JP2000205135A - 往復動圧縮機 - Google Patents

往復動圧縮機

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JP2000205135A
JP2000205135A JP11010483A JP1048399A JP2000205135A JP 2000205135 A JP2000205135 A JP 2000205135A JP 11010483 A JP11010483 A JP 11010483A JP 1048399 A JP1048399 A JP 1048399A JP 2000205135 A JP2000205135 A JP 2000205135A
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JP
Japan
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valve
cylinder
suction valve
suction
recess
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JP11010483A
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Kenji Hashimoto
見次 橋本
Yoshinobu Ichikawa
喜伸 市川
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Sanden Corp
Original Assignee
Sanden Corp
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Publication date
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F04POSITIVE - DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS FOR LIQUIDS OR ELASTIC FLUIDS
    • F04BPOSITIVE-DISPLACEMENT MACHINES FOR LIQUIDS; PUMPS
    • F04B39/00Component parts, details, or accessories, of pumps or pumping systems specially adapted for elastic fluids, not otherwise provided for in, or of interest apart from, groups F04B25/00 - F04B37/00
    • F04B39/10Adaptations or arrangements of distribution members
    • F04B39/1073Adaptations or arrangements of distribution members the members being reed valves

Abstract

(57)【要約】 【課題】 圧縮機の低負荷運転時に生じる吸入弁の自励
振動に起因する圧力脈動を低減する。 【解決手段】 弁受部10は、シリンダ116の頂部か
ら所定の深さまで切り欠き形成され吸入弁の先端部の動
き量を規制する平面略円弧状の側面部11と、側面部1
1の下端側から連続して形成された平面部12と、側面
部11の下端側及び平面部12に連続し、平面部12の
両端側からそれぞれシリンダ116の下死点側に湾曲す
るように凹陥する一対の凹陥部13,14とを備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、往復動圧縮機に関
し、特に、冷媒の圧縮容量を可変とする可変容量タイプ
の往復動圧縮機における吸入弁機構の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、冷媒となる冷却ガス(以下、
冷媒ガスという。)を空調システムに循環させるための
車輌空調用の圧縮機(コンプレッサ)としては、例えば
