JP2007224753A - 火花点火式直噴エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】多噴口型インジェクタ18を備え、その上側の噴口18aから点火プラグ16付近に向けて燃料を噴射するようにした直噴エンジン1において、冷間の低回転域でも燃料の気化を十分に促進し、その気筒壁面への付着を可及的に減らして、HC、スモークの増大やオイル希釈の問題を効果的に抑制する。
【解決手段】点火プラグ16近傍に向かう燃料噴霧S1の幾何学的噴エリアが、気筒中心線Zに沿って見た平面視で2つの吸気弁11の弁軸11a間に位置するように、この燃料噴霧S1が噴出する上側の3つの噴口18aの向きを設定する。ECU40には、冷間の中負荷乃至高負荷低回転域において燃圧を高める燃圧制御部40bと、吸気行程前半の所定クランク角期間において燃料を3回に分割して噴射させるインジェクタ制御部40aと、その際、流動制御弁34,35を閉じてカーテンエリアからの吸気の流速を高める吸気流動制御部40dとを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、気筒内に燃料を直接、噴射して、点火プラグにより点火するようにした火花点火式直噴エンジンに関し、特に、多噴口型のインジェクタによる燃料の噴射制御の技術分野に属する。
従来より、この種の直噴エンジンでは、気筒内の燃焼室に燃料を高圧で直接、噴射することから、この燃焼室に均一な混合気を形成することが難しいとされている。そのため、一般に直噴エンジンでは、気筒内に吸入される空気の流動(スワールやタンブル)を利用して、この吸気と燃料噴霧との混合や燃料液滴の気化を促進するようにしているが、それだけでは不十分なことが多い。
すなわち、例えば、燃焼室に向かってその周縁部に配置したインジェクタにより燃料を噴射する場合は、このインジェクタの噴口と対向する気筒壁面との間の距離が比較的短いことから、噴射された燃料の一部が液滴のまま気筒壁面に付着することも多く、こうして気筒壁面に付着した燃料の気化が遅れたり、或いは不十分になることによって、局所的に過濃な混合気が形成されてしまい、このことが混合気の不均一化を招く一因となる。
特に、エンジン冷間の低回転域においては、気筒内の流動が弱いため、燃料の気筒壁面への付着量が多くなりやすく、しかも、気筒壁面の温度が低いことから、そうして付着した燃料液滴の気化の遅れが大きくなりやすい。この結果として前記のような混合気の不均一度合いが大きくなるとともに、そうして気筒壁面に付着した燃料液滴の一部が気化することなくエンジンオイルに混入することで、いわゆるオイル希釈等の弊害を引き起こす虞れがある。
この点について、例えば特許文献1に開示される直噴エンジンでは、インジェクタからの燃料の噴射方向をピストンの頂面に向かうよう下向きに偏向させて、燃料噴霧が直接は気筒壁面に到達しないようにした上で、さらに、エンジン冷間には燃料噴射圧を低下させ、燃料噴霧の貫徹力を弱めることによって、前記ピストン頂面で跳ね返った燃料の気筒壁面への付着も阻止するようにしている。
ところで、前記のような従来の直噴エンジンに用いられるインジェクタは、一般的に、単一の噴口から燃料を旋回流として噴射させて略円錐状の燃料噴霧を形成するスワーラ型のものであり、燃料噴霧の広がり角が気筒内圧に応じて変化することから、気筒の圧縮行程で燃料を噴射するときには混合気を点火プラグ周りに集めて成層化させやすく、また、吸気行程で噴射するときには燃料を気筒内全体に広く分散させやすいものである。
その一方で、スワーラ型のインジェクタでは、単一の噴口径をあまり小さくすることができないので、ここから噴出する燃料の液滴もあまり小さくはできず、噴射圧を高くして燃料の分裂を促すようにしても、その微粒化を十分には図れないという難がある。そこで、近年、例えば特許文献2に開示されるように、インジェクタの先端部に非常に小さな噴口を複数、設けて、この複数の噴口からそれぞれ燃料を噴出させるようにした多噴口型のインジェクタが開発されている。
前記特許文献2のエンジンでは、複数の噴口の向きを個別に設定できるという多噴口型インジェクタの特徴を生かし、燃焼室の周縁部に配設したインジェクタの大半の噴口から下方のピストン頂面に向かって燃料を噴射させて、気筒内に広く分散させるとともに、例えば2個の噴口からの燃料噴霧は点火プラグに向けて、この点火プラグ近傍に可燃混合気がより確実に形成されるようにしている。
また、同文献には、燃料の多量の噴射や微粒化が必要とされる始動時、高負荷高回転時及び冷機時(冷間)において、それ以外の時に比べて燃料噴射圧(燃圧)を高めるのがよい、という知見が開示されている。
特開平9−68072号公報 特開2003−161224号公報
ところが、前記のような多噴口型インジェクタを採用した場合は、上述の如く微小な噴口から燃料を噴射するために、スワーラ型のものに比べて通常、燃料噴射圧力を高くする必要があり、このことで燃料噴霧の貫徹力が相対的に強くなる傾向にある。このため、前記後者の従来例(特許文献2)のように高負荷時や冷機時に燃圧を高めると、各噴口からの燃料噴霧の貫徹力がかなり強くなってしまい、特に点火プラグ近傍に向けた燃料噴霧においては液滴のままで気筒壁面に到達する燃料の量が多くなる。
そうして液滴のままで気筒壁面に到達しても、多噴口型インジェクタからの燃料噴霧の多くは十分に微粒化されているので、冷間であっても、また温間であれば少々、燃料付着量が多くても、その殆どが点火までの間に気化することになり、そのままエンジンオイルに混入する可能性は低いが、そうして気筒壁面に付着した燃料の気化が相対的に遅くなることは避けられない。
そして、そのように燃料の気化が遅れたり、不十分になったりすると、局所的に混合気の濃度が高くなり、その過濃部分の燃焼によって煤が生成されて、いわゆるスモークが発生するとともに、その煤がエンジンオイルに混入して粘度を低下させるという問題(以下、このことを含めてオイル希釈という)も生じ得る。
さらに、前記のように点火プラグ近傍に向けた燃料噴霧の一部が付着するのは、燃焼室の天井部から周壁部(気筒壁面)との境界付近にかけてであり、通常、この付近には火炎面の伝播しない領域が形成されることになるから、前記のように燃料の気化が不十分になったり、過濃な混合気が形成されたりすると、その結果として排気中のHC濃度がかなり高くなってしまうという問題もある。
一方、前記前者の従来例(特許文献1)のように燃圧を低下させた場合は、これにより燃料噴霧の貫徹力を弱めて、燃料液滴の気筒壁面への付着を減らすことはできるとしても、その燃圧の低下に起因して燃料噴霧全体で液滴の粒径が大きくなってしまい、冷間であることも相俟って燃料の気化が不十分なものとなる。このことは、燃焼の悪化によるHCやスモークの増大という問題を生じる。
本発明は、斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃焼室の吸気側に配設した多噴口型インジェクタによる燃料噴射の仕方に工夫を凝らして、エンジン冷間の低回転域であっても燃料噴霧の気化を十分に促進し、しかも気筒壁面への燃料付着を可及的に減らして、HC、スモークの増大やオイル希釈の問題を効果的に抑制することにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、エンジンが冷間の低回転域にあるときに、燃料の噴射圧力を所定圧以上としてその微粒化を図りつつ、燃料噴射を複数回に分割することで噴霧の貫徹力を弱め、且つ、少なくとも点火プラグ近傍に向かう燃料噴霧が、吸気弁周りのカーテンエリアからの高速の吸気流の影響を強く受けて、微粒化した液滴の気化が促進されるようにした。
具体的に、請求項1の発明では、複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタが、気筒内の燃焼室にその吸気側の周縁部から燃料を噴射するように配設されていて、少なくとも1つの噴口からの燃料噴霧が燃焼室中央寄りの点火プラグ近傍に向けられている火花点火式直噴エンジンを対象とする。そして、冷間の低回転域で燃料噴射圧力を所定圧以上に高めるとともに、気筒の吸気行程前半で吸気ポートの開口部と吸気弁との間の環状隙間部(以下、カーテンエリアともいう)から燃焼室に流入する吸気の流速が所定以上に高くなるクランク角期間に対応付けて、前記インジェクタにより燃料を複数回に分割して噴射させる燃料噴射制御手段を備える構成とする。
