JP2004211698A - 車両の内燃機関のトランスミッション列での共振現象を減じる方法 - Google Patents

車両の内燃機関のトランスミッション列での共振現象を減じる方法 Download PDF

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Abstract

【課題】安価で設置が容易であると共に、エンジンレスポンスへの悪影響なくて、車の内燃機関のトランスミッション列での共振現象を減じる方法を提供する。
【解決手段】車両1の内燃機関2のトランスミッション列6での共振現象を減じる方法である。トランスミッション列6の少なくとも一部の回転速度Nが、駆動トルクTの騒音調波成分Cの周波数がトランスミッション列6の共振周波数Frの近くになる、ようになると、エンジン角度αの関数として駆動トルクTの標準パターンを変更して、騒音調波成分Cの振幅を減じるように駆動トルクTの調波成分Cの分布を変更するように、シリンダー5の標準の制御モードが変えられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両の内燃機関のトランスミッション列での共振現象を減じる方法に関する。
車両の内燃機関は、連続した構成要素からなるトランスミッション列に沿ってパワーを車両に送る。例えば、フロントエンジンと、リアホイールドライブと、リアアクスルギアボックスとを備えた車両(図1に示されるような)において、フロントエンジンは、リアアクスルの所でギアボックスのケース内に終端しているプロペラシャフトに、クラッチにより接続され、また、2つのアクスルシャフトが、ギアボックスのケースから延びて、夫々リアドライブホイールと一体となっている。これらリアドライブホイールは、駆動トルクの一部を道路面に伝える。このようなタイプのトランスミッション列は、一連の高慣性構成要素(例えば、ドライブシャフト、フライホイール、並びにギアボックス)と、一連の高弾性構成要素(プロペラシャフト、並びにホイール)を有することにより、弾性トーションシステムとなっている。
この弾性トーションシステムにおいては、トランスミッション列は、各々が自身の共振周波数を有する複数の固有振動モードを呈する。更に詳述すると、開示されたトランスミッション列は、次の3つの固有振動モードを呈する。1番目は、エンジンでのノード、車両でのノード、並びにホイールでのアンチノードにより特徴付けられ、2番目は、ホイールでのノードにより特徴付けられ、そして、3番目は、エンジンでのノード、ホイールでのノード、並びにギアボックスでのアンチノードにより特徴付けられる。リアホイール駆動自動車特性を使用した場合には、前記第1ないし第3の固有振動モードの共振周波数は、夫々、約4Hz,8Hz,並びに75Hzとなる。
内燃機関は、限られた数のシリンダーを有している。各シリンダーは、ドライブシャフトの2回の完全な回転ごとにトルクパルスを発生する。この結果、トランスミッション列によりエンジンから車両に伝えられるトルクは、エンジン角度の関数として変化するパターンを有している。このパターンは、一定の平均値と一連の高調波とを重ねることにより、モデル化され得る。例えば、8気筒内燃機関は、図2に示されるようなトルクパターンと、図3に示されるような、4次、8次、12次、16次…の調波とを有している。しかし、比較的高い振幅の単一の調波は、4次調波のみである(8気筒エンジンでは、8次調波の振幅は、4次調波の振幅の約1/4である)。1000rpmで、ドライブシャフトは、16.67Hzの周波数を有し、この結果、4次調波は、66.67Hzの振動数を有する。また、1200rpmで、ドライブシャフトは、20Hzの周波数を有し、この結果、4次調波は、80Hzの振動数を有する。
かくして、8気筒内燃機関が1000rpmから1200rpmになると、トランスミッション列にエンジンから伝えられる駆動トルクの4次調波は、トランスミッション列の前記第3の固有振動モードの約75Hzの共振周波数を介して、66.67Hzから80Hzへと高くなる。駆動トルクの4次調波の周波数が、第3の固有振動モードの共振周波数の近くのときには、共振現象が生じる。この共振現象は、ギアボックスでのアンチノードを有し、ドライバーによって明確に聞くことのできる、ギアボックス内での不愉快な機械的ノイズを発生する。この理由は、1100rpm付近で、エンジンは、アイドリングの近くに、即ち、低車速になる。そして、ゼロでなくても、車両自体のノイズ(空力的ノイズ、ホイール回転ノイズ、エンジンノイズ)が極めて低くなり、共振現象で発生される機械的ノイズをキャンセルするのには充分ではない。
