回収器4は、圧縮機2の吸入側、即ち、圧縮機2に吸入される冷媒の流れにおいて、圧縮機2の上流側に設けられており、エンジン冷却水の一部がエンジン廃熱回収器4内を通過することにより、冷媒との間で熱交換を行い、冷媒の気化を促進する。
【0019】
以下では、冷媒回路を構成する各部材について、冷房運転時の冷媒の流れに沿って説明する。
【0020】
圧縮機2は、クラッチ(図示せず)によるエンジン3の駆動の断接により内部の回転体を駆動する構成としており、このクラッチは電磁クラッチより構成され、その断接は、図1に示す如く室外機1を運転制御するコントローラ25により制御されるようにしている。
【0021】
オイルセパレータ10は圧縮機2にて圧送された高温高圧の冷媒が最初に流入する容器であり、該オイルセパレータ10により、気体状の冷媒と、液体状の新冷媒用冷凍機油とを気液分離する。気体状の冷媒は四方弁8へ搬送され、液体状の新冷媒用冷凍機油は配管10aを介して圧縮機2の吸入口側へ搬送される。
オイルセパレータ10の底部には配管10aの一端が接続され、他端は主アキュムレータ出口配管84の中途部においてアキュムレータ出口配管開閉弁29よりも下流側(圧縮機2の吸入口に近い方)に接続される。従って、オイルセパレータ10にて冷媒と気液分離された冷凍機油は、主アキュムレータ出口配管84に流れ、再び圧縮機2へと供給されるようになっている。
【0022】
しかし、オイルセパレータ10での新冷媒用冷凍機油の回収率は100%とはならず、少量ではあるが冷媒とともに冷媒回路の下流側へ搬送されるものがある。
従って、後述する洗浄運転を継続していると、従来冷媒用の冷凍機油(洗浄運転により回収する)と、オイルセパレータ10により回収できずに冷媒回路へ搬送された一部の新冷媒用冷凍機油とが混合した状態で捕捉手段(アキュムレータ6)に捕捉される。すなわち、洗浄運転中にオイルセパレータ10よりも下流側の冷媒回路側へ搬送された分だけ、冷媒回路内の新冷媒用冷凍機油は減少する。よって、オイルタンク27から新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に補充する必要があるのである。
また、準備運転開始時には、圧縮機2内にある程度冷凍機油が封入されており、準備運転開始直後は圧縮機2の圧送口より冷凍機油が冷媒回路側へ流出するが、圧縮機2の吸入口側にすぐには冷凍機油が戻ってこないので、後述するオイルタンク27より冷凍機油を補充することが圧縮機2内部の潤滑の観点から見て有効である。
【0023】
続いて、四方弁8を通過した冷媒は冷房運転の場合、室外熱交換器5、第一膨張弁21を経てリキッドレシーバ7に流入する。リキッドレシーバ7は室外熱交換器5および第一膨張弁21を通過する過程で一部気体のまま送られ、また、冷媒量も変化するので、一時的に貯留して液が常に残留するようにして液化した冷媒を安定して膨張弁32へ送るためのものである。
【0024】
また、前記室外熱交換器5とリキッドレシーバ7とを接続する配管の中途部には、第一膨張弁21が設けられている。これは暖房時に冷媒を減圧させるためのものである。
一方、前記エンジン廃熱回収器4と、リキッドレシーバ7とを合流点45を介して通じさせる冷媒バイパス配管82の中途部には、第二膨張弁22が設けられている。
【0025】
リキッドレシーバ7を通過した気体状の冷媒は、第二開閉弁18を経て既設配管(又は新設配管)20内に流入し、室内機30・30・・・内の膨張弁32で減圧され熱交換器31で気化されて第一開閉弁17まで戻ってくる。室内機30・30・・・は、空調を必要とする建物内等に設置されるものであり、それぞれ室内熱交換器31、室内機ファン30f、室内熱交換器用膨張弁32等を備え、既設配管(又は新設配管)20に対して並列で接続される。
図1に示す如く、室内機30・30・・・は、既設配管(又は新設配管)20の一端と室外機1との間に第一開閉弁17および第二開閉弁18を介装しつつ接続し、既設配管(または新設配管)20の他端と室内機30・30・・・の配管とを接続することにより冷媒回路を形成し、該冷媒回路に新冷媒を循環させるとともに、後述するコントローラ25により四方弁8その他の制御を行うことで、循環回路内の冷媒の流路を変更し、暖房運転や冷房運転、洗浄運転などを行う構成としている。
尚、図1においては、二機の室内機30・30を設置した構成としているが、台数については、特に限定されるものではない。
【0026】
第一開閉弁17まで戻って来た冷媒は、四方弁8を経てエンジン廃熱回収器4内を通過後、アキュムレータ6内に流入する。
【0027】
以下では図1および図2に示す本発明の第一実施例におけるアキュムレータ6の詳細構成について説明する。
本発明の第一実施例のアキュムレータ6は、通常の冷房運転および暖房運転時において室内機30・30・・を経て戻ってきた冷媒を気液分離して、液化した状態の冷媒が圧縮機2の吸入口に供給されることにより発生する圧縮機2の破損や性能低下を防止するという本来の機能と、洗浄運転時に配管内残留物を気体状の冷媒と気液分離して捕捉する捕捉手段としての機能を兼ねている。
図1および図2に示す如く、アキュムレータ6は、容器40に、該容器40内部と連通する複数の配管が挿入された構成になっている。
アキュムレータ6に連通接続されている配管は、主に第一吸入管87、第二吸入管88、主アキュムレータ出口配管84(アキュムレータ6側端部にU字管83が接続されている)、副アキュムレータ出口配管85、および回収配管19である。
【0028】
第一吸入管87はその一端が四方弁8に接続され、エンジン廃熱回収器4を経て他端が容器40内の上部空間と連通しており、冷媒回路内を循環している冷媒をアキュムレータ6に搬送するための配管である。
【0029】
