JP2004209783A - 電動式射出ユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】射出装置などの電動駆動装置として採用されている回転−直線運動変換機構に 磁気ねじ軸と磁気ナット部材を採用して、装置の簡素化と小型化を図る。
【解決手段】射出装置、ノズルタッチ装置等の駆動源として電動モータを用い、その電動モータによる回転運動をねじ軸とナット部材とにより直線運動に変換して射出又はノズルタッチを行う電動駆動装置を備えた電動式射出ユニットにおいて、上記ねじ軸とナット部材とを磁気ねじ軸と磁気ナット部材とから構成する。
【選択図】 図１
【解決手段】射出装置、ノズルタッチ装置等の駆動源として電動モータを用い、その電動モータによる回転運動をねじ軸とナット部材とにより直線運動に変換して射出又はノズルタッチを行う電動駆動装置を備えた電動式射出ユニットにおいて、上記ねじ軸とナット部材とを磁気ねじ軸と磁気ナット部材とから構成する。
【選択図】 図１
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータによる回転運動を直線運動に変換して樹脂の射出及びノズルタッチを行う電動式射出ユニットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来では、電動モータによる回転運動を、ボールねじ軸とボールナット部材とにより直線運動に変換して、樹脂の射出やノズルタッチを行っている（例えば、特許文献１参照）。
さらに、搬送装置の移動手段として磁気ねじを利用しているものがある（例えば、特許文献２参照）。
【０００３】
【特許文献１】
特許第３０９０８８４号明細書（第２−３頁、図１ー２）。
【特許文献２】
特許第２６８５７２３号明細書（第１頁、第１−３図）。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来から採用されているボールねじ軸とボールナット部材とによる回転−直線運動変換手段では、ボールナット部材側にボール循環路を設けて、ねじ軸とナット部材の軸方向への相対移動を円滑に行えるようにしている。このためボールナット部材に循環路が軸方向に突出形成され、これがボールナット部材の簡素化と小型化を難しくしている。
【０００５】
またスクリュが前進位置又は後退位置にあるとき、ねじ溝内のボールもそれに応じて、ねじ溝の前後何れかの位置にあり、スクリュの前後移動が繰返し長時間に行われると、ボールが圧縮応力を受けて疲労破壊を起こす場合が多く、摩擦による発熱を防止するために給油を必要とするなど保守管理に手数を要するなどの課題を有する。
【０００６】
この発明は、上記従来の課題を解決するために、その目的は、ねじ軸とナット部材が非接触状態であっても、回転−直線運動変換を円滑に行い得る磁気ねじ軸と磁気ナット部材とによる電動駆動手段により、ボールねじ軸とボールナット部材による場合の課題を解決し、装置の簡素化と小型化を図ると共に、保守管理が容易な電動式射出ユニットを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明は、射出装置、ノズルタッチ装置等の駆動源として電動モータを用い、その電動モータによる回転運動をねじ軸とナット部材とにより直線運動に変換して射出又はノズルタッチを行う電動駆動装置を備えた電動式射出ユニットにおいて、上記ねじ軸とナット部材とを磁気ねじ軸と磁気ナット部材とから構成してなる、というものである。
【０００８】
またこの発明は、射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、上記射出駆動装置を装置本体の後端面に連結したシリンダと、そのシリンダ内に回転止めして進退自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のスクリュ押圧部材と、その電磁ナット部材を通してスクリュ押圧部材内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側の電動サーボモータによる射出用電動モータとから構成してなるというものである。
