JP2004217858A - 水性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】缶内面用塗料として食品衛生性に優れ、加工性、耐食性、特にアルコールを含む飲料に対する耐食性に優れ、フレーバー成分の収着量が少なくBPA溶出量も低い缶被覆用水性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】芳香族系エポキシ樹脂(A)、端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の混合物と、Tgが100℃以上でカルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C)を有機溶剤中で部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂を塩基で中和して水性媒体中に分散させてなることを特徴とする水性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規にして有用なる水性樹脂組成物に関する。さらに詳細には、特定のエポキシ樹脂及びアクリル樹脂を含有することで、缶内面用塗料として食品衛生性に優れ、加工性、耐食性、特にワインやチューハイに代表されるアルコールを含む飲料に対する耐食性に優れ、フレーバー成分の収着量が少なくBPA溶出量も低いことを特徴とする缶被覆用水性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属缶素材としては、アルミニウム、ブリキ、ティンフリースチール等の金属が用いられている。これらの金属は、その腐食を防止するために、通常、缶の内外面には塗膜が形成されている。缶内面用塗料としては、密着性および防食性の面で優れている処から、通常、エポキシ/フェノール樹脂系、エポキシ/アミノ樹脂系または塩ビオルガノゾル系等の塗料が用いられている。
【0003】
しかしながら、上述したような塗料は、有機溶剤を含有するため、特に大気汚染、作業環境の悪化ならびに火災や爆発の危険性を有しており、これらの問題点を回避する手段として、エポキシ樹脂をアクリル系樹脂で変性せしめることによって、乳化力のあるセグメントを分子中に導入した、いわゆる自己乳化性エポキシ樹脂を水中に分散させる方法が種々提案されている。その水性塗料として、エポキシ樹脂とカルボキシル基含有アクリル樹脂とを反応させまたは混合したエポキシ変性アクリル樹脂系の水性塗料が提案されている。(例えば、特許文献1,2,3参照)
【0004】
しかしながら、これら従来の水性塗料は、環境ホルモンとして疑いのもたれているBPAの溶出量が多いことや、特に衛生性、耐食性、特にワインやチューハイに代表されるアルコールを含む飲料に対する耐食性、フレーバー成分の収着量が多いことなどの点で問題がある。
【0005】
さらに近年缶内面塗料を塗装した後に加工を施すボトル缶の需要が高まっているが、加工の際、ねじ部の塗膜が損傷を受けやすい問題を有しており、さらなる加工性のレベルアップが望まれている。
【0006】
チューハイやワインに代表されるアルコールを含む飲料には、従来それらの飲料に対する耐食性、加工性に優れ、フレーバー成分の収着量が少ない塩ビオルガノゾル系等の塗料が用いられている。周知のとおり、塩化ビニル系樹脂はダイオキシンを発生する問題を有しており、これを使用しない塗料の開発が望まれている。
【0007】
このように、缶被覆用水性樹脂組成物として、食品衛生性に優れることは勿論、フレーバー成分の収着量が少なく、しかも高加工性能が求められるボトル缶に使用でき、耐食性、特にチューハイやワインに代表されるアルコールを含む飲料に対する耐食性にも優れ、BPA溶出量も少ない缶被覆用水性樹脂組成物は見い出されていないのが実情である。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−287508号公報
【特許文献2】
特開平6−145593号公報
【特許文献3】
特開平7−138523号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明が解決しようとする課題は、食品衛生性、耐食性、特にチューハイやワインに代表されるアルコールを含む飲料に対する耐食性、加工性に優れ、フレーバー成分の収着量が少なく、BPA溶出量もきわめて少なく、ボトル缶に使用できる水性樹脂組成物を提供することにあり、特に、従来提案されてきた水性型塗料の密着性、耐水性を保有し、食品、化粧品ならびに医療品類等の各種の容器として、極めて実用性の高い缶被覆用水性樹脂組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上述したアクリル変性エポキシ樹脂の欠点を改善すべく、鋭意、検討した結果、ここに、特定のエポキシ樹脂とアクリル樹脂を使用することにより、優れた缶被覆用水性樹脂組成物を見い出すに及んで、本発明を完成するに到った。
【0011】
即ち、本発明は、芳香族系エポキシ樹脂(A)、端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の混合物と、Tgが100℃以上でカルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C)を有機溶剤中で部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂を塩基で中和して水性媒体中に分散させてなることを特徴とする水性樹脂組成物を提供する。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の構成は、芳香族系エポキシ樹脂(A)、端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の混合物と、Tgが100℃以上でカルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C)を有機溶剤中で部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂を塩基で中和して水性媒体中に分散させてなる水性樹脂組成物である。用途として、アルミニウム、錫メッキ鋼板、あるいは、前処理した金属、更には、スチールの如き、各種の金属素材又は製品への被覆用としてのみならず、木材の如き、他の素材や加工品への被覆剤としても用いることの出来るが、金属缶に用いる時に格別優れた効果を期待することの出来る水性樹脂組成物である。
