JP2004209396A - 紫外線による水の殺菌浄化システム - Google Patents
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Abstract
【課題】浴水などを循環させる循環経路において、レジオネラ属菌などの細菌類を確実に殺菌浄化処理できる紫外線による水の殺菌浄化システムを提供する。
【解決手段】184.9ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプ12が、流入口13と流出口14を有する紫外線照射タンク11の内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置1を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続する。
【選択図】 図1
【解決手段】184.9ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプ12が、流入口13と流出口14を有する紫外線照射タンク11の内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置1を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽、貯水槽、プール、池などにおいて、それら貯溜部の水の殺菌浄化を、好適に行う紫外線による水の殺菌浄化システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浴用水を循環させ、その過程で汚れや濁りなどの浄化や加熱保温を行って使用している方式のもの、いわゆる浴用水循環式のものが、大小いろいろの規模をもって激増してきている。この循環式のものでは、同じ浴用水を長時間、長期間使用することとなり、その水の殺菌対策や浄化対策に、いろいろの方法が行われてきている。殺菌においては、オゾンによる水中バブリングや浴用水面への紫外線照射などがある。汚れの除去などの浄化においては、バクテリヤによる生物ろ過や砂ろ過などがある。また、公衆浴場では、塩素殺菌が義務づけられており、天然温泉浴場においても、塩素殺菌を実行しているところが一般的である。
一方、これら循環式の循環経路内でのレジオネラ属菌などの増殖が問題視されているが、これの有効な対処方法は、まだ出現していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の装置などの利用には、次のような問題がある。
(1)オゾンによる水中バブリングは、水中にオゾンの溶け込む量は微少であり、空中拡散する割合の方が高かった。これがため、オゾン濃度を高くして、水中バブリングをするため、浴場内に、人体に有害になるほどのオゾンが充満してしまっていた。
(2)浴槽水面への紫外線照射は、浴槽水への照射が、均一に効率良くなされず、したがって、殺菌効果を充分に得られなかった。
(3)生物ろ過や砂ろ過においては、浄化のためのものであり、殺菌は不可能であり、また、その浄化についても、能力に限界があり、管理やろ材の交換を怠れば、レジオネラ属菌などの細菌類を増殖させてしまう危険があった。ろ材の交換に際しては、多大な時間と費用を要していた。
【0004】
塩素使用による殺菌についても、問題点があった。
保健所等の公的指導機関からは、公衆浴場において、塩素を適量投与するように求めてきており、それに従って、公衆浴場に限らず、天然温泉浴場においても塩素投与を実行している。ところが、天然温泉のうち、70パーセント余りの温泉がアルカリ性の温泉であり、塩素投与しても中和されてしまい、その殺菌効果は、ほとんどない。それらのアルカリ性の温泉のところで、しかも、その温泉を循環させて使用しているところでは、レジオネラ属菌や大腸菌が、安全上の基準値を大巾に越えて、各地で頻繁に検出されている。そして、看過できないのは、レジオレラ属菌に人が感染するケースが多くなってきており、その結果、重症化したり、死亡にさえ至るケースも少なくない実態が生じている。このことは、各所で報道されており、深刻な社会問題となってきている。
【0005】
この対応策として、殺菌効果を高めるべく、塩素投与の増量を実施しているが、この結果として、殺菌効果は不充分であるにもかかわらず、残留塩素が増してしまう。温泉でのくつろぎや癒しを期待して入浴する人々にとって、塩素独特の刺激臭を与え、不快な思いをさせてしまう。塩素殺菌は、人体への悪影響も大きく、でき得る限り、避けたいものである。
【0006】
