JP2004210557A - グラウト組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】主に道路、滑走路、港湾、埋立地、重機設置場などのコンクリート舗装板の沈下補修用として舗装板下の空隙を充填するために使用するグラウト組成物であって、材料分離を起こすことなく高い流動性と充填箇所の細部に渡るまで容易に充填可能で、作業性にも優れて短期間の施工・修復等に適し、硬化後も初期〜長期に渡って高い強度を発現可能で充填硬化後の耐久性に優れるグラウト組成物を提供する。
【解決手段】アルミノ珪酸カルシウム、石膏類及び粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグを含有してなるグラウト組成物、更に凝結調整剤を含有してなるグラウト組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】アルミノ珪酸カルシウム、石膏類及び粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグを含有してなるグラウト組成物、更に凝結調整剤を含有してなるグラウト組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に道路、滑走路、港湾、埋立地、重機設置場などのコンクリート舗装板の沈下補修用として舗装板下の空隙を充填するために使用するグラウト組成物であって、特に速硬用にも適したグラウト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路、滑走路、港湾、埋立地、重機設置場などのコンクリート舗装板の沈下を補修するためコンクリート舗装板下の空隙部に充填使用されるセメント系の材料としてグラウト材がある。グラウト材は、空隙部の隅々まで均一な充填性を確保する上で充填時に優れた流動性を有することが必要である他、充填完了後は短時間で硬化することが望ましく、特に短期間で通常使用可能な状態に復したい場合などは高い早期強度発現性が要求される。このためグラウト材には速硬性を発現させる成分、例えばカルシウムアルミネートやアルミノ珪酸カルシウムのような速硬成分が配合使用される場合がある。(例えば特許文献1参照)。一方でこのような速硬成分を加えると、流動性が低下し、充填までの可使時間も短縮傾向となる。比較的大量の減水剤類を併用すれば流動性低下を抑制できるが、初期強度の発現性が低下する。減水剤類の使用量を抑えて高い流動性を確保する簡単な方法は、配合水量を増大させれば良いが、材料分離が生じ易くなる。このためアルミノ珪酸カルシウムに材料分離抑制のために粘土鉱物を配合したグラウト材も知られている。(例えば特許文献2参照)。しかるに、粘土鉱物の配合量を増加するに連れ、材料分離抑制効果は高まるものの、強度発現性には好影響を与えず、特に長期強度は低下するため充填後の耐久性が低くなる。強度発現性を確保するために石膏等の配合量を増せば凝結が遅延し、短期間での修復には適さないグラウト材しか得られない。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−72752号公報
【特許文献2】
特開平11−263654号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い流動性及び優れた充填性を有し、材料分離を起こすことなく短期間の施工・修復等に適し、硬化後も初期〜長期に渡って高い強度を発現できるグラウト組成物を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは検討を重ねた結果、グラウト組成物の速硬成分として水和活性が著しく高くないことから流動性が比較的得られやすいアルミノ珪酸カルシウムを使用し、これに石膏類と特定粒径以下のフライアッシュ及び/又はスラグを配合することによって、水量を大幅に増やさずとも充填性に適した流動状態となり、材料分離も抑制でき、また必要により所望の可使時間の確保もでき、凝結遅延することなく初期〜長期に渡って高い強度発現性の硬化体が得られたことから本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、アルミノ珪酸カルシウム、石膏類及び粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグを含有してなるグラウト組成物である。
