JP2000161218A - 往復動圧縮機 - Google Patents

往復動圧縮機

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JP2000161218A
JP2000161218A JP10338145A JP33814598A JP2000161218A JP 2000161218 A JP2000161218 A JP 2000161218A JP 10338145 A JP10338145 A JP 10338145A JP 33814598 A JP33814598 A JP 33814598A JP 2000161218 A JP2000161218 A JP 2000161218A
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suction
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chamber
resonance
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Yoshito Matsumura
義人 松村
Kenji Hashimoto
見次 橋本
Yoshinobu Ichikawa
喜伸 市川
Tatsuto Inoue
達人 井上
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の多気筒の圧縮機では、例えば、冷媒ガ
スの流量が比較的少ない状態の時(起動時や熱負荷が小
さいとき等)、吸入弁に脈動現象が起きて騒音が発生し
て圧縮機の性能が低下するのを防止する。 【解決手段】 回転駆動力がクランク機構を介してピス
トンに伝達され、外部から吸入した冷却ガスを上記ピス
トンで吸入、圧縮して空調システムに循環させる往復動
圧縮機において、ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した空間部である共鳴室を弁板に複数箇所設け、該共鳴
室は吸入孔に連通した圧力導入部を備えたもの。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復動圧縮機に関
し、特に、車両空調用に用いられる往復動圧縮機に好適
に適用され、主として単頭形のピストンを内装した多気
筒往復動型の圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来この種の圧縮機としては、固定斜板
を備えた定容量型圧縮機や回転斜板の傾斜角が変位可能
にして容量を可変とするいわゆる可変容量型圧縮機が知
られており、車両用の空調装置に利用されている。
【0003】可変容量型圧縮機として、冷媒となる冷却
ガスを空調システムに循環させるための車輌空調用の圧
縮機(コンプレッサ)としては、例えば図8に示すよう
に、ピストンの往復移動で圧縮力を得るレシプロタイプ
の往復動式圧縮機(以下、単に圧縮機と呼ぶ。)1が知
られている。この圧縮機1は、冷却ガスの吸入容量を可
変にする可変容量タイプのものであり、複数のボアを並
設したシリンダブロック内に複数のピストン(例えば7
つ)を備えている。
【0004】圧縮機1は、図8に示すように、フロント
ハウジング3、シリンダブロック4、シリンダヘッド
5、弁板6等が組み付けられることにより、圧力容器と
なる筐体としての圧縮機ケーシング2が形成される。
【0005】圧縮機ケーシング2では、内部空間の密閉
性を保持するために、フロントハウジング3と接続され
るシリンダブロック4の一端側の接合面に切欠溝部4a
が設けられており、この切欠溝部4aにシーリング材と
してのOリング(図示せず)が取り付けられる。また、
圧縮機ケーシング2では、シリンダブロック4と弁板6
との接合部、シリンダヘッド5と弁板6との接合部にお
けるシーリング材として、それぞれシリンダガスケット
とヘッドガスケットが取り付けられる。なお、図8で
は、便宜上シリンダブロック4と弁板6間のシリンダガ
スケット7だけ示している。
【0006】この圧縮機ケーシング2の内部には、回転
可能に格納された駆動軸8、この駆動軸8の回転によっ
てシリンダブロック4内を往復運動する複数のピストン
