JP2005072902A - 逆f型アンテナ、無線装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくとも3以上の周波数に共振する逆F型アンテナを提供する。
【解決手段】この逆F型アンテナ(1)は、接地導体(32)と、接地導体(32)と絶縁して形成された給電用端子(31)と、接地導体(32)と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部(13)と、放射導体基部(13)から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部(11)と、放射導体基部(13)から同一平面上に第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部(12)とからなる放射エレメントと、第2の放射導体部(12)と接地導体(32)の間に配置された補助エレメント(21)と、放射導体基部(13)と、補助エレメント(21)と、給電用端子(5)とを接続する給電部材(5)と、放射導体基部(13)と、補助エレメント(21)と、接地導体(32)とを接続する短絡部材(6)とを具備し、第1の放射導体部(11)は第1および第2の周波数に共振し、第2の放射導体部(12)は第3の周波数に共振することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば携帯電話機などの小型無線装置のための逆F型アンテナおよびその逆F型アンテナを備えた無線装置に関し、特に周波数の異なる複数の無線システムを備えた複合型無線端末装置において用いられる逆F型アンテナおよびその逆F型アンテナを備えた無線装置に関する。
近年、携帯電話機などの無線装置は小型化・高機能化が進んでおり、無線装置の筐体内に設けるアンテナも小型化が図られている。このような無線装置に用いられるアンテナとしては、誘電体基板上にアンテナ線を面状に形成した平面アンテナが広く用いられている。例えば、携帯電話機などでは、逆F型アンテナやパッチアンテナなどが用いられている。
一方で、人工衛星により位置を測定するGPSや電子機器間でデータの送受信を行う無線LANシステムなど、通信目的以外の無線装置が一般に普及しつつある。そして、これらを組み合わせた複合型無線装置も登場している。通常、異なる無線システムには異なる周波数が割り当てられているため、複数の無線システムを組み合わせた複合型無線装置では、各々の無線システムの周波数に対応したアンテナを個別に用意する必要がある。
ところが、携帯電話機などの小型無線装置においては、筐体内に収めることのできるアンテナの大きさには物理的な制限があり、無線システムの数と同じ数のアンテナを個別に実装することは事実上不可能である。そこで、このような複合型無線装置では、複数の周波数に共振するアンテナ(マルチバンドアンテナ)が一般に用いられている。
一つのアンテナで複数の周波数に共振させるには、例えば、一つの放射エレメントに基本となる共振周波数およびその整数倍の周波数に共振させる方法や、各々所望の周波数に共振する複数の放射エレメントを同一の給電点に接続する方法などが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、基本となる共振周波数およびその整数倍の周波数に共振させる方法は、特性インピーダンスの関係から三つ以上の周波数に共振させることは困難であった。また、共振させる周波数に対応した複数の放射エレメントを設ける方法は、アンテナ全体の大きさが大きくなるため、小型無線装置に実装することが困難であった。
米国特許明細書第6,166,694号
このように、従来のマルチバンドアンテナでは、三つ以上の周波数に共振させることが困難であるという問題がある。また、従来のマルチバンドアンテナでは、アンテナ全体の大きさが大きくなるため、小型無線装置に実装することが困難であるという問題がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、三つ以上の周波数に共振させることができ、かつ小型無線装置に実装することのできる逆F型アンテナ、無線装置を提供することを目的としている。
上記した目的を達成するために、本発明の逆F型アンテナは、接地導体と、接地導体と絶縁して形成された給電用端子と、接地導体と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部と、放射導体基部から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部と、放射導体基部から同一平面上に第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部とからなる放射エレメントと、第2の放射導体部と接地導体の間に配置された補助エレメントと、放射導体基部と、補助エレメントと、給電用端子とを接続する給電部材と、放射導体基部と、補助エレメントと、接地導体とを接続する短絡部材とを具備し、第1の放射導体部は第1および第2の周波数に共振し、第2の放射導体部は第3の周波数に共振することを特徴とする。
また、本発明の逆F型アンテナは、接地導体と、接地導体と絶縁して形成された給電用端子と、接地導体と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部と、放射導体基部から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部と、放射導体基部から同一平面上に前記第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部とからなる第1の放射エレメントと、第2の放射導体部と接地導体の間に配置された第3の放射導体部と、第3の放射導体部から同一平面上に形成された第4の放射導体部とからなる第2の放射エレメントと、放射導体基部と、第3の放射導体部と、給電用端子とを接続する給電部材と、放射導体基部と、第3の放射導体部と、接地導体とを接続する短絡部材とを具備し、第1の放射導体部は第1および第2の周波数に共振し、第2の放射導体部は第3の周波数に共振し、第3の放射導体部および第4の放射導体部は第1、第2および第3の周波数以外に共振することを特徴とする。
さらに、本発明の無線装置は、上記した本発明の逆F型アンテナを具備している。