【0007】
また本発明は、さらに凝結調整剤を含有する前記のグラウト組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のグラウト組成物に必須含有するアルミノ珪酸カルシウムは、速硬作用を有し、グラウト充填後の施工修復期間等を短縮化するのに有効ではあるが、カルシウムアルミネートほど際立って高い水和活性を示さないため、流動性を維持し易い。本発明で使用するアルミノ珪酸カルシウムは、その構造状態及び化学組成共特に限定されず、何れのものであっても良く、また例えば酸化チタン(TiO2)や酸化マンガン(MnO、MnO2)などが固溶したものであっても、他の成分を不純物で含むものであっても実質的にアルミノ珪酸カルシウムの水和性状が維持されているものならば良い。特に使用推奨されるアルミノ珪酸カルシウムは、化学成分としてCaO/Al2O3がモル比1〜2.5であって、SiO2を5〜25重量%程度含むガラス化率が50%以上のものであり、また好ましくはブレーン比表面積4000cm2/g以上にすると速硬成分としての反応活性を確保し易いために良い。
【0009】
本発明のグラウト組成物に必須含有する石膏類とは、二水石膏、半水石膏、無水石膏の他、天然石膏や所謂化学石膏と称されているもの、硫酸カルシウム系固溶体等の何れであっても良く、このうち2種以上の混合物であっても良い。石膏類はエトリンガイト生成による初期強度発現性増進作用を付与するために配合使用するが、反応性が比較的高いことから石膏類の中でも無水石膏の使用が特に望ましい。その含有量はアルミノ珪酸カルシウム100重量部に対し、50〜200重量部とする。50重量部未満では強度発現性が殆ど向上しないので好ましくなく、200重量部を超えると凝結遅延や流動性低下を起こすので好ましくない。配合使用する石膏類の粒径は特に限定されないが、粗粒化に伴い反応性が低下することから最大粒径が40μm以下のものが望ましい。
【0010】
本発明のグラウト組成物に必須含有する粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグは、長期強度の発現性を高め、また特にアルミノ珪酸カルシウムと併用することによって高流動下でも材料分離を十分抑制する作用を有する。粒径30μmを超えるフライアッシュやスラグを使用すると反応活性が低下し、水和反応に供される水量消費が緩慢となり、水量が過剰気味となって材料分離抑制作用が低下するので好ましくない。本発明で使用できるスラグは特に限定されないが、例えば急冷又は徐冷して得られる高炉スラグの他、下水汚泥や都市ゴミ焼却灰溶融スラグなどが使用できる。本発明ではフライアッシュ又はスラグの何れか一種だけの含有使用でも、両者を併用して含有しても良く、両者併用時の存在比率は特に限定されない。粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグの含有量はアルミノ珪酸カルシウム100重量部に対し、50〜200重量部とし、好ましくは70〜170重量部とする。50重量部未満では長期強度発現性が向上し難くなるので好ましくなく、200重量部を超えると初期強度が低下することがあるので好ましくない。
【0011】
また、本発明のグラウト組成物は、前記必須含有成分の他に更に凝結調整剤を含有することができる。凝結調整剤はセメント用に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、塩化カルシウム、塩化第二鉄、塩化アルミニウムなどの塩化物、アルカリアルミン酸塩、アルカリ炭酸塩、アルカリ水酸化物、ケイフッ化塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などが挙げられる。凝結調整剤は所望の可使時間を確保したい場合に使用含有することが推奨される。凝結調整剤の含有量は本グラウト組成物中のアルミノ珪酸カルシウムを含む結合相形成成分100重量部に対し、0.1〜3重量部とする。凝結調整剤の含有量が0.1重量部未満では配合効果が殆ど得られない。0.1重量部以上では含有量を増加するに連れ可使時間を長く設定することができるが、含有量が3重量部を超えると硬化不良を起こすことがあるので好ましくない。
