JP2004218550A - 容量可変斜板式コンプレッサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】クランク室12内に回転自在に嵌挿された駆動軸20と、駆動軸20とともに回転するラグプレート21と、駆動軸20に対する傾斜角度を自在に変えられる駆動斜板24と、ラグプレート21の一端側に具備されるラグヒンジ51と駆動斜板24の一端側に具備される斜板ヒンジ53とのいずれか一方に設けられた長孔52と、ラグヒンジ51と斜板ヒンジ53の他方に設けられた挿通孔54と、長孔52と挿通孔54に支持されるジャーナルピン55とから構成され、且つラグプレート21と駆動斜板24とを連結するキドニー部50とを備えつつ、稼働状態では、ラグプレート21の回転駆動力によって、ジャーナルピン55が長孔52の内周壁52′に当接保持される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒の吐出容量を制御する容量可変斜板式コンプレッサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から車両用空気調和装置に使用されるコンプレッサとして、特許文献1に開示されるような揺動斜板式可変容量圧縮機が知られている。
【0003】
この揺動斜板式可変容量圧縮機は、シリンダにおける圧縮室内容積を変化させて、この揺動斜板式可変容量圧縮機の吐出冷媒量を調節し、この揺動斜板式可変容量圧縮機の吸入圧を所定の値になるようにしたものである。このように吸入圧を所定の値にすることは、エバポレータの出口における冷媒圧力を所定の値にすることになり、外気温、日射、車室内設定温度、および車室内温度などによって決まる熱負荷に応じて空調出力を変化させることができる。
【0004】
これにより、従来から行なわれていたマグネットクラッチによる揺動斜板式可変容量圧縮機のオン、オフを減らすことができることから、揺動斜板式可変容量圧縮機のオン、オフによる車室内への吹き出し空気の急激な温度変化及びエンジンへの急激な負荷変動が防止され、運転時の快適性を向上させることができるものである。
【0005】
また、揺動斜板式可変容量圧縮機は、駆動軸に伝えられたエンジンからの回転運動を回転軸、ラグプレート、回転揺動斜板を介して、ピストンの往復動に変換している。そして、揺動斜板式可変容量圧縮機は、クランク室を貫通するように支持される回転軸上に嵌合されるラグプレートの外周部に設けた支持アームに長孔を形成し、該長孔には連結ピンを往復動可能に係合し、さらに該連結ピンには前記ラグプレートと一体的に回転する揺動斜板が前記連結ピンを中心に前後方向の揺動可能に装着されている。また、揺動斜板の前後方向への揺動運動により吸入室から吸入した冷媒ガスをシリンダボア内で圧縮して、吐出室へ吐出するようにする。前記揺動斜板の傾斜角が最小となる最小容量位置を規制するための調整ネジを長さの異なるものから適宜に選択して前記長孔の下端部に螺合する。
【0006】
そして、このような構成にすることで、圧縮機を搭載する車種あるいは冷房装置が必要とする最小吐出容量に適合するため、斜板の傾斜角が最小となる最小容量位置の位置調整を圧縮機の組付け工程で容易に行うことができるものである。
【0007】
【特許文献1】
実開平6−22580号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来技術では、稼働中のシリンダー内圧力のピークが発生するタイミングが低回転域と高回転域では異なるため、ピストンが冷媒を圧縮する際に生じる圧縮反力が作用する回転揺動斜板の位置が変化することにより、キドニー部がガタつき、音と振動が発生する原因となっていた。
【0009】
そこで、本発明は、稼働中にキドニー部がガタつくことにより発生する音と振動を防止する容量可変斜板式コンプレッサを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明にあっては、略円柱形状を具備し、クランク室内に回転自在に嵌挿された駆動軸と、該駆動軸に固設され該駆動軸とともに回転するラグプレートと、略円盤形状を具備し、この円盤形状の中心部分を該駆動軸が貫通しつつ、該駆動軸に摺動自在に支持され、且つ該駆動軸に対する傾斜角度を自在に変えられる駆動斜板と、該ラグプレートの一端側に具備されるラグヒンジと該駆動斜板の一端側に具備される斜板ヒンジとのいずれか一方に設けられた長孔と、該ラグヒンジと該斜板ヒンジの他方に設けられた挿通孔と、該長孔と該挿入孔に支持されるジャーナルピンとから構成され、且つ該ラグプレートと該駆動斜板とを連結するキドニー部とを備えた容量可変斜板式コンプレッサにおいて、前記容量可変斜板式コンプレッサが稼働状態で、前記ラグプレートの回転駆動力によって、ジャーナルピンが長孔の内周壁に当接保持されることを特徴とする。
