JP2004204735A - ハイブリッドコンプレッサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】エンジン停止時の冷房機能を確保すると共に、始動用補機のコストアップ抑制、小型化を可能とするハイブリッドコンプレッサ装置を提供する。
【解決手段】始動用補機40を備えるエンジン10が走行状態に応じて停止される車両に適用されるものであって、プーリ110からの駆動力をモータ120および圧縮機130に分配すると共に、モータ120から入力される駆動力をプーリ110および圧縮機130に伝達する動力分配機構150と、プーリ110およびモータ120の少なくとも一方の駆動力を選択して圧縮機130を作動させる制御装置160とを有するハイブリッドコンプレッサ装置において、制御装置160は、エンジン10停止後において始動用補機40が作動される際に、圧縮機130が反正規回転側に作動するようにモータ120を作動させ、モータ120からの動力をプーリ110側へ伝達させる。
【選択図】 図1
【解決手段】始動用補機40を備えるエンジン10が走行状態に応じて停止される車両に適用されるものであって、プーリ110からの駆動力をモータ120および圧縮機130に分配すると共に、モータ120から入力される駆動力をプーリ110および圧縮機130に伝達する動力分配機構150と、プーリ110およびモータ120の少なくとも一方の駆動力を選択して圧縮機130を作動させる制御装置160とを有するハイブリッドコンプレッサ装置において、制御装置160は、エンジン10停止後において始動用補機40が作動される際に、圧縮機130が反正規回転側に作動するようにモータ120を作動させ、モータ120からの動力をプーリ110側へ伝達させる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行状態に応じてエンジンが停止させるいわゆるアイドルストップ車両やハイブリッド車両に搭載される冷凍サイクル装置に適用して好適なハイブリッドコンプレッサ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省燃費の観点よりいわゆるアイドルストップ車両やハイブリッド車両が市場に投入される例が有る。これらの車両においては、走行状態(アイドルストップ車両では一時停車時、ハイブリッド車両では一時停車時、発進時、低速走行時等)に応じてエンジンを停止させるようにしているため、エンジンの駆動力を受けて作動する冷凍サイクル装置内の圧縮機はエンジン停止中に共に停止することになり、冷凍サイクル装置として機能しないことになる。
【0003】
この解決策として、例えば特許文献1に示されるように、エンジンの回転が伝達されるプーリと圧縮機とを電磁クラッチを介して連結させ、更に圧縮機の駆動軸にモータを連結させたハイブリッドコンプレッサが知られている。これにより、エンジン停止時には、電磁クラッチを切断して、モータによって圧縮機を作動させることができ、エンジンの作動、停止にかかわらず冷凍サイクル装置の冷房機能を果たすようにしている。尚、ここでは、電磁クラッチの回転部材にモータのロータ部を形成することで、モータによる駆動軸の回転が圧縮機にできる限り近い部分で伝達されると共に、駆動部分の小型化を図るものとしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−140757号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、停車時にエンジンが停止されることによって、次の走行のためのエンジンの再始動がその都度必要とされるので、エンジン始動用補機(スタータやモータジェネレータ等)の作動頻度が増大し、耐久性向上のためのコストアップや大型化を招いていた。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、エンジン停止時の冷房機能を確保すると共に、エンジン始動用補機のコストアップ抑制、小型化を可能とするハイブリッドコンプレッサ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、始動用補機(40)を備えるエンジン(10)が走行状態に応じて停止される車両に適用されるものであって、エンジン(10)からの駆動力を受けて回転駆動するプーリ(110)と、電源(20)の電力を受けて回転駆動するモータ(120)と、冷凍サイクル装置(200)内の冷媒を圧縮する圧縮機(130)と、プーリ(110)からの駆動力をモータ(120)および圧縮機(130)に分配すると共に、モータ(120)から入力される駆動力をプーリ(110)および圧縮機(130)に伝達する動力分配機構(150)と、プーリ(110)およびモータ(120)の少なくとも一方の駆動力を選択して圧縮機(130)を作動させる制御装置(160)とを有するハイブリッドコンプレッサ装置において、制御装置(160)は、エンジン(10)停止後において始動用補機(40)が作動される際に、圧縮機(130)が反正規回転側に作動するようにモータ(120)を作動させ、モータ(120)からの動力をプーリ(110)側へ伝達することを特徴としている。
【0009】
これにより、エンジン(10)停止時においては、モータ(120)の駆動力で圧縮機(130)を作動させることができ、冷房機能の継続が可能となる。
【0010】
そして、始動用補機(40)が作動される際に、圧縮機(130)が反正規回転側に作動するようにモータ(120)を作動させることで、モータ(120)の駆動力はすべてプーリ(110)を介してエンジン(10)側に伝達される。よって、始動用補機(40)の駆動力にモータ(120)の駆動力が加えられてエンジン(10)を始動させることができるので、始動用補機(40)のコストアップ抑制、小型化が可能となる。
【0011】