図1に示すように、ピストンの往復移動で圧縮力を得る
レシプロタイプの往復動式圧縮機(以下、単に圧縮機と
呼ぶ。)101が知られている。この圧縮機101は、
冷媒ガスの吸入容量を可変にする可変容量タイプのもの
であり、複数(例えば7つ)のピストンを備えている。
【0003】圧縮機101は、図1に示すように、フロ
ントハウジング103、シリンダブロック104、シリ
ンダヘッド105、弁板106等が組み付けられること
により、圧力容器となる筐体としての圧縮機ケーシング
102が形成される。
【0004】圧縮機ケーシング102では、シリンダブ
ロック104と弁板106との接合部、シリンダヘッド
105と弁板106との接合部におけるシーリング材と
して、それぞれシリンダガスケットとヘッドガスケット
が取り付けられる。なお、図1では、便宜上シリンダブ
ロック104と弁板106間のシリンダガスケット10
7だけ示している。
【0005】この圧縮機ケーシング102の内部には、
回転可能に格納された駆動軸108、この駆動軸108
の回転によってシリンダブロック104内を往復運動す
る複数のピストン110等が配設されている。
【0006】すなわち、圧縮機ケーシング102におい
ては、フロントハウジング103の中央、及びシリンダ
ブロック104の中央に、上記駆動軸108を支持する
ための貫通孔部111,112が形成されており、これ
ら各貫通孔部111,112に対して駆動軸108が軸
受113,114や駆動軸支持部材115等を介して回
転可能に取り付けられる。
【0007】シリンダブロック104における上記貫通
孔部112の周囲には、ピストン110が収納されるシ
リンダ116がピストン110の個数だけ設けられてい
る。シリンダ116のそれぞれは、図1に示すように、
駆動軸108の軸方向と平行にピストン110が往復移
動する向きに形成されている。圧縮機ケーシング102
では、これら貫通孔部112及びシリンダ116の下側
(図の左側)の空間がクランク室117となっており、
このクランク室117内を駆動軸108が回転し、それ
に伴って、以下に説明する揺動板122が揺動するよう
になっている。
【0008】ここで、駆動軸108に対してはローター
118がローター回転止め用ピン119によって固定さ
れており、このローター118に対しては斜板ボス12
1が接続される。そして、この斜板ボス121には揺動
板122が取り付けられ、さらにこの揺動板122は、
ピストンロッド123を介して各ピストン110とユニ
バーサルジョイント(自在継手)方式で接続される。
【0009】具体的には、上記ローター118及び斜板
ボス121は、それぞれ耳部124,125を有してお
り、ローター118側の耳部124に設けられた係合ピ
ン124aが斜板ボス121側の耳部125に所定の大
きさで形成された長孔部125aに対して移動可能に係
合することにより、いわゆるヒンジ機構によって接続が
図られる。
【0010】また、上記揺動板122は、ベアリング1
26,127を介して斜板ボス121に対して相対回転
可能に取り付けられ、さらにクランク室117内に固定
配置された板状のガイド部材128の長手方向に摺動可
能に取り付けられる。これにより揺動板122は、斜板
ボス121が回転してもそれに伴って回転することがな
い。
【0011】一方、弁板106は、ねじ止めによりシリ
ンダブロック104とシリンダヘッド105とで挟まれ
るようにして圧縮機ケーシング102の内部に位置す
る。この弁板106には、冷媒ガスをシリンダ116内
に吸入するための吸入孔131及びシリンダ116内の
冷媒ガスを外に吐出するための吐出孔132がそれぞれ
ピストン110の数だけ形成されている。そして、弁板
106には、これら吸入孔131及び吐出孔132を閉
塞するように、ばね状の吸入弁部材129及び吐出弁部
材133が取り付けられる。
【0012】ここで、吸入弁部材129は、シリンダブ
ロック104を臨む側の弁板106の主面上に取り付け
られ、詳細は後述するが、ピストン110及びシリンダ
116の数(この場合は7つ)だけ吸入弁が形成されて
いる。そして、吸入弁部材129は、シリンダブロック
104における各シリンダ116の上端側に形成された
切欠溝である弁受け部(リセス)134に各吸入弁の先
端部が当接することにより、その動き量(リフト量)が
