JP2004215235A - 出力画像の記憶色調整 - Google Patents

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Abstract

【課題】 ユーザの好みに応じて色を適切に調整することを第1の目的とする。また、適切な画質調整処理を実行するための設定を容易に行うことができる技術を提供することを第2の目的とする。
【解決手段】 画像データを用いて画像を出力する出力装置であって、前記画像データの中の、予め設定された記憶色に近い領域の色を、予め設定された目標色に近づくように調整する画質調整部と、前記目標色の設定をユーザに許容する目標色設定部と、前記色が調整された画像データに応じて画像を出力する画像出力部と、を備える出力装置を用いる。また、特定の画質を調整するための画質調整条件を、互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、特定の画質が互いに異なる複数の評価用の自然画像のうちの少なくとも1つをそれぞれ含む複数の画像群毎の評価結果を用いて決定する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、画像データの画質を調整する画質調整技術に関する。
ディジタルスチルカメラ(DSC)やディジタルビデオカメラ(DVC)等によって生成された画像データの画質は、パーソナルコンピュータ上で画像レタッチアプリケーションを用いることによって任意に調整することができる。画像レタッチアプリケーションには、一般的に、画像データの画質を自動的に調整する画像調整機能が備えられており、この画像調整機能を利用すれば、出力装置から出力する画像の画質を向上させることができる。画像の出力装置としては、例えば、CRT、LCD、プリンタ、プロジェクタ、テレビ受像器などが知られている。
また、出力装置の1つであるプリンタの動作を制御するプリンタドライバにも、画質を自動的に調整する機能が備えられており、このようなプリンタドライバを利用しても、印刷される画像の画質を向上させることができる。
画像データの画質を決める重要な要素の1つに、色合いがある。画像データの色合いが、ユーザが好ましいと感じる色で再現されていれば、ユーザは、その画像を高画質な画像として認識することができる。特に、人が着目しやすい領域の色合いが好ましい色で再現されていれば、高画質な画像として認識することができる。このような着目しやすい領域としては、例えば、人物画像における人の肌色領域や、風景画像における空の青色領域や山の緑色領域などがある(このような、人が着目しやすい領域の色は記憶色と呼ばれる)。これらの領域が、ユーザが好ましいと感じる色合いで再現されていれば、ユーザは、その画像を高画質な画像であると認識する。そのため、画像データの中の記憶色に近い領域の色合いを、ユーザが好ましいと感じる色(目標色)に近くなるように調整して、画質を向上させる方法が用いられている(例えば、特許文献1、2参照。)。
特開2001−169135号公報 特開2002−252779号公報
これら画像レタッチアプリケーションやプリンタドライバによって提供される画質調整機能では、一般的な画質特性を有する画像データを基準として画質調整が実行される。特に、記憶色に近い領域の色合いの調整は、予め決められた一般的な目標色を用いて行われる。これに対して、人が好ましいと感じる色は、人によって異なる場合が少なくない。また、画像処理の対象となる画像データは様々な条件下で生成され得るため、画像によって好ましい色が異なる場合もある。
そのため、一般的な目標色を用いた画質調整を行っても、十分に画質を向上させることができない場合があった。なお、こうした問題はDSCで生成された画像に限らず、DVC等の他の画像生成装置で生成された画像においても共通の課題である。
一方、画質を自動的に調整する代わりに、ユーザが指定した条件に従って画質を調整する場合もある。このとき、適切な条件を決定することは容易ではなく、十分に画質を向上させることができない場合があった。なお、こうした問題は、記憶色に近い領域の色の調整に限らず、明るさの階調調整やシャープネス調整等の他の種類の画質調整処理においても共通の課題であり、また、DSCで生成された画像に限らず、DVC等の他の画像生成装置で生成された画像においても共通の課題である。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、ユーザの好みに対応して画質を適切に調整することを第1の目的とする。また、画質を調整するための条件の決定を容易に行うことができる技術を提供することを第2の目的とする。
上記課題の少なくとも一部を解決するために、この発明による第1の態様に係る出力装置は、画像データを用いて画像を出力する出力装置であって、前記画像データの中の、予め設定された記憶色に近い領域の色を、予め設定された目標色に近づくように調整する画質調整部と、前記目標色の設定をユーザに許容する目標色設定部と、前記色が調整された画像データに応じて画像を出力する画像出力部と、を備える。
この発明による第1の態様に係る出力装置によれば、ユーザによって設定された目標色を用いて、記憶色に近い領域の画質調整を実行することが可能であるので、ユーザの好みに対応して画質を適切に調整することができる。
上記出力装置において、前記出力装置は、前記目標色の設定に用いることが可能なテストパターンを準備するテストパターン形成部を備え、前記画像出力部は、前記準備されたテストパターンを出力することが可能であるのが好ましい。
こうすることで、ユーザは、テストパターンの出力結果を用いて、容易に目標色の設定を行うことができる。
上記各出力装置において、前記テストパターンは、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに異なる複数の目標色をそれぞれ有する複数の画像を含むのが好ましい。
こうすることで、複数の目標色をそれぞれ再現する複数の画像の中から好ましい画像を選択することで目標色を設定することができるので、目標色の設定を容易に行うことができる。
上記各出力装置において、前記テストパターンは、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに異なる複数の目標色のそれぞれを用いて同一の原画像の画質調整を実行することによって得られた複数の画像を含むのが好ましい。
こうすることで、同一の画像データを用いた複数の画質調整結果を比較して目標色の設定を行うことができるので、目標色の設定を容易に行うことができる。
上記各出力装置において、前記テストパターン形成部は、前記テストパターンとして、予め設定された複数の基準となる明度毎に、前記複数の目標色の明度が同じ前記基準明度に設定されたテストパターンをそれぞれ準備し、前記目標色設定部は、前記複数の基準明度毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取るとともに、前記複数の評価結果を用いて前記目標色を決定することが好ましい。
この構成によれば、基準明度毎に準備されたテストパターンのそれぞれにおいては、目標色の明度が互いに同じ基準明度に設定されるので、ユーザは、テストパターンの評価を行う際に、画像の色の違いを容易に認識することができる。
上記各出力装置において、前記テストパターンが含む画像は自然画像であることが好ましい。
この構成によれば、自然画像に基づいて目標色の設定を行うことができるので、自然画像に適した目標色を容易に設定することができる。
上記各出力装置において、前記テストパターン形成部は、前記原画像の指定をユーザに許容するのが好ましい。
こうすることで、ユーザによって指定された画像を用いたテストパターンに基づいて、目標色の設定を行うことができるので、ユーザが所望する画像に応じた適切な画質調整を実行することができる。
上記出力装置において、さらに、互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、前記記憶色に近い領域が、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに異なるとともに予め準備された複数の候補目標色をそれぞれ用いて再現された評価用の自然画像である複数の目標色画像のうちの少なくとも1つの目標色画像をそれぞれ含む複数の画像群を、前記画像出力部に供給する画像群供給部を備え、前記目標色設定部は、前記複数の画像群毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取るとともに、前記複数の評価結果を用いて前記目標色を決定することが好ましい。
この構成によれば、複数の評価結果に基づいて目標色が決定されるので、目標色の決定を容易に行うことができる。また、評価用の画像が自然画像であるので、自然画像に適した目標色を決定することができる。
上記出力装置において、前記目標色設定部は、前記複数の評価結果を用いて、前記目標色とは別に、前記色の調整処理の調整度合いを決定することが好ましい。
この構成によれば、複数の評価結果に基づいて、目標色とは別に調整度合いが決定されるので、調整度合いをユーザの好みに合った適切なものとすることができる。
上記出力装置において、前記目標色設定部は、前記複数の評価結果を用いて、前記記憶色に近い色に対する評価の高さの程度を示す評価値を算出することが可能であり、さらに、前記目標色に対する評価値から、前記画像データの中の前記記憶色に近い領域を代表する所定の代表色に対する評価値を引いた差分が大きいほど、前記調整度合いを大きくすることが好ましい。
この構成によれば、目標色の評価値から、記憶色に近い領域を代表する代表色の評価値を引いた差分が大きいほど、調整度合いが大きく調整されるので、記憶色に近い領域の色を適切に調整することができる。
上記出力装置において、前記目標色設定部は、前記複数の評価結果を用いて、前記記憶色に近い色に対する評価の高さの程度を示す評価値を算出することが可能であり、さらに、前記色の調整処理を実行することによって、前記画像データの中の前記記憶色に近い領域を代表する所定の代表色に対する評価値が所定のしきい値以上となるように、前記調整度合いを調整することが好ましい。
この構成によれば、評価値がしきい値以上となるように調整度合いが調整されるので、記憶色に近い領域の色を適切に調整することができる。
上記各出力装置において、前記複数の画像群は、2つの前記目標色画像で構成されており、前記画像群供給部は、前記2つの目標色画像が隣り合うように並べて出力されるように、前記画像群を前記画像出力部に供給することが好ましい。
この構成によれば、まとめて評価される2つの画像が隣り合うように並べて出力されるので、画像の評価を容易なものとすることができる。
上記出力装置において、前記複数の画像群は、共通の目標色画像を含むことが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、共通の目標色画像を基準とした画像の評価を行うことができるので、画像の評価を簡単なものとすることができる。
上記出力装置において、前記評価結果は、ユーザによって選択された一方の目標色画像を示すことが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、2つの目標色画像の中から1つを選択すればよいので、画像の評価を簡単なものとすることができる。
上記各出力装置において、前記画像群が含む目標色画像は、同一の原画像に、前記複数の候補目標色のそれぞれを用いて前記色の調整処理を実行して得られた画像であることが好ましい。
この構成によれば、同一の原画像を用いた複数の目標色画像を比較して画像の評価を行うことができるので、画像の評価を簡単なものとすることができる。
上記各出力装置において、前記複数の候補目標色は、予め設定された複数の基準となる明度毎に、明度が前記基準明度と同じである複数の候補目標色を含み、前記画像群供給部は、前記複数の基準明度毎に、前記候補目標色の明度が前記基準明度と同じである目標色画像のみで構成された複数の画像群を供給することが好ましい。
この構成によれば、各画像群が、候補目標色の明度が互いに同じである目標色画像のみで構成されるので、ユーザは、画像群の評価を行う際に、記憶色領域の色の違いを容易に認識することができる。