近年、いたる所に、浴水を循環させて、その水を捨てることなく利用する浴水循環式の浴場が設置されてきている。補給水は、自然蒸発分や逆洗時の一部排水で減じた少量分に止めている。このため、浴水の循環経路内に、レジオレラ属菌などの細菌の増殖の温床となるバイオフィルムが各所に形成され、浴水中につぎつぎと侵入してきている。浴水そのものは、塩素殺菌で対応できるとしても、根絶は非常に困難で、循環経路を取り外したりせずに、その経路内に形成されたバイオフィルムの完全除去が強く求められていた。
【0007】
これらいろいろの問題点に対して、各種方法が立案され、試みられてきているが、装置としての規模、コスト、殺菌浄化としての満足度、既存設備との兼ね合い等から、未だ、採算がとれ、機能性の高い装置、システムが実現していない。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、浴水などを循環させる循環経路において、レジオネラ属菌などの細菌類を確実に殺菌浄化処理できる紫外線による水の殺菌浄化システムを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、上記目的達成のために、次のように構成されている。
189.4ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプが、流入口と流出口を有する紫外線照射タンクの内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続することを特徴としている。
【0010】
この紫外線照射装置内で、被処理水としての浴用水は、紫外線ランプからの紫外線照射で直接殺菌される。この時、紫外線ランプは、被処理水に浸漬された状態である。
【0011】
一方、この紫外線照射装置内で照射される紫外線と、被処理水中の溶存酸素とが、反応し、オゾンが生成される。
この反応は、184.9ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域にある紫外線を、被処理水中に溶存している酸素分子(O2)に照射吸収させると、酸素分子(O2)が解離される。この解離された酸素(O)と、被処理中の他の溶存酸素(O2)と結びついて、オゾン(O3)が生成されるのである。
【0012】
紫外線の波長は、10〜380ナノメートルの範囲にあるが、その範囲の紫外線すべてが、酸素分子の解離に有効ではない。酸素分子を解離するには、解離エネルギーを発揮する有効な紫外線の波長が必要となる。その有効な波長としては184.9ナノメートルおよび253.7ナノメートルの短い波長域のもので、共に、強い発光強度が安定して得られる。したがって、この2つの波長域の、いずれかを選択して用いることによって、安定したオゾン生成がなされる。
【0013】
この紫外線照射によって、オゾンがつぎつぎに生成され、オゾン水となり、循環経路内で、循環を繰り返すうちに、循環経路内が完全に浄化される。つまり、循環経路の配管内壁、ろ過機内、ポンプ内、熱交換機内、ヘヤーキャッチャー内などが、オゾン水によって殺菌浄化されていくのである。
【0014】
一方、循環経路内に形成されるアメーバなどの集塊であるバイオフィルムは、レジオネラ属菌など細菌類の巣くう場所となっており、そこで増殖するが、紫外線照射装置内で生じたオゾン水により、バイオフィルムが崩壊され、中の細菌類を壊滅させる。その結果生じた残骸も、そのオゾン水により、分解除去されるのである。
【0015】
紫外線照射で生成したオゾンはおおむね30〜40分で、酸素に変化する。浴槽などの貯溜部は、開放され大気(空気)と接しているので、水中への溶存酸素量は減ることはなく、オゾンの生成に全く支障はない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
図1は、本発明に係る殺菌浄化システムを浴用水に適用した一例を示す説明図である。被処理水となる浴用水21は、浴槽2からヘヤーキャッチャー3を経てポンプ5を内設する浄化槽4へと流れる。浄化槽4には、ろ過機能が備わっている。浄化槽4を流れ出た被処理水は、熱交換機6を経て、通常は、浴槽2へ流れ戻るのであるが、本発明では、その一例として、熱交換機6と浴槽2との間の循環経路に、紫外線照射装置1を組み込み接続されている。浴槽水21は、配管7の中を図1に示す矢印方向に流れる。紫外線照射装置1は、この実施例では、既設の循環経路中に組み込み接続するものであるが、既設の循環経路の状況によって、適宜場所に組み込み接続すればよい。その場合、紫外線照射装置1の周辺にバイパス8を設ければ便利である。現場の状況に応じては、既設配管をそのままにして、バイパス8部に紫外線照射装置1を組み込み接続してもよい。
【0017】
図2は、本発明に係る紫外線照射装置の一例を示す概略断面図である。