制限されるようになっている。一方、吐出弁部材133
は、シリンダヘッド105を臨む側の弁板106の主面
上に取り付けられ、7つの吐出弁が形成されている。こ
の吐出弁部材133の上側には、当該吐出弁部材133
と同一平面形状を有し各吐出弁のリフト量を制限するた
めの吐出弁受け部材135が取り付けられる。
【0013】シリンダヘッド105は、略碗状を呈し、
その内部には空間を区画するための隔壁141が形成さ
れている。すなわち、シリンダヘッド105は、この隔
壁141によって内部空間を吸入室142と吐出室14
3とに分離している。ここで、吸入室142は、弁板1
06の吸入孔131と連通しており、上記吸入弁部材1
29の各吸入弁を介して複数のシリンダ116に対する
冷媒ガスの流路を形成する。また、吐出室143は、上
記吐出弁部材133を介して弁板106の吐出孔132
と通じており、吐出弁部材133の各吐出弁を介して複
数のシリンダ116からの冷媒ガスを外部に吐出するた
めの流路となる。なお、図示しないが、シリンダヘッド
105には、冷媒ガスを吸入室142に供給するための
吸入口及び吐出室143からの冷媒ガスを外部に送るた
めの吐出口が設けられている。
【0014】次に、図2〜図4を参照して、圧縮機10
1の弁機構について説明する。圧縮機101は、図2に
示すように、シリンダブロック104の貫通孔部112
の周囲に7つのシリンダ116を備えた7気筒となって
おり、弁板106、シリンダガスケット107、ばね材
からなる吸入弁部材129及び吐出弁部材133、吐出
弁受け部材135等が、この気筒数に対応した形状とな
っている。すなわち、吸入弁部材129、吐出弁部材1
33、及び吐出弁受け部材135は、それぞれ中央部か
ら7方向に放射状に枝分かれした板状の弾性部材となっ
ている。また、弁板106には、吸入孔131及び吐出
孔132がそれぞれ7個ずつ穿設されている。
【0015】吸入弁部材129、弁板106、吐出弁部
材133、及び吐出弁受け部材135のそれぞれには、
中央部に相互に同径のネジ孔129a、106a、13
3a、及び135aが穿設されている。そして、各部材
がこの順に重ねられ上記各ネジ孔に対してネジ145、
ワッシャー146、及びナット147によりネジ止めさ
れる。このとき、吸入弁部材129における各吸入弁の
先端側が弁板106の各吸入孔131を閉塞し、吐出弁
部材133における各吐出弁の先端側が弁板106の各
吐出孔132を閉塞し、さらに吐出弁受け部材135が
吐出弁部材133と平面同一となるようにネジ止めで固
定される。これにより、吸入弁部材129における各吸
入弁の基端側に穿設されている略長円形の吐出用孔部1
48のそれぞれが、弁板106の各吐出孔132と連通
する。
【0016】図2に示すように、シリンダブロック10
4の各シリンダ116の上端部には、リセス134が形
成されている。各リセス134は、シリンダガスケット
107との接合部となる接合平面151から所定の深さ
で形成された切り欠き溝であって、平面略三日月状を呈
している。各リセス134は、貫通孔部112が形成す
る円の中心とシリンダ116が形成する円の中心とを結
ぶ仮想線の延長線上となる各シリンダ116の上端側の
位置に形成される。
【0017】なお、図3を参照してリセス134をさら
に詳細に説明すると、各リセス134は、平面略三日月
状を呈する平面部134aと側面部134bとからなっ
ており、平面部134aが上記接合平面151と平行に
形成される。また、側面部134bは、その下端側が上
記平面部134aと連続し、上端側が上記接合平面15
1と連続し、左右両端側がシリンダ116と接合平面1
51との接続部の面取りがなされた面取り部116aと
接続し、当該接続箇所にエッジ部134c,134dが
形成されている。
【0018】シリンダガスケット107は、その中央に
シリンダブロック104の貫通孔部112と同一平面形
状を呈する孔部152が設けられ、さらにこの孔部15
2の外側に、シリンダ116及びリセス134と同一平
面形状を呈するシリンダ孔153やネジが貫通するため
のネジ孔154が設けられている。
【0019】ヘッドガスケット130は、その中央に広
い面積に亘って孔部155が設けられ、この孔部155
の外側に、弁板106の吸入孔131に対応する吸入用
