JP5888496B2 - 複層ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、低周波領域の遮音性を向上させる共鳴部材を備えた複層ガラスに関する。
複層ガラスは、一般に、複数枚のガラス板を、スペーサーを用いて隔置し、ガラス板とスペーサーとで密閉空間である中空層を形成せしめた構成であり、複層ガラスは中空層があることで断熱性能が高まり、結露防止、室内側冷暖房の負荷軽減などの利点があり、ガラスサッシとして一般住宅用を主として広く使われることが知られている。
複層ガラスは中空層を有するため断熱性能には優れるが、この中空層が存在することによって、中空層を含めた同厚のガラス板に比較すると遮音性能は低い。このことは、密度の大きい物体ほど音を吸収減衰しやすく、また、固体抵抗により振動し難いので、ガラスの方が、気体であり分子が動き易い空気より、音の吸収減衰が大きいためである。特に、複層ガラスは、ドアや窓材として使用されるようになってきており、断熱性能とともに防音性能を十分に有するものが求められる。
複層ガラスの遮音性能を低下させる要因についてはいくつかの現象が知られており、複層ガラスにおける遮音性能を向上させるには、主にコインシデンス効果と共鳴透過現象の二つの現象を抑制することが重要となることが知られている。
コインシデンス効果とは、板状の材料において特有の周波数で透過損失が小さくなる、言い換えれば、遮音性能が低下する現象である。具体的には、音が板面に対し斜めに入射すると、板面上の位置によって音圧に位相差ができるため、板面にそって固有の屈曲強制振動を生じ、ある周波数で音の透過が大きくなり遮音性能が低下する現象である。
また、共鳴透過現象とは、複層ガラスにおいて、1対のガラスが中空層をバネとして共振し、中空層のある部分(力学的平衡点)を境にして右側の系と左側の系が同じ振動数で振動する現象である。この2つの系はエネルギー的に等価であることになり互いに共鳴し、複層ガラスはこの振動数の元では遮音性能が低下する。
これまで、複層ガラスの遮音性を向上させるために、音響エネルギーを熱エネルギーに変換させる吸音効果を利用したヘルムホルツ共鳴器を板ガラス間に介装させた複層ガラスが検討されている。
例えば、特許文献1には、板ガラスの周縁部に所定間隔で貫通した小孔を有する棒状の共鳴用部材を配し、共鳴用部材とスペーサーとの間に空気層部を有する吸音部を配して、音響エネルギーを熱エネルギーに変換させる吸音効果を利用したヘルムホルツ共鳴器を形成させる遮音構造を有する複層ガラスが開示されている。
特開2003−063844号公報
図7に示すように、特許文献1に開示されたような、従来の共鳴用部材を備えた複層ガラスは、2枚のガラス板G1、G2がスペーサー4を介して隔置され、2枚のガラスG1、G2とスペーサー4で密閉された空間である中空層1が形成される。さらに、中空層1内にはスペーサー4に平行にスペーサー4と所定距離Hの間隔を隔てて、棒状で厚さがLの共鳴用部材7が配置され、共鳴用部材7および2枚のガラス板G1、G2にて空洞部2が形成される。
さらに、図8に示すように、共鳴用部材7には、中空層1と空洞部2とを連通する直径dの複数個の貫通孔8が、スペーサー4の長手方向に所定の孔間隔Pを空けて設けられており、この共鳴用部材7と空洞部2によって、ヘルムホルツ共鳴器を形成する構成となっている。
特許文献1に記載の従来の構成では、共鳴用部材7に所定の孔間隔P都度に連続的に貫通孔8を設け、ヘルムホルツ共鳴器が連続的並んでいる構成と等価であると考えられており、この従来の構成では、共鳴用部材7の貫通孔8の数が多いほど、その吸音効果は大きくなる。
上記発明におけるヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数(fr)は、下記一般式(1)を用いて算出することができる。なお、下記一般式(1)中において、Cは気体中の音速、Lはネック長、Kは開口端補正、Wは空気層幅である。
Figure 0005888496
複層ガラスの共鳴透過現象は、低周波帯(100〜630Hz)に生じるため、共鳴器の共鳴周波数は低周波帯に設定する必要がある。