等が配設されている。
【0007】具体的には、圧縮機ケーシング2において
は、フロントハウジング3の中央、及びシリンダブロッ
ク4の中央に、上記駆動軸8を支持するための貫通孔部
11,12が形成されており、これら各貫通孔部11,
12に対して駆動軸8が軸受13,14や駆動軸支持部
材15等を介して回転可能に取り付けられる。
【0008】シリンダブロック4における上記貫通孔部
12の周囲には、ピストンが収納されるシリンダ16が
ピストン10の個数だけ設けられている。シリンダ16
のそれぞれは、図8に示すように、駆動軸8の軸方向と
平行にピストン10が往復移動する向きに形成されてい
る。圧縮機ケーシング2では、これら貫通孔部12及び
シリンダ16の下側(図の左側)の空間がクランク室1
7となっており、このクランク室17内を駆動軸8が回
転し、それに伴って、以下に説明する揺動板22が揺動
するようになっている。
【0009】ここで、駆動軸8に対してはローター18
がローター回転止め用ピン19によって固定されてお
り、このローター18に対しては斜板ボス21が接続さ
れる。そして、この斜板ボス21には揺動板22が取り
付けられ、さらにこの揺動板22は、ピストンロッド2
3を介して各ピストン10とユニバーサルジョイント
(自在継手)方式で接続される。
【0010】具体的には、上記ローター18及び斜板ボ
ス21は、それぞれ耳部24,25を有しており、ロー
ター18側の耳部24に設けられた係合ピン24aが斜
板ボス21側の耳部25に所定の大きさで形成された長
孔部25aに対して移動可能に係合することにより、い
わゆるヒンジ機構によって接続が図られる。
【0011】また、上記揺動板22は、ベアリング2
6,27を介して斜板ボス21に対して相対回転可能に
取り付けられ、さらにクランク室17内に固定配置され
た板状のガイド部材28の長手方向に摺動可能に取り付
けられる。これにより揺動板22は、斜板ボス21が回
転してもそれに伴って回転することがない。
【0012】一方、弁板6は、ねじ止めによりシリンダ
ブロック4とシリンダヘッド5とで挟まれるようにして
圧縮機ケーシング2の内部に位置する。この弁板6に
は、冷却ガスをシリンダ16内に吸入するための吸入孔
31及びシリンダ16内の冷却ガスを外に吐出するため
の吐出孔35がそれぞれピストン10の数だけ形成され
ている。そして、弁板6には、これら吸入孔31及び吐
出孔33を閉塞するように、ばね状の吸入弁(図示せ
ず)及び吐出弁35が取り付けられる。
【0013】ここで、吸入弁は、シリンダブロック4を
臨む側の弁板6の主面上に取り付けられ、シリンダブロ
ック4に形成された切欠溝である弁受け部(リセス)3
3に弁の先端部が当接することにより、その動き量(リ
フト量)が制限されるようになっている。一方、吐出弁
35は、シリンダヘッド5を臨む側の弁板6の主面上に
取り付けられる。この吐出弁35の上側(図の右側)に
は、当該吐出弁35と同一平面形状を有し吐出弁35の
リフトを制限するためのリテーナ36が取り付けられ
る。
【0014】シリンダヘッド5は、略碗状を呈し、その
内部には隔壁41が形成されている。シリンダヘッド5
は、この隔壁41によって内部空間を吸入室42と吐出
室43とに分離している。ここで、吸入室42は、弁板
6の吸入孔31と連通しており、上記吸入弁を介して複
数のシリンダ16に対する冷却ガスの流路を形成する。
【0015】また、吐出室43は、上記吐出弁35を介
して弁板6の吐出孔34と通じており、吐出弁35を介
して複数のシリンダ16からの冷却ガスを外部に吐出す
るための流路となる。なお、図示しないが、シリンダヘ
ッド5には、冷却ガスを吸入室42に供給するための吸
入口及び吐出室43からの冷却ガスを外部に送るための
吐出口が設けられている。
【0016】このような構成を有する圧縮機1では、エ
ンジンやモータ等の外部からの駆動力によって駆動軸8
が回転すると、ローター18が一体となって回転し、上
述したヒンジ機構を介して斜板ボス21にその回転運動
が伝わり、斜板ボス21が所定の傾斜角度をもって駆動
軸3と同期回転する。
【0017】そして、斜板ボス21と相対回転可能に接
続された上記揺動板22は、その一端側がガイド部材2
8に沿って往復移動することにより、クランク室17内