圧縮機(130)としては、請求項2に記載の発明のように、反正規回転時に膨張機として作用する回転式の圧縮機(130)としてやると良い。これにより、反正規回転時に圧縮機(130)の吐出弁(138b)は閉じられ、圧縮機(130)は回転できない状態(停止状態)とすることができるので、複雑なロック機構等を必要とせずに対応できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、制御装置(160)は、エンジン(10)停止時における冷凍サイクル装置(200)の熱負荷に応じて、始動用補機(40)が作動される際の圧縮機(130)に対する反正規回転側の作動を選択的に行うことを特徴としている。
【0013】
これにより、エンジン(10)停止時における冷凍サイクル装置(200)の熱負荷が所定レベルよりも高い時には、圧縮機(130)の反正規回転側の作動を行わないようにモータ(120)の作動を選択することで冷房性能を重視した対応が可能となる。
【0014】
そして、請求項4に記載の発明のように、動力分配機構(150)は、遊星歯車(150)とし、プーリ(110)、モータ(120)、圧縮機(130)は、遊星歯車(150)を構成するサンギヤ(151)、プラネタリーキャリヤ(152)、リングギヤ(153)のいずれかに対応して連結されるようにすれば、容易にその対応が可能となる。
【0015】
更には、請求項5に記載の発明のように、プーリ(110)は、プラネタリーキャリヤ(152)に対応して連結され、モータ(120)は、サンギヤ(151)に対応して連結され、圧縮機(130)は、リングギヤ(153)に対応して連結されるようにしてやれば、プーリ(110)および圧縮機(130)に対してモータ(120)は共に減速してその駆動力を伝達できるので、低トルク高回転型のモータとして小型軽量化が可能となる。
【0016】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図3に示し、まず、具体的な構成について図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、ハイブリッドコンプレッサ装置100は、走行運転中一時停車した時にエンジン10が停止されるいわゆるアイドルストップ車両に搭載される冷凍サイクル装置200に適用されるものとしており、ハイブリッドコンプレッサ101と制御装置160とから成る。
【0018】
ここで、エンジン10には、始動用補機としてのモータジェネレータ40が設けられており、そのプーリ41はベルト11によってエンジン10に接続されている。モータジェネレータ40は、停止したエンジン10を始動させるスタータの機能と、エンジン10作動時における発電機の機能とを有する。発電時の電力はバッテリ(電源)20に充電される。
【0019】
また、冷凍サイクル装置200は、周知の冷凍サイクルを形成するものであり、後述するハイブリッドコンプレッサ101を構成する圧縮機130が配設されている。圧縮機130は、この冷凍サイクル内の冷媒を高温高圧に圧縮するものであり、以下、圧縮された冷媒を凝縮液化する凝縮器210、液化された冷媒を断熱膨張させる膨張弁220、膨張した冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により自身を通過する空気を冷却する蒸発器230が冷媒配管240によって順次接続され閉回路を形成している。尚、蒸発器230の空気流れ下流側には、冷却された実際の空気温度(蒸発器後方空気温度Te)を検出するための蒸発器温度センサ231が設けられている。
【0020】
そして、ハイブリッドコンプレッサ101は、主にプーリ110、電磁クラッチ170、モータ120、圧縮機130および遊星歯車150から成り、以下、その詳細について図2を用いて説明する。
【0021】
プーリ110は、フロントハウジング141に固定されたプーリ軸受け112によって回転可能に支持され、エンジン10の駆動力がベルト11(図1)を介して伝達され回転駆動するようにしている。よって、ハイブリッドコンプレッサ101のプーリ110とモータジェネレータ40のプーリ41は、共にベルト11によってエンジン10に接続される形となる。そして、プーリ回転軸111は、プーリ110の中心部に設けられ、フロントハウジング141に固定された軸受け113によって回転可能に支持されている。
【0022】
また、プーリ回転軸111の略中央部には、外周側がフロントハウジング141に固定された一方向クラッチ180が設けられている。一方向クラッチ180は、プーリ回転軸111のプーリ回転方向の回転駆動を許容し、その逆回転方向に対しては噛み合いにより回転駆動を阻止する。
【0023】
電磁クラッチ170は、プーリ110から後述する圧縮機130に伝達される駆動力を断続するものであり、フロントハウジング141に固定されたコイル171とプーリ回転軸111に固定されたハブ172とから成る。周知のように電磁クラッチ170は、コイル171に通電されるとハブ172がプーリ110に吸着されプーリ110の駆動力をプーリ回転軸111に伝達する(クラッチON)。逆にコイル171への通電を遮断するとハブ172はプーリ110から離れ、プーリ110の駆動力は切断される(クラッチOFF)。
【0024】
モータ120は、主にロータ部120aおよびステ−タ部123から成り、中間ハウジング142内に収容されている。このモータ120は、ロータ部120aの外周部にマグネット(永久磁石)122が設けられるいわゆるSPモ−タ(Surface Permanent−magnet Motor)としており、ロータ部120aの内周側のスペースを活用して後述する遊星歯車150を収容している。尚、モータ回転軸121は、サンギヤ151の中心部に一点鎖線で示される架空上のものとなっている。
【0025】
ステ−タ部123にはコイル123aが設けられており、このステータ部123は中間ハウジング142の内周面に圧入により固定されている。そして、バッテリ20からの電力がインバータ30(図1)を介してコイル123aに供給されることによりロータ部120aは回転駆動される。
【0026】