【0011】
請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の容量可変斜板式コンプレッサであって、前記キドニー部は、前記ラグプレートの回転面の円周方向の接線に沿って設けられた前記挿通孔と前記長孔に先細のテーパ形状を備えた前記ジャーナルピンが該ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かって前記挿通孔と前記長孔に挿嵌され、且つ前記容量可変斜板式コンプレッサが稼働状態では、圧縮反力によって長孔の内周壁に該ジャーナルピンのテーパー部分が当接保持されることを特徴とする。
【0012】
請求項3記載の発明にあっては、請求項1記載の容量可変斜板式コンプレッサであって、前記キドニー部は、前記ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かって該ラグプレートへ近づく方向に傾斜して設けられた前記挿通孔に略円柱形状を具備するジャーナルピンが挿嵌され、且つ前記容量可変斜板式コンプレッサが稼働状態では、圧縮反力によって長孔の内周壁に該ジャーナルピンの円柱形状部が当接保持されることを特徴とする。
【0013】
請求項4記載の発明にあっては、請求項1記載の容量可変斜板式コンプレッサであって、前記キドニー部は、前記ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かって該ラグプレートから離れる方向に傾斜して設けられた前記長孔に略円柱形状を具備するジャーナルピンが挿嵌され、且つ前記容量可変斜板式コンプレッサが稼働状態では、圧縮反力によって長孔の内周壁に該ジャーナルピンの円柱形状部が当接保持されることを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、稼働状態の容量可変斜板式コンプレッサで、ラグプレートの回転駆動力によって、ジャーナルピンが長孔の内周壁に当接保持されることにより、キドニー部のガタつきを防止して、音と振動の発生を防止することができる。
【0015】
請求項2記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、先細のテーパー形状を備えたジャーナルピンをラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かって前記挿通孔と前記長孔に挿嵌することにより、キドニー部の構造を複雑にすることなく、製造コストの増大を防止することができる。
【0016】
請求項3記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、挿通孔が、ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かってラグプレートへ近づく方向に傾斜して設けられていることにより、キドニー部の構造を複雑にすることなく、製造コストの増大を防止することができる。
【0017】
請求項4記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、長孔が、ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かってラグプレートから離れる方向に傾斜して設けられていることにより、キドニー部の構造を複雑にすることなく、製造コストの増大を防止することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態としての容量可変斜板式コンプレッサについて、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態にかかる容量可変斜板式コンプレッサの全体断面図、図2〜図5は第1〜第4本実施形態のキドニー部の断面図、図6は第1実施形態のキドニー部を備えた容量可変斜板式コンプレッサ稼働時の音圧計測結果を示した図である。
【0019】
