JP2004205686A - プロジェクタ用筐体及びこの筐体を備えたプロジェクタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】前面部13Aには開口部27が形成されおり、この開口部27からは、投写レンズが露出している。前面部13Aの内面には、投写レンズと開口部27との間に形成される隙間を遮蔽するための遮蔽部130が設けられている。第一遮蔽部材131は、投写レンズの移動方向先端側及び後端側に形成される隙間のうち一方の隙間遮蔽する。第二遮蔽部材132は他方の隙間を遮蔽する。第三遮蔽部材133には、投写レンズを露出する孔133Aが形成されており、投写レンズの移動方向先端側及び後端側を遮蔽する。
【選択図】図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロジェクタ用筐体及この筐体を備えたプロジェクタに関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、複数の色光を画像情報に応じて各色光毎に変調する複数の光変調装置(液晶パネル)と、各光変調装置で変調された色光を合成する色合成光学系(クロスダイクロイックプリズム)と、この色合成光学系で合成された光束を拡大投写して投写画像を形成する投写光学系(投写レンズ)とを有する装置本体を備えたプロジェクタが利用されている。この装置本体は筐体内に収納され、投写光学系の投写レンズは筐体に形成された開口部から露出している。
【0003】
このようなプロジェクタの中には、大型店舗やパブリックスペース等において種々の映像情報を不特定多数の観察者に提供するものがあり、この種のプロジェクタを使用するにあたって、プロジェクタを低い位置に固定して上方にあおり投写する場合や、高い位置に固定して下方にあおり投写する場合がある。そのため、光変調装置等の光学系に対して、光束が射出される方向と直交する方向に投写レンズをシフトさせる位置調整機構が設けられたものが知られている(例えば、特許文献1)。
位置調整機構を備えたプロジェクタでは、投写レンズを露出させる開口部を長孔状に形成し、この長孔に沿って投写レンズを移動させるようになっている。
しかし、このようなプロジェクタでは、投写光学系が移動した際に、この投写光学系と筐体に形成された開口部との間に隙間が生じてしまい、隙間から塵埃等が進入する虞がある。また、隙間が生じるため、外観上の見栄えが悪いという問題がある。そこで、筐体内面に投写レンズに追従して移動する1枚又は2枚の遮蔽部材を取り付けてこれにより隙間の目隠しをすることが行われている。
【0004】
【特許文献1】
特開平09−230284号公報(図1)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このように一枚又は二枚の遮蔽部材を追従させる構成では、筐体の投写レンズの移動方向に沿った寸法を充分に確保しなければ、筐体内部で遮蔽部材の移動範囲を確保できないという問題がある。そのため、筐体の投写レンズ移動方向の長さ寸法が長くなり小型化を図ることが困難となる。
また、投写レンズを小さな径のものに変更する場合には、遮蔽部材がそのままでは、隙間が生じてしまうため、投写レンズの径に応じた遮蔽部材を準備しなければならず、部材点数が増加してしまうという問題がある。
【0006】
本発明の目的は、小型化を図ることができ、部材点数を増加させずに異なる径の投写光学系を使用することができるプロジェクタ用筐体及びこの筐体を備えたプロジェクタを提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のプロジェクタ用筐体は、光源と、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し光学像を形成する光変調装置と、この光変調装置により形成された光学像を拡大投写する投写光学系とを含む装置本体を備えたプロジェクタの前記装置本体を収納するプロジェクタ用筐体であって、前記投写光学系には、投写位置を調整する位置調整機構が設けられ、前記投写光学系が露出し、かつ前記位置調整機構により前記投写光学系が移動する開口部が形成された前面部と、この前面部の内面に設けられ、前記投写光学系を露出させた際、前記開口部と投写光学系との間の隙間を遮蔽する遮蔽部とを備え、この遮蔽部は、前記内面に摺動自在に設けられ、前記プロジェクタに搭載される最大径の投写光学系を前記開口部の基準位置から露出させた際、この投写光学系の移動方向先端側及び後端側に形成される隙間のうち一方の隙間を遮蔽する第一遮蔽部材と、他方の隙間を遮蔽する第二遮蔽部材と、前記基準位置にある前記投写光学系の少なくとも移動方向後端側に遊嵌状態で取り付けられる第三遮蔽部材とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明において、最大径の投写光学系が基準位置にある場合には、開口部と投写光学系との間の隙間は第一遮蔽部材および第二遮蔽部材で遮蔽されている。この投写光学系を、例えば、第二遮蔽部材側に移動させると、第二遮蔽部材は投写光学系に伴って摺動する。第一遮蔽部材は摺動せず、そのままの位置に留まるため、第一遮蔽部材と投写光学系との間には隙間が形成される。ここで、投写光学系の移動方向後端側に遊嵌状態で取り付けられていた第三遮蔽部材を移動方向先端側(第二遮蔽部材側)に移動させれば、第一遮蔽部材と投写光学系との間の隙間を第三遮蔽部材により遮蔽することができる。
すなわち、投写光学系を第二遮蔽部材側に移動させた場合には、投写光学系の移動方向先端側と開口部との隙間は第二遮蔽部材により遮蔽され、投写光学系の移動方向後端側と開口部との隙間は第一遮蔽部材及び第三遮蔽部材により遮蔽されることとなる。
【0009】
なお、投写光学系を第一遮蔽部材側に移動する場合には、第三遮蔽部材は第二遮蔽部材側(移動方向後端側)に取り付けられることとなるので、第二遮蔽部材と投写光学系との間に生じる隙間を第三遮蔽部材により遮蔽することができる。すなわち、投写光学系を第一遮蔽部材側に移動させた場合には、投写光学系の移動方向先端側と開口部との隙間は第一遮蔽部材により遮蔽され、投写光学系の移動方向後端側と開口部との隙間は第二遮蔽部材及び第三遮蔽部材により遮蔽されることとなる。
このように、投写光学系が開口部を移動しても投写光学系と開口部との間には隙間が形成されないので、外観が良好となる。
【0010】
また、投写光学系を基準位置から移動させた際、投写光学系の移動方向後端側と開口部との隙間をひとつの遮蔽部材で遮蔽する場合には、遮蔽部材は、この隙間と同じ長さ寸法を有するものでなければならない。そして、この遮蔽部材が前面部から突出してしまわないよう、前面部の投写光学系の移動方向に沿った長さ寸法も長くしなければならない。
これに対し、本発明では、投写光学系を基準位置から移動させた際、例えば、第二遮蔽部材側に移動させた場合には、投写光学系の移動方向後端側と開口部との隙間を第一遮蔽部材と第三遮蔽部材との二つで遮蔽することとなるので、ひとつの遮蔽部材で隙間を遮蔽しようとする場合に比べ、各遮蔽部材の長さ寸法を短くすることができる。このように、遮蔽部材の長さ寸法を短くすることができるので、筐体の投写光学系移動方向に沿った長さ寸法を長くする必要がなく、筐体の小型化を図ることができる。