圧縮機130は、圧縮部材(以下説明する可動スクロール135)が公転(回転)して圧縮機能を果たす回転式の圧縮機、更に具体的にここでは固定容量型のスクロール式圧縮機としており、モータ120の反プーリ側となるエンドハウジング143内に固定される固定スクロール134と、圧縮機回転軸131の偏心シャフト133によって公転する可動スクロール135とを有している。
【0027】
この固定スクロール134と可動スクロール135との噛み合わせによって、外周部に吸入室136が形成され、また中心側に圧縮室137が形成される。そして、エンドハウジング143の側壁に設けられた吸入口136aから吸入室136に吸入された冷媒は、圧縮室137で圧縮され、突出弁138b、吐出室138を経てエンドハウジング143の底壁に設けられた吐出口138aから吐出されるようにしている。
【0028】
圧縮機回転軸131は、中間ハウジング142の反プーリ側で内側に突出する突出壁142aに固定された軸受け132によって回転可能に支持されている。尚、圧縮機回転軸131にはプーリ回転軸111の一端側が嵌入され、圧縮機回転軸131およびプーリ回転軸111は、軸受け115によって互いに独立して回転可能としている。
【0029】
そして、上記プーリ110、モータ120、圧縮機130の各回転軸111、121、131は、上述したようにロータ部120a内に設けられた動力分配機構としての遊星歯車150に連結される構成としている。
【0030】
遊星歯車150は、周知のように、中心部に設けられたサンギヤ151と、サンギヤ151の外周で自転しつつ公転するピニオンギヤ152aに連結されるプラネタリーキャリヤ152と、ピニオンギヤ152aのさらに外周に設けられたリング状のリングギヤ153とから成る。
【0031】
ここでは、プーリ回転軸111はプラネタリーキャリヤ152に接続され、モータ回転軸121(実体としてはロータ部120a)はサンギヤ151に接続され、圧縮機回転軸131はリングギヤ153に接続されるようにしている。尚、サンギヤ151は、軸受け114によってプーリ回転軸111に対して独立して回転可能に支持されている。
【0032】
一方、図1に戻って、制御装置160は、A/C要求信号、車速信号、エンジン回転数信号、アイドルストップ要求信号、乗員の設定する設定温度信号、内気(室内)温度信号、外気(室外)温度信号、蒸発器温度センサ231からの蒸発器後方空気温度(Te)信号等が入力されて、これらの信号に基づいて上記モータ120の作動および電磁クラッチ170の断続を制御するものとしている。
【0033】
具体的には、インバータ30内のスイッチ素子のON−OFFによりバッテリ20からの電力を可変して、モータ120の作動回転数を可変させる。尚、後述するようにプーリ110の駆動力によってロータ部120aが回転されてモータ120が発電機として作動する時には、発生する電力をインバータ30を介してバッテリ20に充電する。また、電磁クラッチ170のコイル171への通電をON−OFFすることで、プーリ110とプーリ回転軸111間の断続を行う。
【0034】
また、制御装置160は、冷凍サイクル装置200の熱負荷に応じた必要冷房能力を満たす圧縮機130の冷媒吐出量を決定し、この冷媒吐出量を確保するための圧縮機130の回転数を決定する。因みに、冷媒吐出量は圧縮機130の1回転当りの吐出容量に回転数を乗じて得られる時間当たりの吐出量であり、回転数が増加するに従って吐出量も増加する。更には図3に示す遊星歯車150における共線図に基づいて、プーリ110の回転数(エンジン回転数にプーリ比を乗じた値)と圧縮機130の回転数(上記冷媒吐出量を吐出容量で除した値)とからモータ120の回転数を決定する(共線図に基づく詳細作動については後述する)。
【0035】
尚、ここでは冷凍サイクル装置200の必要冷房能力は、設定温度、内気温度、外気温度から予め定めた演算式によって算出される目標蒸発器温度Teoと蒸発器後方空気温度Teとの差として得られるものとしている(必要冷房能力=Te−Teo)。
【0036】
次に、上記構成に基づく作動について、図3に示す共線図を用いて説明する。因みに、この共線図は、遊星歯車150にそれぞれ連結されたプーリ110、モータ120、圧縮機130の回転数の関係を示すものである。周知のように横軸に各ギヤ、キャリヤ(左からサンギヤ151、プラネタリーキャリヤ152、リングギヤ153)の座標位置が示され、各座標位置には、上記したようにそれぞれのギヤ、キャリヤ151、152、153に連結されるモータ120、プーリ110、圧縮機130が対応している。また、横軸座標の間隔はサンギヤ151とリングギヤ153とのギヤ比λによって決定される。ここではギヤ比λを0.5と設定している。そして、縦軸には、各ギヤ、キャリヤ151、152、153の回転数が示され、各回転数は3者が直線で結ばれる関係となる。尚、ここでは回転数のプラス側(正回転)をプーリ110、圧縮機130が正規作動する時の正規回転側としており、マイナス側(逆回転)を反正規回転側としている。
【0037】
このハイブリッドコンプレッサ101おいては、遊星歯車150の各ギヤ151、153およびキャリヤ152に各回転軸111、121、131が接続されることによって、図3の共線図に示すように、冷凍サイクル装置200の必要冷房能力やエンジン10の作動状態に応じて、モータ120作動時のモータ回転数が調整され、プーリ回転数に対する圧縮機回転数が増減されるようにしている。
【0038】
即ち、最も冷房能力が必要とされるクールダウン時においては、電磁クラッチ170はONされ、プーリ110の駆動力はプーリ回転軸111から遊星歯車150を介して圧縮機回転軸131に伝達され、圧縮機130が作動される(一方向クラッチ180は空転する)。この時、図3中(ア)に示すように、モータ120(ロータ部120a)がプーリ110の回転方向とは逆回転方向に駆動されることによって、圧縮機回転数がプーリ回転数よりも高回転側となり、冷媒吐出量が増加される。尚、モータ回転数をマイナス側に上げるように作動させてやると、圧縮機回転数は上昇する。
【0039】