第二吸入管88は、その一端が接続点50にて第一開閉弁17と四方弁8とを接続する配管51の中途部に連通され、他端は容器40内の上部空間に連通されている。また、第二吸入管88の中途部には開閉弁49が設けられている。
【0030】
主アキュムレータ出口配管84は、アキュムレータ6と圧縮機2とを連通する配管であり、通常運転(冷房・暖房運転)時は液体状の冷媒を吸入せず、気体状の冷媒のみを圧縮機2側へ搬送し、かつ、アキュムレータ6底部に滞留した新冷媒用の冷凍機油(オイルセパレータ10により回収しきれずにアキュムレータ6まで搬送されたもの)を少量ずつ圧縮機2側へ戻すために、アキュムレータ6側端部はU字管83と接続されている。
【0031】
U字管83は略U字型に曲げられた配管であり、その一端は容器40内の上部空間にて冷媒吸入口43を開口している。またU字管83の他端は、容器40上面を貫通して容器40外に延出され、主アキュムレータ出口配管84の一端と接続される。こうして前記容器40内の上部空間と主アキュムレータ出口配管84とが連通される。
また、U字管83の底部壁面には油吸入孔24が穿設されており、通常運転時(暖房運転または冷房運転時など)にはアキュムレータ6の底部に滞留した新冷媒用の冷凍機油を圧縮機2の吸入側に搬送可能に構成される。
【0032】
副アキュムレータ出口配管85もまた、圧縮機2の吸入側とアキュムレータ6とを連通するための配管であり、副アキュムレータ出口配管85の一端は、容器40上面を貫通して容器40内に挿入され、容器40内の上部空間にて冷媒吸入口44を開口している。副アキュムレータ出口配管85の他端は接続点95にて主アキュムレータ出口配管84と連通接続される。そして、接続点95とU字管83との間において、主アキュムレータ出口配管84の中途部にはアキュムレータ出口配管開閉弁29が設けられている。
【0033】
このようにアキュムレータ6と圧縮機2との間で冷媒を搬送するアキュムレータ出口配管が二本(主アキュムレータ出口配管84と副アキュムレータ出口配管85)配設される理由は、前述の如く、アキュムレータ6が通常運転時と、洗浄運転時で機能が異なることと密接な関係がある。
すなわち、通常運転時にはアキュムレータ出口配管開閉弁29が開けられて、該アキュムレータ6にて冷媒は気液分離される。そして、主に主アキュムレータ出口配管84より気体冷媒のみが圧縮機2側へ戻される。さらに、アキュムレータ6底部に滞留する少量の新冷媒用の冷凍機油が少しずつ圧縮機2側へ回収される。
U字管83の形状は、以上の如く、気体状の冷媒と、少量の新冷媒用の冷凍機油とを選択的に圧縮機2側へ回収するためのものである。
このとき、配管の主アキュムレータ出口配管84の直径が副アキュムレータ出口配管85の直径よりも大きいことから、気体冷媒の大部分は主アキュムレータ出口配管84を通過して圧縮機2に戻される。
【0034】
一方、洗浄運転時にはアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられて、アキュムレータ6には、配管内残留物(新設・既設配管内の異物の総称)からなる液体成分が捕捉される。そして、気体冷媒のみが副アキュムレータ出口配管85から圧縮機2に搬送され、配管内残留物はアキュムレータ6内に確実に捕捉される。副アキュムレータ出口配管85のアキュムレータ6側の開口部である冷媒吸入口44はアキュムレータ6内空間上部で開口しており、冷媒吸入口44より副アキュムレータ出口配管85にアキュムレータ6で気液分離後の液体成分が流入することはない。
【0035】
次に、本発明の第一実施例におけるオイルタンク27の詳細構成について説明する。
図1および図2に示す如く、オイルタンク27は、略円柱形状の容器に、該容器内部と連通する複数の配管が挿入された構成になっている。
オイルタンク27は、準備運転時に新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給する供給タンクとしての機能と、準備運転後の洗浄運転時に、配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼ねるものである。
【0036】
オイルタンク27に連通接続されている配管は、主に回収配管19、ガス抜き配管86、オイル供給配管98である。
【0037】
回収配管19は、その一端19aがアキュムレータ6の容器40底面にて該容器40内と連通し、他端19bがオイルタンク27内の上部空間と連通している。
また、回収配管19の中途部には回収弁28が設けられている。
【0038】
ガス抜き配管86はその一端が接続点96にて副アキュムレータ出口配管85の中途部に連通され、他端はオイルタンク27内の上部空間に連通されている。また、ガス抜き配管86の中途部にはガス抜き弁94が設けられている。
【0039】
オイル供給配管98は、その一端が接続点97にて副アキュムレータ出口配管85の中途部に連通され、他端はオイルタンク27底部よりオイルタンク27内に貫挿されている。オイル供給配管98のオイルタンク27側の端部98aは閉塞されており、オイル供給配管98のオイルタンク27内に貫挿されている部分の管壁には、開口部98bが穿設されている。該開口部98bの大きさはオイル供給配管98の内径よりも小さくなるように構成される。
また、オイル供給配管98の中途部にはオイル供給弁99が設けられている。
【0040】
そして、副アキュムレータ出口配管85とオイル供給配管98との接続点97は、副アキュムレータ出口配管85とガス抜き配管86との接続点96よりも副アキュムレータ出口配管85上において下流側(圧縮機2の吸入口に近い側)に設けられる。
また、副アキュムレータ出口配管85中途部において、前記接続点97と接続点96とに挟まれる部位には、絞り部(オリフィス部)68が設けられ、接続点97と接続点96との間に生じる差圧を大きくしている。