また、この発明による第2の態様に係る画質調整条件を決定する方法は、対象画像の画質を調整するための画質調整条件を決定する方法であって、(a)互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、特定の画質が互いに異なる複数の評価用の自然画像のうちの少なくとも1つの画像をそれぞれ含む複数の画像群を出力する工程と、(b)前記複数の画像群毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取る工程と、(c)前記複数の評価結果を用いて、前記特定の画質に関する前記画質調整条件を決定する工程と、を備える。
この発明による第2の態様に係る画質調整条件を決定する方法によれば、画像の評価結果を複数用いて画質調整条件が決定されるので、画質を調整するための条件の決定を容易に行うことができる。また、評価用の画像が自然画像であるので、自然画像に適した画質調整条件を決定することができる。
上記画質調整条件の決定方法において、前記複数の画像群は、2つの前記評価用自然画像で構成されており、前記工程(a)では、前記2つの評価用自然画像が隣り合うように並べて出力されることが好ましい。
この構成によれば、まとめて評価される2つの画像が隣り合うように並べて出力されるので、画像の評価を容易なものとすることができる。
上記画質調整条件の決定方法において、前記複数の画像群は、共通の評価用自然画像を含むことが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、共通の評価用自然画像を基準とした画像の評価を行うことができるので、画像の評価を簡単なものとすることができる。
上記画質調整条件の決定方法において、前記評価結果は、ユーザによって選択された一方の評価用自然画像を示すことが好ましい。
この構成によれば、ユーザは、2つの評価用自然画像の中から1つを選択すればよいので、画像の評価を簡単なものとすることができる。
上記画質調整条件の決定方法において、前記画像群が含む評価用自然画像は、同一の原画像に、予め準備された複数の画質調整条件のそれぞれを用いて画質調整処理を実行して得られた画像であることが好ましい。
この構成によれば、同一の原画像を用いた複数の評価用自然画像を比較して画像の評価を行うことができるので、画像の評価を簡単なものとすることができる。
上記画質調整条件の決定方法において、さらに、(d)前記原画像を指定するユーザの指示を受け取る工程と、(e)前記指示で指定された前記原画像を用いて前記画像群を生成する工程と、を備えることが好ましい。
この構成によれば、画質調整条件の決定に、画像生成装置が生成する画像の画質特性を反映させることができる。
なお、この発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、画像出力方法および画像出力装置、画像データ処理方法および画像データ処理装置、画質調整条件の決定方法および画質調整条件決定装置、これらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.装置の構成。
B.第1実施例。
C.第2実施例。
D.変形例。
A.装置の構成:
図1は、本発明の一実施例としての画像出力システムの構成を示すブロック図である。この画像出力システムは、画像を出力する画像出力装置としてのプリンタ20と、画像データ処理装置としてのコンピュータ90とを備えている。コンピュータ90は、一般的に用いられているタイプのコンピュータであり、後述する画質調整処理を実行する。画像出力装置としては、プリンタ20の他に、CRTディスプレイ、LCDディスプレイ等のモニタ21、プロジェクタ等を用いることができる。以下の説明では、プリンタ20を画像出力装置として用いるものとする。なお、画像データ処理装置としてのコンピュータ90と、画像出力装置としてのプリンタ20とは、広義の「出力装置」と呼ぶことができる。
コンピュータ90は、後述する画質調整処理を実行するCPU92と、CPU92の演算結果や画像データ等を一時的に格納するRAM93と、画質調整処理のためのプログラムや画像データなどの画質調整処理に必要なデータを格納するハードディスクドライブ(HDD)94とを備えている。さらに、コンピュータ90は、メモリカードMCを装着するとともにメモリカードMCからデータを取得するためのメモリカードスロット96と、モニタ21を駆動するためのモニタ駆動回路91と、プリンタ20や画像生成装置としてのディジタルスチルカメラ12等とのインターフェースを行うI/F回路95とを備えている。I/F回路95は、プリンタ20やディジタルスチルカメラ12との接続の容易性を考慮して決められたインターフェース回路を内蔵している。このようなインターフェース回路としては、例えば、パラレルインターフェース回路や、ユニバーサルシリアルバスインターフェース回路等が用いられる。
コンピュータ90は、画像生成装置としてのディジタルスチルカメラ12等によって生成された画像データを、例えば、ケーブルCVを介して取得することができる。また、画像生成装置がメモリカードMCに画像データを格納し、コンピュータ90は、メモリカードMCを介して画像データを取得する構成とすることもできる。また、ネットワーク(図示せず)を介して画像データを取得する構成とすることもできる。
ユーザの操作によって、画像レタッチアプリケーション、または、プリンタドライバといった画像データ処理プログラムが起動されると、CPU92は、画像データの色を調整する、画質調整処理を実行する。また、メモリカードMCのメモリカードスロット96への差し込み、あるいは、I/F回路95に対するケーブルを介したディジタルスチルカメラ12の接続を検知することによって、画像データ処理プログラムが自動的に起動する構成としてもよい。CPU92によって実行される詳細な画像データ処理については後述する。
CPU92によって画質が調整された画像データは、画像出力装置、例えば、プリンタ20に送出され、画像データを受け取った画像出力装置が画像の出力を実行する。
図2は、プリンタ20の概略構成図である。プリンタ20は、画像の出力が可能なプリンタであり、例えば、シアンCと、マゼンタMgと、イエロYと、ブラックKとの4色のインクを印刷媒体上に吐出してドットパターンを形成するインクジェット方式のプリンタである。また、トナーを印刷媒体上に転写・定着させて画像を形成する電子写真方式のプリンタを用いることもできる。インクには、上記4色に加えて、シアンCよりも濃度の薄いライトシアンLCと、マゼンタMgよりも濃度の薄いライトマゼンタLMと、イエロYよりも濃度の濃いダークイエロDYとを用いても良い。この代わりに、モノクロ印刷を行う場合には、ブラックKのみを用いる構成としても良く、レッドRやグリーンGを用いても良い。利用するインクやトナーの種類は、出力する画像の特徴に応じて決めることができる。
プリンタ20は、図示するように、印刷を実行する画像出力部27と、操作パネル32と、操作パネル32と画像出力部27内における信号のやり取りを司る制御回路40とを備えている。画像出力部27は、紙送りモータ22によって印刷用紙Pを副走査方向に搬送する副走査送り機構と、キャリッジモータ24によってキャリッジ30をプラテン26の軸方向(主走査方向)に往復動させる主走査送り機構と、キャリッジ30に搭載された印刷ヘッドユニット60を駆動してインクの吐出およびドット形成を制御するヘッド駆動機構とを備えている。印刷ヘッドユニット60は、利用可能なインクを吐出するためのノズルを備えた印刷ヘッドを備えている(図示省略)。また、制御回路40は、コネクタ56を介してコンピュータ90に接続されている。
印刷用紙Pを搬送する副走査送り機構は、紙送りモータ22の回転をプラテン26と用紙搬送ローラ(図示せず)とに伝達するギヤトレインを備える(図示省略)。また、キャリッジ30を往復動させる主走査送り機構は、プラテン26の軸と並行に架設されキャリッジ30を摺動可能に保持する摺動軸34と、キャリッジモータ24との間に無端の駆動ベルト36を張設するプーリ38と、キャリッジ30の原点位置を検出する位置センサ39とを備えている。
図3は、プリンタ20の構成を示すブロック図である。制御回路40は、CPU41と、プログラマブルROM(PROM)43と、RAM44と、文字のドットマトリクスを記憶したキャラクタジェネレータ(CG)45とを備えた算術論理演算回路として構成されている。この制御回路40は、さらに、メモリカードMCからデータを取得するメモリカードスロット46と、外部のモータ等とのインタフェースを専用に行なうI/F専用回路50と、このI/F専用回路50に接続され印刷ヘッドユニット60を駆動してインクを吐出させるヘッド駆動回路52と、紙送りモータ22およびキャリッジモータ24を駆動するモータ駆動回路54と、を備えている。I/F専用回路50は、パラレルインタフェース回路を内蔵しており、コネクタ56を介してコンピュータ90から供給される印刷データPDを受け取ることができる。I/F専用回路50が内蔵する回路は、パラレルインタフェース回路に限らず、ユニバーサルシリアルバスインタフェース回路などコンピュータ90との接続の容易性を考慮して決めることができる。プリンタ20は、この印刷データPDに従って印刷を実行する。なお、RAM44は、ラスタデータを一時的に格納するためのバッファメモリとして機能する。
以上説明したハードウェア構成を有するプリンタ20は、紙送りモータ22により印刷用紙Pを搬送しつつ、キャリッジ30をキャリッジモータ24により往復動させ、同時に印刷ヘッドを駆動して、各インク滴の吐出を行い、インクドットを形成して印刷用紙P上に印刷データPDに基づいた画像を形成する。
B.第1実施例:
B1.画質調整処理の第1実施例:
図4は、画質調整処理の概要を示すブロック図である。コンピュータ90では、所定のオペレーティングシステムの下で、画像データ処理プログラム200が動作している。ユーザによる画像データの印刷命令を受けた画像データ処理プログラム200は、画像データの画質を調整した後に、プリンタ20に供給する印刷データPDに変換する。図4に示した例では、画像データ処理プログラム200の内部には、画質調整部210と、印刷データ生成部220と、目標色設定部230と、目標色保持部240と、テストパターン形成部250と、が備えられている。
画質調整部210は、目標色保持部240が保持している目標色を用いて、画像データの画質調整処理(カラーバランス調整処理)を実行する。画質調整処理の詳細については後述する。
印刷データ生成部220は、画質調整部210によって画質が調整された画像データを、プリンタ20が利用可能な複数のインクの量に相当する多階調データに変換する。さらに、得られたインク量データに対し、いわゆるハーフトーン処理を実行し、得られたハーフトーンデータをプリンタ20に転送すべきデータ順に並べ替え、最終的な印刷データPDとしてプリンタ20に出力する。プリンタ20は、受け取った印刷データPDを用いて画像の印刷を実行する。なお、印刷データPDは、各主走査時のドットの記録状態を示すラスタデータと、副走査送り量を示すデータと、を含んでいる。
目標色保持部240は、画質調整部210が利用する目標色を保持することが可能である。ユーザは、目標色設定部230を介して、目標色保持部240が保持する目標色の設定を行うことができる。詳細については後述する。
テストパターン形成部250は、目標色の設定に用いることが可能なテストパターンを準備することが可能である。準備されたテストパターンは、印刷データ生成部220によって印刷データPDに変換され、プリンタ20に送出され印刷される。テストパターンの詳細については後述する。
なお、画像データ処理プログラム200は、画像データの画質を調整する機能を実現するためのプログラムに相当する。画像データ処理プログラム200は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録された形態で供給される。このような記録媒体としては、フレキシブルディスクやCD−ROM、光磁気ディスク、ICカード、ROMカートリッジ、パンチカード、バーコードなどの符号が印刷された印刷物、コンピュータの内部記憶装置(RAMやROMなどのメモリ)および外部記憶装置等の、コンピュータが読み取り可能な種々の媒体を利用できる。
