JP2004208223A - 2バンド共用パッチアンテナ - Google Patents
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Abstract
【課題】2種類の周波数帯域の信号波を送受信可能で小型薄型化が容易な2バンド共用パッチアンテナを提供すること。
【解決手段】パッチアンテナ10は、一辺端に切欠き部13を設けたパッチ電極12と、このパッチ電極12が片面に設けられた誘電体基板11と、この誘電体基板11を介して少なくともパッチ電極12と対向する位置に設けられた接地導体14とを備え、パッチ電極12の前記一辺端はスルーホール15を介して接地導体14と短絡されている。そして、パッチ電極12全体を共振させるための第1の高周波信号(例えば2.45GHz帯域)と、この第1の高周波信号よりも高い周波数で切欠き部13を共振させるための第2の高周波信号(例えば5.2GHz帯域)とが、パッチ電極12に選択的に給電されるようにした。
【選択図】 図1
【解決手段】パッチアンテナ10は、一辺端に切欠き部13を設けたパッチ電極12と、このパッチ電極12が片面に設けられた誘電体基板11と、この誘電体基板11を介して少なくともパッチ電極12と対向する位置に設けられた接地導体14とを備え、パッチ電極12の前記一辺端はスルーホール15を介して接地導体14と短絡されている。そして、パッチ電極12全体を共振させるための第1の高周波信号(例えば2.45GHz帯域)と、この第1の高周波信号よりも高い周波数で切欠き部13を共振させるための第2の高周波信号(例えば5.2GHz帯域)とが、パッチ電極12に選択的に給電されるようにした。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種類の周波数帯域(バンド)の信号波の送信や受信が可能で、無線LANカード等に実装して好適な2バンド共用パッチアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有線ケ−ブルを使わずに、所定周波数帯域(例えば2.4GHz帯域)の信号波の送受信で情報交換が行える無線LANが普及しつつある。パソコン等の電子機器を無線LANに対応させる際には、送受信機能を備えた無線LANカードを装填することが多く、かかる無線LANカードには、無線LANで使用される直線偏波の信号波を送受信するためのアンテナや、送信回路、受信回路等が実装されている。
【0003】
この種の無線LANカードに実装されるアンテナにはかなりの小型化が要求されるため、従来より、図6に示すようなパッチアンテナが広く採用されている。同図に示すパッチアンテナ1は、誘電体基板2の片面に銅箔等からなるパッチ電極3を設け、このパッチ電極3を誘電体基板2を介して接地導体4と対向させると共に、マイクロストリップライン5等によってパッチ電極3に所定の高周波信号を給電するという構成になっている。ここで、接地導体4は例えば誘電体基板2の裏面のほぼ全面に設けられており、マイクロストリップライン5は図示せぬアンテナ回路に接続されている。
【0004】
このように概略構成されたパッチアンテナ1においては、パッチ電極3を励振して前記高周波信号に対応した電界を生じさせることにより、パッチ電極3からその電極面に対して垂直な前方へ信号波を放射させることができる。なお、図6では外形が矩形のパッチ電極3にマイクロストリップライン5が接続されているが、パッチ電極3の外形は円形等であってもよく、また、給電ピンやスルーホールによってパッチ電極3に給電してもよい。
【0005】
ところで、現在は無線LANシステムに2.4GHz帯域の信号波が広く使用されているが、将来的には、より高周波な別の帯域(例えば5.2GHz帯域)の信号波を使用する送受信システムも普及するものと考えられている。そうなると、高低2種類の周波数帯域の信号波が送受信可能な小型アンテナの必要性が高まる。
【0006】
このように2バンドで共用できる比較的小型のアンテナとしては、従来、上面にパッチ電極が設けられた第1の誘電体基板と、上面に別のパッチ電極が設けられ裏面全面に接地導体が設けられた第2の誘電体基板と、裏面に複数のマイクロストリップラインが設けられた第3の誘電体基板とを重ね合わせて構成される2パッチ積層型のアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、上から順に第1、第2、第3の誘電体基板が積層されており、上下の各パッチ電極に対する給電は、それぞれ、接地導体の複数箇所に形成されたスリットを介して異なるマイクロストリップラインから行われるようになっている。