JP2004207596A - 回路基板、薄膜トランジスタ素子、有機薄膜トランジスタ素子、薄膜トランジスタ素子シート及び有機薄膜トランジスタ素子シート - Google Patents

回路基板、薄膜トランジスタ素子、有機薄膜トランジスタ素子、薄膜トランジスタ素子シート及び有機薄膜トランジスタ素子シート Download PDF

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Abstract

【課題】折り曲げ等の物理的変化にも強い耐性を示す回路基板、折り曲げ後のキャリア移動度の劣化が少ない、薄膜トランジスタ素子並びに有機薄膜トランジスタ素子及び有機薄膜トランジスタ素子シートを提供する。
【解決手段】樹脂からなる可撓性支持体上に、少なくとも1層の応力分散層を有し、且つ、少なくとも一つの電極または導電路を有することを特徴とする回路基板。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回路基板、薄膜トランジスタ素子、薄膜トランジスタ素子シート及び有機薄膜トランジスタ素子シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
情報端末の普及に伴い、コンピュータ用のディスプレイとしてフラットパネルディスプレイに対するニーズが高まっている。またさらに情報化の進展に伴い、従来紙媒体で提供されていた情報が電子化されて提供される機会が増え、薄くて軽い、手軽に持ち運びが可能なモバイル用表示媒体として、電子ペーパあるいはデジタルペーパへのニーズも高まりつつある。
【0003】
一般に平板型のディスプレイ装置においては液晶、有機EL、電気泳動などを利用した素子を用いて表示媒体を形成している。またこうした表示媒体では画面輝度の均一性や画面書き換え速度などを確保するために、画像駆動素子として薄膜トランジスタ(TFT)により構成されたアクティブ駆動素子を用いる技術が主流になっている。
【0004】
ここでTFT素子は、通常、ガラス基板上に、主にa−Si(アモルファスシリコン)、p−Si(ポリシリコン)などの半導体薄膜や、ソース、ドレイン、ゲート電極などの金属薄膜を基板上に順次形成していくことで製造される。
【0005】
このTFTを用いるフラットパネルディスプレイの製造には、通常、CVD、スパッタリングなどの真空系設備や高温処理工程を要する薄膜形成工程に加え、精度の高いフォトリソグラフ工程が必要とされ、設備コスト、ランニングコストの負荷が非常に大きい。さらに、近年のディスプレイの大画面化のニーズに伴い、それらのコストは非常に膨大なものとなっている。
【0006】
近年、従来のTFT素子のデメリットを補う技術として、有機半導体材料を用いた有機TFT素子の研究開発が盛んに進められている(特許文献1、非特許文献1等参照。)。
【0007】
前記の有機TFT素子は低温プロセスで製造可能であるため、軽く、割れにくい樹脂基板を用いることができ、さらに、樹脂フィルムを支持体として用いたフレキシブルなディスプレイが実現できると言われている(非特許文献2参照。)。また、大気圧下で、印刷や塗布などのウェットプロセスで製造できる有機半導体材料を用いることで、生産性に優れ、非常に低コストのディスプレイが実現できる。
【0008】
しかしながら、樹脂基板またはフィルムなどの支持体上に、TFT素子の電極や絶縁膜を形成した場合、ガラス支持体に比べて接着性が劣る問題がある。特に金属薄膜をパターニングして作成した電極を用いたTFT素子はトランジスタとしての特性が低下し、その傾向は有機TFTにおいて顕著であるという問題がある。
【0009】
また、CVDやスパッタリングなどのプロセスを用いた場合は、フィルム表面がダメージを受け、フィルムがカールしたり平面性が損なわれる、透明性が低下する等の問題がある。
【0010】
これらの接着性低下や支持体のダメージは、TFT素子破壊の原因となり、すなわちTFT素子を用いたディスプレイデバイスの動作が不能になるという重大な問題を招き、デバイスの取り扱い性を極端に低下させることになる。
【0011】
さらに、有機TFT素子は、一般にアモルファスシリコンを用いたTFT素子に比べて、キャリア移動度が低いという欠点等の問題点が指摘されている。
【0012】
【特許文献1】
特開平10−190001号公報
【0013】
【非特許文献1】
Advanced Material誌 2002年 第2号 99頁(レビュー)
【0014】
【非特許文献2】
SID‘02 Digest p57
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、樹脂基板やフィルム支持体を用いても折り曲げ等の物理的変化にも強い耐性を示す回路基板、且つ、前記回路基板を用いることにより、折り曲げにたいして強い耐性を有し、且つ、折り曲げ後のキャリア移動度の劣化が少ない、薄膜トランジスタ素子並びに有機薄膜トランジスタ素子及び有機薄膜トランジスタ素子シートを提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜8により達成された。
【0017】
1.樹脂からなる可撓性支持体上に、少なくとも1層の応力分散層を有し、且つ、少なくとも一つの電極または導電路を有することを特徴とする回路基板。
【0018】
2.前記可撓性支持体上に、樹脂Aを含有する、少なくとも1層の下引き層Aを有し、該下引き層A上に前記応力分散層が設けられていることを特徴とする前記1に記載の回路基板。
【0019】