【0041】
また、オイルタンク27の底面には外部排出弁89が設けられている。
【0042】
以上の如くオイルタンク27を構成することは、以下の如き利点を有する。
すなわち、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力をP0、接続点96での気体冷媒の圧力をP1、接続点97での気体冷媒の圧力をP2とすると、圧縮機2が作動しているときには、P0>P1>P2が成立している。
従って、回収弁28、ガス抜き弁94、およびオイル供給弁99の開閉の組み合わせにより、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力(P0)、接続点96での気体冷媒の圧力(P1)、接続点97での気体冷媒の圧力(P2)の差(差圧)を利用して種々の圧送経路を構成することが可能である。
【0043】
具体的には、▲1▼回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」や、▲2▼回収弁28を「閉」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル低速供給モード」や、▲3▼回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の三つの配管経路を形成することが可能である。
【0044】
続いて、第一実施例のアキュムレータ6、オイルタンク27、およびこれらと室外機1を構成する他の部材とを接続する冷媒回路を用いた「準備運転方法」と、「洗浄運転方法」と、準備運転時および洗浄運転時に行われる冷媒回路への新冷媒用の「冷凍機油供給方法」と、該洗浄運転時に行われる「配管内残留物の回収方法」について、図1および図2を用いて説明する。
【0045】
図1および図2に示す第一実施例の場合、既設配管(または新設配管)20に第一開閉弁17および第二開閉弁18を介して接続されたとき、圧縮機2の潤滑を行う新冷媒用の冷凍機油の補充分は、オイルタンク27内に予め封入されている。
【0046】
以下では、第一実施例における「準備運転方法」について説明する。
既設配管または新設配管に室外機1、室内機30・30・・・を接続後、まず行うのが「準備運転」である。
「準備運転」は、既設配管(または新設配管)20に冷媒を循環させずに、室外機1の内部だけで冷媒を循環させて、アキュムレータ6やエンジン廃熱回収器4、オイルタンク27等を通常運転時と略同じ温度まで昇温し、以後の洗浄運転等を効率よく行うために実施される。
【0047】
本実施例の場合は、圧縮機2へのエンジン3の駆動力の伝達・遮断を行うクラッチを「切」の状態にして、エンジン3を駆動させるとともに、エンジン3の冷却水を、エンジン廃熱回収器4の温度が「所定の温度」となるまでエンジン廃熱回収器4に循環させる。この「所定の温度」とは、エンジン廃熱回収器4内を貫通する冷媒回路を冷媒が通過したときに、冷媒が気化するのに十分な温度を指す。
【0048】
次に、四方弁8を冷房側に切り替え、第一膨張弁21および第二膨張弁22を開け、第一開閉弁17および第二開閉弁18を閉じる。そして、前記クラッチを「入」の状態にして、圧縮機2を駆動し、冷媒回路内に冷媒を循環させる。
冷媒は、圧縮機2、オイルセパレータ10、四方弁8、室外熱交換器5、第一膨張弁21、リキッドレシーバ7、第二膨張弁22、冷媒バイパス配管82、合流点45、エンジン廃熱回収器4、第一吸入管87を経てアキュムレータ6内に流入する。そして、アキュムレータ6から副アキュムレータ出口配管85を経て圧縮機2に気体状の冷媒が戻される(このとき、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29は閉じられている)。
【0049】
なお、準備運転における室外機1内の冷媒流路は、四方弁8から冷房側に冷媒を流す構成としたが、例えば四方弁8から暖房側に冷媒を流し、開閉弁49を開け、第二吸入管88からアキュムレータ6に冷媒を流入させても良く、本実施例に限定されない。
【0050】
続いて、上記準備運転時に行われる「冷凍機油供給方法」について説明する。図1および図2に示す第一実施例においては、冷凍機油の冷媒回路への供給は準備運転、または後述の洗浄運転と並行して行われる。
「冷凍機油供給方法」は第一実施例においては二種類あり、以下ではそれぞれ「高速供給方法」、「低速供給方法」と呼ぶこととする。
【0051】
「高速供給方法」の場合、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路は、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられた状態で、回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」の状態となっている。
従って、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒の大部分は、副アキュムレータ出口配管85、接続点95以降(冷媒回路下流側)の主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2の吸入口に戻る。
一方、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒の一部は、アキュムレータ6と接続点97との間に生じる差圧(P0−P2)により、回収配管19を経てオイルタンク27の上部に流入する。そして、オイルタンク27内に封入されていた新冷媒用の冷凍機油は、オイル供給配管98を経て冷媒回路に供給される。
【0052】
「オイル高速供給モード」における新冷媒用冷凍機油を搬送する駆動力は、アキュムレータ6と接続点97との間に生じる差圧(P0−P2)であり、該差圧は圧縮機2の駆動により生じるため新たな駆動源を必要としない。