【0012】
本発明のグラウト組成物は、前記必須含有成分又はこれに凝結調整剤が加えられたものに、セメント及び細骨材が配合含有されたものからなる。セメントは水硬性のセメントであれば何れのセメントでも良い。グラウト組成物中のセメント含有量は、アルミノ珪酸カルシウムの含有量100重量部に対し、100〜3200重量部とする。また細骨材は粒径5mm以下の骨材であればその種類は制限されない。細骨材の含有量は、アルミノ珪酸カルシウムを含む結合相形成成分100重量部に対し、50〜300重量部とする。50重量部未満では硬化後の圧縮強度が低いため好ましくなく、300重量部を超えると水を大量に使用しないと流動性が低下することがあるので好ましくない。本発明のグラウト組成物では、これ以外の成分も、所望の性状に支障を及ぼさない範囲で適宜含有することができる。含有可能な成分を例示すると、減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、膨張材、金属繊維、無機繊維、高分子繊維、増量材、発熱抑制剤、収縮低減剤、防錆剤、流動化剤等を挙げることができる。
【0013】
本発明のグラウト組成物に使用する水の配合量は、アルミノ珪酸カルシウムを含む結合相形成成分100重量部に対し、40〜80重量部とする。40重量部未満では充填に適した流動性が得られ難くなるので好ましくなく、80重量部を超えると強度低下が起ることがあるので好ましくない。また、本発明のグラウト組成物の製造方法は、前記各成分を所定の含有量となるよう配合使用する限り、特に限定されるものではない。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
[アルミノ珪酸カルシウムの作製]
何れも市販試薬の炭酸カルシウム、酸化アルミニウム及び無水二酸化珪素の粉末を配合重量比で炭酸カルシウム:酸化アルミニウム:無水二酸化珪素=45:45:10となるように乾式混合した。混合粉末は電気炉で約1500℃で30分加熱し、加熱後は炉外急冷した。次いで、急冷物を粉砕し、最大粒径21μmで中心粒径約3μmのアルミノ珪酸カルシウム粉末(以下、CASと略記する。)を作製した。得られたCASのガラス化率は99.9%以上であった。尚、CASのガラス化率の測定は、同様の配合比率で調整し、同様の加熱条件で加熱後、毎時約100℃の降温速度で約200℃まで徐冷操作を行なって得たアルミノ珪酸カルシウム粉末の粉末X線回折によるメインピーク高さをガラス化率0%の場合とし、CASの粉末X線回折によるメインピーク高さを対比することによって算出した。
【0015】
[グラウトモルタルの製造]
前記の如く作製したCAS、配合重量比で炭酸カルシウム:酸化アルミニウム(何れも市販試薬)=2:1となるように乾式混合した粉末を電気炉で約1500℃で30分加熱し、炉外急冷して得た最大粒径21μmで中心粒径約3μmのカルシウムアルミネート粉末(以下、CAと略記する。)、II型無水石膏(セントラル硝子株式会社製)、分級調整した最大粒径30μmで中心粒径約13μmのフライアッシュ(以下、FA1と略記する。)、最大粒径8μmで中心粒径約3μmのフライアッシュ(以下、FA2と略記する。)、最大粒径60μmで中心粒径約34μmのフライアッシュ(以下、FA3と略記する。)、分級調整した最大粒径30μmで中心粒径約9μmの高炉水砕スラグ(以下、SG1と略記する。)、最大粒径50μmで中心粒径27μmの高炉水砕スラグ(以下、SG2と略記する。)、最大粒径30μmで中心粒径約9μmの下水汚泥焼却灰溶融スラグ(以下、SG3と略記する。)、粉砕分級調整した最大粒径30μmで中心粒径18μmのベントナイト(以下、BNと略記する。)、クエン酸(市販試薬、純度>99.4%)、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)及び細骨材(品名「東海砂M8号」;清水工業株式会社製)から選定される材料を表1の配合となるよう混合容器に一括投入し、次いで表1記載の量の水(水道水)を加え、ハンドミキサーで約2分間混練を行なってグラウトモルタルを作製した。