図1に示されるように、この容量可変斜板式コンプレッサ1は、円周方向に複数の等間隔に配置されたシリンダ11を有するシリンダブロック10と、シリンダブロック10の前端面に接合されシリンダブロック10との間にクランク室12を形成するフロントハウジング13と、シリンダブロック10の後端面にバルブプレート14を介して接合され吸入室15および吐出室16を形成するリアハウジング17とが設けられている。これらシリンダブロック10とフロントハウジング13とリアハウジング17とは、複数のスルーボルト18によって締結固定される。
【0020】
バルブプレート14は、シリンダ11と吸入室15とを連通する吸入孔15aと、シリンダ11と吐出室16とを連通する吐出孔(不図示)とが設けられている。
【0021】
バルブプレート14のシリンダブロック10側には、吸入孔15aを開閉する弁機構不図示が設けられ、一方、バルブプレート14のリアハウジング17側には、吐出孔を開閉する弁機構不図示が設けられている。バルブプレート14とリアハウジング17との間にはガスケットが介在し、吸入室15と吐出室16の密閉性が確保されている。また、バルブプレート14の周縁にはリアハウジング17とシリンダブロック10との接合面にOリングが挟持され、外部への冷媒漏れが防止されている。
【0022】
シリンダブロック10およびフロントハウジング13の中心の支持孔18a、18bには軸受を介して駆動軸20が軸支され、この駆動軸20がクランク室12内で回転自在となっている。
【0023】
クランク室12内には、駆動軸20に固設されたラグプレート21と、駆動軸20に摺動自在に嵌装されたスリーブ22にピン23により揺動自在に連結された駆動斜板としてのジャーナル24と、ジャーナル24のボス部25に軸受を介して装着されたウォッブルプレート26とが設けられている。ウォッブルプレート26は、クランク室12内に固定された規制プレート30に摺動自在に連結されることで、回転が防止され、且つ駆動軸20の軸線方向への揺動が許容されている。つまり、駆動軸20が回転することによりジャーナル24が回転し、ウォッブルプレート26はジャーナル24の回転揺動に伴って、非回転で且つ軸線方向に揺動するようになっている。なお、ラグプレート21とジャーナル24とは、キドニー部50で連結されている。
【0024】
このキドニー部50は、ラグプレート21の一端側に具備されるラグヒンジ51に設けられた弧状の長孔52と、ジャーナル24の一端側に具備される斜板ヒンジ53に設けられた挿通孔54と、ジャーナルピン55とから構成され、ジャーナルピン55は、長孔52の内部を揺動自在に挿入されつつ、両端部が挿通孔54、54に圧入保持されている。また、ジャーナルピン55の先端部には、挿通孔54からの抜け防止としてCリング59が嵌入されている。そして、このキドニー部50によりウォッブルプレート26の最大傾斜角度と最小傾斜角度とが規制されている。
【0025】
各シリンダ11に収容されたピストン19は、ピストンロッド19aを介してウォッブルプレート26に連結され、ウォッブルプレート26の揺動によって往復運動するようになっている。
【0026】
容量可変斜板式コンプレッサ1は、その基本機能として、エンジン不図示によって、ベルト不図示、プーリ27及びマグネットクラッチ28を介して駆動軸20が回転駆動され、この駆動軸20が回転することにより、ジャーナル24が駆動軸20に対して斜めに傾いた状態で駆動軸20と共に回転し、ウォッブルプレート26が外周縁をうねらせながら駆動軸20の軸線方向に摺動する。さらに、ウォッブルプレート26の外周縁が駆動軸20の軸線方向に往復動することによりピストンロッド19aを介してピストン19が往復動をし、このピストン19の往復動により、吸入室15からバルブプレート14の吸入孔15aを通じてシリンダ11へと吸入された冷媒を圧縮し、シリンダ11からバルブプレート14の吐出孔を通じて吐出室16へと吐出する。
【0027】
この吐出容量を可変とするために、クランク室12と吸入室15とを常時連通する抽気通路15bと、クランク室12と吐出室16とを連通する給気通路16aと、給気通路16aを開閉するコントロールバルブ29とからなる圧力制御機構が設けられている。コントロールバルブ29の開閉によりクランク室12内の圧力を変えると、クランク室12と吸入室15とのピストン19の前後の圧力バランスよりウォッブルプレート26の傾斜角が変化して、つまり、ピストンストロークが変化して、容量可変斜板式コンプレッサ1の吐出容量が変わるようになっている。
【0028】