前記構成のエンジンでは、まず、多噴口型インジェクタの複数の噴口のうち、少なくとも1つの噴口からの燃料噴霧が点火プラグ近傍に向けられているため、この噴口からの燃料噴霧によって点火プラグ近傍の混合気濃度を適切なものとなるように調整することができる。一方、別の少なくとも1つの噴口からの燃料噴霧は例えばピストンの側に向けることができ、こうすれば、燃料を気筒内に広く分散させて、均一な混合気を形成する上で有利になる。
そして、エンジンが冷間の低回転域にあるときには、燃料噴射制御手段によって燃料の噴射圧力が所定圧以上に高められるとともに、気筒の吸気行程前半でカーテンエリアからの吸気流速が所定以上に高くなるクランク角期間に対応付けて、燃焼室の吸気側周縁部に位置するインジェクタから燃料が複数回に分割して噴射される。こうして分割して噴射することで、1回にまとめて噴射するのに比べて燃料噴霧の貫徹力が弱くなり、燃圧が高くても気筒壁面への燃料の付着量を減らすことができる。
しかも、そうして貫徹力が弱くなった分、到達距離の短くなった燃料噴霧は、カーテンエリアからの高速の吸気流の影響を強く受けるようになり、前記のように液滴の微粒化が促進されていることと相俟って、相乗的に燃料の気化が促進される。こうして気化が促進されて燃料液滴が小さくなれば、その運動量が減少するので、このことによっても燃料噴霧の貫徹力が弱くなり、燃料の気筒壁面への付着量がさらに減少する。
つまり、エンジン冷間の低回転域では、高燃圧化によって燃料の微粒化を促進するとともに、カーテンエリアからの吸気流速が高い期間に対応付けて燃料を分割噴射することにより、相乗的に燃料液滴の気化を促進し、噴霧の貫徹力を弱めて、燃料の気筒壁面への付着を効果的に抑制することができる。これにより、HC、スモークの増大やオイル希釈の発生を効果的に抑制できる。
好ましいのは、前記インジェクタによる燃料の噴射を3回以上に分割することであり、そのために前記燃料噴射制御手段は、例えば、燃料噴射量が、インジェクタの針弁の最大リフトが可能な最小噴射量の3倍以上で且つ4倍未満のときに、当該インジェクタにより燃料を、各々前記最小噴射量以上となるよう3回に分割して噴射させるものとすればよい(請求項2の発明)。こうすれば、噴霧中の燃料液滴の気筒壁面への付着が非常に少なくなり、前記発明の作用を十分に得ることができる。
また、そうして燃料を3回に分割して噴射させる際には、そのうちの2回目の分割噴射量を1回目及び3回目の各分割噴射量以上とすることが好ましい(請求項3の発明)。こうすれば、カーテンエリアからの吸気流速が高くなるクランク角期間においても、特に吸気流速の高いときに対応して噴射される燃料噴霧の分量が多くなるので、燃料の気化をより効果的に促進することができる。
また、前記燃料噴射制御手段は、温間の低回転域でも燃料噴射量が最小噴射量の3倍以上のときに、燃料噴射圧力を所定圧以上に高めるとともに、気筒の吸気行程前半で環状隙間部からの吸気流速が所定以上に高くなるクランク角期間に対応付けて、インジェクタにより燃料を、各々最小噴射量以上となるよう3回以上に分割して噴射させるものとしてもよい(請求項4の発明)。こうすれば、温間でも燃料噴射量の多いときに、その液滴の気化を効果的に促進し、気筒壁面への付着を抑制することができ、これにより、燃焼性を高めて、燃費を低減できるとともに、排気中のHC、スモークも低減することができる。
また、好ましいのは、エンジンに排気浄化用の触媒を備える場合に、冷間始動後の所定期間、該触媒の活性化を促進するために、点火時期を気筒の吸気上始点後まで遅角させる点火時期制御手段と、気筒への吸気量を温間の同じ運転状態に比べて多くなるように制御する吸気量制御手段と、を備え、前記燃料噴射制御手段は、前記触媒の活性化促進期間においてインジェクタによる吸気行程での分割噴射制御を実行するものとすることである(請求項5の発明)。
こうすれば、エンジン冷間始動後の所定期間は、点火時期の遅角による排気温度の上昇によって触媒の活性化が促進されるとともに、それに伴うエンジントルクの低下を補うように吸気量が増量される。そして、この吸気増量によって気筒内ではカーテンエリアからの吸気流速がさらに高くなり、このことで前記した発明の作用効果が高められる。
その場合に、前記燃料噴射制御手段は、前記冷間始動後の活性化促進期間において触媒が所定の半活性状態になるまでは、インジェクタにより燃料を気筒の吸気行程及び圧縮行程でそれぞれ1回ずつ噴射させ、触媒が前記半活性状態になれば、吸気行程での分割噴射に切り替えるものとしてもよい(請求項6の発明)。こうすれば、触媒が半活性状態になるまでは圧縮行程で噴射した燃料の後燃えにより排気温度をより高くして、触媒の活性化をより効果的に促進することができ、その後は吸気行程での分割噴射に切り替えることで、触媒の活性化を促進しつつ、HC、スモークの増大を抑制できる。
上述した火花点火式エンジンが、気筒に2つずつ吸気弁が配設されたものである場合に、好ましいのは、その気筒の中心線に沿って見て2つの吸気弁間にインジェクタの先端部を位置付けるとともに、少なくとも1つの噴口から点火プラグ近傍に向けて噴射される燃料噴霧の幾何学的噴霧エリアが、前記2つの吸気弁の弁軸間に位置するように、この燃料噴霧の噴出する噴口の向きを設定することである(請求項7の発明)。
この構成では、インジェクタの先端部が2つの吸気弁間の燃焼室周縁部に位置し、そこから点火プラグ近傍に向かう燃料噴霧は、その幾何学的噴霧エリアが平面視で2つの吸気弁の弁軸間に位置するものとなる。ここで、幾何学的噴霧エリアとは、仮に燃焼室に吸気等の流動がないとした場合の燃料噴霧の液滴のエリアのことであり、前記のように位置づけられた燃料噴霧は、ちょうど2つの吸気弁のカーテンエリアからそれぞれ燃焼室に流入する高速の吸気流が直接、吹き当たるような位置を通ることになる。
つまり、エンジン冷間の低回転域では、カーテンエリアから高速で吸気が流入してくる範囲を、しかもその吸気流速が特に高いときに、前記点火プラグ近傍に向かう燃料噴霧が通過して、この燃料噴霧に対し高速の吸気流が直接的に吹き当たることになり、これにより前記燃料噴霧の気化が極めて効果的に促進されるようになるので、前記した発明の作用がさらに高められる。
また、より好ましいのは、前記2つの吸気弁のうちの一方と吸気ポート開口部との間の環状隙間部から燃焼室に流入する吸気の流量が他方よりも多くなって、その一方の吸気弁周りから気筒中心に向かう吸気の流速が増大するように、エンジンの吸気ポートにおける吸気の流れを変更可能な吸気流変更手段を設けることである(請求項8の発明)。
そして、エンジン冷間の低回転域において前記吸気流変更手段を作動させて、2つの吸気弁のうちの一方から燃焼室に流入する吸気の流量を他方よりも多くすれば、その一方の吸気弁のカーテンエリアから放射状に流出する吸気の流速が、少なくとも気筒中心に向かう範囲で高められることになり、この吸気流が吹き当たる燃料噴霧の液滴の気化をより効果的に促進することができる。また、一方の吸気弁から流入する吸気量が多くなることで、気筒内流動のスワール成分が強化され、このことによっても燃料液滴の気化の促進やその気筒壁面への付着防止が図られる。
以上、説明したように、本願発明に係る火花点火式直噴エンジンによると、多噴口型のインジェクタを気筒の吸気側に配置して、少なくとも1つの燃料噴霧を点火プラグ近傍に向けたものにおいて、エンジン冷間の低回転域では、燃料の噴射圧力を高めにしてその微粒化を図りつつ、燃料噴射を複数回に分割することで噴霧の貫徹力を弱め、且つ、少なくとも点火プラグ近傍に向かう燃料噴霧がカーテンエリアからの高速の吸気流の影響を強く受けるようにしたから、相乗的に燃料液滴の気化を促進し、噴霧の貫徹力を弱めて、燃料の気筒壁面への付着を十分に軽減できる。これにより、冷間であってもHC、スモークの増大やオイル希釈の発生を果的に抑制できる。