上述された共振現象で発生される機械的ノイズを減じるために、共振現象の影響を減じて、第3の固有共振モードをアイドリング時のエンジンの速度以下に対応する値に、即ち、エンジンにより実際に使用されていない速度に減じる高弾性トーション部材をトランスミッション列に設けることが提案されている。このような高弾性トーション部材は、トーションダンパー(捩じり緩衝部材)により規定され得るが、これらは、度々、第3の固有共振モードの共振周波数を充分に減じることができない。代わって、トーションダンパーは、米国特許No.5755143(特許文献1)もしくはNo.6306043(特許文献2)に開示されているタイプの緩衝ダブルフライホイールにより規定され得る。
この緩衝ダブルフライホイールは、第3の固有振動モードの共振周波数を充分に減少させることを可能にしているが、高価で、大きく、かつ重たく、更に、レーシング車での重大な欠点であるエンジンレスポンズへの悪く影響を生じさせる。
従って、本発明の目的は、安価で設置が容易であると共に、上述された欠点を除去し、車の内燃機関のトランスミッション列での共振現象を減じる方法を提供することである。
米国特許No.5755143 米国特許No.6306043
本発明に係われば、請求項1で規定されたような、車の内燃機関のトランスミッション列での共振現象を減じる方法が提供される。
本発明のこれに限定されない実施の形態が、添付図面を参照して例示的に以下に説明される。
図1で符号1は、ドライブシャフト3と4つのシリンダー5を夫々有する2列4を備えたフロント内燃機関(エンジン)2を具備する自動車を全体として示している。実際の使用において、このエンジン2は、自動車1を動かすようにトランスミッション列6により路面に伝えられる駆動トルクTをドライブシャフト3に発生させる。
前記トランスミッション列6は、エンジン2と一体であり、かつ、リアアクスルの所でギアボックス9内に終端したプロペラシャフト8にドライブシャフト3を接続しているクラッチ7と、ギアボックス9から延びて、各々がリアドライブホイール11と一体的な2つのアクスルシャフト10とを有する。
前記トランスミッション列6は、3つの固有振動モード、即ち、エンジン2でのノード、自動車1でのノード、並びにリアドライブホイール11でのアンチノードにより特徴付けられる第1のモードと、リアドライブホイール11でのノードにより特徴付けられる第2のモードと、エンジン2でのノード、リアドライブホイール11でのノード、並びにギアボックス9でのアンチノードにより特徴付けられる第3のモードを呈する。リアホイール駆動自動車特性を使用した場合には、前記第1ないし第3の固有振動モードの共振周波数Frは、夫々、約4Hz,8Hz,並びに75Hzとなる。
図2に示されるように、前記シリンダー5は、駆動トルクTを発生するように、中央制御ユニット12により標準の制御モードで、普通は制御される。前記駆動トルクは、エンジン角度αの関数としてパルス状のパターン、即ち、ドライブシャフト3の720°の回転ごとに(即ち、間に8つのシリンダー5の各々が夫々のスラストを発生される、ドライブシャフト3の2回の全回転ごとに)8つのピーク値を有している。標準の制御モードで発生される駆動トルクTは、一定値Tm(平均駆動トルクTの値に等しい)と、一連の正弦波調和成分Cとに分けられ得、これらの合計となっている。図3は、図2に示された駆動トルクTの調和成分Cのうちの幾つかの振幅を示している。この図で見られるように、駆動トルクTは、4次(C)、8次(C)、12次(C12)、16(C16)次…の調波成分Cを有している。しかし、比較的高い振幅の単一の調波成分Cは、4次調波成分Cのみである。1000rpmで、ドライブシャフト3とクラッチ7とプロペラシャフト8とギアボックス9の一部とは、16.67Hzの周波数を有し、この結果、4次調波成分Cは、66.67Hzの振動数を有する。また、1200rpmで、ドライブシャフト3とクラッチ7とプロペラシャフト8とギアボックス9の一部とは、20Hzの周波数を有し、この結果、4次調波成分Cは、80Hzの振動数を有する。