図5は、上述の画像データ処理プログラム200で実行される画質調整処理の流れを示すフローチャートである。CPU92(図1)は、ステップS300にて、画像データの色合いを算出するための、記憶色に近い色を有する領域(以下、記憶色領域と呼ぶ)を選択する(詳細は後述)。次に、ステップS310にて、ステップS300にて選択された記憶色領域の画素値を用いて、記憶色領域と目標色との色合いの差分(「色差指標」とも呼ぶ)を算出する。目標色は、目標色保持部240(図4)が保持しているデータであり、ユーザが好ましいと感じる色に関するデータである。色差指標としては、RGBの各色における、記憶色領域での階調値の平均値と目標色の階調値との差分を用いることができる。次にステップS320にて、色差指標に基づいて、カラーバランス調整処理の処理量を設定し、ステップS330にて、記憶色領域の色が目標色に近づくように記憶色領域内のカラーバランス調整を実行する(詳細は後述)。
図6は、ステップS300(図5)で選択される、記憶色領域を説明する説明図である。図6は、記憶色として肌色を用いる場合の例を示している。図6(a)は、肌色に近い領域を記憶色領域として選択するための条件を示す説明図である。この実施例では、以下の3つの条件を満たす画素が、記憶色領域として選択される。
(s1)色相Hが、0〜40度の範囲内である。
(s2)彩度Sが、5〜40%の範囲内である。
(s3)赤Rの階調値が、128以上である。但し、赤Rの階調値の取りうる範囲は、0〜255である。
図6(b)は、色相Hの値と色の関係を示す説明図である。この実施例では、色相Hは、その取りうる範囲が0度〜360度であり、0度が赤色を示し、さらに、120度が緑色を、240度が青色を示している。また、色相Hが0〜40度の範囲にある赤みがかった領域が、肌色範囲SRとして用いられる。
図6(c)は、上述の3つの条件(s1)〜(s3)によって選択される肌色に近い領域(肌色領域)を示す説明図である。図6(c)の画像IMGは、人物Mと建物Blが写った画像である。さらに、3つの条件を満たす領域が斜線で示されている。図6(c)の例では、人物の顔Fの領域が、斜線で示されている。このように、上述の3つの条件を用いることで、人物の肌が写った領域(この実施例では顔F)を、記憶色領域として選択することができる。なお、記憶色領域として用いられる画素は、図6(c)のように1つの領域を構成している必要はなく、いくつかの領域に分かれていても良い。すなわち、画素値が条件を満たす全ての画素が、記憶色領域として用いられる。
画像データが、色相と彩度とをパラメータとして含まない色空間で表現されている場合、例えば、RGB色空間を用いて表現されている場合には、色相と彩度とをパラメータとして含む色空間、例えば、HLS色空間やHIS色空間などに変換することによって、各画素位置における色相と彩度とを取得することができる。
記憶色としては、肌色に限らず、空の青色や山の緑色など人が着目しやすい領域に応じて設定することができる。また、記憶色領域を選択するための条件範囲は、画像の出力結果の感応評価に基づいて決めることができる。肌色領域の選択条件としても、必ずしも図6(a)の設定に従う必要はなく、別の設定を用いてもよい。
図7は、色差指標と階調値調整処理(カラーバランス調整処理)を示す説明図である。図7(a)は、ステップS300(図5)で選択された記憶色領域における、赤Rの階調値分布例を示している。
以下に示す数式1は、この実施例での、目標色と記憶色領域との色差指標(ΔR、ΔG、ΔB)を算出するための演算式である。
Figure 2004215235
数式1に示す例では、色差指標(ΔR、ΔG、ΔB)として、目標色のRGBの階調値(Rtgt、Gtgt、Btgt)と、記憶色領域におけるRGBの各色の平均階調値(Rave、Gave、Bave)との差分を用いている。記憶色領域の色が目標色に近い場合には、記憶色領域のRGB平均階調値(Rave、Gave、Bave)と、目標色のRGB階調値(Rtgt、Gtgt、Btgt)とが、各色についてほぼ同じ値となるので、色差指標(ΔR、ΔG、ΔB)として小さい値が得られる。記憶色領域の色と目標色とが大きく異なる場合には、記憶色領域のRGB平均階調値(Rave、Gave、Bave)と、目標色のRGB階調値(Rtgt、Gtgt、Btgt)とが、異なる値となる。この場合、目標色とのずれが大きい色成分ほど、大きい差分が得られる。
図7(b)は、この実施例の階調値調整処理における赤Rの入力レベルRinと出力レベルRoutとの関係を示す説明図である。グラフG1Aは、入力レベルRinと比べて、出力レベルRoutが小さくなるように構成されている。このグラフG1Aを用いて赤Rの階調値調整を行えば、記憶色領域の赤Rの平均階調値Raveが目標色の階調値Rtgtよりも大きい画像において、赤Rの階調値を小さくし、色を目標色に近づけることができる。
このようなグラフG1Aは、例えば、調整入力レベルRrefにおける出力レベルRoutを、元の値よりも調整量RMだけ小さくなるように調整して構成することができる。他の入力レベルRinに対応する出力レベルRoutはスプライン関数にて補間されている。調整量RMは、赤Rの色差指標ΔR(図7(a)、数式1)に基づいて決められる値であり、例えば、色差指標ΔRに所定の係数kを掛けた値を用いることができる。所定の係数kは、画像の出力結果の感応評価に基づいて決めた値を用いることができる。色差指標ΔRと調整量RMとの関係は、必ずしも比例関係である必要はなく、色差指標が大きくなるほど調整量RMが大きくなるような関係であれば良い。調整入力レベルRrefとしては、予め決められた値を用いることができる。例えば、赤Rの取りうる範囲が0〜255である場合に、中間値である128を用いても良い。
グラフG1BはグラフG1Aよりもカラーバランス調整処理量の大きい階調値調整処理で用いられる入出力関係を示している。ここで「カラーバランス調整処理量が大きい」とは、色の階調値の変化量が大きいことを意味している。色差指標ΔRが大きい場合には、所定の係数kを用いて計算される調整量RMが大きくなるので、カラーバランス調整処理量も大きくなる。よって、色差指標ΔRが大きい場合でも、色の偏りを小さくすることができる。このように、色差指標が大きいほどカラーバランス調整処理量が大きくなるように構成することで、色の偏りを、その大きさに基づいて、適切に小さくし、色を目標色近づけることができる。
グラフG2Aは、入力レベルRinと比べて、出力レベルRoutが大きくなるように構成されており、赤Rが小さい方に偏っている場合に用いられる入出力関係を示している。グラフG2Bは、グラフG2Aよりもカラーバランス調整処理量の大きい階調値調整処理で用いられる入出力関係を示している。色が小さい方に偏っている場合、すなわち、記憶色領域の平均階調値Raveが、目標色の階調値Rtgtよりも小さい場合も、大きい方に偏っている場合と同様に、色差指標ΔRに基づいて調整量RMが決められ、カラーバランス調整処理量が決められる。
上述の入力レベルと出力レベルとの関係については、赤R以外の色についても同様に設定される。また、階調値調整は、記憶色領域について実行される。こうすることで、他の領域の色を変えずに、人が着目しやすい記憶色領域の色を好ましい色に調整することができる。
B2.目標色設定処理の第1実施例:
図8は、上述の画像データ処理プログラム200(図4)で実行される目標色設定処理の流れを示すフローチャートである。ステップS400にて、テストパターン形成部250(図4)が、目標色の設定に用いることが可能なテストパターン準備する。準備されたテストパターンは、印刷データ生成部220によって印刷データPDに変換された後、プリンタ20に送出される。プリンタ20は、取得したテストパターンの印刷を実行する。テストパターンの詳細については後述する。次に、ステップS410にて、ユーザはテストパターンの出力結果を用いて、高品質な出力結果を得ることができる好ましい目標色を決定し、目標色設定部230を介して目標色の設定を行う。目標色設定部230を介して設定された目標色は目標色保持部240に保持され、処理が終了する。
図9は、上述の図8のフローチャートにおいて、画像データ処理プログラム200(図4)を利用して目標色を設定する様子を示す説明図である。図示されているように、ユーザが画像データ処理プログラム200の目標色設定画面を開くと、目標色設定部230が目標色の設定を行う画面をモニタ21上に表示する。表示された画面は、テストパターン選択部510と、テストパターン印刷開始ボタン520と、目標色番号設定部530と、設定ボタン540と、キャンセルボタン550とを有している。
ユーザは、テストパターン選択部510を介して、印刷するテストパターンの種類を選択することができる。この実施例では、「標準画像」と「ユーザ指定」の2つから選択することができる。「標準画像」を選択した場合には、予め設定された標準画像を用いたテストパターンが準備される。「ユーザ指定」を選択した場合には、ユーザが指定した原画像を用いたテストパターンが準備される。ユーザは、画像データ指定部560に、画像データを格納する画像ファイル名を入力することで、テストパターン準備に用いる原画像データを指定することができる。ユーザがテストパターン印刷開始ボタン520を操作すると、選択されたテストパターンが印刷される。
図10は、標準画像を用いた場合のテストパターンの例を示す説明図である。標準画像は記憶色領域を有している。例えば、記憶色として肌色を用いた画質調整を行う場合には、肌色領域を含む人物が写った画像が標準画像として用いられる。このテストパターンTP10は、複数の画像TP11〜TP19で構成される。複数の画像TP11〜TP19は、同じ標準画像を用いた画像であるが、各画像の記憶色領域が、互いに色の異なる目標色で再現されている。よって、テストパターンTP10は、互いに色の異なる複数の目標色をそれぞれ有する複数の画像TP11〜TP19を含むことになる。ここで、「色の異なる目標色」とは、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが異なる目標色を意味している。複数の画像の下には、それぞれの画像を再現している目標色を識別するための、目標色番号が記されている。ユーザは、これらの複数の画像TP11〜TP19の中から、色が好ましい画像の下に記された目標色番号を選択することで、好ましい目標色を選択することができる。
テストパターン選択部510において、「ユーザ指定」を選択した場合にも、図10の例と同様に、ユーザが指定した原画像を用いた複数の画像で構成されるテストパターンが準備される。図10の例との違いは、複数の画像が、同じユーザ指定画像を用いた画像であるが、互いに色の異なる目標色を用いて画質調整を実行した結果の画像である点である。ユーザは、様々な目標色を用いて画質調整を行った結果を比較することで、目標色の選択を行うことができる。画質調整後の画像の出力結果を用いて目標色の選択を行うことができるので、好ましい目標色の選択を容易に行うことができる。また、複数の画像の中の1つを、画質調整をしない画像としてもよい。こうすることで、画質調整処理の前後の画像を比較しながら目標色の選択を行うことができるので、画質調整の処理量を考慮しながら、適切な目標色の選択を行うことができる。
ユーザは、選択した目標色番号を目標色番号設定部530(図9)に入力し、設定ボタン540を操作することによって、目標色の設定を行うことができる。目標色番号設定部530を介して設定された目標色は、目標色保持部240(図4)に保持され、印刷時に画質調整部210によって利用される。目標色保持部240が、ユーザによって設定された目標色を保持していない場合には、画質調整部210は、予め設定された一般的な目標色を用いて画質調整を実行する構成とするのが好ましい。こうすることで、ユーザが目標色を設定していない場合でも、色を改善した高品位な画像を出力することができる。
なお、上述の図9の例は、その表示の一部、又は、全部をプリンタ20(図3)の操作パネル32に表示するようにしても良い。
以上説明したように、第1実施例においては、ユーザが設定した目標色を用いた記憶色領域の色の調整処理が可能であるので、ユーザの好みに応じた高品位な出力結果を得ることができる。さらに、目標色の設定に用いることが可能なテストパターンを出力することが可能であるので、ユーザは、テストパターンを用いて容易に好ましい目標色の設定を行うことができる。
B3.目標色設定処理の第2実施例:
図11は、目標色設定処理の第2実施例の処理手順を示すフローチャートである。図8に示す第1実施例との差異は、ユーザが指定した1つの目標色を採用する代わりに、テストパターンに含まれる複数の画像に関する評価結果を複数用いて目標色を決定する点である。