で回転することなく、所定の傾斜角度をもって揺動す
る。このとき、圧縮機1では、複数のピストン10がそ
れぞれシリンダ16内を往復移動し、回転するローター
18の耳部24の位置に来たピストン10が上死点に達
するように順次押し上げられることになる。
【0018】圧縮機1においては、図示しない気液分離
器、蒸発器(エバポレータ)等からの冷却ガスがシリン
ダヘッド5内の吸入室42に供給され、ピストン10が
下死点側に移動すると吸入弁が開き、当該冷却ガスがシ
リンダ16内に吸入される。そして、ピストン10が上
死点側に移動すると、シリンダ16内の冷却ガスが圧縮
され、この圧縮された冷却ガスによって吐出弁35が開
き、当該冷却ガスが吐出室13に吐出される。そして、
この冷却ガスは、シリンダヘッド5の上記吐出口から外
部に吐出され、図示しない放熱器等に供給される。
【0019】このような圧縮機において、吸入弁の開閉
動作は、ピストン10が下降することにより、ボア内の
ガス圧が吸入室よりも低下し、吸入孔を閉塞する吸入弁
面に作用する力が、吸入弁の曲げ応力とボア内圧力及び
弁と弁板間のオイルの粘性力の和を上回ることにより、
開弁して、逆に下回ると閉弁することになる。ところ
が、図8に示すように、冷媒ガスの流量が比較的少な
い、例えば、圧縮機の運転起動時や熱負荷が小さいとき
には、吸入弁の開量が減少するために、吸入弁は、スト
ッパに当接しないで、冷媒ガス中に浮き上がった状態と
なって、自励振動を起こして吸入脈動を起こすことにな
り、振動や騒音の原因となる。
【0020】このような対策として、例えば、弁受け部
33についてその形状や構造を改善することが提案され
ている。
【0021】ところで、該弁受け部33は、図8又は図
2に示すように、シリンダブロック4の各シリンダ16
の上端部に形成されている。各弁受け部33は、シリン
ダガスケット7との接合部となる接合平面から所定の深
さで形成された切り欠き溝であって、平面略三日月状を
呈している。弁受け部33は、貫通孔部12が形成する
円の中心とシリンダ16が形成する円の中心とを結ぶ仮
想線の延長線上となる各シリンダ16の上端側の位置に
形成される。
【0022】そして、ここで、吸入弁32は、シリンダ
ブロック4を臨む側の弁板6の主面上に取り付けられ、
シリンダブロック4に形成された切欠溝である弁受け部
(リセス)33に弁の先端部が当接することにより、そ
の動き量(リフト量)が制限されるようになっている。
【0023】このような弁受け部33において、その深
さを浅くしたり、弁受け部33を斜めとする構造とする
ことが提案されている。また、吸入弁32を偏倚した位
置に配置することが提案されている。
【0024】また、回転圧縮機において吐出側に、これ
らの騒音低減のために圧縮機の外部にマフラー室を付設
し、該マフラー室を結ぶガス通路にヘルムホルツ型共鳴
器を設けたものが特開平7ー247974号公報にあ
る。
【0025】更に回転圧縮機においてに、これらの騒音
低減のために回転型圧縮機の軸受け部に圧縮機と連通す
るヘルムホルツ型共鳴器を設けたものが実開平4ー10
0092号公報にある。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の多気
筒の圧縮機1において、例えば、冷媒ガスの流量が比較
的少ない状態の時(起動時や熱負荷が小さいとき等)、
弁受け部33の深さを浅くする方法では、吸入に当たっ
て吸入の流路面積が実質的に狭くなってしまい、その為
に流路抵抗が大きくなるので圧力損失が増大して圧縮性
能が低下すると言う問題があった。
【0027】また、弁受け部33を斜めにする方法は、
低流量時には、弁受け部33の浅い位置に当接し、高流
量時には、弁が捻れて斜めに当接することにより、流路
を確保するものであるが、この方法では、高流量時の弁
による捻れから、捻れ振動に起因する脈動が発生してし
まう問題があった。また、その他の弁の形状や剛性等に
よる従来の方式の改造は、いずれも何らかの不具合が発
生しており問題解決とは未だなっていない。
【0028】また、回転圧縮機において吐出側にこれら
の騒音低減のために圧縮機の外部にマフラー室を付設
し、該マフラー室を結ぶガス通路にヘルムホルツ型共鳴