そして、各パッチ電極の形状や大きさが異なるため、第1の誘電体基板上のパッチ電極に所定の高周波信号を給電して共振させることにより第1の共振周波数の信号波を放射させることができ、また、第2の誘電体基板上のパッチ電極に別の高周波信号を給電して共振させることにより第2の共振周波数の信号波を放射させることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−249933号公報(第4〜6頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の2パッチ積層型アンテナは、2種類のパッチ電極を上下に分けて配設する構成なので、誘電体基板を含めた全体の厚さ寸法が大きくなってしまい、無線LANカード等に実装するうえで必要な薄型化が困難であるという問題があった。そこで、薄型化を図るために2種類のパッチ電極を同一の誘電体基板上に並設するという構成も考えられるが、この方式では全体の面積が不所望に増大してしまうため、無線LANカード等に実装するうえで必要な小型化が実現できないという別の問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、2種類の周波数帯域の信号波を送受信可能で小型薄型化が容易な2バンド共用パッチアンテナを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明の2バンド共用パッチアンテナでは、一辺端に切欠き部を有するパッチ電極と、このパッチ電極が片面に設けられた誘電体基板と、この誘電体基板を介して少なくとも前記パッチ電極と対向する位置に設けられた接地導体とを備え、前記パッチ電極の前記一辺端を前記接地導体に短絡すると共に、前記パッチ電極に対して、該パッチ電極の全体を共振させるための第1の高周波信号と、この第1の高周波信号よりも高い周波数で前記切欠き部を共振させるための第2の高周波信号とが選択的に給電されるように構成した。
【0011】
このように構成されたアンテナでは、パッチ電極に給電すると前記一辺端と前記切欠き部の底辺との間に該切欠き部を縦断する電界が生じるので、該切欠き部の大きさを適宜選択して所定の高周波信号を給電することにより、パッチ電極全体を励振するときの共振長よりも短い共振長で該切欠き部を共振させることができる。また、かかる形状のパッチ電極はワイヤ系におけるモノポールアンテナと同様の小型化が図れるため、アンテナ全体の大きさを格段に小さくすることができる。したがって、パッチ電極の数は一つだけであるが、第1の高周波信号を給電してパッチ電極全体を共振させれば第1の共振周波数の信号波が放射され、第2の高周波信号を給電して切欠き部を共振させれば第2の共振周波数の信号波が放射されることになり、かつパッチ電極に必要な大きさが極めて縮小でき、高低2種類の周波数帯域の信号波を送受信可能な小型で薄型のアンテナが得られる。
【0012】
上記の構成において、パッチ電極の一辺端と接地導体とを誘電体基板に設けた複数のスルーホールを介して短絡することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図、図2は該パッチアンテナが接続されているアンテナ回路の構成図、図3は該パッチアンテナのSパラメータ(散乱パラメータ)を示す共振特性図である。
【0014】
図1に示すパッチアンテナ10は、パッチ電極12の一辺端を接地導体14に短絡すると共に、この一辺端に切欠き部13を設けて、パッチ電極12の全体が共振する周波数よりも高い周波数で切欠き部13を共振させるようにしたアンテナである。銅箔等からなるパッチ電極12は誘電体基板11の片面に設けられており、接地導体14は誘電体基板11の他面(裏面)のほぼ全面に設けられている。パッチ電極12の一辺端には誘電体基板11を貫通する複数のスルーホール15が設けられており、これらのスルーホール15を介してパッチ電極12と接地導体14とが導通されている。また、パッチ電極12の図示下端には、インピーダンスを整合させた状態でマイクロストリップライン18が延設されている。このマイクロストリップライン18は、図2に示す2.45GHz用のアンテナ回路16と5.2GHz用のアンテナ回路17とに接続されている。つまり、このパッチアンテナ10は、マイクロストリップライン18を介してパッチ電極12に対し、2.45GHz帯域の第1の高周波信号と5.2GHz帯域の第2の高周波信号とが選択的に給電できるようになっている。
【0015】
なお、アンテナ回路16には、2.45GHz帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタ16aと、送信モードと受信モードを切り換える回路16bと、2.45GHz帯域の信号を送信する回路16cと、2.45GHz帯域の信号を受信する回路16dとが具備されている。同様に、アンテナ回路17には、5.2GHz帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタ17aと、送信モードと受信モードを切り換える回路17bと、5.2GHz帯域の信号を送信する回路17cと、5.2GHz帯域の信号を受信する回路17dとが具備されている。