特許文献1に開示されたような共鳴用部材では、共鳴器の共鳴周波数を低周波帯に設定するには、ネック長Lを長くする、もしくは空洞部2の体積を増加させる必要がある。空洞部2の体積を増加させるには、空気層高さHを高くする、または、孔間隔Pを広くする等の方法が考えられる。
しかしながら、ネック長Lを長くした場合、共鳴器の棒状部材が大きくなり、目立つため、景色に対する視認性が低下するという問題がある。また、空気層高さHを高くした場合も、中空層において、共鳴器を構成する占有体積が大きくなり、圧迫感を与える。また、景色に対する視認性が低下するという問題がある。
また、一般式(1)より、孔のピッチ間隔Pを広くした場合、間隔Pを広くした分、空気層の高さHを小さくして、高さHがより低いコンパクトな共鳴器により、視認性を高めることができる。しかし、孔のピッチ間隔Pが広くなると、複層ガラス内の共鳴器の孔数が減少し、遮音性能が低下する問題がある。
このように、従来の共鳴用部材を備えた複層ガラスでは、視認性などの外観、見栄えと、遮音性能とはトレードオフの関係にあり、両者の性能を満足させることは容易ではないのが現状であった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、十分な遮音性能を有し、かつ、外観や見栄えを更に向上させた複層ガラスを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、複層ガラスに介装させる共鳴用部材の形状に着目し、中空層における共鳴用部材の占有体積を少なくし、共鳴空間となる空洞部の空間を大きくすることによって、十分な遮音性能を有し、かつ、外観や見栄えを更に向上させることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、複数枚のガラス板を、スペーサーを介して隔置することによって、前記ガラス板同士の間に中空層を形成し、該中空層には前記スペーサーと所定間隔の位置に共鳴用部材が配置され、該共鳴用部材、前記スペーサー及び前記ガラス板にて区画された空洞部が形成された複層ガラスであって、前記共鳴用部材は、前記中空層と前記空洞部との間を連結する複数個の貫通孔を有し、前記共鳴用部材の前記空洞部側に、該共鳴用部材の長手方向に沿って欠成部が形成されていることを特徴とする複層ガラスである。
なお、本明細書において、欠成部とは、共鳴用部材の一部分を切り欠き、この切り欠いた部分によって形成した空間を意味する。また、貫通孔の長さは、共鳴器を構成するネック長を意味し、ネック長と呼ぶことがある。
また、本発明において、前記空洞部が、矩形状の第一空洞部と、前記欠成部による第二空洞部からなり、前記共鳴用部材の厚み(D)と前記第一空洞部の高さ(H)の合計長さが、5mm以上、20mm以下、であり、かつ、前記共鳴用部材の厚み(D)が、前記第一空洞部の高さ(H)の2倍以上、とするとよい。なお、本明細書において、共鳴用部材の厚み(D)とは、複層ガラスに備え付けた状態の垂直方向(鉛直方向)において、最長の長さとなる部分を意味する(図2参照)。
上記の関係を満たせば、視認性などの外観、見栄えを損なわずに、欠成部による空間体積(第二空洞部)を大きくすることが容易になり、低周波領域の遮音性能をより効果的に向上させることができる。
また、本発明において、前記欠成部の断面形状が、略円弧状、急峻に立ち上がる放物線状、略V字状又は略直線状の、少なくとも一つ又はこれらの組み合わせからなる形状にしてもよい。
本構成によれば、共鳴空間となる空洞部の空間をより効率的に大きくし、中空層における共鳴用部材の占有体積を大きくすることなく、共鳴器の共鳴周波数を低周波側に設定することができる。
また、本発明において、前記貫通孔が、前記共鳴用部材の欠成部が設けられていない位置に形成されるようにしてもよい。
本構成によれば、共鳴器を形成する貫通孔の長さ(L)を十分に確保することができる。これにより、共鳴器の共鳴周波数を容易に低周波帯に設定することができる。
また、本発明において、前記貫通孔が、一方のガラス板近傍に位置しており、前記共鳴用部材の一端側面に設けられた溝を一部として形成されるようにしてもよい。
