上述のように、上記特許文献1に開示された冷凍装置では、冷媒回路内に、既設の連絡配管である第1及び第2の接続配管の洗浄効果を高めるための添加剤が注入された添加剤注入装置が設けられている。ところが、上記添加剤注入装置は、冷凍装置の設置直後に行われる洗浄運転時にだけ用いられるものであり、洗浄運転終了後の通常運転時に二度と用いられることはない。つまり、通常運転時には、添加剤注入装置内を冷媒が通過するのみとなっている。このため、洗浄運転終了後の通常運転時において、冷媒回路内を流れる冷媒がこの添加剤注入装置へ流入出することによって圧力損失を生じ、冷凍装置の成績係数(COP)が低下するという問題があった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、既設配管の洗浄動作を行う冷凍装置において、冷媒の圧力損失を低減し、冷凍装置の成績係数(COP)を向上させることにある。
第1の発明は、圧縮機(21)と熱源側熱交換器(24)とが設けられて既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を介して利用側熱交換器(33)に接続される熱源側回路(11)と、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吸入側に設けられてガス冷媒から分離した冷凍機油を貯留する回収容器(40)とを備え、上記圧縮機(21)を運転して上記既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油を上記回収容器(40)へ回収する洗浄動作を行う冷凍装置を対象としている。そして、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吐出側には該圧縮機(21)の吐出冷媒から冷凍機油を分離する油分離器(22)が設けられる一方、上記圧縮機(21)には上記旧冷媒用の冷凍機油に溶解する新冷媒用の冷凍機油が貯留され、上記圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油を上記熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ上記洗浄動作中に供給する給油機構(1)を備え、給油機構(1)は、圧縮機(21)から吐出された新冷媒用の冷凍機油を油分離器(22)の下流側へ供給するように構成され、給油機構(1)は、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油を該圧縮機(21)へ戻すための油戻し管(22a)に設けられて洗浄動作中に閉鎖される開閉弁(71)を備えるものである。
第2の発明は、圧縮機(21)と熱源側熱交換器(24)とが設けられて既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を介して利用側熱交換器(33)に接続される熱源側回路(11)と、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吸入側に設けられてガス冷媒から分離した冷凍機油を貯留する回収容器(40)とを備え、上記圧縮機(21)を運転して上記既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油を上記回収容器(40)へ回収する洗浄動作を行う冷凍装置を対象としている。そして、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吐出側には該圧縮機(21)の吐出冷媒から冷凍機油を分離する油分離器(22)が設けられる一方、上記圧縮機(21)には上記旧冷媒用の冷凍機油に溶解する新冷媒用の冷凍機油が貯留され、上記圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油を上記熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ上記洗浄動作中に供給する給油機構(1)を備え、給油機構(1)は、圧縮機(21)から吐出された新冷媒用の冷凍機油を油分離器(22)の下流側へ供給するように構成され、洗浄動作中には、上記液側連絡管(A)を熱源側回路(11)から利用側熱交換器(33)へ向けて冷媒が流通する一方、給油機構(1)は、熱源側回路(11)における圧縮機(21)と油分離器(22)との間に一端が、熱源側回路(11)の端部のうち液側連絡管(A)が接続される方に他端がそれぞれ接続されるバイパス管(62)と、該バイパス管(62)に設けられて洗浄動作中に開放される開閉弁(72)とを備えるものである。
第3の発明は、圧縮機(21)と熱源側熱交換器(24)とが設けられて既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を介して利用側熱交換器(33)に接続される熱源側回路(11)と、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吸入側に設けられてガス冷媒から分離した冷凍機油を貯留する回収容器(40)とを備え、上記圧縮機(21)を運転して上記既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油を上記回収容器(40)へ回収する洗浄動作を行う冷凍装置を対象としている。そして、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吐出側には該圧縮機(21)の吐出冷媒から冷凍機油を分離する油分離器(22)が設けられる一方、上記圧縮機(21)には上記旧冷媒用の冷凍機油に溶解する新冷媒用の冷凍機油が貯留され、上記圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油を上記熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ上記洗浄動作中に供給する給油機構(1)を備え、給油機構(1)は、圧縮機(21)に接続して該圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油を熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ供給するための給油管(63,64)と、該給油管(63,64)に設けられて洗浄動作中に開放される給油弁(73,74)とを備えるものである。