特に請求項2,3の発明では、燃料を3分割して噴射することにより、燃料の気筒壁面への付着を非常に少なくして、前記発明の効果を十分に得ることができる。
また、請求項4の発明では、エンジン温間でも燃料の3分割噴射によって燃焼性を高めて、燃費を低減できるとともに、排気中のHC、スモークも低減できる。
さらに、請求項5,6の発明では、冷間始動後に排気温度を高め且つその流量を増大して、触媒の活性化を促進しつつ、これに伴う燃料噴射量の増大を利用して3分割噴射を実行し、これにより冷間のHC、スモークの増大やオイル希釈の発生を果的に抑制できる。
加えて、請求項7,8の発明では、特に気筒壁面に到達しやすい燃料噴霧にカーテンエリアからの高速の吸気流が直接的に吹き当たるようにして、前記発明の効果をより一層、高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
−全体構成−
図1は本発明に係る火花点火式直噴エンジン1の全体構成を示し、このエンジン1は、車両に搭載された多気筒ガソリンエンジンである。このエンジン1は、複数の気筒2,2,…(1つのみ図示する)が設けられたシリンダブロック3を有し、そのシリンダブロック3上にシリンダヘッド4が配置されている。各気筒2内には、その中心線Z(図2参照)に沿って往復動するようにピストン5が嵌挿されており、このピストン5の頂面とシリンダヘッド4の底面との間に燃焼室6が形成されるようになっている。ピストン5はコネクティングロッドによってクランク軸7に連結されており、このクランク軸7の一端側にはその回転角(クランク角)を検出するためのクランク角センサ8が配設されている。
前記各気筒2毎の燃焼室6は、詳しくは図2、3等に拡大して示すように、天井部が吸気及び排気側の2つの傾斜面からなるペントルーフ型のものであり、この天井部に相対するピストン5の頂面には、前記2つの傾斜面に対応するように吸気及び排気側にそれぞれ傾斜面を形成した上で、後述するインジェクタ18からの燃料噴霧Sとの干渉を避けるようにキャビティ5aを形成している。尚、この実施形態では、気筒2内の説明等において便宜上、気筒中心線Zの方向を上下方向と呼び、天井部の方を上方とし、ピストン5の方を下方とする。
前記燃焼室6の天井部には、吸気及び排気側の各傾斜面にそれぞれ2つずつ開口するように吸気ポート9,9及び排気ポート10,10が形成され、その燃焼室6への開口部には各々吸気及び排気弁11,12が配設されている。前記2つの吸気ポート9,9はそれぞれ燃焼室6から斜め上方に向かって延びていて、シリンダヘッド4の一側面に互いに独立して開口しており、一方、前記2つの排気ポート10,10は途中で1つに合流して略水平に延び、シリンダヘッド4の他側面に開口している。
前記吸気弁11及び排気弁12は、それぞれ、シリンダヘッド4に配設された2本のカム軸13,14がタイミングベルトを介してクランク軸7により回転駆動されることで、各気筒2毎に所定のタイミングで開閉作動されるようになっている。図1にのみ示すが、吸気側のカム軸13には、クランク軸7に対する回転位相を所定の角度範囲において連続的に変化させる公知の可変動弁機構15(以下、VVTと略称する)が付設されており、このVVT15の作動により前記吸気弁11の開閉作動時期が変更可能になっている。
また、前記燃焼室6の天井部の略中央には、4つの吸排気弁11,…,12,…に取り囲まれるようにして点火プラグ16が配設されており、該点火プラグ16の基端部には点火回路17(図1にのみ示す)が接続されていて、各気筒2毎に所定の点火タイミングで点火プラグ16に通電するようになっている。一方、燃焼室6の吸気側には、2つの吸気ポート9,9の下方においてそれらに挟まれるようにして、インジェクタ18が配設されている。
−多噴口型インジェクタ−
前記インジェクタ18は、それぞれ燃料を噴射する微小な噴口を複数個、有する多噴口型のものであり、そのように複数の噴口が設けられている先端部が2つの吸気弁11,11の間の燃焼室6周縁部に位置して、当該燃焼室6内に燃料を直接、噴射するように設けられている。より具体的には図4に一例を示すように、インジェクタ18の先端部には6個の噴口18a,…,18b,…が概略上下に分かれて3つずつ、配設されており、この各噴口18a,…,18b,…からそれぞれ10〜20°くらいの広がり角で燃料が噴射されるようになっている。
前記図4は、インジェクタ18の軸心に沿ってその先端部を見たときの、該軸心に対する噴口18a,…,18b,…の傾斜角度を模式的に示す図であって、上側の3つの噴口18a,…は、それぞれインジェクタ18の軸心から燃料の流れる向きに上向きに傾斜しており、この各噴口18a,…からそれぞれ噴出する燃料噴霧S1,…は、図2、3に示すように、仮に燃焼室6に吸気等の流動がないとした場合には燃焼室6中央寄りの点火プラグ16近傍に向かって直線的に進行し、その進行方向に見てV字状に点火プラグ16の電極(点火位置)を下方から囲むようになっている。
より詳しくは、前記V字状をなす3つの燃料噴霧S1,…のうち、V字の下部に位置する1つの燃料噴霧S1は、その幾何学的噴霧エリアが点火プラグ16電極の直下を通過するに形成され、V字の上部に位置する2つの燃料噴霧S1,S1は、その幾何学的噴霧エリアが点火プラグ16の電極を側方から挟むように形成される。このことで、3つの燃料噴霧S1,…はいずれも燃料の液滴が点火プラグ16の電極を濡らすことなく気化して、これにより形成される混合気塊が電極を包み込むようになる。
また、そのように燃焼室6の周縁部から中央寄りの点火プラグ16近傍に向かって噴射される上側の3つの燃料噴霧S1,…は、前記のように吸気流動等がないと仮定した場合、図5に模式的に示すように、2つの吸気弁11,11の弁軸11a,11a間に位置するものとなる。このように上側の3つの燃料噴霧S1,…の幾何学的噴霧エリアが、いずれも平面視で2つの吸気弁11,11の弁軸11a,11a間に位置することで、例えばインジェクタ18を気筒2の吸気行程で作動させるときに、吸気弁11,11がリフトしていても、その吸気弁11,11と燃料噴霧S1,…との干渉を抑えることができる。
一方、前記下側の3つの噴口18b,…の向きは、いずれも燃料噴霧を前記上側の3つの燃料噴霧S1,…から離して、気筒2内に広く燃料を分散させるように設定されている。すなわち、3つのうちで上側に位置するものはインジェクタ18の軸心に沿うように形成され、残りの2つの噴口18b,18bは、それぞれインジェクタ18の軸心から燃料の流れる向きに下向きに傾斜している。そして、インジェクタ18の軸心自体が気筒2の横断面に対して下向きに傾斜しているため、前記3つの噴口18b,…からそれぞれ噴出する燃料噴霧S2,…は、いずれも気筒2内を斜め下方に(ピストン5の側に)向かって進行するようになる。
前記のような噴口18a,…,18b,…のレイアウトにより、例えば成層燃焼、弱成層燃焼、或いは均一燃焼等の種々の燃焼状態において、それぞれ望ましい混合気形成を実現することができる。すなわち、例えば成層燃焼状態とするのであれば、インジェクタ18により、図6(a)に模式的に示すように気筒2の圧縮行程で燃料を噴射させることで、上述したように、上側の3つの噴口18a,…からそれぞれ噴射される燃料噴霧S1,…によって、点火プラグ16の電極近傍に着火性に優れた混合気塊を形成することができる。
また、均一燃焼状態とするのであれば、図6(b)〜(d)の如く気筒2の吸気行程で燃料を噴射させることで、各噴口18a,…,18b,…からの燃料噴霧S1,…,S2,…を気筒2内に広く分散させて、概ね均一な混合気を形成することができる。この際、上側の3つの噴口18a,…からの燃料噴霧S1,…は、吸気弁11と吸気ポート9開口部との間の環状の隙間(カーテンエリア)から燃焼室6に流入する高速の吸気流に巻き込まれ、一方、下側の3つの噴口18b,…からの燃料噴霧S2,…は、下降するピストン5を追いかけるように下方に進行しつつ、気筒2内全体に形成される大きな流動に巻き込まれるようになる。