本構成によれば、貫通孔が、共鳴用部材の一端側面に設けられた溝を一部として形成されているため、共鳴用部材に従来の孔あけ加工を行う必要がなく、溝を形成するだけでよいので、孔あけ加工と比較して、生産性が高く、コスト面においてメリットがある。
本発明によれば、複層ガラスの共鳴器を構成する共鳴用部材の空洞部側に、共鳴用部材の長手方向に沿って欠成部が形成されている。そのため、中空層における共鳴用部材の占有体積を少なくしつつ、共鳴空間となる空洞部の空間を大きくすることでき、共鳴器の共鳴周波数を容易に低周波帯に設定することができる。したがって、ヘルムホルツ共鳴器の共鳴周波数(fr)の算出式より、低周波領域における十分な遮音性能を有し、外観や見栄えを更に向上させた複層ガラスを提供することが可能となる。
本発明に係る複層ガラスの正面図である。 本発明に係る複層ガラスの部分拡大断面図である。 本発明に係る複層ガラスの斜視図である。 本発明の共鳴用部材の形状例である。 本発明に係る複層ガラスの遮音性能曲線グラフ(実施例1)である。 比較例となる複層ガラスの遮音性能曲線グラフである。 従来の複層ガラスの一例を示す部分拡大断面図である。 従来の共鳴用部材を備えた複層ガラスの斜視図である。
以下、本発明に係る複層ガラス100について、図1〜図4を参照して詳細に説明する。なお、図3において、図2の本発明の複層ガラスと同じ構成、作用を有する部分については、同一の符号を付した。
図1及び図2に示すように、本発明の複層ガラス100は、2枚のガラス板G1、G2がスペーサー4を介して隔置され、2枚のガラスG1、G2とスペーサー4で密閉された空間である中空層1が形成される。
スペーサー4の両側にはブチルゴム接着剤などの一次シール材5が貼着され、2枚のガラスG1、G2を一次シール材5で接着一体化し、2枚のガラスG1、G2を隔置して密閉された中空層1を形成する。中空層1にはゼオライトなどの乾燥剤が充填される。尚、2枚のガラスG1、G2とスペーサー4に囲まれた凹部の形状を有する二次シール部6には、水分などが浸入しないように、シリコーンシーラントやポリサルファイドシーラントなどが充填される。
中空層1内には、スペーサー4と平行に共鳴用部材7が配設される。この共鳴用部材7、スペーサー4及び2枚のガラスG1、G2によって区画された空洞部2が形成される。図2に示すように、空洞部2は、スペーサー4側に位置する矩形状の第一空洞部2aと、共鳴用部材7に切り欠きを設けることによって得られた空間である欠成部2b(第二空洞部)からなる。なお、欠成部2bは、共鳴用部材7の空洞部2側において、共鳴用部材7の長手方向に沿って、共鳴用部材7の一部を切り欠いた部分にて形成される。
空洞部2の空間体積を十分確保するために、欠成部2bの断面形状は、例えば、図3の(a)〜(d)に示すような、略円弧状、急峻に立ち上がる放物線状、略V字状又は略直線状、の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせからなる形状を有するように形成するとよい。なお、空洞部の空間体積をより多く確保するためには、欠成部2bの断面形状は、略円弧状、又は、急峻に立ち上がる放物線状、とすることが特に好ましい。
図3に示すように、共鳴用部材7には、中空層1と空洞部2との間を連結する複数個の貫通孔8が形成される。貫通孔8は直線状、曲線状など特に制限はないが、加工の観点から、垂直方向(鉛直方向)に形成することが好ましい(図2において、共鳴用部材の厚みD=貫通孔の長さL)。貫通孔8は、共鳴器を形成する貫通孔の長さLを十分に得るために、共鳴用部材7の欠成部2bが設けられていない位置に形成することが好ましい。なお、共鳴用部材7の欠成部2bが設けられていない位置とは、共鳴用部材7において、垂直方向に貫通孔8を形成した際、中空層1と空洞部2との間を連結する孔の距離が最長となる場所を意味する。
貫通孔8の位置は、一方のガラス板近傍に位置させるとよい。例えば、図4に示すように、共鳴用部材7の一端側面側に溝9を設け、この溝9と一方のガラス板によって貫通孔8を形成するようにするとよい。共鳴用部材7に溝9を形成する方法は特に限定されないが、丸ノコやフライス盤を用いた切削加工を用いるとよい。切削加工を用いれば、共鳴用部材に孔を明ける複雑な加工をする必要がなく生産性が高まる。