3.前記可撓性支持体上に、樹脂Aを含有する、少なくとも1層の下引き層Aを有し、該下引き層A上に前記応力分散層が設けられ、且つ、前記応力分散層上に、無機酸化物及び無機窒化物から選択される化合物を含有する、少なくとも1層の下引き層Bを有することを特徴とする前記1に記載の回路基板。
【0020】
4.前記下引き層Bが、大気圧プラズマ法により作製されたことを特徴とする前記3に記載の回路基板。
【0021】
5.前記1〜4のいずれか1項に記載の回路基板上に半導体チャネルが設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ素子。
【0022】
6.前記1〜4のいずれか1項に記載の回路基板上に有機半導体チャネルが設けられたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子。
【0023】
7.前記5に記載の薄膜トランジスタ素子が複数配置されることを特徴とする薄膜トランジスタ素子シート。
【0024】
8.前記6に記載の有機薄膜トランジスタ素子が複数配置されることを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子シート。
【0025】
以下、本発明を詳細に説明する。
即ち、本発明者は、請求項1に記載のように、支持体として可撓性支持体を用いる場合、少なくとも1層の応力分散層を設けることにより、従来公知のフレキシブルな回路基板の大きな問題点である、折り曲げによる電極へのクラック生成、及び前記クラック発生に伴う導通の低下または消失等の傷害が発生しない回路基板を得ることができた。
【0026】
また、請求項2に記載のように、前記可撓性支持体上に、少なくとも1層の下引き層Aを設け、且つ、該下引き層A上に前記応力分散層を設けることにより、可撓性支持体と応力分散層との接着性が向上させることができた。
【0027】
更に、請求項3に記載のように、前記応力分散層上に、無機酸化物または無機窒化物から選択される化合物を含有する、少なくとも1層の下引き層Bを設けることにより、電極や導電路との接着性が向上した。
【0028】
但し、下引き層Bを設けるプロセスにおいて、CVDやスパッタリングなどのプロセスを用いる場合には、回路基板表面のダメージ防止の観点から、上記の樹脂Aを含有する下引き層Aを設けることが好ましい。
【0029】
本発明の回路基板を用いて、本発明の薄膜トランジスタ素子、有機薄膜トランジスタ素子、薄膜トランジスタ素子シート、有機薄膜トランジスタ素子シート等を得ることが出来る。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図も用いて本発明の回路基板、有機薄膜トランジスタ、有機薄膜トランジスタ素子シート等の実施形態について述べる。
【0031】
本発明の回路基板は、樹脂からなる可撓性支持体上に、少なくとも1層の応力分散層を有し、且つ、少なくとも一つの電極または導電路を有することを特徴とする。
【0032】
図1は、本発明の回路基板の層構成の一例を示す模式図である。
図1においては、樹脂からなる可撓性支持体1上に、第1の下引き層2a、応力分散層9、第2の下引き層2b、無期酸化物及び無機窒化物から選択される化合物を含有する第3の下引き層3、次いで、前記下引き層3上にゲート電極8が形成されている。前記ゲート電極8を構成する材料の一例としては、アルミニウムが用いられる。
【0033】
本発明の回路基板は、回路基板自体の物性向上、特に折り曲げ試験での耐久性向上の観点から、更には、回路基板を用いて作製された、薄膜トランジスタ素子または有機薄膜トランジスタ素子の機械的耐久性向上及びFET特性向上の観点から、可撓性支持体上に、少なくとも1層の応力分散層を有するが、好ましくは、前記可撓性支持体上に、樹脂Aを含有する、少なくとも1層の、樹脂Aを含有する下引き層Aを設ける態様であり、更に好ましくは、前記応力分散層上に、無機酸化物及び無機窒化物から選択される化合物を含有する、少なくとも1層の下引き層Bを有することである。
【0034】
本発明の有機薄膜トランジスタ素子は、上記の回路基板上に有機半導体からなるチャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有し、その上にゲート絶縁層を介してゲート電極を有するトップゲート型と、支持体上にまずゲート電極を有し、ゲート絶縁層を介して有機半導体チャネルで連結されたソース電極とドレイン電極を有するボトムゲート型に大別され、具体的な素子の層構成例の一例を、各々図1、図2を用いて示す。
【0035】
図2は、本発明の有機薄膜トランジスタ(トップゲート型)の一例を示す模式図である。図2は、樹脂からなる可撓性支持体1上に、樹脂A含む、第1の下引き層2a、応力分散層9、前記樹脂Aを含む、第の2の下引き層2b、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する、第3の下引き層3、第3の下引き層3に接して、有機半導体からなるチャネル6で連結されたソース電極4及びドレイン電極5、ゲート絶縁層7を介してゲート電極8を有するものである。
【0036】
図3は、本発明の有機薄膜トランジスタ(ボトムゲート型)の一例を示す模式図である。図3は、樹脂からなる可撓性支持体1上に、樹脂Aを含む、第1の下引き層2a、応力分散層9、前記樹脂Aを含む、第2の下引き層2b、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する、第3の下引き層3、前記下引き層3に接してゲート電極8、ゲート絶縁層7を介して有機半導体からなるチャネル6で連結されたソース電極4及びドレイン電極5を有するものである。
【0037】
