JP2004218603A - 筒内噴射式火花点火内燃機関 - Google Patents

筒内噴射式火花点火内燃機関 Download PDF

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Abstract

【課題】筒内噴射式火花点火内燃機関において、均質燃焼時に吸気弁への燃料付着によって機関出力が低下することを防止することである。
【解決手段】先拡がり形状の燃料を気筒内へ直接的に噴射するために気筒上部周囲に配置された燃料噴射装置7と、点火プラグ6とを具備し、燃料噴射装置は、均質燃焼時において、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、燃料噴霧の中心軸線C1を斜め下方向に向けて、燃料噴霧の厚さ方向中心平面が二つの吸気弁の間を通る垂直平面に略一致するように噴射する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射式火花点火内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
気筒内へ直接的に燃料を噴射することにより、燃料噴射量を必要最小限として燃料消費率の悪化を防止する筒内噴射式火花点火内燃機関が公知である。このような筒内噴射式火花点火内燃機関において、吸気行程での燃料噴射によって気筒内に均質混合気を形成して均質燃焼を実施することが意図されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−345847号公報
【特許文献2】
特開2001−214744号公報
【特許文献3】
特開2001−27170号公報
【特許文献4】
特開平11−200865号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
筒内噴射式火花点火内燃機関では、一般的に、噴射燃料の微粒化を促進するために、燃料噴射弁は燃料を先拡がり形状で噴射する。それにより、前述の従来技術において、燃料噴射弁から噴射される燃料は、吸気行程においてリフト(開弁)されている吸気弁へ衝突することがある。こうして噴射燃料が吸気弁に衝突すると、一部の燃料は吸気弁に付着し、特に、吸気弁の温度が低い時には、付着燃料は吸気行程中において完全に蒸発せず、それにより、気筒内へは必要量の燃料が供給されないこととなって機関出力が低下する。
【0005】
従って、本発明の目的は、筒内噴射式火花点火内燃機関において、均質燃焼時に吸気弁への燃料付着によって機関出力が低下することを防止することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明による請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、先拡がり形状の燃料を気筒内へ直接的に噴射するために気筒上部周囲に配置された燃料噴射装置と、点火プラグとを具備し、前記燃料噴射装置は、均質燃焼時において、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、前記燃料噴霧の厚さ方向中心平面が二つの吸気弁の間を通る垂直平面に略一致するように噴射することを特徴とする。
【0007】
また、本発明による請求項2に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記燃料噴射装置は、成層燃焼時においても、均質燃焼時と同様な前記扇形状の燃料噴霧を噴射することを特徴とする。
【0008】
また、本発明による請求項3に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記燃料噴射装置は、成層燃焼時において、均質燃焼時とは異なる噴孔から先拡がりの円錐形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて噴射するか、又は、均質燃焼時とは異なる噴孔から先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、前記燃料噴霧の幅方向中心平面が前記垂直平面に略一致するように噴射することを特徴とする。
【0009】
また、本発明による請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、先拡がり形状の燃料を気筒内へ直接的に噴射するために気筒上部周囲に配置された燃料噴射装置と、点火プラグと、吸気弁リフト量可変機構とを具備し、前記燃料噴射装置は、先拡がりの円錐形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて噴射するか、又は、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、前記燃料噴霧の幅方向中心平面が垂直平面に略一致するように噴射し、均質燃焼時には成層燃焼時に比較して前記吸気弁リフト量可変機構によって吸気弁リフト量を小さくすることを特徴とする。