さらに、弱成層燃焼状態とするのであれば、図6(e)の如く気筒2の吸気行程及び圧縮行程の双方でそれぞれ燃料を噴射させ、吸気行程での燃料噴射により気筒2内全体に概ね均一な希薄混合気を形成するとともに、圧縮行程での燃料噴射により点火プラグ16近傍の混合気濃度を適度に高めて、着火安定性を高めることができる。
−燃料供給系−
前記各気筒2毎のインジェクタ18には、全ての気筒2,2,…に共通の燃料分配管19が接続されていて、燃料供給系20からの高圧の燃料が分配供給されるようになっている。その燃料供給系20は、例えば図7に模式的に示すように構成され、燃料分配管19と燃料タンク21とを連通する主燃料通路22には、その上流側から下流側に向かって、低圧燃料ポンプ23、低圧レギュレータ24、燃料フィルタ25、高圧燃料ポンプ26及び高圧レギュレータ27が順に配設されている。
そして、前記低圧燃料ポンプ23により燃料タンク21から吸い上げられた燃料が低圧レギュレータ24により調圧され、燃料フィルタ25により濾過されて、高圧燃料ポンプ26に圧送される。この高圧燃料ポンプ26によってさらに昇圧された燃料の一部が高圧レギュレータ27により流量調整されて燃料分配管19へ供給される一方、残りの燃料は低圧レギュレータ28によって圧力調整されつつ、燃料タンク21に戻される。
そのようにして燃料分配管19へ供給される燃料の圧力(燃圧)が概ねインジェクタ18による燃料の噴射圧になる。この実施形態では、前記燃料分配管19にその内部の燃料の圧力状態を検出するように燃圧センサ29が配設されており、このセンサ29からの信号に基づいて後述の如くECU40により前記高圧レギュレータ27が制御されることによって、燃圧が予め設定した範囲(例えば、始動時を除いて10〜20MPa)で調整されるようになっている。
−吸気系−
前記図1においてエンジン1の右側に位置するシリンダヘッド4の一側には吸気系が配設され、各気筒2の吸気ポート9,9にはそれぞれ吸気通路30が連通している。この吸気通路30は、エンジン1の各気筒2の燃焼室6に対して図外のエアクリーナにより濾過した空気を供給するためのものであり、サージタンク31の上流の共通通路には、図示しない電動モータにより駆動される電気式スロットル弁32と、その弁体の位置(スロットル開度)を検出するスロットル位置センサ33とが配設されている。
一方、前記サージタンク31の下流では吸気通路30は各気筒2毎の独立通路とされていて、これら各独立通路の下流端部がさらに2つに分岐して個別に吸気ポート9,9に連通している。この各気筒2毎2つの分岐通路30a,30bは、前記図3に仮想線で示すように互いに並んで延びていて、その双方にそれぞれ吸気流変更手段としての流動制御弁34、35が配設されている。尚、分岐通路には、前記図3においてのみ、符号30a,30bを付す。
前記流動制御弁34,35は、その一例を図3に示すようにいずれも蝶弁からなるもので、2つの分岐通路30a、30bのうちの一方(同図の左側に位置する方)に配設された流動制御弁34は、その弁体において他方の分岐通路に近い側の略半分が切り欠かれており、閉状態では前記略半分の通路断面を残して、分岐通路30aを閉じるようになっている。こうして一方の分岐通路30aの略半分が閉じられると、吸気の流れが絞られて前記他方の分岐通路30b寄りに片寄ることになるので、その意味で前記一方の分岐通路30aの流動制御弁34を絞り弁とも呼ぶものとする。
また、前記図3において右側に位置する他方の分岐通路30bに配設された流動制御弁35は、その通路断面全体を開閉する開閉弁であり(以下、単に開閉弁35とも呼ぶ)、これにより他方の分岐通路30bを閉じれば、吸気の流れは全て前記一方の分岐通路30aに向かい、この分岐通路30aに連なる一方の吸気ポート9(図3の左側のもの)のみから気筒2内に流入するようになる。ここで、前記絞り弁34及び開閉弁35の弁体は共通のシャフトに結合されており、このシャフトが図示しないアクチュエータにより回動されて、開閉弁35により他方の分岐通路30bが閉じられるときには、前記一方の分岐通路30aの略半分が絞り弁34により閉じられる。
−気筒内流動−
そのように2つの吸気ポート9,9のうちの一方のみを吸気が流れ、しかも、その流れが絞り弁34により絞られることで、この吸気ポート9から気筒2内に流入する吸気の流れはかなり速くなる。また、他方の吸気ポート9に吸気が流れないことから、気筒2内のスワール流が強化される。さらに、前記一方の吸気ポート9に連通する分岐通路30aにおいて吸気の流れが他方の分岐通路30b寄りに片寄ることにより、吸気ポート9の開口部(バルブシート)と吸気弁11の傘部との間のカーテンエリアから燃焼室6に流入する吸気の流速分布において、図8に一例を示すように、吸気弁11から概略気筒中心に向かう流れが最も速くなる。
すなわち、一般的に、気筒内に流入する吸気の流れは吸気ポートの延びる方向に速くなり、この実施形態のような4弁式のものでは、吸気弁周りの吸気の流速分布において相対的に流速の高い範囲(吸気弁軸を中心とする角度範囲)は、図示しないが、概略、排気弁側へ向かうものとなる(この実施形態のエンジン1において流動制御弁34,35を開いた場合も同じである)。
これに対し、前記の如く流動制御弁34,35を閉じれば、前記図8に示すように、一方の吸気ポート9のカーテンエリアを燃焼室6に向かって放射状に流れる吸気流が全体として高速化されるとともに、この吸気ポート9の上流で吸気の流れが片寄ることによって、吸気弁11周りで相対的に流速の高い範囲が他方の吸気弁11側に向かって(図において反時計回りに)移動し、図に矢印で示す方向の流れが概略、最も速くなるのである。
このとき、同図にA−Aとして示す気筒中心の縦断面における吸気の流速分布は、図9(a)に示すようになり、前記のように片寄った吸気の流れがカーテンエリアから放射状に吹出すことによって、燃焼室6の天井部に近い範囲(I)(図に点線で囲んで示す範囲)において特に流速が高くなることが分かる。また、同図にB−Bとして示す気筒の横断面における流速分布は図(b)に示すようになり、前記と略同じ範囲(I)において特に流速が高くなるとともに、気筒2内に生成されたスワール流によって、排気側周縁部(範囲(II))に周方向の流れが形成されることが分かる。
ここで、前記図9(a),(b)に示す角度範囲Cは、概略、インジェクタ18の各噴口18a,…,18b,…からの燃料噴霧S1,…,S2,…の全体の噴射範囲に対応するものであり、同図によれば、上側の3つの噴口18a,…から点火プラグ16近傍に向かって噴射される燃料噴霧が、前記のように特に吸気流速の高くなる範囲(I)を通過することが分かる。このことから、吸気弁11の開作動に同期して吸気行程前半の所定クランク角期間にインジェクタ18による燃料の噴射を開始すれば、そこから点火プラグ16近傍に向かう上側の3つの燃料噴霧S1,…には、前記のように高速化された吸気流が直接、吹き当たるようになり、これにより燃料の気化を効果的に促進することができる。
前記のような効果が得られる吸気行程前半の所定クランク角期間というのは、詳しくは後述するが、例えばエンジン1が低回転域にあるときに、気筒2の吸気上死点後(ATDC)40〜80°CAとすればよい。このクランク角期間でインジェクタ18による燃料の噴射を開始すれば、上側の3つの噴口18a,…からの燃料噴霧S1,…には、カーテンエリアからの高速の吸気流が効果的に吹き当たるようになる。
尚、前記図1に示すように、エンジン1の排気通路36の上流側は、各気筒2毎に分岐してそれぞれ排気ポート10に接続される排気マニホルド37により構成され、この排気マニホルド37の集合部には排気中の酸素濃度を検出するためのセンサ38が配設されている。また、排気マニホルド37よりも下流側の排気通路36には、排気中の有害成分を浄化するための触媒39が配設されている。