本発明では、図3のボトムゲート型の構成を有する、有機薄膜トランジスタ素子上に更に、応力分散層を設けた構成も好ましく用いることが出来る。
【0038】
また、本発明においては、図3に示すような、ボトムゲート型のTFT素子とするとその効果を遺憾なく発揮でき、トランジスタ特性の向上がより顕著であり好ましい。
【0039】
図4は、本発明の有機薄膜トランジスタ素子が複数配置される有機薄膜トランジスタ素子シート10の1例の概略の等価回路図である。
【0040】
有機薄膜トランジスタシート10はマトリクス配置された多数の有機薄膜トランジスタ素子14を有する。11は各有機薄膜トランジスタ素子14のゲート電極のゲートバスラインであり、12は各有機薄膜トランジスタ素子14のソース電極のソースバスラインである。各有機薄膜トランジスタ素子14のドレイン電極には、出力素子16が接続され、この出力素子16は例えば液晶、電気泳動素子等であり、表示装置における画素を構成する。図示の例では、出力素子16として液晶が、抵抗とコンデンサからなる等価回路で示されている。15は蓄積コンデンサ、17は垂直駆動回路、18は水平駆動回路である。
【0041】
この様な、フレキシブルな樹脂支持体上に有機TFT素子を2次元的に配列したシートにおける、支持体とTFT構成層との接着性を高め、機械的強度に優れて支持体の曲がりにも強い耐性を持たせることができる。
【0042】
以下、本発明を詳細に説明する。
《応力分散層》
本発明に係る応力分散層について説明する。
【0043】
本発明に係る応力分散層は、下記に示すような熱軟化性樹脂を主成分として含有することが好ましい。ここで、主成分とは、応力分散層全体の50質量%以上を熱軟化性樹脂が含まれることを意味する。
【0044】
前記熱軟化性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、スチレン−α−オレフィン共重合体等の熱軟化性樹脂が用いられる。これらは各々を別の層として用いたり、混合して用いたりすることができる。
【0045】
また、前記熱軟化性樹脂に可塑剤や固体粒子を含有させ、後述する、所望のビカット軟化点、オルゼン剛性率を示す樹脂に調整することも可能である。
【0046】
物性を調整するために用いられる可塑剤としてはフタル酸エステル、芳香族カルボン酸エステル、脂肪酸エステル誘導体、リン酸エステル、ポリエステル系可塑剤など公知のものが、塗膜への溶解性を劣化させない範囲で使用できる。
また固体粒子としては、二酸化ケイ素、ケイソウ土、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、ガラス、アルミナ、デキストリン、デンプン(例えばライススターチ)、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリメチルメタクリレートやポリスチレン等の架橋粒子等の公知のものが、塗膜への溶解性を劣化させない範囲で使用できる。
【0047】
(熱軟化性樹脂の物性:ビカット軟化点、オルゼン剛性率)
(ビカット軟化点)
前記熱軟化性樹脂の好ましい物性としては、JIS−K7206−1991に記載のA法で規定される、ビカット軟化点が40℃〜130℃の範囲であることが好ましく、更に好ましくは、60℃〜100℃の範囲である。
【0048】
(オルゼン剛性率)
また、ASTMD747、JIS−K6301で規定される、オルゼン剛性率が、49MPa〜147MPaの範囲であることが好ましい。
【0049】
(応力分散層の膜厚(μm))
本発明に係る応力分散層の膜厚(厚さ)は、3μm〜100μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、5μm〜30μmの範囲である。
【0050】
本発明に係る応力分散層を、可撓性支持体上に設ける場合、前記可撓性支持体上に直接、応力分散層を設けても良いし、後述する下引き層Aのような樹脂Aを含有する中間層を設けても良い。
【0051】
また、後述する電極や回路を構成する導電路を形成する金属層と応力分散層との間には、後述する、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層Bを中間層として設けることが好ましい。
【0052】
《樹脂Aを含有する下引き層A》
本発明に係る、樹脂Aを含有する下引き層Aについて説明する。
【0053】
樹脂Aを含有する下引き層Aは、光(ここで、光とは、紫外線、電子線、X線、中性子線等のエネルギ線を含む)により硬化可能な光硬化性樹脂層であることが好ましい。光硬化性樹脂層は、エチレン性不飽和モノマーを含む成分を重合(単独重合体でも共重合体でもよい)させて形成された光硬化樹脂層である。
【0054】
ここで、光硬化性樹脂層とは、紫外線や電子線のような光照射により架橋反応などを経て硬化する樹脂を主たる成分とする層をいう。光硬化性樹脂としては、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂などが代表的なものとして挙げられるが、紫外線や電子線以外の光(X線、γ線、中性子線等)によって硬化する樹脂でもよい。
【0055】
本発明では、中でも紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。紫外線硬化性樹脂としては、例えば、紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、または紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることが出来る。
【0056】
《下引き層B》
本発明に係る下引き層Bについて説明する。
【0057】