また、該差圧(P0−P2)の大きさは、オリフィス部68の形状、副アキュムレータ出口配管85の内径および長さ、オイル供給配管98の内径および長さ、等により調節可能である。
【0053】
「低速供給方法」の場合、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路は、前記「オイル高速供給モード」だけではなく、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられた状態で、回収弁28を「閉」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル低速供給モード」の状態となっている。
このとき、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒は、副アキュムレータ出口配管85、接続点95以降(冷媒回路下流側)の主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2の吸入口に戻る。
また、副アキュムレータ出口配管85内を通過する気体状の冷媒の一部は、接続点96と接続点97との間に生じる差圧(P1−P2)により、接続点96よりガス抜き配管86を経てオイルタンク27の上部に流入し、オイルタンク27内に封入されていた新冷媒用の冷凍機油は、オイル供給配管98を経て冷媒回路に供給される。
【0054】
「オイル低速供給モード」における新冷媒用冷凍機油を搬送する駆動力は、接続点96と接続点97との間に生じる差圧(P1−P2)であり、該差圧は圧縮機2の駆動により生じるため新たな駆動源を必要としない。
また、該差圧(P1−P2)の大きさは、オリフィス部68の形状、副アキュムレータ出口配管85の内径および長さ、ガス抜き配管86の内径および長さ、オイル供給配管98の内径および長さ、等により調節可能である。
【0055】
このように、本実施例の室外機においては、準備運転時において、オイルタンク27から冷媒回路への冷凍機油の供給速度を「高速供給方法」と「低速供給方法」を用いて二種類に切り替えることが可能であり、装置の容量や使用環境(室外温度)等の変化に応じて適当な冷凍機油の供給速度を選択することが可能である。
【0056】
「高速供給モード」は、アキュムレータ6内の圧力P0と接続点97の圧力P2との差圧(P0−P2)でオイルタンク27内の冷凍機油を冷媒回路に供給する。従って、接続点96の圧力P1と接続点97の圧力P2との差圧(P1−P2)でオイルタンク27内の冷凍機油を冷媒回路に供給する「低速供給モード」と比較して、冷凍機油を短時間で圧縮機2に供給することが可能であり、準備運転の時間短縮(ひいては施工時間の短縮)という観点から見て優れている。
ただし、気体状の冷媒は回収配管19を通じてオイルタンク27内上部空間に搬送されることから、後述の洗浄運転時においては「高速供給モード」を併用することができない。
【0057】
続いて、「洗浄運転方法」および「配管内残留物の回収方法」について説明する。
準備運転後、次に行われるのが「洗浄運転」である。洗浄運転は、新冷媒(および新冷媒内に少量混入した新冷媒用の冷凍機油との混合物)を既設配管(または新設配管)20内に循環させ、配管内残留物を洗い流し、捕捉手段であるアキュムレータ6に一時捕捉するものである。
【0058】
このとき、「配管内残留物回収」も並行して行われる。すなわち、準備運転開始前には新冷媒用の冷凍機油が封入され、準備運転時に冷媒回路に該冷凍機油を供給するオイルタンク27を、今度は配管内残留物を回収する回収容器として利用するものである。
【0059】
以下では、第一実施例における洗浄運転を示す。
準備運転から引き続き圧縮機2へのエンジン3の駆動力の伝達・遮断を行うクラッチを「入」の状態として、エンジン3を駆動させておく。そして、四方弁8は冷房側のままとし、第一膨張弁21および第二膨張弁22は開いた状態としておく。そして、第一開閉弁17および第二開閉弁18を開く。
【0060】
冷媒は、圧縮機2、オイルセパレータ10、四方弁8、室外熱交換器5、第一膨張弁21、リキッドレシーバ7、第二開閉弁18を経て既設配管(または新設配管)20に流入し、該既設配管(または新設配管)20および室内機30・30・・・内部配管に付着・残留した配管内残留物を冷媒回路の下流側へと押し流す。
【0061】
冷媒および配管内残留物が混合したものは、第一開閉弁17、接続点50、四方弁8を経てエンジン廃熱回収器4内で冷媒の気化が促進され、第一吸入管87よりアキュムレータ6内に流入する。そして、該アキュムレータ6にて気体状の冷媒と、配管内残留物とが気液分離され、冷媒は副アキュムレータ出口配管85を経て圧縮機2に戻され、配管内残留物はアキュムレータ6の底部に確実に捕捉される。
【0062】
続いて「配管内残留物回収」をおこなうためのアキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒経路の構成について説明する。
アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路は、主アキュムレータ出口配管84の中途部に設けられたアキュムレータ出口配管開閉弁29が閉じられた状態で、回収弁28を「開」、ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の状態となっている。
【0063】
従って、アキュムレータ6に流入した冷媒は、副アキュムレータ出口配管85、接続点95以降(冷媒回路下流側)の主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2の吸入口に戻る。