紫外線照射装置1は、次のように構成されている。
紫外線照射タンク11の上部に、紫外線ランプ12が内設されている。本実施例では、紫外線ランプ12は3本用いられている。紫外線照射タンク11の側部には、被処理水となる浴用水21の流入口13と流出口14が、循環経路の接続部として設けられている。紫外線ランプ12は、外周を透過性の石英ガラスに被覆され、防水保護が施されて構成されている。電源コード15から紫外線ランプ12へ通電される。この電源は100ボルトを12ボルトに変圧させて用いる。
【0018】
紫外線ランプ12の照射する紫外線は、189.4ナノメートルもしくは、253.7ナノメートルの波長域のものとする。この波長域で紫外線を照射させることが、被処理水中に、安定したオゾンを生成させていくうえで、絶対必要である。
【0019】
殺菌と浄化は、次のように行われる。
被処理水としての浴用水21は、流入口13より紫外線照射タンク11内に流入し、流出口14より流出するまでの時間(おおむね10秒間)中に、紫外線ランプ12により照射され殺菌される。一方、紫外線ランプ12は浴用水21が循環している間は、照射を続けているので、その照射時間中、オゾンが紫外線照射タンク11内で生成されている。このオゾンが、殺菌処理された浴用水21に溶け込んで、いわゆるオゾン水となって、循環経路を流れ、オゾンによる浄化がなされていく。殺菌においては、紫外線照射によるものは直接殺菌であるから、紫外線照射装置1の紫外線照射タンク11に流れ込んだ浴用水21しか殺菌しないが、紫外線照射装置1で生成されたオゾンは、30〜40分間オゾンであり続けるから、次から次と生成され続けるオゾンとともにオゾン水となって、循環経路内と、浴槽2内の殺菌を行う。オゾンは殺菌を兼ね備えて浄化作用をするのである。このことは、浴槽2に貯溜している浴用水21全部が、オゾン含有水であるということであり、浴槽内に、入浴者によって持ち込まれたレジオレラ属菌などは、この浴槽2で防止されることになる。
【0020】
したがって、本発明は、189.4ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプ12が、流入口13と流出口14を有する紫外線照射タンク11の内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置1を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続する紫外線による水の殺菌浄化システムとしている。
【0021】
なお、紫外線照射装置1において用いられる紫外線ランプ12の本数は、対象とする貯溜水が5トン未満は1〜2本、5トン以上10トン未満は3本、10トン以上20トン未満は4本、20トン以上50トンくらいまでは5〜6本が適当である。この紫外線ランプ12の使用本数に応じて、紫外線照射タンク11の容量の大きさも勘案対処する。ここで用いている紫外線ランプ12の1本あたりのオゾン生成濃度は0.02PPMであり、その寿命は20000時間、消費電力は1時間あたり6ワットある。
【0022】
図3は、本発明に係る貯水槽やプールや池などの貯溜水の殺菌浄化システムを示す説明図である。
貯水槽、プール、池などの殺菌浄化をする場合も、本発明の殺菌浄化システムが適用される。
これを図面とともに説明すると、貯水槽、プール、池などの貯溜部9の貯溜水91を循環させる配管71に接続されて、異物除去をするフィルター41が取り付けられ、その循環先に、動力源となるポンプ51が接続され取り付けられている。ポンプ51の先に紫外線照射装置1が接続されて取り付けられて、水の循環経路を完成させている。ポンプ51およびフィルター41は、紫外線照射装置1とともに、水の循環経路の適宜個所に組み込み接続すればよい。
つまり、水循環経路が、ポンプ51およびフィルター41を、それぞれ適宜個所に介在させて、紫外線照射装置1とともに形成される。
貯溜水91は、フィルター41で異物を除去され、紫外線照射装置1で殺菌浄化されていく。このメカニズムと作用は、上述してきたことと同様である。
【0023】
【発明の効果】
本発明により、処理しようとする水の確実な殺菌処理が実現した。紫外線殺菌と併行してなされるオゾンによる殺菌浄化作用との相乗効果は、浴用水など各種の水の品質を、きわめて安全なものにするのである。しかも、この殺菌浄化システムに要する費用負担は低額ですみ、システムが複雑なものではないので、故障もほとんど起こらず、メンテナンスはつとめて容易である。
この殺菌浄化システムにすることによって、塩素投与を、全く不要とした。規定によって塩素使用しなければならない所でも、定められた量以上の塩素投与は不要で、塩素使用による弊害はなくなった。