図12は、目標色設定処理の第2実施例における、目標色の設定画面の一例を示す説明図である。図9に示した第1実施例の設定画面との差異は、目標色番号設定部530の代わりに、2つの画像のうちの一方を指定するための優劣評価結果設定部530aが設けられている点である。
ユーザが、テストパターン印刷開始ボタン520aを操作すると、テストパターンが印刷される(図11:ステップS500)。図13は、標準画像を用いたテストパターンの一例を示す説明図である。このテストパターンTP20は、4つの画像対IP1〜IP4を含んでいる。これらの画像対IP1〜IP4を構成する画像TP11〜TP15は、図10のテストパターンに含まれる画像と同じ画像である。これらの画像TP11〜TP15は、それぞれの記憶色に近い領域(「記憶色領域」とも呼ぶ。この例では肌色領域)が、色の異なる複数の目標色(「候補目標色」とも呼ぶ)のそれぞれを用いて再現された画像(「目標色画像」とも呼ぶ)である。なお、本実施例における「画像対」は本発明における「画像群」に相当する。
画像対を構成する2つの目標色画像の組み合わせは、画像対毎に異なっている。また、2つの目標色画像は、隣り合うように並べて配置されている。さらに、各目標色画像の下には、候補目標色を識別する目標色番号(1〜5のいずれか)が記されている。
なお、図13の例では、図示が一部省略されているが、図10と同じ9つの目標色画像TP11〜TP19で構成される全ての組み合わせ(36組)の画像対を含むように、テストパターンTP20が準備される。ユーザは、テストパターンTP20に含まれる全ての画像対毎に、2つの画像を比較した結果を、優劣評価結果設定部530a(図12)に設定することができる。ユーザが設定ボタン540aを操作すると、目標色設定部230(図4)は、優劣評価結果設定部530aに設定された複数の評価結果を受け取る(図11:ステップS510)。
次に、目標色設定部230は、受け取った複数の評価結果を解析して得られる候補目標色の得点に基づいて、目標色を決定する(図11:ステップS520)。ここで、「得点」とは、ユーザの評価の高さを示す指標であり、好ましいほど大きくなる値である。第2実施例では、候補目標色の得点として、その目標色画像が他の目標色画像と比較された結果、好ましいものであると評価された回数を用いている。
図14は、得点の一例を示す説明図である。図14には、目標色画像が対応する目標色番号と、得点との対応表が示されている。目標色設定部230(図4)は、得点が最高の候補目標色を、目標色として採用する。図14の例では、5番の候補目標色が目標色として採用される。こうして決定された目標色は、目標色保持部240(図4)に保持され、画質調整部210によって利用される。
このように、目標色設定処理の第2実施例では、2つの画像を比較して目標色画像の評価、すなわち、目標色の評価を行うことができるので、3つ以上の画像をまとめて評価する場合と比べて、目移りしてユーザが判断に迷うことが少なくなり、設定された目標色とユーザの好みとのズレが大きくなることを抑制することができる。また、ユーザは、2つの画像の中から1つを選択すればよいので、評価を容易に行うことができる。
また、第2実施例のテストパターンTP20では、比較対象の2つの目標色画像が隣り合うように並べて配置されているので、ユーザは、容易に2つの目標色画像を比較することができる。さらに、テストパターンTP20では、比較対象の2つの目標色画像が四角で囲まれ、他の画像と区別して配置されているので、ユーザは、容易に2つの目標色画像を認識することができる。
さらに、第2実施例では、複数の評価結果に基づいて目標色を決定するので、1つの評価結果に基づいて決定する場合と比べて、設定された目標色がユーザの好みから大きく外れることを抑制することができる。
なお、候補目標色の数は9つに限らず、より少ない数や、より多い数を採用してもよい。候補目標色の数を少なくすれば、設定に要するユーザの労力を軽減することができる。逆に多くすれば、より細かな目標色の設定を行うことができる。ここで、候補目標色の数は、3以上15以下であることが好ましく、5以上8以下であることが特に好ましい。
また、複数の候補目標色の得点が同じ値で、かつ、最高得点となる場合がある。このような場合には、得点が最高の複数の候補目標色の階調値の平均値で表現される色を目標色として用いることができる。この代わりに、得点が最高の複数の候補目標色のみを用いて、再び、図11に示す処理を実行して、目標色を決定してもよい。
B4.目標色設定処理の第3実施例:
図15は、目標色設定処理の第3実施例における設定画面の一例を示す説明図である。上述の目標色設定処理の第2実施例での設定画面(図12)との差異は、優劣評価結果設定部530aの代わりに、程度評価結果設定部530bを備えている点である。この程度評価結果設定部530bでは、各候補目標色に対するユーザの評価の高さを、以下に示す5段階で設定することができる。
(1)優(Excellent):
(2)良(Good):
(3)可(Fair):
(4)不十分(Poor):
(5)不可(Bad):
なお、目標色設定処理の処理手順は、第2実施例の処理手順(図11)と同じである。また、評価の段階としては5段階に限らず複数の段階を採用することができ、より多い段階やより少ない段階を採用してもよい。
ユーザが、テストパターン印刷開始ボタン520bを操作すると、テストパターンが印刷される(図11:ステップS500)。図16は、標準画像を用いたテストパターンの一例を示す説明図である。このテストパターンTP30は、4つの画像対IP11〜IP14を含んでいる。これらの画像対IP11〜IP14は、それぞれ、目標色画像TP11〜TP14の中の1つと、予め準備された共通の基準画像BIとで構成されている。基準画像BIは、目標色画像TP11〜TP14と同じ標準画像を用いた画像であり、記憶色領域(この例では肌色領域)が予め設定された色を用いて再現されている。そこで、基準画像BIも目標色画像の1つと考えることができる。なお、図16の例では、図示が一部省略されているが、図10と同じ9つの目標色画像TP11〜TP19のそれぞれを用いた9つの画像対を含むように、テストパターンTP30が準備される。但し、目標色画像の数としては、9つに限らず、より多い数や少ない数を採用してもよい。
ユーザは、テストパターンTP30を観察して各目標色画像を評価した結果を、程度評価結果設定部530b(図15)に設定することができる。ここで、ユーザは、各目標色画像の評価を、各画像対に含まれる共通の基準画像BIを基準として行うことができる。従って、評価対象である目標色画像の数が多い場合でも、安定した評価を行うことができる。
ユーザが設定ボタン540bを操作すると、目標色設定部230(図4)は、程度評価結果設定部530bに設定された複数の評価結果を受け取る(図11:ステップS510)。
次に、目標色設定部230は、受け取った複数の評価結果から算出される候補目標色の得点に基づいて、目標色を決定する(図11:ステップS520)。第3実施例では、候補目標色の得点として、評価結果に対応付けられた数値を用いている。ここでは、「優」を「5」に対応付け、さらに、「良」を「4」、「可」を「3」、「不十分」を「2」、「不可」を「1」に、それぞれ対応付けている。目標色設定部230は、得点が最高の候補目標色を、目標色として採用する。
このように、目標色設定処理の第3実施例では、テストパターンTP30において、目標色画像と基準画像とが隣り合うように並べて配置されているので、ユーザは、各目標色画像の評価を、基準画像との比較に基づいて容易に行うことができる。
また、図15に示す設定画面では、評価の度合いが数値ではなく、画像を観察して得られる印象を表す言葉で提示されているので、ユーザは、目標色画像を観察した印象に従って、容易に評価を行うことができる。
また、第3実施例におけるテストパターンTP30では、候補目標色の数を増加させた場合でも、評価対象の画像対の数を候補目標色の数と同程度に抑えることができる。従って、目標色の設定を細かく行うために候補目標色の数を増やす場合でも、目標色画像(候補目標色)を評価するユーザの負担が過剰に増加することを抑制することができる。なお、テストパターンTP30において、複数の目標色画像の中からユーザが指定した画像を基準画像として用いてもよい。
なお、本実施例においては、テストパターンとしては、画像対を含むテストパターンTP30に限らず、一般に、複数の目標色画像を含むテストパターン(例えば、図10に示すテストパターンTP10)を用いることができる。なお、テストパターンTP30(図16)を用いる場合には、1つの評価の対象となる2つの目標色画像(一方は基準画像)で構成された画像対IP11〜IP14のそれぞれが、本発明における「画像群」に相当する。また、テストパターンTP10を用いる場合には、1つの評価の対象となる1つの目標色画像TP11〜TP19(図10)のそれぞれが、本発明における「画像群」に相当する。
B5.画質調整処理の第2実施例:
図17は、記憶色領域の色を調整する画質調整処理(カラーバランス調整処理)の第2実施例の概要を示す説明図である。図7に示す第1実施例との差異は、RGBの各色成分の階調値を用いる代わりに、色相Hと彩度Sとの階調値を用いて調整処理を実行する点である。画質調整処理の手順は、図5に示す手順と同じである。
まず、画質調整部210(図4)は、画像データを解析し、記憶色領域を選択する(図5:ステップS300)。この処理は、上述の画質調整処理の第1実施例と同じである。
次に、画質調整部210は、ステップS300にて選択された記憶色領域の画素値を解析して、記憶色領域と目標色との色差指標を算出する。第2実施例では、RGBの各色成分の差分の代わりに、色相Hと彩度Sとの差分を色差指標として用いる。色相Hに関する色差指標は、記憶色領域と目標色との色相の違いの大きさを表す指標であり、例えば、記憶色領域での色相の階調値の平均値と、目標色の色相の階調値との差分を用いることができる。こうして算出された色相Hに関する色差指標は、色相Hの調整量の決定に用いられる。また、彩度Sに関する色差指標も同様に算出することができる。
次のステップS320では、画質調整部210は、色差指標が小さくなるようにカラーバランス調整処理の処理量を決定し、次のステップS330にて、記憶色領域内の色を目標色に近づけるカラーバランス調整処理を実行する。
画質調整処理の第2実施例では、記憶色領域の画素値の色相Hと彩度Sとが、次式に従って調整される。
Hnew = Horg + ΔH1・・・(s10):
ΔH1 = Htgt − Have・・・(s11):
Snew = k1 * Sorg・・・(s12):
k1 = Stgt / Save・・・(s13):
数式s10,s11において、Hnewは、調整後の色相であり、Horgは調整前の色相である。また、ΔH1は、色相の調整量であり、目標色の色相Htgtから記憶色領域での色相の平均値Haveを引いた差分を(ステップS310)、そのまま調整量として用いたものである(ステップS320)。
図17(a)は、カラーバランス調整前後における、記憶色領域での色相Hの階調値分布を示す説明図である。実線は調整前の分布を示し、点線は調整後の分布を示している。このように、数式s10,s11に従ったカラーバランス調整を行えば、記憶色領域の色相の平均値が、目標色の色相Htgtと同じとなるので、記憶色領域の色を目標色に近づけることができる。
一方、数式s12,s13において、Snewは、調整後の彩度であり、Sorgは調整前の彩度である。また、k1は、彩度の調整量(調整係数)であり、目標色の彩度Stgtを記憶色領域での彩度の平均値Saveで割った値を、そのまま調整係数として用いたものである(ステップS320)。
図17(b)は、カラーバランス調整前後における、記憶色領域での彩度Sの階調値分布を示す説明図である。実線は調整前の分布を示し、点線は調整後の分布を示している。このように、数式s12,s13に従ったカラーバランス調整を行えば、彩度分布の平均値が、目標色の彩度Stgtと同じとなるので、記憶色領域の色を目標色に近づけることができる。
このように、画質調整処理の第2実施例では、記憶色領域の色相と彩度とが、それぞれの平均値が目標色に近くなるように調整されるので、人が着目しやすい記憶色領域の色を好ましい色に調整することができる。