【0011】
さらに、基準位置にある最大径の投写光学系の移動方向先端側の隙間を第二遮蔽部材で遮蔽し、後端側の隙間を第一遮蔽部材で遮蔽しているとする。この際、第三遮蔽部材は、最大径の投写光学系の移動方向後端側、すなわち第一遮蔽部材と重なるように取り付けられる。
このような場合において、最大径の投写光学系よりも径の小さな他の投写光学系を使用するには、この径の小さな投写光学系を第二遮蔽部材に当接して配置する。すると、第一遮蔽部材と投写光学系との間には隙間が形成されるが、この隙間は、第三遮蔽部材を第二遮蔽部材側に摺動させることで遮蔽することができる。従って、従来のように投写光学系の径ごとに遮蔽部材を用意する必要がなく、部材点数を増加させずに、異なる径寸法の投写光学系を使用することができる。
【0012】
本発明では、前記第一遮蔽部材と、前記第二遮蔽部材とは互いに接近する方向に付勢されていることが好ましい。
例えば、投写光学系を基準位置から第二遮蔽部材側に移動させた後、再度、投写光学系を基準位置に戻す(投写光学系を第一遮蔽部材側に移動させる)場合、第二遮蔽部材は第一遮蔽部材側に付勢されているので、投写光学系に追従して摺動する。そのため、第二遮蔽部材と投写光学系との間には隙間が形成されない。同様に、投写光学系を第一遮蔽部材側に移動させた後、再度、投写光学系を基準位置に戻す場合も、第一遮蔽部材は第二遮蔽部材側に付勢されているので、投写光学系に追従して摺動し、第二遮蔽部材と投写光学系との間には隙間が形成されない。このように、投写光学系を移動させる際においても、投写光学系の周囲には隙間が形成されることがないので、外観が良好となる。
【0013】
本発明では、前記前面部には、この前面部に対し交差する延出部本体と、この延出部本体から前記前面部と平行にのびる取り付け部とを備えるとともに、プロジェクタ用筐体の一部を構成する延出部が取り付けられ、前記第一遮蔽部材又は第二遮蔽部材は前記取り付け部と前面部との間に配置されていることが好ましい。
この発明によれば、取り付け部と前面部との間に第一遮蔽部材又は第二遮蔽部材を配置したので、第一遮蔽部材又は第二遮蔽部材は取り付け部と前面部との間に挟持されることとなり、前面部に確実に取り付けることができる。
【0014】
本発明のプロジェクタは、光源と、光源から射出された光束を、画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、この光変調装置で形成された光学像を拡大投写する投写光学系とを含む装置本体とを備えたプロジェクタであって、上述した何れかのプロジェクタ用筐体を備えたことが好ましい。
本発明のプロジェクタは何れかのプロジェクタ用筐体を備えているので、上述したプロジェクタ用筐体と同様の効果を奏することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
(1)外観構成
図1および図2には、本発明の実施形態に係るプロジェクタ1が示されており、図1は上方前面側から見た斜視図であり、図2は下方背面側から見た斜視図である。
このプロジェクタ1は、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し、スクリーン等の投写面上に拡大投写する光学機器であり、後述する光学ユニットを含む装置本体を内部に収納する外装ケース2および外装ケース2から露出する投写レンズ3を備えている。このプロジェクタ1は、大型店舗内や、パブリックスペース等に設置され、投写画像を大画面表示することによって、多数の観察者に映像情報を提供するものである。
投写レンズ3は、後述する光変調装置としての液晶パネルにより光源から射出された光束を画像情報に応じて変調形成された光学像を拡大投写する投写光学系としての機能を具備するものであり、筒状の鏡筒内に複数のレンズが収納された組レンズとして構成される。この投写レンズ3は、このプロジェクタ1に搭載可能な最大径の投写レンズである。
【0016】
筐体としての外装ケース2は、投写方向に沿った奥行き寸法がこれに直交する幅方向寸法よりも大きな直方体形状をなし、装置本体を覆う面状体10と、ケース強度を負担するフレーム体(図示略)とを備えて構成されている。
面状体10は、装置本体の上部を覆うアッパーケース11と、装置本体の下部を覆うロアーケース12と、装置本体の前面部分を覆うフロントケース13とを備えている。これら各ケース11〜13は、射出成形等によって成形された合成樹脂製の一体成形品である。
【0017】
アッパーケース11は、装置本体の上部を覆う筐体上面部11Aと、この筐体上面部11Aの幅方向端部から略垂下する筐体側面部11B、11Cと、筐体上面部11Aの後端部から略垂下する筐体背面部11Dとを備えている。
このアッパーケース11の筐体上面部11Aと、筐体側面部11B、11Cとが交差する稜線部分には、プロジェクタ1の投写方向略中央から後端側に向かって面取加工が施され、稜線に沿って凹状にへこんだ凹部111が形成されている。この凹部111は、プロジェクタ1を2台スタックさせた際に、2台のプロジェクタ1を連結するパイプ状の支持部材を挿入するために形成されている。
また、筐体側面部11Bには、冷却空気導入用のスリット状の開口部112が形成されている。
【0018】
筐体上面部11Aの略中央部分には、プロジェクタ1の起動・調整操作を行うための操作パネル14が設けられている。この操作パネル14は、起動スイッチ、画像・音声等の調整スイッチを含む複数のスイッチを備え、プロジェクタ1による投写時には、操作パネル14中の調整スイッチ等を操作することにより、画質・音量等の調整を行うことができる。
また、筐体上面部11Aの投写方向前方には、複数の孔141が形成されていて、この内部には、後述する音声出力用のスピーカが収納されている。
これら操作パネル14およびスピーカは、後述する装置本体を構成する制御基板と電気的に接続され、操作パネル14による操作信号はこの制御基板で処理される。
【0019】
筐体背面部11Dは、ほぼ全面が開口された枠状に構成され、この開口部分には、画像信号等を入力するためのコネクタ群15が露出するとともに、その隣は、光源装置を収納する開口部とされ、通常は、光源装置収納用の蓋部材16によって覆われている。尚、コネクタ群15は、後述する制御基板と電気的に接続され、コネクタ群15を介して入力した画像信号は、制御基板によって処理される。
また、筐体上面部11Aの後端部及び筐体背面部11Dの上端部分は、アッパーケース11から脱着可能な蓋部材113が取り付けられていて、詳しくは後述するが、この蓋部材113内部には、LANボード等の拡張基板を挿入することができるようになっている。
【0020】
ロアーケース12は、アッパーケース11との係合面を中心としてアッパーケース11と略対称に構成され、筐体底面部12A、筐体側面部12B、12C、および筐体背面部12Dを備えている。
そして、筐体側面部12B、12C、および筐体背面部12Dは、その上端部分でアッパーケース11の筐体側面部11B、11C、及び筐体背面部11Dの下端部分と係合する。尚、筐体背面部12Dは、アッパーケース11の筐体背面部11Dと同様に、ほぼ全面が開口され、係合後の開口部分から前述したコネクタ群15が露出するとともに、両開口部分に跨って蓋部材16が取り付けられる。