第4の発明は、第3の発明において、給油管(63)は、熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側に接続されるものである。
第5の発明は、第3の発明において、洗浄動作中には、上記液側連絡管(A)を熱源側回路(11)から利用側熱交換器(33)へ向けて冷媒が流通する一方、給油管(64)は、熱源側回路(11)の端部のうち液側連絡管(A)が接続される方に接続されてるものである。
第6の発明は、圧縮機(21)と熱源側熱交換器(24)とが設けられて既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を介して利用側熱交換器(33)に接続される熱源側回路(11)と、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吸入側に設けられてガス冷媒から分離した冷凍機油を貯留する回収容器(40)とを備え、上記圧縮機(21)を運転して上記既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油を上記回収容器(40)へ回収する洗浄動作を行う冷凍装置を対象としている。そして、上記熱源側回路(11)における圧縮機(21)の吐出側には該圧縮機(21)の吐出冷媒から冷凍機油を分離する油分離器(22)が設けられる一方、上記圧縮機(21)には上記旧冷媒用の冷凍機油に溶解する新冷媒用の冷凍機油が貯留され、上記圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油を上記熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ上記洗浄動作中に供給する給油機構(1)を備え、給油機構(1)は、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油を熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ供給するように構成されるものである。
第7の発明は、第6の発明において、洗浄動作中には、上記液側連絡管(A)を熱源側回路(11)から利用側熱交換器(33)へ向けて冷媒が流通する一方、給油機構(1)は、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油を該圧縮機(21)へ戻すための油戻し管(22a)に一端が、熱源側回路(11)の端部のうち液側連絡管(A)が接続される方に他端がそれぞれ接続されるバイパス管(65)と、該バイパス管(65)に設けられて洗浄動作中に開放される開閉弁(75)とを備えるものである。
−作用−
上記第1乃至7の各発明では、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を介して熱源側回路(11)が利用側熱交換器(33)に接続される。既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を洗浄する洗浄動作中には、熱源側回路(11)の圧縮機(21)が運転され、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を冷媒が流れる。また、洗浄動作中において、圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油は、熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ給油機構(1)によって供給される。
この発明において、洗浄動作中の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)では、新冷媒用の冷凍機油が圧縮機(21)から吐出された冷媒と共に流通する。既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油には、新冷媒が溶解して粘度の低下した新冷媒用の冷凍機油が溶け込む。旧冷媒用の冷凍機油と新冷媒用の冷凍機油との混合物は、その粘度が旧冷媒用の冷凍機油の粘度よりも低くなる。つまり、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油は、新冷媒用の冷凍機油と混ざり合うことで流動しやすくなる。
そして、旧冷媒用の冷凍機油と新冷媒用の冷凍機油との混合物は、配管内を流れて回収容器(40)へ流入し、ガス冷媒から分離されて回収容器(40)内に貯留される。洗浄動作中には、このようにして旧冷媒用の冷凍機油が回収容器(40)へ回収され、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)から旧冷媒用の冷凍機油が除去される。
上記第1、2の各発明において、圧縮機(21)の吐出冷媒には、新冷媒用の冷凍機油が混じっている。そこで、給油機構(1)は、新冷媒用の冷凍機油の混入した吐出冷媒を油分離器(22)の下流側へ供給する。油分離器(22)の下流側へ送られた新冷媒用の冷凍機油は、熱源側回路(11)を流れ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ流入する。
上記第1の発明では、給油機構(1)に開閉弁(71)が設けられる。洗浄動作中にこの開閉弁(71)を閉じると、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油は、油戻し管(22a)内の流通を禁止され、油分離器(22)に溜まり込んでゆく。そして、油分離器(22)内が新冷媒用の冷凍機油で満たされると、その後は新冷媒用の冷凍機油がガス冷媒と共に油分離器(22)から流出してゆく。
上記第2の発明では、給油機構(1)にバイパス管(62)と開閉弁(72)とが設けられる。洗浄動作中にこの開閉弁(72)を開くと、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒と新冷媒用の冷凍機油とがバイパス管(62)を流れる。そして、圧縮機(21)から吐出された新冷媒用の冷凍機油は、冷媒の流通方向における液側連絡管(A)の直前へ流入する。
この発明では、圧縮機(21)から吐出された新冷媒用の冷凍機油が、油分離器(22)の下流側であって、特に冷媒の流通方向における液側連絡管(A)の直前へ送り込まれる。このため、圧縮機(21)から吐出されてバイパス管(62)へ流入した新冷媒用の冷凍機油は、熱源側回路(11)に溜まることなく、そのほぼ全量が液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ供給される。