本発明に係る下引き層Bは、無機酸化物及び無機窒化物から選択される化合物を含有することが特徴であり、好ましくは、前記無機酸化物及び無機窒化物から選択される化合物の含有量が50質量%以上である。
【0058】
(無機酸化物)
下引き層Bに含有される無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム,チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。
【0059】
(無機窒化物)
無機窒化物としては窒化ケイ素、窒化アルミニウム等が挙げられる。
【0060】
それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、窒化ケイ素である。
【0061】
《大気圧プラズマ法》
本発明において、無機酸化物及び無機窒化物から選ばれる化合物を含有する下引き層は、後で詳細に説明する、大気圧プラズマ法で形成されるのが好ましい。
【0062】
大気圧下でのプラズマ製膜処理による絶縁膜の形成方法は、大気圧または大気圧近傍の圧力下で放電し、反応性ガスをプラズマ励起し、基材上に薄膜を形成する処理で、その方法については特開平11−61406号公報、同11−133205号公報、特開2000−121804号公報、同2000−147209号公報、同2000−185362号公報等に記載されている(以下、大気圧プラズマ法とも称する)。これによって高機能性の薄膜を、生産性高く形成することができる。
【0063】
《電極》
本発明の回路基板を構成する、電極について説明する。
【0064】
本発明の回路基板を構成する電極としては、ゲート電極、ソース電極、ドレイン電極などが具体的に挙げられる。
【0065】
ソース電極、ドレイン電極及びゲート電極を形成する材料は導電性材料であれば特に限定されず、白金、金、銀、ニッケル、クロム、銅、鉄、錫、アンチモン鉛、タンタル、インジウム、パラジウム、テルル、レニウム、イリジウム、アルミニウム、ルテニウム、ゲルマニウム、モリブデン、タングステン、酸化スズ・アンチモン、酸化インジウム・スズ(ITO)、フッ素ドープ酸化亜鉛、亜鉛、炭素、グラファイト、グラッシーカーボン、銀ペーストおよびカーボンペースト、リチウム、ベリリウム、ナトリウム、マグネシウム、カリウム、カルシウム、スカンジウム、チタン、マンガン、ジルコニウム、ガリウム、ニオブ、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、アルミニウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物等が用いられるが、特に、白金、金、銀、銅、アルミニウム、インジウム、ITO(インジウム・ティン・オキサイド)および炭素が好ましい。あるいはドーピング等で導電率を向上させた公知の導電性ポリマー、例えば導電性ポリアニリン、導電性ポリピロール、導電性ポリチオフェン、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体なども好適に用いられる。中でも半導体層との接触面において電気抵抗が少ないものが好ましい。
【0066】
電極の形成方法としては、上記を原料として蒸着やスパッタリング等の方法を用いて形成した導電性薄膜を、公知のフォトリソグラフ法やリフトオフ法を用いて電極形成する方法、アルミニウムや銅などの金属箔上に熱転写、インクジェット等によるレジストを用いてエッチングする方法がある。また導電性ポリマーの溶液あるいは分散液、導電性微粒子分散液を直接インクジェットによりパターニングしてもよいし、塗工膜からリソグラフやレーザーアブレーションなどにより形成してもよい。さらに導電性ポリマーや導電性微粒子を含むインク、導電性ペーストなどを凸版、凹版、平版、スクリーン印刷などの印刷法でパターニングする方法も用いることができる。
【0067】
ゲート絶縁層としては種々の絶縁膜を用いることができるが、特に、比誘電率の高い無機酸化物皮膜が好ましい。無機酸化物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウムなどが挙げられる。それらのうち好ましいのは、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化チタンである。窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物も好適に用いることができる。
【0068】
上記皮膜の形成方法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、大気圧プラズマ法などのドライプロセスや、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法などの塗布による方法、印刷やインクジェットなどのパターニングによる方法などのウェットプロセスが挙げられ、材料に応じて使用できる。
【0069】
ウェットプロセスは、無機酸化物の微粒子を、任意の有機溶剤あるいは水に必要に応じて界面活性剤などの分散補助剤を用いて分散した液を塗布、乾燥する方法や、酸化物前駆体、例えばアルコキシド体の溶液を塗布、乾燥する、いわゆるゾルゲル法が用いられる。
【0070】
《大気圧プラズマ法》
上記の中でも、好ましいのは、大気圧プラズマ法である。
【0071】
ゲート絶縁層が陽極酸化膜又は該陽極酸化膜と絶縁膜とで構成されることも好ましい。陽極酸化膜は封孔処理されることが望ましい。陽極酸化膜は、陽極酸化が可能な金属を公知の方法により陽極酸化することにより形成される。
【0072】
