JP3825965B2 - 画像処理方法、装置および記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
異なる階調再現範囲を持つ第1の出力機器と第2の出力機器との間での階調マッチングを行う画像処理方法、装置および記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンピュータシステム等でモニタに表示された画像をプリンタにより出力する際の出力画像の明るさ調整は、プリンタドライバにおける明るさまたは出力γ値に関する設定を用いて行っていた。プリンタドライバは、設定された明るさまたは出力γ値に応じた階調補正曲線を用いて画像データを補正していた。
【0003】
しかしながら、従来は、プリンタの階調補正曲線を設定する際に、モニタの設定を反映することができなかった。さらには、プリンタの階調補正曲線を、モニタの出力可能な階調レンジとプリンタの出力可能な階調レンジとの関係を考慮せずに設定していた。
【0004】
したがって、プリンタから出力された画像が、モニタ表示に比べて明るすぎるもしくは暗すぎる問題や、画像の明るい部分が白く飛んだり暗い部分の階調がつぶれるという問題があった。
【0005】
また、従来、コンピュータシステム等でモニタに表示された画像をプリンタにより印字する際、プリンタ出力における画像の明るさやコントラストの調整は、プリンタドライバの設定において、明るさやコントラストの値を変更することにより行っていた。プリンタドライバは設定された値により、階調補正曲線を算出し、画像データを補正することにより、出力の明るさやコントラストを調整していた。
【0006】
しかしながら上記従来例では、モニタ上で再現している階調特性とは関係なく、全体的に明るく、もしくは暗くするなどの明るさの変更処理や、階調曲線の傾きを大きくする、もしくは小さくするなどのコントラストの変更処理によって、出力時の階調曲線を設定し出力していた。
【0007】
したがって、プリンタから出力された画像が、明るすぎるもしくは暗すぎるという問題や、黒つぶれや白とびなどが起こるという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した問題を解決するためになされたものであり、異なる出力装置で出力された画像の階調を合わせることを目的とする。
【0009】
さらに、明るさやコントラストの調整を行った場合でも、良好な出力を行えるようにすることを他の目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願請求項1記載の発明は、異なる階調再現範囲を持つ第1の出力機器と第2の出力機器との間での階調マッチングを行うために、第2の出力機器に出力する画像データを生成するために使用する出力階調再現曲線を求める画像処理方法であって、前記第1の出力機器の出力機器情報を設定し、前記第2の出力機器で使用する出力媒体情報を設定し、前記設定された出力機器情報に対応した前記第1の出力機器の階調特性曲線を、前記設定された出力媒体情報に対応した前記第2の出力機器で出力可能な明度域に基づき線形圧縮し、前記線形圧縮された階調特性曲線と、前記設定された出力媒体情報に対応した前記第2の出力機器の階調特性曲線とに基づき、前記出力階調再現曲線を求めることを特徴とする。
【0012】
上記他の目的を達成するために、本願請求項5記載の発明は、さらに、明るさおよびコントラストの変更条件を入力し、前記明るさの変更条件に応じて前記第2の出力機器の階調再現域を調整する階調再現域調整条件を求め、前記コントラストの変更条件に応じて前記出力機器情報に対応する階調特性曲線を調整することを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第一の実施形態)
以下、本発明に係る一実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は画像処理装置の構成の1例を示したブロック図である。10は画像データを格納するための画像メモリ、11は画像を表示するためのモニタ、12は表示特性を設定するガンマ設定部、13は設定されたガンマ値により画像データをビデオ信号に変換するビデオ信号生成部、14は画像を印刷するためのプリンタ、15は印刷用紙の種類を設定する用紙設定部、16はモニタ表示とプリンタ出力の階調マッチングを行うための階調補正部、17はモニタ表示とプリンタ出力の色のマッチングを行うためのカラーマッチング処理部、18は画像データをプリンタ駆動信号に変換するための出力画像処理部である。
【0016】
画像データは、デジタルカメラ、スキャナなどによりデジタイズされたデータや、CGにより生成されたデータで、明るさに対応した画素値としてメモリに格納される。ここでは、各画素値はレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の8ビット値で示され、値255が最高輝度、値0が最低輝度を表すものとする。