図2は、第1実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1を図1中のA方向から見たキドニー部50の断面図である。本実施形態のキドニー部50は、ラグプレート21の回転面の円周方向の接線に沿ってラグヒンジ51上に設けられた長孔52、52と、ラグプレート21の回転面の円周方向の接線に沿って斜板ヒンジ53上に設けられた挿通孔54、54と、基端側から先端側に向かって徐々に細くなるテーパー形状を備えたジャーナルピン55とから構成されており、ジャーナルピン55が、ラグプレート21の回転方向前方側から後方側に向かって挿通孔54、長孔52、挿通孔54の順で先端側から挿入されて、挿通孔54、54に基端側と先端側が圧入保持されている。また、ジャーナルピン55の先端部には、挿通孔54からの抜け防止としてCリング59が嵌入されている。なお、長孔52は、孔の内周壁52′がラグプレート21の回転面の円周方向の接線と平行になるように設けられている。
【0029】
本実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1を稼働させた場合、キドニー部50が常にピストン19の上死点に来る。また、圧縮された冷媒は上死点前から吐出室16へ吐出され始めるので、図6に示されるように、シリンダ内圧力のピークは上死点よりも手前になる。また、低回転で稼働している場合と高回転で稼働している場合とではシリンダ内圧力がピークに達するタイミングが異なり、高回転になるほど上死点に近づく傾向がある。また、冷媒を圧縮した際に、圧縮行程にある全シリンダのシリンダ内圧力によって、ジャーナル24には圧縮反力がかかる。
【0030】
したがって、低回転域では、図7に示されるように、シリンダ内圧力が高い状態が長く続くため、各シリンダの圧縮反力の合力は比較的脈動が小さくなり、且つ図9、図10に示されるように、ジャーナル24のキドニー部50から離れた場所にかかるので、ジャーナル24を支持するキドニー部50には安定した力が作用する。 これにより、低回転域では、斜板ヒンジ53がジャーナルピン55をラグヒンジ51に常に付勢しているので、振動の発生が少なく、騒音も比較的小さい。
【0031】
また、高回転域では、図8に示されるように、シリンダ内圧力が高い状態が短く、且つ図11、図12シリンダ内圧力のピーク圧力も高いため、各シリンダの圧縮反力の合力は脈動が大きく、且つジャーナル24のキドニー部50に近い場所に圧縮反力の合力がかかる。
【0032】
したがって、図13に示されるような、従来から一般的に使用されてきたキドニー部150では、ラグプレート21の回転面に対して、長孔152と挿通孔154が平行になるようにラグヒンジ51と斜板ヒンジ53にそれぞれ設けられ、太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン155によって連結されていたため、稼働中にキドニー部150がガタつき、騒音と振動の原因となっていた。
【0033】
ところが、本実施形態では、先細のテーパー部分56を備えたジャーナルピン55によって長孔52と挿通孔54が連結されているので、稼働中に圧縮反力の合力が小さくてジャーナル24をラグプレート21に当接保持できない場合でも、ラグプレート21の回転駆動力によって、ジャーナルピン55が長孔52の内周壁52′に当接保持されることにより、ジャーナル24がラグプレート21の回転面に対して傾斜した状態で保持されるので、キドニー部50のガタつきが防止され、騒音と振動の発生を防止することができる。
【0034】
図14には、従来から一般的に使用されてきた、太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン155をキドニー部150に使用したコンプレッサと、本実施形態のテーパー部分56を備えたジャーナルピン55をキドニー部50に使用したコンプレッサとを稼働させた場合に発生する騒音を計測した結果を示されている。また、ジャーナルピン55のテーパー部分56は、中心軸に対して傾斜角が0.15度〜1.0度になるように形成されている。
【0035】
容量可変斜板式コンプレッサ1の低回転域から高回転域に渡って、全般的に本実施形態のテーパー部分56を備えたジャーナルピン55をキドニー部に組み込んだものの方が音と振動の発生を低く抑えられており、特に、中回転域から高回転域において、従来の太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン155を組み込んだものに対してテーパー部分56を備えたジャーナルピン55を組み込んだものが発生する音と振動が明らかに小さいことが確認できる。