また、筐体背面部12Dの角隅部には、さらに開口部が形成されており、この開口部からインレットコネクタ17が露出している。さらに、筐体側面部12Bには、アッパーケース11の筐体側面部11Bに形成された開口部112に応じた位置に開口部122が形成されている。
【0021】
筐体底面部12Aには、プロジェクタ1の後端側略中央に固定脚部18が設けられているとともに、先端側幅方向両端に調整脚部19が設けられている。
調整脚部19は、筐体底面部12Aから面外方向に進退自在に突出する軸状部材から構成され、軸状部材自体は、外装ケース2の内部に収納されている。このような調整脚部19は、プロジェクタ1の側面部分に設けられる調整ボタン191を操作することにより、筐体底面部12Aからの進退量を調整することができる。
これにより、プロジェクタ1から射出された投写画像の上下位置を調整し、適切な位置に投写画像を形成することができるようになる。
【0022】
また、筐体底面部12Aには、筐体底面部12Aの略中央に投写方向に沿って延びる凸条のリブ状部20と、このリブ状部20と直交するようにプロジェクタ1の幅方向に沿って延びる複数のリブ状部21、22とが形成されている。そして、中間部分の2本のリブ状部21の間には、詳しくは後述するが、外部から冷却空気を取り込むための吸気用開口部が形成されていて、フィルタ23によって覆われている。このフィルタ23で塞がれた吸気用開口部の後端側には、やはり冷却空気取り込み用の吸気用開口部24が形成されているが、フィルタで覆われる構成とはなっていない。
プロジェクタ1の幅方向に沿って延びるリブ状部21、22の端部には、ねじ孔21Aが4箇所形成されている。このねじ孔21Aには、プロジェクタ1を天井吊り下げとした場合の天井吊り下げ用の金具が装着される。
さらに、筐体底面部12Aの装置後端側端縁には、係合部26が形成されており、この係合部26には、前述したコネクタ群15を覆って塵埃等がこれらに付着することを防止するためのカバー部材が取り付けられるようになっている。
【0023】
フロントケース13は、前面部13Aおよび上面部(延出部)13Bを備えて構成され、前面部13Aの外周部分には、面外方向に延びるリブ13Cが形成されており、アッパーケース11、ロアーケース12の投写方向先端側とこのリブ13Cが係合する。
前面部13Aは、ロアーケース12の筐体底面部12Aからアッパーケース11の筐体上面部11Aに向かって装置後端側に傾斜しており、その方向は投写面から遠ざかるように傾斜している。このようにしたのは、プロジェクタ1を天井吊り下げにした際に、フロントケース13の前面部13Aが下面を向くので、フロントケース13に塵埃が付着しにくくなるためであり、通常設置の状態よりもメンテナンスしにくい天井吊り下げの場合を考慮したためである。
【0024】
このような前面部13Aの略中央部分には開口部27が形成されており、この開口部27からは投写レンズ3が露出する。
この開口部27には、隣接してスリット状の開口部28が形成されており、プロジェクタ1の装置本体内部を冷却した空気は、この開口部28から排出される。
さらに、前面部13Aの角隅部近傍には、孔29が形成されており、この孔29からは、不図示のリモートコントローラの操作信号を受信するための受光部30が露出している。
尚、本例においては、プロジェクタ1の背面側にも受光部30が設けられており、図2に示されるようにアッパーケース11の筐体背面部11Dの角隅部から受光部30が露出している。これにより、リモートコントローラを使用する場合、装置前面側、装置背面側のいずれの方向からもリモートコントローラの操作信号を受信することができるようになっている。
【0025】
上面部13Bは、アッパーケース11の筐体上面部11Aの略中央まで延出し、ここでは具体的には図示を略したが、投写レンズ3の基端部近傍まで達している。詳しくは後述するが、このようにしたのは、投写レンズ3を変更する際に、フロントケース13を取り外すだけで投写レンズ3を交換できるようにするためであり、アッパーケース11およびロアーケース12からフロントケース13を取り外すと、上面部13Bが外れて開口され、投写レンズ3の基端部取付部分が露出するようになっている。
【0026】
(2)内部構成
このような外装ケース2の内部には、図3〜図5に示されるように、プロジェクタ1の装置本体が収納されており、この装置本体は、光学ユニット4、制御基板5、および電源ブロック6を備えて構成される。
(2-1)光学ユニット4の構造
光学エンジンとしての光学ユニット4は、光源装置から射出された光束を画像情報に応じて変調して光学像を形成し、投写レンズ3を介してスクリーン上に投写画像を形成するものであり、図5に示されるように、ライトガイド40という光学部品用筐体内に、光源装置や、種々の光学部品等を組み込んだものとして構成される。
このライトガイド40は、下ライトガイド401、上ライトガイド402から構成され、それぞれは、射出成形等による合成樹脂製品である。
【0027】
下ライトガイド401は、図6に示されるように、後述する光源装置が収納される光源収納部401A及び光学部品を収納する部品収納部401Bを備え、この部品収納部401Bは、底面部401C及び側壁部401Dからなる上部が開口された容器状に形成され、側壁部401Dには、複数の溝部401Eが設けられている。この溝部401Eには、光学ユニット4を構成する種々の光学部品が装着され、これにより各光学部品は、ライトガイド40内に設定された照明光軸上に精度よく配置される。上ライトガイド402は、この下ライトガイド401に応じた平面形状を有し、下ライトガイド401の上面を塞ぐ蓋状部材として構成される。
また、下ライトガイド401の光束射出側端部には、金属製の側面略L字状のヘッド体403が配置され、このヘッド体403のL字水平部分には、後述する光学装置44が取り付けられるとともに、L字垂直部分には、投写レンズ3の基端部分が接合固定される。
【0028】
このようなライトガイド40内は、図7に示されるように、インテグレータ照明光学系41と、色分離光学系42と、リレー光学系43と、光変調光学系および色合成光学系を一体化した光学装置44とに機能的に大別される。尚、本例における光学ユニット4は、三板式のプロジェクタに採用されるものであり、ライトガイド40内で光源から射出された白色光を三色の色光に分離する空間色分離型の光学ユニットとして構成されている。
インテグレータ照明光学系41は、光源から射出された光束を照明光軸直交面内における照度を均一にするための光学系であり、光源装置411、平行化凹レンズ412、第1レンズアレイ413、第2レンズアレイ414、偏光変換素子415、および重畳レンズ416を備えて構成される。
【0029】
光源装置411は、放射光源としての光源ランプ417、リフレクタ418、およびリフレクタ418の光束射出面を覆うフロントガラス419を備え、光源ランプ417から射出された放射状の光線を、平行化凹レンズ412及びリフレクタ418で反射して略平行光線とし、外部へと射出する。本例では、光源ランプ417として高圧水銀ランプを採用しているが、これ以外にメタルハライドランプやハロゲンランプを採用することもある。また、本例では、楕円面鏡からなるリフレクタ418の射出面に平行化凹レンズ412を配置した構成を採用しているが、リフレクタ418として放物面鏡を採用することもできる。