【0016】
【表1】
【0017】
[性状評価]
前記の如く作製した各グラウトモルタルについて、流動性、材料分離抵抗性、可使時間を、またグラウトモルタルの硬化体の初期及び長期強度を、それぞれ次に記す方法で調べた。性状評価結果は表2に記す。
【0018】
流動性:土木学会コンクリート標準示方書規格編JSCE−F 541−1999「充填モルタルの流動性試験方法」に準拠した方法で、混練終了1分以内の各グラウトモルタルのJAロートによる流下時間を測定した。流下時間が短いものほど流動性が高く、一般に充填性も良いと評価される。
【0019】
材料分離抵抗性:土木学会コンクリート標準示方書規格編JSCE−F 541−1999「充填モルタルの流動性試験方法」に準拠した方法で、混練終了後3時間温度約20℃の室内に静置させたグラウトモルタルの表面に浮水(ブリーディング水)の発生が目視で確認できたものを材料分離「有」とし、グラウトモルタル表面に浮水発生が目視で確認されなかったものを材料分離「無」とした。
【0020】
可使時間:倒立法によって約19℃での各グラウトモルタルの混練終了直後からゲル化開始までの時間を測定し、可使時間とした。
【0021】
初期及び長期強度:JIS R 5201に準拠した方法で、各グラウトモルタルを使用して40×40×160mmの角柱状供試体を作製し、各供試体の材齢2時間及び28日の圧縮強度を測定した。
【0022】
【表2】
【0023】
表2より、本発明のグラウト組成物は、材料分離を起こすことなく、高い流動性と長期強度発現性を有することが判る。一方、最大粒径の大きいフライアッシュやスラグを使用したものは高い流動性が得られたものでは材料分離又は長期強度発現性の低下も見られた。また、アルミノ珪酸カルシウムよりも高活性のカルシウムアルミネートを速硬成分とするものでは配合水を多くしないと流動性が得難くなるが、配合水を多くすると材料分離の抑制が困難となった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によるグラウト組成物は、使用対象とする充填箇所の細部に渡るまで容易に充填可能であって、材料分離等も起こすことなく品質も安定しており、充填硬化後も初期から長期に渡って高い強度発現性を示すため耐久性に優れる。また施工や補修工期短縮が図れる速硬性グラウトとしての性能を保有しつつも可使時間を調整することができるため、施工作業上の制約を軽減できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、主に道路、滑走路、港湾、埋立地、重機設置場などのコンクリート舗装板の沈下補修用として舗装板下の空隙を充填するために使用するグラウト組成物であって、特に速硬用にも適したグラウト組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
道路、滑走路、港湾、埋立地、重機設置場などのコンクリート舗装板の沈下を補修するためコンクリート舗装板下の空隙部に充填使用されるセメント系の材料としてグラウト材がある。グラウト材は、空隙部の隅々まで均一な充填性を確保する上で充填時に優れた流動性を有することが必要である他、充填完了後は短時間で硬化することが望ましく、特に短期間で通常使用可能な状態に復したい場合などは高い早期強度発現性が要求される。このためグラウト材には速硬性を発現させる成分、例えばカルシウムアルミネートやアルミノ珪酸カルシウムのような速硬成分が配合使用される場合がある。(例えば特許文献1参照)。一方でこのような速硬成分を加えると、流動性が低下し、充填までの可使時間も短縮傾向となる。比較的大量の減水剤類を併用すれば流動性低下を抑制できるが、初期強度の発現性が低下する。減水剤類の使用量を抑えて高い流動性を確保する簡単な方法は、配合水量を増大させれば良いが、材料分離が生じ易くなる。このためアルミノ珪酸カルシウムに材料分離抑制のために粘土鉱物を配合したグラウト材も知られている。(例えば特許文献2参照)。しかるに、粘土鉱物の配合量を増加するに連れ、材料分離抑制効果は高まるものの、強度発現性には好影響を与えず、特に長期強度は低下するため充填後の耐久性が低くなる。強度発現性を確保するために石膏等の配合量を増せば凝結が遅延し、短期間での修復には適さないグラウト材しか得られない。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−72752号公報