塩素の効かないアルカリ泉質の浴場施設にとっては、画期的なシステムとして受け入れられるものである。
また、池や貯水槽などの水の活性化がなされ、青粉(アオコ)の発生の完全防止ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る殺菌浄化システムを浴用水に適用した一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る紫外線照射装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る貯水槽やプールや池などの貯溜水の殺菌浄化システムを示す説明図である。
【符号の説明】
1紫外線照射装置
2浴槽
21浴用水
3ヘヤーキャッチャー
4浄化槽
5ポンプ
6熱交換機
7配管
8バイパス
11紫外線照射タンク
12紫外線ランプ
13流入口
14流出口
15電源コード
9貯溜部
91貯溜水
41フィルター
51ポンプ
71配管
【発明の属する技術分野】
本発明は、浴槽、貯水槽、プール、池などにおいて、それら貯溜部の水の殺菌浄化を、好適に行う紫外線による水の殺菌浄化システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
浴用水を循環させ、その過程で汚れや濁りなどの浄化や加熱保温を行って使用している方式のもの、いわゆる浴用水循環式のものが、大小いろいろの規模をもって激増してきている。この循環式のものでは、同じ浴用水を長時間、長期間使用することとなり、その水の殺菌対策や浄化対策に、いろいろの方法が行われてきている。殺菌においては、オゾンによる水中バブリングや浴用水面への紫外線照射などがある。汚れの除去などの浄化においては、バクテリヤによる生物ろ過や砂ろ過などがある。また、公衆浴場では、塩素殺菌が義務づけられており、天然温泉浴場においても、塩素殺菌を実行しているところが一般的である。
一方、これら循環式の循環経路内でのレジオネラ属菌などの増殖が問題視されているが、これの有効な対処方法は、まだ出現していない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の装置などの利用には、次のような問題がある。
(1)オゾンによる水中バブリングは、水中にオゾンの溶け込む量は微少であり、空中拡散する割合の方が高かった。これがため、オゾン濃度を高くして、水中バブリングをするため、浴場内に、人体に有害になるほどのオゾンが充満してしまっていた。
(2)浴槽水面への紫外線照射は、浴槽水への照射が、均一に効率良くなされず、したがって、殺菌効果を充分に得られなかった。
(3)生物ろ過や砂ろ過においては、浄化のためのものであり、殺菌は不可能であり、また、その浄化についても、能力に限界があり、管理やろ材の交換を怠れば、レジオネラ属菌などの細菌類を増殖させてしまう危険があった。ろ材の交換に際しては、多大な時間と費用を要していた。
【0004】
塩素使用による殺菌についても、問題点があった。
保健所等の公的指導機関からは、公衆浴場において、塩素を適量投与するように求めてきており、それに従って、公衆浴場に限らず、天然温泉浴場においても塩素投与を実行している。ところが、天然温泉のうち、70パーセント余りの温泉がアルカリ性の温泉であり、塩素投与しても中和されてしまい、その殺菌効果は、ほとんどない。それらのアルカリ性の温泉のところで、しかも、その温泉を循環させて使用しているところでは、レジオネラ属菌や大腸菌が、安全上の基準値を大巾に越えて、各地で頻繁に検出されている。そして、看過できないのは、レジオレラ属菌に人が感染するケースが多くなってきており、その結果、重症化したり、死亡にさえ至るケースも少なくない実態が生じている。このことは、各所で報道されており、深刻な社会問題となってきている。
【0005】
この対応策として、殺菌効果を高めるべく、塩素投与の増量を実施しているが、この結果として、殺菌効果は不充分であるにもかかわらず、残留塩素が増してしまう。温泉でのくつろぎや癒しを期待して入浴する人々にとって、塩素独特の刺激臭を与え、不快な思いをさせてしまう。塩素殺菌は、人体への悪影響も大きく、でき得る限り、避けたいものである。
【0006】
近年、いたる所に、浴水を循環させて、その水を捨てることなく利用する浴水循環式の浴場が設置されてきている。補給水は、自然蒸発分や逆洗時の一部排水で減じた少量分に止めている。このため、浴水の循環経路内に、レジオレラ属菌などの細菌の増殖の温床となるバイオフィルムが各所に形成され、浴水中につぎつぎと侵入してきている。浴水そのものは、塩素殺菌で対応できるとしても、根絶は非常に困難で、循環経路を取り外したりせずに、その経路内に形成されたバイオフィルムの完全除去が強く求められていた。