【0010】
また、本発明による請求項5に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記吸気弁リフト量可変機構は、均質燃焼時における前記吸気弁リフト量を吸入空気量に応じて変化させることを特徴とする。
【0011】
また、本発明による請求項6に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関は、請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関において、前記吸気弁リフト量可変機構は、均質燃焼時における前記吸気弁リフト量を機関温度に応じて変化させることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図である。同図において、1は吸気ポート、2は排気ポートである。吸気ポート1は吸気弁3を介して、排気ポート2は排気弁4を介して、それぞれ気筒内へ通じている。5はピストンであり、6は気筒上部中心近傍において気筒上壁から突出している点火プラグである。7は気筒上部周囲の吸気ポート1側に配置された燃料噴射装置である。
【0013】
燃料噴射装置7から噴射された燃料は確実に気筒内へ供給されるために、燃料噴射装置7は必要最小量の燃料を噴射すれば良く、燃料消費率の悪化を防止することができる。本筒内噴射式火花点火内燃機関は、吸気行程において燃料噴射装置7から燃料を噴射して気筒内に均質混合気を形成する均質燃焼を実施する。均質燃焼に際して、噴射燃料の気化を促進するために、燃料噴射装置7は燃料を柱状ではなく、先拡がり形状に噴射することが好ましい。
【0014】
しかしながら、燃料噴霧形状を単に円錐形状のような先拡がり形状とすると、燃料噴射装置7が気筒上部周囲の吸気ポート1側に配置されているために、この燃料噴射装置7から噴射される燃料噴霧は吸気行程においてリフトされている吸気弁3へ衝突することがある。吸気弁3へ衝突した燃料の一部は吸気弁3に付着し、特に、機関始動直後のように機関温度が低い時、又は機関低負荷時のように燃焼温度が低い時には、吸気弁3の温度が低いために、付着燃料を吸気行程中に蒸発させることができない。こうして、噴射燃料の全てを気筒内へ供給することができないと、必要最小量とした燃料噴射では意図するより低い機関出力しか発生させることができなくなる。
【0015】
本実施形態において、燃料噴射装置7は、先拡がり形状として比較的厚さの薄い扇形状に燃料を噴射するものであり、この扇形状の燃料噴霧10の中心軸線C1(三次元的な中心軸線)は、斜め下方向(気筒中心軸線Cを上下方向とし、シリンダヘッド側を上、ピストン側を下とした場合において)へ向けられおり、気筒内の平面図である図2に示すように、燃料噴霧10の厚さ方向中心平面P1が、二つの吸気弁3の間を通る垂直平面Pに略一致するようにしている。本実施形態においては、特に、垂直平面Pが燃料噴射装置7の噴孔中心及び気筒中心軸線Cを通るように、二つの吸気弁3及び燃料噴射装置7が配置されている。
【0016】
こうして、燃料噴射装置7から吸気行程において噴射された扇形状の燃料噴霧は、図2に示すように、この時にリフトしている吸気弁3へ衝突することなく、気筒内へ微粒化されて拡がり、気筒内には噴射燃料全てを使用した均質混合気が形成される。それにより、意図する機関出力を発生させることができる。
【0017】
また、このように、先拡がりの燃料噴霧を吸気弁3に衝突させないようにすれば、燃料噴霧は気筒内の排気弁側へも確実に到達するために、気筒内の吸気弁側だけに濃厚な混合気が形成されるような混合気の偏在を防止することができ、気筒内全体に良好な均質混合気が形成され、混合気偏在によるスモークの発生及びパティキュレートの生成量増加等の排気エミッション悪化を防止することができる。
【0018】
ところで、吸気ポート1及びその気筒内開口部の形状が工夫され、吸気行程において気筒内へ導入される吸気によって、気筒内壁の排気ポート2側に沿って下降し、気筒内壁の吸気ポート1側、すなわち、燃料噴射装置側に沿って上昇するタンブル流Tが生成されるようになっている。このタンブル流Tはピストン5の頂面に沿っても進行し、ピストン5の頂面には、この際の通過抵抗を低減してタンブル流の減衰を抑制するために、図1及び図2に示すように、円弧状底壁(図1に示すようにタンブル流の周方向に円弧形状となっている)を有するキャビティ5aが形成されている。二つの吸気弁3を介して気筒内に並列して生成される二つのタンブル流は、互いに合流して気筒内を旋回し、この際の減衰を抑制するために、図2に示すように、キャビティ5の幅は十分に大きくされている。