陽極酸化処理可能な金属としては、アルミニウム又はタンタルを挙げることができ、陽極酸化処理の方法には特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。陽極酸化処理を行なうことにより、酸化被膜が形成される。陽極酸化処理に用いられる電解液としては、多孔質酸化皮膜を形成することができるものならばいかなるものでも使用でき、一般には、硫酸、燐酸、蓚酸、クロム酸、ホウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸等あるいはこれらを2種類以上組み合わせた混酸あるいそれらの塩が用いられる。陽極酸化の処理条件は使用する電解液により種々変化するので一概に特定し得ないが、一般的には、電解液の濃度が1〜80質量%、電解液の温度5〜70℃、電流密度0.5〜60A/dm2、電圧1〜100ボルト、電解時間10秒〜5分の範囲が適当である。好ましい陽極酸化処理は、電解液として硫酸、リン酸又はホウ酸の水溶液を用い、直流電流で処理する方法であるが、交流電流を用いることもできる。これらの酸の濃度は5〜45質量%であることが好ましく、電解液の温度20〜50℃、電流密度0.5〜20A/dm2で20〜250秒間電解処理するのが好ましい。
【0073】
また有機化合物皮膜としては、ポリイミド、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリレート、光ラジカル重合系、光カチオン重合系の光硬化性樹脂、あるいはアクリロニトリル成分を含有する共重合体、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ノボラック樹脂、およびシアノエチルプルラン等を用いることもできる。
【0074】
有機化合物皮膜の形成法としては、前記ウェットプロセスが好ましい。
無機酸化物皮膜と有機酸化物皮膜は積層して併用することができる。またこれら絶縁膜の膜厚としては、一般に50nm〜3μm、好ましくは、100nm〜1μmである。
【0075】
ゲート絶縁層と有機半導体チャネルの間に、任意の配向処理を施してもよい。シランカップリング剤、たとえばオクタデシルトリクロロシラン、トリクロロメチルシラザンや、アルカン燐酸、アルカンスルホン酸、アルカンカルボン酸などの自己組織化配向膜が好適に用いられる。
【0076】
《導電路》
本発明に係る導電路とは、上記の電極が回路構成されたとき、前記電極を導電路と呼ぶ。
【0077】
上記の、本発明の回路基板上に半導体チャネルが設けられることにより、本発明の薄膜トランジスタ素子や、本発明の有機薄膜トランジスタ素子を得ることが出来る。
【0078】
《半導体チャネルを構成する半導体材料》
半導体チャネルを構成する半導体材料としては、無機半導体材料、有機半導体材料を用いることが出来るが、本発明では、有機半導体材料を用いて半導体チャネルを構成することが好ましい。
【0079】
(有機半導体材料)
チャネルを構成する有機半導体材料としては、π共役系材料が用いられ、例えばポリピロール、ポリ(N−置換ピロール)、ポリ(3−置換ピロール)、ポリ(3,4−二置換ピロール)などのポリピロール類、ポリチオフェン、ポリ(3−置換チオフェン)、ポリ(3,4−二置換チオフェン)、ポリベンゾチオフェンなどのポリチオフェン類、ポリイソチアナフテンなどのポリイソチアナフテン類、ポリチェニレンビニレンなどのポリチェニレンビニレン類、ポリ(p−フェニレンビニレン)などのポリ(p−フェニレンビニレン)類、ポリアニリン、ポリ(N−置換アニリン)、ポリ(3−置換アニリン)、ポリ(2,3−置換アニリン)などのポリアニリン類、ポリアセチレンなどのポリアセチレン類、ポリジアセチレンなどのポリジアセチレン類、ポリアズレンなどのポリアズレン類、ポリピレンなどのポリピレン類、ポリカルバゾール、ポリ(N−置換カルバゾール)などのポリカルバゾール類、ポリセレノフェンなどのポリセレノフェン類、ポリフラン、ポリベンゾフランなどのポリフラン類、ポリ(p−フェニレン)などのポリ(p−フェニレン)類、ポリインドールなどのポリインドール類、ポリピリダジンなどのポリピリダジン類、ナフタセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、ジベンゾペンタセン、テトラベンゾペンタセン、ピレン、ジベンゾピレン、クリセン、ペリレン、コロネン、テリレン、オバレン、クオテリレン、サーカムアントラセンなどのポリアセン類およびポリアセン類の炭素の一部をN、S、Oなどの原子、カルボニル基などの官能基に置換した誘導体(トリフェノジオキサジン、トリフェノジチアジン、ヘキサセン−6,15−キノンなど)、ポリビニルカルバゾール、ポリフエニレンスルフィド、ポリビニレンスルフィドなどのポリマーや特開平11−195790に記載された多環縮合体などを用いることができる。
【0080】
また、これらのポリマーと同じ繰返し単位を有するたとえばチオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、スチリルベンゼン誘導体などのオリゴマーも好適に用いることができる。
【0081】
