JP2004205992A - 複層ガラス - Google Patents

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Abstract

【課題】幅広い音域での遮音性能を高めることができ、JIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線の傾きに従うような遮音特性を有する共鳴器を備えた複層ガラスを提供する。
【解決手段】周縁に配設したスペーサ3により所定間隔を隔てて重ね合わされた少なくとも2枚の板ガラス2と、板ガラス2間に共鳴器5,6,7を備えた複層ガラス1において、前記共鳴器5,6,7の共鳴周波数は前記共鳴器を備えなかった場合の複層ガラスの共鳴透過周波数より1/3〜2/3オクターブバンド高音域側へずれている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物、車両、船舶及び航空機等に使用する共鳴器を備えた複層ガラスに関する。
【0002】
【従来の技術】
複層ガラスにおける遮音性能の良否は、コインシデンス効果と共鳴透過現象との如何に依存するとされている。このうち、コインシデンス効果による遮音性能の低下は、使用する板ガラスの密度や縦弾性係数のほか、その時々の気温等にも関係するとされており、単板ガラスのみならず複層ガラスにも発生する共通の現象である。
【0003】
一方、低音域での共鳴透過現象は、等間隔で隔置された2枚の板ガラスが共鳴することにより発生する複層ガラスに特有の現象である。
【0004】
これらの現象を防いで複層ガラスの遮音性能を高めることを図った複層ガラスが開発されている(例えば特許文献1)。この特許文献1の複層ガラスは、複層ガラスの空隙層内において、該空隙層内の空気部を通過する音と、該空隙層内に設けた中空管状体部を通過する音とが位相差を生じるように、中空管状体を配置したものである。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の複層ガラスは中空管状体の共鳴周波数と中空管状体がない場合の複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数との関連が考慮されてなく、複層ガラスの形状などに対応した最適な遮音構造の設計ができない。また、構造が複雑で大掛かりとなって製造が容易でなく、中空管状体が板ガラスの面内の中央部付近にも設置されることから、外観上も好ましくない。
【0006】
また、複層ガラスの共鳴透過現象は1/3オクターブバンドといった単一周波数帯域のみでなく、1〜2オクターブバンドといった広い帯域に渡って同じ面重量の1枚の板ガラスの遮音性能よりも劣り、広い帯域に渡って音が通りやすい(防音効果が小さい)のが一般的である。したがって、単一的な狭い音域のみで遮音性能を改善させるのではなく、幅広い音域で複層ガラスの共鳴透過現象を防ぐ必要がある。このため、約100〜4000Hzの広い中心周波数に対する音響透過損失(dB)を測定し、遮音性能評価基準として汎用的なJIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線T−1〜4(25〜40等級)に従った遮音特性に近づける共鳴器の選定方法が求められる。
【0007】
一方、低周波数域における遮音性能の向上を図ることとした2重壁構造が開発されている(例えば特許文献2)。この特許文献2の遮音構造は所定間隔で設けられた一対の壁体間にヘルムホルツ共鳴器を設けたものである。しかし、この特許文献2に記載の遮音構造においては2重壁が有する共鳴透過周波数に基づいて共鳴器の共鳴周波数を決定することを考慮しているが、その決定方法は、一対の板材の材質及び構造寸法によって決定される共鳴透過周波数を求め、この共鳴透過周波数に上記ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数を合わせるものであって、対象とする2重壁の共鳴透過周波数と一致させてその周波数帯域における遮音性能の向上を図ったものであり、単一的な狭い音域のみを対象とし、幅広い音域での共鳴透過現象を防ぐことはできない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−182193号公報
【特許文献2】
特開2002−356934号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を考慮したものであって、幅広い音域での遮音性能を高めることができ、JIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線の傾きに従うような遮音特性を有する共鳴器を備えた複層ガラスの提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、周縁に配設したスペーサにより所定間隔を隔てて重ね合わされた少なくとも2枚の板ガラスと、該板ガラス間に中空層を有し、該板ガラス間に共鳴器を備えた複層ガラスにおいて、前記共鳴器の共鳴周波数は前記共鳴器を備えなかった場合の複層ガラスの共鳴透過周波数より1/3〜2/3オクターブバンド高音域側へずれていることを特徴とする複層ガラスを提供する。