本発明では、接地導体と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部と、放射導体基部から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部と、放射導体基部から同一平面上に前記第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部とからなる放射エレメントを備えるので、3つの異なる周波数に共振する逆F型アンテナを実現することができる。また、本発明では、接地導体と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部と、放射導体基部から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部と、放射導体基部から同一平面上に第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部とからなる第1の放射エレメントと、第2の放射導体部と接地導体の間に配置された第3の放射導体部と、第3の放射導体部から同一平面上に形成された第4の放射導体部とからなる第2の放射エレメントとを備えるので、4つの異なる周波数に共振する逆F型アンテナを実現することができる。さらに、本発明では、上記した本発明の逆F型アンテナを備えるので、4つの無線システムを備えた無線装置を小型にすることができる。
本発明によれば、第1および第2の周波数に共振する第1の放射導体部および第3の周波数に共振する第2の放射導体部を備えるので、3つの異なる周波数に共振する逆F型アンテナを実現することができる。
また、本発明によれば、第1および第2の周波数に共振する第1の放射導体部および第3の周波数に共振する第2の放射導体部を備える第1の放射エレメントと、第4の周波数に共振する第2の放射エレメントを備えるので、4つの異なる周波数に共振する逆F型アンテナを実現することができる。
さらに、本発明によれば、第1および第2の周波数に共振する第1の放射導体部および第3の周波数に共振する第2の放射導体部を備える第1の放射エレメントと、第4の周波数に共振する第2の放射エレメントを備えた逆F型アンテナを備えるので、複数の無線システムを備えた無線装置を小型にすることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る第1の実施形態の逆F型アンテナの全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、この逆F型アンテナ1は、誘電体材料からなる矩形の放射基板2およびベース基板3と、絶縁性材料からなる柱状のスペーサ4と、導体材料からなる給電部材としての給電線5および短絡部材としての短絡線6とにより構成されている。ここで、誘電体材料は、例えばセラミックなどの誘電率が高く高周波特性の良好な誘電体である。絶縁性材料は、例えばポリカーボネイト(PC)やポリオキシメチレン(POM)などの高周波特性の良好な絶縁体である。また、導体材料は、高周波特性の良好な銅や銀などの導体である。
この逆F型アンテナ1の放射基板2は、その表面(第1の主面)に、例えば銀や銅など高周波特性が良好な面状導体からなる放射エレメントとしての第1の放射導体11、第2の放射導体12および放射導体基部13が形成され、その底面(第2の主面)に面状導体からなる補助エレメントとしての第3の放射導体(図示せず)が形成されている。そして、放射導体基部13および第3の放射導体の互いに近接する辺部には、半田付けなどにより給電線5および短絡線6が対となるように接続されている。すなわち、給電線5および短絡線6は、放射導体基部13および第3の放射導体と放射基板2のほぼ同じ位置において接続されている。
また、放射基板2とベース基板3とが対向配置されるように放射基板2を支持するためのスペーサ4が、放射基板端部2’を挟み込むように固定されている。
放射基板2を固定するスペーサ4は、その下端の端面にベース基板3を固定するネジ孔(図示せず)が形成されている。そして、当該下端の端面から所定の距離の位置の外周面には、放射基板端部2’を挟み込んで固定するための溝が形成されている。この溝は、放射基板2の厚さとほぼ同じ厚さとして、放射基板端部2’を挟んだ場合に容易に外れないように形成される。
スペーサ4により放射基板2と固定されるベース基板3は、その表面または底面に面状導体からなる接地導体としての地導体32が形成され、放射基板2における給電線5の接続点と相対する位置に給電端子31が形成されている。そしてベース基板3の端部には、スペーサ4を固定するためのネジ孔(図示せず)が形成されている。
すなわち、図1に示すように、放射エレメントおよび補助エレメントが形成された放射基板2は、その端部においてスペーサ4が放射基板端部2’を挟み込むようにして固定されている。そして、スペーサ4は、ベース基板3に形成されたネジ孔を通して、ベース基板3の底面方向から挿入される絶縁性ネジにより、スペーサ4の端面に形成されたネジ孔にネジ止めされてベース基板3と固定される。その結果、放射基板2とベース基板3とは所定の距離を離した状態で対向配置される。また、それぞれの一端が放射基板2に接続されている給電線5および短絡線6は、放射基板2の垂直方向に垂下してベース基板3へと延びており、それぞれの他端とベース基板3の給電端子31およびその近傍の地導体32とが電気的・高周波的に接続されている。
ベース基板3に形成された給電端子31は、送受信回路7と給電ケーブルなどにより接続される。送受信回路7は、この逆F型アンテナに高周波電流を供給する供給源である。
放射基板2の表面に形成された第1の放射導体11および第2の放射導体12は、この逆F型アンテナ1の放射エレメントとして作用する。第1の放射導体11は、異なる二つの周波数に共振して二つの周波数の電波を放射する作用をする。第2の放射導体12は、第1の放射導体11の共振周波数とは異なる周波数に共振して、当該周波数の電波を放射する作用をする。なお、放射基板2の底面に形成された第3の放射導体は、第2の放射導体12の補助エレメントとして作用する。
ベース基板3に形成された接地導体としての地導体32は、この逆F型アンテナ1の地導体(グラウンド)として作用する。スペーサ4は、アンテナ全体が逆F型アンテナとして機能するように、当該放射エレメントとグラウンドとを所定の間隔に保つ作用をする。給電線5は、給電端子31に給電された高周波電流を放射エレメントおよび補助エレメントに流す作用をする。短絡線6は、放射エレメントおよび補助エレメントの一部をグラウンドに短絡させる逆F型アンテナにおける短絡ピンとしての作用をする。