【0013】
以下、各構成要件について、詳細に述べる。本発明の水性樹脂組成物に用いる芳香族系エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールB型エポキシ樹脂であることが好ましい。数平均分子量は4,000〜15,000であることが好ましい。エポキシ樹脂の分子量は高いほうが、加工性、衛生性、耐食性、特にワインやチューハイに代表されるアルコールを含む飲料に対する耐食性が良好となることから、より好ましくは、数平均分子量が7,000〜1,3000であり、特に好ましくは、10,000〜12,000である。
【0014】
芳香族系エポキシ樹脂(A)の場合、数平均分子量が15,000を越える場合には、加工性が良好となるものの、密着性が劣る傾向があり、また、数平均分子量が4,000未満である場合には、加工性が劣る傾向がある処から、缶内面被覆用の樹脂としては、上記の数平均分子量の範囲を持ったエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0015】
芳香族系エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は2,000〜9,000g/eqであることが好ましい。より好ましくは2,000〜8,000g/eqであり、特に好ましくは2,500〜7,500g/eqである。芳香族系エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が9,000を越えると、硬化性が劣る傾向があり、熱水処理後における塗膜が白化するという現象が見られる場合がある。このように、缶被覆用の樹脂としては、最適なるエポキシ当量の範囲を持ったエポキシ樹脂を用いることが好ましい。一方、適切な硬化性および分子量に起因する加工性の観点から、エポキシ当量は2,000g/eqより大きいことが好ましい。
【0016】
数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、ポリスチレン換算で求めたものである。芳香族系エポキシ樹脂(A)は、市販品としては、例えば、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート1007、1009、1009M、1010、1256、4009P、4010P、大日本インキ化学工業株式会社製のエピクロンHM−091、エピクロンHM−101、東都化成株式会社製のYDT−109D、ZX−1392、ZX−1462などがあげられる。
【0017】
本発明の水性樹脂組成物に用いる、端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)は、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型又はビスフェノールB型エポキシ樹脂であることが好ましい。数平均分子量は、1,500〜6,000が好ましい。より好ましくは、2,000〜5,500であり、特に好ましくは3,500〜5,000である。端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の場合、数平均分子量が6,000を越える場合には、加工性が良好となるものの、密着性が劣る傾向があり、また、数平均分子量が1,500未満である場合には、加工性が劣る傾向がある。このように、缶被覆用の樹脂としては、上記の数平均分子量の範囲を持ったエポキシ樹脂を用いることが好ましい。端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、1,500〜7,000g/eqが好ましい。より好ましくは2,000〜5,500g/eqであり、特に好ましくは3,500〜5,000g/eqである。端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量が7,000g/eqを超えると硬化性が劣る傾向があり、熱水処理後における塗膜が白化するという現象などが見られる場合があり、水中での加工性を含めた耐水性が悪くなる傾向がある。一方、適切な硬化性および分子量に起因する加工性の観点から、エポキシ当量は1,500g/eqより大きいことが好ましい。エポキシ当量がこのように、缶被覆用の樹脂としては、最適なるエポキシ当量の範囲を持ったエポキシ樹脂を用いることが好ましい。
【0018】
端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)は、例えばビスフェノールAとジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート828を設計した分子量にふさわしい当量比で仕込み、更に変性剤を、設計したエポキシ当量にふさわしい当量仕込み、4級アンモニウム塩を触媒として用いて重合反応し得ることができる。又、変性剤の仕込む時期は、上記の様に重合反応前以外にも重合反応の途中もしくは重合反応後でもよい。
【0019】
端末が変性された芳香族エポキシ樹脂(B)は、ポリマーの両末端が変性されたものと片末端が変性されたもの及び両末端が変性されていないものの3種の混合物からなる。