【特許文献2】
特開平11−263654号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、高い流動性及び優れた充填性を有し、材料分離を起こすことなく短期間の施工・修復等に適し、硬化後も初期〜長期に渡って高い強度を発現できるグラウト組成物を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは検討を重ねた結果、グラウト組成物の速硬成分として水和活性が著しく高くないことから流動性が比較的得られやすいアルミノ珪酸カルシウムを使用し、これに石膏類と特定粒径以下のフライアッシュ及び/又はスラグを配合することによって、水量を大幅に増やさずとも充填性に適した流動状態となり、材料分離も抑制でき、また必要により所望の可使時間の確保もでき、凝結遅延することなく初期〜長期に渡って高い強度発現性の硬化体が得られたことから本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち本発明は、アルミノ珪酸カルシウム、石膏類及び粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグを含有してなるグラウト組成物である。
【0007】
また本発明は、さらに凝結調整剤を含有する前記のグラウト組成物である。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明のグラウト組成物に必須含有するアルミノ珪酸カルシウムは、速硬作用を有し、グラウト充填後の施工修復期間等を短縮化するのに有効ではあるが、カルシウムアルミネートほど際立って高い水和活性を示さないため、流動性を維持し易い。本発明で使用するアルミノ珪酸カルシウムは、その構造状態及び化学組成共特に限定されず、何れのものであっても良く、また例えば酸化チタン(TiO2)や酸化マンガン(MnO、MnO2)などが固溶したものであっても、他の成分を不純物で含むものであっても実質的にアルミノ珪酸カルシウムの水和性状が維持されているものならば良い。特に使用推奨されるアルミノ珪酸カルシウムは、化学成分としてCaO/Al2O3がモル比1〜2.5であって、SiO2を5〜25重量%程度含むガラス化率が50%以上のものであり、また好ましくはブレーン比表面積4000cm2/g以上にすると速硬成分としての反応活性を確保し易いために良い。
【0009】
本発明のグラウト組成物に必須含有する石膏類とは、二水石膏、半水石膏、無水石膏の他、天然石膏や所謂化学石膏と称されているもの、硫酸カルシウム系固溶体等の何れであっても良く、このうち2種以上の混合物であっても良い。石膏類はエトリンガイト生成による初期強度発現性増進作用を付与するために配合使用するが、反応性が比較的高いことから石膏類の中でも無水石膏の使用が特に望ましい。その含有量はアルミノ珪酸カルシウム100重量部に対し、50〜200重量部とする。50重量部未満では強度発現性が殆ど向上しないので好ましくなく、200重量部を超えると凝結遅延や流動性低下を起こすので好ましくない。配合使用する石膏類の粒径は特に限定されないが、粗粒化に伴い反応性が低下することから最大粒径が40μm以下のものが望ましい。
【0010】