【0064】
一方、アキュムレータ6底部に捕捉された配管内残留物は、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒の圧力(P0)と、接続点96での冷媒の圧力(P1)との差圧(P0−P1)により、回収配管19を経てオイルタンク27に回収される。そして、オイルタンク27内にあった冷媒は、ガス抜き配管86を経て副アキュムレータ出口配管85に戻される。
【0065】
また、上述の説明は洗浄運転中に配管内残留物のオイルタンクへ27への回収作業を常時並行して行うものであるが、このような運転方法には限定されず、例えば、洗浄運転の前半は「オイル低速供給モード」とし、洗浄運転の後半は「配管内残留物回収モード」とする運転方法も考えられる。
このような運転方法を用いることにより、洗浄運転時に、新冷媒用冷凍機油の一部がオイルセパレータ10で回収しきれずに冷媒回路下流に搬送され、アキュムレータ6に配管内残留物等とともに捕捉されることによる冷媒回路内の新冷媒用冷凍機油の減少分を洗浄運転前半の「オイル低速供給モード」で補充することが可能である。
【0066】
また、図1および図2に示す如く、本発明の第一実施例においては、回収配管19のアキュムレータ6側の端部19aと、電磁式のソレノイドバルブである回収弁28との間に、手動式のボールバルブである手動回収弁53が設けられている。同様に、ガス抜き配管86の接続点96と、電磁式のソレノイドバルブであるガス抜き弁94との間に手動式のボールバルブである手動ガス抜き弁54が設けられている。同様に、オイル供給配管98の接続点97と、電磁式のソレノイドバルブであるオイル供給弁99との間に手動オイル供給弁55、がそれぞれ設けられている。
さらに、アキュムレータ出口配管開閉弁29も手動式のボールバルブで構成されている。
【0067】
このように、アキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒配管の各所に手動式のボールバルブを設ける理由は、室外機1の容量等によっては、電磁式のソレノイドバルブのみでは通常運転時の密閉性が十分に確保することができない場合があることによる。従って、密閉性が保持される場合であれば、別の形式の手動式バルブでも良く、あるいは電磁式のバルブのみで冷媒回路を構成しても良い。
【0068】
本発明の第一実施例においては、準備運転開始時点では、手動にてアキュムレータ出口配管開閉弁29を「閉」、手動回収弁53を「開」、手動ガス抜き弁54を「開」、手動オイル供給弁55を「開」としておき、準備運転および洗浄運転中は、電磁式のソレノイドバルブである回収弁28、ガス抜き弁94、オイル供給弁99の開閉を後述するコントローラ25により制御して、「オイル高速供給モード」や、「オイル低速供給モード」や、「配管内残留物回収モード」の三つの配管経路の切り替えを行う。
【0069】
そして、洗浄運転が終了した時点で、アキュムレータ出口配管開閉弁29を「開」、手動回収弁53を「閉」、手動ガス抜き弁54を「閉」、手動オイル供給弁55を「閉」とすることにより、オイルタンク27とアキュムレータ6との間(回収配管19)、およびオイルタンク27と副アキュムレータ出口配管85との間(ガス抜き配管86、オイル供給配管98)の配管を電磁式ソレノイドバルブと比較して密閉性の高い手動式のボールバルブで閉塞し、オイルタンク27内に回収された配管内残留物が通常運転時に冷媒回路内に誤って流入することを防止することが可能である。
なお、室外機の容量等により、電磁式のソレノイドバルブのみでも通常運転時に必要な密閉性が確保可能な場合は、手動式のボールバルブを省略しても良い。
【0070】
以上の準備運転、冷凍機油供給、洗浄運転、オイルタンク27への残留物の回収等は、図1および図3に示すコントローラ25により各開閉弁の開閉等が制御される。
【0071】
図3は、本実施例の空気調和システムの一実施例である室外機1の運転を制御する制御装置と、作動装置類の構成を示すものである。
制御装置であるコントローラ25は、電磁弁などからなる第一膨張弁21、第二膨張弁22、回収弁28、ガス抜き弁94、オイル供給弁99、室内熱交換器用膨張弁32、冷却水三方弁12と接続され、これらの弁の開閉制御を行い、更には、冷却水ポンプ14のON・OFF、エンジン3の回転数の制御、前記四方弁8の流路切換や、前記エンジン3と圧縮機2との間の駆動力の伝達・遮断を行うクラッチの制御などを行う構成としている。
【0072】
以上の如く、準備運転、洗浄運転を行った後に、通常運転(暖房・冷房運転)を行う。
【0073】
図1および図2に示す本発明の空気調和システムの第一実施例において行う暖房運転について説明する。
図1に示す如く、圧縮機2により圧縮された冷媒は、高温高圧過熱蒸気の状態として、オイルセパレータ10および暖房方向に切換えられた四方弁8を経由して、第一開閉弁17より既設配管(または新設配管)20内を通って室内熱交換器31・31へ送出される。室内熱交換器31・31においては、高温高圧過熱蒸気状態の冷媒から室内空気に熱が放出され冷媒は凝縮されて気体から液体に変化する。この熱放出により室内の暖房が行われる。
【0074】
冷媒は、第二開閉弁18を通過して室外機1内へ戻り、リキッドレシーバ7を経由した後、第一膨張弁21・21にて急激に膨張して、外気温よりも低温となり、室外熱交換器5を通過する間に、外気より熱を得て冷媒は液体から気体に変化する。
そして、冷媒は、四方弁8を経由し、エンジン廃熱回収器4にてエンジン3の冷却水から熱を得てさらに高温となり、ガス冷媒となってアキュムレータ6に流入し、圧縮機2に吸入される。
上述の如く冷媒回路内に冷媒を循環させることにより、暖房運転を行う。
【0075】
続いて、図1および図2に示す本発明の空気調和システムの第一実施例において行う冷房運転について説明する。