さらに銅フタロシアニンや特開平11−251601に記載のフッ素置換銅フタロシアニンなどの金属フタロシアニン類、ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド、N,N’−ビス(4−トリフルオロメチルベンジル)ナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミドとともに、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロオクチル)、N,N’−ビス(1H,1H−ペルフルオロブチル)及びN,N’−ジオクチルナフタレン1,4,5,8−テトラカルボン酸ジイミド誘導体、ナフタレン2,3,6,7テトラカルボン酸ジイミドなどのナフタレンテトラカルボン酸ジイミド類、及びアントラセン2,3,6,7−テトラカルボン酸ジイミドなどのアントラセンテトラカルボン酸ジイミド類などの縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、C60、C70、C76、C78、C84等フラーレン類、SWNTなどのカーボンナノチューブ、メロシアニン色素類、ヘミシアニン色素類などの色素などがあげられる。
【0082】
これらのπ共役系材料のうちでも、チオフェン、ビニレン、チェニレンビニレン、フェニレンビニレン、p−フェニレン、これらの置換体またはこれらの2種以上を繰返し単位とし、かつ該繰返し単位の数nが4〜10であるオリゴマーもしくは該繰返し単位の数nが20以上であるポリマー、ペンタセンなどの縮合多環芳香族化合物、フラーレン類、縮合環テトラカルボン酸ジイミド類、金属フタロシアニンよりなる群から選ばれた少なくとも1種が好ましい。
【0083】
また、その他の有機半導体材料としては、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、BEDTTTF−ヨウ素錯体、TCNQ−ヨウ素錯体、などの有機分子錯体も用いることができる。さらにポリシラン、ポリゲルマンなどのσ共役系ポリマーや特開2000−260999に記載の有機・無機混成材料も用いることができる。
【0084】
本発明においては、有機半導体層に、たとえば、アクリル酸、アセトアミド、ジメチルアミノ基、シアノ基、カルボキシル基、ニトロ基などの官能基を有する材料や、ベンゾキノン誘導体、テトラシアノエチレンおよびテトラシアノキノジメタンやそれらの誘導体などのように電子を受容するアクセプターとなる材料や、たとえばアミノ基、トリフェニル基、アルキル基、水酸基、アルコキシ基、フェニル基などの官能基を有する材料、フェニレンジアミンなどの置換アミン類、アントラセン、ベンゾアントラセン、置換ベンゾアントラセン類、ピレン、置換ピレン、カルバゾールおよびその誘導体、テトラチアフルバレンとその誘導体などのように電子の供与体であるドナーとなるような材料を含有させ、いわゆるドーピング処理を施してもよい。
【0085】
前記ドーピングとは電子授与性分子(アクセプター)または電子供与性分子(ドナー)をドーパントとして該薄膜に導入することを意味する。従って,ドーピングが施された薄膜は、前記の縮合多環芳香族化合物とドーパントを含有する薄膜である。本発明に用いるドーパントとしては公知のものを採用することができる。
【0086】
これら有機薄膜の作製法としては、真空蒸着法、分子線エピタキシャル成長法、イオンクラスタービーム法、低エネルギーイオンビーム法、イオンプレーティング法、CVD法、スパッタリング法、プラズマ重合法、電解重合法、化学重合法、スプレーコート法、スピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、キャスト法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法およびLB法等が挙げられ、材料に応じて使用できる。ただし、この中で生産性の点で、有機半導体の溶液を用いて簡単かつ精密に薄膜が形成できるスピンコート法、ブレードコート法、デイップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法等が好まれる。
【0087】
なおAdvanced Material誌 1999年 第6号、p480〜483に記載の様に、ペンタセン等前駆体が溶媒に可溶であるものは、塗布により形成した前駆体の膜を熱処理して目的とする有機材料の薄膜を形成しても良い。
【0088】
これら有機半導体からなる薄膜の膜厚としては、特に制限はないが、得られたトランジスタの特性は、有機半導体からなる活性層の膜厚に大きく左右される場合が多く、その膜厚は、有機半導体により異なるが、一般に1μm以下、特に10〜300nmが好ましい。
【0089】
《無機半導体材料》
本発明に係る無機半導体材料としては、アモルファスシリコンやポリシリコン等の当該業者公知の材料を用いることが出来る。
【0090】
《樹脂からなる可撓性支持体》
本発明に係る、樹脂からなる可撓性支持体について説明する。
【0091】
可撓性支持体を構成する樹脂としては、例えばプラスチックフィルムシートを用いることができる。前記プラスチックフィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ボリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。このように、プラスチックフィルムを用いることで、ガラス基板を用いる場合に比べて軽量化を図ることができ、可搬性を高めることができるとともに、衝撃に対する耐性を向上できる。
【0092】
ここで、可撓性とは、湾曲可能であることを示し、具体的には、Rが50mm以下の円弧を形成することが可能であることを示す。
【0093】
《その他の構成層》
本発明の薄膜トランジスタ素子、有機薄膜トランジスタ素子上には、各々透明保護層を設けることも可能であり、例えば反射防止層等の機能膜を形成可能である。
【0094】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0095】
実施例1
《回路基板1の作製》:本発明