【０００９】
またこの発明は、射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に複数の射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、上記射出駆動装置を装置本体の後端面に連結した複数のシリンダと、そのシリンダ内に進退自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のスクリュ押圧部材と、その電磁ナット部材を通してスクリュ押圧部材内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側の電動サーボモータによる射出用電動モータとから構成し、上記複数のスクリュ押圧部材の先端を装置本体内の摺動自在なスクリュ押圧板に連結し、そのスクリュ押圧板の前端中央に射出スクリュの回転軸を回転自在に連結してなるというものである。
【００１０】
さらにこの発明は、射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に、射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、そのノズルタッチ装置を射出装置側部の設置板に取付けたシリンダと、そのシリンダ内から設置板の前面に可動自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のプランジャと、その電磁ナット部材を通してプランジャ内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側のサーボモータ又はギヤモータ等によるノズルタッチ用の電動モータと、プランジャと型締装置の固定盤側とにわたり設けたノズルタッチロッドとから構成してなるというものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図中１は電動射出装置、２は左右一対の電動ノズルタッチ装置で、その両方により電動式射出ユニットを構成している。
【００１２】
図１及び図２は、中空のブロックによる横長の装置本体１０と、その前面に連結した加熱筒１１の保持部材１２と、後面に連結した単一の射出駆動装置１３とから構成し、装置本体１０を機台３の上面の座盤４に進退自在に載置した台座５に横長に固設して、加熱筒１１の先端のノズル１１ａを、図示しない型締装置の金型にノズルタッチできるようにした横型の電動射出装置１の実施形態の示すものである。
【００１３】
上記装置本体１０の内部中央には、回転軸１４がベアリング１５により支承して保持部材１２の内部まで設けてあり、その先端に加熱筒１１に内装した射出スクリュ１６の後端が連結してある。また回転軸１４の全部外周囲にはスプライン１７が施され、そのスプライン１７に材料計量用の歯付プーリー１８が嵌合してある。この歯付プーリー１８と装置本体１０の上部に据え設けた計量用電動モータ１９の駆動軸の歯付プーリー２０とには、タイミングベルト２１が巻回してあり、このタイミングベルト２１により回転軸１４が射出スクリュ１６と共に回転して、上記保持部材１２の上部に穿設した供給口２２から供給される材料樹脂を可塑化及び計量できるようにしてある。
【００１４】
上記射出駆動装置１３は、装置本体１０の後端面に連結したシリンダ２３と、その連結端内に嵌合止着したスプラインブッシュ２４との嵌合により回転止めされて、シリンダ内から装置本体内に進退自在に設けられた円筒体のスクリュ押圧部材２５と、そのスクリュ押圧部材内にシリンダ後端から挿入し、前軸端２６ａをベアリング２７をもってスクリュ押圧部材２５に支持した磁気ねじ軸２６と、シリンダ後端に取付けた受台２８に連結して、軸受部材２９に支持した磁気ねじ軸２６の後軸端２６ｂに、駆動軸３０ａをジョイントした電動サーボモータによる射出用電動モータ３０とからなる。
【００１５】