図1に示す如く、圧縮機2により圧縮された冷媒は、高温高圧過飽和蒸気の冷媒となり、オイルセパレータ10、冷房方向に切換えられた四方弁8を経由して室外熱交換器5に圧送される。このとき、室外熱交換器5を構成するフィンの表面には、室外ファン5fにより外気が強制的に吹きつけられており、冷媒は室外熱交換器5のフィンを通過する間に、外気に熱を放出して温度が低下し、冷媒は気体から液体に変化する。
【0076】
室外熱交換器5にて外気に熱を放出した冷媒は、一部液化した冷媒がリキッドレシーバ7にて気液分離された後、第二開閉弁18に接続された既設配管(または新設配管)20内を通って、室内機30・30・・・へ送られる。
それぞれの室内機30・30においては、室内熱交換器用膨張弁32にて減圧されることにより冷媒が蒸発し易い状態となる。そして、室内熱交換器31内を通過する間に、室内機ファン30f・30fにより室内熱交換器31・31のフィンの表面に吹き付けられる室内空気から蒸発熱を吸収して冷媒は液体から気体に変化する。このようにして室内空気は冷媒に熱を奪われ、冷風として室内に送風されることにより室内の冷房を行う。
その後、室内熱交換器31・31にて室内空気から熱を吸収した冷媒が、既設配管(または新設配管)20、第一開閉弁17を経て四方弁8を経由し、エンジン廃熱回収器4にてエンジン3の冷却水から熱を得てさらに高温となり、ガス冷媒となってアキュムレータ6に流入し、圧縮機2に吸入される。
上述の如く冷媒回路内に冷媒を循環させることにより、冷房運転を行う。
【0077】
以上の如く、本発明の空気調和システムにおいては、既設配管または新設配管内を洗浄する機能を備え、かつ、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンクとしての機能と、配管内残留物(従来冷媒用の冷凍機油や、配管材料の酸化膜その他、既設・新設配管内の異物)を回収する回収容器としての機能とを兼備するオイルタンク27を備えているにもかかわらず、新たな駆動源を設けることなく、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧を利用してアキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給を可能としている。
従って、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンク、および配管内残留物を回収する回収容器を別体とする必要が無く、室外機の小型化、省スペース化を図ることが可能である。
また、圧縮機2により冷媒回路に生じる差圧は、オリフィス部を形成したり、冷媒配管の内径や長さを変えることにより適宜調整することが可能であり、オイルタンクを室外機1内のどこに配設しても、アキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給が可能である。よって、オイルタンクの配設位置の自由度が高く、設計が容易である。
【0078】
続いて、図4を用いて、本発明の空気調和システムの第二実施例について説明する。
本発明の空気調和システムの第二実施例は、圧縮機2の圧送口から室内機30・30・・・を経てアキュムレータ6までの冷媒回路の構成は、前記第一実施例と略同じであり、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路の構成が第一実施例と異なる。
【0079】
すなわち、本発明の第二実施例では、オイル供給配管98の手動オイル供給弁55と、電磁式のソレノイドバルブであるオイル供給弁99との間に合流点56を設け、該合流点56にガス抜き配管86の一端を連通接続したものである。
言い換えれば、オイルタンク27内上部空間に一端が連通接続されるガス抜き配管86と、オイルタンク27内下部空間に一端が連通接続されるオイル供給配管98とが合流点56にて合流し、アキュムレータ6と圧縮機2とを連通する副アキュムレータ出口配管85の中途部に連通接続されるものである。
【0080】
このように構成することにより、第一実施例における手動ガス抜き弁54、および回収弁28を省略し、製造コストの削減を行うことが可能である。
【0081】
本発明の第二実施例においては、ガス抜き弁94、およびオイル供給弁99の開閉の組み合わせにより、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力(P0)、接続点97での気体冷媒の圧力(P3)の差(差圧)を利用して二種類の圧送経路を構成することが可能である。
なお、圧縮機2が駆動しているときには、P0>P3が成立している。
【0082】
具体的には、▲1▼ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」と、▲2▼ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の二つの配管経路を形成することが可能である。
【0083】
そして、準備運転中および洗浄運転中は、手動にて、アキュムレータ出口配管開閉弁29を「閉」、手動回収弁53を「開」、手動オイル供給弁55を「開」とし、通常運転時には、アキュムレータ出口配管開閉弁29を「開」、手動回収弁53を「閉」、手動オイル供給弁55を「閉」とする。
【0084】
なお、電磁式のソレノイドバルブである回収弁28が省略可能となる理由は、本発明の第二実施例における「オイル高速供給モード」および「配管内残留物回収モード」はいずれも回収配管19を通じてアキュムレータ6より気体状冷媒または配管内残留物をオイルタンク27に圧送するため、準備運転中および洗浄運転中は回収配管19を閉塞せずに使用することによる。
【0085】