【0016】
かかる構成のパッチアンテナ10は、パッチ電極12に給電する高周波信号の周波数に応じて、給電点のSパラメータ(いわゆるS11)が図3に示すように変化し、2.45GHzと5.2GHzという異なる周波数帯域で共振するデュアルバンド対応のアンテナとなっている。具体的には、パッチ電極12にアンテナ回路16から2.45GHz帯域の信号を給電することにより、パッチ電極12の全体を共振させることができ、そのときの共振長をλ1とすると、パッチ電極12のスルーホール15側の一辺端とこれに平行な一辺端との間隔、つまり短辺の長さLは、約(λ1/4)となる。ここで、共振長λ1は、2.45GHzの信号波の波長λlow(≒120mm)に誘電体基板11による波長短縮率を乗じた値であり、誘電体の比誘電率をεとすると、λ1=λlow/√εとなる。本実施形態例においては、誘電体としてε≒9の材料を使用しているため、λ1≒40mmとなり、パッチ電極12の短辺の長さLが約10mmに設定してある。
【0017】
また、パッチ電極12にアンテナ回路17から5.2GHz帯域の信号を給電した場合には、スルーホール15側の一辺端と切欠き部13の底辺との間に該切欠き部13を縦断する電界が生じるので、この切欠き部13をアンテナとして動作させることができ、そのときの共振長をλ2とすると、切欠き部13の幅寸法wは約(λ2/2)となる。ここで、共振長λ2は、5.2GHzの信号波の波長λhigh(≒60mm)に誘電体基板11による波長短縮率を乗じた値で、λ2=λhigh/√εとなるため、本実施形態例においてはλ2≒20mmとなり、切欠き部13の幅寸法wが約10mmに設定してある。
【0018】
このように本実施形態例に係るパッチアンテナ10にはパッチ電極12が一つだけしかなく、複数のパッチ電極を積層したり並設したりする構成にはなっていないが、接地導体14に短絡したパッチ電極12の一辺端に切欠き部13を設けるという構成にしてあるため、2.45GHz帯域の第1の高周波信号を給電すればパッチ電極12を共振長λ1で共振させることができ、5.2GHz帯域の第2の高周波信号を給電すれば切欠き部13を共振長λ2で共振させることができる。また、このパッチアンテナ10のパッチ電極12は、ワイヤ系におけるモノポールアンテナと同様の小型化が図れるため、アンテナ全体の大きさを格段に小さくすることができる。それゆえ、このパッチアンテナ10は、小型かつ薄型でありながら、2.45GHzと5.2GHzという高低2種類の周波数帯域の信号波が送受信可能な2バンド共用アンテナとして使用することができ、無線LANカード等にも容易に実装できる。
【0019】
図4は本発明の他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図であり、図1に対応する部分には同一符号を付してある。
【0020】
図4に示すパッチアンテナ20は、パッチ電極12の所定位置に給電ピン19がはんだ付けしてあり、この給電ピン19がアンテナ回路に接続されている。このように、パッチ電極12に対する給電をマイクロストリップラインではなく給電ピン19によって行ってもよく、このほか、スルーホールによる給電も可能である。
【0021】
図5は本発明のさらに他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図であり、図1に対応する部分には同一符号を付してある。
【0022】
図5に示すパッチアンテナ30は、切欠き部13を有するパッチ電極12の外形が半円形で、その直線状の一辺端がスルーホール15を介して接地導体14に短絡してある。このようにパッチ電極12の外形が半円形の場合、直径が等しい円形のパッチ電極と同等の共振周波数で大きさを半分にすることができるため、アンテナの小型化を促進するうえで有利である。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0024】
一辺端を接地導体に短絡したパッチ電極の該一辺端に切欠き部を設けるという構成にしてあるので、アンテナ全体の大きさが格段に小さくできると共に、該切欠き部の大きさを適宜選択して所定の高周波信号を給電することにより、パッチ電極全体を励振するときの共振長よりも短い共振長で該切欠き部を共振させることができる。その結果、複数のパッチ電極を配設しなくても高低2種類の周波数帯域の信号波が送受信可能となり、小型で薄型の2バンド共用パッチアンテナが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図である。
【図2】図1に示すパッチアンテナが接続されているアンテナ回路の構成図である。
【図3】図1に示すパッチアンテナのSパラメータを示す共振特性図である。