上記第3乃至6の各発明では、給油機構(1)に給油管(63,64)と給油弁(73,74)とが設けられる。洗浄動作中にこの給油弁(73,74)を開くと、圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油は、給油管(63,64)を流れ、熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ流入する。
上記第4の発明では、洗浄動作中に給油弁(73)を開くと、圧縮機(21)内の新冷媒用の冷凍機油が給油管(63)へ直接流入する。新冷媒用の冷凍機油は、この給油管(63)を流れ、熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ流入する。
上記第5の発明では、洗浄動作中に給油弁(74)を開くと、圧縮機(21)内の新冷媒用の冷凍機油が給油管(64)へ直接流入する。新冷媒用の冷凍機油は、この給油管(64)を流れ、冷媒の流通方向における液側連絡管(A)の直前へ流入する。
この発明では、圧縮機(21)に貯留された新冷媒用の冷凍機油が、油分離器(22)の下流側であって、特に冷媒の流通方向における液側連絡管(A)の直前へ送り込まれる。このため、圧縮機(21)から給油管(64)へ流入した新冷媒用の冷凍機油は、熱源側回路(11)に溜まることなく、そのほぼ全量が液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ供給される。
上記第6、7の各発明では、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から新冷媒用の冷凍機油が分離される。給油機構(1)は、この吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油を熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ供給する。油分離器(22)の下流側へ送られた新冷媒用の冷凍機油は、熱源側回路(11)を流れ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ流入する。
上記第7の発明では、給油機構(1)にバイパス管(65)と開閉弁(75)とが設けられる。洗浄動作中にこの開閉弁(75)を開くと、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油が、バイパス管(65)へ流入する。そして、バイパス管(65)を流れる新冷媒用の冷凍機油は、冷媒の流通方向における液側連絡管(A)の直前へ流入する。
この発明では、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油が、油分離器(22)の下流側であって、特に冷媒の流通方向における液側連絡管(A)の直前へ送り込まれる。このため、油分離器(22)で分離されてバイパス管(65)へ流入した新冷媒用の冷凍機油は、熱源側回路(11)に溜まることなく、そのほぼ全量が液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ供給される。
上記第1乃至7の各発明では、圧縮機(21)に貯留されて旧冷媒用の冷凍機油に溶解する新冷媒用の冷凍機油を、給油機構(1)によって熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ供給し、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を洗浄している。つまり、圧縮機(21)に必ず新冷媒用の冷凍機油が貯留されている点に着目し、この発明では、圧縮機(21)内の冷凍機油を液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄に利用している。
このため、上記第1乃至7の各発明によれば、従来のような添加剤注入装置を設けなくても、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)から旧冷媒用の冷凍機油を除去することができる。そして、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄が終了した後は、添加剤注入装置等の洗浄用の部材を通過することなく冷媒が循環する。従って、この発明によれば、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄動作を行う冷凍装置において、冷媒の圧力損失を低減し、冷凍装置の成績係数(COP)を向上させることができる。
上記第1、2の各発明によれば、圧縮機(21)の吐出冷媒に混入した新冷媒用の冷凍機油を、給油機構(1)によって熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ供給することができる。従って、これらの発明によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の新冷媒用の冷凍機油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を行うことができる。
特に、上記第2の発明では、新冷媒用の冷凍機油を熱源側回路(11)における油分離器(22)のより下流側へ供給することができる。従って、本発明によれば、新冷媒用の冷凍機油が熱源側回路(11)に溜まることなく、ほぼ全量の冷凍機油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
上記第3乃至5の各発明によれば、洗浄動作中に給油機構(1)の給油弁(73,74)を開放することにより、圧縮機(21)内の新冷媒用の冷凍機油を、給油管(63,64)を通じて熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ直接供給することができる。従って、これらの発明によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の新冷媒用の冷凍機油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ確実に送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