器を設けたものが特開平7ー247974号公報にある
が、この場合には、マフラー室を別設する空間が必要と
なり、また圧縮機の形式が回転式であって異なるために
適用が難しい。
【0029】更に回転圧縮機においてこれらの騒音低減
のために回転型圧縮機の軸受け部に圧縮機と連通するヘ
ルムホルツ型共鳴器を設けたものが実開平4ー1000
92号公報にあるが、そのものも圧縮機の形式が異なり
圧縮室内の騒音を低減するものであり、而も圧縮室と隣
接する軸受け部内であって、而もその利用空間も制限さ
れ適用しがたいものである。
【0030】本発明は、このような実情に鑑みて提案さ
れたものであって、吸入室から弁板の吸入孔へ吸入され
る冷却ガスが該吸入弁が脈動作用を生じて発生すること
に起因する特定の騒音の周波数に着目し、これら騒音を
低減することができる往復動圧縮機を提供することを目
的とする。
【0031】本発明は、また吸入弁の脈動による騒音を
低減することができると共に、圧縮機の性能を何ら低下
させることなく、而も廉価な往復動圧縮機を提供するこ
とを目的とする。
【0032】本発明は、また吸入弁の脈動による騒音を
特別な装置や器具を必要としないで低減することができ
る廉価な構成の往復動圧縮機を提供することを目的とす
る。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、弁体の自励振動の振動数に着目したもので
ある。勿論、自励振動の振動数は、一定ではなく、冷媒
の流量等により変化するのではあるが、圧縮機の運転の
回転数、気筒の数、エアコンシステムの構成部品の有す
る固有振動数等と複雑な相関により、顕著に騒音上問題
となる振動数は、限られてくる事が実験等から解ってい
る。従って、この問題となる振動数の周波数域を減衰で
きれば騒音を低減できることになる。
【0034】そこで、本発明では、外部駆動源より駆動
軸に伝達された回転駆動力がクランク機構を介してボア
内に挿嵌されたピストンに伝達され、外部から吸入した
冷却ガスを上記ピストンで吸入、圧縮して空調システム
に循環させる往復動圧縮機において、圧力容器となる筐
体の構成部材として、上記駆動軸が回転可能に取り付け
られるフロントハウジングと、上記フロントハウジング
と接続され上記ピストンが収納される複数のボアを並設
したシリンダを備えたシリンダブロックと、上記シリン
ダブロックと接続され、外部から供給された冷却ガスを
上記ピストンの下死点側への移動によりシリンダ内に吸
入するための吸入弁が取り付けられる弁板と、上記弁板
と接続され、外部から供給された冷却ガスを上記吸入弁
に供給する吸入室と上記ピストンで圧縮された冷却ガス
を外部に排出するための排出室とが形成されたシリンダ
ヘッド等を備え、騒音上問題となる周波数を減衰するよ
うなヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用した空間部で
ある共鳴室を弁板に複数設け、該空間部は吸入孔に連通
した圧力導入部を備えている往復動圧縮機を提供するも
のである。
【0035】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入孔と排出孔
との間に他は吸入孔に隣接した円周上に1又は1以上設
けたこと往復動圧縮機であって、該共鳴室を前記吸入口
に圧力導入路によって連通する箇所に複数設けることに
よって、騒音のエネルギーをより効果的に吸収すること
ができ且つ騒音の周波数に対応して調整や変更ができ
る。
【0036】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入孔に隣接し
た円周上に複数設けたものにおいて、シリンダの隔壁と
対応する位置に副室として空間部を設け、共鳴室を一体
に形成して、騒音の周波数に対応して調整できるように
できる。
【0037】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入口の周囲に
連続状に設けて共鳴室を形成した往復動圧縮機であっ
て、吸入口から発生する騒音を大幅に且つ有効に低減で
きる。
【0038】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入口の周囲に