【0020】
端末の変性剤としては、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、フェノール類、脂肪酸類、グリコール類、水が挙げられる。ボトル缶のねじ部での加工性(キャップ加工性)を良好とするために、好ましくはフェノール類、脂肪酸類、グリコール類であり、キャップ加工性に加えてチューハイやワインに代表されるアルコールを含む飲料に対する耐食性の性能を上げるために、より好ましくはフェノール類である。係るフェノール類として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、石炭酸、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノール、p−クレゾール、o−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、m−メトキシフェノール等が挙げられる。これらの中で特にp−tert−ブチルフェノールがキャップ加工性やチューハイやワインに代表されるアルコール飲料に対する耐食性の性能が優れている。
【0021】
本発明で使用する芳香族系エポキシ樹脂(A)と端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の含有比率は90/10〜10/90が好ましい。より好ましくは70/30〜30/70であり、特に好ましくは60/40〜40/60である。端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の含有率を上げると、焼付け後の硬化が抑制され、加工性を良好にすることができる。しかしあまりに含有率が高いと硬化不足となり、レトルト時に塗膜が白化するなどの耐水性が劣るなどの問題が生じる場合がある。端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)はアルコールを含む飲料に対する耐食性及びボトル缶のねじ部に対する加工性(キャップ加工性)の点で優れており、これらの性能を向上させるためには端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)を最適な比率で用いることが好ましい。
【0022】
本発明の水性樹脂組成物に用いるアクリル樹脂(C)は、Tgが100℃以上であり、カルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂であり、数平均分子量は2,000〜10,000であることが好ましい。より好ましくは、3,000〜8,000の範囲である。数平均分子量が10,000以上ではアクリル変性エポキシ樹脂の加工性が劣る傾向がある。また2,000未満では水分散体の安定性が劣る傾向がある。
【0023】
本発明で使用するアクリル樹脂(C)が必須成分とする、カルボキシル基含有ビニルモノマーとして特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸等である。
【0024】
アクリル樹脂(C)は、必須成分としてのカルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルの他に、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノエチル、イタコン酸モノn−ブチル如き、各種のジカルボキシル基含有ビニルモノマーのモノアルキルエステル類を含有してもよい。その他の共重合性単量体として特に代表的なもののみを例示するに止めれば、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシルの如き、各種の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、2,4−ジブロムスチレンの如き、各種のエチレン性不飽和芳香族単量体(芳香族ビニル単量体);(メタ)アクリロニトリルの如き、各種のエチレン性不飽和ニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルの如き、各種のビニルエステル;塩化ビニリデン、臭化ビニリデンの如き、各種のビニリデンハライド;アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシエチルの如き、各種のエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリル酸グリシジルの如き、各種のエチレン性不飽和カルボン酸グリシジルエステル;または(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドの如き、各種の(メタ)アクリルアミド誘導体等のラジカル重合可能な化合物が挙げられる。
【0025】
本発明で使用するアクリル樹脂(C)に、上記各種共重合性単量体を用いることは可能であるが、カルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルをビニルモノマーとして必須成分とするアクリル樹脂のTgが100℃以上となるよう、また、特にホモポリマーのTgが300K以下のエステル結合を有する単量体(以下、特定エステル型単量体という。)は樹脂中に2質量%以内になるように用い、しかもアクリル系樹脂(C)の計算による理論Tgは100℃以上であることが好ましい。これはTgが低い樹脂成分は内容物のフレーバー成分を多く収着したり、水蒸気透過性を大きくすること、さらにエステル結合が、缶内容物の加熱殺菌工程において加水分解を受け、その結果加工性が著しく劣化するためである。係る特定エステル型単量体としては、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2エチルヘキシル等のアクリル酸エステルを例示することができる。