【0036】
これは、従来の太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン155を組み込んだものは、キドニー部のラグプレートとジャーナルとの連結部分が、ラグプレートの回転面に対して平行に設けられているため、圧縮反力の脈動によってジャーナルがガタつくことにより、音と振動が発生するが、本実施形態のテーパー部分56を備えたジャーナルピン55をキドニー部に組み込んだものは、ラグプレート21の回転駆動力によって、ジャーナルピンのテーパー部分56が長孔の内周壁52′に当接保持されることにより、ジャーナル24がラグプレート21に当接保持されることにより、圧縮反力が脈動してもジャーナル24がガタつくことがない。
【0037】
したがって、上記構成により、稼働状態の容量可変斜板式コンプレッサで、ラグプレートの回転駆動力によって、ジャーナルピンのテーパー部分が長孔の内周壁に当接保持されることにより、キドニー部のガタつきを防止して、音と振動の発生を防止することができる。
【0038】
また、先細のテーパー形状を備えたジャーナルピンをラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かって前記挿通孔と前記長孔に挿嵌することにより、キドニー部の構造を複雑にすることなく、製造コストの増大を防止することができる。
【0039】
また、本実施形態の別態様として、図3に示されるように、テーパー部分56の先端側と基端側に挿通孔54、54に圧入保持される先端側保持部57と、基端側保持部58とが形成されている。そして、本態様も上記態様と同様に、稼働状態の容量可変斜板式コンプレッサで、ラグプレートの回転駆動力によって、ジャーナルピンのテーパー部分が長孔の内周壁に当接保持されることにより、キドニー部のガタつきを防止して、音と振動の発生を防止することができる。
【0040】
なお、本実施形態の他の別態様として、基端側から先端側に向かって階段状に細くなる段付き形状を備えたジャーナルピンが考えられ、この形態でも同様の効果が得られるが、本実施形態のジャーナルピン55のように、直線的に細くなるテーパー形状を備えることにより、ジャーナルピンが長孔の内周壁に局所当たりすることがないので、摩耗粉の発生を防止することができる。
【0041】
また、本実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1は、ウォッブルプレート型のコンプレッサに当該キドニー部50を適用したものであるが、スワッシュ型のコンプレッサに当該キドニー部50を適用した場合にも同様の効果を得ることができる。
【0042】
図4は、第2実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1を図1中のA方向から見たキドニー部50bの断面図である。本実施形態のキドニー部50bは、ラグプレート21の回転面の円周方向の接線に沿ってラグヒンジ51上に設けられた長孔52b、52bと、ラグプレート21の回転方向の前方側から後方側に向かってラグプレート21へ近づく方向に傾斜して設けられた挿通孔54bと、太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン55bとから構成されており、ジャーナルピン55bが、ラグプレート21の回転方向前方側から後方側に向かって挿通孔54b、長孔52b、挿通孔54bの順で先端側から挿入されて、挿通孔54b、54bに基端側と先端側が圧入保持されている。また、ジャーナルピン55bの先端部には、挿通孔54bからの抜け防止としてCリング59が嵌入されている。なお、長孔52bは、製造工程において、長孔52bをドリル刃によって垂直孔加工後にラグプレート21を一時的に傾斜させて形成することで、孔の内周壁52b′がラグプレート21の回転面の円周方向の接線と平行になるように設けられている。さらに、形成方法は、予め長孔を傾斜して形成した後で垂直に孔加工してもよい。また、製造品を傾斜させずにドリル刃自体を一時的に傾斜させても良い。
【0043】