【0017】
モニタはCRTまたはLCDなどの表示装置であり、駆動信号の強度Vに対して輝度Yがおおむね式1の関係を持つ。
【0018】
【外1】
【0019】
ビデオ信号生成部はD−Aコンバータにより画素値Iに対応したビデオ駆動信号Vを生成する。D−Aコンバータの入出力特性が式2で与えられるとすると、
【0020】
【外2】
【0021】
画素値Iとモニタに表示される輝度値Yは式3の関係を持つ。
【0022】
【外3】
【0023】
本実施形態では、画素値とモニタに表示される輝度値との関係をガンマ設定部で設定されたガンマ値γとなるように、ビデオ信号生成部13のD-Aコンバータの入出力特性を調整するものとする。
【0024】
プリンタは、たとえばインクジェット方式によるもので、出力用紙上にシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のインク滴を吐出定着させ、その密度により色の濃淡を表現するものとする。
【0025】
出力画像処理部18は、所望の色を用紙上に再現するために、入力RGB画素値に応じてCMYKの各インクの吐出を制御するデータを生成する。
【0026】
また、プリンタは普通紙、コート紙、光沢紙など複数の用紙の種類を選択できるものとし、用紙の種類は用紙設定部15により指示されるものとする。
【0027】
階調変換部16は、モニタに表示された画像と階調マッチングを取るために、ガンマ設定および用紙設定に応じた階調変換を行う。
【0028】
以下に、階調変換部16で用いる階調変換条件の設定方法を説明する。
【0029】
画素値と出力色の関係は、以下の手順で求めることができる。階調変換を行わずに、画素値(R,G,B)を(0,0,0)から(255,255,255)まで256段階に変化させたグレーパッチをある種類の用紙に出力し、各グレーパッチの色を測色計により測色し、紙面を基準(反射率1)とした相対反射率Rを求める。そして、反射率Rを式4により明度L*に変換する。画素値Iと求められた明度L*の関係が、上記用紙の画素値と出力色の関係である。この処理を用紙の種類毎に行う。あらかじめ用紙の種類毎に画素値と出力色の関係を求めておく。
【0030】
式4
L*=1161/3 −16 (R>0.008856)
L*=903.29R (R≦0.008856)
【0031】
図2に、画素値Iと印刷明度L*の関係の一例を示す。
【0032】
モニタに表示される画素値Iと明度Lm*の関係は、モニタガンマ値γから式5で表される。
【0033】
【外4】
【0034】
ここで、Y0はモニタの最高輝度である。また、Lm*は、モニタで表示される明度である。図3にγ=2.2の時の画素値Iと表示明度L*の関係を示す。
【0035】
図2および図3から、モニタで表示可能な明度域が0から100であるのに対し、プリンタで印刷可能な明度域は10から100と差があることが分かる。
【0036】
従って、モニタ表示に階調マッチングした印刷出力を得るためには、明度の圧縮が必要である。本実施形態では、明度の圧縮は表示可能な明度域を印刷可能な明度域に線形に圧縮する。すなわち、式6で示される変換を行う。
【0037】
式6
Lp*=Lm*(Lmax−Lmin)+Lmin
ここで、Lmaxは印刷可能な最高明度、Lminは印刷可能な最低明度である。また、Lp*は、プリンタで印刷される明度を表す。
【0038】
明度圧縮した画素値Iと明度Lp*の関係を図4に示す。
【0039】
図4の出力階調特性を実現するため、階調変換条件をは次のようにして求める。
【0040】
まず、画素値(R,G、B)がそれぞれ0,17,34,51,68,85,102,119,136,153,170,187,204,221,238,255となる16階調について、図4の明度を出力するための入力値を図2から求める。
【0041】
たとえば、画素値17に対する目標明度は図4から12である。一方、明度12を出力するには図2から画素値を9とすれば良いことが分かる。よって、階調変換部では入力画素値17を9に変換し出力すればよい。
【0042】
次に、0から255の画素値に対応する変換値を先程求めた16階調から補間により求める。補間の方法は線形補間でも良いが、スプラインなど滑らかな方法を用いることが望ましい。さらに、補間計算の精度を8ビット以上にすることにより補間による階調飛びを防ぐことができる。
【0043】
この処理により、図4の階調特性を再現することができる階調変換条件(テーブル)を作成することができる。階調変換部16では、階調変換条件をRGB色成分に対して共通に用いる。
【0044】
プリンタ14で画像出力する際の処理手順を図5のフローチャートを用い、説明する。
【0045】
S61では、メモリ10に画像を入力する。
