JP2004204712A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ハイブリッド車両において、エンジンの再始動直後の加速時等における信頼性悪化を防止すると共に、走行性低下を防止することが可能な車両制御装置を提供すること。
【解決手段】エンジンコントローラ11は、油温検出部31、水温検出部33、エンジン表面温度検出部35、エンジン停止時間検出部37、潤滑状態判定部39、エンジン制御部41、モータ制御部43を含む。潤滑状態判定部39は、各検出部31〜37での検出結果に基づいて、エンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを判定する。潤滑状態判定部39にて、エンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定されると、エンジンを再始動するために、エンジン制御部41はインジェクタ等に対して制御信号を出力すると共に、モータ制御部43はモータを駆動するようにモータコントローラ13に対して制御指令を出力する。
【選択図】 図2
【解決手段】エンジンコントローラ11は、油温検出部31、水温検出部33、エンジン表面温度検出部35、エンジン停止時間検出部37、潤滑状態判定部39、エンジン制御部41、モータ制御部43を含む。潤滑状態判定部39は、各検出部31〜37での検出結果に基づいて、エンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを判定する。潤滑状態判定部39にて、エンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定されると、エンジンを再始動するために、エンジン制御部41はインジェクタ等に対して制御信号を出力すると共に、モータ制御部43はモータを駆動するようにモータコントローラ13に対して制御指令を出力する。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両の制御を行う車両制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン及び電動機を搭載し、そのエンジン及び電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能なハイブリッド車両において、電動機のみで走行中に急加速等、高駆動力を必要とする場合には、エンジンを始動させて不足分の駆動力を補うことが行われる。上記ハイブリッド車両では、エンジンの使用頻度が少ない走行をし、しばらくエンジンが使用されなかった後に、急加速等によりエンジンを始動させた場合、ピストンやシリンダに油膜が形成されていない状態にも係わらず、始動直後にエンジン回転数がアイドル回転数より高回転になることがあり、油膜形成不良により、エンジンの信頼性に悪影響を与える可能性がある。このため、エンジン始動時の潤滑状態が低い時には、エンジンの回転数の上昇を低下方向に補正する技術が存在している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−278813号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンの回転数の上昇を低下方向に補正した場合、車両状態により加速感に違いが発生し、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。また、エンジン回転数の上昇を低下方向に補正している時には、運転者が車両を加速(例えば、追い越し時等)させたいにも係わらず、車両が加速しないことになる。
【0005】
本発明の課題は、ハイブリッド車両において、エンジンの再始動直後の加速時等における信頼性悪化を防止すると共に、走行性低下を防止することが可能な車両制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両制御装置は、エンジン及び電動機を搭載しエンジン及び電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能なハイブリッド車両に設置される車両制御装置であって、エンジンにおける潤滑状態を判定する潤滑状態判定手段と、エンジンを潤滑された状態に保持する潤滑状態保持手段とを備え、潤滑状態判定手段によりエンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定された際に、潤滑状態保持手段を動作させることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る車両制御装置では、潤滑状態判定手段及び潤滑状態保持手段を備え、潤滑状態判定手段によりエンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定された際に、潤滑状態保持手段が動作する。これにより、エンジンが停止されて潤滑状態が低くなってきた場合には、車両の走行状態に関係なくエンジンが潤滑された状態に保持されることとなり、油膜が適切に形成される。この結果、エンジンの再始動直後の加速時等において、油膜形成不良により信頼性が悪化するのを防ぐとことができる。また、エンジンが潤滑された状態に保持されていることから、エンジン回転数の上昇を低下方向に補正するといった制御を実行する必要がないため、走行性の低下を防止することができる。
【0008】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態保持手段は、エンジンを始動させることにより、当該エンジンを潤滑された状態に保持することが好ましい。このように構成した場合、極めて簡易且つ容易に、エンジンを潤滑された状態に保持することができる。