【0011】
この構成によれば、共鳴器を備えた複層ガラスにおいて、共鳴透過による低周波数域での遮音欠損を単一周波数帯域のみならず、欠損帯域全体に渡り改善させることができる。すなわち、低周波数帯域での遮音効果低下が問題となる複層ガラスにおいて、低周波数帯域の特定の狭い帯域で遮音効果を高めるだけでなくより広い周波数範囲で遮音効果を高めることができる。
【0012】
本発明の複層ガラスを製造する場合、まず、共鳴器を設けていない状態での複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数を求め、この共鳴透過周波数より1/3〜2/3オクターブバンドだけ高音域側にずれた共鳴周波数特性を有する共鳴器を作製し、これを複層ガラスに組込む。
【0013】
好ましい構成例においては、前記共鳴器は、前記板ガラスの少なくとも一辺に前記スペーサに沿って設けた共鳴用棒材と、該共鳴用棒材と前記スペーサ間に形成された空洞部からなり、前記共鳴用棒材は、前記スペーサの長さ方向及び幅方向の直角方向に貫通する複数個の貫通孔を有し、前記共鳴用棒材は、前記スペーサと平行に所定間隔を隔てて配設されたことを特徴としている。
【0014】
この構成によれば、例えば角棒からなる共鳴用棒材に所定間隔で複数の貫通孔を設け、この棒材を板ガラスの一辺のスペースの内側にスペーサと平行に設けることにより、外観を低下させることなく容易に共鳴器を形成することができる。この場合、貫通孔の径や間隔及び棒材の寸法や組込み位置等のパラメータに応じて共鳴周波数が変わる。この共鳴周波数は演算で求めることができる。したがって、あるパラメータが固定された場合(例えばスペーサとの間隔やガラス間の間隔等)、必要とする共鳴周波数が得られるように他のパラメータ(例えば貫通孔の径や間隔)を演算で求めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明に係る複層ガラスの一例を示す概略図であり、図2は複層ガラスの部分断面図、図3は共鳴用棒材の部分上面図である。
【0016】
複層ガラス1は、2枚の板ガラス2をスペーサ3によって、板ガラス2とスペーサ3との間に一次シール8を介して所定の間隔に保持し、板ガラス2の周縁部内面とスペーサ3の外周面とで形成された凹部に二次シール9を配して周縁部をシールしたものである。
【0017】
板ガラス2としては、建築用に一般的に使用されるソーダライムシリカガラス(例えば、旭硝子社製、商品名:AS)が代表的であるが、これに限られずその他の組成の板ガラスも使用できる。同様に、通常のソーダライムシリカガラス以外にも、強化ガラスや網入り板ガラス、合わせガラスも使用でき、片側の板ガラス2を合わせガラスとし、他方を通常のソーダライムシリカガラスとする等種類や厚さの異なる板ガラスを組み合わせて使用することもできる。また、無機質の板ガラスのみならず有機質の板状体、例えばポリカーボネート、アクリル樹脂等も使用できる。
【0018】
スペーサ3は、板ガラス2、2の相互の間隔が所定値に確保できれば材質、形状は限定されないが、図示のような断面矩形状が好ましい。なお、図示は省略したが、スペーサ3の中空部分に乾燥剤を充填し、かつ、スペーサ3の中空層側に貫通孔を所定間隔で複数個設けてもよい。
【0019】
一次シール8としては主に耐透湿性及び粘着力を発揮できる材質が好ましく、たとえば、ポリイソブチレンが好適に使用できる。二次シール9としては主に接着力を発揮できる材質が好ましく、たとえば、ポリスルフィド、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂が好適に使用できる。
【0020】
なお、複層ガラス1としては、2枚の板ガラス2、2をその間に設けたスペーサ3で所定間隔を隔てて重ね合わせ、単一の中空層4を有する構成に限られるものではなく、3枚以上の板ガラス2、・・・、2を隣り合う板ガラス2、2間にスペーサ3を設けて所定間隔を隔てて重ね合わせ、複数の中空層4を有する構成であってもよい。
【0021】
中空層4内にはスペーサ3に平行にスペーサ3と所定距離Hの間隔を隔てて棒状の共鳴用棒材5が配設され、共鳴用棒材5、スペーサ3および2枚の板ガラス2、2で空洞部7が形成される。共鳴用棒材5は矩形断面の角材又は板材である。また、共鳴用棒材5は板ガラス2の4辺全周に沿って設けてもよいし1辺にのみ沿って設けてもよい。共鳴用棒材5は所定の厚さLを有しており、また、共鳴用棒材5には中空層4と空洞部7とを連通する直径dの複数個の貫通孔6が所定ピッチ間隔P毎に設けられている(図3参照)。