そして、上述の如く構成されたエンジン1の運転制御を行うために、エンジンコントロールユニット40(以下、ECUという)が設けられている。これは、周知の如くCPU、メモリ、I/Oインターフェース回路等を備えており、少なくとも、クランク角センサ8、燃圧センサ29、酸素濃度センサ38からの信号と、吸気通路30における空気の流量を計測するエアフローセンサ41からの信号と、図示しないウオータジャケットの冷却水温度(エンジン水温)を検出する水温センサ42からの信号と、図示しないアクセルペダルの操作量(アクセル開度)を検出するアクセル開度センサ43からの信号と、を入力する。
前記センサからの信号等に基づいて、ECU40は、エンジン1の運転状態(例えば負荷状態及びエンジン回転速度)を判定し、これに応じてVVT15、点火回路17、インジェクタ18、燃料供給系20、電気式スロットル弁32、流動制御弁34,35等を制御する。これらの制御は、メモリに電子的に格納されている制御プログラムの実行により実現するものであり、その意味でECU40は、インジェクタ制御部40a、燃圧制御部40b、スロットル制御部40c、吸気流動制御部40d、点火制御部40e等を、それぞれソフトウエアの形態で備えている。
−エンジン冷間の制御−
ところで、エンジン1を均一燃焼状態とするために気筒2の吸気行程で燃料を噴射させるときには、気筒2内が負圧になっていることから燃料噴霧の貫徹力が相対的に強くなる傾向にあり、燃料噴射量が多いときにはその一部が気化せずに液滴のままで気筒2の壁面に到達することになる。特に、燃焼室6の周縁部に配置した多噴口型インジェクタ18の上側の3つの噴口18a,…から点火プラグ16の近傍に向けた燃料噴霧S1,…においては、その噴口18a,…から気筒壁面までの距離が比較的短いことも相俟って、燃料の壁面付着量は多くなりやすい。
そうして液滴のまま気筒壁面に付着したとしても、多噴口型インジェクタ18の場合は、その液滴が十分に微粒化されているので、冷間であっても、また温間であれば少々、燃料付着量が多くても、その多くは点火までの間に気化することになり、そのままエンジンオイルに混入する可能性は低いが、気筒壁面に付着した燃料液滴は気化が遅れたり、気化が不十分になったりするので、その付近に局所的に混合気の過濃な部分が形成され、この過濃部分の燃焼により煤が生成されて、いわゆるスモークが発生するとともに、その煤がエンジンオイルに混入してその粘度を低下させるというオイル希釈の問題が生じる。
特に、前記上側の3つの燃料噴霧S1,…が付着するのは、燃焼室6天井部から周壁部(気筒壁面)との境界付近にかけてであり、この付近には、気筒2の上死点近傍において燃焼室6天井部とピストン5頂面との間隔が非常に狭くなって、火炎面の伝播しない領域が形成されることから、前記の如く形成された混合気の過濃部分の一部が燃焼せずに気筒2から排出され、排気中のHC濃度が高くなるという問題も生じる。
そのような問題は、ピストンスピードが相対的に低く、気筒2内の流動が弱い低回転域において、相対的に燃料噴射量の多い中負荷以上の運転域で気筒への燃料付着量が多くなることから、問題になりやすく、特に気筒壁面の温度が低いエンジン冷間には、付着した燃料液滴の気化の遅れが大きくなることから、大きな問題になる虞れがある。
そこで、この実施形態では、エンジン冷間の低回転且つ中負荷乃至高負荷の運転域において、上述したようにカーテンエリアからの吸気流速が特に高くなる期間に対応付けて、インジェクタ18により燃料を3分割して噴射することにより、燃料噴霧S1,…,S2,…の貫徹力を弱めるとともに、特に上側の3つの燃料噴霧S1,…に対しては、上述の如くカーテンエリアからの高速の吸気流を直接的に且つ効果的に吹き当てることによって、その噴霧中の燃料液滴の気化を促進し、これにより噴霧の貫徹力を一層、弱めて、燃料の気筒壁面への付着を減らすようにしたものである。
−低負荷域での制御−
以下、エンジン冷間の燃料噴射及び吸気流動の制御について、図10に示す冷間の制御マップを参照して説明する。まず、アイドル域を含む低負荷低回転域(A)においては、ECU40の燃圧制御部40bにより燃料供給系20の高圧レギュレータ27を制御して、インジェクタ18へ供給される燃料の圧力を相対的に高い状態とし(例えば20MPaくらい)、これにより燃料噴霧における液滴の微粒化を促進する。また、インジェクタ制御部40aによるインジェクタ18の制御によって、上述の如く上側の3つの燃料噴霧S1,…にカーテンエリアからの高速の吸気流が効果的に吹き当たるようになる所定クランク角期間において、燃料の噴射が開始される。
図11は、エンジン水温が50°Cの冷間(半暖機状態)において低負荷(吸気負圧が約20kPa)低回転(1500rpm)の運転状態で、インジェクタ18による燃料の噴射圧力を10〜20MPaの範囲で、また、燃料の噴射開始時期をATDC20〜100°CAの範囲で、それぞれ変更しながら、排気中のHC、スモーク濃度の変化を調べた実験結果を示す。同図(a)によれば、燃料噴射圧力が10〜15MPaであれば、ATDC40〜60°CAくらいでHC濃度が特に低くなっており、一方、燃料噴射圧力を20MPaとした場合はATDC40〜80°CAくらいでHC濃度が低くなることが分かる。また、同図(b)によれば、燃料噴射圧力に依らず、噴射時期がATDC40〜80°CAの範囲でスモーク濃度が低くなることが分かる。
このことから、燃圧を高めにした場合、燃料噴射時期(開始時期)をATDC40〜60°CA(特にATDC60°CA付近)のクランク角期間とすることで、インジェクタ18の上側の3つの噴口18a,…から噴射される燃料噴霧S1,…にカーテンエリアからの高速の吸気流が最も効果的に吹き当たるようになり、これにより、HC、スモークが低減するものと考えられる。また、燃料噴射時期をATDC40〜80°CAとすれば、それに準じた効果が得られる。
さらに、前記低負荷低回転域(A)では、ECU40の吸気流動制御部40dによって流動制御弁34,35が閉じられることで、図8、図9を参照して上述したように気筒2内の吸気流動場が変化して、燃料の気化が効果的に促進されるようになる。すなわち、2つの吸気ポート9,9のうちの一方のみから吸気が流入することで、その吸気流速が高くなるとともに、その一方の吸気ポート9において吸気の流れが片寄ることによって、カーテンエリアから放射状に燃焼室6に流入する吸気の流速分布が変化し、特に流れの速い範囲(I)が前記上側の3つの燃料噴霧S1,…を含むようになる。
こうして、上側の3つの燃料噴霧S1,…は、カーテンエリアからの高速の吸気流のうちでも特に流速の高い範囲(I)を、その吸気流速が高いときに通過することになるので、燃料液滴の気化がより効果的に促進される。そして、高い噴射圧力による燃料の微粒化とも相俟って燃料噴霧S1,…における液滴の粒径が非常に小さくなり、その運動量が減少することで、前記燃料噴霧S1,…の貫徹力が弱められる。このため、燃料噴射量の比較的少ない低負荷域では、噴射圧力を高めていても、気筒壁面へ液滴のままで到達する燃料の量はあまり多くはならない。
しかも、そうして気筒壁面へ到達しようとする燃料液滴は、強化された気筒2内のスワール流によって周方向に運ばれるようになるから、(図9(b)の範囲(II)を参照)、燃料液滴の気筒壁面への付着量は少なくなり、燃料の壁面付着に起因するHC、スモークの増大やオイル希釈等の問題を抑制することができる。
−中負荷乃至高負荷域での制御−
これに対し、燃料噴射量の多い中負荷以上の運転域(B),(C)においては、前記した低負荷域(A)のようにカーテンエリアからの高速の吸気流を利用して、燃料噴霧の気化を促進するだけでは不十分であり、インジェクタ制御部40aによるインジェクタ18の制御によって燃料を、各回の噴射作動がそれぞれ前記所定クランク角期間(ATDC40〜80°CA)にて開始されるように、3回に分割して噴射させるようにしている。これは、合計で同じ量の燃料を噴射するのであれば、これを一括して噴射するのに比べて2回以上に分割する方が燃料噴霧の貫徹力が弱くなるからである。