孔部156が7つ設けられている。
【0020】そして、これら各部材をネジ157を複数
用いて組み付けることにより、図4に示すように、吸入
弁部材129における各吸入弁の先端部129bがシリ
ンダブロック104の各リセス134の位置に配され
る。なお、図4では、シリンダ116の中心の位置を点
Pで示し、この点Pを中心とした上記リセス134の両
端側の角度をθ1で示している。
【0021】このような構成を有する圧縮機101で
は、エンジンやモータ等の外部からの駆動力によって駆
動軸108が回転すると、ローター118が一体となっ
て回転し、上述したヒンジ機構を介して斜板ボス121
にその回転運動が伝わり、斜板ボス121が所定の傾斜
角度をもって駆動軸108と同期回転する。そして、斜
板ボス121と相対回転可能に接続された上記揺動板1
22は、その一端側がガイド部材128に沿って往復移
動することにより、クランク室117内で回転すること
なく、所定の傾斜角度をもって揺動する。このとき、圧
縮機101では、複数のピストン110がそれぞれシリ
ンダ116内を往復移動し、回転するローター118の
耳部124の位置に来たピストン110が上死点に達す
るように順次押し上げられることになる。
【0022】圧縮機101においては、図示しない気液
分離器、蒸発器(エバポレータ)等からの冷媒ガスがシ
リンダヘッド105内の吸入室142に供給され、ピス
トン110が下死点側に移動すると、図5に示すよう
に、吸入弁部材129の当該吸入弁が弾性変形してシリ
ンダ116側(下死点側)に開いて弁板106の吸入孔
131の閉塞を解除し、当該冷媒ガスが弁板106の吸
入孔131を介してシリンダ116内に吸入される。こ
のとき、当該吸入弁は、上記弾性変形による変位の量が
リセス134によって制限されることになり、具体的に
は、図5に示すように、その先端部129bがリセス1
34の深さ(側面部134bの高さ)L1分だけ変位す
ることが可能となる。
【0023】そして、ピストン110が上死点側に移動
すると、シリンダ116内の冷媒ガスが圧縮され、この
圧縮された冷媒ガスによって吐出弁部材133の当該吐
出弁が弾性変形してシリンダヘッド105側に開き、当
該冷媒ガスが弁板106の吐出孔132を介して吐出室
143に吐出される。そして、この冷媒ガスは、シリン
ダヘッド105の上記吐出口から外部に吐出され、図示
しない放熱器等に供給される。
【0024】なお、圧縮機101においては、冷媒ガス
の負荷変動により、ローター118側の耳部124の係
合ピン124aに対する斜板ボス121の耳部125に
おける長孔部125aの係合位置が移動し、これにより
斜板ボス121の傾斜角度が変わるので、シリンダ11
6内に吸入可能な冷媒ガスの容量が変わることになる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このような
可変容量タイプの圧縮機101においては、アイドリン
グ時や低速回転時等、ガス循環量の少ない運転時では、
吸入弁の先端部129bがリセス134に当接せず、吸
入弁の自励振動が発生し、吸入脈動を誘発して車両内で
不快な振動や騒音が生じる問題が発生していた。
【0026】具体的には、従来の圧縮機101における
吸入弁機構では、図6に示すように、吸入弁の先端部1
29bがリセス134に当接しない状態で冷媒ガスがシ
リンダ116内に吸入される際には、吸入弁の先端部1
29bとリセス134との狭い間隙を通過してシリンダ
116内に入る冷媒ガスの流れが発生することになる。
そして、当該吸入弁機構においては、この際に、冷媒ガ
スの流れが閉塞状態に近くなるため、当該間隙を通過す
る際の冷媒ガス流の速度が大きくなって、流れに乱れが
生じ、リセス134の上記エッジ部134c,134d
の箇所から図3に示す矢印A及び矢印B方向に冷媒ガス
が流れるという現象が生じた。この現象により、従来の
圧縮機101では、吸入ガス流が吸入弁の下面側にうま
く回り込まないため吸入効率が悪くなった。加えて、従
来の圧縮機101における吸入弁機構では、上記エッジ
部134c,134dの箇所で冷媒ガス流に渦が発生し
てしまい、これによっても吸入効率が低下する問題があ
った。そして、このような冷媒ガスの流れの乱れや渦の
発生により、圧縮機101では、吸入弁の自励振動を引