なお、この実施形態では放射基板2およびベース基板3を矩形の誘電体材料により構成したが、これに限定されるものではない。すなわち、放射基板2に形成される第1の放射導体11、第2の放射導体12、放射導体基部13および第3の放射導体が所定の形状となっていれば、放射基板2やベース基板3自体の形状はどのような形状でもよい。したがって、この逆F型アンテナによれば、アンテナ全体の形状の自由度を大きくすることができる。
また、この実施形態では放射基板端部2’としているが、これに限られるものではない。すなわち、放射基板端部2’は、スペーサ4が放射基板2に形成された放射エレメントに干渉することなく放射基板2を固定することができれば、どのような形状に形成されてもよい。
さらに、スペーサ4は、図1に示すような形状に限られるものではなく、例えば放射基板2の数箇所を柱状の形状としてベース基板3と固定してもよい。すなわち、放射基板2とベース基板3とを所定の間隔をもって対向配置させる作用をすれば、どのような形状・方式のものでもよい。また、スペーサ4を使わずに放射基板2とベース基板3とを一体的に形成して、放射基板2に形成された放射エレメントとベース基板3に形成された地導体とが所定の間隔で対向配置されるようにしてもよい。また、放射基板2とベース基板3は、各々どちらの主面が互いに向き合うように対向配置しても同様の効果を得ることができる。
このように、この逆F型アンテナによれば、二つの周波数に共振する第1の放射導体11および第1の放射導体11と異なる周波数に共振する第2の放射導体12を備えるので、アンテナ全体として3つの周波数に共振させることができる。また、この逆F型アンテナによれば、アンテナ全体の大きさを小さくすることができ、形状の自由度を大きくすることができる。
次に、図2および図3を参照して、この実施形態の逆F型アンテナ1における放射基板2について詳細に説明する。図2は、この実施形態における放射基板2の表面(第1の主面)を示す平面図であり、図3は、同じく底面(第2の主面)を示す底面図である。なお、以下の説明における記号A乃至Tは、図2および図3における記号A乃至Tと対応する。
図2および図3に示すように、この逆F型アンテナ1の放射基板2は、矩形(長方形)ABCDに成形されたセラミックなどの誘電体基板8としてなる。そして、誘電体基板8の第1の主面には、銀などの面状導体が図2の斜線部で示すように形成され、長辺ADにおける短辺AB寄りの一隅には、給電線5および短絡線6が接続されている。また、誘電体基板8の第2の主面には、銀などの面状導体が図3の斜線部で示すように形成され、長辺ADの端部ASにて給電線5および短絡線6が接続されている。
図2に示す第1の主面に形成された面状導体には、給電線5に近接する位置から長辺BC側に延在し、その先端が短辺CD側に屈曲したL字型の切り込みHILPONと、長辺BC上で長辺ADに接続された短絡線6と相対する位置QFから長辺ADに向かって延在した直線状の切り込みQFERが形成されている。このL字型の切り込みに接する領域EFCDNOPLIE’は、第1の放射導体11として互いに異なる二つの周波数に共振する放射エレメントとして作用する。また、当該直線状の切り込みと短辺ABとに挟まれた領域BQRR’は、第2の放射導体12として第1の放射導体11とは異なる一つの周波数に共振する放射エレメントとして作用する。
図3に示す第2の主面に形成された面状導体は、第1の主面に形成された領域BQRR’と相対する位置に短辺ABに沿うようにして、矩形(長方形)ASTBをなすように形成されている。そして、その端部ASにおいて、給電線5および短絡線6が接続されている。
まず、図2を参照して、放射基板2の第1の主面に形成された放射エレメントについて詳細に説明する。図2に示すように、斜線にて示す放射エレメントは、矩形ABCDのA点に接するように形成された矩形の放射導体基部13と、この放射導体基部13から鉤型かつ帯状に延びるように形成された第1の放射導体11と、第1の放射導体11に近接し放射導体基部13から一方向に延びるように形成された第2の放射導体12とから構成されている。
誘電体基板8には、その長辺ADおよび短辺ABに沿うようにして、辺ADのA点寄りの点をH、辺ABのA点寄りの点をR’とした矩形AR’E’Hの面状導体からなる放射導体基部13が形成されている。そして、放射導体基部13の長辺AHには、そのA点寄りに短絡線6が、同じくH点寄りに給電線5が互いに近接して半田付けなどにより接続されている。
放射導体基部13と一体的に形成される第2の放射導体12は、その長辺が誘電体基板8の短辺ABに沿うようにして、誘電体基板8の短辺ABのA点寄りの点をR’、放射導体基部13の長辺R’E’のR’点寄りの点をRとした矩形R’BQRの面状導体により形成されている。すなわち第2の放射導体12は、幅をRR’、長さをR’Bとした矩形で帯状の面状導体として形成されている。
放射導体基部13と一体的に形成される第1の放射導体11は、放射導体基部13の長辺R’E’のE’点寄りの点をEとして、辺EE’を起点に鉤型で帯状の面状電極として形成されている。まず、辺EE’から、誘電体基板8の短辺ABに沿うように長辺BCに向かって、かつ第2の放射導体12と所定の距離を離すようにして、面状導体EFGE’が形成されている。そして、面状導体EFGE’の長辺GE’の垂直方向かつ誘電体基板8の長辺BCに沿うようにして、面状導体GCJIが形成されている。さらに、面状導体GCJIの長辺JIの垂直方向かつ誘電体基板8の短辺CDに沿うようにして、面状導体JDMLが形成されている。そして、面状導体JDMLの辺MLを起点とし、誘電体基板8の長辺ADに沿うようにして、辺MLのL点寄りの点をPとした面状導体MNOPが形成されている。第1の放射導体11は、このようにして形成された鉤型の面状導体EFCDNOPLIE’により形成されている。
このように、鉤型の面状導体EFCDNOPLIE’からなる第1の放射導体11および帯状の面状導体R’BQRからなる第2の放射導体12は、矩形AR’E’Hの面状導体からなる放射導体基部13の辺R’E’と一体的に形成され、放射エレメントを構成している。
第1の放射導体11は、少なくとも基本周波数およびその整数倍の周波数に共振して各々の電波を放射する作用をする。また、第2の放射導体12は、第1の放射導体11の共振周波数とは異なる周波数に共振して当該周波数の電波を放射する作用をする。放射導体基部13は、第1の放射導体11および第2の放射導体12と、給電線5および短絡線6との橋渡しをする作用をする。