連続状に設けるものにおいて、該共鳴室は環状に連続し
て形成し、空間の容積の調整及び製作を容易にする。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を実施
例に基づき図面を参照して説明する。なお、図1又は2
で説明する部材には図8と同一の符号を付し、冗長さを
避けるため適宜その説明を省略する。本発明を適用した
図1に示す圧縮機1のシリンダヘッド5上部の構造は、
図8のものと同じくピストンの往復移動で圧縮力を得る
往復動式圧縮機であって、冷却ガスの圧縮容量を可変に
する可変容量タイプのものである。
【0040】本発明を適用した圧縮機1は、具体的に
は、吸入弁32から発生する騒音低減の為の弁板6の構
成が異なっている。この圧縮機1の構成を詳細に説明す
ると、その構成は図8に示すように、フロントハウジン
グ3、シリンダブロック4、シリンダヘッド5、弁板6
等が組み付けられる。ここで、フロントハウジング3、
シリンダヘッド5、及び弁板6は、従来の圧縮機のフロ
ントハウジング3、シリンダヘッド5、及び弁板6と同
一の部材となっている。
【0041】圧縮機1は、図8に示すように、シリンダ
ブロック4の貫通孔部12の周囲に7つのシリンダ16
を備えた7気筒となっており、弁板6、シリンダガスケ
ット7、ばね材からなる吸入弁32及び吐出弁35、リ
テーナ36等が、この気筒数に対応した形状となってい
る。すなわち、吸入弁32、吐出弁35、及びリテーナ
36は、それぞれ中央部から7方向に放射状に枝分かれ
した板状の部材となっている。また、弁板6には、吸入
孔31及び吐出孔35がそれぞれ7つずつ穿設されてい
る。
【0042】吸入弁32における各弁の先端側が、弁板
6の各吸入孔31を閉塞し、吐出弁35における各弁の
先端側が、弁板6の各吐出弁35を閉塞し、さらにリテ
ーナ36が吐出弁35と平面同一となるようにネジ止め
で固定される。これにより、吸入弁32における各弁の
基端側に穿設されている略長円形の孔部48(図示せ
ず)のそれぞれが、弁板6の各吐出孔34と連通する。
【0043】吸入弁32、弁板6、吐出弁35、及びリ
テーナ36は、各部材がこの順に重ねられネジ止めされ
る。
【0044】図2に示すように、シリンダブロック4の
各シリンダ16の上端部には、弁受け部33が形成され
ている。各弁受け部33は、シリンダガスケット7との
接合部となる接合平面から所定の深さで形成された切り
欠き溝であって、平面略三日月状を呈している。各弁受
け部33は、貫通孔部12が形成する円の中心とシリン
ダ16が形成する円の中心とを結ぶ仮想線の延長線上と
なる各シリンダ16の上端側の位置に形成される。
【0045】そして、これら各部材をネジを複数用いて
組み付けることにより、吸入弁32における各弁の先端
部がシリンダブロック4の各弁受け部33の位置に配さ
れる。
【0046】このような構成の圧縮機1において、図2
に示す例のように、弁板6の何も使用していない空間
に、吸入孔31に開口する圧力導入部601、601を
備えヘルムホルツ共鳴器の理論を適用した空間部である
共鳴室60、61を設けるものである。
【0047】共鳴室60は、吸入弁32と吐出孔34に
隣接した弁板6に設けたが、共鳴室61は反対側の弁板
外部側の吸入孔31に接した部位に設けられる。図2に
おいて、上記に述べたような共鳴室61が、前記共鳴室
60の反対側に吸入孔31を挟んで設けられた例が示さ
れる。
【0048】ここで、ヘルムホルツ共鳴器による理論式
としては、図9に示されるような共鳴器において、この
ヘルムホルツ共鳴器による消音量Rは、一般に数1で与
えられる。
【0049】
【数1】
【0050】この式で示すように、消音量は、共鳴周波
数において最大値を取り、共鳴周波数frは、数2で与
えられる。
【0051】
【数2】
【0052】Gは、伝導率で孔が直径dの円形で有る場
合には、この圧力導入部の長さが短くて、例えばd≒Lの
場合には、 G = S/L = πd2/4L = πd/4 ≒ d から、共鳴周波frは、数3で与えられる。
【0053】
【数3】
【0054】従って、この場合には、容積Vを変えるこ
とで共鳴周波frを弁の周波数に併せて調整できること
になる。
【0055】これより、吸入弁32より自励振動により