【0009】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態保持手段は、エンジンと接続された発電用電動機でエンジンを駆動することにより、当該エンジンを潤滑された状態に保持することが好ましい。このように構成した場合、極めて簡易且つ容易に、エンジンを潤滑された状態に保持することができる。
【0010】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンの潤滑油の温度に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0011】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンの冷却水の温度に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0012】
また、本発明に係る車両制御装置において、エンジンの冷却系統と電動機の冷却系統とが分割されていることが好ましい。このように構成した場合、エンジンの冷却水の温度を適切に検知することができる。
【0013】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンの表面温度に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0014】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンが停止してからの経過時間に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0015】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、可変の判定基準値を有し、当該判定基準値との比較により潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切且つ簡易に判定することができる。
【0016】
また、本発明に係る車両制御装置において、判定基準値は、乗員により変更可能であることが好ましい。このように構成した場合、判定基準値を走行条件等に応じて乗員が適切に設定することができる。
【0017】
また、本発明に係る車両制御装置において、判定基準値は、外気温度に応じて変更されることが好ましい。このように構成した場合、判定基準値を外気の状態に応じて適切に設定することができる。
【0018】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段によりエンジンにおける潤滑状態が所定の潤滑状態であると判定された際に、潤滑状態保持手段の動作を停止させることが好ましい。このように構成した場合、必要以上に潤滑状態保持手段を動作させるのを防止して、エネルギーロスを抑制することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る車両制御装置について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
まず、図1に基づいて、ハイブリッド車両1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す概略図である。
【0021】
ハイブリッド車両1は、エンジンEと2つのモータA,Bとを併用するシリーズ&パラレル方式のハイブリッド車両であり、エンジンEと、エンジンEの出力軸3に直結されたエンジンEの起動(始動)及び発電・動力アシストを担うモータAと、走行時の駆動力源になると共に減速エネルギーの回収を担うモータBと、エンジンE及びモータA,Bに連結される動力伝達機構TM等を駆動系として備えている。エンジンE、モータA,Bからの駆動力は、動力伝達機構TMを介して駆動輪5に伝達される。ここで、モータAは各請求項における発電用電動機に相当し、同じくモータBは各請求項における電動機に相当する。
【0022】
エンジンEには、エンジンEの出力軸3から駆動力を受けて作動する出力軸3に直結されたオイルポンプ(図示せず)を有しており、このオイルポンプによりオイルの供給圧力を高めて、エンジンEの摺動部にオイルを供給する。モータAは、エンジンEの出力軸3に直結されているため、エンジンEを停止していても、モータAの回転でエンジンEの出力軸3を回転して、上述のオイルポンプを駆動させることができるようになっている。
【0023】
以上の駆動系は、複数の制御コントローラを含むハイブリッド制御システムによって制御されるようになっており、各コントローラがマイクロコンピュータとマイクロコンピュータによって制御される機能回路とから構成されている。具体的には、エンジンEを制御するエンジンコントローラ11と、モータA,Bを駆動制御するモータコントローラ13とを含んでいる。
【0024】
エンジンコントローラ11は、ハイブリッド制御システム全体の制御を行うもので、運転者の運転操作状況を検出するセンサ・スイッチ類、例えば、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ、シフトレバーにより選択されたシフトポジション(D,R,N,P)に配設されているスイッチがONすることで、シフトポジションを検出するシフトレンジスイッチ(いずれも図示せず)等が接続されている。そして、エンジンコントローラ11では、各センサ・スイッチ類からの信号やモータコントローラ13等から送信されたデータに基づいて必要な車両駆動トルクを演算して駆動系のトルク配分をトルク指令として決定する。
【0025】