なお、貫通孔8の長さ方向と直角方向の断面形状は、略円形、略四角形、略三角形などの任意の形状にすることももちろん可能である。また、貫通孔8の位置は、対向するガラス板において、共鳴用部材7の中心部に設けてももちろんよい。
本発明の複層ガラス100に適用されるヘルムホルツ共鳴器の原理および共鳴周波数(fr)については、上述の一般式(1)と同様に算出することが可能である。なお、図2に示すように、本発明の複層ガラス100は、従来形式の断面が矩形状の第一空洞部2a(空気層体積V)のみではなく、欠成部2bによって得られる第二空洞部(空気層体積V)を加えた空気層体積(V+V)が得られる構成となっている。この構成により、共鳴空間となる空間を十分確保することができる。
本発明の複層ガラス100における具体的な形状例としては、例えば、共鳴用部材7の厚み(D)は5以上、20以下mm、第一空洞部2аの高さ(H)は、0以上、15以下mm、貫通孔8の長さ(L)は、5以上、20以下mm、と調整することができる。また、貫通孔8の孔の形状は、略円状、略四角形状など適宜設定するとよい。なお、共鳴用部材7をスペーサー4部材に接触させ、第一空洞部2аの高さ(H)を0mmとしてもよい。
また、共鳴用部材7の厚み(D)と第一空洞部2aの高さ(H)の関係において、共鳴用部材7の厚み(D)と第一空洞部2aの高さ(H)の合計長さが、5mm以上、20mm以下(関係式:5mm≦D+H≦20mm)、好ましくは、5mm以上、15mm以下であり、かつ、前記貫通孔の長さ(L)が、前記第一空洞部の高さ(H)の2倍以上(関係式:L≧2H)、とするとよい。
共鳴用部材7の厚み(D)と第一空洞部2aの高さ(H)の合計長さが5mmより小さいと、十分に低周波領域の遮音特性を向上させることが難しくなるため好ましくない、一方、20mmより大きいと、視認性などの外観、見栄えに影響を与えやすくなるので好ましくない。
また、共鳴用部材7の厚み(D)が、第一空洞部の高さ(H)の2倍より小さくなる(関係式:D<2H)と、十分な長さの貫通孔8、また、十分な空間体積を有する欠成部2bを形成しにくくなるため、好ましくない。
本発明において、共鳴器の共鳴周波数は、150〜650Hzとなるように設計することが好ましい。一般的な複層ガラスにおいては、中空層の大きさ、該中空層に封入された気体の種類、板ガラスの厚さ、等の制限より、200〜1000Hz(特に、200〜500Hz)の音域で共鳴透過現象による遮音性能の低下という不具合が生じやすく、この周波数領域での遮音性能の低下が、遮音等級に影響を及ぼしやすくなる。そのため、共鳴器の共鳴周波数を150〜650Hzとすれば、200〜1000Hzの音域で共鳴透過現象による遮音性能の低下をできるだけ避けることによって、低周波領域の遮音性能を向上させ、例えば、遮音等級T−2、T−3などの優れた遮音性能を満たす複層ガラスを提供することができる。
共鳴用部材7は複層ガラス100の4辺全周に沿って設けてもよいし、1辺のみ、もしくは2辺に沿って設けるようにしてもよい。
共鳴用部材7をガラス板G1、G2に固定する方法は、特に制限はないが、例えば、耐候性や耐久性に優れる両面接着テープなどによって貼着する方法、その他として、同様な耐候性や耐久性に優れる接着力を発現する接着剤などを用いてもよい。また、柔軟な樹脂やゴムなどを共鳴部材側面に配置し、接触させる形で固定しても良い。
共鳴用部材7の材質としては、各種材料を使用することができ、例えば、アクリルなどの硬質樹脂、ゴム、アルミなどの金属材料、木製材料を挙げることができ、吸音性を高めるために、表面を平滑に仕上げたものを使用してもよい。
共鳴用部材7の下端部(スペーサー4側)には、共鳴用部材7の保持力、落下防止のために支持脚(図示せず)を設けるようにしてもよい。
本発明は、上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明に係る複層ガラスにおいて、複数枚のガラス板を、スペーサーを用いて隔置し、ガラス板とスペーサーとで密閉空間である中空層を形成せしめる構成とした種々の複層ガラスに適用することができる。例えば、中空層が1層のみならず、対向するガラス板を3枚以上用い、2層以上の中空層を形成した複層ガラスにも適用できる。