【0026】
特に(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とすることにより、他のビニルモノマーを使用した場合(例えばスチレン)と比較して、前述した内容物のフレーバー成分の収着が少なく、又水蒸気透過量も小さい。この現象は、(メタ)アクリル酸メチルモノマーを必須成分とする塗膜のバリアー性が極めて優れるためであり、その結果、アルコール含む飲料に対する耐食性にも効果を発揮する。さらに、(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とすることにより、BPAの溶出量、過マンガン酸カリウム消費量がスチレンを必須成分とした場合と比較して良好になる。
【0027】
上記アクリル樹脂(C)は、上記カルボキシル基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸メチルを必須とし、必要に応じその他の重合性単量体との混合物を、特に限定されるものではないが、例えば有機溶剤中にて、ラジカル重合開始剤又は連鎖移動剤の存在下、80〜150℃で1〜10時間程度加熱し共重合させることによって得ることが出来る。これらの重合開始剤の使用量は、特に限定されるものではないが、共重合性単量体の合計質量の0.01〜20質量%の範囲が好ましい。上記重合開始剤としては有機過酸化物系、アゾ系等が用いられ、有機過酸化物系では、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−アミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等が挙げられ、アゾ系では例えばアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等が挙げられる。上記連鎖移動剤としては、α−メチルスチレンダイマー、メルカプタン類などが挙げられる。
【0028】
上記した製造方法における、カルボキシル基含有ビニルモノマーの使用量は、共重合性単量体の合計質量を100質量部とした時、25〜65質量部とすることが好ましい。
【0029】
アクリル樹脂(C)における、カルボキシル基含有ビニルモノマーの使用量が25〜65質量部なる範囲内にある場合に、本発明の水性樹脂組成物の水性媒体中における樹脂の分散安定性をはじめ、塗装した塗膜の、それぞれ、金属に対する密着性、耐溶剤性ならびに缶内面用に使用した場合における衛生性等がいずれも良くなる傾向があるので好ましい。
【0030】
本発明で使用するアクリル変性エポキシ樹脂は、上記芳香族系エポキシ樹脂(A)及び端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の混合物と、Tgが100℃以上でカルボキシル基含有ビニルモノマーと(メタ)アクリル酸メチルを必須の成分として含有するアクリル樹脂(C)とを、エポキシ基に対して、カルボキシル基が過剰とする反応基濃度において、アミン触媒下で有機溶媒中で部分的にエステル化反応せしめことによって得られる。その後、該アクリル変性エポキシ樹脂を、アミンで中和して水性媒体中に分散させることにより本発明の水性樹脂組成物を容易に得ることが出来る。アミン触媒としては特に限定しないがジメチルエタノールアミンが好適に使用できる。
【0031】
エステル化反応は樹脂酸価、エポキシ当量、樹脂粘度等を追跡し予め決めておいた規定の酸価、エポキシ当量、粘度等に達した時点でアミン及び水を添加しエステル化の反応を停止させた上で、水性媒体中に分散させることで、容易に任意の流動性を有する水性樹脂分散体を得ることが出来る。つまり、エステル化反応を進め、アクリル−エポキシグラフト体量を増やせば擬塑性の度合いが大きくなり、エステル化を抑えれば擬塑性の度合いが小さい水性樹脂分散体を得ることが出来る。
【0032】
上記の製造方法における、芳香族系エポキシ樹脂(A)及び端末が変性された芳香族系(B)の混合物と、アクリル樹脂(C)の使用割合は、それらの合計重量を100質量部としたとき、固形分質量比で、(A)+(B)/(C)=95/5〜70/30なる範囲内が好ましく、エポキシ基に対して、カルボキシル基が過剰となるような反応基濃度範囲が好ましい。
【0033】
芳香族系エポキシ樹脂(A)+(B)の使用割合が70〜95質量部である場合には、加工性、塗膜の金属に対する密着性に優れ、しかも、得られる樹脂の分散安定性が向上する傾向にあるので好ましい。より好ましくは、エポキシ樹脂(A)+(B)の含有比率が80〜90である。アクリル樹脂(C)の使用割合が5未満の場合、水に対する分散安定性が劣る傾向があるばかりでなく、焼付時のアクリル樹脂とエポキシ樹脂の硬化反応が不足する傾向がある。またアクリル樹脂(C)の使用割合が25を超えた場合加工性が劣る傾向がある。
【0034】
有機溶媒として特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブアセテート又はエチルセロソルブアセテート等をはじめ、ジオキサン、ジメチルホルムアミド又はダイアセトンアルコールのような、各種の親水性有機溶媒;酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン又はキシレンの如き、各種の親油性有機溶媒等である。これらは単独使用でも2種以上を併用してもよく、必要に応じて、水とこれらの有機溶媒とを併用してもよい。
【0035】
上記した方法で得られるアクリル変性エポキシ樹脂のカルボキシル基の中和に使用できる塩基性化合物としては、通常のアンモニア又は有機塩基が使用できる。
【0036】