次に、図3を参照して放射基板2の第2の主面に形成された補助エレメントについて詳細に説明する。
図3に示すように、矩形ADCBの誘電体基板8には、その短辺ABに沿わせるように帯状の面状導体ASTBが第3の放射導体21として形成されている。すなわち、第3の放射導体21は、誘電体基板8の長辺ADのA点寄りの点をSとし、同じく長辺BCのB点寄りの点をTとした帯状の面状導体ASTBとして形成される。
第3の放射導体21の短辺ASには、図2に示した放射導体基部13に接続された給電線5および短絡線6が接しており、その接点は半田付けなどにより電気的・高周波的に接続されている。すなわち、給電線5および短絡線6は、図2に示す放射導体基部13および図3に示す第3の放射導体21の両方と短辺ASにおいて接続されている。
この第3の放射導体21は、図2に示した第2の放射導体12と誘電体基板8をはさんで対称の位置に形成されている。そして、第3の放射導体21は、第2の放射導体12の実効長を長くして第2の放射導体12の共振周波数を調整する作用をする。
図2および図3に示すように、放射基板2には、その一方の面に第1の放射導体11、第2の放射導体12および放射導体基部13が放射エレメントとして形成され、他方の面に第3の放射導体21が補助エレメントとして形成されている。そして、第1の放射導体11は、少なくとも基本周波数およびその整数倍の周波数に共振して少なくとも二以上の周波数の電波を放射する放射エレメントとして作用する。また、第2の放射導体12は、第3の放射導体21とともに第1の放射導体11とは異なる周波数の電波を放射する放射エレメントとして作用する。すなわち、この逆F型アンテナ1における放射基板2によれば、少なくとも三以上の異なる周波数と共振して各々の周波数の電波を放射することができる。
なお、この実施の形態では放射基板2を矩形としているが、これに限定されるものではない。すなわち、放射基板2の一方の面に第1の放射導体11、第2の放射導体12および放射導体基部13が放射エレメントとして形成され、他方の面に第3の放射導体21が補助エレメントとして形成されていれば、放射基板2はどのような形状でもよい。したがって、この逆F型アンテナによれば、アンテナ全体としての形状の自由度を大きくすることができる。
次に、図4を参照して、この実施形態の逆F型アンテナ1におけるベース基板3について詳細に説明する。図4は、第1の実施形態の逆F型アンテナ1のベース基板3の面状導体形成面を示す平面図である。
図4に示すように、ベース基板3は、セラミックなどからなる矩形の誘電体基板9の一方の主面上に、例えば銀や銅などの導体からなる給電端子31および地導体32と、ネジ孔10とを形成してなる。
給電端子31は、その主面上に面状導体からなる地導体32が形成された誘電体基板9に対するエッチングにより、地導体32と電気的に絶縁された面状導体領域を形成してなる。給電端子31の位置は、放射基板2およびベース基板3をスペーサ4により固定した場合に、給電線5を放射基板2からベース基板3に向かって垂下させた位置に対応して規定される。なお、給電端子31は、高周波電流を供給する給電ケーブルなどを半田付けなどにより接続する中継端子として作用するが、給電端子31にスルーホールを設けてベース基板3の裏面側から高周波電流を供給するように形成してもよい。
地導体32は、ベース基板3に形成された面状導体のうち、給電端子31を除くほぼ全面に形成されている。地導体32は、この実施形態に係る逆F型アンテナ1のグラウンドとして作用し、逆F型アンテナ1が動作するために必要十分な大きさに形成される。ネジ孔10は、放射基板2を固定するスペーサ4を固定する位置に形成されている。
なお、この実施形態では、給電端子31をエッチングにより形成したが、これに限定されるものではない。すなわち、その全面に地導体32となる面状導体が形成された誘電体基板9の所定の位置に、絶縁性材料を挟んで導電材料からなる給電端子31を貼り付けるようにして形成してもよい。
次に、図5を参照して、この実施形態の逆F型アンテナ1における給電線5および短絡線6について詳細に説明する。図5は、第1の実施形態の逆F型アンテナの給電端子31付近を示す拡大図である。
図5に示すように、放射基板2は、その端部2’がスペーサ4に形成された溝に挟まれるようにして固定される。スペーサ4の底部の端面は、ベース基板3と絶縁性ネジ(図示せず)などにより固定される。
給電線5および短絡線6の各々の一端は、放射基板2の第1の主面に形成された放射導体基部13および第2の主面に形成された第3の放射導体21と半田付けなどにより接続され、各々の他端は、ベース基板3に向かってほぼ垂直に延伸されている。この実施形態の逆F型アンテナ1では、給電線5および短絡線6は、弾力性を有する短冊状の面状銅板である。給電線5は、ベース基板3に形成された給電端子31と適当な接触圧力で面接触し、電気的・高周波的に接続されている。同様に、短絡線6は、ベース基板3に形成された地導体32と適当な接触圧力で面接触し、電気的・高周波的に接続されている。スペーサ4は、放射基板2およびベース基板3を固定するとともに、給電線5および短絡線6が給電端子31および地導体32とそれぞれ電気的・高周波的に接続されるように、十分な接触圧力を生じさせる作用をする。
このように、この逆F型アンテナ1によれば、放射基板2から延びた給電線5および短絡線6がベース基板3に形成された給電端子31およびその近傍の地導体32と面接触により電気的・高周波的に接続されるので、製造工程を大幅に簡略化することができる。
なお、この実施形態では給電線5および短絡線6を短冊状の面状銅板としたが、これに限定されるものではない。すなわち、給電線5および短絡線6を銅線や銀線などとして放射基板2およびベース基板3の各々と半田付けなどにより接続しても、逆F型アンテナとしての動作に影響はない。
次に、図6を参照して、この実施形態の逆F型アンテナ1の動作について説明する。図6は、この逆F型アンテナ1の原理的構成を示した図である。なお、図1乃至4と共通する部分には同一の符号を付して示した。
図6に示すように、この逆F型アンテナ1では、鉤型の面状導体EFCDNOPLIE’からなる第1の放射導体11と、矩形で帯状の面状導体R’BQRからなる第2の放射導体12とが、放射導体基部13と同一平面内で一体となって放射エレメントとして形成されている。この放射導体基部13は、辺AHに給電線5が接続されるとともに給電線5の近傍に短絡線6が接続され、各々給電端子31およびグラウンドとしての地導体32に垂下して接続されている。そして、当該放射エレメントと地導体32とは所定の距離をもって対向配置されている。