また、エンジンコントローラ11は、エンジンEのトルク制御を行うものでもあり、正負のトルク指令、燃料カット指令、エアコンON/OFF許可指令等の制御指令、及び、実トルクフィードバックデータ、車速、シフトレンジスイッチにより選択したシフトポジション(D,R,P,Nレンジ等)を示す信号、アクセルペダルセンサの信号によるアクセル全開データやアクセル全閉データ等に基づいて、図示しないインジェクタからの燃料噴射量、ETC(電動スロットル弁)によるスロットル開度、エアコン等の補機類のパワー補正学習、燃料カット等を制御する。
【0026】
更に、エンジンコントローラ11は、電力管理ユニットとしても機能し、バッテリ15を管理する上での各種制御、すなわち、バッテリ15の充放電制御、ファン制御等を実行する。また、エンジンコントローラ11は、バッテリ15の残存容量、電圧、電流制限値、及び実電流等を示すデータを取得する。
【0027】
モータコントローラ13は、モータA,Bをそれぞれ駆動するためのインバータを備えるものである。モータコントローラ13は、エンジンコントローラ11から送信されるサーボON/OFF指令や回転数指令によって、モータAの定回転数制御を行う。一方、モータコントローラ13からは、エンジンコントローラ11に対し、モータAのトルク、回転数、及び電流値等をフィードバックして送信し、更に、トルク制限要求や電圧値等のデータを送信する。
【0028】
また、モータコントローラ13は、エンジンコントローラ11から送信されるサーボON/OFF(正転、逆転を含む)指令やトルク指令(力行、回生)によって、モータBの定トルク制御を行う。一方、モータコントローラ13からは、エンジンコントローラ11に対し、モータBのトルク、回転数、及び電流値等をフィードバックして送信し、更に、電圧値等のデータを送信する。
【0029】
また、本実施形態においては、エンジンコントローラ11は、エンジンEにおける潤滑状態を判定し、当該潤滑状態が潤滑低下状態である場合に、オイルポンプを駆動させるようになっており、エンジンEの潤滑状態を制御する制御手段としての機能を有している。
【0030】
具体的には、エンジンコントローラ11には、油温センサ21、水温センサ23、エンジン表面温度センサ25等が接続され、各センサからの信号が入力され、上述のエンジンEの潤滑状態制御を行う。また、エンジンコントローラ11はエンジン停止時間タイマ27を含んでおり、当該エンジン停止時間タイマ27は、エンジンEが停止してからの経過時間を計測する。
【0031】
エンジンコントローラ11は、記憶されているエンジン潤滑状態制御処理プログラムを実行することにより、機能的な構成要素として、図2に示されるように、油温検出部31と、水温検出部33と、エンジン表面温度検出部35と、エンジン停止時間検出部37と、潤滑状態判定部(潤滑状態判定手段)39と、エンジン制御部41と、モータ制御部43とを備えて構成される。
【0032】
油温検出部31は、油温センサ21から送られてきた信号に基づいて、エンジンEの潤滑油の温度を検出する。水温検出部33は、水温センサ23から送られてきた信号に基づいて、エンジンEの冷却水の温度を検出する。エンジン表面温度検出部35は、エンジン表面温度センサ25から送られてきた信号に基づいて、エンジンEの表面温度を検出する。エンジン停止時間検出部37は、エンジン停止時間タイマ27における計時結果に基づいて、エンジンEが停止してからの経過時間を検出する。
【0033】
潤滑状態判定部39は、各検出部31〜37での検出結果に基づいて、エンジンEにおける潤滑状態を判定する。詳細には、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを、判断基準値としての設定値との比較により判定する。潤滑状態判定部39は、判定結果をエンジン制御部41及びモータ制御部43に送る。
【0034】
エンジン制御部41は、潤滑状態判定部39での判定結果を受けて、潤滑低下状態である場合、エンジンEを始動させるため、インジェクタ等に制御信号を出力する。また、モータ制御部43は、潤滑状態判定部39での判定結果を受けて、潤滑低下状態である場合に、エンジンEを始動させるため、モータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する。
【0035】
続いて、図3を参照して、エンジンコントローラ11における潤滑状態制御処理について説明する。図3は、エンジンコントローラ11の潤滑状態制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0036】
エンジンコントローラ11は、まず、各センサ21〜25及びタイマ27からの情報を読み込んで、各検出部31〜37にて各センサ21〜25及びタイマ27の状態を検出する(S301)。次に、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを判定する(S303)。
【0037】
なお、潤滑状態判定部39での潤滑状態の判定に対して、各センサ21〜25及びタイマ27からの情報(各検出部31〜37における検出内容)を全て考慮する必要はなく、一部の情報(検出内容)に基づいて判定するようにしてもよい。以下、図4及び図5に基づいて、潤滑状態判定部39における潤滑状態判定処理の例について説明する。
【0038】