そのうち、有機塩基として特に代表的なもののみを例示するに止めれば、トリメチルアミン、トリエチルアミンもしくはブチルアミンの如きアルキルアミン類:ジメチルアミノエタノール、ジエチルイソプロパノールアミン、ジエタノールアミンもしくはアミノメチプロパノールの如きアルコールアミン類;又はモルホリン等である。又、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンの如き多価アミンも使用できる。これらの塩基性化合物は、塗膜中に残留せずに、耐水性を良くする傾向があるので好ましい。塩基性化合物の使用量としては、分散体のpHが5以上となるような量が好ましい。
【0037】
かかるカルボキシル基を含有し自己乳化性を有するアクリル変性エポキシ樹脂を合成するときには、エポキシ基を残すように、部分エステル化反応をせしめるが、本発明で用いるアクリル変性エポキシ樹脂中のカルボキシル基の少なくとも一部を、塩基性化合物で中和し、水性媒体中に分散させたのち、この樹脂分散体を加熱することにより、微小な粒子の中で残存するエポキシ基とカルボキシル基との反応を行なわせ、三次元網目構造を有するミクロゲル粒子を得ることができる。
【0038】
本発明において水性媒体とは、水単独、あるいは、水と少なくとも10質量%以上が水である親水性有機溶剤との混合物を意味する。本発明で用いることが出来る親水性有機溶剤として特に代表的なもののみを例示するに止めれば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、イソブタノールの如きアルキルアルコール類;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ヘキシルセロソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトールの如きグリコールエーテル類;又はメチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテートの如きグリコールエーテルエステル類等であり、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、ダイアセトンアルコール等である。
【0039】
必要に応じて、親油性有機溶剤を用いることは、何ら、差し支えがない。かくして得られる水性樹脂組成物から、そこに含有される有機溶剤を減らす必要がある場合には、アクリル変性エポキシ樹脂を製造する際に、沸点が低く、水と共沸するような有機溶剤、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、n−ブタノール又はブチルセロソルブ等を、水と併用して水性媒体中に分散せしめたのち、常圧もしくは減圧にて蒸留すれば、安定的に、有機溶剤の含有率の低い水性樹脂組成物を容易に得ることができる。
【0040】
本発明の水性樹脂組成物、特に、缶内面被覆用水性樹脂組成物には、更に、必要に応じて、塗膜の密着性や硬化性などを高めるために、硬化剤として、フェノール樹脂(D)を添加してもよい。係るフェノール樹脂として特に代表的なもののみを例示するに止めれば、ビスフェノールA又はビスフェノールFの如き、各種の4官能性のフェノール化合物、石炭酸、m−エチルフェノール、3,5−キシレノール、m−メトキシフェノールの如き3官能のフェノール化合物もしくはp−クレゾール、o−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−エチルフェノール、2,3−キシレノール、m−メトキシフェノールの如き、各種の2官能性のフェノールと、ホルムアルデヒドとをアルカリ触媒の存在下で合成したものである。
【0041】
又、フェノール樹脂に含有されるメチロール基の一部ないしは全部を、炭素数が1〜12なるアルコール類によってエーテル化した形のものを使用することもできる。
【0042】
上記に例示したフェノール樹脂(D)、芳香族系エポキシ樹脂(A)、変性芳香族系エポキシ樹脂(B)とTgが100℃以上で、カルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C)の合計を100とした場合、固形分比で(A)+(B)+(C)/(D)=100/0〜95/5なる範囲内がよく、好ましくは(A)+(B)+(C)/(D)=97/3〜99/1がよい。上記に例示したフェノール樹脂(D)の量が5を超えると加工性と衛生性が劣るために好ましくない。
【0043】
本発明の水性樹脂組成物は、アルミニウム、錫メッキ鋼板、あるいは、前処理した金属、更には、スチールの如き、各種の金属素材又は製品への被覆用として有用であるが、木材の如き、他の素材や加工品への被覆剤として用いてもよいことは勿論である。
【0044】
本発明の水性樹脂組成物の塗装方法としては、エアースプレー、エアレススプレーまたは静電スプレーの如き、各種のスプレー塗装、浸漬塗装、ロールコーター塗装ならびに電着塗装等も可能である。
【0045】
又、焼付け条件としては、120〜280℃で、10秒〜30分間なる範囲内が好ましい。
【0046】
本発明の水性樹脂組成物は、用途に応じて、それぞれ、適当な防錆剤、顔料、充填剤等を配合して、防錆プライマー、印刷インキ、あるいは、防食防錆塗料などに使用することもできる。
【0047】
最も好ましい用途としては、飲食物等に用いられる、各種の金属容器への内面塗装に使用することであって、塗膜には耐水性があり、塗膜から缶内容物への低分子化合物の溶出がなく、加えて、非常に塗膜の不浸透性が高いので、缶内部に貯蔵する飲食物の、天然の味または香りを変質させないと共に、加工性にも優れている被覆品が得られる。
【0048】