特に、上記第5の発明では、新冷媒用の冷凍機油を熱源側回路(11)における油分離器(22)のより下流側へ供給することができる。従って、本発明によれば、新冷媒用の冷凍機油が熱源側回路(11)に溜まることなく、ほぼ全量の冷凍機油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を一層充分に行うことができる。
上記第6、7の各発明によれば、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された新冷媒用の冷凍機油を、給油機構(1)によって熱源側回路(11)における油分離器(22)の下流側へ供給することができる。従って、これらの発明によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の新冷媒用の冷凍機油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ確実に送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
特に、上記第7の発明では、新冷媒用の冷凍機油を熱源側回路(11)における油分離器(22)のより下流側へ供給することができる。従って、本発明によれば、新冷媒用の冷凍機油が熱源側回路(11)に溜まることなく、ほぼ全量の冷凍機油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を一層充分に行うことができる。
以下、本発明の参考技術を図面に基づいて詳細に説明する。
《参考技術1》
図1に示すように、本参考技術の空調機は、1台の室外ユニット(20)と、3台の室内ユニット(30)とを備えている。尚、室内ユニット(30)の台数は、単なる例示である。室外ユニット(20)と各室内ユニット(30)とは、HFC冷媒用に構成されている。
室外ユニット(20)と各室内ユニット(30)とは、それまでCFC冷媒用或いはHCFC冷媒用の室外ユニット及び室内ユニットが接続されていた既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)によって互いに接続されている。本参考技術の空調機では、室外ユニット(20)の室外回路(11)と各室内ユニット(30)の室内回路(12)とを既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)で接続することによって、冷媒回路(10)が形成されている。
上記室外ユニット(20)の室外回路(11)は、熱源側回路を構成している。この室外回路(11)には、圧縮機(21)と油分離器(22)と四路切換弁(23)と熱源側熱交換器である室外熱交換器(24)とレシーバ(28)と室外膨張弁(25)とブリッジ回路(29)とが設けられ、HFC冷媒が充填されている。また、室外ユニット(20)には、室外ファン(24a)が設けられている。
上記室外回路(12)において、圧縮機(21)の吐出側は、油分離器(22)を介して四路切換弁(23)の第1ポートに接続されている。四路切換弁(23)の第2ポートは、室外熱交換器(24)の一端に接続されている。四路切換弁(23)の第3ポートは、後述する回収容器(40)を介して圧縮機(21)の吸入側に接続されている。四路切換弁(23)の第4ポートは、ガス側閉鎖弁(27)に接続されている。
上記ブリッジ回路(29)は、第1管路(81)、第2管路(82)、第3管路(83)及び第4管路(84)をブリッジ状に接続して構成されている。このブリッジ回路(29)において、第1管路(81)の入口端が第2管路(82)の入口端と接続し、第2管路(82)の出口端が第3管路(83)の入口端と接続し、第3管路(83)の出口端が第4管路(84)の出口端と接続し、第4管路(84)の入口端が第1管路(81)の出口端と接続している。第1〜第4の各管路(81,82,…)には、その入口端から出口端に向かう冷媒の流通のみを許容する逆止弁(CV)が1つずつ設けられている。
上記室外熱交換器(24)の他端は、ブリッジ回路(29)における第2管路(82)の出口端及び第3管路(83)の入口端に接続されている。ブリッジ回路(29)における第1管路(81)の出口端及び第4管路(84)の入口端は、液側閉鎖弁(26)に接続されている。 ブリッジ回路(29)における第3管路(83)の出口端及び第4管路(84)の出口端は、円筒容器状に形成されたレシーバ(28)の入口側に接続されている。レシーバ(28)の出口側は、室外膨張弁(25)を介してブリッジ回路(29)における第1管路(81)の入口端及び第2管路(82)の入口端に接続されている。
上記圧縮機(21)は、全密閉型のスクロール圧縮機である。また、圧縮機(21)は、いわゆる高圧ドーム型に構成されている。つまり、この圧縮機(21)では、圧縮機構(21b)で圧縮されたガス冷媒が一旦ケーシング(21a)内に流出した後にケーシング(21a)外へ吐出されるように構成されている。また、ケーシング(21a)の底部には、HFC冷媒用の冷凍機油が貯まるようになっている。この冷凍機油としては、エーテル油やエステル油などの合成油が用いられる。エーテル油やエステル油は、CFC冷媒又はHCFC冷媒用の冷凍機油である鉱油に溶解する。
上記冷媒回路(10)は、四路切換弁(23)の切り換えによって冷房モードの動作と暖房モードの動作とに切り換わるように構成されている。具体的に、上記四路切換弁(23)の第1ポートと第2ポートとが連通してその第3ポートと第4ポートとが連通する状態(図1の実線で示す状態)に切り換わると、冷媒回路(10)では、室外熱交換器(24)が凝縮器となり室内熱交換器(33)が蒸発器となる冷房モードの動作で冷媒が循環する。また、上記四路切換弁(23)の第1ポートと第4ポートとが連通してその第2ポートと第3ポートとが連通する状態(図1の破線で示す状態)に切り換わると、冷媒回路(10)では、室外熱交換器(24)が蒸発器となり室内熱交換器(33)が凝縮器となる暖房モードの動作で冷媒が循環する。
上記室外回路(11)には、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する旧冷媒用の冷凍機油である鉱油などの異物を回収する回収容器(40)が設けられている。この回収容器(40)は、密閉容器であって、流入管(41)と流出管(42)とに接続されている。流入管(41)は、四路切換弁(23)の第3ポートに接続されている。流出管(42)は、圧縮機(21)の吸入側に接続されている。