【0019】
こうして、吸気行程において気筒内にタンブル流が生成されるために、吸気行程において燃料噴射装置7から二つの吸気弁3の間に噴射された燃料噴霧は、タンブル流と衝突して十分に微粒化され、タンブル流と共に気筒内を旋回しながら気化し、圧縮行程末期の点火時期までには吸気と十分に混合される。それにより、タンブル流によって気筒内の均質混合気をさらに良好に均質化することができる。
【0020】
本実施形態において、吸気ポート1は、図1に示すように、隔壁1aによって上下二分割されており、下側吸気ポート部分には、閉鎖弁8が設けられている。閉鎖弁8によって下側吸気ポート部分を閉鎖すれば、吸気は上側吸気ポート部分からのみ気筒内へ供給され、こうして、吸気を吸気ポート1の上壁に沿わせて気筒内へ供給すると、タンブル流Tの流速を速めることができ、良好な均質混合気の形成に有利となる。しかしながら、多量の吸気が必要となる時には、閉鎖弁8を開弁して、吸気を上側吸気ポート部分及び下側吸気ポート部分の両方から気筒内へ供給するようにし、吸気不足を解消しなければならない。
【0021】
このような均質燃焼を全運転領域において実施することは可能であるが、本筒内噴射式火花点火内燃機関は、運転領域によって、均質燃焼より燃料消費率の向上が可能な成層燃焼を実施するようになっている。成層燃焼は、圧縮行程で燃料を噴射し、点火プラグ近傍だけに可燃混合気を形成するものであり、気筒内全体としてはリーン空燃比での燃焼を可能とするものである。例えば、高回転高負荷領域を除き、冷却水温が設定水温以上である時に成層燃焼が実施され、高回転高負荷領域又は冷却水温が設定水温未満である時には均質燃焼が実施される。
【0022】
本実施形態においては、吸気行程で生成したタンブル流Tをあまり減衰させずに圧縮行程においても持続させ、このタンブル流を利用して点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するようにしている。すなわち、圧縮行程後半において燃料噴射装置7から噴射された燃料は、タンブル流に乗って気化しながら点火プラグ6近傍へ運ばれ、点火時期において、点火プラグ6近傍に可燃混合気を形成するのである。また、噴射燃料をタンブル流との衝突によって偏向してタンブル流の中心部へ向かわせ、この中心部の低圧を利用してタンブル流の外側への燃料の分散を防止し、点火時期において点火プラグ6近傍に可燃混合気を形成するようにしても良い。また、タンブル流を利用することなく、噴射燃料によって直接的に点火プラグ近傍に可燃混合気を形成するようにしても良い。このように、本実施形態においては、燃料噴射装置7を使用して同じ噴孔から噴射される燃料噴霧によって均質燃焼及び成層燃焼がいずれも実施可能である。
【0023】
図3は、本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第二実施形態を示す概略縦断面図であり、図4は本筒内噴射式火花点火内燃機関の気筒内平面図である。る。前述した第一実施形態との違いについてのみ以下に説明する。本実施形態において、ピストン5’の頂面に形成されたキャビティ5a’は、タンブル流の減衰抑制を意図するものではなく、成層燃焼時において、燃料噴射装置7’から噴射された燃料を点火プラグ6の近傍へ可燃混合気として導くためのものである。
【0024】
燃料噴射装置7’は、先拡がり形状として比較的厚さの薄い扇形状に燃料を噴射するものであり、この扇形状の燃料噴霧10’の中心軸線C2(三次元的な中心軸線)は、斜め下方向へ向けられおり、図4に示すように、燃料噴霧10’の幅方向中心平面P2が、垂直平面Pに一致するようにしている。本実施形態においては、特に、垂直平面Pが燃料噴射装置7の噴孔中心及び気筒中心軸線Cを通るように、燃料噴射装置7’が配置されている。
【0025】
それにより、成層燃焼時において、燃料噴射装置7’から圧縮行程後半で噴射された燃料噴霧10’は、図3及び図4に示すように、キャビティ5a’の底壁に衝突した後に幅方向に拡がりながらキャビティ5a’の点火プラグ側側壁へ向けて進行し、次いで、点火プラグ側側壁上を進行する際には、点火プラグ側側壁の平面視における円弧形状によって中央へ集合し、その上方に位置する点火プラグ6近傍へ向かう。噴射燃料は、こうしてキャビティ5a’内を進行する際に、ピストン5’から良好に受熱して気化するために、点火プラグ6近傍には蒸発燃料によって可燃混合気を形成することができる。
【0026】