【0030】
第1レンズアレイ413は、照明光軸方向から見てほぼ矩形状の輪郭を有する小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備している。各小レンズは、光源ランプ417から射出された光束を部分光束に分割し、照明光軸方向に射出する。各小レンズの輪郭形状は、後述する液晶パネル441R、441G、441Bの画像形成領域の形状とほぼ相似形をなすように設定される。例えば、液晶パネル441R、441G、441Bの画像形成領域のアスペクト比(横と縦の寸法の比率)が4:3であるならば、各小レンズのアスペクト比も4:3に設定される。
第2レンズアレイ414は、第1レンズアレイ413と略同様の構成であり、小レンズがマトリクス状に配列された構成を具備する。この第2レンズアレイ414は、重畳レンズ416とともに、第1レンズアレイ413の各小レンズの像を液晶パネル441R、441G、441B上に結像させる機能を有する。
【0031】
偏光変換素子415は、第2レンズアレイ414からの光を1種類の偏光光に変換するものであり、これにより、光学装置44での光の利用率が高められている。
具体的に、偏光変換素子415によって1種類の偏光光に変換された各部分光束は、重畳レンズ416によって最終的に光学装置44の液晶パネル441R、441G、441B上にほぼ重畳される。偏光光を変調するタイプの液晶パネル441R、441G、441Bを用いたプロジェクタでは、1種類の偏光光しか利用できないため、ランダムな偏光光を発する光源ランプ417からの光束の略半分が利用されない。このため、偏光変換素子415を用いることにより、光源ランプ417から射出された光束を全て1種類の偏光光に変換し、光学装置44における光の利用効率を高めている。なお。このような偏光変換素子415は、例えば、特開平8−304739号公報に紹介されている。
【0032】
色分離光学系42は、インテグレータ照明光学系41から射出された光束を曲折する反射ミラー421と、2枚のダイクロイックミラー422,423と、反射ミラー424とを備え、ダイクロイックミラー422、423によりインテグレータ照明光学系41から射出された複数の部分光束を赤(R)、緑(G)、青(B)の3色の色光に分離する機能を有している。尚、本例では、反射ミラー424は、下ライトガイド401に対して姿勢を調整することができるようになっている。
リレー光学系43は、入射側レンズ431と、リレーレンズ433と、反射ミラー432、434とを備え、色分離光学系42で分離された色光である赤色光を液晶パネル441Rまで導く機能を有している。
【0033】
この際、色分離光学系42のダイクロイックミラー422では、インテグレータ照明光学系41から射出された光束のうち、赤色光成分と緑色光成分とは反射し、青色光成分は透過する。ダイクロイックミラー422によって透過した青色光は、反射ミラー424で反射し、フィールドレンズ425を通って、青色用の液晶パネル441Bに到達する。このフィールドレンズ425は、第2レンズアレイ414から射出された各部分光束をその中心軸(主光線)に対して平行な光束に変換する。他の液晶パネル441G、441Rの光入射側に設けられたフィールドレンズ425も同様である。
【0034】
また、ダイクロイックミラー422を反射した赤色光と緑色光のうちで、緑色光は、ダイクロイックミラー423によって反射し、フィールドレンズ425を通って、緑色用の液晶パネル441Gに到達する。一方、赤色光は、ダイクロイックミラー423を透過してリレー光学系43を通り、さらにフィールドレンズ425を通って、赤色光用の液晶パネル441Rに到達する。
なお、赤色光にリレー光学系43が用いられているのは、赤色光の光路の長さが他の色光の光路長さよりも長いため、光の発散等による光の利用効率の低下を防止するためである。すなわち、入射側レンズ431に入射した部分光束をそのまま、フィールドレンズ425に伝えるためである。なお、リレー光学系43には、3つの色光のうちの赤色光を通す構成としたが、これに限らず、例えば、青色光を通す構成としてもよい。
【0035】
光学装置44は、入射された光束を画像情報に応じて変調してカラー画像を形成するものであり、色分離光学系42で分離された各色光が入射される3つの入射側偏光板442と、各入射側偏光板442の後段に配置される光変調装置としての液晶パネル441R、441G、441Bと、各液晶パネル441R、441G、441Bの後段に配置される視野角補正板443および射出側偏光板444と、色合成光学系としてのクロスダイクロイックプリズム445とを備える。
【0036】
液晶パネル441R、441G、441Bは、例えば、ポリシリコンTFTをスイッチング素子として用いたものであり、図8に示されるように、液晶パネル441Gを例に取れば、パネル本体4411と、このパネル本体4411を収納する保持枠4412とを備えている。尚、以下の説明では、液晶パネル441R、441Bについては特段言及しないが、液晶パネル441Gと略同様の構成である。
パネル本体4411は、図示を略したが、対向配置される一対の透明基板内に液晶が密封封入されたものであり、一対の透明基板の入射側及び射出側には防塵ガラスが貼り付けられている。
保持枠4412は、パネル本体4411を収納する凹部を有する部材であり、その四隅部分には、孔4413が形成されている。
【0037】
このような液晶パネル441R、441G、441Bの前段に配置される入射側偏光板442(図7参照)は、色分離光学系42で分離された各色光のうち、一定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、サファイアガラス等の基板に偏光膜が貼付されたものである。また、基板を用いずに、偏光膜をフィールドレンズ425に貼り付けてもよい。
視野角補正板443は、基板上に液晶パネル441Gで形成された光学像の視野角を補正する機能を有する光学変換膜が形成されたものであり、このような視野角補正板443を配置することにより、投写画像の視野角が拡大され、かつ投写画像のコントラストが大幅に向上する。
【0038】
射出側偏光板444は、液晶パネル441Gで光変調された光束のうち、所定方向の偏光光のみ透過させ、その他の光束を吸収するものであり、本例では、2枚の第1偏光板(プリポラライザ)444P及び第2偏光板(アナライザ)444Aから構成されている。このように射出側偏光板444を2枚構成としたのは、入射する偏光光を、第1偏光板444P、第2偏光板444Aのそれぞれで按分させて吸収することにより、偏光光で発生する熱を両偏光板444P、444Aで按分させ、それぞれの過熱を抑えるためである。
【0039】
クロスダイクロイックプリズム445は、射出側偏光板444から射出され、各色光毎に変調された光学像を合成してカラー画像を形成するものである。