発生する騒音の周波数と共鳴室60、61内の固有振動
数が一致した時に、減衰することになり、従って、予め
自励振動による振動数を計測しておき、その振動数に応
じて、共鳴室60、61の固有振動数を決めておく。な
お、共鳴室60の容積は、例えば約0.03〜0.5cm
3程度が考えられる。
【0056】この実験の結果は、その1例である図7を
見ると、この測定結果は、圧縮機の回転数が2320rp
mで、流量が50kg/hのときに、本発明において設けた
共鳴室60の圧力導入部601を閉塞した場合と本発明
における共鳴室60が作用しているときの、吸入脈動時
間波形とその周波数結果を比較したものである(上側が
共鳴室を設けた例)。
【0057】実験の結果、時間の経過による吸入脈動の
波形は、本発明において共鳴室を設けたものが設けない
ものに対して、余り変化が認められないものの、周波数
解析をすると450Hz近傍において最大10db程度
低減しており、はっきりと騒音が低減しているのがわか
る。騒音において、1dbの低減でも効果が大きいもの
であることを考えれば、その実用上著しい低減効果であ
る。以上より、450Hz近辺での騒音に対して特に効
果のあるのがわかった。
【0058】これら共鳴室60、61は、騒音の同じ周
波数に対しても可であるが、異なった周波数域の振動数
にも、各々対応出来る共鳴室が設けられることもでき有
益である。
【0059】更に、シリンダの隔壁41を利用して、図
5に示すように共鳴室60の容積の変更を行うことも、
共鳴室60が隔壁と接しているところでは可能である。
この場合には、共鳴室60は、隔壁41の下端部分の副
室60aとが連通する空間となっており、副室60aが
調整用の容積となる。また、シリンダの外側の隔壁41
においても、共鳴室61に対して副室(図示せず)を設
けることは可能である。この空間は、隔壁41が利用で
きるので調整用としては好ましいものとなる。
【0060】図2では、共鳴室60、61の2室であっ
たが、共鳴室は、この外、図3に示すように吸入口31
の周囲に隣接して複数個設けることができるのは勿論で
ある。 ここで、図示のように各共鳴室は、60から6
3まで4ヶ所で吸入口31の周りに設置されている。こ
の場合、各共鳴室の空間の大きさが異なっているのは、
異なった騒音の周波数が存在するケースに対応してであ
るが、勿論同じ容積でも設計できる。
【0061】図4に示すものは、前記ヘルムホルツ共鳴
器の減衰作用を適用した弁板6に設けた空間部である共
鳴室60を吸入口の周囲に環状に連続状に設けて、共鳴
室60を形成した往復動圧縮機である。各共鳴室60
は、図4では同じく等しい容積で表されており、吸入口
31の周囲に連続して設けられている。各共鳴室60
は、あらかじめ固定壁でも構わないが、仕切壁600を
可動とすれば、該仕切壁600によって容積は変更でき
るので、騒音の周波数が、例えば、複数あれば、それ対
しては、その仕切壁600を適時変更して行うことが可
能である。その周波数の調整に当たっては、仕切壁60
0の厚さを変えることでも、図4の(2)に示すよう
に、共鳴室60の容積の調整することが可能であって、
騒音を有効に低減できる。
【0062】この実施例では、共鳴室60は、製作に当
たり個別ではなく、環状で一体として形成できるので簡
単であり、また、環状で連続して形成されるので、共鳴
室に分けるときにも、仕切壁600で容易に行うことが
でき調整も簡単である。その製作にあたっては、図4の
(3)に示すようにA-A線で切断して、弁体6の上部
分6a、6bとして分け、弁体6を水平に切断または上
部分6aを下部分6bに被せることで、連続した共鳴室
60を形成できる例を示したものである。特に、圧力導
入路601を上方に設け、共鳴室60を下部分6bのみ
に設けておけば、その製作は一方のみにて行うことが出
来て容易となる。なお、共鳴室の形状は、環状でなく、
城の周囲におけるような矩形の溝型であっても構わない
が、この場合には、共鳴室の形成は、矢張り、仕切壁で
形成し調整することが出来るのは同様である。
【0063】更に、上記の実施例では、仕切壁600を
設けたが、予め共鳴室60の仕切壁600なしの容積を
求めておいて、その容積分の共鳴室60を形成すれば、
仕切壁は不要となる。このようにして、仕切壁600を