図12は、気筒内に噴射された燃料噴霧が気化してゆく様子を例えばレーザシート法等により計測したものであり、液相及び蒸気相の当量比分布を一括噴射の場合と2分割噴射の場合とで対比して示す。同図(a)の一括噴射では先に噴出した燃料を後から続けて噴出する燃料が押し出すことで、燃料噴霧の貫徹力が強くなり、その到達距離(ペネトレーション)が長くなる。また、燃料の集中により液相が残りやすく、その気化が遅れるとともに、空気との混合も遅れる傾向がある。
一方、同図(b)に示す分割噴射の場合は、各回の噴射による燃料噴霧の貫徹力が弱くなることで、噴霧全体としても貫徹力が弱くなり、その到達距離が短くなる。また、分割して噴射された噴霧同士の間に空気が巻き込まれることで、燃料の気化が促進されるとともに、燃料噴霧全体として噴射軸線に対する半径方向への拡散が促進されて、噴霧幅が広がっている。こうして貫徹力が弱くなって横に広がった燃料噴霧は、カーテンエリアからの吸気流の影響を受けやすくなり、より一層、気化及び空気との混合が促進される。
図13、14は、それぞれ、一括噴射の場合と3分割噴射の場合とで、エンジン冷間の中負荷域における燃料噴霧の挙動を示したものであり、図13に示す一括噴射の場合は、上述した低負荷域とは異なり燃料噴射量が多いことから、図(b)の如く噴射方向に長く延びた燃料噴霧の先端が気筒壁面に到達し、この結果として、図(c)に太線で囲んで示すように、かなり多くの燃料が液滴のまま気筒壁面に到達してしまう。
一方、図14に示す3分割噴射の場合は、1回目の噴射後の図(b)から分かるように、燃料噴霧の到達距離は短く、単独では気筒壁面に到達しない上に、図8,9を参照して上述したように、カーテンエリアからの高速の吸気流や気筒内のスワール流の影響を受けて図(c)〜(f)の如く燃料液滴が気筒内に分散されることになり、3回の噴射が全て終了しても、液滴のまま気筒壁面に到達する燃料は、前記一括噴射に比べて遙かに少なくなる。
すなわち、インジェクタ18から燃料を分割して噴射させることで、その噴霧の貫徹力を弱めることができるとともに、そうして貫徹力の弱まった燃料噴霧がカーテンエリアからの高速の吸気流の影響を強く受けるようになり、これにより燃料液滴の微粒化及び気化が相乗的に促進されてその運動量が減少することによっても、燃料噴霧の貫徹力が弱められ、燃料の気筒壁面への付着量が減少するのである。
こうして、エンジン冷間の低回転域において比較的燃料噴射量の多い中負荷乃至高負荷域(B),(C)でも、高燃圧化によって燃料の微粒化を促進するとともに、カーテンエリアからの吸気流速が高い期間に対応付けて燃料を3回に分割して噴射することにより、相乗的に燃料液滴の気化を促進し、混合気の燃焼性を高めるとともに、燃料噴霧の貫徹力を大幅に低下させて、気筒壁面への燃料付着を抑制することができる。これにより、HC、スモークの増大やオイル希釈等の問題を十分に抑制できる。
図15(a)は、エンジン冷間の中負荷低回転状態における気筒壁面への燃料付着率を、一括噴射の場合と3分割噴射の場合とで対比して示すものであり、図に実線で示す3分割噴射では、破線で示す一括噴射に比べて付着率が半分程度になっている。3分割噴射の方が付着の始まるのが早い(進角側における)のは、最初の噴射開始時期が相対的に進角側にあるからであり、いずれの場合もピーク後、クランク角の進行に伴い付着した燃料が蒸発することで、付着率は徐々に低下している。
また、同図(b)に示すのは、圧縮上死点前の通常の点火時期近傍における混合気の当量比分布であり、図に実線で示す3分割噴射では、破線で示す一括噴射に比べて当量比のばらつきが遙かに小さいことが分かる。これは、上述の如く燃料液滴の気化及び空気との混合が効果的に促進されるとともに、燃料の気筒壁面への付着が抑制されることによって、点火までに均一度の高い良好な混合気が形成されることを示している。
尚、前記中負荷域(B)では、低負荷域(A)と同様に吸気流動制御部40dによって流動制御弁34,35が閉じられることで、カーテンエリアからの吸気流速が高められており、一方、高負荷域(C)では気筒2への吸気充填効率を高めるために、流動制御弁34,35は開かれている。高負荷域(C)では、スロットル弁32が大きく開かれており、そもそも気筒2に吸入される吸気量が多いので、流動制御弁34,35を開いていてもカーテンエリアからの吸気流は十分に高速になり、また、気筒2内の流動も強くなる。
−噴射分割回数−
ここで、インジェクタ18からの燃料噴射の分割回数について、さらに少し詳しく説明すると、前記したように、この実施形態では、エンジン冷間の低回転域における中負荷乃至高負荷域、即ち燃料噴射量が比較的多いときに燃料を3分割して噴射させるようにしているが、これは、1サイクルあたりの燃料噴射量が、インジェクタ18の流量特性によって決まる最小噴射量の3倍以上のとき、つまり、その最小噴射量以上で各回の噴射を行えるときに、3分割噴射を実行するということである。
すなわち、一般的なインジェクタ18の流量特性は、図16に一例を示すようになり、電磁ソレノイドへの通電時間(噴射パルス幅T)に概略、比例する分量の燃料が噴射されるのであるが、その噴射パルス幅Tが特に小さいとき(図示の最小パルス幅Tminよりも小さいとき)には針弁がリフトしても、最大リフトになる前に閉じることになるため、図示の如く燃料噴射量が噴射パルス幅Tに比例しなくなり、また、その噴射量のばらつきが大きくなってしまう。
つまり、インジェクタ18の1回の噴射作動によて噴射される燃料の分量が、前記のように針弁の最大リフトが可能な最小噴射量(最小パルス幅Tminに対応する噴射量)よりも少なくなると、燃料噴射量の制御性が著しく低下してしまい、不具合を生じることになる。
そこで、この実施形態では、上述したように、中負荷乃至高負荷域(B)(C)で、1サイクルあたりの燃料噴射量が前記最小噴射量の3倍以上のときに燃料を、各々前記最小噴射量以上となるよう3回に分割して噴射させるようにしている。尚、各回の噴射量が最小噴射量以上となるのであれば、燃料を4回以上に分割して噴射させることもできるが、この実施形態のインジェクタ18では、全負荷に対応して燃料噴射量を最大とするときであっても、それは最小噴射量の4倍未満であり、よって、噴射の分割回数は3回までとなる。
そのような観点からは、1サイクルあたりの燃料噴射量が最小噴射量の3倍未満である低負荷域(A)において、燃料を2分割して噴射することは可能である。しかし、2分割の場合は、燃料噴射を分割すること自体による噴霧貫徹力の弱化効果が、3分割の場合に比べてかなり低くなる上に、2分割された各回の噴射開始時期がそれぞれ上述した好ましいクランク角期間(ATDC40〜80°CA)において進角側及び遅角側に偏ることから(つまり、最も好ましいATDC60°CA近傍で噴射される燃料がなくなってしまうから)、カーテンエリアからの高速吸気流によって燃料噴霧の気化を促進するという効果も低下してしまう。
つまり、仮に低負荷域(A)において前記好ましいクランク角期間で2分割噴射を行ったとしても、一括噴射の場合と比べて燃料液滴の気化や空気との混合が大きく促進されるわけではなく、燃料噴霧の貫徹力もあまり弱くはならないから、HC、スモークの増大やオイル希釈等の問題を一括噴射の場合と比べて効果的に抑制できるわけではない。
尚、前記好ましいクランク角期間(ATDC40〜80°CA)においても特に好ましいクランク角(ATDC60°CA近傍)で噴射される燃料の量を増やすために、この実施形態では、前記のように燃料を3回に分割して噴射させるときに、図6(d)に示すように、2回目の分割噴射量を1回目及び3回目の各分割噴射量以上としている。
図17は、冷間の中負荷低回転状態でインジェクタ18による燃料の噴射回数を変化させたときの噴霧のペネトレーションの変化と、排気中のHC、スモーク濃度の変化とを示す。同図(a)によると、2分割噴射では一括噴射に比べてあまりペネトレーションが低下しないのに対して、3分割以上ではペネトレーションが大幅に低下し、インジェクタ18の上側の噴口18aから燃料噴射方向に対向する気筒壁面までの距離(燃焼室壁面までの距離)未満となる。ペネトレーションは、例えば前記図12に示すように計測した噴射開始から所定時間後の燃料噴霧の濃度分布像において、噴口から燃料噴霧の液滴エリア先端までの距離を測定したものである。