本発明のグラウト組成物に必須含有する粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグは、長期強度の発現性を高め、また特にアルミノ珪酸カルシウムと併用することによって高流動下でも材料分離を十分抑制する作用を有する。粒径30μmを超えるフライアッシュやスラグを使用すると反応活性が低下し、水和反応に供される水量消費が緩慢となり、水量が過剰気味となって材料分離抑制作用が低下するので好ましくない。本発明で使用できるスラグは特に限定されないが、例えば急冷又は徐冷して得られる高炉スラグの他、下水汚泥や都市ゴミ焼却灰溶融スラグなどが使用できる。本発明ではフライアッシュ又はスラグの何れか一種だけの含有使用でも、両者を併用して含有しても良く、両者併用時の存在比率は特に限定されない。粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグの含有量はアルミノ珪酸カルシウム100重量部に対し、50〜200重量部とし、好ましくは70〜170重量部とする。50重量部未満では長期強度発現性が向上し難くなるので好ましくなく、200重量部を超えると初期強度が低下することがあるので好ましくない。
【0011】
また、本発明のグラウト組成物は、前記必須含有成分の他に更に凝結調整剤を含有することができる。凝結調整剤はセメント用に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、塩化カルシウム、塩化第二鉄、塩化アルミニウムなどの塩化物、アルカリアルミン酸塩、アルカリ炭酸塩、アルカリ水酸化物、ケイフッ化塩、クエン酸、酒石酸、グルコン酸などが挙げられる。凝結調整剤は所望の可使時間を確保したい場合に使用含有することが推奨される。凝結調整剤の含有量は本グラウト組成物中のアルミノ珪酸カルシウムを含む結合相形成成分100重量部に対し、0.1〜3重量部とする。凝結調整剤の含有量が0.1重量部未満では配合効果が殆ど得られない。0.1重量部以上では含有量を増加するに連れ可使時間を長く設定することができるが、含有量が3重量部を超えると硬化不良を起こすことがあるので好ましくない。
【0012】
本発明のグラウト組成物は、前記必須含有成分又はこれに凝結調整剤が加えられたものに、セメント及び細骨材が配合含有されたものからなる。セメントは水硬性のセメントであれば何れのセメントでも良い。グラウト組成物中のセメント含有量は、アルミノ珪酸カルシウムの含有量100重量部に対し、100〜3200重量部とする。また細骨材は粒径5mm以下の骨材であればその種類は制限されない。細骨材の含有量は、アルミノ珪酸カルシウムを含む結合相形成成分100重量部に対し、50〜300重量部とする。50重量部未満では硬化後の圧縮強度が低いため好ましくなく、300重量部を超えると水を大量に使用しないと流動性が低下することがあるので好ましくない。本発明のグラウト組成物では、これ以外の成分も、所望の性状に支障を及ぼさない範囲で適宜含有することができる。含有可能な成分を例示すると、減水剤、高性能減水剤、高性能AE減水剤、消泡剤、膨張材、金属繊維、無機繊維、高分子繊維、増量材、発熱抑制剤、収縮低減剤、防錆剤、流動化剤等を挙げることができる。
【0013】
本発明のグラウト組成物に使用する水の配合量は、アルミノ珪酸カルシウムを含む結合相形成成分100重量部に対し、40〜80重量部とする。40重量部未満では充填に適した流動性が得られ難くなるので好ましくなく、80重量部を超えると強度低下が起ることがあるので好ましくない。また、本発明のグラウト組成物の製造方法は、前記各成分を所定の含有量となるよう配合使用する限り、特に限定されるものではない。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
[アルミノ珪酸カルシウムの作製]
何れも市販試薬の炭酸カルシウム、酸化アルミニウム及び無水二酸化珪素の粉末を配合重量比で炭酸カルシウム:酸化アルミニウム:無水二酸化珪素=45:45:10となるように乾式混合した。混合粉末は電気炉で約1500℃で30分加熱し、加熱後は炉外急冷した。次いで、急冷物を粉砕し、最大粒径21μmで中心粒径約3μmのアルミノ珪酸カルシウム粉末(以下、CASと略記する。)を作製した。得られたCASのガラス化率は99.9%以上であった。尚、CASのガラス化率の測定は、同様の配合比率で調整し、同様の加熱条件で加熱後、毎時約100℃の降温速度で約200℃まで徐冷操作を行なって得たアルミノ珪酸カルシウム粉末の粉末X線回折によるメインピーク高さをガラス化率0%の場合とし、CASの粉末X線回折によるメインピーク高さを対比することによって算出した。