図4は、エンジンEの潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度に基づいて、潤滑状態を判定する手順を示すフローチャートである。ここで、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、まず、油温検出部31で検出されたエンジンEの潤滑油の温度が設定値以下であるか否かを判定する(S401)。潤滑油温度が設定値以下の場合には、次に、水温検出部33で検出されたエンジンEの冷却水の温度が設定値以下であるか否かを判定する(S403)。冷却水温度が設定値以下の場合には、次に、エンジン停止時間検出部37で検出されたエンジンEの停止時間が設定値以上であるか否かを判定する(S405)。そして、停止時間が設定値以上の場合には、エンジン表面温度検出部35で検出されたエンジンEの表面温度が設定値以下であるか否かを判定し(S407)、表面温度が設定値以下の場合には潤滑低下状態と判定する(S409)。一方、潤滑油温度が設定値より高い場合、あるいは、冷却水温度が設定値より高い場合、あるいは、停止時間が設定値より短い場合、あるいは、表面温度が設定値より高い場合には、エンジンコントローラ11は、正常状態と判定する(S411)。これにより、潤滑油温度が設定値以下、且つ、冷却水温度が設定値以下、且つ、停止時間が設定値以上、且つ、表面温度が設定値以下の場合に、潤滑低下状態であると判定されることとなる。
【0039】
図5は、エンジンEの潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度に基づいて、潤滑状態を判定する手順を示すフローチャートである。ここで、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、まず、油温検出部31で検出されたエンジンEの潤滑油の温度が設定値以下であるか否かを判定する(S501)。そして、潤滑油温度が設定値以下の場合には、水温検出部33で検出されたエンジンEの冷却水の温度が設定値以下であるか否かを判定し(S503)、冷却水温度が設定値以下の場合には潤滑低下状態と判定する(S505)。一方、潤滑油温度が設定値より高い場合、あるいは、冷却水温度が設定値より高い場合、エンジンコントローラ11は、エンジン停止時間検出部37で検出されたエンジンEの停止時間が設定値以上であるか否かを判定する(S507)。そして、停止時間が設定値以上の場合には、エンジン表面温度検出部35で検出されたエンジンEの表面温度が設定値以下であるか否かを判定し(S509)、表面温度が設定値以下の場合には潤滑低下状態と判定する(S505)。停止時間が設定値より短い場合、あるいは、表面温度が設定値より高い場合には、エンジンコントローラ11は、正常状態と判定する(S511)。これにより、潤滑油温度が設定値以下且つ冷却水温度が設定値以下、潤滑油温度が設定値以下且つ停止時間が設定値以上且つ表面温度が設定値以下、及び、停止時間が設定値以上且つ表面温度が設定値以下のうちのいずれかの場合に、潤滑低下状態であると判定されることとなる。
【0040】
なお、潤滑状態判定部39における潤滑状態判定処理は、図4及び図5に示す処理に限定されるものではなく、潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度のそれぞれ1つに基づいて判定を行ってもよく、更に潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度の2以上の組み合わせによって判定を行ってもよい。
【0041】
再び、図3を参照する。潤滑状態判定部39にて、上述したいずれかの判定処理に基づいて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中であるか否かを判定する(S305)。エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジンEを再始動させるため、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力すると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S307)。これにより、エンジンEが再始動されて、オイルポンプが駆動されることとなり、エンジンEの摺動部にオイルが供給されて、エンジンEが潤滑された状態に保持される。
【0042】
一方、エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中ではなく運転中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述したハイブリッド制御システム全体の通常制御を実行するが、潤滑状態を維持させるために、エンジンEの停止を禁止するよう制御を行う(S309)。これにより、オイルポンプが継続して駆動されることとなり、エンジンEの摺動部にオイルが供給されて、エンジンEが潤滑された状態に保持される。
【0043】
なお、潤滑状態判定部39にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述したハイブリッド制御システム全体の通常制御を実行する(S311)。
【0044】
以上のように、本実施形態においては、エンジンコントローラ11の潤滑状態判定部39によりエンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定されると、エンジンEを再始動するために、エンジン制御部41からインジェクタ等に対して制御信号が出力されると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に対して制御指令が出力されて、エンジンEが再始動する。これにより、エンジンEが停止されて潤滑状態が低くなってきた場合には、ハイブリッド車両1の走行状態に関係なくエンジンEが潤滑された状態に保持されることとなり、油膜が適切に形成される。この結果、エンジンEの再始動直後の加速時等において、油膜形成不良により信頼性が悪化するのを防ぐことができる。また、エンジンEが潤滑された状態に保持されていることから、エンジン回転数の上昇を低下方向に補正するといった制御を実行する必要がなく、走行性の低下を防止することができる。なお、エンジンEの停止状態からエンジンEを再始動させたとしても、エンジン回転数がアイドル回転数から急激に高くなるようなことはなく、信頼性が悪化するようなことはない。