上記スクリュ押圧部材２５は、装置本体１０の内壁とシリンダ２３の内壁とに、振れ止用のブッシュ３１，３２をもって摺動自在に保持され、その先端内に上記回転軸１４の後端が回転自在に連結してある。また後端部内には磁気ナット部材３３が嵌着してあり、その磁気ナット部材３３を通して上記磁気ねじ軸２６がスクリュ押圧部材２５に挿入してある。
【００１６】
図４に示す実施形態は、装置本体１０の後面に複数の上記射出駆動装置１３を備える電動射出装置であって、両方のシリンダ２３，２３を、装置本体１０に並行に連結し、装置本体１０の内部に進退自在に位置するスクリュ押圧部材２５，２５の先端を、装置本体内に摺動自在に設けた横長のスクリュ押圧板３６の両側後面に連結する一方、射出スクリュを前端に連結した回転軸１４を、スクリュ押圧板３６の前面中央に回転自在に連結して構成され、複数の射出駆動装置１３，１３の同時作動により射出スクリュを前進移動するようにしている。これにより射出圧力を要する成形品の射出成形をも可能としている。
【００１７】
なお、図示の実施形態では、射出用電動モータ３０をシリンダ２３の後端に取付けて磁気ねじ軸側と直結しているが、射出用電動モータ３０は、歯付プーリーとタイミングベルトなどの伝達部材により、回転を磁気ねじ軸側に伝達できるように、シリンダ２３に並設してもよい。また上記実施形態は横型であるが、主たる構成の変更を要すことなくその状態で竪型に設置することも可能なので、竪型電動式射出ユニットとして使用することができる。
【００１８】
上記電動ノズルタッチ装置２は、加熱筒１１の保持部材１２から電動射出装置１の両側に横設した左右一対の設置板２０１と、保持部材１２と並行に設置板２０１の後面に取付けたシリンダ２０２と、その連結端内に嵌着したブッシュ２０３を通してシリンダ内から設置板２０１の前面に進退自在に設けられ、後部内に磁気ナット部材２０４を一体に有する円筒体のプランジャ２０５と、その電磁ナット部材２０４を通してプランジャ内にシリンダ後端から挿入し、前軸端２０６ａをベアリング２０７もってプランジャ２０５に支持した磁気ねじ軸２０６と、シリンダ後端に取付けた受台２０８に連結して、軸受部材２０９に支持した磁気ねじ軸２０６の後軸端２０６ｂに、駆動軸２１０ａをジョイントした変速機付きサーボモータ又はギヤモータ等によるノズルタッチ用の電動モータ２１０と、プランジャ２０５の先端と型締装置の固定盤２１１とにわたり設けられて、シリンダ２０２に対しプランジャ２０５を固定状態となすノズルタッチロッド２１１とからなる。２１２，２１３はプランジャ２０５の振れ止用のブッシュである。
【００１９】
上記磁気ねじ軸２６，２０６と磁気ナット部材３３，２０４は、永久磁石材による軸材の外周面と、永久磁石材による円筒体の内周面とに、Ｎ極着磁帯とＳ極着磁帯とを同一ピッチで交互に螺旋状に施したものからなり、その磁気ねじ軸２６，２０６の外周囲に所要クリアランス（例えば、０．５ｍｍ）を設けて同極対位により反撥支持された磁気ナット部材３３，２０４が、磁気ねじ軸２６，２０６と共に回転する着磁帯によって、同方向に回転するようになる。しかし、スクリュ押圧部材２５又はプランジャ２０５が嵌合又は連結により回転するのを阻止されていることから、回転することなく電動射出装置１ではスクリュ押圧部材２５が、ノズルタッチ装置２ではプランジャ２０５が固定状態にあることからシリンダ２０２側が直線移動するようになる。
【００２０】
したがって、電動射出装置１では、図１に示す射出終了後のスクリュ前進限位置において、計量用電動モータ１９を回転作動すると、回転軸１４がスクリュ押圧部材２５に回転自在に連結されていることから、スクリュ押圧部材２５は回転せずに回転軸１４と射出スクリュとが回転して、供給口２２から供給される材料樹脂の可塑と計量とが行われる。
【００２１】
しかし、磁気ねじ軸２６が停止した状態では磁気ナット部材３３との間の磁力により、スクリュ押圧部材２５は後退しないので、通常のボールねじ軸に採用されている背圧制御と同様に、樹脂圧によるスクリュ後退力に対向するトルク（制動）を、射出用電動モータ３０により磁気ねじ軸２６に付加しながら連続的又は間欠的に逆回転してスクリュ押圧部材２５が後退するようにする。これにより可塑化計量に際する背圧力が生じ、スクリュ押圧部材２５は射出用電動モータ３０により背圧制御を受けながら、射出スクリュ１６と共に計量終了位置まで後退移動する。