続いて、図5を用いて、本発明の空気調和システムの第三実施例について説明する。
本発明の空気調和システムの第三実施例は、圧縮機2の圧送口から室内機30・30・・・を経てアキュムレータ6までの冷媒回路の構成は、前記第一実施例と略同じであり、アキュムレータ6から圧縮機2の吸入口までの冷媒回路の構成が第一実施例および第二実施例と異なる。
【0086】
すなわち、第一実施例と比較すると本発明の第三実施例では、アキュムレータ6内のU字管83および副アキュムレータ出口配管85が省略され、主アキュムレータ出口配管84のアキュムレータ6側の端部はアキュムレータ6内上部空間と連通している。ガス抜き配管86の一端は、接続点196にて主アキュムレータ出口配管84の中途部と連通接続され、オイル供給配管98の一端は、前記接続点196よりも下流側の接続点197にて主アキュムレータ出口配管84の中途部と連通接続される。前記接続点197にはオリフィス部(絞り部)197aが形成される。
また、オイル供給配管98における接続点197と手動オイル供給弁55との間のバイパス点57と、回収配管19におけるアキュムレータ6側の端部19aと手動回収弁53との間のバイパス点58と、を連通接続するバイパス配管59を設け、該バイパス配管59の中途部にバイパス弁71を設けた。
【0087】
図1および図2に示す第一実施例におけるU字管83は、図5に示す第三実施例においては、回収配管19のアキュムレータ6側の端部19aからバイパス点58、バイパス配管59、バイパス点57を経て接続点197までの冷媒配管が同様の効果を奏する。また、第一実施例におけるU字管83の下端部管壁に穿設される油吸入孔24は、第三実施例においては、オリフィス部197aが同様の効果を奏する。
【0088】
このように構成することにより、アキュムレータ6内のU字管83や副アキュムレータ出口配管85を省略し(厳密には、アキュムレータ6の外部に同様の効果を奏する機構を設ける)、アキュムレータ6の構造を簡略化することが可能であり、組み立て時の作業性が向上する。
また、第一実施例では、アキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒配管に設けられる弁の数は計七個(アキュムレータ出口配管開閉弁29、回収弁28、ガス抜き弁94、オイル供給弁99、手動回収弁53、手動ガス抜き弁54、手動オイル供給弁55)であるのに対して、第三実施例ではアキュムレータ6から圧縮機2までの冷媒配管に設けられる弁の数は計六個(ガス抜き弁94、オイル供給弁99、手動回収弁53、手動ガス抜き弁54、手動オイル供給弁55、バイパス弁71)であり、弁の数を削減して製造コストを抑えることが可能である。
【0089】
本発明の第三実施例においては、ガス抜き弁94、およびオイル供給弁99の開閉の組み合わせにより、アキュムレータ6内空間の気体冷媒の圧力(P0)、接続点196での気体冷媒の圧力(P4)、接続点197での気体冷媒の圧力(P5)の差(差圧)を利用して二種類の圧送経路を構成することが可能である。なお、圧縮機2が駆動しているときには、P0>P4>P5が成立している。
【0090】
具体的には、▲1▼ガス抜き弁94を「閉」、オイル供給弁99を「開」とする「オイル高速供給モード」と、▲2▼ガス抜き弁94を「開」、オイル供給弁99を「閉」とする「配管内残留物回収モード」の二つの配管経路を形成することが可能である。
【0091】
そして、準備運転中および洗浄運転中は、手動にて、手動回収弁53を「開」、手動ガス抜き弁54を「開」、手動オイル供給弁55を「開」、バイパス弁71を「閉」とし、通常運転時には、手動回収弁53を「閉」、手動ガス抜き弁54を「閉」、手動オイル供給弁55を「閉」、バイパス弁71を「開」とする。
【0092】
このように構成することにより、図5に示す第三実施例では、通常運転時は、オイルセパレータ10にて回収しきれずにアキュムレータ6まで搬送されてきた新冷媒用の冷凍機油は、回収配管19のアキュムレータ6側の端部19aからバイパス点58、バイパス配管59、バイパス点57を経て接続点197までの冷媒配管により、圧縮機2に戻される。また、アキュムレータ6に流入した気体状の冷媒は主アキュムレータ出口配管84を経て圧縮機2に戻される。
すなわち、気体状の冷媒が戻る経路と、新冷媒用の冷凍機油が戻る経路とが分けられており、U字管83を設ける必要がないので、該U字管83による圧力損失を抑え、性能向上を図ることが可能である。
【0093】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0094】
即ち、請求項1に示す如く、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、該オイルタンクの上部とアキュムレータ下部とを回収配管で連通し、前記アキュムレータの上部と圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部に、オイルタンクの上部と下部とをそれぞれガス抜き配管とオイル供給配管の二本の配管で並列に連通するとともに、二本の配管に挟まれたアキュムレータ出口配管に差圧付与手段を設けたので、圧縮機の駆動により冷媒回路に差圧を生じさせることができ、新たな駆動源を設けることなく、この差圧を利用して、アキュムレータからオイルタンクへ、およびオイルタンクから圧縮機へ、冷媒、冷凍機油、および新設配管または既設配管内の残留物、を搬送する回路を容易に構成することができ、アキュムレータから圧縮機の吸入口までの冷媒回路に設けられる弁の数を削減し、製造コストを抑えることが可能である。また、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンク、および配管内残留物を回収する回収容器を別体とする必要が無く、室外機の小型化、省スペース化を図ることが可能である。