【0022】
共鳴用棒材5は、不図示の額縁より内側に露出するため、窓ガラスとしての透視性を妨げないために外観上透明材料で形成することが好ましい。また、所望の共鳴周波数を有する共鳴器が構成できれば、種々の寸法の共鳴用棒材5を使用可能であるが、外観上や製造上の観点から厚さLが2〜20mm、直径dが1〜5mm、ピッチ間隔Pが10〜100mm、スペーサ3と共鳴用棒材5の距離Hが5〜50mm程度とするのが好ましい。
【0023】
共鳴用棒材5の幅は、板ガラス2の相互の間隔Wと略等しく、図示しない接着剤等の固定手段により板ガラス2に固定されている。共鳴用棒材5の材質としては、各種の材料が使用できるが、硬質樹脂、ゴム、金属材料、等が吸音性が少なくて好ましい。また、共鳴用棒材5の表面、すなわち、共鳴用棒材5の上下面および貫通孔6の周壁面は、平滑に仕上げてあることが、吸音性が少なくて好ましい。
【0024】
図4は共鳴用棒材とスペーサを一体とした複層ガラスの部分断面図である。
図示したように、共鳴用棒材5は連結部材10を介してスペーサ3の係合用突起部と嵌合して連結し、一体構造としてもよい。この場合、連結部材10は共鳴用棒材5とともに透明な材質を用いて形成することが複層ガラスとして好ましい。
【0025】
スペーサ3上辺の両側端には水平片である係止部3aが延設され、共鳴用棒材5の下部両側端からは連結部材10が垂設され、かつ、連結部材10の下端部には、それぞれ2箇所に内向きの水平片が平行に延設され係合凹部10aを形成している。
【0026】
したがって、両側の係止部3aと係合凹部10aをそれぞれ嵌合することによりスペーサ3と共鳴用棒材5とが一体化する。この構成であれば、スペーサ3を一次シール8及び二次シール9を介して板ガラス2に固定するのみでよく、共鳴用棒材5を別途板ガラス2に固定する必要がない。なお、連結部材10はスペーサ3(共鳴用棒材5)の全長に亘って設ける構成でも、スペーサ3(共鳴用棒材5)の全長に対し局部的に所定間隔をおいて設ける構成でもよい。
【0027】
この共鳴用棒材5と空洞部7とにより、共鳴器が形成される。以下、この共鳴器の原理を説明する。
【0028】
共鳴用棒材5に中空層4側から音波が入射すると、特定の周波数で貫通孔6内の空気が激しく振動する。このとき、貫通孔6内の空気と、貫通孔6の周壁面との摩擦によって音響エネルギーが熱エネルギーに変換されて吸音効果が得られる。
【0029】
所定の厚さLの共鳴用棒材5に連続的に貫通孔6が配されている構成は、ヘルムホルツ共鳴器が連続的に並んでいる構成と等価であると考えられる。この場合、該共鳴器は貫通孔6の数が多い程(ただし、貫通孔6の間隔は制限される)、その吸音効果は大きい。
【0030】
このように、本発明の複層ガラスは、従来の複層ガラスに僅かの変更を加えるのみで、充分な吸音効果が得られ、建築空間の他の部分に共鳴器を設ける必要はない。したがって、建築空間に全く変更を加えることなく、優れた遮音性能が得られる技術であり、人口密度の高い都市空間において極めて有益である。
【0031】
本発明において、複層ガラスの構成によってfr(共鳴器の共鳴周波数)が求められる。すなわち、気体の音速C、スペーサ3と共鳴用棒材5との間隔H、共鳴用棒材5の厚さL、貫通孔6の直径d、貫通孔相互の間隔Pおよび板ガラス2、2の内のり寸法W等のパラメータを下記(1)式に代入することによりfrが算出される。
【0032】
【数1】
Figure 2004205992
【0033】
また一般に、複層ガラスの構成によってfrmd(複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数)が求められる。すなわち、気体中の音速C、気体の密度ρ、ガラスの面密度mおよび板ガラス2、2の内のり寸法W等のパラメータを下記(2)式に代入することによりfrmdが算出される。
【0034】
【数2】
Figure 2004205992
【0035】
この複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数frmdは、通常低音域(200〜500Hz)の周波数であり、このfrmdの周波数で共鳴透過現象が起こり遮音性能が低下する。したがって、frmdに等しい共鳴周波数frの共鳴器を用いることにより、すなわちfr=frmdとなるようにパラメータを選定して設計することによりこの低音域のfrを中心とした限られた周波数帯域での遮音性能を高めることができる。
【0036】
しかし、複層ガラスではこの低音域のfrを中心とした限られた周波数帯域だけでなく、frより高音域側においても同一面重量の単板ガラスに比べ遮音性能が劣っている。よって、frより高音域側においても遮音性能を高める必要がある。