かくして、エンジン2が1000rpmから1200rpmになると、トランスミッション列6にエンジン2から伝えられる駆動トルクTの4次調波成分Cの周波数は、トランスミッション列の前記第3の固有振動モードの約75Hzの共振周波数Fr値を介して、66.67Hzから80Hzへと高くなる。駆動トルクTの4次調波成分(騒音調波成分)Cの周波数が、第3の固有振動モードの共振周波数Frの近くのときには、共振現象が生じる。この共振現象は、ギアボックス9でのアンチノードを有し、ドライバーによって明確に聞くことのできる、ギアボックス内での不愉快な機械的ノイズを発生する。
上記共振現象を減じるように、トランスミッション列(6)の少なくとも一部(ドライブシャフト3)の回転速度Nが、駆動トルクTの4次調波成分Cの周波数がトランスミッション列6の共振周波数Frの近くになる、ようになると、前記中央制御ユニット12は、エンジン角度αの関数として標準の駆動トルクTのパターンを変更して、4次調波成分Cの振幅を減じるように駆動トルクTの調波成分Cを変更するように、シリンダー5の標準の制御モードを変える。
図4に示されるように、一列4のシリンダー5の動作が、他の列4のシリンダー5に対して50%減じられる。これは、駆動トルクTの平均値Tmでの約30%減少を生じさせ、特に、図5に示されるように、4次調波成分Cの振幅での顕著な減少となる、駆動トルクTの調波成分Cでの変化を生じさせる。図3と5との比較は、4次調波成分Cの振幅の顕著な減少と、2次調波成分C並びに6次調波成分C(比較的高い調波成分Cは、実質的に影響しない)の出現とを、かくして、4次調波成分Cにより生じる共振現象を非常に減少させていることを示している。見られ得るように、ドライブシャフト3の回転速度Nが、駆動トルクTの4次調波成分Cの周波数(68−80Hz)がトランスミッション列6の共振周波数Fr(約75Hz)の近くとなるような、速度(1000−1200rpm)のときには、駆動トルクTの2次調波成分Cの周波数(33−40Hz)並びに6次調波成分Cの周波数(100−120Hz)は、トランスミッション列6の共振周波数Fr(約75Hz)から比較的離れている。かくして、駆動トルクTの2次調波成分C並びに6次調波成分Cは、トランスミッション列6で如何なる種類の共振も生じさせない。
換言すると、駆動トルクTの4次調波成分Cによりトランスミッション列6で発生される共振現象は、トランスミッション列6のほぼ共振周波数Frを中心としたドライブシャフト3の所定の回転速度Nの範囲内で発生される。回転速度Nがこの範囲にあるときには、中央制御ユニット12は、エンジン角度αの関数として標準の駆動トルクTのパターンを変更して、4次調波成分Cの振幅を減じるように駆動トルクTの調波成分Cを変更するように、シリンダー5の標準の制御モードを変える。4次調波成分Cの振幅は、4次調波成分Cがトランスミッション列6で共振現象を発生するように応答可能である回転速度Nの範囲内で共振現象を生じさせない他の調波成分(2次調波成分C並びに6次調波成分C)を導入することにより、減じられる。
図6は、ドライブシャフト3のエンジン速度Nの関数としての平均駆動トルクTmを示す。更に詳述すると、実線は、シリンダー5が、標準の制御モードで制御されているときの、平均駆動トルクTmパターンを、また、破線は、シリンダー5の制御モードが、一列4のシリンダー5の動作で50%減じられるように変更されて、駆動トルクTの調和成分Cの分布を変えたときの、平均駆動トルクTmのパターンを示す。明らかに、ドライブシャフト3の所定の回転速度N(図6で1500rpm)を越えると、標準の制御モードは、最大平均駆動トルクTmの値となるように戻る。シリンダー5のうちの幾つかの動作での50%の減少は、自動車1を運転、特に、レースでの運転のときに実際に使用されないドライブシャフト3の回転速度Nの範囲内にある平均駆動トルクTmにおける減少のために、ドライバーが実際に気付くようなエンジン2の性能の低下を生じさせないことは、重要である。
一列4のシリンダー5の動作は、噴射される燃料の量の減少、対応する噴射負荷の変更、吸込み並びに/もしくは排気弁の対応するフェーズ(位相)の変更、並びに/もしくは対応するバタフライ弁の動作(開口度)の変更(これら部材は知られており、図示されていない)により、他の列4のシリンダー5に対して、50%減じられる。
前記シリンダー5の標準の制御モードは、ドライブシャフト3の回転速度Nが、駆動トルクTの4次調波成分Cの周波数がトランスミッション列6の共振周波数Frの近くであるようになっているときに、中央制御ユニット12により変更されている。この共振周波数Frの近くは、代表的には、共振周波数Frの中心であり、4ないし16Hz(60−240rpmに対応する)、特に、4ないし8Hz(60−120rpmに対応する)の振幅の範囲である。