無くすこともできるし、また、仕切壁600の数を4と
して決めておいて、容積計算をする事も可能である。
【0064】更に、シリンダの隔壁41を利用して、図
5に示すように共鳴室60の容積の変更を行うことも、
共鳴室60が隔壁と接しているところでは可能である点
は、図5の例と同じで、副室として調整用の利用できる
容積となる。
【0065】また、共鳴室の容積Vが不必要な時には、
共鳴室60の幾つかを、盲室として圧力導入部601を
塞いで調整する事が出来る。
【0066】図6に示すものは、図2における共鳴室6
0、61において、弁板6に対して共鳴室を形成する場
合を考慮したものであり、共鳴室60、61は、弁板6
を上下対称に各々6a、6bとして分けて製作された後
一体化される。
【0067】この外、共鳴室を設けるには、本発明の技
術思想を適用するに当たって当業者によって種々の変形
が可能であるのは勿論である。
【0068】上述した実施の形態では圧縮機についての
例を示したが、本発明はこれに限定されず、両斜板式、
片斜板式等の様々な類似の圧縮機にも適用可能である。
【0069】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の往
復動圧縮機によれば、従来の実情に鑑みて提案されたも
のであって、吸入室から弁板の吸入孔へ吸入される冷却
ガスが該吸入弁が脈動作用を生じて発生することに起因
する騒音が、特定の騒音の周波数であることに着目し、
これら騒音を簡易に低減することができる共鳴室を備え
た往復動圧縮機を得ることができた。
【0070】本発明は、吸入弁の脈動による騒音を低減
することができると共に、従来は騒音低減の為マフラー
を設ける等は、媒体の流れによる損失が大きかったが、
圧縮機の性能を何ら低下させることなく、而も廉価な往
復動圧縮機を得ることができた。
【0071】本発明は、また吸入弁の脈動による騒音を
装置や器具を特別に必要とせず圧縮機も大きくしないで
しないで、既存の弁板にヘルムホルツ共鳴器の減衰作用
を適用した空間部を吸入口の周囲に複数個所設けること
が可能となったので、吸入口における騒音を大幅且つ有
効に低減することができる廉価な構成の往復動圧縮機を
得ることが出来た。
【0072】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を一は吸入孔と排
出孔との間に他は吸入孔に隣接した円周上に複数設け、
シリンダの隔壁と対応する位置に副室として空間部を設
けることで、共鳴室を形成して、騒音の周波数に対応し
て調整できる。
【0073】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入口の周囲に
連続状に設けて共鳴室を形成したので、吸入口から発生
する騒音を大幅に且つ有効に低減できる。
【0074】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入口の周囲に
連続状に設け、該共鳴室は環状に連続して形成したの
で、空間の容積の調整及び製作を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧縮機のシリンダヘッド、吸入室、弁板及び弁
等の関連構成を説明するための圧縮機上部の断面図であ
る。
【図2】図1におけるA部分の拡大断面図であって、本
発明の圧縮機における1実施例を示す。
【図3】本発明の圧縮機における他の実施例を示す断面
図である。
【図4】本発明の圧縮機における他の実施例を示す断面
図である。
【図5】本発明の圧縮機における他の実施例を示す断面
図である。
【図6】本発明の圧縮機における実施例の製作に係る説
明を示す断面図である。
【図7】本発明の圧縮機における実施例の吸入脈動の測
定結果を示す図である。
【図8】本発明に適用される往復動圧縮機の構造を説明
するための断面図である。
【図9】ヘルムホルツ共鳴器の原理を説明する図であ
る。
【符号の説明】