クロスダイクロイックプリズム445には、赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが、4つの直角プリズムの界面に沿って略X字状に設けられ、これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成される。
このクロスダイクロイックプリズム445の下面には、プリズム固定板4451が紫外線硬化型接着剤により固着されている。このプリズム固定板4451は、クロスダイクロイックプリズム445の対角線に沿って伸びる脚部4452を備え、各脚部4452の先端部分には孔4453が形成されている。
そして、光学装置44は、この孔4453部分に挿入される不図示のねじ等によって前述したヘッド体403のL字水平分に接合固定される。
【0040】
前述した液晶パネル441G、視野角補正板443、第1偏光板444P及び第2偏光板444Aは、パネル固定板446を介してクロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面に固定される。
パネル固定板446は、平面視略C字形状の固定部本体4461と、この固定部本体4461の先端側に腕部4462を介して突設されるピン4463とを備える。このうち、固定部本体4461のC字先端には、視野角補正板443が固定される台座4464と、C字先端側縁に沿って延出し、視野角補正板443の外形位置基準となり位置決め部4464Aが形成されている。
そして、液晶パネル441G、視野角補正板443、第1偏光板444P及び第2偏光板444Aを、パネル固定板446によってクロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面に固定する場合、まず、固定部本体4461のC字内側の空間に第1偏光板444P、第2偏光板444Aを挿入し、バネ部材4465によって該空間内に、これら偏光板444P、444Aが一定距離離間配置するように付勢しながら固定する。
【0041】
次に、視野角補正板443の外形位置を位置決め部4464Aにて合わせながら、視野角補正板443の端面を台座4464に熱伝導性テープまたは接着剤等で貼り付けた後、クロスダイクロイックプリズム445の光束入射端面にパネル固定板446を固定する。
そして、パネル固定板446のピン4463に紫外線硬化型接着剤を塗布した後、未硬化の状態で液晶パネル441Gの孔4413を挿通する。
同様の手順で液晶パネル441R、441Bも、紫外線硬化型接着剤が未硬化の状態でパネル固定板446に仮止めしておき、各液晶パネル441R、441G、441Bに赤、緑、青の各色光を導入し、クロスダイクロイックプリズム445の光束射出端面から射出された各色光を観察しながら、液晶パネル441R、441G、441B相互の位置調整を行い、位置調整が終了したら、紫外線硬化型接着剤に紫外線を照射して、液晶パネル441R、441G、441Bの位置決め固定を行う。
【0042】
(2-2)制御基板5の構造
制御基板5は、図4及び図5に示すように、光学ユニット4の上側を覆うように配置され、2段に積層配置されるメイン基板51を備え、上段側基板511には、演算処理装置等の制御部本体が実装され、下側基板512には、各液晶パネル441R、441G、441Bの駆動用ICが実装されている。また、この制御基板5は、図示を略したが、このメイン基板51の後端側で接続され、外装ケース2の筐体背面部11D、12Dに起立するインターフェース基板を備えている。
インターフェース基板の背面側には、前述したコネクタ群15が実装されていて、コネクタ群15から入力する画像情報は、このインターフェース基板を介してメイン基板51に出力される。
メイン基板51上の演算処理装置は、入力した画像情報を演算処理した後、液晶パネル駆動用ICに制御指令を出力する。駆動用ICは、この制御指令に基づいて駆動信号を生成出力して液晶パネル441を駆動させ、これにより、画像情報に応じて光変調を行って光学像が形成される。
【0043】
(2-3)電源ブロック6の構造
電源ブロック6は、光学ユニット4に隣接して、プロジェクタ1の外装ケース2の投写方向に沿って延出して設けられ、図示を略したが、電源ユニット及びランプ駆動ユニットを備えている。
電源ユニットは、前述したインレットコネクタ17に接続された電源ケーブルを通して外部から供給された電力をランプ駆動ユニットや制御基板5等に供給するものである。
ランプ駆動ユニットは、前述した光源装置411に安定した電圧で電力を供給するための変換回路であり、電源ユニットから入力した商用交流電流は、このランプ駆動ユニットによって整流、変換されて、直流電流や交流矩形波電流となって光源装置411に供給される。
このような電源ブロック6の前方には、図3に示すように、排気ファン61が設けられており、プロジェクタ1内部の各構成部材を冷却した空気は、この排気ファン61によって集められ、外装ケース2の開口部28から装置外部に排出される。
【0044】
(2-4)冷却構造
このようなプロジェクタ1内部は、光源装置411や電源ブロック6の発熱により加熱されるため、内部に冷却空気を循環させて、光源装置411、光学装置44、電源ブロック6を効率的に冷却させる必要がある。このため、本例では、図9に示されるように3つの冷却流路C1、C2、C3が設定されている。
冷却流路C1は、インテグレータ照明光学系41を構成する光源装置411及び偏光変換素子415を冷却する流路であり、図2における吸気用開口部24の装置内部に設けられるシロッコファン71で吸引した冷却空気を、ダクト72によってライトガイド40の光源収納部401Aの側方から光源装置411、偏光変換素子415に供給し、これらを冷却する。冷却後の空気は、排気ファン61によって吸引され、プロジェクタ1の外部に排出される。
【0045】
冷却流路C2は、光変調及び色合成を行う光学装置44を冷却する流路であり、図2におけるフィルタ23が設けられた位置に形成される吸気用開口部の装置内側に設けられるシロッコファンで吸引した冷却空気を、光学装置44の下方から上方に向かって供給して、前記の液晶パネル441R、441G、441Bや、入射側偏光板442、視野角補正板443、射出側偏光板444を冷却する。冷却後の空気は、メイン基板51の下面及びアッパーケース11の筐体上面部11Aに沿って流れ、メイン基板51に実装された回路素子を冷却しながら、排気ファン61によって外部に排出される。
【0046】
冷却流路C3は、電源ブロック6を冷却する流路であり、電源ブロック6の後端側に設けられる吸気ファン62により、アッパーケース11の筐体側面部11Bに形成された開口部112、ロアーケース12の筐体側面部12Bに形成された開口部122から冷却空気を取り込み、取り込まれた冷却空気の一部は、電源ユニット及びランプ駆動ユニットに供給され、これらを冷却した後、排気ファン61によって外部に排出される。
【0047】
(3)外装ケース2の詳細な構成
図10〜図14を参照して、このような構造の外装ケース2をより詳細に説明する。