こうして、高回転高負荷領域を除く機関温間時には、良好な成層燃焼を実現することができる。しかしながら、高回転高負荷領域又は機関冷間時において均質燃焼を実施するために、燃料噴射装置7’が吸気行程において燃料を噴射すると、図3に二点鎖線で示すように、そのままでは、噴射燃料がリフトしている吸気弁3に衝突してしまう。本実施形態において、吸気弁3は、通常のカムではなく、可変リフト機構によって駆動されるようになっており、吸気弁3のリフト量は少なくとも二段階に可変とされる。それにより、均質燃焼時には、図3に一点鎖線で示すように、成層燃焼時に比較して吸気弁リフト量を小さくし、燃料噴射装置7’からの燃料噴霧10’が吸気弁3へ衝突することを防止している。燃料噴射装置7’は、扇形状に燃料を噴射するものとしたが、本実施形態は、燃料噴射装置が円錐状に燃料を噴射する場合にも有効である。
【0027】
可変リフト機構として、電磁又は油圧アクチュエータによりストローク長を変化させて吸気弁3を駆動すれば良い。また、リフト量の異なる複数のカムを選択的に使用して吸気弁3を駆動するようにしても良い。また、カムシャフトの軸線に対してテーパ状のカム面を有するカムを使用して、カムシャフトを軸線方向に移動させることによりカム面における吸気弁3との当接位置を変化させ、吸気弁3のリフト量を無段階的に変化させるようにしても良い。
【0028】
図5は、吸気弁リフト量を無段階的又は多段階的に変化可能な場合における均質燃焼時の吸気弁リフト量の制御を示すマップである。成層燃焼は、燃料噴射から点火までの時間が比較的短いために、機関冷間時のように機関温度が低い時には、燃料気化が不十分となって燃焼が悪化する。それにより、前述したように、機関冷間時には機関運転状態に係らずに均質燃焼が実施される。図5は、この機関冷間時における均質燃焼に対応するものである。低回転低負荷時には、燃焼温度が低く、吸気弁温度が低いために、噴射燃料の吸気弁3への衝突を完全に防止しなければならない。それにより、吸気弁リフト量は最小値Lminとされる。しかしながら、機関回転数又は機関負荷の上昇に伴って燃焼温度が高まると、吸気弁温度も上昇するために、噴射燃料が僅かに吸気弁3に衝突しても、僅かな吸気弁3への付着燃料は吸気行程中に十分に蒸発させることができる。それにより、吸気弁リフト量は、最小値Lminより大きくされる。こうして、吸気弁リフト量を大きくすることによって吸気不足の発生を防止することができる。
【0029】
さらに機関回転数又は機関負荷が上昇すれば、燃焼温度もさらに上昇して吸気弁温度も高まり、噴射燃料がさらに吸気弁に付着しても十分に蒸発させることができるために、吸気弁リフト量はさらに大きくされる。こうして、機関回転数又は機関負荷の上昇に伴って吸気弁リフト量が徐々に大きくされ、高回転高負荷時には、吸気弁リフト量は最大値Lmaxとされる。すなわち、吸気弁への付着燃料が吸気行程中には完全に蒸発するようにして、吸気不足が発生しないように吸入空気量に応じて吸気弁リフト量が制御されるのである。この吸気弁リフト量の制御によれば、同時に吸気弁3により吸入空気量の制御が実現されるために、スロットル弁を全開としても良く、又は、少なくともスロットル弁によって吸気ポートを大きく絞る必要はない。それにより、ポンピング損失を防止又は大きく低減することができ、燃料消費率をかなり向上することができる。
【0030】
機関温間時の高回転高負荷領域において均質燃焼が実施される場合にも、機関回転数又は機関負荷が高いほど、吸気不足の発生を防止するために吸気弁リフト量を大きくしても良い。
【0031】
図6は、吸気弁リフト量を無段階的又は多段階的に変化可能な場合における均質燃焼時の吸気弁リフト量の制御を示すもう一つのマップである。均質燃焼が機関冷間時において実施される場合には、機関温度としての冷却水温は設定水温より低いが、この温度範囲においても冷却水温には違いがあり、冷却水温が低いほど吸気弁温度も低く、付着燃料は吸気弁から蒸発し難くなる。それにより、冷却水温が低いほど、吸気弁3のリフト量を小さくして、吸気弁3への付着燃料を少なくしている。こうして、冷間始動直後の均質燃焼のように、冷却水温がかなり低い時には吸気弁リフト量は最小値Lminとされ、その後、冷却水温の上昇に伴って均質燃焼時の吸気弁リフト量は徐々に大きくされる。また、機関温間時の高回転高負荷領域における均質燃焼のように、冷却水温が十分に高い時には吸気弁リフト量は最大値Lmaxとされる。
【0032】
第二実施形態において、燃料噴射装置7’が、第一実施形態と同様な噴霧形状の燃料も選択的に噴射可能であれば、特に、吸気弁リフト量を均質燃焼時において変化させることなく、均質燃焼時には、第一実施形態と同様な噴霧形状の燃料を噴射するようにしても良い。そのためには、例えば、燃料噴射装置7’が、第一実施形態の燃料噴射装置7をもう一つの燃料噴射弁として合わせ持つようにすれば良く、又は、燃料噴射装置7’が、横長及び縦長の二つのスリット状噴孔を有して、その一方を選択的に使用可能とすることにより、成層燃焼時には、横長噴孔から第二実施形態における噴霧形状の燃料を噴射し、均質燃焼時には、縦長噴孔から第一実施形態における噴霧形状の燃料を噴射すれば良い。