また、本発明の水性樹脂組成物に、加工時の塗膜の傷付きを防ぐ目的で、滑剤であるワックスを添加することも可能である。ワックスとしては、カルナバワックス、ラノリンワックス、パーム油ワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の動植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラム等の石油系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス等の天然ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素、上記天然ワックスの誘導体、ポリオレフィンワックス、ポリテトラフルオルエチレンワックス等の合成ワックス等があり、粉体化または、水分散化処理をすることにより、これらを単独で、または組み合わせて用いることができる。
【0049】
更に、本発明の缶内面被覆用水性樹脂組成物は、高温短時間の焼付け条件においても発泡することがなく、且つ、厚膜塗装が可能であると共に、加工性ならびに耐食性が良好である処から、溶接缶の溶接部補正塗料としても有用である。
【0050】
【実施例】
本発明を実施例により、一層、具体的に説明する。以下において、特に断りのない限り、部および%は、すべて質量基準であるものとする。
【0051】
(実施例1)
[カルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C−1)の合成(理論Tg113℃)]
(a) n−ブタノール 670部
(b) スチレン 10部
(c) エチルアクリレート 10部
(d) メタクリル酸 190部
(e) メタクリル酸メチル 240部
(f) 過酸化ベンゾイル 13.5部
まず、(a)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、撹拌溶解しながら110℃に保って、この中に、(b)〜(f)を混合溶解したものを、2時間かけて徐々に滴下した。滴下終了後も、さらに同温度で3時間撹拌し、固形分が40%なる、カルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C−1)溶液を得た。
【0052】
[アクリル変性エポキシ樹脂の合成と水分散化]
(g) 端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B−1) 120部
(h) 芳香族系エポキシ樹脂(A−1) 30部
(i) 上記カルボキシル基含有アクリル樹脂(C−1)溶液 66部
(j) n−ブタノール 13部
(k) ブチルセロソルブ 53部
(l) イソブタノール 11部
(m) ジメチルエタノールアミン 6部
(n) ジメチルエタノールアミン 1部
(o) イオン交換水 400部
まず、(g)〜(l)を窒素ガス置換した4つ口フラスコに仕込み、110℃で2時間撹拌することによって完全に溶解したのちに、75℃に冷却した。この溶液に、(m)を仕込んで120分撹拌し、エステル化反応を行い、固形分が59%なる、アクリル変性エポキシ樹脂の溶液を得ると同時に、(n)と(o)の一部を仕込んで、温度を下げエステル化反応を実質的に停止させ、さらに撹拌しながら、(o)の残りを30分かけて滴下し、転相乳化させ固形分が25%なるアクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を得た。酸価、エポキシ当量の測定から、120分間のエステル化反応ではエポキシ基の約40%が反応していた。
【0053】
ここで使用した芳香族エポキシ樹脂(A−1)はジャパンエポキシレジン株式会社製の数平均分子量1,2000、エポキシ当量7,700g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂である。また端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B−1)は、ジャパンエポキシレジン株式会社製のエピコート828を20質量部、ビスフェノールAを10質量部、p−tert−ブチルフェノールを1質量部仕込み、4級アンモニウム塩を触媒として用いて重合反応し、得られたものであり、数平均分子量4,100、エポキシ当量4,500g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂である。以下の要領で塗料化し、25℃でのFC#4粘度が25秒になるようジメチルエタノールアミンで粘度を調整し、不揮発分が20%の塗料を得た。
【0054】
[塗料化]
前記アクリル変性エポキシ樹脂の水性分散体を90部、ベークライト社製のキシレノール−レゾール型フェノール樹脂で、固形分が70%である7700LBを0.3部、イオン交換水を24.2部配合し塗料化した。
【0055】
(実施例2)
実施例1の芳香族系エポキシ樹脂(A−1)と端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B−1)の比率を変えたこと以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応をさせ、水分散体を得た後、同様にして塗料を得た。
【0056】
(実施例3)
実施例1の7700LBの添加量を変えたこと以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応をさせ、水分散体を得た後、同様にして塗料を得た。
【0057】
(実施例4)
実施例1の芳香族系エポキシ樹脂(A−1)をジャパンエポキシレジン株式会社製の数平均分子量4,000、エポキシ当量2,700g/eqのビスフェノールA型エポキシ樹脂(A−2)に変えたこと以外は実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、水分散体を得た後、実施例1と同様にして塗料を得た。
【0058】
(比較例1)