【0037】
そこで、本発明ではfrをfrmdに合わせずに、これよりも幾分高い音域に合わせて共鳴器を作製する。すなわち、
fr=frmd+α
としたものである。ここでαは1/3〜2/3オクターブバンド分の周波数である。
【0038】
このように共鳴周波数をずらせて共鳴器を形成することにより、低音域の共鳴透過周波数帯域での遮音効果が高まるばかりでなくそれよりも高音域側での遮音効果が高まることが実験で確認された。
【0039】
本発明の他の実施の形態として、少なくとも1枚の板ガラスが合わせガラスである複層ガラスが挙げられる。このように、合わせガラスが使用されたり、板ガラスの外側にフィルムや樹脂等が接着された複層ガラスは、安全面に優れ、複層ガラスとしての機能向上に寄与できる。
【0040】
本発明のさらに他の実施の形態として、中空層に六フッ化硫黄ガス、アルゴンガスまたはクリプトンガスを封入した複層ガラスが挙げられる。通常の複層ガラスは、中空層に乾燥空気または窒素ガスが封入される構成が一般的であるが、これの代わりに、断熱性能を上げることを主たる目的で上記ガスを封入すると、媒体間の音速の違いによる波動的エネルギー損失を生じ、遮音性能が向上する効果が得られる。
【0041】
なお、六フッ化硫黄ガス、アルゴンガス、クリプトンガスの0℃、1気圧での密度ρは、それぞれ、6.6kg/m、1.78kg/m、3.74kg/mであり、音速Cは、それぞれ、130m/秒、308m/秒、212m/秒であり、その結果frmd(3mmのフロート板ガラス2枚を12mmの間隔を隔てて形成した複層ガラスの共鳴透過周波数)は、それぞれ、250Hz、308Hz、308Hzと算出される。
【0042】
本発明のさらに他の実施の形態として、貫通孔の少なくとも一方の開口部には音響抵抗材(不図示)が配されてなる構成が挙げられる。このような構成であれば、音響抵抗材が貫通孔の前後での気体の摩擦運動を促進し、広い周波数範囲の吸音の効果が得られる。
【0043】
なお、音響抵抗材とは、気体振動(空気振動)により自ら励振されやすい物質であり、たとえば、グラスウール、ロックウール等の繊維材、フィルム等の膜状材、等が挙げられる。
【0044】
図5は本発明に係る複層ガラスの音響透過損失と中心周波数の関係を示すグラフである。
【0045】
図の○は厚さ3mmのフロート板ガラス2枚を12mmの間隔を隔てて形成した複層ガラスを用いて測定したものを示す。●は○で示す複層ガラスに、ピッチ間隔50mmで直径2mmの貫通孔を有する厚さ5mmの共鳴用棒材をスペーサとの距離14mmの位置に設けて共鳴器の有する共鳴周波数を407Hzとした複層ガラスを用いて測定したものを示す。また、□は○で示す複層ガラスに、ピッチ間隔50mmで直径2mmの貫通孔を有する厚さ5mmの共鳴用棒材をスペーサとの距離28mmの位置に設けて共鳴器の有する共鳴周波数を288Hzとした複層ガラスを用いて測定したものを示す。なお、測定方法は、JIS A 1416(2000年改正)に準拠し、さらにJIS A 4706(2000年改正)に規定される評価基準により遮音等級との対応を求めた。
【0046】
○で示す複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数(frmd)は286Hzである。□で示す複層ガラスはこの周波数の遮音性能を高めるため、共鳴器の共鳴周波数(fr)をfrmdにほぼ等しい288Hzとしたものである。この結果、中心周波数250Hz付近では音響透過損失は高まり、遮音性能は向上するように見えるが、その他の周波数(例えば407Hz)では遮音性能はあまり高まらない。
【0047】
一方、●で示す複層ガラスは、共鳴器の共鳴周波数(fr)を○の複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数より約1/3オクターブバンド高音域側にずらした407Hzとしたものである。□で示す複層ガラスと比較して、中心周波数250Hz付近では、音響透過損失が劣るが、300〜1000Hzの広い周波数範囲において、□で示す複層ガラスより優る性能を示し、音響透過損失が高められた。特に、400Hz付近での遮音性能向上が顕著である。
【0048】
これは、□で示す複層ガラスのように、複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数と同じ共鳴周波数を有する共鳴器を用いた場合には、その共鳴周波数付近では音響透過損失がピーク的に高まるが、より広い周波数帯域で見た場合には、●で示す複層ガラスのように、基となる複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数より約1/3オクターブバンドずらした共鳴周波数を持つ共鳴器を用いた複層ガラスの方が、音響透過損失が向上し、遮音性能が高まることを示している。