また、同図(b)に示すように、排気中のHC濃度は、一括噴射及び2分割噴射の場合は燃圧の上昇に伴い増大するが、3分割噴射では燃圧の上昇に伴い減少している。一方、スモークは、同図(c)に示すように、一括噴射及び2分割噴射の場合は燃圧を高めても略変化しないが、3分割噴射では燃圧を或る程度以上(図の例では約15MPa以上)まで高めれば、減少している。つまり、燃圧を或る程度以上、高くした上で、インジェクタ18により燃料を2回ではなく、3回以上に分割して噴射することで、上述したように、冷間の低回転域であってもHC、スモークの増大やオイル希釈等の問題を効果的に抑制できることが分かる。
−触媒活性化中の制御−
上述の如きエンジン冷間の基本的な制御に加えて、さらに、この実施形態では、前記図10の制御マップにおいて低負荷低回転域(A)の中に模式的に斜線を入れて示すように、エンジン1の冷間始動後、触媒39の活性化のために点火リタードを行うときには、低負荷域であっても燃料の3分割噴射を実行するようにしている。
具体的に、この実施形態では、エンジン始動時に水温センサ42からの信号に基づいて検出されるエンジン水温(始動時水温)が所定温度以下のときに、冷間始動であると判定し、その始動時水温に対応する設定期間(予め実験等により決定して、始動時水温に応じてテーブル等に設定しておけばよい)、触媒39の活性化を促進するための制御を行う。すなわち、まず、ECU40の点火制御部40eにより点火回路17を制御して、気筒2の点火時期を吸気上始点以降まで遅角する。これにより排気温度が高くなって、触媒39の温度が速やかに上昇し、その活性化が促進される。
また、そうして点火時期が大幅に遅角されることによるエンジントルクの低下を補うように、ECU40のスロットル制御部40cによりスロットル弁32を開いて、吸気量を増量する(吸気量が温間の同じ運転状態に比べて多くなる)。こうして吸気量が多くなれば、その分、燃料噴射量も多くなるので、低負荷域(A)であっても燃料を、各回の噴射量が最小噴射量以上となるようにして、3回に分割して噴射することが可能になる。
しかも、スロットル弁32が開かれて、気筒2への吸気流量が増量される結果として、カーテンエリアからの吸気流速が高くなり、気筒2内の流動も強化されることになるので、燃料噴霧S1,…,S2,…の気化や空気との混合をより効果的に促進することができる。この際、勿論、吸気流動制御部40dにより流動制御弁34,35は閉じて、このことによっても吸気流速を高めるようにする。
そうした上で、この実施形態では、前記触媒39の温度が或る程度以上に高くなって浄化性能を発揮する(所謂テイクオフ)半活性状態になるまでは、インジェクタ制御部40aによるインジェクタ18の制御によって、燃料を気筒2の吸気行程及び圧縮行程でそれぞれ1回ずつ噴射させるようにする(図6(e)を参照)。こうすることで、吸気行程での燃料噴射により気筒2内全体に概ね均一な混合気を形成するとともに、点火プラグ16近傍の混合気濃度を適度に高めて、冷間の着火安定性を高めることができる。しかも、圧縮行程で噴射された燃料の後燃えによっても排気温度が上昇するので、触媒39の温度上昇を可及的に促進し、速やかにテイクオフさせることができる。
そうして触媒39が半活性状態になれば、その後は、上述した負荷乃至高負荷域の制御と同様に吸気行程での3分割噴射に切り替えることで、触媒39の活性化を促進しつつ、HC、スモークの増大やオイル希釈等の問題を抑制することができる。
したがって、この実施形態に係る火花点火式直噴エンジン1によると、多噴口型のインジェクタ18を気筒2内の燃焼室6周縁部に配置して、上側の3つの噴口18a,…から点火プラグ16の近傍に向けて燃料を噴射するとともに、下側の3つの噴口18b,…からは下方に向けて燃料を噴射するようにしたことで、成層燃焼から均一燃焼までのいずれの燃焼状態においても望ましい混合気形成を実現することができる。
また、エンジン冷間の低回転域において比較的燃料噴射量の少ない低負荷域では、燃圧を高めにしてその微粒化を促進しつつ、燃料を吸気行程前半の所定クランク角期間に噴射して、少なくとも点火プラグ16近傍に向かう上側の3つの燃料噴霧S1,…にはカーテンエリアからの高速の吸気流を直接、且つ効果的に吹き当てることで、燃料液滴の気化を促進して、混合気の燃焼性を高めるとともに、その貫徹力を弱めて燃料の気筒壁面への付着を軽減することができる。
さらに、エンジン冷間の低回転域において比較的燃料噴射量の多い中負荷乃至高負荷域では、前記低負荷域と同様に燃圧を高めにするとともに、前記所定クランク角期間において燃料を3回に分割して噴射し、これにより噴霧の貫徹力を弱めるとともに、カーテンエリアからの高速の吸気流による燃料液滴の気化促進効果を相乗的に高めることで、燃料噴射量が多くても良好な混合気形成を可能とし、且つ燃料噴霧の貫徹力をさらに弱めて、燃料の気筒壁面への付着を軽減することができる。
しかも、前記低負荷及び中負荷域では流動制御弁34,35を閉じて、一方の吸気ポート9から気筒2内に流入する吸気の流速を少なくとも気筒中心に向かう範囲で高めるようにしており、この吸気流が吹き当たる上側の燃料噴霧S1,…における液滴の気化をより効果的に促進することができる上に、気筒2内のスワール流が強化され、このことによっても燃料液滴の気化の促進やその気筒壁面への付着防止が図られる。
よって、エンジン冷間の低回転域においても良好な混合気形成を実現し、燃料の気筒壁面への付着を低減して、HC、スモークの増大やオイル希釈の問題を果的に抑制することができる。
加えて、この実施形態では、エンジン1の冷間始動後に点火リタードによって排気温度を上昇させ、且つその流量を増大させて触媒39の活性化を促進するとともに、その間は吸気量の増大に伴い燃料噴射量も増量されることを利用して、低負荷域であっても3分割噴射を実行することができ、これにより、触媒39の活性化を促進しつつ、HC、スモークの増大やオイル希釈の問題を効果的に抑制できる。
(他の実施形態)
本発明の構成は、前記した実施形態のものには限定されず、その他の種々の構成をも包含する。すなわち、前記実施形態では、図4に示すようにインジェクタ18の先端部に6個の噴口18a,…,18b,…を上下に3つずつレイアウトしているが、噴口の個数やレイアウトはそれに限定されるものではなく、例えば図18(a)〜(f)に示すように、噴口数は5個以下でもよいし、反対に7個以上とすることもできる。
同図(a),(b)に示す噴口18a,…のレイアウトは、気筒2内に燃料を分散させて均一燃焼状態とするのに適したものであり、特に図(b)のものでは、リフトしている吸気バルブ11に燃料噴霧の中心が干渉しないようにしながら、比較的多数の各噴口18a,…を配置できる。また、同図(c)〜(f)にそれぞれ示す噴口18a,…,18b,…のレイアウトは、前記実施形態のものと同様に点火プラグ16近傍に向けて燃料を噴射する噴口18a,…と、それ以外の方向に分散するように燃料を噴射する噴口18b,…とを設けて、均一燃焼及び成層燃焼の双方に適合するようにしたものである。
また、前記実施形態においては、吸気弁11周りの吸気流速分布を調整するための吸気流調整手段として、図3に示すように、吸気通路30の各気筒2毎2つの分岐通路30a,30bにそれぞれ配設した流動制御弁34(絞り弁),35(開閉弁)を用いており、その絞り弁34の弁体は、他方の分岐通路30bに近い略半分を切り欠いたものとしているが、これに限るものではない。
すなわち、例えば図19に示すように、絞り弁34の弁体において他方の分岐通路30bに近い略半分のうちの上側のみを切り欠いてもよいし、反対に、図20のように下側のみを切り欠いてもよい。図19のように弁体の他方の分岐通路30bに近い上側略1/4を切り欠くと、この弁体を閉じたときに吸気流が吸気ポート9の上側に片寄るため、その吸気ポート9の延びる方向に向かう流れが比較的強くなり、気筒2内の流動においてスワール成分がさらに強化される。