明らかに、本発明に係わる方法に加えて、トランスミッション列6での上記共振現象の減少を増すために、トランスミッション列6は、高トーション弾性部材、特に、軽量かつ安価で、エンジン2のレスポンズに気付くような悪影響を与えないトーションダンバーを装備し得る。
フロント内燃機関、リアホイールドライブ、並びにリアアクスルギアボックスを備え、本発明に係わる共振現象を減じる方法を実施する自動車の概略図である。 エンジン角度の関数として図1の内燃機関により、普通の動作状態で発生される駆動トルクのグラフを示す。 図2に示す駆動トルクの調波の振幅を示す図である。 エンジン角度の関数として図1の内燃機関により、特別な動作状態で発生される駆動トルクのグラフを示す。 図4に示す駆動トルクの調波の振幅を示す図である。 図2に示す普通の動作状態と、図4に示す特別な動作状態とでの、エンジン速度の関数としての平均駆動トルクを示す図である。
符号の説明
1…自動車、3…ドライブシャフト、5…シリンダー、6…トランスミッション列、C…4次調波成分(騒音調波成分)。

Claims (10)

  1. 車両の内燃機関(2)のトランスミッション列(6)での共振現象を減じる方法であって、前記内燃機関(2)は,エンジン角度(α)の関数として標準のパルス状のパターンと少なくとも1つの騒音調波成分(C)とを有する駆動トルク(T)を発生するように標準の制御モードで通常は制御される複数のシリンダー(5)を有し、また、前記トランスミッション列(6)は,所定の共振周波数(Fr)の固有共振モードを有し、
    トランスミッション列(6)の少なくとも一部の回転速度(N)が、駆動トルク(T)の騒音調波成分(C)の周波数がトランスミッション列(6)の共振周波数(Fr)の近くになる、ようになると、エンジン角度(α)の関数として駆動トルク(T)の標準パターンを変更して、騒音調波成分(C)の振幅を減じるように駆動トルク(T)の調波成分(C)の分布を変更するように、シリンダー(5)の標準の制御モードを変える、方法。
  2. 前記シリンダー(5)の標準の制御モードは、他方の複数のシリンダー(5)に対して一方の複数のシリンダー(5)の動作を低下させることにより変える請求項1の方法。
  3. 前記複数のシリンダー(5)の動作は、噴射される燃料の量を少なくすることにより、低下される請求項2の方法。
  4. 前記複数のシリンダー(5)の動作は、噴射負荷を変更することにより、低下される請求項2の方法。
  5. 前記複数のシリンダー(5)の動作は、吸込み並びに/もしくは排気弁のフェーズを変更することにより、低下される請求項2の方法。
  6. 前記複数のシリンダー(5)の動作は、バタフライ弁の開口度を変更することにより、低下される請求項2の方法。
  7. 前記エンジン2のシリンダー(5)は、V型に配設された2つの列(4)に分けられた複数のシリンダーであり、シリンダー(5)の標準の制御モードは、他方の列(4)のシリンダー(5)に対して一方の列(4)のシリンダー(5)の動作を低下させることにより、変更される請求項2ないし6のいずれか1の方法。
  8. 前記一方の列(4)のシリンダー(5)の動作は、他方の列(4)のシリンダー(5)に対して、50%低下される請求項7の方法。
  9. 前記シリンダー(5)の標準の制御モードは、トランスミッション列(6)の少なくとも一部の回転速度(N)が、駆動トルク(T)の騒音調波成分(C)の周波数がトランスミッション列(6)の共振周波数(Fr)の近くであるようになっているときに、変更され、前記共振周波数(Fr)の近くは、共振周波数(Fr)の中心であり、4ないし16Hzの範囲の振幅を有する、請求項1ないし8のいずれか1の方法。
  10. 前記シリンダー(5)の標準の制御モードは、トランスミッション列(6)の少なくとも一部の回転速度(N)が、駆動トルク(T)の騒音調波成分(C)の周波数がトランスミッション列(6)の共振周波数(Fr)の近くであるようになっているときに、変更され、前記共振周波数(Fr)の近くは、共振周波数(Fr)の中心であり、4ないし8Hzの範囲の振幅を有する、請求項1ないし8のいずれか1の方法。
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