【0033】
【発明の効果】
このように、本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関は、燃料噴射装置が、均質燃焼時において、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、燃料噴霧の厚さ方向中心平面が二つの吸気弁の間を通る垂直平面に略一致するように噴射するようになっているために、燃料噴霧は、二つの吸気弁の間を吸気弁に衝突することなく通過し、吸気弁への燃料付着によって機関出力が低下することを防止することができる。
【0034】
また、本発明によるもう一つの筒内噴射式火花点火内燃機関は、燃料噴射装置が、先拡がりの円錐形状の燃料噴霧を、燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて噴射するか、又は、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、燃料噴霧の幅方向中心平面が垂直平面に一致するように噴射するものであり、圧縮行程噴射によって良好な成層燃焼を実現可能である。しかしながら、均質燃焼時において、そのままでは燃料噴霧が吸気弁へ衝突することとなるために、均質燃焼時には成層燃焼時に比較して吸気弁リフト量可変機構によって吸気弁リフト量を小さくするようになっている。それにより、燃料噴霧は吸気弁へ衝突せず、吸気弁への燃料付着によって機関出力が低下することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第一実施形態を示す概略縦断面図である。
【図2】図1の筒内噴射式火花点火内燃機関の気筒内平面図である。
【図3】本発明による筒内噴射式火花点火内燃機関の第二実施形態を示す概略縦断面図である。
【図4】図3の筒内噴射式火花点火内燃機関の気筒内平面図である。
【図5】吸気弁リフト量制御のためのマップである。
【図6】吸気弁リフト量制御のためのもう一つのマップである。
【符号の説明】
1…吸気ポート
2…排気ポート
3…吸気弁
4…排気弁
5…ピストン
6…点火プラグ
7,7’…燃料噴射装置

Claims (6)

  1. 先拡がり形状の燃料を気筒内へ直接的に噴射するために気筒上部周囲に配置された燃料噴射装置と、点火プラグとを具備し、前記燃料噴射装置は、均質燃焼時において、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、前記燃料噴霧の厚さ方向中心平面が二つの吸気弁の間を通る垂直平面に略一致するように噴射することを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  2. 前記燃料噴射装置は、成層燃焼時においても、均質燃焼時と同様な前記扇形状の燃料噴霧を噴射することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  3. 前記燃料噴射装置は、成層燃焼時において、均質燃焼時とは異なる噴孔から先拡がりの円錐形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて噴射するか、又は、均質燃焼時とは異なる噴孔から先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、前記燃料噴霧の幅方向中心平面が前記垂直平面に略一致するように噴射することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  4. 先拡がり形状の燃料を気筒内へ直接的に噴射するために気筒上部周囲に配置された燃料噴射装置と、点火プラグと、吸気弁リフト量可変機構とを具備し、前記燃料噴射装置は、先拡がりの円錐形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて噴射するか、又は、先拡がりの扇形状の燃料噴霧を、前記燃料噴霧の中心軸線を斜め下方向に向けて、前記燃料噴霧の幅方向中心平面が垂直平面に略一致するように噴射し、均質燃焼時には成層燃焼時に比較して前記吸気弁リフト量可変機構によって吸気弁リフト量を小さくすることを特徴とする筒内噴射式火花点火内燃機関。
  5. 前記吸気弁リフト量可変機構は、均質燃焼時における前記吸気弁リフト量を吸入空気量に応じて変化させることを特徴とする請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
  6. 前記吸気弁リフト量可変機構は、均質燃焼時における前記吸気弁リフト量を機関温度に応じて変化させることを特徴とする請求項4に記載の筒内噴射式火花点火内燃機関。
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