以下に示すようにして、支持体1(透明フィルム)を作製、次いで、前記支持体上に、下引き層1、応力分散層、下引き層2、酸化ケイ素膜を設けた後、スパッタ法により、アルミニウムパターンを形成し、Al電極を有する回路基板1を作製した。
【0096】
《支持体1の作製》
テトラメトキシシラン3.04g(20mmol)と、塩化メチレン1.52gと、エタノール1.52gとを混合した後、0.5%硝酸水溶液を0.72g加えて加水分解を行い、室温でそのまま1時間攪拌を続けた。
【0097】
エタノール5.3gと酢酸メチル60.9gの混合溶媒にジアセチルセルロース(ダイセル化学製、L50)を溶解させた後、テトラメトキシシランを加水分解した前記の溶液と混合し、さらに1時間攪拌を行った後、ゴムベルト上にギャップ巾800μmのドクターブレードで成膜した。ベルトを搬送させながら、得られたフィルムを120℃で30分間乾燥させ、厚さ200μmの透明フィルムを作製した。この透明フィルムを支持体1とする。
【0098】
《下引き層1の塗設》
上記支持体1(透明フィルム)の表面に50W/m2/分の条件でコロナ放電処理を施し、下記の組成を有する、下引き層用塗布液を乾燥膜厚2μmになるように塗布し、90℃で5分間乾燥した後、60W/cmの高圧水銀灯下10cmの距離から4秒間硬化させ、下引き層を設けた。
【0099】
(下引き層用塗布液の組成)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート単量体 60g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート2量体 20g
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3量体以上の成分 20g
ジエトキシベンゾフェノンUV開始剤 2g
シリコーン系界面活性剤 1g
メチルエチルケトン 75g
メチルプロピレングリコール 75g
《応力分散層の塗設》
上記の下引き層上に下記の樹脂分散液を塗布、乾燥し、厚さ5μmの応力分散層を作製した。
【0100】
(樹脂分散液組成)
エチレン−メチルメタクリレート共重合体
(ビカット軟化点90℃、オルゼン剛性率98MPa) 5質量部
キシレン 90質量部
酢酸エチル 5質量部
《下引き層2の塗設》
上記の応力分散層上に、前記下引き層用塗布液を用いて下引き層1の塗設と同様にして、下引き層2を塗設した。乾燥膜厚は2μmである。
【0101】
《酸化ケイ素膜の作製》
上記下引き層2上に下記条件で連続的に大気圧プラズマ処理して厚さ50nmの酸化ケイ素膜を作成した。
【0102】
(使用ガス)
不活性ガス:ヘリウム98.25体積%
反応性ガス:酸素ガス 1.5体積%
反応性ガス:テトラエトキシシラン蒸気(アルゴンガスにてバブリング)0.25体積%
(放電条件)
放電出力:10W/cm2
(電極条件)
電極は、冷却水による冷却手段を有するステンレス製ジャケットロール母材に対して、セラミック溶射によるアルミナを1mm被覆し、その後、テトラメトキシシランを酢酸エチルで希釈した溶液を塗布乾燥後、紫外線照射により封孔処理を行い、表面を平滑にしてRmax5μmとした誘電体(比誘電率10)を有するロール電極であり、アースされている。一方、印加電極としては、中空の角型のステンレスパイプに対し、上記同様の誘電体を同条件にて被覆した。
【0103】
《電極の作製》
上記の酸化ケイ素膜上に、スパッタ法により厚さ200nm、幅300μmのアルミニウムのパターン(電極)を形成し、回路基板1を作製した。
【0104】
《回路基板2の作製》:比較例
回路基板1の作製において、応力分散層を設けなかった以外は、同様にして回路基板2(比較例)を作製した。
【0105】
《折り曲げ評価》
得られた、回路基板1、2の各々について、R=30mmのステンレスシャフトに、支持体側を接触させながら曲げた後、下記のようにランク評価を行った。
【0106】
また、導通については市販のテスタを利用した。
○:折り曲げにより電極にクラックが発生せず、導通も良好である
×:折り曲げにおり電極にクラックが発生し、導通傷害がある
得られた結果を下記に示す。
【0107】
回路基板1(本発明):○
回路基板2(比較例):×
以上から、本発明の回路基板1は比較に比べて、折り曲げ試験を行ってもクラックが発生せず、且つ、導通にも傷害がないことが明らかである。
【0108】
実施例2
《有機薄膜トランジスタ素子1の作製》
以下に示すようにして、回路基板3、前記回路基板3の蒸気封孔処理、酸化チタン層の作製、有機半導体層の作製、ソース電極、ドレイン電極の作製して、有機薄膜トランジスタ素子を形成し、次いで、前記有機薄膜トランジスタ素子全体を酸化ケイ素皮膜(30nm)により封止処理を行い、有機薄膜トランジスタ素子1を作製した。
【0109】
(回路基板3の作製)
実施例1に記載の回路基板1の作製において、電極作製時のアルミニウムパターンを厚さ300nm、幅300μmに変更した以外は同様にして、アルミニウム電極をゲート電極として有する回路基板3を作製した。
【0110】
(蒸気封孔処理)
次に、前記回路基板3を30質量%硫酸水溶液中で、2分間、30Vの低電圧電源から供給される直流を用いて、陽極酸化皮膜の厚さが120nmになるように陽極酸化処理を行った。よく洗浄した後に、1気圧、100℃の飽和した蒸気チャンバーの中で、蒸気封孔処理を施した。
【0111】
(酸化チタン層の作製)
基板温度150℃にて、大気圧プラズマ法により、厚さ30nmの酸化チタン層を設けた。
【0112】
(有機半導体層の作製)
次に、酸化チタン層の上に、化合物Cのクロロホルム溶液を塗布し、窒素ガス中で、50℃3分乾燥し200℃で10分の熱処理を行ったところ、厚さ50nmのペンタセン薄膜が形成された。