【図4】本発明の他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図である。
【図6】従来の一般的なパッチアンテナの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
10,20,30 パッチアンテナ
11 誘電体基板
12 パッチ電極
13 切欠き部
14 接地導体
15 スルーホール
16,17 アンテナ回路
18 マイクロストリップライン
19 給電ピン
【発明の属する技術分野】
本発明は、2種類の周波数帯域(バンド)の信号波の送信や受信が可能で、無線LANカード等に実装して好適な2バンド共用パッチアンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有線ケ−ブルを使わずに、所定周波数帯域(例えば2.4GHz帯域)の信号波の送受信で情報交換が行える無線LANが普及しつつある。パソコン等の電子機器を無線LANに対応させる際には、送受信機能を備えた無線LANカードを装填することが多く、かかる無線LANカードには、無線LANで使用される直線偏波の信号波を送受信するためのアンテナや、送信回路、受信回路等が実装されている。
【0003】
この種の無線LANカードに実装されるアンテナにはかなりの小型化が要求されるため、従来より、図6に示すようなパッチアンテナが広く採用されている。同図に示すパッチアンテナ1は、誘電体基板2の片面に銅箔等からなるパッチ電極3を設け、このパッチ電極3を誘電体基板2を介して接地導体4と対向させると共に、マイクロストリップライン5等によってパッチ電極3に所定の高周波信号を給電するという構成になっている。ここで、接地導体4は例えば誘電体基板2の裏面のほぼ全面に設けられており、マイクロストリップライン5は図示せぬアンテナ回路に接続されている。
【0004】
このように概略構成されたパッチアンテナ1においては、パッチ電極3を励振して前記高周波信号に対応した電界を生じさせることにより、パッチ電極3からその電極面に対して垂直な前方へ信号波を放射させることができる。なお、図6では外形が矩形のパッチ電極3にマイクロストリップライン5が接続されているが、パッチ電極3の外形は円形等であってもよく、また、給電ピンやスルーホールによってパッチ電極3に給電してもよい。
【0005】
ところで、現在は無線LANシステムに2.4GHz帯域の信号波が広く使用されているが、将来的には、より高周波な別の帯域(例えば5.2GHz帯域)の信号波を使用する送受信システムも普及するものと考えられている。そうなると、高低2種類の周波数帯域の信号波が送受信可能な小型アンテナの必要性が高まる。
【0006】
このように2バンドで共用できる比較的小型のアンテナとしては、従来、上面にパッチ電極が設けられた第1の誘電体基板と、上面に別のパッチ電極が設けられ裏面全面に接地導体が設けられた第2の誘電体基板と、裏面に複数のマイクロストリップラインが設けられた第3の誘電体基板とを重ね合わせて構成される2パッチ積層型のアンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、上から順に第1、第2、第3の誘電体基板が積層されており、上下の各パッチ電極に対する給電は、それぞれ、接地導体の複数箇所に形成されたスリットを介して異なるマイクロストリップラインから行われるようになっている。そして、各パッチ電極の形状や大きさが異なるため、第1の誘電体基板上のパッチ電極に所定の高周波信号を給電して共振させることにより第1の共振周波数の信号波を放射させることができ、また、第2の誘電体基板上のパッチ電極に別の高周波信号を給電して共振させることにより第2の共振周波数の信号波を放射させることができる。
【0007】
【特許文献1】
特開平7−249933号公報(第4〜6頁、図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の2パッチ積層型アンテナは、2種類のパッチ電極を上下に分けて配設する構成なので、誘電体基板を含めた全体の厚さ寸法が大きくなってしまい、無線LANカード等に実装するうえで必要な薄型化が困難であるという問題があった。そこで、薄型化を図るために2種類のパッチ電極を同一の誘電体基板上に並設するという構成も考えられるが、この方式では全体の面積が不所望に増大してしまうため、無線LANカード等に実装するうえで必要な小型化が実現できないという別の問題があった。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、2種類の周波数帯域の信号波を送受信可能で小型薄型化が容易な2バンド共用パッチアンテナを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するために、本発明の2バンド共用パッチアンテナでは、一辺端に切欠き部を有するパッチ電極と、このパッチ電極が片面に設けられた誘電体基板と、この誘電体基板を介して少なくとも前記パッチ電極と対向する位置に設けられた接地導体とを備え、前記パッチ電極の前記一辺端を前記接地導体に短絡すると共に、前記パッチ電極に対して、該パッチ電極の全体を共振させるための第1の高周波信号と、この第1の高周波信号よりも高い周波数で前記切欠き部を共振させるための第2の高周波信号とが選択的に給電されるように構成した。