上記流入管(41)は、その出口端が回収容器(40)内の底部に位置し、回収容器(40)の底部に向かって開口するように形成されている。流入管(41)には、流入弁(51)が設けられている。一方、上記流出管(42)は、その入口端が回収容器(40)内の上部に位置し、回収容器(40)の底部に向かって開口するように形成されている。流出管(42)には、流出弁(52)が設けられている。尚、上記流入弁(51)及び流出弁(52)は、開閉弁を構成している。
上記室外回路(11)には、回収容器(40)をバイパスするバイパス管(54)が設けられている。バイパス管(54)は、その一端が流入弁(51)と四路切換弁(23)の第3ポートの間に接続され、その他端が流出弁(52)と圧縮機(21)の吸入側の間に接続されている。バイパス管(54)には、開閉弁であるバイパス弁(53)が設けられている。
また、上記油分離器(22)には、油戻し管(22a)の一端が接続されている。油戻し管(22a)の他端は、流出弁(52)と圧縮機(21)の吸入側の間であってバイパス管(54)の接続部分より下流側に接続されている。圧縮機(21)からガス冷媒に混じって吐出された冷凍機油(合成油)は、油分離器(22)でガス冷媒から分離された後に、この油戻し管(22a)を通って、圧縮機(21)の吸入側へ戻される。
上記室外ユニット(20)には、給油機構(1)が設けられている。この給油機構(1)は、バイパス管(60)と開閉弁(70)とによって構成されている。バイパス管(60)は、その一端が圧縮機(21)の吐出側と油分離器(22)の間に接続され、その他端が油分離器(22)と四路切換弁(23)の第1ポートの間に接続されている。開閉弁(70)は、バイパス管(60)に設けられ、該バイパス管(60)における冷媒の流れを断続する。
上記各室内ユニット(30)の室内回路(12)では、室内膨張弁(32)と利用側熱交換器である室内熱交換器(33)とが直列に接続されている。また、各室内ユニット(30)には、室内ファン(33a)が設けられている。
上記液側連絡管(A)は、その一端が液側閉鎖弁(26)を介して室外回路(20)に接続されている。液側連絡管(A)の他端は、3本に枝分かれし、液側接続具(31)を介して各室内ユニット(30)の室内回路(12)に接続されている。また、上記ガス側連絡管(B)は、その一端がガス側閉鎖弁(27)を介して室外回路(20)に接続されている。ガス側連絡管(B)の他端は、3本に枝分かれし、ガス側接続具(34)を介して各室内ユニット(30)の室内回路(12)に接続されている。
−室内及び室外ユニットの交換方法−
旧冷媒であるCFC冷媒又はHCFC冷媒を用いた空調機の更新において、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)についてはそのまま流用し、既設の室外ユニット及び室内ユニットを新冷媒であるHFC冷媒用の新設の室外ユニット(20)及び室内ユニット(30)に交換する。
具体的には、まず空調機からCFC冷媒又はHCFC冷媒を回収する。そして、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)からCFC冷媒用又はHCFC冷媒用の室外ユニット及び室内ユニットを取り外す。その後、HFC冷媒用の室外ユニット(20)及び室内ユニット(30)を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に接続具(31,34)及び閉鎖弁(26,27)を介して接続することにより上記冷媒回路(10)を構成する。
次に、液側閉鎖弁(26)及びガス側閉鎖弁(27)を閉じたままの状態で室内ユニット(30)と液側連絡管(A)とガス側連絡管(B)との真空引きを行い、室外ユニット(20)を除く冷媒回路(10)内の空気や水分等を除去する。その後、液側閉鎖弁(26)及びガス側閉鎖弁(27)を開くと共に、冷媒回路(10)内にHFC冷媒を追加充填する。
−洗浄動作−
次に、上記空調機の洗浄動作について説明する。この洗浄動作は、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)内に残留している鉱油などの異物を除去するために行うものであって、HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)を据え付けた直後に行われる。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付けが完了すると、圧縮機(21)を起動すると共に、四路切換弁(23)を図1の実線で示す状態に切り換える。また、流入弁(51)及び流出弁(52)を開き、バイパス弁(53)を閉じる。更には、給油機構(1)の開閉弁(70)を開く。尚、洗浄動作中において、室外膨張弁(25)及び各室内膨張弁(32)は、その開度が適宜調節される。
圧縮機(21)を駆動すると、圧縮されたガス冷媒に混じってHFC冷媒用の冷凍機油である合成油が圧縮機(21)から吐出される。圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒及び合成油は、その一部が油分離器(22)へ流入し、残りがバイパス管(60)を通って油分離器(22)と四路切換弁(23)の第1ポートとの間へ流入する。油分離器(22)において、ガス冷媒から合成油が分離され、分離された合成油が油戻し管(22a)を通って圧縮機(21)の吸入側へ戻される。油分離器(22)で合成油と分離したガス冷媒は、四路切換弁(23)へと流れる。また、バイパス管(60)を通過したガス冷媒は、合成油の油滴が含まれたままの状態で油分離器(22)の下流側へ送られる。
合成油を含んだガス冷媒は、四路切換弁(23)を通過後に室外熱交換器(24)へ流入し、室外空気と熱交換して凝縮する。その後、合成油を含んだ冷媒は、ブリッジ回路(29)の第3管路(83)、レシーバ(28)、室外膨張弁(25)及びブリッジ回路(29)の第1管路(81)を順に通過し、液側閉鎖弁(26)を経て液側連絡管(A)へ流入する。