実施例1の端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B−1)を使用せず、芳香族系エポキシ樹脂(A−1)を用い、(メタ)アクリル酸メチルを使用せず、カルボキシル基含有アクリル樹脂を以下に示す比率で同様に合成したものを使用した以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして対照用の塗料を得た。
[カルボキシル基含有アクリル樹脂(X)の合成(理論Tg110℃)]
(a) n−ブタノール 670部
(b) スチレン 250部
(c) エチルアクリレート 10部
(d) メタクリル酸 190部
(e) (メタ)アクリル酸メチル 0部
(f) 過酸化ベンゾイル 13.5部
【0059】
(比較例2)
比較例1の芳香族系エポキシ樹脂(A−1)と芳香族系エポキシ樹脂(A−2)比率を変更した以外は、実施例1と同様にして、水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして対照用の塗料を得た。
【0060】
(比較例3)
比較例1の芳香族系エポキシ樹脂(A−1)を芳香族系エポキシ樹脂(A−2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして対照用の塗料を得た。
【0061】
(比較例4)
芳香族系エポキシ樹脂(A−2)を用い、理論Tgが72℃のカルボキシル基含有アクリル樹脂を以下に示す比率で同様に合成したものを使用した以外は比較例3と同様に部分エステル化反応させ、水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして対照用の塗料を得た。
[カルボキシル基含有アクリル樹脂(Y)の合成(理論Tg72℃)]
(a) n−ブタノール 670部
(b) スチレン 110部
(c) エチルアクリレート 150部
(d) メタクリル酸 190部
(e) (メタ)アクリル酸メチル 0部
(f) 過酸化ベンゾイル 13.5部
【0062】
(比較例5)
実施例1の端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B−1)を使用せず、芳香族系エポキシ樹脂(A−2)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして部分エステル化反応させ、水性分散体を得たのち、実施例1と同様にして対照用の塗料を得た。
【0063】
次に、実施例1〜4ならびに比較例1〜5で得られた、それぞれの塗料についての評価を下記の評価方法にて行なった。それらの結果をまとめて表3に示す。
【0064】
〔密着性〕
アルミニウム缶の缶胴に塗膜量が50mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗板とした。形成された塗膜に、カッターで1mm×1mmの碁盤目を100個作成し、この試料片を125℃で30分間熱水処理した。その後碁盤目部分に、セロハン粘着テープを貼ったのち、セロハン粘着テープを急速に剥離し、塗膜の剥離状態を観察し、次に示すような4段階によって評価した。
◎………剥離が全くない
○………全体の1〜2%が剥離した
△………全体の3〜10%が剥離した
×………全体の11〜100%が剥離した
【0065】
〔加工性〕
ブリキ板(ET−1)に塗膜量が50mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗装板とした。塗膜を外側にして塗板を2つ折にした試験片の間にET−1を1枚はさんで1T折り曲げ加工した後に、折り曲げ先端部に6Vの電圧を3秒通電した際の加工部2cm幅の電流値(mA)を測定した。次に示す方法で評価した。
○………通電量が3mA未満である。
△………通電量が5mA以上10mA未満である。
×………通電量が10mA以上である。
【0066】
〔キャップ加工性〕
ティンフリースチール(TFS)板に塗膜量が50mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗装板とした。これに、スクリューキャップ加工を施し、100℃で0.5時間の熱水処理を施した後に硫酸銅水溶液に浸漬し、スクリュー加工部の腐食の度合いを目視判定した。腐食が少ないほど良好である。
◎………腐食が全体の10%未満である。
○………腐食が全体の10%以上40%未満の腐食が観察される。
△………腐食が全体の40%以上60%未満の腐食が観察された。
×………腐食が全体の60%以上である。
【0067】
〔KMnO4消費量〕
0.1mmアルミ箔に塗膜量が100mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を両面に塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗装板とした。500ミリリットルの精製水中に、500cm2なる、上記試験用塗装版を浸漬し、125℃で0.5時間の熱水処理を行ったのち、試験溶液を100ml採取し過マンガン酸カリウム消費量を測定し、次に示すような4段階によって評価した。
◎………消費量が3ppm未満である
○………消費量が3ppm以上5ppm未満である
△………消費量が5ppm以上〜10ppm未満である
×………消費量が10ppm以上である
【0068】
〔耐食性▲1▼〕
アルミニウム缶の缶胴に塗膜量が50mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗板とした。塗板を5×12cmに切断し、四隅を蜜蝋でシールしカッターで×印のカットを入れる。それをクエン酸0.04%、クエン酸ナトリウム0.06%、塩化カリウム0.15%の活性炭処理水道水溶液中に1週間40℃で浸漬し、腐食の度合いを以下の方法で評価した。
○………腐食幅が0.3mm未満である。