【００２２】
計量終了後に、射出用電動モータ３０により定位置の磁気ねじ軸２６を正回転すると、従来のボールねじ軸による場合と同様に、スクリュ押圧部材２５が磁気ねじ軸上を前進移動して、計量後の後退位置にある射出スクリュ１６を回転軸１４と共に押圧前進し、スクリュ先端の計量樹脂を金型に射出充填する。
【００２３】
またノズルタッチ装置２では、プランジャ２０３がノズルタッチロッド２１１により固定盤６側に接続されて固定状態にあることから、図２に示す状態において、ノズルタッチ用の電動モータ２１０により定位置の磁気ねじ軸２０６を正回転すると、磁気ねじ軸側がシリンダ２０２と共に前進移動するようになる。このシリンダ２０２は電動射出装置１の両側に横設した設置板２０１に一体に取付けられているため、電動射出装置１が座盤４上を摺動移動してノズル１１ａが金型にノズルタッチするところまで型締装置側に引き寄せられる。
【００２４】
反対に図示しないノズルチッチ状態において、電動モータ２１０により磁気ねじ軸２０６を逆回転すると、磁気ねじ軸側がシリンダ２０２と共に後退移動するようになり、これにより電動射出装置１が座盤４上を摺動移動して型締装置側から引き戻され、ノズル１１ａが金型から離れてノズルタッチが解除される。
【００２５】
上述のように、磁気ねじ軸と磁気ナット部材とにより回転運動を直線運動に変換する手段では、ボールねじが不可欠とするボールナット側部のボール循環路が不要となって、磁気ナット部材の側部に突出部分がなくなるので、装置の簡素化となる。また磁気ナット部材はボールねじのように磁気ねじ軸と噛合せずに、設定クリアランスを保持してねじ軸周囲に遊嵌されているので、非接触であることから圧縮応力による疲労破壊は起こらず、長期の使用にも十分に耐えるなる。
【００２６】
さらにまた磁気ねじ軸のトルクよりも大きな衝撃力を軸方向に受けると、衝撃力に応じて磁気ねじ軸が回転し、可動側の衝撃を吸収するようになるので、電動式射出装置においては、射出充填をクッション樹脂を残さずに行う押切成形に生じがちなスクリュ先端の衝突による損傷を防止でき、また電動ノズルタッチ装置では、ノズルタッチに際する衝撃が緩衝されてノズル先端の摩耗や損傷が防止されるので使用寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に係る電動式射出ユニットの射出装置の縦断側面図である。
【図２】同上の電動式射出ユニットのノズルタッチ装置を横断して示す平面図である。
【図３】図１に示す射出装置の駆動部の縦断側面図である。
【図４】図２に示すノズルタッチ装置の駆動部の横断平面図である。
【図５】他の実施形態の電動射出装置後部の横断平面図である。
【符号の説明】
１ 電動射出装置
２ 電動ノズルタッチ装置
１０ 電動射出装置の装置本体
１１ 加熱筒
１２ 加熱筒の保持部材
１３ 射出駆動装置
１４ 回転軸
１９ 計量用電動モータ
２３ 射出駆動装置のシリンダ
２５ スクリュ押圧部材
２６ 磁気ねじ軸
３０ 射出用電動モータ
３３ 磁気ナット部材
３６ スクリュ押圧板
２０１ 設置板
２０２ レーシング
２０４ 磁気ナット部材
２０５ プランジャ
２０６ 磁気ねじ軸
２１０ ノズルタッチ用電動モータ
２１１ ノズルタッチロッド
【発明の属する技術分野】
この発明は、電動モータによる回転運動を直線運動に変換して樹脂の射出及びノズルタッチを行う電動式射出ユニットに関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来では、電動モータによる回転運動を、ボールねじ軸とボールナット部材とにより直線運動に変換して、樹脂の射出やノズルタッチを行っている（例えば、特許文献１参照）。
さらに、搬送装置の移動手段として磁気ねじを利用しているものがある（例えば、特許文献２参照）。
【０００３】
【特許文献１】
特許第３０９０８８４号明細書（第２−３頁、図１ー２）。
【特許文献２】
特許第２６８５７２３号明細書（第１頁、第１−３図）。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