前述したように、前面部13Aの略中央部分には開口部27が形成されおり、この開口部27からは、投写レンズ3が露出している。この投写レンズ3には図示しないが、投写位置を調整するための位置調整機構が設けられている。この位置調整機構が設けられた投写レンズ3は、開口部27内を移動する。開口部27は、投写レンズ3の径に応じた幅寸法を有し、かつ投写レンズ3の位置調整範囲に応じた長さ寸法を有している(図12(A)参照)。また、図11に示すように、この開口部27は、前面部13Aの中央部分を外装ケース2内部側に窪ませて形成したものであり、開口部27の周囲には、傾斜壁271が形成されている。前面部13Aの内面であって、傾斜壁271の周囲には、外装ケース2側に突出した4本の突起273が設けられている。この突起273のうち、図11上方に設けられた2本の突起273を突起273A、図11下方に設けられた2本の突起273を突起273Bとする。
【0048】
さらに、図10及び図11に示すように、前面部13Aの内面には、投写レンズ3と開口部27との間に形成される隙間を遮蔽するための遮蔽部130と、上述した上面部(延出部)13Bとが取り付けられている。
遮蔽部130は、第一遮蔽部材131、第二遮蔽部材132、第三遮蔽部材133の3つの遮蔽部材を備えている。
【0049】
図12(A)に示すように、投写レンズ3を開口部27の長さ方向(投写レンズ3の移動方向)略中央の基準位置に設置して露出させた際に、投写レンズ3の移動方向先端側及び後端側(図12(A)下方及び上方側)に隙間が形成される。第一遮蔽部材131は、この二つの隙間のうち、図12(A)上方の一方の隙間を遮蔽するものである。
図10〜図12(A)に示すように、この第一遮蔽部材131は、最大径の投写レンズ3と同じ、あるいはそれ以上の曲率を有する円弧状の切り欠き131Aが形成された平面略C字型の板状部材である。この第一遮蔽部材131の両端部には、投写レンズ3の移動方向に沿ってのびる長孔状の長孔131Bが形成されている。長孔131Bの上端部に突起273Aが挿入され、第一遮蔽部材131は、突起273Aを軸に摺動する。
【0050】
第二遮蔽部材132は、基準位置に設置された投写レンズ3の移動方向先端側及び後端側(図12(A)下方及び上方側)の隙間のうち、図12(A)下方の他方の隙間を遮蔽するものである。
第二遮蔽部材132は、第一遮蔽部材131と略同様の大きさ形状の部材であり、切り欠き131Aと同様の切り欠き132Aが形成されている。また、両端部には、長孔131Bと同様の長孔132Bが形成されている。この長孔132Bの下端部に、突起273Bが挿入され、第二遮蔽部材132は、突起273Bを軸に摺動する。
第一遮蔽部材131と、第二遮蔽部材132とは、切り欠き131A、132Aが対向するように配置され、これにより投写レンズ3と略同じ径の開口が形成される。また、第一遮蔽部材131と、第二遮蔽部材132とは、その先端部がばねSにより連結され、互いに接近する方向に付勢される。
【0051】
図11及び図12(A)に示すように、第三遮蔽部材133は、前面部13A内面と、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132との間に配置された平面略矩形形状の板状部材である。この第三遮蔽部材133の略中央部分には、孔133Aが形成されており、この孔133Aの径は、最大径の投写レンズ3と略同じである。
また、第三遮蔽部材133の四隅には投写レンズ3の移動方向に沿ってのびる長孔133B,133Cが形成されている。この長孔133B、133Cの長さは、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132の長孔131B,132Bよりも長くなっている。長孔133B,133Cには突起273A,273Bが挿入され、第三遮蔽部材133は、遊嵌状態で前面部13Aに取り付けられる。従って、第三遮蔽部材133は孔133Aから露出する投写レンズ3に自重により当接し、保持されて投写レンズ3の移動方向先端側及び後端側を遮蔽することとなる。
【0052】
さらに、この第三遮蔽部材133は、第一遮蔽部材131と第二遮蔽部材132とを連結させた状態と略同じ大きさ形状であり、投写レンズ3の移動方向に沿った長さ寸法は、第一遮蔽部材131と第二遮蔽部材132とを連結させた状態におけるその長さ寸法と略等しい。投写レンズ3が基準位置にある場合には、第三遮蔽部材133と、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132とは略一致して重なった状態となる。
【0053】
上面部13Bは、第一遮蔽部材131の内面に取り付けられている。この上面部13Bは、アッパーケース11の筐体上面部11Aの略中央まで延出した延出部本体134と、この延出部本体134の前面部13A側に位置する端部から筐体底面部12A側に延びる取り付け部135とを備えている。
図13に示すように、延出部本体134は、筐体上面部11Aに形成された取付段差部115にはめ込まれるものである。この取付段差部115には、開口部115A〜115Cが形成されており、開口部115A、115Bからは、投写レンズ3の基端部の固定部分が露出している。また、開口部115Cからは投写レンズ3のズーム、フォーカス等の駆動モータケーブルのコネクタが露出している。そして、延出部本体134により開口部115A〜115Cが塞がれるのである。投写レンズ3を交換する際に、フロントケース13を取り外すと上面部13Bが外れて、開口部115A〜115Cが露出する。開口部115A、115Bにドライバー等を差し込み、ねじ等を緩め、開口部115Cからモータケーブルのコネクタを外し、投写レンズ3を取り外すことができるのである。
【0054】
また、図11及び図12(A)に示すように、取り付け部135には、最大径の投写レンズ3の曲率に応じた切り欠き135Aが形成されている。さらに、取り付け部135には突起273Aを挿入する孔135Bと、突起273とは別に前面部13Aの上端側に形成された突起274にねじ止めする孔135Cとが形成されている。これらの孔135Bにねじ止めする突起273Aを挿入し、取り付け部135の切り欠き135Aの周縁と開口部27の上端縁とを略一致させる。従って、取り付け部135により、開口部27が遮蔽されることはない。
【0055】
以上のように、第三遮蔽部材133、第一遮蔽部材131、第二遮蔽部材132、上面部13Bの順にこれらを前面部13Aに取り付け、突起273B,274にねじ止めされて組み立てられる。
【0056】
次に、図12(A)及び図12(B)を参照して、投写レンズ3の移動に伴う第一遮蔽部材131〜第三遮蔽部材133の動きを説明する。
投写レンズ3が基準位置にある場合には、投写レンズ3と、開口部27との間の隙間は第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132により遮蔽されている。また、遊嵌状態で前面部13Aに取り付けられた第三遮蔽部材133は、孔133Aから露出する投写レンズ3に自重により当接し、保持され、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132と重なった状態となっている。
【0057】
次に、投写レンズ3を第二遮蔽部材132側に移動させる。第二遮蔽部材132の切り欠き132Aには投写レンズ3が当接しているため、投写レンズ3の移動に伴い、ばねSがのび、第二遮蔽部材132が摺動する。