送受信回路7により給電端子7に高周波電流が供給されると、給電端子31は、給電線5を通じて放射導体基部13に高周波電流を導く。放射導体基部13は、第1の放射導体11および第2の放射導体12に当該高周波電流を導く。この逆F型アンテナ1では、放射導体基部13、給電線5、短絡線6および地導体32とともに、鉤型の第1の放射導体11を放射エレメントとする逆F型アンテナおよび帯状の第2の放射導体12を放射エレメントとする逆F型アンテナを構成している。
送受信回路7により供給される高周波電流の周波数が第1の放射導体11の基本共振周波数(第1の周波数)である場合、当該高周波電流は、放射導体基部13から第1の放射導体11へと流れる。そして、第1の放射導体11は、第1の周波数の電波を放射する。このとき、第2の放射導体12の共振周波数は、当該第1の周波数と離れているので第2の放射導体12に定在波は生じず、したがって第2の放射導体12からは電波が放射されない。
送受信回路7により供給される高周波電流の周波数が第1の放射導体11の基本共振周波数の整数倍の周波数(第2の周波数)である場合、当該高周波電流は、放射導体基部13から第1の放射導体11へと流れる。そして、第1の放射導体11は、第2の周波数の電波を放射する。第1の周波数と同様に、第2の放射導体12の共振周波数は、当該第2の周波数と離れているので第2の放射導体12に定在波は生じず、したがって第2の放射導体12からは電波が放射されない。
送受信回路7により供給される高周波電流の周波数が第2の放射導体12の共振周波数(第3の周波数)である場合、当該高周波電流は放射導体基部13から第2の放射導体12および第3の放射導体21へと流れる。そして、第2の放射導体12は、第3の放射導体21とともに第3の周波数の電波を放射する。この場合、第1の放射導体11の二つの共振周波数は、当該第3の周波数と離れているので第1の放射導体11に定在波は生じず、したがって第1の放射導体11からは電波が放射されない。
この逆F型アンテナにより電磁波を受信する場合は、送信する場合と同様の動作により実現される。すなわち、この逆F型アンテナ1が第1の周波数または第2の周波数の電波を受けると、第1の放射導体11は高周波電流を励起して給電線5を介して送受信回路7へ導く。また、この逆F型アンテナ1が第3の周波数の電波を受けると、第2の放射導体12は高周波電流を励起して給電線5を介して送受信回路7へ導く。なお、送受信回路7は、送信のみを行う送信回路や受信のみを行う受信回路であってもよい。
このように、この逆F型アンテナ1では、第1の周波数および第2の周波数に共振する第1の放射導体11と、第3の周波数に共振する第2の放射導体12と、第2の放射導体12を補助する第3の補助導体21とを備えた逆F型アンテナを構成するので、少なくとも三つの周波数の電波を放射することができる。また、この逆F型アンテナ1によれば、1/4波長モードで動作するので、3以上のマルチバンドアンテナを小型にすることができ、またアンテナ全体の形状の自由度を大きくすることができる。
次に、図7を参照して、本発明に係る第2の実施形態の逆F型アンテナについて説明する。図7は、第2の実施形態の逆F型アンテナの放射基板2の底面(第2の主面)を示す底面図である。なお、本発明の第1の実施の形態と同一構成部分には同一の符号を付して示した。
この実施形態に係る逆F型アンテナは、第1の実施形態に係る逆F型アンテナ1の放射基板2に形成された第3の放射導体21を変形させたもので、第3の放射導体21を補助エレメントとしてだけでなく放射エレメントとしても動作させるものである。すなわち、この実施形態の逆F型アンテナ1は、図2に示した基本周波数とその整数倍の周波数に共振する第1の放射導体11およびこの第1の放射導体11と異なる周波数に共振する第2の放射導体12と、図7に示す第1および第2の放射導体11・12と異なる周波数に共振する放射エレメントとを備えたものである。そこで、第1の実施形態との共通部分の重複説明は省略し、相違する当該放射エレメントについて説明する。なお、以下の説明における記号A乃至Tおよび記号a乃至lは、図2および図7における記号A乃至Tおよび記号a乃至lと対応する。
図7に示すように、この実施形態の逆F型アンテナ1の放射基板2は、矩形ADCBに成形されたセラミックなどの誘電体基板8の底面(第2の主面)に、例えば銀や銅などの導体からなるT字状の面状導体AafhjklgedcBにより構成される放射エレメント(放射導体)が形成されている。
この放射エレメントは、逆L字状に形成された第1のL字導体部22(面状導体AaedcB)および第2のL字導体部23(面状導体fhjklg)とが一体的に形成されてなる。そして、T字状の面状導体の端部である辺Aaには、この放射基板2の第1の主面に接続された給電線5および短絡線6が接しており、半田付けなどにより接続されている。
T字状の放射エレメントを構成する第1のL字導体部22は、放射基板2の第2の主面(第1の放射導体11、第2の放射導体12および放射導体基部13が形成された面と反対側の主面)に、誘電体基板8の短辺ABを長辺として、同じく長辺ADの端部である辺Aaを短辺とした矩形の面状導体AabBとして形成され、その端部Bbにおいて誘電体基板8の長辺BCに沿うようにして面状導体edcbが一体的に折り曲げられるように形成されている。すなわち第1のL字導体部22は、その先端が折り曲げられ誘電体基板8の短辺ABに沿うような逆L字型の面状導体AaedcBとして形成されている。
第1のL字導体部22の端部Aaには、A点寄りに短絡線6、およびa点寄りに給電線5がそれぞれ対になって半田付けなどにより接続されている。
第1のL字導体部22と一体的に形成される第2のL字導体部23は、誘電体基板8において第1のL字導体部22が形成された面と同一の主面上に、第1のL字導体部22の辺aeのほぼ中点であるf点およびg点から、辺aeと垂直方向に延伸されるように形成された面状導体fhigとして形成され、その先端部hiにおいて誘電体基板8の長辺BCの方向に面状導体ijklが一体的に折り曲げられるように形成されている。すなわち第2のL字導体部23は、第1のL字導体部22のほぼ中点fgから第1のL字導体部22の長手ABの垂直方向に延びるようにして、その端部が折り曲げられた逆L字型の面状導体fhjklgとして形成されている。