【0007】
これらいろいろの問題点に対して、各種方法が立案され、試みられてきているが、装置としての規模、コスト、殺菌浄化としての満足度、既存設備との兼ね合い等から、未だ、採算がとれ、機能性の高い装置、システムが実現していない。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたものであり、その目的とするところは、浴水などを循環させる循環経路において、レジオネラ属菌などの細菌類を確実に殺菌浄化処理できる紫外線による水の殺菌浄化システムを提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明は、上記目的達成のために、次のように構成されている。
189.4ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプが、流入口と流出口を有する紫外線照射タンクの内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続することを特徴としている。
【0010】
この紫外線照射装置内で、被処理水としての浴用水は、紫外線ランプからの紫外線照射で直接殺菌される。この時、紫外線ランプは、被処理水に浸漬された状態である。
【0011】
一方、この紫外線照射装置内で照射される紫外線と、被処理水中の溶存酸素とが、反応し、オゾンが生成される。
この反応は、184.9ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域にある紫外線を、被処理水中に溶存している酸素分子(O2)に照射吸収させると、酸素分子(O2)が解離される。この解離された酸素(O)と、被処理中の他の溶存酸素(O2)と結びついて、オゾン(O3)が生成されるのである。
【0012】
紫外線の波長は、10〜380ナノメートルの範囲にあるが、その範囲の紫外線すべてが、酸素分子の解離に有効ではない。酸素分子を解離するには、解離エネルギーを発揮する有効な紫外線の波長が必要となる。その有効な波長としては184.9ナノメートルおよび253.7ナノメートルの短い波長域のもので、共に、強い発光強度が安定して得られる。したがって、この2つの波長域の、いずれかを選択して用いることによって、安定したオゾン生成がなされる。
【0013】
この紫外線照射によって、オゾンがつぎつぎに生成され、オゾン水となり、循環経路内で、循環を繰り返すうちに、循環経路内が完全に浄化される。つまり、循環経路の配管内壁、ろ過機内、ポンプ内、熱交換機内、ヘヤーキャッチャー内などが、オゾン水によって殺菌浄化されていくのである。
【0014】
一方、循環経路内に形成されるアメーバなどの集塊であるバイオフィルムは、レジオネラ属菌など細菌類の巣くう場所となっており、そこで増殖するが、紫外線照射装置内で生じたオゾン水により、バイオフィルムが崩壊され、中の細菌類を壊滅させる。その結果生じた残骸も、そのオゾン水により、分解除去されるのである。
【0015】
紫外線照射で生成したオゾンはおおむね30〜40分で、酸素に変化する。浴槽などの貯溜部は、開放され大気(空気)と接しているので、水中への溶存酸素量は減ることはなく、オゾンの生成に全く支障はない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面にもとづいて説明する。
図1は、本発明に係る殺菌浄化システムを浴用水に適用した一例を示す説明図である。被処理水となる浴用水21は、浴槽2からヘヤーキャッチャー3を経てポンプ5を内設する浄化槽4へと流れる。浄化槽4には、ろ過機能が備わっている。浄化槽4を流れ出た被処理水は、熱交換機6を経て、通常は、浴槽2へ流れ戻るのであるが、本発明では、その一例として、熱交換機6と浴槽2との間の循環経路に、紫外線照射装置1を組み込み接続されている。浴槽水21は、配管7の中を図1に示す矢印方向に流れる。紫外線照射装置1は、この実施例では、既設の循環経路中に組み込み接続するものであるが、既設の循環経路の状況によって、適宜場所に組み込み接続すればよい。その場合、紫外線照射装置1の周辺にバイパス8を設ければ便利である。現場の状況に応じては、既設配管をそのままにして、バイパス8部に紫外線照射装置1を組み込み接続してもよい。
【0017】
図2は、本発明に係る紫外線照射装置の一例を示す概略断面図である。
紫外線照射装置1は、次のように構成されている。