第一遮蔽部材131は長孔131Bの上端部が突起273Aに係合しているので、第二遮蔽部材132側に摺動することはなく、その場で停止している。そのため、投写レンズ3と第一遮蔽部材131との間には隙間が形成される。
一方、投写レンズ3に保持された第三遮蔽部材133は、投写レンズ3とともに第二遮蔽部材132側に摺動する。従って、投写レンズ3と第一遮蔽部材131との間に形成される隙間は、第三遮蔽部材133により遮蔽されることとなる。
すなわち、第二遮蔽部材132側に移動した投写レンズ3の移動方向後端側と開口部27との隙間は、第一遮蔽部材131と第三遮蔽部材133とで遮蔽され、移動方向先端側と開口部27との隙間は、第二遮蔽部材132により遮蔽されることとなる。
【0058】
さらに、第二遮蔽部材132側に移動させた投写レンズ3を基準位置に戻すために、第一遮蔽部材131側に投写レンズ3を移動させる。第二遮蔽部材132は第一遮蔽部材131側にばねSにより付勢されているので、切り欠き132Aが投写レンズ3に当接した状態で、投写レンズ3に追従して第一遮蔽部材131側に摺動する。投写レンズ3に保持された第三遮蔽部材133も投写レンズ3とともに第一遮蔽部材131側に摺動し、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132と重なった初期の状態に戻る。
【0059】
なお、投写レンズ3を基準位置から第一遮蔽部材131側に移動させる場合にあっては、投写レンズ3と第二遮蔽部材132との間に形成される隙間は投写レンズ3に保持され、投写レンズ3とともに摺動する第三遮蔽部材133により遮蔽される。
すなわち、第一遮蔽部材131側に移動した投写レンズ3の移動方向後端側と開口部27との隙間は第二遮蔽部材132と第三遮蔽部材133とで遮蔽され、移動方向先端側と開口部27との隙間は、第一遮蔽部材131により遮蔽されることとなる。
【0060】
また、第一遮蔽部材131側に移動させた投写レンズ3を再度、基準位置に戻す場合、第二遮蔽部材132側に移動させると、第二遮蔽部材132側に付勢された第一遮蔽部材131が投写レンズ3に追従して摺動する。第三遮蔽部材133も投写レンズ3とともに第一遮蔽部材131側に摺動し、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132と重なった初期の状態に戻る。
【0061】
次に、最大径の投写レンズ3を径の小さい投写レンズ3’に変更した場合について説明する。
図14に示すように、径の小さな投写レンズ3’を第二遮蔽部材132に当接させて装着させる。この際、第一遮蔽部材131と投写レンズ3’との間には隙間が形成される。第三遮蔽部材133は、遊嵌状態で前面部13Aに取り付けられているので、投写レンズ3に当接保持される位置まで第二遮蔽部材132側に自重により摺動する。従って、第一遮蔽部材131と投写レンズ3’との間に形成される隙間は、第三遮蔽部材133により遮蔽される。すなわち、投写レンズ3’と開口部27との間の一方の隙間は第一遮蔽部材131及び第三遮蔽部材133とで遮蔽され、他方の隙間は第二遮蔽部材132により遮蔽されることとなる。
【0062】
さらに、この投写レンズ3’は、第二遮蔽部材132側に移動させることも可能である。第三遮蔽部材133は、投写レンズ3’に当接保持されているので、投写レンズ3’の移動に伴って第二遮蔽部材132側に摺動する。従って、第三遮蔽部材133と第一遮蔽部材131との間に隙間が形成されない範囲において、投写レンズ3’の移動を行うことができるのである。
【0063】
(4)実施形態の効果
従って、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
前述したように、最大径の投写レンズ3を基準位置から第二遮蔽部材132側に摺動させた場合には、投写レンズ3の移動方向先端側と開口部27との隙間は第二遮蔽部材132により遮蔽され、後端側と開口部27との隙間は第一遮蔽部材131及び第三遮蔽部材133により遮蔽される。投写レンズ3を基準位置から第一遮蔽部材131側に摺動させた場合には、投写レンズ3の移動方向先端側と開口部27との隙間は第一遮蔽部材131により遮蔽され、後端側と開口部27との隙間は第二遮蔽部材132及び第三遮蔽部材133により遮蔽される。このように、投写レンズ3の位置を調整しても開口部27と投写レンズ3との間には隙間は形成されず、外観が良好となる。
【0064】
また、投写レンズ3を基準位置から第二遮蔽部材132側に移動させた際、投写レンズ3の移動方向後端側と開口部27との隙間をひとつの遮蔽部材で遮蔽する場合、この遮蔽部材は、この隙間と同じ長さ寸法を有するものでなければならない。そして、この遮蔽部材が前面部から突出してしまわないよう、前面部の投写レンズ3移動方向に沿った長さ寸法も長くしなければならない。
これに対し、本実施形態では、投写レンズ3を基準位置から移動させた際、投写レンズ3の移動方向後端側と開口部27との隙間を第一遮蔽部材131と第三遮蔽部材133との二つで遮蔽することとなるので、ひとつの遮蔽部材で遮蔽しようとする場合に比べ、各遮蔽部材131,133の長さ寸法を短くすることができる。このように、遮蔽部材131,133の長さ寸法を短くすることができるので、前面部13Aの投写レンズ3移動方向に沿った長さ寸法を短くすることができ、外装ケース2の小型化を図ることができる。
【0065】
さらに、径の小さな投写レンズ3’を第二遮蔽部材132に当接させて装着させると、第一遮蔽部材131と投写レンズ3’との間には隙間が形成されるが、この隙間を遊嵌状態で取り付けられた第三遮蔽部材133により遮蔽することができる。従って、本実施形態では、径の小さな投写レンズ3’を使用する場合においても、投写レンズ3’と開口部27との間には隙間が形成されない。そのため、本実施形態においては、従来のように径ごとに専用の遮蔽部材を用意する必要がなく、部材点数を増加させずに径の小さな投写レンズ3’を使用することができる。
【0066】
さらに、第一遮蔽部材131と第二遮蔽部材132とはばねSで連結されているので、例えば、第二遮蔽部材132が摺動する場合には、ばねSがのびるため、第二遮蔽部材132の摺動を妨げることはない。
また、例えば、投写レンズ3を基準位置から第二遮蔽部材132側に移動させた後、再度、投写レンズ3を基準位置に戻す場合、第二遮蔽部材132は第一遮蔽部材131側に付勢されているので、第二遮蔽部材132は投写レンズ3との間に隙間を形成することなく、投写レンズ3に追従して摺動する。同様に、投写レンズ3を第一遮蔽部材131側に移動させた後、再度、投写レンズ3を基準位置に戻す場合も、第一遮蔽部材131は第二遮蔽部材132側に付勢されているので、投写レンズ3との間に隙間を形成することなく、投写レンズ3に追従して摺動する。このように、投写レンズ3を移動させる際においても、投写レンズ3の周囲には隙間が形成されることがないので、外観が良好となる。
【0067】
また、第一遮蔽部材131と第三遮蔽部材133は、前面部13Aと上面部13Bの取り付け部135間に挟持されているので、前面部13Aに対し、第一遮蔽部材131及び第三遮蔽部材133を確実に取り付けることができる。