第1のL字導体部22から第2のL字導体部23が延伸する起点となるf点およびg点の位置は、給電線5に高周波電流を給電した場合に、第1のL字導体部22の長手AB方向に流れる電流の位相と第2のL字導体部23の長手fh方向に流れる電流の位相との差が略π/2となるような位置に規定される。
第1のL字導体部22は、その長手AB方向の直線偏波の電磁波を放射する作用をし、第2のL字導体部23は、その長手fh方向の直線偏波の電磁波を放射する作用をする。そして、第1のL字導体部22と第2のL字導体部23とはほぼ直交するように形成され、第1のL字導体部22の長手方向に流れる電流と第2のL字導体部23の長手方向に流れる電流との位相差がπ/2となるように構成するので、結果として円偏波特性を得ることができる。
すなわち、第1のL字導体部22および第2のL字導体部23により構成されるT字状の面状導体により、この逆F型アンテナ1は、円偏波の偏波特性を得ることができる。なお、図7においては、放射エレメント部分を斜線にて図示した。
次に、図8を参照して、この実施形態の逆F型アンテナ1の動作について説明する。図8は、この逆F型アンテナ1の原理的構成を示した図である。なお、図1乃至4と共通する部分には同一の符号を付して示した。この実施形態の逆F型アンテナ1では、放射基板2に形成された第1の放射導体11、第2の放射導体12および第1のL字導体部22ならびに第2のL字導体部23の全てが放射エレメントとして動作する。なお、第1の放射導体11および第2の放射導体12の動作は、図6に示した第1の放射導体11および第2の放射導体12と同一であるから説明を省略する。
図8に示すように、この逆F型アンテナ1では、L字状の面状導体AaedcBからなる第1のL字導体部22とL字状の面状導体fhjklgからなる第2のL字導体部23とが同一平面内で一体となって、放射エレメント(面状導体AafhjklgedcB)が形成されている。第1のL字導体部22は、端部Aaに給電線5が接続されるとともに給電線5の近傍に短絡線6が接続され、各々給電端子31およびグラウンドとしての地導体32に垂下して接続されている。そして、当該放射エレメントと地導体32とは所定の距離をもって対向配置されている。
送受信回路7により給電端子31に高周波電流が供給されると、給電端子31は、給電線5を通じて第1のL字導体部22に高周波電流を導く。第1のL字導体部22は、L字状の面状導体AaedcBを放射エレメントとして、短絡線6および地導体32とともに通常の逆F型アンテナを構成する。通常の逆F型アンテナは、放射エレメントをモノポールとした逆L型アンテナの変形であり、それによって放射される電磁波は直線偏波である。したがって、第1のL字導体部22は、辺AB方向の直線偏波の電磁波を放射する。
一方、第2のL字導体部23は、第1のL字導体部22の長手方向(辺AB方向)に流れる電流と第2のL字導体部23の長手方向(辺fh方向)に流れる電流との位相差が略π/2となるような位置に形成されている。したがって、第1のL字導体部22に高周波電流が流れると、第2のL字導体部23には第1のL字導体部22に流れる電流とπ/2位相がずれた電流が流れる。そして、第2のL字導体部23は、辺fh方向の直線偏波の電磁波を放射する。
すなわち、第1のL字導体部22と第2のL字導体部23とはほぼ直交するように配置され、各々の長手方向に流れる高周波電流の位相差はπ/2となるから、この逆F型アンテナ1は地導体32の垂直方向に円偏波の電磁波を放射することになる。
この逆F型アンテナにより円偏波の電磁波を受信する場合は、送信する場合と同様の動作により実現される。すなわち、この逆F型アンテナ1が円偏波の電磁波を受けると、第1のL字導体部22および第2のL字導体部23は、それぞれ位相がπ/2ずれた高周波電流を励起する。そして、各々に励起された高周波電流は、合成されて給電線5および給電端子31を介して送受信回路7へ導かれる。なお、送受信回路7は、送信のみを行う送信回路や受信のみを行う受信回路であってもよい。
このようにこの実施形態の逆F型アンテナによれば、放射基板2の第1の主面に形成した放射エレメントに加えて、第2の主面に形成した面状導体を放射エレメントとして動作させるので、少なくとも4つの異なる周波数に共振させることができる。また、この逆F型アンテナによれば、互いに直交し流れる高周波電流の位相がπ/2ずれるように形成されたT字型の放射エレメントを備えるので、円偏波特性を得ることができる。さらに、この逆F型アンテナによれば、1/4波長モードで動作するので、小型の円偏波アンテナを容易に実現することができる。そして、この逆F型アンテナによれば、放射エレメントがT字状に形成されるので、円偏波特性でありながらアンテナ全体の形状の自由度を大きくすることができる。
この実施形態においては、放射基板2の第1の主面には、図2に示した第1の放射導体11、第2の放射導体12および放射導体基部13からなる放射エレメントが形成され、その裏面である第2の主面には、図7に示した第1のL字導体部22および第2のL字導体部23からなる放射エレメントが形成されている。ここで、放射基板2の第1の主面に形成された放射エレメントと第2の主面に形成された放射エレメントは、互いに近接して対向配置されているので、各々の共振周波数の関係によっては放射エレメント相互間で干渉を生ずる可能性がある。
そこで、この実施形態では、放射基板2の第1の主面に形成した放射エレメントと第2の主面に形成した放射エレメントの各々の偏波特性を変えることで、かかる放射エレメント相互間の干渉を抑えている。すなわち、第1の放射導体11および第2の放射導体12からなる放射エレメントについては、直線偏波をもつ通常の逆F型アンテナとして動作させ、第1のL字導体部22および第2のL字導体部23からなる放射エレメントについては、円偏波特性の逆F型アンテナとして動作させている。このように、この実施形態の逆F型アンテナでは、放射基板2の第1の主面の放射エレメントと第2の主面の放射エレメントとを互いに異なる偏波特性としたので、放射エレメントを積層構造に形成しても放射エレメント間の干渉を抑えることができる。また、この実施形態の逆F型アンテナでは、直線偏波に加えて円偏波の偏波特性をも得ることができるので、小型でありながら円偏波特性アンテナを実現することができる。
ここで、図2および図7を参照して、この第2の実施形態の逆F型アンテナ1の実施例について説明する。