クールダウンの後の通常冷房時においては、電磁クラッチ170はONの状態とされ、主にプーリ110の駆動力でモータ120および圧縮機130が作動される(一方向クラッチ180は空転する)。この時、モータ120と圧縮機130とでは、遊星歯車150のサンギヤ151がモータ120に、リングギヤ153が圧縮機130に接続されているため、両ギヤ151、153の歯数により圧縮機130の方が作動トルクが大きくなる。このため、図3中(イ)に示すように、プーリ回転数に対して、圧縮機130は低回転側となり冷媒吐出量が減少される。一方、モータ120は、プーリ回転数に対して高回転側で発電機として作動されることになり、バッテリ20への充電を可能とする。尚、モータ回転数を下げるように作動させてやると、圧縮機回転数は上昇する。
【0040】
更に、エンジン10が停止された場合は、電磁クラッチ170がOFFされ、モータ120の駆動力によって圧縮機130が作動される。この時は、図3中(ウ)に示すように、モータ120が逆回転方向に駆動されることで、プーリ回転軸111が同様に逆回転方向に作動しようとし、一方向クラッチ180によってロックされ、モータ120の駆動力は圧縮機130に伝達される。ここではモータ回転数を増減することで圧縮機回転数は増減する。
【0041】
尚、エンジン10が作動中であっても、電磁クラッチ170をOFFすることで、上記エンジン10停止時と同様にモータ120を逆回転方向に駆動させることによって、圧縮機130を作動させることができる。
【0042】
本発明においては、更にエンジン10が停止され、その後に再びエンジン10がモータジェネレータ40によって始動される際のモータ120の作動制御に特徴を持たせている。即ち、アイドルストップ要求が解除された後のエンジン10の始動時においては、上記図3中(ウ)の状態(エンジン10停止状態、即ちプーリ110停止状態)からモータ120を正回転側に作動させる。すると図3中の2点鎖線のように、圧縮機130は逆回転側(反正規回転側)に膨張機として作動しようとする。即ち、吐出側冷媒を吸入しようとする訳である。しかしながら吐出弁138bは閉られ、圧縮機130は回転できない状態(停止状態)となるので、図3中の(エ)に示すように、モータ120の駆動力はすべてプーリ110を介してエンジン10側に伝達されることになる。
【0043】
以上の構成および作動説明より、本発明においては、エンジン10停止時においては、モータ120の駆動力で圧縮機130を作動させることができ、冷房機能の継続が可能となる。そして、エンジン10始動時においては、モータジェネレータ40の駆動力にモータ120の駆動力が加えられて、ベルト11を介してエンジン10を始動させることができるので、モータジェネレータ40のコストアップ抑制、小型化が可能となる。
【0044】
尚、エンジン10作動時においては、冷凍サイクル装置200の必要冷房能力に見合った圧縮機130の作動を可能としている。
【0045】
また、遊星歯車150を用いることで動力分配機構を容易に構成することができ、更には、遊星歯車150に対してプーリ110、モータ120、圧縮機130を図2に示すようにそれぞれ連結するようにしているので、プーリ110および圧縮機130に対してモータ120は共に減速してその駆動力を伝達でき、低トルク高回転型のモータとして小型軽量化が可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
上記第1実施形態に対して、エンジン10の始動時におけるモータ120の作動を冷凍サイクル装置200の熱負荷(必要冷房能力)に応じて選択するようにしても良い。即ち、必要冷房能力が所定レベルよりも低い場合に、圧縮機130が逆回転作動となるようにモータ120を作動させ、必要冷房能力が所定レベルよりも高い場合には、圧縮機130の逆回転側の作動を行わない、つまりモータ120の作動を図3中の(ウ)の状態で維持することにより、冷房性能を重視した対応が可能となる。
【0047】
(その他の実施形態)
遊星歯車150に対するプーリ110、モータ120、圧縮機130の接続は、他の組み合わせに成るようにしても良い。この場合は、モータ120の回転数の増減は共腺図上で圧縮機130の回転数に対応するように決定すれば良い。そして、動力分配機構としては、遊星歯車150に代えて遊星ローラやディファレンシャルギヤ等としても良い。
【0048】
また、圧縮機130は、スクロール式に限らず、他のロータリ式やスルーベーン式等を用いるようにしても良い。更には、回転式の圧縮機に限らず、往復動式の圧縮機をベースにして、例えば逆回転側(反正規回転側)に対する作動を停止さるロック機構等を圧縮機回転軸131に設けたものとしても良い。
【0049】
また、冷凍サイクル装置200の熱負荷(必要冷房能力)は、蒸発器230における温度(Te、Teo)に限らず、車室内における温度(実際の車室内温度および目標吹出し温度)等を用いて定義するようにしても良い。
【0050】
更に、対象とする車両はアイドルストップ車両に限らず、走行用モータを有し、走行中においても所定の走行条件に応じてエンジン10が停止されるいわゆるハイブリッド車両としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を冷凍サイクル装置に適用した全体構成を示す模式図である。
【図2】図1における第1実施形態のハイブリッドコンプレッサを示す断面図である。
【図3】モータ、プーリ、圧縮機の作動回転数を示す共線図である。
【符号の説明】
10 エンジン
20 バッテリ(電源)
40 モータジェネレータ(始動用補機)
100 ハイブリッドコンプレッサ装置
101 ハイブリッドコンプレッサ
110 プーリ
120 モータ
130 圧縮機
150 遊星歯車(動力分配機構)
151 サンギヤ
152 プラネタリーキャリヤ
153 リングギヤ
160 制御装置