【0049】
一般に、遮音性能評価基準としては、JIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線T−1〜4(25〜40等級)が用いられる。すなわち、音響透過損失曲線が遮音等級線T−1〜4の各等級線を上回れば、その等級として評価される。遮音等級の判定基準としては、各周波数帯域の全測定点(16点)全てが、該当する遮音等級線を上回ること、又は、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合に、その遮音等級とされる。
【0050】
したがって、音響透過損失曲線の形状が、JIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線T−1〜4(25〜40等級)のグラフの傾きと近似しているほうが、所定の遮音等級を達成する上で有利である。この点、●で示す複層ガラスの方が、□で示す複層ガラスよりも、遮音等級線T−1〜4のグラフの傾きと近似しており、遮音性能としては、優れているとみなすことができる。しかも、●で示す複層ガラスの方が□で示す複層ガラスよりも共鳴用棒材5の位置がスペーサ3に近く、外観上優位である。なお、複層ガラスの遮音性能として、一般に問題となるのは低音域であるので、1000Hz超の中音域から高音域にかけての帯域の特性は、あまり問題とならない。
【0051】
図6は本発明に係る別の複層ガラスの音響透過損失と中心周波数の関係を示すグラフである。
【0052】
図の○は厚さ8mmと4mmのフロート板ガラスをそれぞれ10mmの間隔を隔てて形成した複層ガラスを用いて測定したものを示す。この複層ガラスが有する固有の共鳴透過周波数は235Hzである。●は○で示す複層ガラスに、ピッチ間隔50mmで直径2mmの貫通孔を有する厚さ5mmの共鳴用棒材をスペーサとの距離20mmの位置に設けて共鳴器の有する共鳴周波数を373Hzとした複層ガラスを用いて測定したものを示す。
【0053】
この例においても、共鳴器を有しない複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数より約1/3オクターブバンドずらした共鳴周波数を有する共鳴器を取付けた複層ガラスのグラフはJISの遮音等級線の傾きと近似した形となり、結果として、遮音等級がT−2(30等級)からT−3(35等級)へ向上し、幅広い音域で優れた遮音性能を有する複層ガラスを得ることができた。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明では、共鳴器を有しない複層ガラスが持つ固有の共鳴透過周波数より1/3オクターブバンドずらした共鳴周波数を有する共鳴器を備えることにより、JIS A 4706(2000年改正)の遮音等級線の傾きに従うような遮音特性が得られ、共鳴透過による低周波数域での遮音欠損を単一周波数帯域のみならず、欠損帯域全体に渡り改善させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る複層ガラスの一例を示す概略図。
【図2】複層ガラスの部分断面図。
【図3】共鳴用棒材の部分上面図。
【図4】共鳴用棒材とスペーサを一体とした複層ガラスの部分断面図。
【図5】本発明に係る複層ガラスの音響透過損失と中心周波数の関係を示すグラフ。
【図6】本発明に係る別の複層ガラスの音響透過損失と中心周波数の関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1:複層ガラス、2:板ガラス、3:スペーサ、4:中空層、
5:共鳴用棒材、6:貫通孔、7:空洞部、8:一次シール、
9:二次シール、10:連結部材。

Claims (2)

  1. 周縁に配設したスペーサにより所定間隔を隔てて重ね合わされた少なくとも2枚の板ガラスと、
    該板ガラス間に中空層を有し、
    該板ガラス間に共鳴器を備えた複層ガラスにおいて、
    前記共鳴器の共鳴周波数は前記共鳴器を備えなかった場合の複層ガラスの共鳴透過周波数より1/3〜2/3オクターブバンド高音域側へずれていることを特徴とする複層ガラス。
  2. 前記共鳴器は、前記板ガラスの少なくとも一辺に前記スペーサに沿って設けた共鳴用棒材と、該共鳴用棒材と前記スペーサ間に形成された空洞部からなり、前記共鳴用棒材は、前記スペーサの長さ方向及び幅方向の直角方向に貫通する複数個の貫通孔を有し、前記共鳴用棒材は、前記スペーサと平行に所定間隔を隔てて配設されたことを特徴とする請求項1に記載の複層ガラス。
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