紫外線照射タンク11の上部に、紫外線ランプ12が内設されている。本実施例では、紫外線ランプ12は3本用いられている。紫外線照射タンク11の側部には、被処理水となる浴用水21の流入口13と流出口14が、循環経路の接続部として設けられている。紫外線ランプ12は、外周を透過性の石英ガラスに被覆され、防水保護が施されて構成されている。電源コード15から紫外線ランプ12へ通電される。この電源は100ボルトを12ボルトに変圧させて用いる。
【0018】
紫外線ランプ12の照射する紫外線は、189.4ナノメートルもしくは、253.7ナノメートルの波長域のものとする。この波長域で紫外線を照射させることが、被処理水中に、安定したオゾンを生成させていくうえで、絶対必要である。
【0019】
殺菌と浄化は、次のように行われる。
被処理水としての浴用水21は、流入口13より紫外線照射タンク11内に流入し、流出口14より流出するまでの時間(おおむね10秒間)中に、紫外線ランプ12により照射され殺菌される。一方、紫外線ランプ12は浴用水21が循環している間は、照射を続けているので、その照射時間中、オゾンが紫外線照射タンク11内で生成されている。このオゾンが、殺菌処理された浴用水21に溶け込んで、いわゆるオゾン水となって、循環経路を流れ、オゾンによる浄化がなされていく。殺菌においては、紫外線照射によるものは直接殺菌であるから、紫外線照射装置1の紫外線照射タンク11に流れ込んだ浴用水21しか殺菌しないが、紫外線照射装置1で生成されたオゾンは、30〜40分間オゾンであり続けるから、次から次と生成され続けるオゾンとともにオゾン水となって、循環経路内と、浴槽2内の殺菌を行う。オゾンは殺菌を兼ね備えて浄化作用をするのである。このことは、浴槽2に貯溜している浴用水21全部が、オゾン含有水であるということであり、浴槽内に、入浴者によって持ち込まれたレジオレラ属菌などは、この浴槽2で防止されることになる。
【0020】
したがって、本発明は、189.4ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプ12が、流入口13と流出口14を有する紫外線照射タンク11の内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置1を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続する紫外線による水の殺菌浄化システムとしている。
【0021】
なお、紫外線照射装置1において用いられる紫外線ランプ12の本数は、対象とする貯溜水が5トン未満は1〜2本、5トン以上10トン未満は3本、10トン以上20トン未満は4本、20トン以上50トンくらいまでは5〜6本が適当である。この紫外線ランプ12の使用本数に応じて、紫外線照射タンク11の容量の大きさも勘案対処する。ここで用いている紫外線ランプ12の1本あたりのオゾン生成濃度は0.02PPMであり、その寿命は20000時間、消費電力は1時間あたり6ワットある。
【0022】
図3は、本発明に係る貯水槽やプールや池などの貯溜水の殺菌浄化システムを示す説明図である。
貯水槽、プール、池などの殺菌浄化をする場合も、本発明の殺菌浄化システムが適用される。
これを図面とともに説明すると、貯水槽、プール、池などの貯溜部9の貯溜水91を循環させる配管71に接続されて、異物除去をするフィルター41が取り付けられ、その循環先に、動力源となるポンプ51が接続され取り付けられている。ポンプ51の先に紫外線照射装置1が接続されて取り付けられて、水の循環経路を完成させている。ポンプ51およびフィルター41は、紫外線照射装置1とともに、水の循環経路の適宜個所に組み込み接続すればよい。
つまり、水循環経路が、ポンプ51およびフィルター41を、それぞれ適宜個所に介在させて、紫外線照射装置1とともに形成される。
貯溜水91は、フィルター41で異物を除去され、紫外線照射装置1で殺菌浄化されていく。このメカニズムと作用は、上述してきたことと同様である。
【0023】
【発明の効果】
本発明により、処理しようとする水の確実な殺菌処理が実現した。紫外線殺菌と併行してなされるオゾンによる殺菌浄化作用との相乗効果は、浴用水など各種の水の品質を、きわめて安全なものにするのである。しかも、この殺菌浄化システムに要する費用負担は低額ですみ、システムが複雑なものではないので、故障もほとんど起こらず、メンテナンスはつとめて容易である。
この殺菌浄化システムにすることによって、塩素投与を、全く不要とした。規定によって塩素使用しなければならない所でも、定められた量以上の塩素投与は不要で、塩素使用による弊害はなくなった。
塩素の効かないアルカリ泉質の浴場施設にとっては、画期的なシステムとして受け入れられるものである。