従来から採用されているボールねじ軸とボールナット部材とによる回転−直線運動変換手段では、ボールナット部材側にボール循環路を設けて、ねじ軸とナット部材の軸方向への相対移動を円滑に行えるようにしている。このためボールナット部材に循環路が軸方向に突出形成され、これがボールナット部材の簡素化と小型化を難しくしている。
【０００５】
またスクリュが前進位置又は後退位置にあるとき、ねじ溝内のボールもそれに応じて、ねじ溝の前後何れかの位置にあり、スクリュの前後移動が繰返し長時間に行われると、ボールが圧縮応力を受けて疲労破壊を起こす場合が多く、摩擦による発熱を防止するために給油を必要とするなど保守管理に手数を要するなどの課題を有する。
【０００６】
この発明は、上記従来の課題を解決するために、その目的は、ねじ軸とナット部材が非接触状態であっても、回転−直線運動変換を円滑に行い得る磁気ねじ軸と磁気ナット部材とによる電動駆動手段により、ボールねじ軸とボールナット部材による場合の課題を解決し、装置の簡素化と小型化を図ると共に、保守管理が容易な電動式射出ユニットを提供することにある。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記目的によるこの発明は、射出装置、ノズルタッチ装置等の駆動源として電動モータを用い、その電動モータによる回転運動をねじ軸とナット部材とにより直線運動に変換して射出又はノズルタッチを行う電動駆動装置を備えた電動式射出ユニットにおいて、上記ねじ軸とナット部材とを磁気ねじ軸と磁気ナット部材とから構成してなる、というものである。
【０００８】
またこの発明は、射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、上記射出駆動装置を装置本体の後端面に連結したシリンダと、そのシリンダ内に回転止めして進退自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のスクリュ押圧部材と、その電磁ナット部材を通してスクリュ押圧部材内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側の電動サーボモータによる射出用電動モータとから構成してなるというものである。
【０００９】
またこの発明は、射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に複数の射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、上記射出駆動装置を装置本体の後端面に連結した複数のシリンダと、そのシリンダ内に進退自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のスクリュ押圧部材と、その電磁ナット部材を通してスクリュ押圧部材内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側の電動サーボモータによる射出用電動モータとから構成し、上記複数のスクリュ押圧部材の先端を装置本体内の摺動自在なスクリュ押圧板に連結し、そのスクリュ押圧板の前端中央に射出スクリュの回転軸を回転自在に連結してなるというものである。
【００１０】
さらにこの発明は、射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に、射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、そのノズルタッチ装置を射出装置側部の設置板に取付けたシリンダと、そのシリンダ内から設置板の前面に可動自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のプランジャと、その電磁ナット部材を通してプランジャ内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側のサーボモータ又はギヤモータ等によるノズルタッチ用の電動モータと、プランジャと型締装置の固定盤側とにわたり設けたノズルタッチロッドとから構成してなるというものである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図中１は電動射出装置、２は左右一対の電動ノズルタッチ装置で、その両方により電動式射出ユニットを構成している。