200 冷凍サイクル装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、走行状態に応じてエンジンが停止させるいわゆるアイドルストップ車両やハイブリッド車両に搭載される冷凍サイクル装置に適用して好適なハイブリッドコンプレッサ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、省燃費の観点よりいわゆるアイドルストップ車両やハイブリッド車両が市場に投入される例が有る。これらの車両においては、走行状態(アイドルストップ車両では一時停車時、ハイブリッド車両では一時停車時、発進時、低速走行時等)に応じてエンジンを停止させるようにしているため、エンジンの駆動力を受けて作動する冷凍サイクル装置内の圧縮機はエンジン停止中に共に停止することになり、冷凍サイクル装置として機能しないことになる。
【0003】
この解決策として、例えば特許文献1に示されるように、エンジンの回転が伝達されるプーリと圧縮機とを電磁クラッチを介して連結させ、更に圧縮機の駆動軸にモータを連結させたハイブリッドコンプレッサが知られている。これにより、エンジン停止時には、電磁クラッチを切断して、モータによって圧縮機を作動させることができ、エンジンの作動、停止にかかわらず冷凍サイクル装置の冷房機能を果たすようにしている。尚、ここでは、電磁クラッチの回転部材にモータのロータ部を形成することで、モータによる駆動軸の回転が圧縮機にできる限り近い部分で伝達されると共に、駆動部分の小型化を図るものとしている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−140757号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、停車時にエンジンが停止されることによって、次の走行のためのエンジンの再始動がその都度必要とされるので、エンジン始動用補機(スタータやモータジェネレータ等)の作動頻度が増大し、耐久性向上のためのコストアップや大型化を招いていた。
【0006】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、エンジン停止時の冷房機能を確保すると共に、エンジン始動用補機のコストアップ抑制、小型化を可能とするハイブリッドコンプレッサ装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
請求項1に記載の発明では、始動用補機(40)を備えるエンジン(10)が走行状態に応じて停止される車両に適用されるものであって、エンジン(10)からの駆動力を受けて回転駆動するプーリ(110)と、電源(20)の電力を受けて回転駆動するモータ(120)と、冷凍サイクル装置(200)内の冷媒を圧縮する圧縮機(130)と、プーリ(110)からの駆動力をモータ(120)および圧縮機(130)に分配すると共に、モータ(120)から入力される駆動力をプーリ(110)および圧縮機(130)に伝達する動力分配機構(150)と、プーリ(110)およびモータ(120)の少なくとも一方の駆動力を選択して圧縮機(130)を作動させる制御装置(160)とを有するハイブリッドコンプレッサ装置において、制御装置(160)は、エンジン(10)停止後において始動用補機(40)が作動される際に、圧縮機(130)が反正規回転側に作動するようにモータ(120)を作動させ、モータ(120)からの動力をプーリ(110)側へ伝達することを特徴としている。
【0009】
これにより、エンジン(10)停止時においては、モータ(120)の駆動力で圧縮機(130)を作動させることができ、冷房機能の継続が可能となる。
【0010】
そして、始動用補機(40)が作動される際に、圧縮機(130)が反正規回転側に作動するようにモータ(120)を作動させることで、モータ(120)の駆動力はすべてプーリ(110)を介してエンジン(10)側に伝達される。よって、始動用補機(40)の駆動力にモータ(120)の駆動力が加えられてエンジン(10)を始動させることができるので、始動用補機(40)のコストアップ抑制、小型化が可能となる。
【0011】
圧縮機(130)としては、請求項2に記載の発明のように、反正規回転時に膨張機として作用する回転式の圧縮機(130)としてやると良い。これにより、反正規回転時に圧縮機(130)の吐出弁(138b)は閉じられ、圧縮機(130)は回転できない状態(停止状態)とすることができるので、複雑なロック機構等を必要とせずに対応できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、制御装置(160)は、エンジン(10)停止時における冷凍サイクル装置(200)の熱負荷に応じて、始動用補機(40)が作動される際の圧縮機(130)に対する反正規回転側の作動を選択的に行うことを特徴としている。
【0013】
これにより、エンジン(10)停止時における冷凍サイクル装置(200)の熱負荷が所定レベルよりも高い時には、圧縮機(130)の反正規回転側の作動を行わないようにモータ(120)の作動を選択することで冷房性能を重視した対応が可能となる。
【0014】
そして、請求項4に記載の発明のように、動力分配機構(150)は、遊星歯車(150)とし、プーリ(110)、モータ(120)、圧縮機(130)は、遊星歯車(150)を構成するサンギヤ(151)、プラネタリーキャリヤ(152)、リングギヤ(153)のいずれかに対応して連結されるようにすれば、容易にその対応が可能となる。
【0015】
更には、請求項5に記載の発明のように、プーリ(110)は、プラネタリーキャリヤ(152)に対応して連結され、モータ(120)は、サンギヤ(151)に対応して連結され、圧縮機(130)は、リングギヤ(153)に対応して連結されるようにしてやれば、プーリ(110)および圧縮機(130)に対してモータ(120)は共に減速してその駆動力を伝達できるので、低トルク高回転型のモータとして小型軽量化が可能となる。
【0016】
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態を図1〜図3に示し、まず、具体的な構成について図1、図2を用いて説明する。図1に示すように、ハイブリッドコンプレッサ装置100は、走行運転中一時停車した時にエンジン10が停止されるいわゆるアイドルストップ車両に搭載される冷凍サイクル装置200に適用されるものとしており、ハイブリッドコンプレッサ101と制御装置160とから成る。