き起こし、吸入脈動を誘発して車両内で不快な振動や騒
音が生じていた。
【0027】本発明は、このような実情に鑑みて提案さ
れたものであって、低負荷時における吸入弁の自励振動
に起因する圧力脈動を低減できる吸入弁機構を備えた往
復動圧縮機を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記課題を解
決するため、ピストンが往復移動するシリンダを有する
シリンダブロックと、ピストンの往復移動により冷媒を
吸入及び吐出するための吸入孔及び吐出孔を有し、シリ
ンダブロックのシリンダの頂部に取り付けられる弁板
と、弁板上に吸入孔を閉塞するように取り付けられる弾
性部材からなる吸入弁とを備え、ピストンの下死点方向
への移動により吸入弁が吸入孔の開方向に弾性変形する
際に、シリンダの頂部から所定の深さで平面略円弧状に
切欠形成された弁受部に吸入弁の先端部が当接すること
により、吸入弁の動き量が規制されるようになされた往
復動圧縮機において、弁受部は、シリンダの頂部から所
定の深さまで切り欠き形成され上記吸入弁の先端部の動
き量を規制する平面略円弧状の側面部と、側面部の下端
側から連続して形成された平面部と、側面部の下端側及
び平面部に連続し、平面部の両端側からそれぞれシリン
ダの下死点側に湾曲するように凹陥する一対の凹陥部と
を備える。
【0029】本発明の往復動圧縮機においては、ピスト
ンの下死点方向への移動により吸入弁が吸入孔の開方向
に弾性変形してその先端部が弁受部の平面部側に変位す
ると、弁板の吸入孔を介して吸入された冷媒が、吸入弁
の先端部と弁受部の凹陥部との間の空間を通過して吸入
弁の下側に回り込んでピストンの下死点側に達する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。本発明の往復動圧縮機は、図1〜
図6で説明した従来の圧縮機101を改良したものであ
り、以下に説明する実施の形態では、吸入弁機構の構成
のみが、従来のものとは異なっている。以下、冗長さを
避けるため、圧縮機全体についての説明については適宜
省略し、また、必要に応じて図1〜図6を引用する。
【0031】本発明の往復動圧縮機の実施の形態につい
て、図7〜図12を参照して説明する。図7及び図8
は、本発明の往復動圧縮機における吸入弁機構の弁受け
部(リセス)10の外観を表している。このリセス10
は、シリンダブロック104の接合平面151から所定
の深さまで切り欠き形成された側面部11と、この側面
部11の下端側から連続して形成された平面部12及び
一対の凹陥部13,14を備える。
【0032】リセス10の側面部11は、上端側がシリ
ンダブロック104の頂部である上記接合平面151と
連続しており、左右両端側がシリンダ116と接合平面
151との接続部の面取りがなされた面取り部116a
と連続する。ここで、図3の従来のリセス134と比較
して明らかなように、この実施形態のリセス10では、
側面部11とシリンダ116の面取り部116aとの接
続箇所がなだらかな曲面をなし、エッジが生じないよう
になっている。そして、リセス10における側面部11
は、上記左右両端の幅が、図3のリセス134の左右両
端幅よりも長くなっており、かつ、リセス10における
円弧のカーブが、図3のリセス134の円弧よりも緩や
かになっている。
【0033】この結果、図9(A)に示すように、シリ
ンダ116の中心点Pを中心としてリセス10の両端側
の角度をθ2で、リセス10の平面部12の両側端の角
度をθ3でそれぞれ表し、図4で説明した従来のリセス
134の両端側の角度θ1と比較すると、θ2>θ1>θ3
の関係となる。
【0034】なお、リセス10においては、冷媒の流路
をより広く確保するという観点からは、角度θ2をより
大きくとり、角度θ3をより小さくすべきであるが、リ
セス10の容積をあまり大きくとると圧縮効率が低下す
るため、両者のトレードオフを考慮した適度な角度とす
ることが好ましい。
【0035】このリセス10は、シリンダブロック10
4の貫通孔部112の中心点(図2参照)とシリンダ1
16の中心点Pとを結ぶ直線(図9(A)に示す破線
D)を中心として左右対称の形状となっている。
【0036】図7及び図8では、リセス10における側