なお、画質調整処理の第2実施例では、明度に関しては階調値の調整が行われない。すなわち、本実施例では、明度が固定され、色相と彩度とが調整の対象となっている。従って、記憶色領域の明るさが大きく変化して、不自然に目立ってしまうことを抑制することができる。また、このように、明度の階調値の調整が行われない場合には、テストパターンの準備に用いられる複数の候補目標色として、互いに明度が同じ色を用いることが好ましい。こうすれば、ユーザは、複数の候補目標色の違いを容易に認識することができる。
C.第2実施例:
C1.画像データ処理プログラムの構成:
図18は、第2実施例における画像データ処理プログラム200aの構成を示すブロック図である。図4に示す画像データ処理プログラム200との差異は、目標色保持部240の代わりに、目標色設定部230aが調整量算出部260aを備えている点である。調整量算出部260aは、画質調整部210aが実行する画質調整処理の調整量を、得点に基づいて決定する。他の構成は図4に示す画像データ処理プログラム200と同じである。
C2.目標色と得点との設定処理:
図19は、第2実施例における目標色と得点とを設定する処理の処理手順を示すフローチャートである。ステップS600とステップS610とは、図11に示す処理手順のステップS500とステップS510と、それぞれ、同じ処理である。これらのステップS600、S610では、上述した、目標色設定処理の第2実施例(図12〜14)や第3実施例(図15〜16)と同様のテストパターンと設定画面とを用いることができる。
ステップS600では、テストパターン形成部250aによって準備されたテストパターンが、プリンタ20によって印刷される。具体的には、テストパターン形成部250aが、テストパターンを表すテストパターンデータを生成し、印刷データ生成部220aが、テストパターンデータを印刷データPDに変換し、プリンタ20が、印刷データPDに基づいてテストパターンを印刷する。また、テストパターンデータを、ハードディスクドライブ等の記録媒体(図示省略)に予め格納しておき、テストパターン形成部250aが、格納されたテストパターンデータを読み込むこととしてもよい。
次のステップS610では、目標色設定部230aが、設定画面に設定された複数の評価結果を受け取る。
次のステップS620では、目標色設定部230aが、受け取った複数の評価結果を解析して得られる候補目標色の得点に基づいて、目標色を決定する。ここでは、上述の目標色設定処理の第2実施例や第3実施例と同様に、得点が最高の候補目標色を、目標色として採用する。目標色と各候補目標色の得点とは、調整量算出部260aによって保持され、後述する画質調整処理に用いられる。
C3.得点利用画質調整処理の第1実施例:
図20は、記憶色領域の色を調整する画質調整処理(カラーバランス調整処理)の処理手順を示すフローチャートである。
まず、調整量算出部260aは、画像データの中の記憶色領域を選択する(ステップS700)。記憶色領域を選択する方法は、図5に示すステップS300と同じである。
次に、調整量算出部260aは、目標色と、ステップS700で選択された記憶色領域を代表する代表色とのそれぞれに対する得点を算出して、画質調整処理の処理量を決定する(ステップS710)。
図21は、調整量算出部260aが、記憶色領域の代表色に対する得点を算出する様子を示す説明図である。記憶色領域の代表色とは、画像データの記憶色領域の色を代表する色を意味しており、本実施例では、記憶色領域における色相Hと彩度Sとの階調値の平均値で表現される色を用いている。また、記憶色領域の代表色に対する得点とは、代表色に対するユーザの評価の高さを示す指標を意味しており、本実施例では、複数の候補目標色の得点を補間することによって算出している。
図21(a)は、得点の補間に用いる候補目標色の一例を、a*、b*で規定される平面上に示したものである。ここで、a*、b*は、L*a*b*色空間における座標値である。また、記憶色として空色を用いるものとしている。図中には、10個の候補目標色C1〜C10のそれぞれを表す座標点(以下、「候補目標色座標点」と呼ぶ)が白抜きの円で示されている。
ところで、本実施例の画質調整処理では、上述した画質調整処理の第2実施例(図17)と同様に、色相Hと彩度Sのみが調整される(詳細は後述する)。そこで、複数の候補目標色として、互いに明度が同じ色が用いられている。従って、各候補目標色に対する得点は、色相と彩度と(L*a*b*色空間におけるa*とb*と)の組み合わせに対する評価の高さを意味することになる。
図21(a)中では、候補目標色分布領域CDAが、斜線で示されている。ここで、候補目標色分布領域CDAとは、各候補目標色座標点C1〜C10の中の任意の2つの座標点を結ぶ線分を複数用いて囲むことができる領域を意味している。また、候補目標色分布領域CDAは、3つの候補目標色座標点を頂点とする三角形領域によって分割されている。調整量算出部260aは、1つの三角形領域内の任意の色の得点を、その三角形の頂点を構成する3つの候補目標色の得点を補間して算出する。なお、これら3つの候補目標色の組み合わせは、予め設定されたものである。
図21(b)は、得点の補間を行う様子を、a*とb*と得点PTとで規定される得点空間を用いて説明する説明図である。図中の得点がゼロである平面、すなわち、a*-b*平面には、3つの候補目標色座標点Ca〜Cc座標点が、白抜きの円で示されている。また、得点を求めたい代表色Csの座標点が、白抜きの四角で示されている。さらに、得点空間には、3つの得点PTa〜PTcのそれぞれを表す座標点が、塗りつぶした円で示されている。これらの得点PTa〜PTcは、3つの候補目標色Ca〜Ccのそれぞれの得点である。また、これら3つの得点PTa〜PTcの座標点を含む得点平面PTPが斜線で示されている。
調整量算出部260aは、代表色Csの得点として、得点平面PTP上の座標点であって、a*とb*との値が代表色Csと同じである座標点PTsによって表される得点を採用する。
このように、本実施例では、3つの候補目標色の得点を線形補間することによって得点を算出しているので、記憶色領域の代表色に対する得点を、候補目標色の得点に適したものとすることができる。なお、得点を算出する方法としては、線形補間に限定されるものではなく、候補目標色の得点に基づいて得点を算出する種々の方法を用いることができる。例えば、任意の色と得点との対応関係を定める関数を、候補目標色とその得点との対応関係を再現するように調整して用いてもよい。
次に、調整量算出部260aは、算出した得点に基づいて、画質調整処理の処理量を決定する。ところで、得点利用画質調整処理の第1実施例では、上述した画質調整処理の第2実施例(図17)と同様に、色相Hと彩度Sとが、次式に従って調整される。
Hnew = Horg + ΔH2・・・(s20):
Snew = k2 * Sorg・・・(s21):
数式s20において、Hnewは、調整後の色相であり、Horgは調整前の色相であり、ΔH2は、色相の調整量である。図22(a)(b)は、色相Hの調整量ΔH2と得点差分ΔPTとの関係を示すグラフである。図22(a)は、条件(a1)「色相Have≧色相Htgt」が成立する場合を示し、図22(b)は、条件(a1)が成立しない場合を示している。ここで、得点差分ΔPTは、目標色の得点から記憶色領域の代表色の得点を差し引いた差分である。また、色相Haveは、記憶色領域の色相Hの階調値の平均値であり、記憶色領域を代表する色相を示している。また、色相Htgtは目標色の色相を示している。
条件(a1)が成立する場合(図22(a))には、調整量ΔH2が負の値に設定されるので、記憶色領域の色相を目標色に近づけることができる。さらに、調整量ΔH2の絶対値は、得点差分ΔPTが大きいほど大きくなるように調整される。その結果、目標色に対する記憶色領域の代表色の評価が低いほど、色相の階調値の変化量、すなわち、カラーバランス調整処理量(調整度合いとも呼ぶ)がより大きくなるので、色相を目標色の色相により近づけることができる。但し、調整量ΔH2の絶対値は、「色相Htgt − 色相Have」の絶対値よりも小さい値に制限されている。その結果、色相Hを過剰に調整することを防止することができる。
一方、条件(a1)が成立しない場合(図22(b))も同様に、調整量ΔH2が設定される。但し、この場合には、調整量ΔH2が正の値に設定される。
また、数式s21において、Snewは調整後の彩度であり、Sorgは調整前の彩度であり、k2は、彩度の調整量(調整係数)である。また、図22(c)(d)は、彩度Sの調整量k2と得点差分ΔPTとの関係を示すグラフである。図22(c)は、条件(a2)「彩度Save≧彩度Stgt」が成立する場合を示し、図22(d)は、条件(a2)が成立しない場合を示している。ここで、彩度Saveは、記憶色領域の彩度Sの階調値の平均値であり、記憶色領域を代表する彩度を示している。また、彩度Stgtは目標色の彩度を示している。
条件(a2)が成立する場合(図22(c))には、調整量k2が1以下の値に設定されるので、記憶色領域の彩度を目標色に近づけることができる。さらに、調整量k2の大きさは、得点差分ΔPTが大きいほど、1から遠くなるように調整される。その結果、目標色に対する記憶色領域の代表色の評価が低いほど、彩度の階調値の変化量、すなわち、調整度合いがより大きくなるので、彩度を目標色の彩度により近づけることができる。但し、調整量k2の大きさの1からのズレは、「彩度Stgt/彩度Save」よりも小さい値に制限されている。その結果、彩度Sを過剰に調整することを防止することができる。
一方、条件(a2)が成立しない場合(図22(d))も同様に、調整量k2が設定される。但し、この場合には、調整量k2が1以上の値に設定される。
画質調整処理の調整量が決定されたら、次に、画質調整部210a(図18)が、決定された調整量を用い、上述の数式s20〜s21に従って、画質調整処理を実行する(図20:ステップS720)。
図23は、記憶色領域の代表色の変化を示す説明図である。図23(a)(b)には、調整前後の代表色が、a*、b*(L*a*b*色空間における座標値)で規定される平面上に示されている。いずれの場合も、同じ記憶色領域の代表色Caveを同じ目標色Ctgtに近づける場合の色の変化を示している。但し、図23(a)は、得点差分ΔPTが大きい場合を示し、図23(b)は、得点差分ΔPTが小さい場合を示している。また、図中において、色Cn1,Cn2は調整後の記憶色領域の代表色を示し、外殻線LD1、LD2は、それぞれ、得点差分が同じ所定の値以下である領域の外殻線を示している。
上述したように、得点差分が大きい場合(図23(a))には、調整量が大きくなるので(図22)、代表色をより目標色に近い色Cn1に調整することができる。その結果、調整後の色Cn1の得点(評価)が、目標色と比べて、過剰に低くなることを抑制することができる。一方、得点差分が小さい場合(図23(b))には、調整量が小さくなるので(図22)、代表色を過剰に調整してしまうことを抑制することができる。但し、この場合も、調整後の色Cn2の得点(評価)は、目標色と比べて過剰に低い値ではないので、記憶色領域の色を、ユーザの好みに適したものとすることができる。
このように、得点利用画質調整処理の第1実施例では、目標色に対する記憶色領域の代表色の得点が小さい(得点差分が大きい)ほど、画質調整処理(カラーバランス調整処理)の処理量が大きくなるように、画質調整処理の調整量が調整されるので、記憶色領域の色を、過剰に調整することを抑制しつつ、ユーザの好みに適した色に調整することができる。
なお、図21に示す得点の補間処理において、得点の補間に用いる候補目標色の組み合わせは、図21(a)に示す組み合わせに限定されるものではなく、他の組み合わせを用いても良い。このとき、補間に用いる候補目標色と記憶色領域との色差指標が小さいほど、精度のよい得点を算出することができる。
また、補間を行うための座標系としては、a*、b*色成分に限らず、他の種々の色成分で規定される座標系を用いることができる。例えば、色相Hと彩度Sとで規定される座標系を用いてもよい。
また、記憶色領域の代表色が、候補目標色分布領域CDAの外に位置する場合には、補外処理を行うことによって、得点を算出することができる。但し、補外処理では、補間処理と比べて、良い精度が得られにくい傾向がある。従って、候補目標色分布領域CDAが候補目標色の色となり得る色の全てを含むように、候補目標色を予め設定しておくことが好ましい。例えば、候補目標色分布領域CDAが、記憶色領域を選択ための条件を満たす色の全てを含むように、候補目標色を設定すればよい。