また、本実施形態のキドニー部50bは、太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン55bによって長孔52bと挿通孔54bが連結されているので、稼働中に圧縮反力の合力が小さくてジャーナル24をラグプレート21に当接保持できない場合でも、ラグプレート21の回転駆動力によって、ジャーナルピン55bの円柱形状部分56bが長孔52bの内周壁52b′に当接保持されることにより、ジャーナル24がラグプレート21の回転面に対して傾斜した状態で保持されるので、キドニー部50bのガタつきが防止される。
【0044】
したがって、上記構成により、稼働状態の容量可変斜板式コンプレッサで、ラグプレートの回転駆動力によって、ジャーナルピンのテーパー部分が長孔の内周壁に当接保持されることにより、キドニー部のガタつきを防止して、音と振動の発生を防止することができる。
【0045】
また、挿通孔が、ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かってラグプレートへ近づく方向に傾斜して設けられていることにより、キドニー部の構造を複雑にすることなく、製造コストの増大を防止することができる。
【0046】
さらに、本実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1は、ウォッブルプレート型のコンプレッサに当該キドニー部50bを適用したものであるが、スワッシュ型のコンプレッサに当該キドニー部50bを適用した場合にも同様の効果を得ることができる。
【0047】
図5は、第3実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1を図1中のA方向から見たキドニー部50cの断面図である。本実施形態のキドニー部50cは、ラグプレート21の回転方向の前方側から後方側に向かってラグプレート21から離れる方向に傾斜して設けられた長孔52c、52cと、ラグプレート21の回転面の円周方向の接線に沿って斜板ヒンジ53c上に設けられた挿通孔54c、54cとから構成されており、太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン55が、ラグプレート21の回転方向前方側から後方側に向かって挿通孔54c、長孔52c、挿通孔54cの順で先端側から挿入されて、挿通孔54c、54cに基端側と先端側が圧入保持されている。また、ジャーナルピン55cの先端部には、挿通孔54cからの抜け防止としてCリング59が嵌入されている。なお、挿通孔54cは、ジャーナルピン55cの中心軸と挿通孔54cの中心軸が偏心した位置に形成されているため、孔の内周壁がラグプレート21の回転面の円周方向の接線と平行になるように設けられている。
【0048】
また、本実施形態のキドニー部50cは、太さが一定の円柱形状を備えたジャーナルピン55cによって長孔52cと挿通孔54cが連結されているので、稼働中に圧縮反力の合力が小さくてジャーナル24をラグプレート21に当接保持できない場合でも、ラグプレート21の回転駆動力によって、ジャーナルピン55cの円柱形状部分56cが長孔52cの内周壁52c′に当接保持されることにより、ジャーナル24がラグプレート21の回転面に対して傾斜した状態で保持されるので、キドニー部50cのガタつきが防止される。
【0049】
したがって、上記構成により、稼働状態の容量可変斜板式コンプレッサで、ラグプレートの回転駆動力によって、ジャーナルピンが長孔の内周壁に当接保持されることにより、キドニー部のガタつきを防止して、音と振動の発生を防止することができる。
【0050】
また、長孔が、ラグプレートの回転方向の前方側から後方側に向かってラグプレートから離れる方向に傾斜して設けられていることにより、キドニー部の構造を複雑にすることなく、製造コストの増大を防止することができる。
【0051】
さらに、本実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ1は、ウォッブルプレート型のコンプレッサに当該キドニー部50を適用したものであるが、スワッシュ型のコンプレッサに当該キドニー部50を適用した場合にも同様の効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる容量可変斜板式コンプレッサの全体断面図である。
【図2】第1実施形態のキドニー部を示す要部断面図である。
【図3】第1実施形態の別態様のキドニー部を示す要部断面図である。
【図4】第2実施形態のキドニー部を示す要部断面図である。
【図5】第3実施形態のキドニー部を示す要部断面図である。