【００１２】
図１及び図２は、中空のブロックによる横長の装置本体１０と、その前面に連結した加熱筒１１の保持部材１２と、後面に連結した単一の射出駆動装置１３とから構成し、装置本体１０を機台３の上面の座盤４に進退自在に載置した台座５に横長に固設して、加熱筒１１の先端のノズル１１ａを、図示しない型締装置の金型にノズルタッチできるようにした横型の電動射出装置１の実施形態の示すものである。
【００１３】
上記装置本体１０の内部中央には、回転軸１４がベアリング１５により支承して保持部材１２の内部まで設けてあり、その先端に加熱筒１１に内装した射出スクリュ１６の後端が連結してある。また回転軸１４の全部外周囲にはスプライン１７が施され、そのスプライン１７に材料計量用の歯付プーリー１８が嵌合してある。この歯付プーリー１８と装置本体１０の上部に据え設けた計量用電動モータ１９の駆動軸の歯付プーリー２０とには、タイミングベルト２１が巻回してあり、このタイミングベルト２１により回転軸１４が射出スクリュ１６と共に回転して、上記保持部材１２の上部に穿設した供給口２２から供給される材料樹脂を可塑化及び計量できるようにしてある。
【００１４】
上記射出駆動装置１３は、装置本体１０の後端面に連結したシリンダ２３と、その連結端内に嵌合止着したスプラインブッシュ２４との嵌合により回転止めされて、シリンダ内から装置本体内に進退自在に設けられた円筒体のスクリュ押圧部材２５と、そのスクリュ押圧部材内にシリンダ後端から挿入し、前軸端２６ａをベアリング２７をもってスクリュ押圧部材２５に支持した磁気ねじ軸２６と、シリンダ後端に取付けた受台２８に連結して、軸受部材２９に支持した磁気ねじ軸２６の後軸端２６ｂに、駆動軸３０ａをジョイントした電動サーボモータによる射出用電動モータ３０とからなる。
【００１５】
上記スクリュ押圧部材２５は、装置本体１０の内壁とシリンダ２３の内壁とに、振れ止用のブッシュ３１，３２をもって摺動自在に保持され、その先端内に上記回転軸１４の後端が回転自在に連結してある。また後端部内には磁気ナット部材３３が嵌着してあり、その磁気ナット部材３３を通して上記磁気ねじ軸２６がスクリュ押圧部材２５に挿入してある。
【００１６】
図４に示す実施形態は、装置本体１０の後面に複数の上記射出駆動装置１３を備える電動射出装置であって、両方のシリンダ２３，２３を、装置本体１０に並行に連結し、装置本体１０の内部に進退自在に位置するスクリュ押圧部材２５，２５の先端を、装置本体内に摺動自在に設けた横長のスクリュ押圧板３６の両側後面に連結する一方、射出スクリュを前端に連結した回転軸１４を、スクリュ押圧板３６の前面中央に回転自在に連結して構成され、複数の射出駆動装置１３，１３の同時作動により射出スクリュを前進移動するようにしている。これにより射出圧力を要する成形品の射出成形をも可能としている。
【００１７】
なお、図示の実施形態では、射出用電動モータ３０をシリンダ２３の後端に取付けて磁気ねじ軸側と直結しているが、射出用電動モータ３０は、歯付プーリーとタイミングベルトなどの伝達部材により、回転を磁気ねじ軸側に伝達できるように、シリンダ２３に並設してもよい。また上記実施形態は横型であるが、主たる構成の変更を要すことなくその状態で竪型に設置することも可能なので、竪型電動式射出ユニットとして使用することができる。
【００１８】
上記電動ノズルタッチ装置２は、加熱筒１１の保持部材１２から電動射出装置１の両側に横設した左右一対の設置板２０１と、保持部材１２と並行に設置板２０１の後面に取付けたシリンダ２０２と、その連結端内に嵌着したブッシュ２０３を通してシリンダ内から設置板２０１の前面に進退自在に設けられ、後部内に磁気ナット部材２０４を一体に有する円筒体のプランジャ２０５と、その電磁ナット部材２０４を通してプランジャ内にシリンダ後端から挿入し、前軸端２０６ａをベアリング２０７もってプランジャ２０５に支持した磁気ねじ軸２０６と、シリンダ後端に取付けた受台２０８に連結して、軸受部材２０９に支持した磁気ねじ軸２０６の後軸端２０６ｂに、駆動軸２１０ａをジョイントした変速機付きサーボモータ又はギヤモータ等によるノズルタッチ用の電動モータ２１０と、プランジャ２０５の先端と型締装置の固定盤２１１とにわたり設けられて、シリンダ２０２に対しプランジャ２０５を固定状態となすノズルタッチロッド２１１とからなる。２１２，２１３はプランジャ２０５の振れ止用のブッシュである。