【0046】
S62では、階調マッチングの対象となるモニタのガンマ値γをガンマ設定部12から読み出すことでの設定や、用紙種類を用紙設定部15にて設定するなどの出力条件を設定する。
【0047】
S63では、階調変換部16にて、S62において設定された出力条件に基づき、式5及び式6及び上記補間方法によって求められた階調変換条件を用いて階調変換処理を行う。
【0048】
S64では、カラーマッチング処理部17にてカラーマッチング処理を行い、S65では、出力画像処理部18にて出力画像をプリンタ14へ転送する。
【0049】
次に、S62の出力条件設定を図6および図7を用いて説明する。
【0050】
図6は、プリンタドライバのユーザーインターフェイスの例を示すものである。画像を出力する場合、ユーザーは、所望の出力条件となるようにユーザーインターフェイスの各項目を設定後、OKボタン77を押下することで、出力条件設定を終了し、出力画像を得るものとする。ここで71は画像の印刷目的を設定する印刷目的設定部、72は印刷に使用する用紙の種類を設定する用紙種類設定部、73は印刷に使用する用紙の大きさを設定する用紙サイズ設定部、74は出力する画像に対しカラーマッチング処理を施すかを設定するカラーマッチング設定部、75はカラーマッチングの種類を設定するカラーマッチング方法設定部、76はマッチング目標のガンマ値γpを設定する目標ガンマ設定部、77は全ての設定が終了した場合のOK設定部、78は設定作業を中止する場合のキャンセル設定部である。
【0051】
S62の出力条件設定における、図6のユーザーインターフェイスを用いた各設定項目の設定手順を図7のフローチャートを用い説明する。
【0052】
S801では、キャンセルボタン78が押下されているかのチェックを行い、押下されているときは出力条件設定ステップを終え、押下されていないときはS802へ進む。S802では、OKボタン77が押下されているかのチェックを行い、押下されているときはS81へ進み、押下されていないときはS801へ戻る。S81では、印刷目的設定部71による設定により、モノクロ文書、文書/表、写真、DTP、グラフィックス、ユーザー定義などの印刷目的情報を取得する。
【0053】
S82では、用紙種類設定部72による設定により、普通紙、コート紙、光沢紙など複数の用紙種類の中から対象用紙情報を取得する。階調変換条件は、取得された対象用紙情報に対応する画素値Iと印刷明度L*の関係を用いて、設定される。
【0054】
S83では、用紙サイズ設定部73による設定により、A3、A4、A5、B4、B5、はがきなどの用紙サイズ情報を取得する。S84では、カラーマッチング設定部74による設定により、カラーマッチング処理のON/OFF情報を取得する。S85では、S84で取得された情報に基づいて、ONであればS86へ、OFFであれば出力条件設定処理を終える。S86では、カラーマッチング方法設定部75による設定により、階調優先、色味優先、色差最小などのカラーマッチング方法の情報を取得する。
【0055】
S87では、目標ガンマ設定部76による設定により、階調マッチングさせたいモニタのガンマ値γpを取得する。ここで、目標ガンマ設定部76の初期値として、ガンマ設定部12に設定されているガンマ値γを設定しておき、ユーザーの希望によって数値を変更できる構成にしておく。階調変換条件は、設定されたガンマ値γに対応する画素値Iと表示明度Lm*の関係を用いて、設定される。
【0056】
以上の処理により、出力条件が設定される。
【0057】
このように、設定されたガンマ値γに対応する画素値Iと表示明度Lm*の関係および設定された対象用紙情報に対応する画素値Iと印刷明度L*の関係に基づき、画素値に対する補正値の関係を求めて、画像データのRGB値を補正することにより、モニタ表示と階調マッチングのとれた印刷出力を行うことができる。特に、モニタと印刷用紙の階調再現域を、人間の明るさの知覚に対し均等な歩度である明度で線形に圧縮することにより、視覚的に好ましい階調再現を行うことができる。
【0058】
なお、出力階調特性の補間方法は、本実施形態では、16階調値から、0から255の画素値に対応する変換値を求めるように説明したが、16階調値に限定しないのはもちろんであり、実施する場合のメモリ、精度により32階調値など変化させても良いことは、言うまでもない。
【0059】
また、階調変換処理は、本実施形態では、階調変換部16における階調変換処理として、式5、式6、補間処理によって、画像出力のたびに出力階調特性を算出すると説明したが、これに限定しない。あらかじめ代表的なガンマ値と用紙種類との組み合わせに基づいて出力階調特性を計算しメモリに記憶させておき、出力時はメモリから出力階調特性を読み出すようにしても良い。
【0060】