【0045】
また、本実施形態においては、エンジンEを再始動させることにより、当該エンジンEを潤滑された状態に保持している。これにより、極めて簡易且つ容易に、エンジンEを潤滑された状態に保持することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEの潤滑油の温度に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEの冷却水の温度に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEの表面温度に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEが停止してからの経過時間に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0050】
次に、図6〜図10を参照して、エンジンコントローラ11における潤滑状態制御処理の変形例について説明する。図6〜図10は、エンジンコントローラ11の潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【0051】
まず、図6に示された変形例について説明する。本変形例においては、S303にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中であるか否かを判定する(S5501)。エンジンEが停止中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。
【0052】
そして、エンジンEが停止中ではないと判定すると、エンジンコントローラ11は、現在の走行条件においてエンジンEの駆動が必要か否かを判定し(S5503)、必要である場合には、上述した通常制御を実行する(S311)。一方、エンジンEの駆動が必要でない場合(例えば、モータBのみによる駆動状態の場合)は、エンジンコントローラ11は、エンジンEを停止させるため、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力する(S5505)。
【0053】
本変形例によれば、潤滑状態判定部39によりエンジンEにおける潤滑状態が所定の潤滑状態(潤滑低下状態ではなく正常に潤滑された状態)であると判定された際に、エンジンEを停止させるようにしているため、必要以上にエンジンEを駆動させるのを防止して、エネルギーロスを抑制することができる。また、現在の走行条件においてエンジンEの駆動が必要でない場合において、エンジンEを停止させるようにしているため、走行性に悪影響を及ぼすことはない。
【0054】
次に、図7に示された変形例について説明する。本変形例においては、エンジンコントローラ11に設定可変スイッチ(SW)が接続され、当該設定可変スイッチからの信号が入力されている。エンジンコントローラ11は、各センサ21〜25及びタイマ27からの情報を読み込んで、各検出部31〜37にて各センサ21〜25及びタイマ27の状態を検出すると(S301)、設定可変スイッチがONされているか否かを判定する(S5601)。ここで、設定可変スイッチは、乗員により操作されるスイッチであり、潤滑状態判定部39での潤滑状態の判定に用いる設定値を変更するためのものである。
【0055】
例えば、モータBのみによる走行が多い低燃費走行の場合、エンジンEを始動する機会が少なくなるため、比較的に低潤滑状態であってもよく、一方、モータBとエンジンEとによる走行が多い高出力走行の場合、エンジンEを始動する機会が多くなるため、潤滑された状態であることが望ましい。このため、低燃費走行を行う場合には、乗員が設定可変スイッチをONにすることで、潤滑油温度、冷却水温度及び表面温度に関する設定値を低くし、停止時間に関する設定値を長くして、エンジンEを再始動させる頻度を少なくする。そして、高出力走行を行う場合には、乗員が設定可変スイッチをOFFにすることで、潤滑油温度、冷却水温度及び表面温度に関する設定値を高くし、停止時間に関する設定値を短くして、エンジンEを再始動させる頻度を多くする。
【0056】
設定可変スイッチがONの場合には、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、上述したように低燃費走行に適して変更された設定値を用いて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L1であるか否かを判定する(S5603)。潤滑低下状態L1であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジンEが停止中であるか否かを判定し(S305)、エンジンEが停止中であると判定すると、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力すると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S307)。これにより、エンジンEが再始動される。
【0057】
一方、エンジンEが停止中ではないと判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行するが、エンジンEの停止を禁止するよう制御を行う(S309)。なお、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L1ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S5605)。
【0058】