【0018】
ここで、エンジン10には、始動用補機としてのモータジェネレータ40が設けられており、そのプーリ41はベルト11によってエンジン10に接続されている。モータジェネレータ40は、停止したエンジン10を始動させるスタータの機能と、エンジン10作動時における発電機の機能とを有する。発電時の電力はバッテリ(電源)20に充電される。
【0019】
また、冷凍サイクル装置200は、周知の冷凍サイクルを形成するものであり、後述するハイブリッドコンプレッサ101を構成する圧縮機130が配設されている。圧縮機130は、この冷凍サイクル内の冷媒を高温高圧に圧縮するものであり、以下、圧縮された冷媒を凝縮液化する凝縮器210、液化された冷媒を断熱膨張させる膨張弁220、膨張した冷媒を蒸発させ、その蒸発潜熱により自身を通過する空気を冷却する蒸発器230が冷媒配管240によって順次接続され閉回路を形成している。尚、蒸発器230の空気流れ下流側には、冷却された実際の空気温度(蒸発器後方空気温度Te)を検出するための蒸発器温度センサ231が設けられている。
【0020】
そして、ハイブリッドコンプレッサ101は、主にプーリ110、電磁クラッチ170、モータ120、圧縮機130および遊星歯車150から成り、以下、その詳細について図2を用いて説明する。
【0021】
プーリ110は、フロントハウジング141に固定されたプーリ軸受け112によって回転可能に支持され、エンジン10の駆動力がベルト11(図1)を介して伝達され回転駆動するようにしている。よって、ハイブリッドコンプレッサ101のプーリ110とモータジェネレータ40のプーリ41は、共にベルト11によってエンジン10に接続される形となる。そして、プーリ回転軸111は、プーリ110の中心部に設けられ、フロントハウジング141に固定された軸受け113によって回転可能に支持されている。
【0022】
また、プーリ回転軸111の略中央部には、外周側がフロントハウジング141に固定された一方向クラッチ180が設けられている。一方向クラッチ180は、プーリ回転軸111のプーリ回転方向の回転駆動を許容し、その逆回転方向に対しては噛み合いにより回転駆動を阻止する。
【0023】
電磁クラッチ170は、プーリ110から後述する圧縮機130に伝達される駆動力を断続するものであり、フロントハウジング141に固定されたコイル171とプーリ回転軸111に固定されたハブ172とから成る。周知のように電磁クラッチ170は、コイル171に通電されるとハブ172がプーリ110に吸着されプーリ110の駆動力をプーリ回転軸111に伝達する(クラッチON)。逆にコイル171への通電を遮断するとハブ172はプーリ110から離れ、プーリ110の駆動力は切断される(クラッチOFF)。
【0024】
モータ120は、主にロータ部120aおよびステ−タ部123から成り、中間ハウジング142内に収容されている。このモータ120は、ロータ部120aの外周部にマグネット(永久磁石)122が設けられるいわゆるSPモ−タ(Surface Permanent−magnet Motor)としており、ロータ部120aの内周側のスペースを活用して後述する遊星歯車150を収容している。尚、モータ回転軸121は、サンギヤ151の中心部に一点鎖線で示される架空上のものとなっている。
【0025】
ステ−タ部123にはコイル123aが設けられており、このステータ部123は中間ハウジング142の内周面に圧入により固定されている。そして、バッテリ20からの電力がインバータ30(図1)を介してコイル123aに供給されることによりロータ部120aは回転駆動される。
【0026】
圧縮機130は、圧縮部材(以下説明する可動スクロール135)が公転(回転)して圧縮機能を果たす回転式の圧縮機、更に具体的にここでは固定容量型のスクロール式圧縮機としており、モータ120の反プーリ側となるエンドハウジング143内に固定される固定スクロール134と、圧縮機回転軸131の偏心シャフト133によって公転する可動スクロール135とを有している。
【0027】
この固定スクロール134と可動スクロール135との噛み合わせによって、外周部に吸入室136が形成され、また中心側に圧縮室137が形成される。そして、エンドハウジング143の側壁に設けられた吸入口136aから吸入室136に吸入された冷媒は、圧縮室137で圧縮され、突出弁138b、吐出室138を経てエンドハウジング143の底壁に設けられた吐出口138aから吐出されるようにしている。
【0028】
圧縮機回転軸131は、中間ハウジング142の反プーリ側で内側に突出する突出壁142aに固定された軸受け132によって回転可能に支持されている。尚、圧縮機回転軸131にはプーリ回転軸111の一端側が嵌入され、圧縮機回転軸131およびプーリ回転軸111は、軸受け115によって互いに独立して回転可能としている。
【0029】
そして、上記プーリ110、モータ120、圧縮機130の各回転軸111、121、131は、上述したようにロータ部120a内に設けられた動力分配機構としての遊星歯車150に連結される構成としている。
【0030】
遊星歯車150は、周知のように、中心部に設けられたサンギヤ151と、サンギヤ151の外周で自転しつつ公転するピニオンギヤ152aに連結されるプラネタリーキャリヤ152と、ピニオンギヤ152aのさらに外周に設けられたリング状のリングギヤ153とから成る。
【0031】
ここでは、プーリ回転軸111はプラネタリーキャリヤ152に接続され、モータ回転軸121(実体としてはロータ部120a)はサンギヤ151に接続され、圧縮機回転軸131はリングギヤ153に接続されるようにしている。尚、サンギヤ151は、軸受け114によってプーリ回転軸111に対して独立して回転可能に支持されている。
【0032】
一方、図1に戻って、制御装置160は、A/C要求信号、車速信号、エンジン回転数信号、アイドルストップ要求信号、乗員の設定する設定温度信号、内気(室内)温度信号、外気(室外)温度信号、蒸発器温度センサ231からの蒸発器後方空気温度(Te)信号等が入力されて、これらの信号に基づいて上記モータ120の作動および電磁クラッチ170の断続を制御するものとしている。