面部11と詳細を後述する凹陥部13,14との境界を
点線で示しているが、この境界部分は実際にはなだらか
な曲面をなし、エッジが生じないようになっている。
【0037】図9(B)に示すように、リセス10の平
面部12は、従来の圧縮機におけるリセス134と同様
に、シリンダブロック104の上記接合平面151から
1の深さの位置に形成されている。また、リセス10
の凹陥部13,14は、最も凹陥する部分がシリンダブ
ロック104の上記接合平面151からL2(L1
2)の深さで形成されている。
【0038】さらに、リセス10における側面部11の
下端側は、その中央部が上記平面部12と連続し、当該
中央部の左右両側が凹陥部13,14と連続する。
【0039】平面部12は、側面部11の中央下端側か
ら略直交方向に連続しており、接合平面151と平行に
形成される。この平面部12は、後述する吸入弁22の
弁先端部が当接してその変位量を制限する機能を有す
る。
【0040】凹陥部13,14は、図7及び図8に示す
ように、当該平面部12の両側端から側面部11の左右
端側にかけて形成されており、平面部12の両側端から
下方向(下死点方向)に湾曲するように凹陥する。凹陥
部13,14は、この凹陥により曲面形状を呈し、か
つ、シリンダ116の内壁を下死点方向に窪ませてい
る。
【0041】図9(B)に示すように、リセス10の凹
陥部13,14における接合平面151からの深さL2
は、上述のように、リセス10の平面部12における接
合平面151からの深さL1よりも深くなっている。こ
こで、凹陥部13,14の深さL2は、ピストン110
が上死点に位置したときに、シリンダ116との接触部
であるピストンリングの上端と当該凹陥部13,14の
下端とが接触しない範囲内とすることが望ましい。
【0042】図10は、リセス10に組み付けられる吸
入弁部材の全体を示す平面図である。この吸入弁部材2
0は、図2の吸入弁部材129と同一形状となってお
り、弁板106にネジ止めするためのネジ孔21が部材
の中心位置に設けられ、部材中央からピストン及びシリ
ンダの数に対応して吸入弁22が7方向に放射状に形成
される。
【0043】吸入弁部材20における各々の吸入弁22
は、2段階に絞り込まれた左右対称のテーパー状となっ
ており、その基端側に吐出用孔部23が形成されてい
る。また、吸入弁22は、テーパー部24,24と、係
止部25とにより先端部が構成されている。ここで、吸
入弁22は、当該先端部におけるテーパー部24,24
が、基端側の角度よりもさらに深い角度で絞り込まれた
形状をなし、部材先端側で上記係止部25と連続してい
る。なお、係止部25は、リセス10の平面部12に当
接してその動きを係止するための部分である。
【0044】上記吸入弁部材20を弁板106及びリセ
ス10の形成されたシリンダブロックの各シリンダ11
6に対して組み付けた場合には、図11(A)に示すよ
うに、吸入弁22先端の係止部25がリセス10の平面
部12の上方に位置する。このとき、当該吸入弁機構で
は、吸入弁20におけるテーパー部24,24の下面先
端側にリセス10の凹陥部13,14が位置し、吐出用
孔部23の端がシリンダ116の端にかかるように位置
する。
【0045】このような構成とされた吸入弁機構を有す
る本発明の往復動圧縮機では、図示しない気液分離器、
蒸発器(エバポレータ)等からの冷媒ガスがシリンダヘ
ッド105内の吸入室142に供給され、ピストン11
0が下死点側に移動すると、吸入弁22が弾性変形して
下死点側に開くことにより弁板106の吸入孔131の
閉塞を解除し、当該冷媒ガスが吸入孔131を介してシ
リンダ17内に吸入される。
【0046】このとき、吸入弁22が先端部側から下方
に弾性変形するため、冷媒ガスは、当該変形に応じた方
向、すなわち、吸入弁22の先端部側に向かって流れて
ゆく。そして、冷媒ガスの流れは、図11(B)に矢印
で示すように、リセス10の凹陥部13,14で折り返
すように反転して、シリンダ17内に流入する。この際
に、冷媒ガスが吸入弁22の下面側に回り込んでピスト
ンの下死点側に達することにより、吸入効率の向上に寄
与する。
【0047】なお、通過するガス量が少なくなる時に
は、図11(B)に示すように、吸入弁22の係止部2
5がリセス10の平面部12に当接しないこととなる。