1 圧縮機(可変容量) 2 圧縮機ケーシング 3 フロントハウジング 4 シリンダブロック 4a 切欠溝部 5 シリンダヘッド 6 弁板 7 シリンダガスケット 8 駆動軸 10 ピストン 11、12 貫通孔部 13、14 軸受 15 駆動軸支持部材 16 シリンダ 17 クランク室 18 ローター 19 回転止め用ピン 21 斜板ボス 22 揺動板 23 ピストンロッド 24、25 耳部 24a 係合ピン 25a 長孔部 26、27 ベアリング 28 板状のガイド部材 31 吸入孔 32 吸入弁 33 弁受け部(リセス) 34 吐出孔 35 吐出弁 36 リテーナ 41 隔壁 42 吸入室 43 吐出室 60〜63 共鳴室 601、602 圧力導入部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 市川 喜伸 群馬県伊勢崎市寿町20番地 サンデン株式 会社内 (72)発明者 井上 達人 群馬県伊勢崎市寿町20番地 サンデン株式 会社内 Fターム(参考) 3H003 AA02 AC03 BA01 CC12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】外部駆動源より駆動軸に伝達された回転駆
    動力がクランク機構を介してボア内に挿嵌されたピスト
    ンに伝達され、外部から吸入した冷却ガスを上記ピスト
    ンで吸入、圧縮して空調システムに循環させる往復動圧
    縮機において、 圧力容器となる筐体の構成部材として、上記駆動軸が回
    転可能に取り付けられるフロントハウジングと、 上記フロントハウジングと接続され上記ピストンが収納
    される複数のボアを並設したシリンダを備えたシリンダ
    ブロックと、 上記シリンダブロックと接続され、外部から供給された
    冷却ガスを上記ピストンの下死点側への移動により、シ
    リンダ内に吸入するための吸入弁が取り付けられる弁板
    と、 上記弁板と接続され、外部から供給された冷却ガスを上
    記吸入弁に供給する吸入室と上記ピストンで圧縮された
    冷却ガスを外部に排出するための排出室とが形成された
    シリンダヘッド等を備え、 ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用した空間部である
    共鳴室を弁板に複数設け、該空間部は吸入孔に連通した
    圧力導入部を備えていることを特徴とする往復動圧縮
    機。
  2. 【請求項2】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
    した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入孔と排出孔
    との間に他は吸入孔に隣接した円周上に1又は1以上設
    けたことを特徴とする請求項1記載の往復動圧縮機。
  3. 【請求項3】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
    した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入孔に隣接し
    た円周上に複数設けたものにおいて、シリンダの隔壁と
    対応する位置に副室として空間部を設け、共鳴室を一体
    に形成したことを特徴とする請求項1又は2記載の往復
    動圧縮機。
  4. 【請求項4】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
    した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入口の周囲に
    連続状に設けて、共鳴室を形成することを特徴とする請
    求項1記載の往復動圧縮機。
  5. 【請求項5】前記ヘルムホルツ共鳴器の減衰作用を適用
    した弁板に設けた空間部である共鳴室を吸入口の周囲に
    連続状に設けるものにおいて、該共鳴室は環状に連続し
    ていることを特徴とする請求項4記載の復動圧縮機。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008008604A (ja) * 2006-06-02 2008-01-17 Daikin Ind Ltd 冷媒配管構造及び空気調和装置

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