また、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧は、オリフィス部を形成したり、冷媒配管の内径や長さを変えることにより適宜調整することが可能であり、オイルタンクを室外機内のどこに配設しても、アキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給が可能である。
よって、オイルタンクの配設位置の自由度が高く、設計が容易である。
【0095】
請求項2に示す如く、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、一端がオイルタンクの上部と連通されるガス抜き配管と、一端がオイルタンクの下部に連通されるオイル供給配管とが途中で合流して、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管に連通するので、新たな駆動源を設けることなく、アキュムレータからオイルタンクへ、およびオイルタンクから圧縮機へ、冷媒、冷凍機油、および新設配管または既設配管内の残留物、を搬送することができる。
また、アキュムレータから圧縮機の吸入口までの冷媒回路に設けられる弁の数を削減し、製造コストを抑えることが可能である。
【0096】
請求項3に示す如く、圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部と、オイルタンクの下部に一端が連通されるオイル供給配管の他端と、の連通部にはオリフィス部が設けられるとともに、アキュムレータの下部とオイルタンクの上部とを連通する回収配管の中途部と、オイル供給配管の中途部と、をバイパス配管にて連通したので、新たな駆動源を設けることなく、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧を利用してアキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給を可能としている。
従って、新冷媒用の冷凍機油を冷媒回路に供給するための供給タンク、および配管内残留物を回収する回収容器を別体とする必要が無く、室外機の小型化、省スペース化を図ることが可能である。
また、圧縮機により冷媒回路に生じる差圧は、オリフィス部を形成したり、冷媒配管の内径や長さを変えることにより適宜調整することが可能であり、オイルタンクを室外機内のどこに配設しても、アキュムレータからオイルタンクへの配管内残留物の搬送、およびオイルタンクから圧縮機への新冷媒用冷凍機油の供給が可能であり、オイルタンクの配設位置の自由度が高く、設計が容易である。
さらに、アキュムレータ内のU字管を省略し、アキュムレータの構造を簡略化することが可能であり、組み立て時の作業性が向上する。
また、アキュムレータから圧縮機の吸入口までの冷媒回路に設けられる弁の数を削減し、製造コストを抑えることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の空気調和システムの第一実施例における冷媒回路図。
【図2】本発明の空気調和システムの第一実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図。
【図3】本発明の空気調和システムの第一実施例における制御機器類のブロック図。
【図4】本発明の空気調和システムの第二実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図。
【図5】本発明の空気調和システムの第三実施例におけるアキュムレータとオイルタンクの模式図。
【符号の説明】
1 室外機
2 圧縮機
6 アキュムレータ
19 回収配管
27 オイルタンク
28 回収弁
59 バイパス配管
84 主アキュムレータ出口配管
85 副アキュムレータ出口配管
86 ガス抜き配管
94 ガス抜き弁
98 オイル供給配管
99 オイル供給弁
197a オリフィス部
Claims (3)
- 圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、
該オイルタンクの上部とアキュムレータ下部とを回収配管で連通し、前記アキュムレータの上部と圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部に、オイルタンクの上部と下部とをそれぞれガス抜き配管とオイル供給配管の二本の配管で並列に連通するとともに、二本の配管に挟まれたアキュムレータ出口配管に差圧付与手段を設けたことを特徴とする空気調和システム。 - 圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、
一端がオイルタンクの上部と連通されるガス抜き配管と、一端がオイルタンクの下部に連通されるオイル供給配管とが途中で合流して、アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管に連通することを特徴とする空気調和システム。 - 圧縮機とアキュムレータとを備え、オイルタンクから冷凍機油を供給、またはオイルタンクに配管内の残留物を回収するようにした空気調和システムであって、
アキュムレータと圧縮機とを連通するアキュムレータ出口配管の中途部と、オイルタンクの下部に一端が連通されるオイル供給配管の他端と、の連通部にはオリフィス部が設けられるとともに、
アキュムレータの下部とオイルタンクの上部とを連通する回収配管の中途部と、オイル供給配管の中途部と、をバイパス配管にて連通したことを特徴とする空気調和システム。
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