一方、図20のように弁体の他方の分岐通路30bに近い下側略1/4を切り欠くと、この弁体を閉じたときに吸気流が吸気ポート9の下側に片寄り、その燃焼室6への開口部と吸気弁11の傘部との間を放射状に拡がる流れが強化されるので、点火プラグ16近傍に向けた燃料噴霧S1,…に直接、吹き当たる吸気流速がさらに高くなる。
さらにまた、前記実施形態においては、図10の制御マップに示すように、エンジン冷間の低回転域において中負荷乃至高負荷域では3分割噴射を実行する一方、低負荷域では一括噴射するよにしているが、これに限らず、インジェクタ18の最小噴射量がさらに少なくなって、低負荷域でも3分割噴射を実行できるようになれば、そうしても構わない。
また、前記実施形態においてはエンジン冷間の制御についてのみ説明したが、燃料の3分割噴射は冷間だけでなく、エンジン温間にも実行可能である。すなわち、例えば温間の中負荷乃至高負荷域で燃料噴射量が最小噴射量の3倍以上のときに、冷間の中負荷乃至高負荷域と同様にインジェクタ18により燃料を、各々最小噴射量以上となるよう3回に分割して噴射させるようにすればよい。こうすれば、燃料噴射量の多いときにその液滴の気化を効果的に促進し、気筒壁面への付着を抑制することができるから、燃焼性の向上により燃費を低減できるとともに、排気中のHC、スモークをさらに低減することができる。
以上、説明したように、本発明は、多噴口型インジェクタを備えた火花点火式直噴エンジンにおいて、冷間の低回転域であっても燃料噴霧の気化を十分に促進し、気筒壁面への燃料の付着を軽減して、排気中のHC、スモークの増大やオイル希釈の問題を抑制することができるから、自動車用エンジン等に好適である。
本発明の実施形態に係る火花点火式直噴エンジンの全体構成を示す図である。 気筒の構造を拡大して示す正面図である。 同斜視図である。 インジェクタの各噴口のレイアウトを模式的に示す図である。 気筒中心線に沿って見て、上側の燃料噴霧の幾何学的噴霧エリアの位置を示す説明図である。 インジェクタによる燃料の噴射パターンを模式的に示す説明図である。 燃料供給系の構成を示す説明図である。 流動制御弁を閉じたときの吸気弁周りの流速分布をCFDにより求めた図である。 上側の燃料噴霧を含む範囲の吸気の流速分布をCFDにより求めた図であり、(a)は気筒の中心付近の縦断面を、また、(b)は天井部付近の横断面を示す。 エンジン冷間の制御マップの一例を示す説明図である。 一括噴射において燃料噴射時期の変更によるHC、スモーク濃度の変化を示すグラフ図である。 燃料噴霧が気化による液相及び蒸気相の当量比分布の変化を、一括噴射の場合と2分割噴射の場合とで対比して示す説明図である。 冷間の中負荷低回転域において一括噴射した場合の燃料噴霧の挙動をCFDにより求めた図である。 3分割噴射の場合の図13相当図である。 冷間の中負荷低回転域における燃料の気筒壁面付着率の推移と、点火時期近傍における混合気の当量比分布とを、一括噴射の場合と3分割噴射の場合とで対比して示すグラフ図である。 インジェクタの流量特性の一例を示す図である。 冷間の中負荷低回転域における燃料噴射回数による貫徹力の変化と、これによるHC、スモーク濃度の変化とをそれぞれ示すグラフ図である。 噴口のレイアウトの他の実施形態を示す図4相当図である。 流動制御弁の他の実施形態を示す図3相当図である。 流動制御弁のさらに他の実施形態を示す図3相当図である。
符号の説明
1 エンジン
2 気筒
6 燃焼室
9 吸気ポート
11 吸気弁
16 点火プラグ
18 インジェクタ
18a 上側の噴口(少なくとも1つの噴口)
34,35 流動制御弁(吸気流変更手段)
39 触媒
40 ECU
40a インジェクタ制御部(燃料噴射制御手段)
40b 燃圧制御部(燃料噴射制御手段)
40c スロットル制御部(吸気量制御手段)
40d 吸気流動制御部(吸気流変更手段)
40e 点火制御部(点火時期制御手段)
Z 気筒中心線

Claims (8)

  1. 複数の噴口を有する多噴口型のインジェクタが、気筒内の燃焼室にその吸気側の周縁部から燃料を噴射するように配設されていて、少なくとも1つの噴口からの燃料噴霧が燃焼室中央寄りの点火プラグ近傍に向けられている火花点火式直噴エンジンにおいて、
    冷間の低回転域で燃料噴射圧力を所定圧以上に高めるとともに、気筒の吸気行程前半で吸気ポートの開口部と吸気弁との間の環状隙間部から燃焼室に流入する吸気の流速が所定以上に高くなるクランク角期間に対応付けて、前記インジェクタにより燃料を複数回に分割して噴射させる燃料噴射制御手段を備えることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  2. 請求項1の火花点火式直噴エンジンにおいて、
    燃料噴射制御手段は、燃料噴射量が、インジェクタの針弁の最大リフトが可能な最小噴射量の3倍以上で且つ4倍未満のときに、当該インジェクタにより燃料を、各々前記最小噴射量以上となるよう3回に分割して噴射させるものであることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  3. 請求項2の火花点火式直噴エンジンにおいて、
    燃料噴射制御手段は、インジェクタにより燃料を3回に分割して噴射させる際に、そのうちの2回目の分割噴射量を1回目及び3回目の各分割噴射量以上とするものであることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  4. 請求項2又は3のいずれかの火花点火式直噴エンジンにおいて、
    燃料噴射制御手段は、温間の低回転域でも燃料噴射量が最小噴射量の3倍以上のときに、燃料噴射圧力を所定圧以上に高めるとともに、気筒の吸気行程前半で環状隙間部からの吸気流速が所定以上に高くなるクランク角期間に対応付けて、インジェクタにより燃料を、各々最小噴射量以上となるよう3回以上に分割して噴射させるものであることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つの火花点火式直噴エンジンにおいて、
    排気浄化用の触媒を備え、
    冷間始動後の所定期間、前記触媒の活性化を促進するために、点火時期を気筒の吸気上始点後まで遅角させる点火時期制御手段と、
    前記触媒の活性化促進期間、気筒への吸気量を温間の同じ運転状態に比べて多くなるように制御する吸気量制御手段と、を備え、
    燃料噴射制御手段は、前記触媒の活性化促進期間においてインジェクタによる吸気行程での分割噴射制御を実行するものであることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  6. 請求項5の火花点火式直噴エンジンにおいて、
    燃料噴射制御手段は、冷間始動後の活性化促進期間において触媒が所定の半活性状態になるまでは、インジェクタにより燃料を気筒の吸気行程及び圧縮行程でそれぞれ1回ずつ噴射させ、触媒が前記半活性状態になれば、吸気行程での分割噴射に切り替えるものであることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つの火花点火式直噴エンジンにおいて、
    気筒には吸気弁が2つずつ配設され、
    前記気筒の中心線に沿って見たときに、前記2つの吸気弁間にインジェクタの先端部が位置するとともに、少なくとも1つの噴口から点火プラグ近傍に向けて噴射される燃料噴霧の幾何学的噴霧エリアが前記2つの吸気弁の弁軸間に位置するように、この燃料噴霧の噴出する噴口の向きが設定されていることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
  8. 請求項7の火花点火式直噴エンジンにおいて、
    2つの吸気弁のうちの一方と吸気ポート開口部との間の環状隙間部から燃焼室に流入する吸気の流量が他方よりも多くなって、その一方の吸気弁周りから気筒中心に向かう吸気の流速が増大するように、吸気ポートにおける吸気の流れを変更可能な吸気流変更手段が設けられていることを特徴とする火花点火式直噴エンジン。
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