【0015】
[グラウトモルタルの製造]
前記の如く作製したCAS、配合重量比で炭酸カルシウム:酸化アルミニウム(何れも市販試薬)=2:1となるように乾式混合した粉末を電気炉で約1500℃で30分加熱し、炉外急冷して得た最大粒径21μmで中心粒径約3μmのカルシウムアルミネート粉末(以下、CAと略記する。)、II型無水石膏(セントラル硝子株式会社製)、分級調整した最大粒径30μmで中心粒径約13μmのフライアッシュ(以下、FA1と略記する。)、最大粒径8μmで中心粒径約3μmのフライアッシュ(以下、FA2と略記する。)、最大粒径60μmで中心粒径約34μmのフライアッシュ(以下、FA3と略記する。)、分級調整した最大粒径30μmで中心粒径約9μmの高炉水砕スラグ(以下、SG1と略記する。)、最大粒径50μmで中心粒径27μmの高炉水砕スラグ(以下、SG2と略記する。)、最大粒径30μmで中心粒径約9μmの下水汚泥焼却灰溶融スラグ(以下、SG3と略記する。)、粉砕分級調整した最大粒径30μmで中心粒径18μmのベントナイト(以下、BNと略記する。)、クエン酸(市販試薬、純度>99.4%)、普通ポルトランドセメント(太平洋セメント株式会社製)及び細骨材(品名「東海砂M8号」;清水工業株式会社製)から選定される材料を表1の配合となるよう混合容器に一括投入し、次いで表1記載の量の水(水道水)を加え、ハンドミキサーで約2分間混練を行なってグラウトモルタルを作製した。
【0016】
【表1】
【0017】
[性状評価]
前記の如く作製した各グラウトモルタルについて、流動性、材料分離抵抗性、可使時間を、またグラウトモルタルの硬化体の初期及び長期強度を、それぞれ次に記す方法で調べた。性状評価結果は表2に記す。
【0018】
流動性:土木学会コンクリート標準示方書規格編JSCE−F 541−1999「充填モルタルの流動性試験方法」に準拠した方法で、混練終了1分以内の各グラウトモルタルのJAロートによる流下時間を測定した。流下時間が短いものほど流動性が高く、一般に充填性も良いと評価される。
【0019】
材料分離抵抗性:土木学会コンクリート標準示方書規格編JSCE−F 541−1999「充填モルタルの流動性試験方法」に準拠した方法で、混練終了後3時間温度約20℃の室内に静置させたグラウトモルタルの表面に浮水(ブリーディング水)の発生が目視で確認できたものを材料分離「有」とし、グラウトモルタル表面に浮水発生が目視で確認されなかったものを材料分離「無」とした。
【0020】
可使時間:倒立法によって約19℃での各グラウトモルタルの混練終了直後からゲル化開始までの時間を測定し、可使時間とした。
【0021】
初期及び長期強度:JIS R 5201に準拠した方法で、各グラウトモルタルを使用して40×40×160mmの角柱状供試体を作製し、各供試体の材齢2時間及び28日の圧縮強度を測定した。
【0022】
【表2】
【0023】
表2より、本発明のグラウト組成物は、材料分離を起こすことなく、高い流動性と長期強度発現性を有することが判る。一方、最大粒径の大きいフライアッシュやスラグを使用したものは高い流動性が得られたものでは材料分離又は長期強度発現性の低下も見られた。また、アルミノ珪酸カルシウムよりも高活性のカルシウムアルミネートを速硬成分とするものでは配合水を多くしないと流動性が得難くなるが、配合水を多くすると材料分離の抑制が困難となった。
【0024】
【発明の効果】
本発明によるグラウト組成物は、使用対象とする充填箇所の細部に渡るまで容易に充填可能であって、材料分離等も起こすことなく品質も安定しており、充填硬化後も初期から長期に渡って高い強度発現性を示すため耐久性に優れる。また施工や補修工期短縮が図れる速硬性グラウトとしての性能を保有しつつも可使時間を調整することができるため、施工作業上の制約を軽減できる。
Claims (2)
- アルミノ珪酸カルシウム、石膏類及び粒径40μm以下のフライアッシュ及び/又はスラグを含有してなるグラウト組成物。
- さらに凝結調整剤を含有する請求項1記載のグラウト組成物。
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