【0113】
【化1】
Figure 2004207596
【0114】
(ソース電極、ドレイン電極の作製及び封止処理)
この膜の表面に、マスクを用いて金を蒸着し、ソース電極、ドレイン電極を形成した。幅100μm、厚さ100nmのソース、ドレイン電極は、先のゲート電極上に配置され、チャネル幅W=0.3mm、チャネル長L=20μm、ボトムゲート構造の有機薄膜トランジスタが形成された。さらに大気圧プラズマ法による酸化ケイ素皮膜(30nm)により封止処理を行い、有機薄膜トランジスタ素子1を作製した。
【0115】
《有機薄膜トランジスタ素子2の作製》
有機薄膜トランジスタ素子1の作製において、上記で得られた有機薄膜トランジスタ素子1上に、厚さ20μmのエチレン−メチルメタクリレート共重合体層(第2の応力分散層)を熱溶融押し出しによるラミネート法を用いて形成し、有機薄膜トランジスタ素子2を作製した。
【0116】
《有機薄膜トランジスタ素子3の作製》
有機薄膜トランジスタ素子1の作製において、応力分散層を有する回路基板1の代わりに、応力分散層を持たない回路基板2を用いた以外は同様にして、有機薄膜トランジスタ素子3を作製した。
【0117】
《キャリア移動度評価》
得られた有機薄膜トランジスタ1〜3の各々について、トランジスタ素子作製直後のキャリア移動度、及び、実施例1に記載の折り曲げ評価と同様にして、有機薄膜トランジスタ素子を折り曲げた後、I−V特性の飽和領域から、キャリア移動度(cm2/V・s)を求めた。のキャリア移動度を測定した。
【0118】
得られた結果を下記に示す。
有機TFT(※) キャリア移動度 キャリア移動度
No. (作製直後) (折り曲げ後)
1(本発明) 0.15 0.12
2(本発明) 0.15 0.14
3(比較例) 0.12 評価不能(動作しない)
※:有機薄膜トランジスタ素子
上記の評価結果から、比較に比べて、応力分散層を回路基板側に有する有機薄膜トランジスタ素子1は、作製直後のキャリア移動度が高く、また、折り曲げ後も高いキャリア移動度を示すことが判る。更に、第2の応力分散層をゲート電極、ソース電極、ドレイン電極上に設けた、本発明の有機薄膜トランジスタ素子2は、折り曲げ後のキャリア移動度の劣化が更に効果的に防止されていることがあきらかである。
【0119】
また、本発明の有機薄膜トランジスタ素子1、2は、各々、pチャネルのエンハンスメント型FET(Field Effect Transistor)の良好な動作特性を示した。
【0120】
【発明の効果】
本発明により、樹脂基板やフィルム支持体を用いても折り曲げ等の物理的変化にも強い耐性を示す回路基板、折り曲げ後のキャリア移動度の劣化が少ない、薄膜トランジスタ素子並びに有機薄膜トランジスタ素子及び有機薄膜トランジスタ素子シートを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回路基板の層構成の一例を示す模式図である。
【図2】本発明の有機薄膜トランジスタ素子(トップゲート型)の一例を示す模式図である。
【図3】本発明の有機薄膜トランジスタ素子(ボトムゲート型)の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の有機薄膜トランジスタ素子シートの1例の概略の等価回路図である。
【符号の説明】
1 支持体
2a、2b 下引き層A
3 下引き層B
4 ソース電極
5 ドレイン電極
6 有機半導体チャネル
7 ゲート絶縁層
8 ゲート電極
9 応力分散層
10 有機薄膜トランジスタシート
11 ゲートバスライン
12 ソースバスライン
14 有機薄膜トランジスタ素子
15 蓄積コンデンサ
16 出力素子
17 垂直駆動回路
18 水平駆動回路

Claims (8)

  1. 樹脂からなる可撓性支持体上に、少なくとも1層の応力分散層を有し、且つ、少なくとも一つの電極または導電路を有することを特徴とする回路基板。
  2. 前記可撓性支持体上に、樹脂Aを含有する、少なくとも1層の下引き層Aを有し、該下引き層A上に前記応力分散層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
  3. 前記可撓性支持体上に、樹脂Aを含有する、少なくとも1層の下引き層Aを有し、該下引き層A上に前記応力分散層が設けられ、且つ、前記応力分散層上に、無機酸化物及び無機窒化物から選択される化合物を含有する、少なくとも1層の下引き層Bを有することを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
  4. 前記下引き層Bが、大気圧プラズマ法により作製されたことを特徴とする請求項3に記載の回路基板。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板上に半導体チャネルが設けられたことを特徴とする薄膜トランジスタ素子。
  6. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の回路基板上に有機半導体チャネルが設けられたことを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子。
  7. 請求項5に記載の薄膜トランジスタ素子が複数配置されることを特徴とする薄膜トランジスタ素子シート。
  8. 請求項6に記載の有機薄膜トランジスタ素子が複数配置されることを特徴とする有機薄膜トランジスタ素子シート。
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