まず、放射基板2における誘電体基板8として、厚さ1mmのセラミック板を、短辺ABが14.40mm、長辺ADが32.40mmの大きさの矩形として成形した。そして、そのセラミック板の短辺ABおよび長辺ADに沿わせるようにして、短辺AR’が4.90mm、長辺AHが6.20mmの矩形AR’E’Hとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布して放射導体基部13を形成した。
そして、放射導体基部13の辺R’E’から一体的かつセラミック板の辺ABに沿わせるようにして、幅2.20mmの帯状の矩形R’BQRとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布して第2の放射導体部12を形成した。
次に、放射導体基部13の辺R’E’から一体的かつ第2の放射導体部12と同一方向に、幅3.00mmの帯状の矩形EFGE’となるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布した。その結果、矩形EFGE’と第2の放射導体部12とは、幅1.00mm、長さ9.50mmのスリットQFERが形成された。
帯状の矩形EFGE’となるように銀ペーストを塗布した後、辺GE’から一体的かつセラミック板の長辺BCに沿わせるようにして、幅6.80mm、長さ26.20mmの帯状の矩形GCJIとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布した。そして、辺JIから一体的かつセラミック板の短辺CDに沿わせるようにして、幅5.80mm、長さ7.60mmの帯状の矩形JDMLとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布した。さらに、辺MLから一体的かつセラミック板の長辺ADに沿わせるようにして、幅5.50mm、長さ15.40mmの帯状の矩形MNOPとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布した。
その結果、L字型のスリットHILPONと鉤型の帯状電極EFCDNOPLIE’が形成され、第1の放射導体部11が形成された。
放射導体基部13の辺AHには、A点寄りに短絡線6、H点寄りに給電線5を半田付けにより接続した。
次に、当該セラミック板の第1の放射導体部11、第2の放射導体部12および放射導体基部13が形成された面の反対側の面に、短辺ABに沿わせて、短辺Aaが5.20mm、長辺ABが14.40mmの帯状の矩形AabBとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布した。そして、セラミック板の長辺BCに沿わせるようにして、辺abから長さbcが1.70mm、幅ebが3.20mmの矩形面状導体edcbを、当該セラミック板に銀ペーストを塗布して矩形面状導体AabBと一体的に形成し、第1のL字導体部22とした。その結果、第1のL字導体部22は、逆L字状の面状導体AaedcBとして形成された。
次に、この逆L字状の面状導体の一辺ae上で、点aから4.20mmとなる位置をf点、点aから7.20mmとなる位置をg点として、幅fgが3.00mm、長さfhが7.00mmの帯状の矩形fhigとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布した。そして、矩形fhigの端部hiにおいて、辺igからセラミック板の長辺BC方向に向けて、幅ilが3.00mm、長さijが1.70mmの矩形ijklとなるように、当該セラミック板に銀ペーストを塗布して矩形fhigと一体的に形成し、第2のL字導体部23とした。その結果、第2のL字導体部23は、逆L字状の面状導体fhjklgとして形成された。
第1のL字導体部22の辺Aaにおいて、第1の放射導体部11に接続された給電線5および短絡線6を、当該第1のL字導体部22と半田付けにより接続した。
ベース基板3は、厚さ1mmのセラミック板の表面に銀ペーストを塗布して給電端子31および地導体32を形成した。そして、ポリカーボネイトからなるスペーサ4により、放射基板2の第1および第2のL字導体部22・23が形成された面とベース基板3の銀ペースト塗布面とが向かい合うようにして固定した。このとき、放射基板2とベース基板3の距離を4.50mmとして、第1および第2のL字導体部形成面とベース基板3の銀ペースト塗布面との距離も4.50mmとした。そして、給電線5および短絡線6を、放射基板2から垂下させてベース基板3に形成された給電端子31およびその近傍の地導体32と面接触させた。
以上のように構成した結果、第1の放射導体部11の共振点として920MHzおよび1801MHz、第2の放射導体部12の共振点として2454MHz、第1および第2のL字導体部22・23の共振点として1574MHzとする逆F型アンテナを得ることができた。この実施例により得られた周波数特性を図9および図10に、同じくスミスチャートを図11に示す。
次に、図12を参照して、本発明に係る第3の実施形態の無線装置について説明する。図12は、第3の実施形態の無線装置の概略を示す概略図である。
図12に示すように、この無線装置41は、操作スイッチ43およびマイク44などを筐体42の外部に備えた無線端末である。そして、この無線装置41は、本発明の第2の実施形態に係る逆F型アンテナ1、例えば携帯電話などの第1の周波数の電波を変調・復調する第1の無線送受信部46および第2の周波数の電波を変調・復調する第2の無線送受信部47、無線LANなどの電波を変調・復調する無線LAN送受信部48および円偏波の電波を利用する無線システムとしてのGPS受信部49を筐体42の内部に備えている。
逆F型アンテナ1に設けられた給電端子5は、給電ケーブル45およびダイプレクサ(図示せず)などを介して第1および第2の無線送受信部46・47、無線LAN送受信部48、およびGPS受信部49と接続されている。
第1および第2の無線送受信部46・47は、例えば携帯電話などの無線システムの送受信回路群であり、各々異なる第1および第2の周波数の電波を変復調する。無線LAN送受信部48は、例えば「Bluetooth」などの無線システムの送受信回路群であり、第1および第2の周波数とは異なる第3の周波数の電波を変復調する。なお、「Bluetooth」は、「ザ ブルートゥース エスアイジー インコーポレーテッド」の登録商標である。GPS受信部49は、衛星からの電波を利用して現在位置を測定する測位手段を備えており、筐体18に備えられた液晶表示部(図示せず)などにより利用者に現在位置を示す作用をする。