【図6】ジャーナルの回転によって各シリンダ内部の圧力が変化する様子を示した図である。
【図7】低回転状態でジャーナルに作用する各シリンダの圧縮反力を示した図である。
【図8】高回転状態でジャーナルに作用する各シリンダの圧縮反力を示した図である。
【図9】低回転状態でシリンダ内圧力がピークに達したときにジャーナルに作用する各シリンダの圧縮反力を示した図である。
【図10】低回転状態でピストンが上死点に達したときにジャーナルに作用する各シリンダの圧縮反力を示した図である。
【図11】高回転状態でシリンダ内圧力がピークに達したときにジャーナルに作用する各シリンダの圧縮反力を示した図である。
【図12】高回転状態でピストンが上死点に達したときにジャーナルに作用する各シリンダの圧縮反力を示した図である。
【図13】従来から一般的に使用されてきたキドニー部を示す要部断面図である。
【図14】第1実施形態の容量可変斜板式コンプレッサ稼働時の音圧計測結果を示したグラフである。
【符号の説明】
1…容量可変斜板式コンプレッサ
12…クランク室
20…駆動軸
21…ラグプレート
24…駆動斜板
50、50b、50c…キドニー部
51…ラグヒンジ
52、52b、52c…長孔
52′、52b′、52c′…内周壁
53…斜板ヒンジ
54…挿通孔
54b…挿通孔
55、55b、55c…ジャーナルピン
56…テーパー部分
56b、56c…円柱形状部
Claims (4)
- クランク室(12)内に回転自在に嵌挿された駆動軸(20)と、
該駆動軸(20)に固設され該駆動軸(20)とともに回転するラグプレート(21)と、
略円盤形状を具備し、この円盤形状の中心部分を該駆動軸(20)が貫通しつつ、該駆動軸(20)に摺動自在に支持され、且つ該駆動軸(20)に対する傾斜角度を自在に変えられる駆動斜板(24)と、
該ラグプレート(21)の一端側に具備されるラグヒンジ(51)と該駆動斜板(24)の一端側に具備される斜板ヒンジ(53)とのいずれか一方に設けられた長孔(52)と、
該ラグヒンジ(51)と該斜板ヒンジ(53)の他方に設けられた挿通孔(54)と、
該長孔(52)と該挿通孔(54)に支持される略円柱形状のジャーナルピン(55)とから構成され、且つ該ラグプレート(21)と該駆動斜板(24)とを連結するキドニー部(50)とを備えた容量可変斜板式コンプレッサにおいて、
前記容量可変斜板式コンプレッサ(1)が稼働状態で、前記ラグプレート(21)の回転駆動力によって、ジャーナルピン(55)が長孔(52)の内周壁(52′)に当接保持されることを特徴とする容量可変斜板式コンプレッサ。 - 請求項1記載の容量可変斜板式コンプレッサであって、
前記キドニー部(50)は、前記ラグプレート(21)の回転面の円周方向の接線に沿って設けられた前記挿通孔(54)と前記長孔(52)に先細のテーパ形状を備えた前記ジャーナルピン(55)が該ラグプレート(21)の回転方向の前方側から後方側に向かって前記挿通孔(54)と前記長孔(52)に挿嵌され、且つ前記容量可変斜板式コンプレッサ(1)が稼働状態では、圧縮反力によって長孔(52)の内周壁(52′)に該ジャーナルピン(55)のテーパー部分(56)が当接保持されることを特徴とする容量可変斜板式コンプレッサ。 - 請求項1記載の容量可変斜板式コンプレッサであって、
前記キドニー部(50b)は、前記ラグプレート(21)の回転方向の前方側から後方側に向かって該ラグプレート(21)へ近づく方向に傾斜して設けられた前記挿通孔(54b)に略円柱形状を具備するジャーナルピン(55b)が挿嵌され、且つ前記容量可変斜板式コンプレッサ(1)が稼働状態では、圧縮反力によって長孔(52b)の内周壁(52b′)に該ジャーナルピン(55b)の円柱形状部(56b)が当接保持されることを特徴とする容量可変斜板式コンプレッサ。 - 請求項1記載の容量可変斜板式コンプレッサであって、
前記キドニー部(50c)は、前記ラグプレート(21)の回転方向の前方側から後方側に向かって該ラグプレート(21)から離れる方向に傾斜して設けられた前記長孔(52c)に略円柱形状を具備するジャーナルピン(55c)が挿嵌され、且つ前記容量可変斜板式コンプレッサ(1)が稼働状態では、圧縮反力によって長孔(52c)の内周壁(52c′)に該ジャーナルピン(55c)の円柱形状部(56c)が当接保持されることを特徴とする容量可変斜板式コンプレッサ。
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