なお、本実施例における「得点」は、本発明における「評価値」に相当する。また、本実施例における「目標色」と「各候補目標色の得点」とは、本発明における「画質調整条件」に相当する。また、上述した目標色設定処理の第2実施例(図12〜14)と同様の画像評価結果を用いて、目標色と得点とを設定(図19)する場合には、目標色と得点とが、複数の画像評価結果を用いて決定されることになる。また、目標色設定処理の第3実施例(図15、16)と同様の画像評価結果を用いる場合には、目標色が複数の画像評価結果を用いて決定されることになる。
C4.得点利用画質調整処理の第2実施例:
図24は、得点利用画質調整処理の第2実施例の概要を示す説明図である。図22、23に示す得点利用画質調整処理の第1実施例との差異は、画質調整処理(カラーバランス調整処理)の処理量が、記憶色領域の代表色の得点が許容下限値以上となるように決定される点である。他の構成や動作は得点利用画質調整処理の第1実施例と同じである。
得点の許容下限値としては、種々の値を用いることができ、例えば、
(1)予め設定された固定値。
(2)目標色の得点から記憶色領域の代表色の得点を差し引いた差分が予め設定された差分しきい値となる値。
(3)目標色の得点に1よりも小さくゼロよりも大きな所定の割合を乗じた値。
等の値を用いることができる。いずれの場合も、具体的な値は、画像の出力結果の感応評価に基づいて決めることができる。また、図15に示す設定画面を用いて評価結果を設定する場合には、「可(Fair)」に対応する値を許容下限値として用いても良い。
図24は、記憶色領域の代表色の変化を示す説明図である。図24(a)(b)には、調整前後の代表色が、a*、b*(L*a*b*色空間における座標値)で規定される平面上に示されている。いずれの場合も、同じ記憶色領域の代表色Caveを同じ目標色Ctgtに近づける場合の色の変化を示している。また、図中の外殻線AL1、AL2は、それぞれ、得点が許容下限値以上となる許容領域の外殻線を示している。このように、図24(a)は、許容領域が、目標色Ctgtから記憶色領域の代表色Caveに向かって狭い場合を示し、図24(b)は、逆に、広い場合を示している。
図24(a)に示す座標点Cacc1は、記憶色領域の代表色Caveと目標色Ctgtとを結ぶ直線上の色であって、許容領域の外殻線AL1上の色を示している(以下、「許容色Cacc1」と呼ぶ)。また、図24(b)に示す座標点Cacc2も、同様の許容色を示している。
調整量算出部260a(図18)は、このようにして得られた許容色に基づいて、画質調整処理の処理量を決定する(図20:ステップS710)。ところで、得点利用画質調整処理の第2実施例では、色相Hと彩度Sとが、次式に従って調整される。
Hnew = Horg + ΔH3・・・(s30):
ΔH3 = Hacc − Have・・・(s31):
Snew = k3 * Sorg・・・(s32):
k3 = Sacc / Save・・・(s33):
数式s30、s31において、Hnewは、調整後の色相であり、Horgは調整前の色相であり、ΔH3は、色相の調整量である。また、Haccは許容色の色相を示している。このように、本実施例では、記憶色領域の代表色の色相が、許容色の色相Haccとなるように、色相の調整量ΔH3が決定される。
また、数式s32、s33において、Snewは、調整後の彩度であり、Sorgは調整前の彩度であり、k3は、彩度の調整量(調整係数)である。また、Saccは許容色の彩度を示している。このように、本実施例では、記憶色領域の代表色の彩度が、許容色の彩度Saccとなるように、彩度の調整量k3が決定される。
なお、記憶色領域の代表色の得点が許容下限値以上である場合には、色相Hと彩度Sとの処理量がゼロ、すなわち、ΔH3=0、k3=1に設定される。
画質調整処理の調整量が決定されたら、画質調整部210a(図18)が、決定された調整量を用い、上述の数式s30〜s33に従って、画質調整処理を実行する(図20:ステップS720)。
このように、得点利用画質調整処理の第2実施例では、記憶色領域の代表色の得点が許容下限値となるように、画質調整処理(カラーバランス調整処理)の調整量が調整されるので、記憶色領域の色をユーザの好みに適した色に調整するとともに、色を過剰に調整することを抑制することができる。
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D.変形例:
D1.変形例1:
上記各実施例において、色を調整するための記憶色は、1つに限らず、複数の記憶色に対して画質調整を実行する構成としても良い。例えば、人物の肌色領域と、空の青色領域と、山の緑色領域との色をそれぞれ調整する構成とすることができる。この場合も、それぞれの記憶色に対応した目標色の設定を、ユーザが行うことができるように構成するのが好ましい。こうすることで、さらに、ユーザの好みに応じた高品質な出力結果を得ることができる。この場合には、画質調整部210(図4)は、それぞれの記憶色に応じた画質調整を実行できるように構成され、さらに、目標色保持部240は、それぞれの記憶色に対応した複数の目標色を保持し、テストパターン形成部250は、それぞれの記憶色に対応したテストパターンを準備し、目標色設定部230は、それぞれの記憶色に対応した目標色の設定を行うことができるように、それぞれ、構成される。
D2.変形例2:
上記実施例において、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、図4に示した画像データ処理プログラム200の機能の一部または全部を、プリンタ20内の制御回路40が実行するようにすることもできる。この場合には、画像データの画質を調整する画像データ処理装置としてのコンピュータ90の機能の一部または全部が、プリンタ20の制御回路40によって実現される。
D3.変形例3:
上記各実施例において、画像データ処理装置としてのコンピュータ90を用いない構成とすることもできる。この場合は、プリンタ20の制御回路40(図3)が、画像の出力処理に加えて、上述の画像データ処理アプリケーションプログラム200(図4)を実行する。制御回路40のCPU41は画像データ処理を実行し、RAM44はCPU41の演算結果や画像データ等を一時的に格納し、PROM43は画質調整のためのプログラム等の画像データ処理に必要なデータを格納する。すなわち、制御回路40が、画質調整部と、目標色設定部の機能を実現する。また、プリンタ20は、コンピュータ90を介さずに画像データを取得することができるように構成される。例えば、プリンタ20に、メモリカードMCに格納された画像データを読み込むメモリカードスロット46(図3)を設け、メモリカードMCに格納された画像データを読み込む構成とすることができる。また、画像生成装置(ディジタルスチルカメラやディジタルビデオカメラ等)やネットワークに接続可能なI/F専用回路50を設け、画像生成装置やネットワークから画像データを取得する構成としても良い。こうすることで、コンピュータを用いずに、ユーザの好みに応じて画質を適切に調整した印刷結果を得ることができる。この場合、図9に示す設定画面は、プリンタ20の操作パネル32(図3)に表示される。ユーザは、操作パネル32を介して、目標色の設定を行うことができる。
D4.変形例4:
画像の出力装置としては、プリンタ以外にも、例えば、CRT、LCD、プロジェクタ、テレビ受像器などを用いることができる。いずれの場合も、ユーザが設定した目標色を用いて色の調整処理を実行するように構成することで、ユーザの好みに応じた高品位な出力結果を得ることができる。さらに、図8に示すフローチャートに従って、テストパターンが出力装置によって出力され、ユーザが出力結果に基づいて利用する目標色を設定することができるように構成することで、ユーザは簡単に好ましい目標色の設定を行うことができる。また、画像データ処理プログラム200(図4)の印刷データ生成部220は、画像データを、印刷データの代わりに、出力装置が受け入れ可能なデータに変換する処理を行う。なお、この画像データ変換を実行する機能は、画像データ処理プログラム200に組み込まれている必要はなく、例えば、オペレーティングシステムに組み込まれる構成としても良い。
D5.変形例5:
上記各実施例では、画質調整処理の対象となる領域(処理対象領域)が、記憶色に近い領域(記憶色領域)と一致していたが、処理対象領域と記憶色領域が一致している必要はない。例えば、記憶色領域外の画素の中で、その色相と目標色の色相との差が所定の値以下である画素については、目標色を用いた画質調整を行うようにしても良い。この場合、画質調整処理の処理量については、記憶色領域における処理量から、処理対象外領域の処理量(すなわちゼロ)まで、色相の変化に伴って連続的に変化するように設定するのが好ましい。こうすることで、画質調整を行う領域と行わない領域との境界が目立つことを抑制することができる。この際、画質調整処理の調整量(例えば、図7における調整量RM)としては、目標色との色相の差が大きいほど小さくなる重みを付して得られる調整量を用いることができる。
D6.変形例6:
上述の各実施例において、記憶色領域の代表色としては、記憶色領域の画素の階調値の平均値が表す色に限定されるものではなく、一般に、記憶色領域の色を代表する色を用いることができる。例えば、記憶色領域における階調値の最頻値で表される色を用いてもよい。
また、記憶色領域と目標色との色差指標は、記憶色領域の代表色の階調値と目標色の階調値との差分に限定されるものではなく、一般に、色の違いの大きさを表す指標であれば良い。また、色の階調値としては、種々の色空間で表される色成分の階調値を用いることができる。
また、複数の目標色画像は、それぞれの候補目標色を有する画像に限定されるものではなく、一般には、記憶色領域を含む画像であって、記憶色領域が候補目標色を用いて再現されていればよい。例えば、記憶色領域と、その画像が対応する候補目標色との色差指標が、他の候補目標色との色差指標よりも小さい画像を、目標色画像として用いることができる。
D7.変形例7:
上述の各実施例において、目標色とユーザの好みとのズレを小さくするために、目標色設定処理を複数回繰り返してもよい。このとき、目標色設定処理を繰り返すたびに、候補目標色間の色差指標を徐々に小さくし、さらに、複数の候補目標色を、その時点での最良の目標色(以下、「暫定目標色」と呼ぶ)を中心としたものに変更すれば、より適切な目標色を設定することができる。また、この方法を、基準画像を含む画像対を用いた実施例(目標色設定処理の第2実施例:図16)に適用する場合には、暫定目標色に対応する目標色画像を新たな基準画像として用いればよい。
D8.変形例8:
上述の各実施例において、複数の候補目標色の中の一部に関しては、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに同じであることが好ましい。このように、色の属性のうちの一部が同じであれば、ユーザは、目標色画像を評価する際に、色の違いを容易に把握することができる。その結果、好みに適した画像の評価を容易に行うことができる。
D9.変形例9:
上述の各実施例において、テストパターン形成部250、250a(図4、18)は、ユーザが指定した画像を用いて画像対(画像群)を生成することが可能である。すなわち、テストパターン形成部250、250aは、本発明における「画像群生成部」に相当する。また、テストパターン形成部250、250aは、標準画像を用いた画像群を準備することも可能である。このとき、ハードディスクドライブ等の記録媒体(図示省略)に予め格納された画像群を読み込むこととしてもよく、また、予め準備された標準画像を用いて画像群を生成することとしてもよい。
また、テストパターン形成部250、250aと印刷データ生成部220、220aとは、本発明における「画像群供給部」に相当する。ここで、画像群が2つの画像で構成されている場合には、画像群供給部は、2つの画像が隣り合うように並べて出力されるように、画像群を画像出力部に供給することが好ましい。ここで、2つの画像を並べて出力されるように配置する機能については、テストパターン形成部250、250aが達成してもよく、また、印刷データ生成部220、220aが達成してもよい。また、標準画像を用いる場合には、テストパターン形成部250、250aが、配置済みの画像群を利用可能な構成としてもよい。
D10.変形例10:
画質調整処理は、記憶色領域の色の調整処理に限定されるものではなく、一般に、画像の画質を調整する処理であればよく、例えば、シャープネス調整処理や明るさの階調値調整処理等の他の種類の画質調整処理を採用してもよい。また、上述の各実施例では、画質調整条件決定部として目標色設定部を用いていたが、一般に、画質調整部が実行する画質調整のための画質調整条件を決定する画質調整条件決定部を備えることが好ましい。ここで、画質調整条件とは、調整処理の度合い、調整処理前後の階調値の対応関係、調整処理に用いた具体的な数値等を意味する。
例えば、画像データの明るさの階調値を、入力値と出力値との対応関係を定めたトーンカーブを用いて調整する場合がある。この場合には、「トーンカーブ」が本発明における「画質調整条件」に相当する。そこで、画質調整処理に用いるトーンカーブを決定する画質調整条件決定部を備えることが好ましい。ここで、画質調整条件決定部は、明るさの調子(トーン)が異なる複数の評価用の画像を用いた画像群毎のユーザの評価結果を複数用いて、トーンカーブを決定することが好ましい。ここで、評価用の画像としては、例えば、同一の原画像に、予め設定された複数のトーンカーブのそれぞれを用いた処理を実行して得られる画像を用いることができる。
なお、画質調整処理としては、一般に、第1の画像データを第2の画像データへ変換する処理であればよい。例えば、プリンタを用いて画像を印刷する際には、画像データの色データを、プリンタが利用可能な各インクのインク量に相当する多階調データ(以下「インク量セット」と呼ぶ)へ変換する色変換処理が実行される。色データとインク量セットとの対応関係は、色変換ルックアップテーブル(LUT:Look Up Table)として記憶されている。ここで、色変換処理によって記憶色領域の色が目標色に近い色となるように、色変換ルックアップテーブルを準備することができる。
記憶色を考慮した色変換ルックアップテーブルを作成する際には、まず、目標色を設定する。目標色の設定方法としては、上述の各実施例と同じ方法を用いることができる。次に、色データとインク量セットとの対応関係を決定する。このとき、記憶色領域に含まれる複数の色データのそれぞれに対応する複数のインク量セットは、目標色が異なる場合と比べて、その目標色を再現するインク量セットの近くに集まるように、決定される。そして、色データを入力とし、インク量セットを出力とする対応関係が、色変換ルックアップテーブルに格納される。こうして作成された色変換ルックアップテーブルは、通常は、色変換処理を実行する色変換処理プログラム(例えば、プリンタドライバ)が参照するデータとして、色変換処理プログラムとともにコンピュータにインストールされる。なお、この実施例では、「目標色」が本発明における「画質調整条件」に相当する。また、「ルックアップテーブル」が「画質調整条件」に相当すると考えることもできる。
D11.変形例11:
特定の画質に関する画質調整条件を決定するための評価用の画像としては、一般には、特定の画質が互いに異なる複数の画像を用いることができる。例えば、同一の原画像に対して、互いに異なる複数の画質調整条件のそれぞれを用いた画質調整処理を実行して得られる処理済画像を用いることができる。このとき、ユーザが指定した原画像を用いることが好ましい。こうすれば、画質調整条件の決定に、画像生成装置が生成する画像データの画質特性を反映させることができる。また、評価用の画像として自然画像を用いれば、画質調整条件を自然画像の画質調整処理に適したものとすることができる。例えば、空の青色領域の色調整に対しては、空が写った風景画像を用いればよい。
D12.変形例12:
上述の各実施例において、画像群を構成する評価用の画像の数は、1つや2つに限定されるものではなく、3つ以上の値を採用してもよい。例えば、画像群を3つの評価用の画像で構成し、評価結果を1つの評価用の画像を指定するものとしてもよい。この場合には、目標色設定処理の第2実施例(図12〜14)と同様の方法で、画質調整条件を決定することができる。
D13.変形例13:
上述の記憶色領域の色を調整する各実施例において、目標色の決定処理を、互いに異なる複数の明度毎にユーザによって決定された複数の評価結果を用いて実行してもよい。例えば、予め設定された複数の明度(以下「基準明度」と呼ぶ)毎の評価結果を用いて基準明度毎の基準となる目標色(以下「基準目標色」と呼ぶ)を決定し、複数の基準目標色を用いて目標色を決定する方法を用いることができる。
例えば、図4に示す構成例を用いる場合には、テストパターン形成部250は、複数の基準明度(基準目標色)毎にテストパターンを準備する。このとき、1つの基準明度に対するテストパターンに含まれる複数の目標色画像は、同じ基準明度を有する複数の候補目標色で、それぞれ、再現されている。すなわち、1つの基準明度に対するテストパターンは、候補目標色の明度が基準明度と同じである目標色画像のみを含むことになる。従って、ユーザは、基準明度毎の評価を行う際に、記憶色領域の色の違いを容易に認識することができる。
ここで、同一の原画像に画質調整処理を実行して目標色画像を生成する場合には、明度の調整を含む画質調整処理(例えば、図7に示す調整処理)を用いることが好ましい。さらに、原画像としては、記憶色領域を代表する明度が基準明度と同じである画像を用いることが好ましい。こうすれば、目標色画像において、記憶色領域と他の領域との明るさの違いが不自然に見えることを抑制することができる。なお、この場合には、基準明度毎に異なる原画像が用いられることになる。また、基準明度としては、例えば、L*=70(明)、L*=55(中)、L*=40(暗)の3つを用いることができる(L*はL*a*b*色空間における明度)。
目標色設定部230は、複数の基準明度毎に、ユーザによって決定された評価結果を受け取り、評価結果を用いて基準目標色を決定する。ここで、評価結果から基準目標色を決定する方法としては、図9、10に示す実施例と同様に、1つの目標色を指定する評価結果を用いる方法を採用してもよく、また、図12〜14や図15〜16に示す実施例と同様に、画像対毎に決定された複数の評価結果を用いる方法を採用してもよい。画像対毎の評価結果を用いる場合には、1つの基準明度に対する複数の画像対は、候補目標色の明度が基準明度と同じである目標色画像のみで構成されることになる。
次に、目標色設定部230は、複数の基準目標色を用いて目標色を決定する。目標色を決定する方法としては、例えば、複数の基準目標色のそれぞれを表す階調値の平均で表される色を目標色として採用する方法を用いることができる。また、1つの目標色を決定する代わりに、記憶色領域を代表する明度と目標色との対応関係を、複数の基準目標色を用いて決定してもよい。明度と目標色との対応関係としては、基準明度と基準目標色を表す階調値との複数の組み合わせを線形補間して得られる対応関係を用いることができる。この代わりに、任意の明度に対して、明度の差分が最も小さい基準明度に対応する基準目標色を対応付けることとしてもよい。このように、明度に応じて目標色を調整する構成とすれば、目標色を、画像データの記憶色領域の明るさに応じた適切なものとすることができる。
こうして得られた明度と目標色との対応関係は、目標色保持部240によって保持される。画質調整部210は、記憶色領域の代表色の明度と対応関係とで決まる目標色に従って、画質調整処理を実行する。このとき、図7に示すような明度の調整を含む画質調整処理を実行してもよく、また、図17に示すような明度の調整を含まない画質調整処理を実行してもよい。なお、この実施例では、「基準目標色」が、本発明における「画質調整条件」に相当すると考えることができる。
また、図18に示す構成例を用いる場合も、同様に、目標色の決定処理を、複数の明度毎の評価結果を用いて実行することができる。この場合には、基準目標色と候補目標色の得点とが、基準明度毎に決定される。また、調整量算出部260aは、記憶色領域の代表色に対する得点を、複数の基準明度毎に決定された候補目標色の得点に基づいて、目標色と同様に算出することができる。なお、この場合には、「基準目標色」と「候補目標色の得点」が、本発明における「画質調整条件」に相当すると考えることができる。
D14.変形例14:
上述の各実施例において、画像データ生成時における撮影シーン毎に画質調整条件を決定して使い分ける構成としてもよい。例えば、明るさの階調値調整処理を行う場合には、人物画像に関しては、全体的に明るく調整することが好まれる傾向がある。また、風景画像に関しては、コントラストの強くなるように調整することが好まれる傾向がある。そこで、「人物」や「風景」といった撮影シーン毎にトーンカーブを決定して使い分ければ、画像の明るさを、撮影シーンに応じて適切に調整することができる。この場合には、画質調整条件決定部は、撮影シーン毎に画質調整条件(この例では、トーンカーブ)を決定し、画質調整部は、撮影シーンに基づいて、用いる画質調整条件を選択する。
ところで、画像生成装置(例えば、デジタルスチルカメラ)には、画像データと撮影シーンタイプ情報とを格納する画像データファイルを生成するものがある。撮影シーンタイプ情報は、画像生成装置で撮影するときにユーザによって設定された情報であり、「人物」「風景」「夜景」などが設定可能である。このような画像データファイルを用いて明るさの階調値調整処理を実行する場合には、撮影シーンタイプ情報に基づいて、自動的に、適切なトーンカーブを選択することができる。
D15.変形例15:
上述の各実施例において、画像群を出力する方法としては、画像群を他の評価用画像と区別して出力する方法を用いることが好ましい。例えば、画像群を四角で囲んで構成する方法や、複数の画像群を互いに異なるページに印刷する方法等、種々の方法を用いることができる。また、画像出力装置として、画像を表示する装置(例えば、LCDディスプレイやプロジェクタ等)を用いる場合には、1つの画像群を順次表示する方法を用いてもよい。この場合には、1つの画像群を表示する工程と、表示した画像群に関する評価結果を受け取る工程とで構成される一連の工程が、複数の画像群に対して実行される。
ここで、画像群が2つの評価用画像で構成されており、さらに、評価結果が、2つの評価用画像のうちの選択された一方を示すものである場合(例えば、図12の実施例)には、選択された評価用画像を変えずに、選択されなかった評価用画像を他の評価用画像に変更して、一連の工程を繰り返してもよい。ここで、一連の工程を、選択された評価用画像が、他の全ての評価用画像に対して変わらなくなるまで繰り返せば、容易に、好ましい画質調整条件を設定することができる。
画像出力システムの構成を示すブロック図。 プリンタ20の概略構成図。 プリンタ20の構成を示すブロック図。 画質調整処理の概要を示すブロック図。 画質調整処理の流れを示すフローチャート。 記憶色領域を説明する説明図。 色差指標と階調値調整処理を示す説明図。 目標色設定処理の流れを示すフローチャート。 目標色を設定する様子を示す説明図。 テストパターンの例を示す説明図。 目標色設定処理の第2実施例の処理手順を示すフローチャート。 目標色設定処理の第2実施例における設定画面の一例を示す説明図。 目標色設定処理の第2実施例におけるテストパターンの一例を示す説明図。 得点の一例を示す説明図。 目標色設定処理の第3実施例における設定画面の一例を示す説明図。 目標色設定処理の第3実施例におけるテストパターンの一例を示す説明図。 画質調整処理(カラーバランス調整処理)の第2実施例の概要を示す説明図。 第2実施例における画像データ処理プログラム200aの構成を示すブロック図。 第2実施例における目標色と得点とを設定する処理の処理手順を示すフローチャート。 画質調整処理(カラーバランス調整処理)の処理手順を示すフローチャート。 記憶色領域の代表色に対する得点を算出する様子を示す説明図。 画質調整処理の調整量を示すグラフ。 記憶色領域の代表色の変化を示す説明図。 得点利用画質調整処理の第2実施例の概要を示す説明図。
符号の説明
12...ディジタルスチルカメラ、20...プリンタ、21...モニタ、
22...紙送りモータ、24...キャリッジモータ、26...プラテン、
27...画像出力部、30...キャリッジ、32...操作パネル、34...摺動軸、
36...駆動ベルト、38...プーリ、39...位置センサ、40...制御回路、
41...CPU、43...PROM、44...RAM、45...CG、
46...メモリカードスロット、50...I/F専用回路、
52...ヘッド駆動回路、54...モータ駆動回路、56...コネクタ、