この実施形態に係る無線装置41によれば、本発明の第2の実施形態に係る逆F型アンテナ1を備えるので、一つのアンテナで4つの周波数の無線システムに利用可能な無線端末を実現することができ、また、無線装置全体の大きさを小さくすることができる。
なお、この実施形態では、本発明の第2の実施形態に係る逆F型アンテナ1を備えているが、これに限定されるものではない。すなわち、本発明の第1の実施形態に係る逆F型アンテナ1を備えて無線端末を構成してもよい。この場合、一つのアンテナで3つの周波数の無線システムに利用可能な無線端末を実現することができる。
本発明の第1の実施形態の逆F型アンテナの全体構成を示す斜視図である。 この逆F型アンテナの放射基板の第1の主面を示す平面図である。 この逆F型アンテナの放射基板の第2の主面を示す平面図である。 この逆F型アンテナのベース基板の面状導体形成面を示す平面図である。 この逆F型アンテナの給電端子付近を示す拡大図である。 本発明の第1の実施形態の逆F型アンテナの原理的構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態の逆F型アンテナの放射基板の第2の主面を示す平面図である。 本発明の第2の実施形態の逆F型アンテナの原理的構成を示す図である。 本発明の第2の実施形態の逆F型アンテナの実施例により得られた周波数特性を示す図である。 本発明の第2の実施形態の逆F型アンテナの実施例により得られた周波数特性を示す図である。 本発明の第2の実施形態の逆F型アンテナの実施例により得られたスミスチャートである。 本発明の第3の実施形態の無線装置の概略を示す概略図である。
符号の説明
1…逆F型アンテナ、2…放射基板、2’…放射基板端部、3…ベース基板、4…スペーサ、5…給電線、6…短絡線、7…送受信回路、8…誘電体基板、9…誘電体基板、10…ネジ孔、11…第1の放射導体、12…第2の放射導体、13…放射導体基部、21…第3の放射導体、22…第1のL字導体部、23…第2のL字導体部、31…給電端子、32…地導体、41…無線装置、42…筐体、43…操作スイッチ、44…マイク、45…給電ケーブル、46…第1の無線送受信部、47…第2の無線送受信部、48…無線LAN送受信部、49…GPS受信部。

Claims (8)

  1. 接地導体と、
    前記接地導体と絶縁して形成された給電用端子と、
    前記接地導体と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部と、前記放射導体基部から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部と、前記放射導体基部から同一平面上に前記第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部とからなる放射エレメントと、
    前記第2の放射導体部と前記接地導体の間に配置された補助エレメントと、
    前記放射導体基部と、前記補助エレメントと、前記給電用端子とを接続する給電部材と、
    前記放射導体基部と、前記補助エレメントと、前記接地導体とを接続する短絡部材とを具備し、
    前記第1の放射導体部は第1および第2の周波数に共振し、
    前記第2の放射導体部は第3の周波数に共振することを特徴とする逆F型アンテナ。
  2. 前記接地導体および前記給電用端子は、ベース基板の同一平面上に絶縁間隔をおいて形成され、
    前記放射エレメントは、支持部材によって前記ベース基板と所定の間隔にて離間して配置された放射基板の第1の主面上に形成され、
    前記補助エレメントは、前記放射基板の前記ベース基板と対向する第2の主面上に形成されたこと
    を特徴とする請求項1記載の逆F型アンテナ。
  3. 接地導体と、
    前記接地導体と絶縁して形成された給電用端子と、
    前記接地導体と所定の間隔にて離間した平面上に形成された放射導体基部と、前記放射導体基部から同一平面上に鉤状に形成された第1の放射導体部と、前記放射導体基部から同一平面上に前記第1の放射導体部と所定の間隔にて離間して形成された第2の放射導体部とからなる第1の放射エレメントと、
    前記第2の放射導体部と前記接地導体の間に配置された第3の放射導体部と、前記第3の放射導体部から同一平面上に形成された第4の放射導体部とからなる第2の放射エレメントと、
    前記放射導体基部と、前記第3の放射導体部と、前記給電用端子とを接続する給電部材と、
    前記放射導体基部と、前記第3の放射導体部と、前記接地導体とを接続する短絡部材とを具備し、
    前記第1の放射導体部は第1および第2の周波数に共振し、
    前記第2の放射導体部は第3の周波数に共振し、
    前記第3の放射導体部および前記第4の放射導体部は前記の第1、第2および第3の周波数以外に共振することを特徴とする逆F型アンテナ。
  4. 前記接地導体および前記給電用端子は、ベース基板の同一平面上に絶縁間隔をおいて形成され、
    前記第1の放射エレメントは、支持部材によって前記ベース基板と所定の間隔にて離間して配置された放射基板の第1の主面上に形成され、
    前記第2の放射エレメントは、前記放射基板の前記ベース基板と対向する第2の主面上に形成されたこと
    を特徴とする請求項3記載の逆F型アンテナ。
  5. 前記第3の放射導体部は、その端部が該第3の放射導体部と垂直方向に折れ曲がるように逆L字型に形成され、前記第4の放射導体部は、その端部が該第4の放射導体部と垂直方向に折れ曲がるように逆L字型に形成されることを特徴とする請求項3または4に記載の逆F型アンテナ。
  6. 前記第3の放射導体部の端部と前記第4の放射導体部の端部は、それぞれの端部から延長される仮想的延長線が互いに直交する方向に折れ曲がることを特徴とする請求項5記載の逆F型アンテナ。
  7. 前記第3の放射導体部と前記第4の放射導体部は、各々の長手方向に流れる高周波電流の位相差がπ/2であり、前記接地導体の垂直方向に円偏波の電磁波を放射することを特徴とする請求項3乃至6のいずれか1項記載の逆F型アンテナ。
  8. 請求項1乃至7のいずれか1項に記載の逆F型アンテナを備えた無線装置。
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