液側連絡管(A)では、合成油が冷媒と共に流通する。液側連絡管(A)に残存する鉱油には、HFC冷媒が溶解して粘度の低下した合成油が溶け込む。鉱油と合成油との混合物は、その粘度が鉱油の粘度よりも低くなる。つまり、液側連絡管(A)に残存する鉱油は、低粘度化した合成油と混ざり合うことで流動しやすくなる。そして、鉱油と合成油との混合物は、液側連絡管(A)を流れる冷媒によって押し流され、各室内膨張弁(32)を通って各室内熱交換器(33)へ流入する。各室内熱交換器(33)において、冷媒は、室内空気と熱交換して蒸発する。蒸発した冷媒は、鉱油と合成油との混合物と共にガス側連絡管(B)へ流入する。
ガス側連絡管(B)では、液側連絡管(A)から流れてきた合成油がガス冷媒と共に流通する。ガス側連絡管(B)に残存する鉱油には、HFC冷媒が溶解して粘度の低下した合成油が溶け込む。鉱油と合成油との混合物は、その粘度が鉱油の粘度よりも低くなる。つまり、ガス側連絡管(B)に残存する鉱油は、低粘度化した合成油と混ざり合うことで流動しやすくなる。そして、鉱油と合成油との混合物は、ガス側連絡管(B)を流れるガス冷媒によって押し流され、ガス側閉鎖弁(27)及び四路切換弁(23)を経て、流入管(41)から回収容器(40)へ流入する。
回収容器(40)へ流入したガス冷媒及び鉱油と合成油との混合物は、該回収容器(40)の底部に向かって吐出される。このうち鉱油と合成油との混合物は、回収容器(40)の底部に貯留される。ガス冷媒は、流出管(42)を通じて回収容器(40)から冷媒回路(10)へ流出し、圧縮機(21)の吸入側から圧縮機(21)へ流入する。
上記の洗浄動作を所定時間行うことによって、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する鉱油が冷媒回路(10)を流れる合成油と共に回収容器(40)へ回収される。これにより、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)から旧冷媒用の冷凍機油である鉱油が除去される。
洗浄動作の終了後に、流入弁(51)及び流出弁(52)を閉じ、バイパス弁(53)を開く。また、給油機構(1)の開閉弁(70)を閉じる。その後、流入弁(51)、流出弁(52)及び開閉弁(70)は常に閉鎖され、バイパス弁(53)は常に開放される。この状態において、冷房モードの動作と暖房モードの動作とが切り換えて行われる。
−冷房モード、暖房モード−
冷房モードの動作では、四路切換弁(23)が図1の実線で示す状態となる。圧縮機(21)から吐出された冷媒は、その全てが油分離器(22)へ流入し、四路切換弁(23)を通過後に、室外熱交換器(24)で室外空気と熱交換して凝縮する。凝縮した冷媒は、レシーバ(28)及び室外膨張弁(25)を通過し、液側連絡管(A)を流れた後に、各室内熱交換器(33)で室内空気と熱交換して蒸発する。蒸発した冷媒は、ガス側連絡管(B)を流れ、四路切換弁(23)及びバイパス管(54)を通って、圧縮機(21)の吸入側へ戻される。
一方、暖房モードの動作では、四路切換弁が図1の破線で示す状態となる。圧縮機(21)から吐出された冷媒は、その全てが油分離器(22)へ流入し、四路切換弁(23)及びガス側連絡管(B)を通過後に、各室内熱交換器(33)で室内空気と熱交換して凝縮する。凝縮した冷媒は、液側連絡管(A)を流れ、レシーバ(28)及び室外膨張弁(25)を通過後に、室外熱交換器(24)で室外空気と熱交換して蒸発する。蒸発した冷媒は、四路切換弁(23)及びバイパス管(54)を通って、圧縮機(21)の吸入側へ戻される。
−参考技術1の効果−
本参考技術では、圧縮機(21)に貯留されて鉱油に溶解する合成油を、給油機構(1)によって油分離器(22)の下流側へ供給し、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を洗浄している。つまり、圧縮機(21)に必ずHFC冷媒用の冷凍機油である合成油が貯留されている点に着目し、本参考技術では、圧縮機(21)内の合成油を液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄に利用している。
このため、本参考技術によれば、従来のような添加剤注入装置を設けなくても、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)から鉱油を除去することができる。そして、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄が終了した後は、添加剤注入装置等の洗浄用の部材を通過することなく冷媒が循環する。従って、本参考技術によれば、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄動作を行う冷凍装置において、冷媒の圧力損失を低減し、冷凍装置の成績係数(COP)を向上させることができる。
また、本参考技術によれば、圧縮機(21)の吐出冷媒に混入した合成油を、給油機構(1)のバイパス管(60)及び開閉弁(70)を用いて油分離器(22)の下流側へ供給することができる。従って、本参考技術によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を行うことができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1は、上記参考技術1において、給油機構(1)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記参考技術1と異なる点を説明する。なお、本発明の実施形態1の室外ユニット(20)は、本発明に係る冷凍装置を構成している。
図2に示すように、本実施形態の空調機では、給油機構(1)が開閉弁(71)を備えている。この開閉弁(71)は、油戻し管(22a)に設けられており、洗浄動作中にのみ閉じるようになっている。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付け完了後、洗浄動作中に上記開閉弁(71)を閉じる。すると、油分離器(22)でガス冷媒から分離された合成油は、油戻し管(22a)内の流通を禁止される。一方、圧縮機(21)からは、圧縮されたガス冷媒が合成油と共に吐出し続ける。このため、油分離器(22)内には、該油分離器(22)でガス冷媒から分離された合成油が溜まり込んでゆく。そして、油分離器(22)内が合成油で満たされると、その後は油分離器(22)へ流入した合成油がガス冷媒と共に油分離器(22)から流出してゆく。油分離器(22)から流出した合成油及びガス冷媒は、室外回路(11)を流れ、液側連絡管(A)へ流入する。