【００１９】
上記磁気ねじ軸２６，２０６と磁気ナット部材３３，２０４は、永久磁石材による軸材の外周面と、永久磁石材による円筒体の内周面とに、Ｎ極着磁帯とＳ極着磁帯とを同一ピッチで交互に螺旋状に施したものからなり、その磁気ねじ軸２６，２０６の外周囲に所要クリアランス（例えば、０．５ｍｍ）を設けて同極対位により反撥支持された磁気ナット部材３３，２０４が、磁気ねじ軸２６，２０６と共に回転する着磁帯によって、同方向に回転するようになる。しかし、スクリュ押圧部材２５又はプランジャ２０５が嵌合又は連結により回転するのを阻止されていることから、回転することなく電動射出装置１ではスクリュ押圧部材２５が、ノズルタッチ装置２ではプランジャ２０５が固定状態にあることからシリンダ２０２側が直線移動するようになる。
【００２０】
したがって、電動射出装置１では、図１に示す射出終了後のスクリュ前進限位置において、計量用電動モータ１９を回転作動すると、回転軸１４がスクリュ押圧部材２５に回転自在に連結されていることから、スクリュ押圧部材２５は回転せずに回転軸１４と射出スクリュとが回転して、供給口２２から供給される材料樹脂の可塑と計量とが行われる。
【００２１】
しかし、磁気ねじ軸２６が停止した状態では磁気ナット部材３３との間の磁力により、スクリュ押圧部材２５は後退しないので、通常のボールねじ軸に採用されている背圧制御と同様に、樹脂圧によるスクリュ後退力に対向するトルク（制動）を、射出用電動モータ３０により磁気ねじ軸２６に付加しながら連続的又は間欠的に逆回転してスクリュ押圧部材２５が後退するようにする。これにより可塑化計量に際する背圧力が生じ、スクリュ押圧部材２５は射出用電動モータ３０により背圧制御を受けながら、射出スクリュ１６と共に計量終了位置まで後退移動する。
【００２２】
計量終了後に、射出用電動モータ３０により定位置の磁気ねじ軸２６を正回転すると、従来のボールねじ軸による場合と同様に、スクリュ押圧部材２５が磁気ねじ軸上を前進移動して、計量後の後退位置にある射出スクリュ１６を回転軸１４と共に押圧前進し、スクリュ先端の計量樹脂を金型に射出充填する。
【００２３】
またノズルタッチ装置２では、プランジャ２０３がノズルタッチロッド２１１により固定盤６側に接続されて固定状態にあることから、図２に示す状態において、ノズルタッチ用の電動モータ２１０により定位置の磁気ねじ軸２０６を正回転すると、磁気ねじ軸側がシリンダ２０２と共に前進移動するようになる。このシリンダ２０２は電動射出装置１の両側に横設した設置板２０１に一体に取付けられているため、電動射出装置１が座盤４上を摺動移動してノズル１１ａが金型にノズルタッチするところまで型締装置側に引き寄せられる。
【００２４】
反対に図示しないノズルチッチ状態において、電動モータ２１０により磁気ねじ軸２０６を逆回転すると、磁気ねじ軸側がシリンダ２０２と共に後退移動するようになり、これにより電動射出装置１が座盤４上を摺動移動して型締装置側から引き戻され、ノズル１１ａが金型から離れてノズルタッチが解除される。
【００２５】
上述のように、磁気ねじ軸と磁気ナット部材とにより回転運動を直線運動に変換する手段では、ボールねじが不可欠とするボールナット側部のボール循環路が不要となって、磁気ナット部材の側部に突出部分がなくなるので、装置の簡素化となる。また磁気ナット部材はボールねじのように磁気ねじ軸と噛合せずに、設定クリアランスを保持してねじ軸周囲に遊嵌されているので、非接触であることから圧縮応力による疲労破壊は起こらず、長期の使用にも十分に耐えるなる。
【００２６】