本発明の複層ガラス100に適用されるガラス板G1、G2は、フロート法等で製造された後、何ら後処理がなされていない生板ガラス(単板ガラス)、製造後、風冷強化または化学強化等の強化処理がなされた強化ガラス、ポリビニルブチラール膜などの樹脂中間膜を介して接合した合わせガラス、網入りガラス等を使用することができる。また、本発明の複層ガラスを構成する2枚のガラス板の内の少なくとも1枚に熱伝達を抑制する低放射膜をコーティングしたLow−Eガラスを用いることももちろん可能である。
さらに、複層ガラスに封入されるガスの種類についても特に限定されないが、例えば、一般的に公知の複層ガラスに封入されるアルゴン、クリプトン、キセノン、ヘリウム、ネオン、六フッ化イオウ等のガスを挙げることができる。なお、本発明の複層ガラスは単一成分のガスまたは単一成分のガスを少なくとも2種以上混合したガスを封入した複層ガラスに適用することももちろん可能である。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は係る実施例に限定されるものではない。以下の遮音性能試験によって、本発明に係る複層ガラスの遮音性能の評価を行った。
<遮音性能の評価>
遮音性能試験は、「サッシ」JIS A4706:2000に準拠し、「実験室における音響透過損失の測定方法」JIS A 1416に基づき行った。その際、前記JISに基づいて、規程の1/3オクターブ中心周波数における音響透過損失を測定した。尚、測定において音源はガラス板G1側におき、測定器はガラス板G2側に設置した。
詳しくは、JIS A1416:2000に記載されるタイプI試験室(残響室)を使用し、2本の木製押縁(25mm×25mm)を用いて、試験体を固定し設置を行い、JIS A1416:2000に記載の方法で音響透過損失の測定を行った。音響透過損失の測定値が、JISA4706:2000に記載の判断基準、「a)125Hz〜4000Hzの16点における音響透過損失が、全て該当する遮音等級線を上回ることとする。尚、各周波数帯域で該当する遮音等級線を下回る値の合計が3dB以下の場合は、その遮音等級とする。b)全周波数帯域において、数2の式によって、音響透過損失を換算し、その換算値(6点)が該当する遮音等級線を上回ることとする。」に対し、遮音等級T-3等級について、a)、b)いずれかに基準を満たした場合、遮音等級T−3等級に合格するとした。
Figure 0005888496
[実施例1]
実施例1として、図1に示されるような複層ガラスにおいて、総厚22.4mmであって、ガラス板G1、G2の板厚が7.7mmのフロート単板ガラス(FL8)、4.7mmのフロート単板ガラス(FL5)であり、略円弧上の欠成部2bが形成されている共鳴用部材7を設置し、厚さを10mmとした中空層1(Re10)からなる構成の複層ガラス(FL8+Re10+FL5)を用いて遮音性能の測定を行った。なお、測定した複層ガラスの大きさは、1230mm×1480mmのものを使用した。
略円弧上の欠成部2bが形成された共鳴用部材7は、各スペーサーに対して平行に設置し、長辺側左右及び短辺側上下、計4箇所に配置した。貫通孔長さ(L)10mm、共鳴器のネック長となる貫通孔8は長方形の形状であり、長辺(a)が3mm、短辺(b)が1mm、孔間隔(P)は70mm、空気層高さ(H)5mm、空気層幅(W)10mmとした。なお、欠成部2bを理想的な円形と仮定すると、円の半径は7mmであった。また、欠成部2bが形成された共鳴用部材7は、それぞれガラス板G1、G2側を市販の両面接着テープで貼着した。
また、貫通孔8は、図3に示すように、共鳴用部材7の欠成部2bが設けられていない部分に位置させ、共鳴用部材7の一端側面に、直線状の溝8を設け、この溝9と一方のガラス板によって貫通孔8を形成するようにした。なお、共鳴用部材7の材質としては、木製の部材を使用した。
略円弧上の欠成部2bが形成された共鳴用部材7の貫通孔8は、長方体の形状であるため、共鳴用部材7の共鳴周波数(fr)は、下記数式3で求めた。また、Kは管端補正係数であり、下記数式4で求めることができる。Kbは管端補正である。