また、設定可変スイッチがOFFの場合には、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、上述したように高出力走行に適して変更された設定値を用いて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L2であるか否かを判定する(S5607)。潤滑低下状態L2であると判定すると、エンジンコントローラ11は、S305に進んで、潤滑低下状態L1の場合と同じ処理を行う。なお、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L2ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S5609)。
【0059】
本変形例によれば、潤滑状態を判定するための設定値(判定基準値)が可変とされて、当該可変とされた設定値との比較により潤滑状態を判定している。これにより、エンジンの潤滑状態を適切且つ簡易に判定することができる。また、設定値は、乗員により変更可能であるので、当該設定値を走行条件等に応じて乗員が適切に設定することができ、エンジンEをより一層適切な潤滑状態に保持することができる。
【0060】
次に、図8に示された変形例について説明する。本変形例においては、エンジンコントローラ11に外気温度センサが接続され、当該外気温度センサからの信号が入力されている。エンジンコントローラ11は、まず、外気温度センサからの情報を読み込んで、外気温度を検出する(S5701)。そして、検出した外気温度に基づいて、設定値を演算して、決定する(S5703)。本変形例において、潤滑状態の判定に外気温度を考慮するのは、外気温度が低いほど潤滑条件が厳しくなるため、外気温度が高い場合に比して、エンジンを再始動しやすい判定条件(設定値)に変更して、より一層潤滑された状態としておくことが望ましいためである。
【0061】
そして、外気温度に基づいて設定値を演算、決定すると、エンジンコントローラ11は、図3に示された処理と同じく、決定された設定値に基づいて潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを判定し、それ以降の処理を実行していく。
【0062】
本変形例によれば、潤滑状態を判定するための設定値(判定基準値)が、外気温度に応じて変更されるので、設定値を外気の状態に応じて適切に設定することができ、エンジンEをより一層適切な潤滑状態に保持することができる。
【0063】
次に、図9に示された変形例について説明する。本変形例においては、S305にて、エンジンEが停止中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、現在の走行条件においてエンジンEの駆動が必要か否かを判定する(S5801)。エンジンEの駆動が必要である場合(例えば、急加速時等の場合)には、エンジンEを再始動させるため、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力すると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力し(S5803)、その後、上述した通常制御(エンジンEの停止を禁止するよう制御を含む)を実行する(S309)。
【0064】
一方、エンジンEの駆動が必要でない場合(例えば、モータBのみによる駆動状態の場合)、エンジンコントローラ11は、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S5805)。この場合、エンジンEが再始動することはないが、オイルポンプは駆動されることから、エンジンEの摺動部にオイルが供給されて、エンジンEが潤滑された状態に保持されることとなる。
【0065】
エンジンEが停止中ではないと判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行するが、潤滑状態を維持させるために、エンジンEの停止を禁止するよう制御を行う(S309)。なお、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。
【0066】
本変形例によれば、モータAを駆動することにより、エンジンEを再始動させることなく、当該エンジンEを潤滑された状態に保持している。これにより、極めて簡易且つ容易に、エンジンEを潤滑された状態に保持することができる。
【0067】
次に、図10に示された変形例について説明する。本変形例においては、S303にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジンEが停止中であるか否かを判定し(S5901)、エンジンEが停止中であると判定すると、モータAが駆動中であるか否かを判定する(S5903)。モータAが駆動中であるか否かの判定は、モータコントローラ13から送られる情報に基づいて判断することができる。モータAが駆動中である場合、エンジンコントローラ11は、モータ制御部43からモータAの駆動を停止するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S5905)。
【0068】
一方、モータAが駆動中でない場合、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。また、エンジンEが停止中でないと判定した場合も、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。
【0069】
本変形例によれば、潤滑状態判定部39によりエンジンEにおける潤滑状態が所定の潤滑状態(潤滑低下状態ではなく正常に潤滑された状態)であると判定された際に、モータAの駆動を停止させるようにしているため、必要以上にモータAを駆動させるのを防止して、エネルギーロスを抑制することができる。
【0070】