【0011】
このように構成されたアンテナでは、パッチ電極に給電すると前記一辺端と前記切欠き部の底辺との間に該切欠き部を縦断する電界が生じるので、該切欠き部の大きさを適宜選択して所定の高周波信号を給電することにより、パッチ電極全体を励振するときの共振長よりも短い共振長で該切欠き部を共振させることができる。また、かかる形状のパッチ電極はワイヤ系におけるモノポールアンテナと同様の小型化が図れるため、アンテナ全体の大きさを格段に小さくすることができる。したがって、パッチ電極の数は一つだけであるが、第1の高周波信号を給電してパッチ電極全体を共振させれば第1の共振周波数の信号波が放射され、第2の高周波信号を給電して切欠き部を共振させれば第2の共振周波数の信号波が放射されることになり、かつパッチ電極に必要な大きさが極めて縮小でき、高低2種類の周波数帯域の信号波を送受信可能な小型で薄型のアンテナが得られる。
【0012】
上記の構成において、パッチ電極の一辺端と接地導体とを誘電体基板に設けた複数のスルーホールを介して短絡することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図、図2は該パッチアンテナが接続されているアンテナ回路の構成図、図3は該パッチアンテナのSパラメータ(散乱パラメータ)を示す共振特性図である。
【0014】
図1に示すパッチアンテナ10は、パッチ電極12の一辺端を接地導体14に短絡すると共に、この一辺端に切欠き部13を設けて、パッチ電極12の全体が共振する周波数よりも高い周波数で切欠き部13を共振させるようにしたアンテナである。銅箔等からなるパッチ電極12は誘電体基板11の片面に設けられており、接地導体14は誘電体基板11の他面(裏面)のほぼ全面に設けられている。パッチ電極12の一辺端には誘電体基板11を貫通する複数のスルーホール15が設けられており、これらのスルーホール15を介してパッチ電極12と接地導体14とが導通されている。また、パッチ電極12の図示下端には、インピーダンスを整合させた状態でマイクロストリップライン18が延設されている。このマイクロストリップライン18は、図2に示す2.45GHz用のアンテナ回路16と5.2GHz用のアンテナ回路17とに接続されている。つまり、このパッチアンテナ10は、マイクロストリップライン18を介してパッチ電極12に対し、2.45GHz帯域の第1の高周波信号と5.2GHz帯域の第2の高周波信号とが選択的に給電できるようになっている。
【0015】
なお、アンテナ回路16には、2.45GHz帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタ16aと、送信モードと受信モードを切り換える回路16bと、2.45GHz帯域の信号を送信する回路16cと、2.45GHz帯域の信号を受信する回路16dとが具備されている。同様に、アンテナ回路17には、5.2GHz帯域の信号を通過させるバンドパスフィルタ17aと、送信モードと受信モードを切り換える回路17bと、5.2GHz帯域の信号を送信する回路17cと、5.2GHz帯域の信号を受信する回路17dとが具備されている。
【0016】
かかる構成のパッチアンテナ10は、パッチ電極12に給電する高周波信号の周波数に応じて、給電点のSパラメータ(いわゆるS11)が図3に示すように変化し、2.45GHzと5.2GHzという異なる周波数帯域で共振するデュアルバンド対応のアンテナとなっている。具体的には、パッチ電極12にアンテナ回路16から2.45GHz帯域の信号を給電することにより、パッチ電極12の全体を共振させることができ、そのときの共振長をλ1とすると、パッチ電極12のスルーホール15側の一辺端とこれに平行な一辺端との間隔、つまり短辺の長さLは、約(λ1/4)となる。ここで、共振長λ1は、2.45GHzの信号波の波長λlow(≒120mm)に誘電体基板11による波長短縮率を乗じた値であり、誘電体の比誘電率をεとすると、λ1=λlow/√εとなる。本実施形態例においては、誘電体としてε≒9の材料を使用しているため、λ1≒40mmとなり、パッチ電極12の短辺の長さLが約10mmに設定してある。
【0017】