また、ユーザーインタフェースは、図6のユーザーインタフェース(以下UI)の例として、ボタンによる選択方法を示したが、これに限定されないことは、言うまでもない。メニュー形式にして、ユーザーに選択させるようなUIでも構わない。また、キーワードを直接入力させるようなUI形式でも構わない。つまり、ユーザーの所望とする出力条件を設定できるようなUI構成であればよい。
【0061】
(第二の実施形態)
第二の実施形態は第一の実施形態の変形例である。以下、第一の実施形態と異なる構成について説明する。
【0062】
図8は第二の実施形態にかかる画像処理装置の構成を示したブロック図である。
【0063】
20は表示特性を保持するモニタプロファイル、21は用紙ごと出力特性を保持するプリンタプロファイルである。
【0064】
モニタプロファイルには、モニタのγおよび蛍光体のRGB色度が記述されている。一方、プリンタプロファイルには用紙ごとの入力画素値に対する印刷色のLab値および出力階調特性が記述されている。このようなデバイス特性を記述する一般的な方法としてはインターカラーコンソーシアムが提唱するICCプロファイル等がある。
【0065】
本実施形態の画像処理装置は、モニタプロファイルからモニタのγを読み出し、入力画素値と表示明度の関係を求め、プリンタプロファイルから現在設定されている用紙についての最高明度Lmaxおよび最低明度Lminを読み出し、式6により圧縮した出力明度L*’を求める。さらに、プリンタプロファイルから出力階調特性を読み出し、圧縮した出力明度L*’を出力するように入力画素値を補正する。
【0066】
以上のように、モニタプロファイルおよびプリンタプロファイルから入出力特性を読み出し、画素値に対する補正値の関係を求めて、画像データのRGB値を補正することにより、モニタおよび用紙設定を変更した場合に、自動的にモニタ表示と階調マッチングのとれた印刷出力を行うことができる。
【0067】
(第三の実施形態)
第三の実施形態は上記実施形態の変形例である。以下、上記実施形態と異なる構成について説明する。
【0068】
図9は第三の実施形態にかかる画像処理装置の構成を示したブロック図である。
【0069】
19は出力画像の明るさを設定する明るさ設定部、20は出力画像のコントラストを調整するコントラスト調整部である。
【0070】
明るさおよびコントラストの調整方法を説明する。明るさ設定部により設定された明るさ補正量をΔLとする。標準設定より明るめの場合ΔLは正、標準設定より暗めの場合ΔLは負となる。コントラスト設定部により設定された補正量をΔγとする。標準設定よりコントラストが高い場合はΔγが正、標準設定よりコントラストが低い場合はΔγが負の値となる。
【0071】
明るさ補正は式6のLmaxおよびLminの値を変更することにより行う。すなわち、ΔLが正の場合は式6のLminをLmin+ΔLで置き換えた式7で、ΔLが負の場合は式6のLmaxをLmax+ΔLで置き換えた式8で表される。
【0072】
式7
Lp*=Lm*(Lmax−Lmin−ΔL)+Lmin+ΔL
式8
Lp*=Lm*(Lmax+ΔL−Lmin)+Lmin
【0073】
図10にコントラストを補正した場合の画素値Iと明度Lp*の関係を示す。100は標準設定、101は明るめの設定、102は暗めの設定の状態である。
【0074】
コントラスト補正は式5のγ値を増減することにより行う。すなわち、コントラスト補正された画像の入力画素値と明度の関係は式5のγをγ+Δγで置き換えた式9で表される。
【0075】
【外5】
【0076】
図11に明るさを補正した場合の画素値Iと明度L*’の関係を示す。110は標準設定、111はコントラストが高い設定、112はコントラストが低い設定の状態である。
【0077】
本実施形態では、ガンマ設定部12で設定された階調マッチングの対象となるモニタのガンマ値γ、用紙設定部15で設定された用紙種類、明るさ設定部19で設定された出力画像の明るさ、コントラスト設定部20にで設定された出力画像のコントラストに応じて、階調変換条件を式7及び式8及び式9及び上記補間方法により求める。
【0078】
出力条件設定における、ユーザインターフェースを用いた各設定項目の設定手順を図12および図13を用いて説明する。図13は、出力画像の明るさおよび出力画像のコントラストの設定を行うための、プリンタドライバのユーザーインターフェイスの例を示すものである。なお、第1実施形態で説明した図7のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付けて説明を割愛する。
【0079】
S87では、目標ガンマ設定部86による設定により、階調マッチングさせたいモニタのガンマ値γpを取得する。ここで、目標ガンマ設定部86の初期値として、モニタプロファイル20に設定されているガンマ値γを設定しておき、ユーザーの希望によって数値を変更できる構成にしておく。
【0080】