すなわち、この場合には、従来と同様に場合に吸入弁2
2の先端部がリセス134に当接しない状態で冷媒ガス
がシリンダ116内に吸入されることになるが、この際
には、図12に示すように、吸入弁22の先端部下方側
に広い冷媒の通路が確保されているので閉塞状態が生じ
にくく、当該通路を通過する冷媒ガスは、その流通速度
が遅くなる。また、このリセス10では、凹陥部13,
14とシリンダ116との接続箇所にエッジ部が形成さ
れていないことから、当該接続箇所で渦が発生すること
がない。従って、この吸入弁機構によれば、吸入される
冷媒ガスの流れが非常に安定し、吸入弁22の自励振動
が起きにくい構造となっている。
【0048】このように、この吸入弁機構によれば、吸
入弁22の下面側の冷媒通路が十分な容積で確保されて
いるので、吸入弁22の弁先端部がリセス10に当接す
るまでの中間状態において、冷媒ガスの閉塞状態が大幅
に緩和され、当該冷媒ガスが冷媒通路を遅い速度でスム
ースに通過し、冷媒ガス流が安定状態となる。また、図
11(B)に示すように、吸入弁22の下面側に冷媒ガ
ス流が回り込み、効率良く冷媒が吸入される。さらに
は、凹陥部13,14とシリンダ116との接続箇所に
エッジ部が存在しないので、渦などの乱流が発生するこ
ともない。以上により、本実施形態の吸入弁機構を備え
た圧縮機によれば、通過するガス量が少なくなる低負荷
での運転の際に弁本体部13の弁先端部16がリセス1
8に当接しない場合であっても、吸入弁の自励振動の発
生が生じにくく、圧力脈動による不快な騒音を低減する
ことが可能となる。
【0049】また、この吸入弁機構は、従来のリセス1
34をさらに上記形状に削り出してその容積を増加する
ように変更することでリセス10を形成することができ
るので、簡素かつコスト安で実現することが可能であ
る。
【0050】なお、本発明によれば、従来よりもリセス
の容積が増えるため、圧縮効率の低下による性能劣化が
生じるのではないかという疑問が生じる。すなわち、従
来では、「圧縮効率の低下を防止するため、リセスの容
積はできるだけ小さくすべきである。」という考え方が
支配的であった。しかしながら、本発明の圧縮機を試作
して実験を行った結果では、リセスの容積を多少大きく
してもそれにより吸入効率が上がれば、若干の圧縮効率
の低下による不利益は無視できるものであり、総合的に
みて性能が大きく向上することが確認された。また、本
発明者が冷媒として所定の色付き気体を使って実際に可
視化試験を行った結果では、従来のリセス134を有す
る圧縮機に比べて2〜3dBの騒音低減効果が得られる
ことが確認された。
【0051】図14は、リセス10に組み付けられる吸
入弁部材の他の実施の形態を示す平面図である。なお、
上述した吸入弁部材20と同一の部分には同一の符号を
付し、その説明を省略する。図14に示す吸入弁部材2
0Aは、各吸入弁の先端部の形状が上述の吸入弁部材2
0とは異なっている。
【0052】すなわち、この吸入弁部材20Aでは、各
吸入弁22Aの先端部が係止部25と当該係止部25の
両側の切り欠き部26,26とにより構成されている。
なお、吸入弁部材20Aの係止部25は、上述した図1
0に示す吸入弁部材20の係止部25と同一位置に同一
幅で形成されている。一方、切り欠き部26,26は、
図10に示す吸入弁部材20のテーパー部24,24の
各先端側を円弧状に切り欠いた形状となっており、図1
3では参考のためにテーパー部24の形状を点線を用い
て示してある。そして、この吸入弁部材20Aの先端部
は、その平面形状がリセス10の平面部12の左右両側
端の形状と等しくなるような形状となっている。
【0053】すなわち、吸入弁部材20Aを上述のリセ
ス10に組み付けた場合には、図14に示すように、切
り欠き部26,26の先端側がリセス10の平面部12
に等しく対峙する位置関係となる。また、切り欠き部2
6,26の基端側は、シリンダ116の内壁よりも若干
内側に位置する。
【0054】そして、このような構成の吸入弁機構を備
えた圧縮機によれば、冷媒ガスの吸入の際に吸入弁22
Aの先端側上面から当該冷媒がより一層スムースに流
れ、吸入効率の向上に寄与する。
【0055】上述した各実施の形態では、ピストン及び
シリンダを7個備えたいわゆる7気筒の往復動圧縮機に