△………腐食幅が0.3mm以上0.5mm未満である。
× ………腐食幅が0.5mm以上である。
【0069】
〔耐食性▲2▼(アルコールを含む飲料)〕
アルミニウム缶の缶胴に塗膜量が50mg/dmとなるように、バーコーターを用いて塗料を塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗板とした。塗板を5cm×4cmの大きさに切断し、はぜ折加工を行い、エッジを蜜蝋でシールし、試験片を作成する。これを、メタ重亜硫酸カリウム500ppm、エタノール10%、クエン酸1%の水溶液に1週間40℃にて浸漬し、腐食の度合いを以下の方法にて判定した。
◎………はぜ折加工部に少量の腐食が観測されたが、平板部には腐食が全く見られない。
○………はぜ折加工部に多量の腐食が観測されたが、平板部には腐食が全く見られない。
△………はぜ折加工部に多量の、平板部に少量の腐食が観測される。
×………はぜ折加工部、平板部ともに多量の腐食が観測される。
【0070】
〔フレーバー成分の収着試験〕
0.1mmアルミ箔に塗膜量が100mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を両面に塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗装板とした。この400cmなる上記塗装板を、リモネン3ppm、エタノール1%の水溶液に1週間浸漬し、その後塗膜に収着されたリモネンをジエチルエーテルにて回収し、GC/MSにて測定する。以下の方法で判定した。比較対照としては、比較例3を用いた。
◎………比較対照の50%未満の収着量である。
○………比較対照の50%以上100%未満の収着量である。
△………比較対照の100%の収着量である。
×………比較対照の100%より多い収着量である。
【0071】
〔BPA溶出量測定〕
0.1mmアルミ箔に塗膜量が100mg/dmとなるように、バーコーターを用いて、塗料を両面に塗布し、オーブンで200℃、60秒キープされるオーブン条件で焼き付けた後、室温まで冷却し、試験用塗装板とした。500ミリリットルの精製水中に、500cm2なる、上記試験用塗装板を浸漬し、125℃で0.5時間の熱水処理を行ったのち、試験溶液を採取しLC/MSにて測定し、以下の方法にて測定した。
○………BPA溶出量が0.5ppb未満である。
△………BPA溶出量が0.5ppb以上1ppb未満である。
×………BPA溶出量が1ppb以上である。
【0072】
【表1】
Figure 2004217858
【0073】
【表2】
Figure 2004217858
【0074】
【表3】
Figure 2004217858
【0075】
【発明の効果】
本発明に係る水性樹脂組成物は、特に、缶内面に用いた場合に、火災や公害の心配が小さく、一般的な安全衛生性、加工性、塗膜の密着性、耐熱水性ばかりでなく耐食性、特にアルコールを含む飲料に対する耐食性、フレーバー成分の収着量が少なく、BPA溶出量も低く、食品容器に用いる塗装剤として、極めて優れている。

Claims (9)

  1. 芳香族系エポキシ樹脂(A)、端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の混合物と、Tgが100℃以上でカルボキシル基含有ビニルモノマー及び(メタ)アクリル酸メチルを必須成分とするアクリル樹脂(C)を有機溶剤中で部分エステル化反応させて得られるアクリル変性エポキシ樹脂を塩基で中和して水性媒体中に分散させてなることを特徴とする水性樹脂組成物。
  2. 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)が、数平均分子量が4,000〜15,000、エポキシ当量が2,000〜9,000g/eqのビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はビスフェノールB型エポキシ樹脂である請求項1に記載の水性樹脂組成物。
  3. 前記した端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)が、数平均分子量が1,500〜6,000、エポキシ当量が1,500〜7,000g/eqのビスフェノールA型、ビスフェノールF型、又はビスフェノールB型エポキシ樹脂である請求項1又は2に記載の水性樹脂組成物。
  4. 前記した端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の変性剤が、フェノール類である請求項1〜3の何れかに記載の水性樹脂組成物。
  5. 前記した端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の変性剤が、p−tert−ブチルフェノールである請求項4に記載の水性樹脂組成物。
  6. 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)と前記した端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の含有比率が、(A)/(B)=90/10〜10/90である請求項1〜5の何れかに記載の水性樹脂成物。
  7. 前記したアクリル樹脂(C)が、数平均分子量が2,000〜10,000のアクリル樹脂である請求項1〜6の何れかに記載の水性樹脂組成物。
  8. 前記した芳香族系エポキシ樹脂(A)及び前記した端末が変性された芳香族系エポキシ樹脂(B)の混合物と前記したアクリル樹脂(C)の含有比率が95/5〜70/30である請求項1〜7の何れかに記載の水性樹脂組成物。
  9. 缶内面被覆用である請求項1〜8の何れかに記載の水性樹脂組成物。
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