【0068】
(5)変形例
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、第一遮蔽部材131の内面側に取り付け部135を取り付け、第一遮蔽部材131と第三遮蔽部材133は、前面部13Aと上面部13Bの取り付け部135間に配置されているとしたが、このような構造には限らず、第一遮蔽部材131の内面側に取り付け部135を取り付けなくてもよい。
さらに、前記実施形態では、第一遮蔽部材131と第二遮蔽部材132とは、ばねSにより連結されていたが、これに限らず、他の弾性材料、例えば、ゴム等によって連結される構造としてもよい。
【0069】
また、前記実施形態では、第一遮蔽部材131と第二遮蔽部材132とをばねSで連結し、接近する方向に付勢されるものとしたが、例えば、前面部13Aにばねを取り付けて、このばねにより第一遮蔽部材131と第二遮蔽部材132とを付勢してもよい。
さらに、前記実施形態では、図12(A)の上方の隙間を遮蔽するものを第一遮蔽部材131、図12(A)下方の隙間を遮蔽するものを第二遮蔽部材132としたが、これに限られず、第一遮蔽部材と第二遮蔽部材が反対であってもよい。
【0070】
また、前記実施形態では、第三遮蔽部材133は、前面部13A内面と、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132との間に配置されていたが、これに限らず、第一遮蔽部材131及び第二遮蔽部材132よりも内面側に配置されていてもよい。
前記実施形態では、第三遮蔽部材133は一つの部材から構成されているものとしたが、第一遮蔽部材131、第二遮蔽部材132とを連結したように、2つの部材を連結して構成するものであってもよい。ただし、この場合には、部材点数が増加してしまうという問題がある。
【0071】
さらに、第三遮蔽部材133は、投写レンズ3を露出する孔133Aを有し、投写レンズ3の移動方向先端側及び後端側を遮蔽するものであったが、このような構造に限らず、少なくとも投写レンズ3の移動方向後端側に設けられるものであればよい。例えば、第二遮蔽部材132側を投写レンズ3の移動方向先端側とする場合には、第三遮蔽部材を第一遮蔽部材131と同様の形状のものとして第一遮蔽部材131と重なるように取り付けておくことができる。
ただし、この場合、第二遮蔽部材132側には第三遮蔽部材が取り付けられていないので、投写レンズ3を基準位置から第一遮蔽部材131側に移動させることはできない。本実施形態のように、投写レンズ3の移動方向先端側及び後端側を遮蔽する第三遮蔽部材133を設ければ、基準位置にある投写レンズ3を、第一遮蔽部材131側及び第二遮蔽部材132側の何れの方向にも移動させることができる。
【0072】
また、前記実施形態では、第一遮蔽部材131、第二遮蔽部材132の摺動方向は、投写レンズ3の移動方向と一致していたが、このような構成に限らず、例えば、図15に示すように、投写レンズ3の移動方向と異なっていてもよい。図15において、矢印Eは投写レンズ3の移動方向を示し、矢印Fは、第一遮蔽部材131’、第二遮蔽部材132’の移動方向を示す。この場合には、第一遮蔽部材131’、第二遮蔽部材132’の長孔131B’,132B’の形状を矢印F方向にのびる形状とすればよい。また、切り欠き131A’,132A’の形状は、投写レンズ3の曲率よりも大きな形状とする必要がある。
【0073】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図2】前記実施形態におけるプロジェクタの外観構成を表す概要斜視図。
【図3】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図4】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図5】前記実施形態におけるプロジェクタの内部構成を表す概要斜視図。
【図6】前記実施形態における光学ユニットを収納するライトガイドの構造を表す概要斜視図。
【図7】前記実施形態における光学ユニット構造を表す模式図。
【図8】前記実施形態における光学装置の構造を表す概要斜視図。
【図9】前記実施形態における冷却流路を表す概要斜視図。
【図10】前記プロジェクタの前面部に遮蔽部及び上面部を取り付けた状態を示す斜視図。
【図11】前記前面部、遮蔽部、上面部の分解斜視図。
【図12】前記遮蔽部を示す平面図。
【図13】前記プロジェクタの外観構成を示す分解斜視図。
【図14】前記遮蔽部を示す平面図。
【図15】遮蔽部の変形例を示す平面図。
【符号の説明】
1…プロジェクタ、2…外装ケース(プロジェクタ用筐体)、3…投写レンズ(投写光学系)、11A…筐体上面部、13A…前面部、13B…上面部(延出部)、27…開口部、115A〜115C…開口部、130…遮蔽部、131…第一遮蔽部材、132…第二遮蔽部材、133…第三遮蔽部材、134…延出部本体、135…取り付け部
Claims (4)
- 光源と、光源から射出された光束を画像情報に応じて変調し光学像を形成する光変調装置と、この光変調装置により形成された光学像を拡大投写する投写光学系とを含む装置本体を備えたプロジェクタの前記装置本体を収納するプロジェクタ用筐体であって、
前記投写光学系には、投写位置を調整する位置調整機構が設けられ、
前記投写光学系が露出し、かつ前記位置調整機構により前記投写光学系が移動する開口部が形成された前面部と、この前面部の内面に設けられ、前記投写光学系を露出させた際、前記開口部と投写光学系との間の隙間を遮蔽する遮蔽部とを備え、
この遮蔽部は、前記内面に摺動自在に設けられ、前記プロジェクタに搭載される最大径の投写光学系を前記開口部の基準位置から露出させた際、この投写光学系の移動方向先端側及び後端側に形成される隙間のうち一方の隙間を遮蔽する第一遮蔽部材と、他方の隙間を遮蔽する第二遮蔽部材と、前記基準位置にある前記投写光学系の少なくとも移動方向後端側に遊嵌状態で取り付けられる第三遮蔽部材とを備えることを特徴とするプロジェクタ用筐体。 - 請求項1に記載のプロジェクタ用筐体において、
前記第一遮蔽部材と、前記第二遮蔽部材とは互いに接近する方向に付勢されていることを特徴とするプロジェクタ用筐体。 - 請求項1または2に記載のプロジェクタ用筐体において、
前記前面部には、この前面部に対し交差する延出部本体と、この延出部本体から前記前面部と平行にのびる取り付け部とを備えるとともに、プロジェクタ用筐体の一部を構成する延出部が取り付けられ、
前記第一遮蔽部材又は第二遮蔽部材は前記取り付け部と前面部との間に配置されていることを特徴とするプロジェクタ用筐体。 - 光源と、光源から射出された光束を、画像情報に応じて変調して光学像を形成する光変調装置と、この光変調装置で形成された光学像を拡大投写する投写光学系とを含む装置本体とを備えたプロジェクタであって、
請求項1〜3の何れかに記載のプロジェクタ用筐体を備えたことを特徴とするプロジェクタ。
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