Figure 0005888496
Figure 0005888496
上記の数式3中で、H×P×Wは、一つの貫通孔に対する空気層体積(V1)を表す。本発明の複層ガラス100において、一つの貫通孔に対する共鳴器を形成する空間体積(V)は、空気層高さ(H)、空気層幅(W)、孔間隔(P)によって得られる空気層体積(V1)に、欠成部によって得られる空気層体積(V2)を加えた体積となる。
なお、略円弧上の欠成部2bによって得られる空気層体積(V2)は、欠成部2bを理想的な円形と仮定し、円の半径から断面積を求め、円弧状の断面積から空気層体積を算出した。
[比較例1]
本発明に係る共鳴用部材を設置しない複層ガラスとして、総厚22.4mmであって、ガラス板G1、G2の板厚が7.7mmのフロート単板ガラス(FL8)、4.7mmのフロート単板ガラス(FL5)であり、中空層1の厚さを10mmとした中空層1(Air10)からなる構成の複層ガラス(FL8+Air10+FL5)を用いて遮音性能の測定を行った。なお、測定した複層ガラスの大きさは、1230mm×1480mmのものを使用した。
図5、6の複層ガラスの遮音性能曲線グラフより、本発明の共鳴用部材を設けた実施例1の複層ガラスは、共鳴用部材を設けない比較例1と比較して、200〜1000Hzの周波数領域の遮音性能が大幅に改善されていることが分かり、本発明の共鳴用部材による遮音特性の向上が得られている。
また、実施例1より本発明の複層ガラスは、遮音等級T−3等級満たす優れた遮音性能を有する複層ガラスであることが分かる。本発明の複層ガラスは、十分な遮音性能を得るためにガラス板の厚さを必要以上に増やすことなく、従来の複層サッシ枠を適用することができ、別途、特注の複層サッシ枠を製作する必要がなく、コスト的にも有利である。
本発明による複層ガラスによれば、建築物、車両だけでなく、より外部からの騒音が懸念される幹線道路、電車、航空機に隣接したマンション等の開口部に利用される窓やドア部材等に適用することができる。
100 複層ガラス
G1、G2 ガラス板
1 中空層
2 空洞部
2a 第一空洞部
2b 欠成部(第二空洞部)
3 乾燥剤
4 スペーサー
5 一次シール材
6 二次シール材
7 共鳴用部材
8 貫通孔
9 溝

Claims (7)

  1. 複数枚のガラス板を、スペーサーを介して隔置することによって、前記ガラス板同士の間に中空層を形成し、該中空層には前記スペーサーと所定間隔の位置に共鳴用部材が配置され、該共鳴用部材、前記スペーサー及び前記ガラス板にて区画された空洞部が形成された複層ガラスであって、
    前記共鳴用部材は、
    前記中空層と前記空洞部との間を連結する複数個の貫通孔を有し、
    前記共鳴用部材の前記空洞部側に、該共鳴用部材の長手方向に沿って欠成部が形成されており、
    前記欠成部の断面形状が、略円弧状、急峻に立ち上がる放物線状、略V字状又は略直線状、の少なくとも一つ又はこれらの組み合わせからなる形状を有することを特徴とする、
    複層ガラス。
  2. 前記空洞部が、矩形状の第一空洞部と、前記欠成部による第二空洞部からなり、前記共鳴用部材の厚み(D)と前記第一空洞部の高さ(H)の合計長さが、5mm以上、20mm以下、であり、かつ、前記共鳴用部材の厚み(D)が、前記第一空洞部の高さ(H)の2倍以上である、請求項1の複層ガラス。
  3. 前記貫通孔が、前記共鳴用部材の欠成部が設けられていない位置に形成される、請求項1又は請求項2の複層ガラス。
  4. 前記貫通孔が、一方のガラス板近傍に位置しており、前記共鳴用部材の一端側面に設けられた溝を一部として形成される、請求項1から請求項3の何れかの複層ガラス。
  5. サッシとした際にJIS A4706:2000に準拠する遮音等級T−3等級に合格する、請求項1から請求項4の何れかの複層ガラス。
  6. 請求項1から請求項5の何れかの複層ガラスを取り付けた、窓。
  7. 請求項1から請求項5の何れかの複層ガラスを取り付けた、ドア。
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