また、池や貯水槽などの水の活性化がなされ、青粉(アオコ)の発生の完全防止ができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る殺菌浄化システムを浴用水に適用した一例を示す説明図である。
【図2】本発明に係る紫外線照射装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る貯水槽やプールや池などの貯溜水の殺菌浄化システムを示す説明図である。
【符号の説明】
1紫外線照射装置
2浴槽
21浴用水
3ヘヤーキャッチャー
4浄化槽
5ポンプ
6熱交換機
7配管
8バイパス
11紫外線照射タンク
12紫外線ランプ
13流入口
14流出口
15電源コード
9貯溜部
91貯溜水
41フィルター
51ポンプ
71配管
Claims (2)
- 189.4ナノメートルもしくは253.7ナノメートルの波長域の紫外線を照射する紫外線ランプが、流入口と流出口を有する紫外線照射タンクの内部に位置する状態で取り付けられている紫外線照射装置を、水循環経路の適宜個所に組み込み接続することを特徴とした紫外線による水の殺菌浄化システム。
- 水循環装置が、ポンプおよびフィルターを、それぞれ適宜個所に介在させて形成されている請求項1記載の紫外線による水の殺菌浄化システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002383783A JP2004209396A (ja) | 2002-12-28 | 2002-12-28 | 紫外線による水の殺菌浄化システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002383783A JP2004209396A (ja) | 2002-12-28 | 2002-12-28 | 紫外線による水の殺菌浄化システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004209396A true JP2004209396A (ja) | 2004-07-29 |
Family
ID=32818413
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002383783A Pending JP2004209396A (ja) | 2002-12-28 | 2002-12-28 | 紫外線による水の殺菌浄化システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004209396A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2437449A1 (es) * | 2012-07-09 | 2014-01-10 | Universidad De Alicante | Inhibidor del crecimiento bacteriano de legionela y análogos |
CN105780741A (zh) * | 2016-03-16 | 2016-07-20 | 河海大学 | 具有光催化水质净化功能的流量自适应型拦水堰 |
-
2002
- 2002-12-28 JP JP2002383783A patent/JP2004209396A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
ES2437449A1 (es) * | 2012-07-09 | 2014-01-10 | Universidad De Alicante | Inhibidor del crecimiento bacteriano de legionela y análogos |
CN105780741A (zh) * | 2016-03-16 | 2016-07-20 | 河海大学 | 具有光催化水质净化功能的流量自适应型拦水堰 |
CN105780741B (zh) * | 2016-03-16 | 2017-12-19 | 河海大学 | 具有光催化水质净化功能的流量自适应型拦水堰 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20051014 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20071225 |
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20080108 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20080415 |