【0033】
具体的には、インバータ30内のスイッチ素子のON−OFFによりバッテリ20からの電力を可変して、モータ120の作動回転数を可変させる。尚、後述するようにプーリ110の駆動力によってロータ部120aが回転されてモータ120が発電機として作動する時には、発生する電力をインバータ30を介してバッテリ20に充電する。また、電磁クラッチ170のコイル171への通電をON−OFFすることで、プーリ110とプーリ回転軸111間の断続を行う。
【0034】
また、制御装置160は、冷凍サイクル装置200の熱負荷に応じた必要冷房能力を満たす圧縮機130の冷媒吐出量を決定し、この冷媒吐出量を確保するための圧縮機130の回転数を決定する。因みに、冷媒吐出量は圧縮機130の1回転当りの吐出容量に回転数を乗じて得られる時間当たりの吐出量であり、回転数が増加するに従って吐出量も増加する。更には図3に示す遊星歯車150における共線図に基づいて、プーリ110の回転数(エンジン回転数にプーリ比を乗じた値)と圧縮機130の回転数(上記冷媒吐出量を吐出容量で除した値)とからモータ120の回転数を決定する(共線図に基づく詳細作動については後述する)。
【0035】
尚、ここでは冷凍サイクル装置200の必要冷房能力は、設定温度、内気温度、外気温度から予め定めた演算式によって算出される目標蒸発器温度Teoと蒸発器後方空気温度Teとの差として得られるものとしている(必要冷房能力=Te−Teo)。
【0036】
次に、上記構成に基づく作動について、図3に示す共線図を用いて説明する。因みに、この共線図は、遊星歯車150にそれぞれ連結されたプーリ110、モータ120、圧縮機130の回転数の関係を示すものである。周知のように横軸に各ギヤ、キャリヤ(左からサンギヤ151、プラネタリーキャリヤ152、リングギヤ153)の座標位置が示され、各座標位置には、上記したようにそれぞれのギヤ、キャリヤ151、152、153に連結されるモータ120、プーリ110、圧縮機130が対応している。また、横軸座標の間隔はサンギヤ151とリングギヤ153とのギヤ比λによって決定される。ここではギヤ比λを0.5と設定している。そして、縦軸には、各ギヤ、キャリヤ151、152、153の回転数が示され、各回転数は3者が直線で結ばれる関係となる。尚、ここでは回転数のプラス側(正回転)をプーリ110、圧縮機130が正規作動する時の正規回転側としており、マイナス側(逆回転)を反正規回転側としている。
【0037】
このハイブリッドコンプレッサ101おいては、遊星歯車150の各ギヤ151、153およびキャリヤ152に各回転軸111、121、131が接続されることによって、図3の共線図に示すように、冷凍サイクル装置200の必要冷房能力やエンジン10の作動状態に応じて、モータ120作動時のモータ回転数が調整され、プーリ回転数に対する圧縮機回転数が増減されるようにしている。
【0038】
即ち、最も冷房能力が必要とされるクールダウン時においては、電磁クラッチ170はONされ、プーリ110の駆動力はプーリ回転軸111から遊星歯車150を介して圧縮機回転軸131に伝達され、圧縮機130が作動される(一方向クラッチ180は空転する)。この時、図3中(ア)に示すように、モータ120(ロータ部120a)がプーリ110の回転方向とは逆回転方向に駆動されることによって、圧縮機回転数がプーリ回転数よりも高回転側となり、冷媒吐出量が増加される。尚、モータ回転数をマイナス側に上げるように作動させてやると、圧縮機回転数は上昇する。
【0039】
クールダウンの後の通常冷房時においては、電磁クラッチ170はONの状態とされ、主にプーリ110の駆動力でモータ120および圧縮機130が作動される(一方向クラッチ180は空転する)。この時、モータ120と圧縮機130とでは、遊星歯車150のサンギヤ151がモータ120に、リングギヤ153が圧縮機130に接続されているため、両ギヤ151、153の歯数により圧縮機130の方が作動トルクが大きくなる。このため、図3中(イ)に示すように、プーリ回転数に対して、圧縮機130は低回転側となり冷媒吐出量が減少される。一方、モータ120は、プーリ回転数に対して高回転側で発電機として作動されることになり、バッテリ20への充電を可能とする。尚、モータ回転数を下げるように作動させてやると、圧縮機回転数は上昇する。
【0040】
更に、エンジン10が停止された場合は、電磁クラッチ170がOFFされ、モータ120の駆動力によって圧縮機130が作動される。この時は、図3中(ウ)に示すように、モータ120が逆回転方向に駆動されることで、プーリ回転軸111が同様に逆回転方向に作動しようとし、一方向クラッチ180によってロックされ、モータ120の駆動力は圧縮機130に伝達される。ここではモータ回転数を増減することで圧縮機回転数は増減する。
【0041】
尚、エンジン10が作動中であっても、電磁クラッチ170をOFFすることで、上記エンジン10停止時と同様にモータ120を逆回転方向に駆動させることによって、圧縮機130を作動させることができる。
【0042】
本発明においては、更にエンジン10が停止され、その後に再びエンジン10がモータジェネレータ40によって始動される際のモータ120の作動制御に特徴を持たせている。即ち、アイドルストップ要求が解除された後のエンジン10の始動時においては、上記図3中(ウ)の状態(エンジン10停止状態、即ちプーリ110停止状態)からモータ120を正回転側に作動させる。すると図3中の2点鎖線のように、圧縮機130は逆回転側(反正規回転側)に膨張機として作動しようとする。即ち、吐出側冷媒を吸入しようとする訳である。しかしながら吐出弁138bは閉られ、圧縮機130は回転できない状態(停止状態)となるので、図3中の(エ)に示すように、モータ120の駆動力はすべてプーリ110を介してエンジン10側に伝達されることになる。
【0043】