尚、洗浄動作の終了後において、上記開閉弁(71)は常に閉鎖される。この状態では、油分離器(22)でガス冷媒から分離された合成油が、油戻し管(22a)を通って、圧縮機(21)の吸入側へ戻される。
本実施形態によれば、圧縮機(21)の吐出冷媒に混入した合成油を、給油機構(1)の開閉弁(71)を用いて油分離器(22)の下流側へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を行うことができる。
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、上記参考技術1において、給油機構(1)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図3に示すように、本実施形態の空調機では、給油機構(1)がバイパス管(62)及び開閉弁(72)を備えている。バイパス管(62)は、その一端が圧縮機(21)の吐出側と油分離器(22)との間に接続され、その他端が室外回路(11)の端部のうち液側連絡管(A)が接続される方に接続されている。つまり、上記バイパス管(62)は、その他端が室外膨張弁(25)と液側閉鎖弁(26)との間であって液側閉鎖弁(26)の手前に接続されている。開閉弁(72)は、バイパス管(62)に設けられており、洗浄動作中にのみ開くようになっている。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付け完了後、洗浄動作中に上記開閉弁(72)を開く。すると、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒及び合成油は、その一部がバイパス管(62)へ流入し、残りが油分離器(22)へ流入する。このうちバイパス管(62)を流れるガス冷媒及び合成油は、油分離器(22)の下流側である液側閉鎖弁(26)の手前へ流入する。そして、ガス冷媒及び合成油は、液側閉鎖弁(26)を通って液側連絡管(A)へ流入する。
尚、洗浄動作の終了後において、上記開閉弁(72)は常に閉鎖される。この状態では、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒及び合成油が、バイパス管(62)内の流通を禁止される。このため、圧縮機(21)から吐出されたガス冷媒及び合成油は、その全てが油分離器(22)へ流入する。
本実施形態によれば、圧縮機(21)の吐出冷媒に混入した合成油を、給油機構(1)のバイパス管(62)及び開閉弁(72)を用いて油分離器(22)の下流側へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を行うことができる。
特に、本実施形態では、合成油を油分離器(22)のより下流側へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、合成油が室外回路(11)に溜まることなく、ほぼ全量の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
《発明の実施形態3》
本発明の実施形態3は、上記参考技術1において、給油機構(1)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図4に示すように、本実施形態の空調機では、給油機構(1)が給油管(63)及び給油弁(73)を備えている。給油管(63)は、その一端が圧縮機(21)の底部の合成油が溜まっている部分に接続され、その他端が油分離器(22)と四路切換弁(23)の第1ポートとの間に接続されている。給油弁(73)は、給油管(63)に設けられており、洗浄動作中にのみ開くようになっている。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付け完了後、洗浄動作中に上記給油弁(73)を開く。すると、圧縮機(21)の底部に溜まった合成油は、給油管(63)へ流入する。給油管(63)を流れる合成油は、油分離器(22)の下流側である油分離器(22)と四路切換弁(23)の第1ポートとの間へ流入する。そして、合成油は、室外回路(11)を流れ、既設の液側連絡管(A)へ流入する。尚、洗浄動作の終了後において、上記給油弁(73)は常に閉鎖される。この状態では、給油管(63)内を合成油が流通をすることはない。
本実施形態によれば、洗浄動作中に給油機構(1)の給油弁(73)を開放することにより、圧縮機(21)内の合成油を、給油管(63)を通じて油分離器(22)の下流側へ直接供給することができる。従って、本実施形態によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ確実に送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
《発明の実施形態4》
本発明の実施形態4は、上記参考技術1において、給油機構(1)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図5に示すように、本実施形態の空調機では、給油機構(1)が給油管(64)及び給油弁(74)を備えている。給油管(64)は、その一端が圧縮機(21)の底部の合成油が溜まっている部分に接続され、その他端が室外回路(11)の端部のうち液側連絡管(A)が接続される方に接続されている。つまり、上記バイパス管(64)は、その他端が室外膨張弁(25)と液側閉鎖弁(26)との間であって液側閉鎖弁(26)の手前に接続されている。給油弁(74)は、給油管(64)に設けられており、洗浄動作中にのみ開くようになっている。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付け完了後、洗浄動作中に上記給油弁(74)を開く。すると、圧縮機(21)の底部に溜まった合成油は、給油管(64)へ流入する。給油管(64)を流れる合成油は、油分離器(22)の下流側である液側閉鎖弁(26)の手前へ流入する。そして、合成油は、液側閉鎖弁(26)を通って液側連絡管(A)へ流入する。尚、洗浄動作の終了後において、上記給油弁(74)は常に閉鎖される。この状態では、給油管(64)内を合成油が流通することはない。
本実施形態によれば、洗浄動作中に給油機構(1)の給油弁(74)を開放することにより、圧縮機(21)内の合成油を、給油管(64)を通じて油分離器(22)の下流側へ直接供給することができる。従って、本実施形態によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ確実に送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