さらにまた磁気ねじ軸のトルクよりも大きな衝撃力を軸方向に受けると、衝撃力に応じて磁気ねじ軸が回転し、可動側の衝撃を吸収するようになるので、電動式射出装置においては、射出充填をクッション樹脂を残さずに行う押切成形に生じがちなスクリュ先端の衝突による損傷を防止でき、また電動ノズルタッチ装置では、ノズルタッチに際する衝撃が緩衝されてノズル先端の摩耗や損傷が防止されるので使用寿命が長くなる。
【図面の簡単な説明】
【図１】この発明に係る電動式射出ユニットの射出装置の縦断側面図である。
【図２】同上の電動式射出ユニットのノズルタッチ装置を横断して示す平面図である。
【図３】図１に示す射出装置の駆動部の縦断側面図である。
【図４】図２に示すノズルタッチ装置の駆動部の横断平面図である。
【図５】他の実施形態の電動射出装置後部の横断平面図である。
【符号の説明】
１ 電動射出装置
２ 電動ノズルタッチ装置
１０ 電動射出装置の装置本体
１１ 加熱筒
１２ 加熱筒の保持部材
１３ 射出駆動装置
１４ 回転軸
１９ 計量用電動モータ
２３ 射出駆動装置のシリンダ
２５ スクリュ押圧部材
２６ 磁気ねじ軸
３０ 射出用電動モータ
３３ 磁気ナット部材
３６ スクリュ押圧板
２０１ 設置板
２０２ レーシング
２０４ 磁気ナット部材
２０５ プランジャ
２０６ 磁気ねじ軸
２１０ ノズルタッチ用電動モータ
２１１ ノズルタッチロッド
Claims (4)
- 射出装置、ノズルタッチ装置等の駆動源として電動モータを用い、その電動モータによる回転運動をねじ軸とナット部材とにより直線運動に変換して射出又はノズルタッチを行う電動駆動装置を備えた電動式射出ユニットにおいて、上記ねじ軸とナット部材とを磁気ねじ軸と磁気ナット部材とから構成してなることを特徴とする電動式射出ユニット。
- 射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、上記射出駆動装置を装置本体の後端面に連結したシリンダと、そのシリンダ内に回転止めして進退自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のスクリュ押圧部材と、その電磁ナット部材を通してスクリュ押圧部材内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側の電動サーボモータによる射出用電動モータとから構成してなることを特徴とする電動式射出ユニット。
- 射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に複数の射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、上記射出駆動装置を装置本体の後端面に連結した複数のシリンダと、そのシリンダ内に進退自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のスクリュ押圧部材と、その電磁ナット部材を通してスクリュ押圧部材内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側の電動サーボモータによる射出用電動モータとから構成し、上記複数のスクリュ押圧部材の先端を装置本体内の摺動自在なスクリュ押圧板に連結し、そのスクリュ押圧板の前端中央に射出スクリュの回転軸を回転自在に連結してなることを特徴とする電動式射出ユニット。
- 射出スクリュ内装の加熱筒を前端に取付けた装置本体の後端に射出駆動装置を備えた射出装置と、その射出装置の側部に設けたノズルタッチ装置とからなり、そのノズルタッチ装置を射出装置側部の設置板に取付けたシリンダと、そのシリンダ内から設置板の前面に可動自在に設けられ、磁気ナット部材を一体に有する円筒体のプランジャと、その電磁ナット部材を通してプランジャ内に挿入支持した磁気ねじ軸と、その磁気ねじ軸を回転するシリンダ側のサーボモータ又はギヤモータ等によるノズルタッチ用の電動モータと、プランジャと型締装置の固定盤側とにわたり設けたノズルタッチロッドとから構成してなることを特徴とする電動式射出ユニット。
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