以上の構成および作動説明より、本発明においては、エンジン10停止時においては、モータ120の駆動力で圧縮機130を作動させることができ、冷房機能の継続が可能となる。そして、エンジン10始動時においては、モータジェネレータ40の駆動力にモータ120の駆動力が加えられて、ベルト11を介してエンジン10を始動させることができるので、モータジェネレータ40のコストアップ抑制、小型化が可能となる。
【0044】
尚、エンジン10作動時においては、冷凍サイクル装置200の必要冷房能力に見合った圧縮機130の作動を可能としている。
【0045】
また、遊星歯車150を用いることで動力分配機構を容易に構成することができ、更には、遊星歯車150に対してプーリ110、モータ120、圧縮機130を図2に示すようにそれぞれ連結するようにしているので、プーリ110および圧縮機130に対してモータ120は共に減速してその駆動力を伝達でき、低トルク高回転型のモータとして小型軽量化が可能となる。
【0046】
(第2実施形態)
上記第1実施形態に対して、エンジン10の始動時におけるモータ120の作動を冷凍サイクル装置200の熱負荷(必要冷房能力)に応じて選択するようにしても良い。即ち、必要冷房能力が所定レベルよりも低い場合に、圧縮機130が逆回転作動となるようにモータ120を作動させ、必要冷房能力が所定レベルよりも高い場合には、圧縮機130の逆回転側の作動を行わない、つまりモータ120の作動を図3中の(ウ)の状態で維持することにより、冷房性能を重視した対応が可能となる。
【0047】
(その他の実施形態)
遊星歯車150に対するプーリ110、モータ120、圧縮機130の接続は、他の組み合わせに成るようにしても良い。この場合は、モータ120の回転数の増減は共腺図上で圧縮機130の回転数に対応するように決定すれば良い。そして、動力分配機構としては、遊星歯車150に代えて遊星ローラやディファレンシャルギヤ等としても良い。
【0048】
また、圧縮機130は、スクロール式に限らず、他のロータリ式やスルーベーン式等を用いるようにしても良い。更には、回転式の圧縮機に限らず、往復動式の圧縮機をベースにして、例えば逆回転側(反正規回転側)に対する作動を停止さるロック機構等を圧縮機回転軸131に設けたものとしても良い。
【0049】
また、冷凍サイクル装置200の熱負荷(必要冷房能力)は、蒸発器230における温度(Te、Teo)に限らず、車室内における温度(実際の車室内温度および目標吹出し温度)等を用いて定義するようにしても良い。
【0050】
更に、対象とする車両はアイドルストップ車両に限らず、走行用モータを有し、走行中においても所定の走行条件に応じてエンジン10が停止されるいわゆるハイブリッド車両としても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を冷凍サイクル装置に適用した全体構成を示す模式図である。
【図2】図1における第1実施形態のハイブリッドコンプレッサを示す断面図である。
【図3】モータ、プーリ、圧縮機の作動回転数を示す共線図である。
【符号の説明】
10 エンジン
20 バッテリ(電源)
40 モータジェネレータ(始動用補機)
100 ハイブリッドコンプレッサ装置
101 ハイブリッドコンプレッサ
110 プーリ
120 モータ
130 圧縮機
150 遊星歯車(動力分配機構)
151 サンギヤ
152 プラネタリーキャリヤ
153 リングギヤ
160 制御装置
200 冷凍サイクル装置
Claims (5)
- 始動用補機(40)を備えるエンジン(10)が走行状態に応じて停止される車両に適用されるものであって、
前記エンジン(10)からの駆動力を受けて回転駆動するプーリ(110)と、
電源(20)の電力を受けて回転駆動するモータ(120)と、
冷凍サイクル装置(200)内の冷媒を圧縮する圧縮機(130)と、
前記プーリ(110)からの駆動力を前記モータ(120)および前記圧縮機(130)に分配すると共に、前記モータ(120)から入力される駆動力を前記プーリ(110)および前記圧縮機(130)に伝達する動力分配機構(150)と、
前記プーリ(110)および前記モータ(120)の少なくとも一方の駆動力を選択して前記圧縮機(130)を作動させる制御装置(160)とを有するハイブリッドコンプレッサ装置において、
前記制御装置(160)は、前記エンジン(10)停止後において前記始動用補機(40)が作動される際に、前記圧縮機(130)が反正規回転側に作動するように前記モータ(120)を作動させ、前記モータ(120)からの動力を前記プーリ(110)側へ伝達することを特徴とするハイブリッドコンプレッサ装置。 - 前記圧縮機(130)は、反正規回転時に膨張機として作用する回転式の圧縮機(130)であることを特徴とする請求項1に記載ハイブリッドコンプレッサ装置。
- 前記制御装置(160)は、前記エンジン(10)停止時における前記冷凍サイクル装置(200)の熱負荷に応じて、前記始動用補機(40)が作動される際の前記圧縮機(130)に対する反正規回転側の作動を選択的に行うことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のハイブリッドコンプレッサ装置。
- 前記動力分配機構(150)は、遊星歯車(150)であり、
前記プーリ(110)、前記モータ(120)、前記圧縮機(130)は、前記遊星歯車(150)を構成するサンギヤ(151)、プラネタリーキャリヤ(152)、リングギヤ(153)のいずれかに対応して連結されるようにしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載のハイブリッドコンプレッサ装置。 - 前記プーリ(110)は、前記プラネタリーキャリヤ(152)に対応して連結され、
前記モータ(120)は、前記サンギヤ(151)に対応して連結され、
前記圧縮機(130)は、前記リングギヤ(153)に対応して連結されるようにしたことを特徴とする請求項4に記載のハイブリッドコンプレッサ装置。
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