特に、本実施形態では、合成油を油分離器(22)のより下流側へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、合成油が室外回路(11)に溜まることなく、ほぼ全量の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を一層充分に行うことができる。
《発明の実施形態5》
本発明の実施形態5は、上記参考技術1において、給油機構(1)の構成を変更したものである。ここでは、本実施形態について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図6に示すように、本実施形態の空調機では、給油機構(1)がバイパス管(65)及び開閉弁(75)を備えている。バイパス管(65)は、その一端が油戻し管(22a)に接続され、その他端が室外回路(11)の端部のうち液側連絡管(A)が接続される方に接続されている。つまり、上記バイパス管(65)は、その他端が室外膨張弁(25)と液側閉鎖弁(26)との間であって液側閉鎖弁(26)の手前に接続されている。開閉弁(75)は、バイパス管(65)に設けられており、洗浄動作中にのみ開くようになっている。
上記油戻し管(22a)には、油戻し弁(76)が設けられている。この油戻し弁(76)は、油戻し管(22a)におけるバイパス管(65)の接続部分よりも下流側に設けられており、該油戻し管(22a)における合成油の流れを断続する。上記油戻し弁(76)は、洗浄動作中にのみ閉じるようになっている。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付け完了後、洗浄動作中に上記開閉弁(75)を開き、油戻し弁(76)を閉じる。すると、油分離器(22)にてガス冷媒から分離された合成油は、油戻し管(22a)の途中からバイパス管(65)へ流入する。バイパス管(65)を流れる合成油は、油分離器(22)の下流側である液側閉鎖弁(26)の手前へ流入する。そして、合成油は、液側閉鎖弁(26)を通って液側連絡管(A)へ流入する。
尚、洗浄動作の終了後において、上記開閉弁(75)は常に閉鎖され、油戻し弁(76)は常に開放される。この状態では、バイパス管(65)内を合成油が流通することはない。このため、油分離器(22)でガス冷媒から分離された合成油は、その全部が油戻し管(22a)を通って圧縮機(21)の吸入側へ戻される。
本実施形態によれば、油分離器(22)で圧縮機(21)の吐出冷媒から分離された合成油を、給油機構(1)のバイパス管(65)及び開閉弁(75)を用いて油分離器(22)の下流側へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、洗浄動作中に圧縮機(21)内の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ確実に送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を充分に行うことができる。
特に、本実施形態では、合成油を油分離器(22)のより下流側へ供給することができる。従って、本実施形態によれば、合成油が室外回路(11)に溜まることなく、ほぼ全量の合成油を既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ送り込むことができ、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄を一層充分に行うことができる。
《参考技術2》
参考技術2は、上記参考技術1において、冷凍装置の構成を変更したものである。ここでは、参考技術2について、上記参考技術1と異なる点を説明する。
図7に示すように、参考技術2の空調機では、HFC冷媒用の新設の室外ユニット(20)において、レシーバ(28)内には、圧縮機(21)に貯留される合成油と同じ種類の合成油が予め貯留されている。
HFC冷媒用の室内ユニット(20)及び室外ユニット(30)の据え付け完了後、洗浄動作中には、レシーバ(28)に貯留された合成油が、該レシーバ(28)内に流入して内部に溜まった液冷媒と共に少しずつレシーバ(28)の外部へ流出してゆく。レシーバ(28)から流出した液冷媒及び合成油は、ブリッジ回路(29)の第1管路(81)を通り、液側閉鎖弁(26)を経て液側連絡管(A)へ流入する。
上記の洗浄動作を所定時間行うことによって、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)に残存する鉱油がレシーバ(28)から流出して冷媒回路(10)を流れる合成油と共に回収容器(40)へ回収される。これにより、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)から旧冷媒用の冷凍機油である鉱油が除去される。
参考技術2では、レシーバ(28)に貯留されて鉱油に溶解する合成油を、レシーバ(28)を通過する冷媒と共に液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)へ供給し、鉱油が残存する既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)を洗浄している。つまり、参考技術2では、レシーバ(28)内の合成油を液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄に利用している。
このため、参考技術2によれば、従来のような添加剤注入装置を設けなくても、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)から鉱油を除去することができる。そして、液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄が終了した後は、添加剤注入装置等の洗浄用の部材を通過することなく冷媒が循環する。従って、参考技術2によれば、既設の液側連絡管(A)及びガス側連絡管(B)の洗浄動作を行う冷凍装置において、冷媒の圧力損失を低減し、冷凍装置の成績係数(COP)を向上させることができる。また、冷凍装置における部品点数の増加を抑え、装置の簡素化及びコスト削減を図ることができる。