また、パッチ電極12にアンテナ回路17から5.2GHz帯域の信号を給電した場合には、スルーホール15側の一辺端と切欠き部13の底辺との間に該切欠き部13を縦断する電界が生じるので、この切欠き部13をアンテナとして動作させることができ、そのときの共振長をλ2とすると、切欠き部13の幅寸法wは約(λ2/2)となる。ここで、共振長λ2は、5.2GHzの信号波の波長λhigh(≒60mm)に誘電体基板11による波長短縮率を乗じた値で、λ2=λhigh/√εとなるため、本実施形態例においてはλ2≒20mmとなり、切欠き部13の幅寸法wが約10mmに設定してある。
【0018】
このように本実施形態例に係るパッチアンテナ10にはパッチ電極12が一つだけしかなく、複数のパッチ電極を積層したり並設したりする構成にはなっていないが、接地導体14に短絡したパッチ電極12の一辺端に切欠き部13を設けるという構成にしてあるため、2.45GHz帯域の第1の高周波信号を給電すればパッチ電極12を共振長λ1で共振させることができ、5.2GHz帯域の第2の高周波信号を給電すれば切欠き部13を共振長λ2で共振させることができる。また、このパッチアンテナ10のパッチ電極12は、ワイヤ系におけるモノポールアンテナと同様の小型化が図れるため、アンテナ全体の大きさを格段に小さくすることができる。それゆえ、このパッチアンテナ10は、小型かつ薄型でありながら、2.45GHzと5.2GHzという高低2種類の周波数帯域の信号波が送受信可能な2バンド共用アンテナとして使用することができ、無線LANカード等にも容易に実装できる。
【0019】
図4は本発明の他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図であり、図1に対応する部分には同一符号を付してある。
【0020】
図4に示すパッチアンテナ20は、パッチ電極12の所定位置に給電ピン19がはんだ付けしてあり、この給電ピン19がアンテナ回路に接続されている。このように、パッチ電極12に対する給電をマイクロストリップラインではなく給電ピン19によって行ってもよく、このほか、スルーホールによる給電も可能である。
【0021】
図5は本発明のさらに他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図であり、図1に対応する部分には同一符号を付してある。
【0022】
図5に示すパッチアンテナ30は、切欠き部13を有するパッチ電極12の外形が半円形で、その直線状の一辺端がスルーホール15を介して接地導体14に短絡してある。このようにパッチ電極12の外形が半円形の場合、直径が等しい円形のパッチ電極と同等の共振周波数で大きさを半分にすることができるため、アンテナの小型化を促進するうえで有利である。
【0023】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。
【0024】
一辺端を接地導体に短絡したパッチ電極の該一辺端に切欠き部を設けるという構成にしてあるので、アンテナ全体の大きさが格段に小さくできると共に、該切欠き部の大きさを適宜選択して所定の高周波信号を給電することにより、パッチ電極全体を励振するときの共振長よりも短い共振長で該切欠き部を共振させることができる。その結果、複数のパッチ電極を配設しなくても高低2種類の周波数帯域の信号波が送受信可能となり、小型で薄型の2バンド共用パッチアンテナが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図である。
【図2】図1に示すパッチアンテナが接続されているアンテナ回路の構成図である。
【図3】図1に示すパッチアンテナのSパラメータを示す共振特性図である。
【図4】本発明の他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施形態例に係る2バンド共用パッチアンテナの平面図である。
【図6】従来の一般的なパッチアンテナの構成を示す平面図である。
【符号の説明】
10,20,30 パッチアンテナ
11 誘電体基板
12 パッチ電極
13 切欠き部
14 接地導体
15 スルーホール
16,17 アンテナ回路
18 マイクロストリップライン
19 給電ピン
Claims (2)
- 一辺端に切欠き部を有するパッチ電極と、このパッチ電極が片面に設けられた誘電体基板と、この誘電体基板を介して少なくとも前記パッチ電極と対向する位置に設けられた接地導体とを備え、
前記パッチ電極の前記一辺端を前記接地導体に短絡すると共に、前記パッチ電極に対して、該パッチ電極の全体を共振させるための第1の高周波信号と、この第1の高周波信号よりも高い周波数で前記切欠き部を共振させるための第2の高周波信号とが選択的に給電されるように構成したことを特徴とする2バンド共用パッチアンテナ。 - 請求項1の記載において、前記パッチ電極の前記一辺端と前記接地導体とが前記誘電体基板に設けられた複数のスルーホールを介して短絡されていることを特徴とする2バンド共用パッチアンテナ。
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