S88では、明るさ設定部89により、ユーザーは出力画像の明るさをスライダーバーを用い設定する。このスライダーバーが設定された位置と標準の位置との差を取得し、これが前述のΔLに相当する。また、S89では、コントラスト設定部21により、ユーザーは出力画像のコントラストをスライダーバーを用い設定する。このスライダーバーが設定された位置と標準の位置との差を取得し、これが前述のΔγに相当する。そして、出力条件設定処理を終える。
【0081】
以上のように、コントラストの調整をモニタガンマの増減に連動させ、明るさの調整をプリンタの最高および最低明度に連動させて、画素値に対する補正値の関係を求めて、画像データのRGB値を補正することにより、モニタ表示の階調をつぶさずに印刷出力の明るさおよびコントラストの調整を行うことができる。特に、階調補正を人間の明るさの知覚に対し均等な歩度である明度で行うことによりにより、視覚的な感覚に近い階調補正を行うことができる。
【0082】
(第四の実施形態)
第四の実施形態は上記実施形態の変形例である。以下、上記実施形態と異なる構成について説明する。
【0083】
図14に、第四の実施形態にかかる画像処理装置の構成を示したブロック図を示す。19はガンマテスト用の画像パターンを生成するテストパターン生成部である。
【0084】
式3のγ値は使用するモニタおよびビデオ信号生成部の特性により変化する。通常、パーソナルコンピュータなどの安価なシステムでは、モニタおよびビデオ信号生成部の特性は不明であるか、特性が既知であったとしても器差を生じるのが普通である。さらに、モニタを見る環境の照明条件によっても、知覚される輝度値は変化してしまう。
【0085】
本実施形態の画像処理装置ではユーザの使用環境における表示特性を知るために、以下の方法で数種のテストパターンを印字し、表示されたテストパターンと印字したテストパターンを比較する。そして、その結果に基づき、出力条件の1つである階調マッチングの対象となるモニタのガンマ値γ76(図6)を設定する。
【0086】
モニタガンマ値γの設定を行う場合には、まず、テストパターン生成部が、グラデーション(階調パッチパターン)を生成し画像メモリに格納する。図16はグラデーションパターンの例である。161は生成されたグラデーションに基づきモニタで表示されたグラデーションパターンであり、162は出力設定画面に戻るためのボタンである。
【0087】
次に、プリンタでテストパターンを印字する。階調変換部において、数種類のγ値により、生成されたグラデーションを変換し、カラーマッチング処理、出力画像処理を行い、プリンタにより画像を印字する。図17はテストパターンの印字例で、100が印刷用紙、101から106がそれぞれγp=1.4,1.6,1.8,2.0,2.2,2.4の6種のγにより階調補正されたグラデーションパターンである。
【0088】
出力条件設定における、ユーザーインターフェイスを用いた各設定項目の設定手順を図15のフローチャートを用い説明する。なお、第1実施形態で説明した図7のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付けて説明を割愛する。
【0089】
S801では、キャンセルボタン79が押下されているかのチェックを行い、押下されているときは出力条件設定ステップを終え、押下されていないときはS802へ進む。S802では、出力ボタン76が押下されているかのチェックを行い、押下されているときはS803へ進み、押下されていないときはS804へ進む。S803では、図16に示す階調画像をモニタ画面に表示し、図17に示す階調画像をプリンタから出力する。そして、図16の設定画面に戻るボタン162の押下により、S804へ進む。S804では、OKボタン78が押下されているかのチェックを行い、押下されているときはS81へ進み、押下されていないときはS801へ戻る。
【0090】
本実施形態によれば、器差や照明条件などにかかわらず良好にマッチングすることができる。
【0091】
(他の実施の形態)
なお、本発明は、複数の機器(例えばホストコンピュータ、インタフェイス機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、一つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0092】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行することによっても達成されることは言うまでもない。
【0093】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0094】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることが出来る。
【0095】