60...印刷ヘッドユニット、90...コンピュータ、91...モニタ駆動回路、
92...CPU、93...RAM、94...HDD、95...I/F回路、
96...メモリカードスロット、200、200a...画像データ処理プログラム、
210、210a...画質調整部、220、220a...印刷データ生成部、
230、230a...目標色設定部、
240...目標色保持部、250、250a...テストパターン形成部、
260...調整量算出部
510、510a、510b...テストパターン選択部、
520、520a、520b...テストパターン印刷開始ボタン、
530...目標色番号設定部、
530a...優劣評価結果設定部、
530b...程度評価結果設定部、
540、540a、540b...設定ボタン、
550、550a、550b...キャンセルボタン、
560、560a、560b...画像データ指定部、
M...人物、F...顔、Bl...建物、CV...ケーブル、IMG...画像、
MC...メモリカード、P...印刷用紙、PD...印刷データ、
TP10、TP20、TP30...テストパターン、TP11〜TP19...画像

Claims (30)

  1. 画像データを用いて画像を出力する出力装置であって、
    前記画像データの中の、予め設定された記憶色に近い領域の色を、予め設定された目標色に近づくように調整する画質調整部と、
    前記目標色の設定をユーザに許容する目標色設定部と、
    前記色が調整された画像データに応じて画像を出力する画像出力部と、
    を備える出力装置。
  2. 請求項1に記載の出力装置であって、
    前記出力装置は、
    前記目標色の設定に用いることが可能なテストパターンを準備するテストパターン形成部を備え、
    前記画像出力部は、前記準備されたテストパターンを出力することが可能である、出力装置。
  3. 請求項2に記載の出力装置であって、
    前記テストパターンは、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに異なる複数の目標色をそれぞれ有する複数の画像を含む、出力装置。
  4. 請求項2に記載の出力装置であって、
    前記テストパターンは、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに異なる複数の目標色のそれぞれを用いて同一の原画像の画質調整を実行することによって得られた複数の画像を含む、出力装置。
  5. 請求項3または請求項4に記載の出力装置であって、
    前記テストパターン形成部は、前記テストパターンとして、予め設定された複数の基準となる明度毎に、前記複数の目標色の明度が同じ前記基準明度に設定されたテストパターンをそれぞれ準備し、
    前記目標色設定部は、前記複数の基準明度毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取るとともに、前記複数の評価結果を用いて前記目標色を決定する、
    出力装置。
  6. 請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の出力装置であって、
    前記テストパターンが含む画像は自然画像である、出力装置。
  7. 請求項4に記載の出力装置であって、
    前記テストパターン形成部は、
    前記原画像の指定をユーザに許容する、出力装置。
  8. 請求項1に記載の出力装置であって、さらに、
    互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、前記記憶色に近い領域が、色相と彩度と明度とのうちの少なくとも1つが互いに異なるとともに予め準備された複数の候補目標色をそれぞれ用いて再現された評価用の自然画像である複数の目標色画像のうちの少なくとも1つの目標色画像をそれぞれ含む複数の画像群を、前記画像出力部に供給する画像群供給部を備え、
    前記目標色設定部は、前記複数の画像群毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取るとともに、前記複数の評価結果を用いて前記目標色を決定する、
    出力装置。
  9. 請求項8に記載の出力装置であって、
    前記目標色設定部は、前記複数の評価結果を用いて、前記目標色とは別に、前記色の調整処理の調整度合いを決定する、出力装置。
  10. 請求項9に記載の出力装置であって、
    前記目標色設定部は、前記複数の評価結果を用いて、前記記憶色に近い色に対する評価の高さの程度を示す評価値を算出することが可能であり、さらに、前記目標色に対する評価値から、前記画像データの中の前記記憶色に近い領域を代表する所定の代表色に対する評価値を引いた差分が大きいほど、前記調整度合いを大きくする、出力装置。
  11. 請求項9に記載の出力装置であって、
    前記目標色設定部は、前記複数の評価結果を用いて、前記記憶色に近い色に対する評価の高さの程度を示す評価値を算出することが可能であり、さらに、前記色の調整処理を実行することによって、前記画像データの中の前記記憶色に近い領域を代表する所定の代表色に対する評価値が所定のしきい値以上となるように、前記調整度合いを調整する、出力装置。
  12. 請求項8ないし請求項11のいずれかに記載の出力装置であって、
    前記複数の画像群は、2つの前記目標色画像で構成されており、
    前記画像群供給部は、前記2つの目標色画像が隣り合うように並べて出力されるように、前記画像群を前記画像出力部に供給する、
    出力装置。
  13. 請求項12に記載の出力装置であって、
    前記複数の画像群は、共通の目標色画像を含む、
    出力装置。
  14. 請求項12に記載の出力装置であって、
    前記評価結果は、ユーザによって選択された一方の目標色画像を示す、
    出力装置。
  15. 請求項8ないし請求項14のいずれかに記載の出力装置であって、
    前記画像群が含む目標色画像は、同一の原画像に、前記複数の候補目標色のそれぞれを用いて前記色の調整処理を実行して得られた画像である、
    出力装置。
  16. 請求項8ないし請求項15のいずれかに記載の出力装置であって、
    前記複数の候補目標色は、予め設定された複数の基準となる明度毎に、明度が前記基準明度と同じである複数の候補目標色を含み、
    前記画像群供給部は、前記複数の基準明度毎に、前記候補目標色の明度が前記基準明度と同じである目標色画像のみで構成された複数の画像群を供給する、
    出力装置。
  17. 画像データを用いて画像を出力する出力方法であって、
    画像データの画質調整に用いる目標色をユーザに設定させるための画面を出力する工程と、
    前記画像データの中の、予め設定された記憶色に近い領域の色を、前記設定された目標色に近づくように調整する工程と、
    前記色が調整された画像データに応じて画像を出力する工程と、
    を備える出力方法。
  18. 画像データの画質を調整する画像データ処理装置であって、
    前記画像データの中の、予め設定された記憶色に近い領域の色を、予め設定された目標色に近づくように調整する画質調整部と、
    前記目標色の設定をユーザに許容する目標色設定部と、
    を備える画像データ処理装置。
  19. 画像データの画質を調整する画像データ処理をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
    画像データの画質調整に用いる目標色をユーザに設定させるための画面を出力する機能と、
    前記画像データの中の、予め設定された記憶色に近い領域の色を、前記設定された目標色に近づくように調整する機能と、
    を、前記コンピュータに実現させることを特徴とするコンピュータプログラム。
  20. 請求項19に記載のコンピュータプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
  21. 対象画像の画質を調整するための画質調整条件を決定する方法であって、
    (a)互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、特定の画質が互いに異なる複数の評価用の自然画像のうちの少なくとも1つの画像をそれぞれ含む複数の画像群を出力する工程と、
    (b)前記複数の画像群毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取る工程と、
    (c)前記複数の評価結果を用いて、前記特定の画質に関する前記画質調整条件を決定する工程と、
    を備える、画質調整条件の決定方法。
  22. 請求項21に記載の画質調整条件の決定方法であって、
    前記複数の画像群は、2つの前記評価用自然画像で構成されており、
    前記工程(a)では、前記2つの評価用自然画像が隣り合うように並べて出力される、
    画質調整条件の決定方法。
  23. 請求項21または請求項22に記載の画質調整条件の決定方法であって、
    前記複数の画像群は、共通の評価用自然画像を含む、
    画質調整条件の決定方法。
  24. 請求項22に記載の画質調整条件の決定方法であって、
    前記評価結果は、ユーザによって選択された一方の評価用自然画像を示す、
    画質調整条件の決定方法。
  25. 請求項21ないし請求項24のいずれかに記載の画質調整条件の決定方法であって、
    前記画像群が含む評価用自然画像は、同一の原画像に、予め準備された複数の画質調整条件のそれぞれを用いて画質調整処理を実行して得られた画像である、
    画質調整条件の決定方法。
  26. 請求項25に記載の画質調整条件の決定方法であって、さらに、
    (d)前記原画像を指定するユーザの指示を受け取る工程と、
    (e)前記指示で指定された前記原画像を用いて前記画像群を生成する工程と、
    を備える、画質調整条件の決定方法。
  27. 画像出力部を備えるコンピュータに、対象画像の画質を調整するための画質調整条件を決定させるためのコンピュータプログラムであって、
    (a)互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、特定の画質が互いに異なる複数の評価用の自然画像のうちの少なくとも1つの画像をそれぞれ含む複数の画像群を、前記画像出力部による出力のために準備する機能と、
    (b)前記複数の画像群毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取らせる機能と、
    (c)前記複数の評価結果を用いて、前記特定の画質に関する前記画質調整条件を決定させる機能と、
    をコンピュータに実現させるコンピュータプログラム。
  28. 対象画像の画質を調整するための画質調整条件を決定する決定装置であって、
    画像出力部と、
    前記画像出力部に、互いに異なる画像を含む複数の画像群であって、特定の画質が互いに異なる複数の評価用の自然画像のうちの少なくとも1つの画像をそれぞれ含む複数の画像群を供給する画像群供給部と、
    前記複数の画像群毎にユーザによって決定された複数の評価結果を受け取るとともに、前記複数の評価結果を用いて前記特定の画質に関する前記画質調整条件を決定する画質調整条件決定部と、
    を備える、決定装置。
  29. 請求項28に記載の決定装置であって、
    前記画像群が含む評価用自然画像は、同一の原画像に、予め準備された複数の画質調整条件のそれぞれを用いて画質調整処理を実行して得られた画像であり、
    前記画像群供給部は、前記原画像を用いて前記複数の画像群を生成する画像群生成部を備え、
    前記画像群生成部は、前記原画像を指定することをユーザに許容する、
    出力装置。
  30. 対象画像の画質を調整する画像処理装置であって、
    請求項28または請求項29に記載の決定装置と、
    前記決定装置が備える前記画質調整条件決定部で決定された画質調整条件に従って前記対象画像の画質を調整する画質調整部と、
    を備える、画像処理装置。
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