ついて本発明を適用した場合について説明したが、本発
明はこれに限定されるものではなく、5気筒、6気筒、
その他種々の気筒数の往復動圧縮機に適用できる。
【0056】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の往
復動圧縮機によれば、ピストンの下死点方向への移動に
より吸入弁が吸入孔の開方向に弾性変形して吸入弁の先
端部が弁受部の平面部側に変位すると、弁板の吸入孔を
介して吸入された冷媒が、吸入弁の先端部と弁受部の凹
陥部との間の空間を通過して吸入弁の下側に回り込んで
ピストンの下死点側に達するので、吸入効率の向上、冷
媒の流れの低速化、安定化等が得られ、結果として低負
荷時における吸入弁の自励振動に起因する圧力脈動を防
止し、騒音を低減することが可能となる。
【0057】
【図面の簡単な説明】
【図1】往復動圧縮機の一例についての全体構成を説明
するための断面図である。
【図2】上記往復動圧縮機における弁機構の構成例を示
す分解斜視図である。
【図3】上記往復動圧縮機における弁受け部(リセス)
を示す外観斜視図である。
【図4】上記往復動圧縮機における吸入弁とシリンダ及
び弁受け部(リセス)との位置関係を示す平面図であ
る。
【図5】上記吸入弁の動作を説明するための断面図であ
る。
【図6】通過するガス量が少なくなる場合の吸入弁の動
作及び冷媒ガスの流れを説明するための断面図である。
【図7】本発明の往復動圧縮機における弁受け部(リセ
ス)を示す外観斜視図である。
【図8】上記リセスを他の方向から示す外観斜視図であ
る。
【図9】上記リセスの構造を説明するための図であり、
(A)は平面図、(B)は側面図である。
【図10】上記往復動圧縮機における吸入弁の形状を示
す平面図である。
【図11】(A)はシリンダブロックに吸入弁を取り付
けた場合の平面透視図、(B)は冷媒ガスの流れを説明
するためのシリンダ内の側面図である。
【図12】通過するガス量が少なくなる場合の吸入弁の
動作及び冷媒ガスの流れを説明するための断面図であ
る。
【図13】吸入弁の他の実施の形態を示す平面図であ
る。
【図14】図13の吸入弁を取り付けた場合の平面透視
図である。
【符号の説明】
10 リセス 11 側面部 12 平面部 13,14 凹陥部 20,20A 吸入弁部材 21 ネジ孔 22 吸入弁 23 吐出用孔部23 24 テーパー部 25 係止部 26 切り欠き部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ピストンが往復移動するシリンダを有す
    るシリンダブロックと、上記ピストンの往復移動により
    冷媒を吸入及び吐出するための吸入孔及び吐出孔を有
    し、上記シリンダブロックのシリンダの頂部に取り付け
    られる弁板と、上記弁板上に上記吸入孔を閉塞するよう
    に取り付けられる弾性部材からなる吸入弁とを備え、上
    記ピストンの下死点方向への移動により上記吸入弁が上
    記吸入孔の開方向に弾性変形する際に、上記シリンダの
    頂部から所定の深さで平面略円弧状に切欠形成された弁
    受部に上記吸入弁の先端部が当接することにより、当該
    吸入弁の動き量が規制されるようになされた往復動圧縮
    機において、 上記弁受部は、上記シリンダの頂部から所定の深さまで
    切り欠き形成され上記吸入弁の先端部の動き量を規制す
    る平面略円弧状の側面部と、上記側面部の下端側から連
    続して形成された平面部と、上記側面部の下端側及び上
    記平面部に連続し、当該平面部の両端側からそれぞれ上
    記シリンダの下死点側に湾曲するように凹陥する一対の
    凹陥部とを備えることを特徴とする往復動圧縮機。
  2. 【請求項2】 上記弁受部の上記側面部は、左右両端側
    と上記シリンダとの接続箇所が曲面状に形成されている
    ことを特徴とする請求項1記載の往復動圧縮機。
  3. 【請求項3】 上記吸入弁の上記先端部には、上記弁受
    部における平面部の形状に対応した一対の切り欠き部が
    形成されていることを特徴とする請求項1記載の往復動
    圧縮機。
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