また、コンピュータが読み出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0096】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0097】
【発明の効果】
本発明によれば、異なる出力装置で出力された画像の階調を合わせることができる。
【0098】
さらに、本願請求項5記載の発明によれば、明るさやコントラストの調整に応じた良好な階調補正を行なうことができ、良好な出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の実施形態にかかる画像処理装置のブロック図。
【図2】印刷階調特性の一例。
【図3】表示階調特性の一例。
【図4】明度圧縮した階調特性。
【図5】画像出力処理を説明するフローチャート。
【図6】画像出力条件を設定するユーザーインターフェイスの一例。
【図7】画像出力条件設定の手順を説明するフローチャート。
【図8】第二の実施形態にかかる画像処理装置のブロック図。
【図9】第三の実施形態にかかる画像処理装置のブロック図。
【図10】明るさ補正した階調特性。
【図11】コントラスト補正した階調特性。
【図12】第三の実施形態にかかる画像出力条件設定の手順を説明するフローチャート。
【図13】明るさおよびコントラストを設定するユーザーインターフェイスの一例。
【図14】第四の実施形態にかかる画像処理装置のブロック図。
【図15】第四の実施形態にかかる画像出力条件設定の手順を説明するフローチャート。
【図16】テストパターンの一例。
【図17】テストパターンの印字出力例。
Claims (9)
- 異なる階調再現範囲を持つ第1の出力機器と第2の出力機器との間での階調マッチングを行うために、第2の出力機器に出力する画像データを生成するために使用する出力階調再現曲線を求める画像処理方法であって、
前記第1の出力機器の出力機器情報を設定し、
前記第2の出力機器で使用する出力媒体情報を設定し、
前記設定された出力機器情報に対応した前記第1の出力機器の階調特性曲線を、前記設定された出力媒体情報に対応した前記第2の出力機器で出力可能な明度域に基づき線形圧縮し、
前記線形圧縮された階調特性曲線と、前記設定された出力媒体情報に対応した前記第2の出力機器の階調特性曲線とに基づき、前記出力階調再現曲線を求めることを特徴とする画像処理方法。 - 前記第1の出力機器はモニタであることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
- 前記第1の出力機器情報および前記第2の出力機器で使用する出力媒体情報は、ユーザーにより設定されることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。
- 前記第2の出力機器はプリンタであり、
前記第2の出力機器で使用する出力媒体情報は、用紙の種類であることを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。 - さらに、明るさおよびコントラストの変更条件を入力し、
前記明るさの変更条件に応じて前記第2の出力機器の階調再現域を調整する階調再現域調整条件を求め、
前記コントラストの変更条件に応じて前記出力機器情報に対応する階調特性曲線を調整することを特徴とする請求項1記載の画像処理方法。 - 前記設定された出力機器情報に対応する階調特性曲線と前記設定された出力媒体情報に対応する階調曲線は、画素値と明度の関係を示すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の画像処理方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータにて実現させるためのプログラム。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の画像処理方法をコンピュータにて実現させるためのプログラムを記録する記録媒体。
- 異なる階調再現範囲を持つ第1の出力機器と第2の出力機器との間での階調マッチングを行うために、第2の出力機器に出力する画像データを生成するために使用する出力階調再現曲線を求める画像処理装置であって、
前記第1の出力機器の出力機器情報を設定する手段と、
前記第2の出力機器で使用する出力媒体情報を設定する手段と、
前記設定された出力機器情報に対応した前記第1の出力機器の階調特性曲線を、前記設定された出力媒体情報に対応した前記第2の出力機器で出力可能な明度域に基づき線形圧縮する手段と、
前記線形圧縮された階調特性曲線と、前記設定された出力媒体情報に対応した前記第2の出力機器の階調特性曲線とに基づき、前記出力階調再現曲線を求める手段とを有することを特徴とする画像処理装置。
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