本発明は、前述した実施形態及びその変形例に限定されるものではない。例えば、図11に示されるように、エンジンEの冷却装置C1とモータA,Bの冷却装置C2とを独立して設け、エンジンEの冷却系統とモータA,Bの冷却系統とを分割したタイプのハイブリッド車両51にも、本発明を適用することができる。このように、エンジンEの冷却系統とモータA,Bの冷却系統とを分割すると、エンジンEの冷却水の温度を水温センサ23にて適切に検知することができる。なお、図11においては、油温センサ21、エンジン表面温度センサ25、エンジン停止時間タイマ27の図示を省略している。
【0071】
また、本実施形態は、主に発電用に用いるモータAと主に走行駆動用に用いるモータBの2つのモータを有するシリーズ&パラレル方式のハイブリッド車両で説明しているが、発電と走行駆動とを1つのモータで行うパラレルハイブリッド車両等であっても適用できることは云うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、ハイブリッド車両において、エンジンの再始動直後の加速時等における信頼性悪化を防止すると共に、走行性低下を防止することが可能な車両制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係るハイブリッド車両に含まれるエンジンコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】潤滑状態判定部における潤滑状態判定処理の一例について説明するためのフローチャートである。
【図5】潤滑状態判定部における潤滑状態判定処理の一例について説明するためのフローチャートである。
【図6】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図7】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図8】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図9】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図10】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施形態に係るハイブリッド車両の変形例の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1,51…ハイブリッド車両、11…エンジンコントローラ、13…モータコントローラ、15…バッテリ、21…油温センサ、23…水温センサ、25…エンジン表面温度センサ、27…エンジン停止時間タイマ、31…油温検出部、33…水温検出部、35…エンジン表面温度検出部、37…エンジン停止時間検出部、39…潤滑状態判定部、41…エンジン制御部、43…モータ制御部、A,B…モータ、E…エンジン、TM…動力伝達機構。
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両の制御を行う車両制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジン及び電動機を搭載し、そのエンジン及び電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能なハイブリッド車両において、電動機のみで走行中に急加速等、高駆動力を必要とする場合には、エンジンを始動させて不足分の駆動力を補うことが行われる。上記ハイブリッド車両では、エンジンの使用頻度が少ない走行をし、しばらくエンジンが使用されなかった後に、急加速等によりエンジンを始動させた場合、ピストンやシリンダに油膜が形成されていない状態にも係わらず、始動直後にエンジン回転数がアイドル回転数より高回転になることがあり、油膜形成不良により、エンジンの信頼性に悪影響を与える可能性がある。このため、エンジン始動時の潤滑状態が低い時には、エンジンの回転数の上昇を低下方向に補正する技術が存在している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−278813号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、エンジンの回転数の上昇を低下方向に補正した場合、車両状態により加速感に違いが発生し、運転者に違和感を与えてしまう可能性がある。また、エンジン回転数の上昇を低下方向に補正している時には、運転者が車両を加速(例えば、追い越し時等)させたいにも係わらず、車両が加速しないことになる。
【0005】
本発明の課題は、ハイブリッド車両において、エンジンの再始動直後の加速時等における信頼性悪化を防止すると共に、走行性低下を防止することが可能な車両制御装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る車両制御装置は、エンジン及び電動機を搭載しエンジン及び電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能なハイブリッド車両に設置される車両制御装置であって、エンジンにおける潤滑状態を判定する潤滑状態判定手段と、エンジンを潤滑された状態に保持する潤滑状態保持手段とを備え、潤滑状態判定手段によりエンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定された際に、潤滑状態保持手段を動作させることを特徴としている。
【0007】
本発明に係る車両制御装置では、潤滑状態判定手段及び潤滑状態保持手段を備え、潤滑状態判定手段によりエンジンにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定された際に、潤滑状態保持手段が動作する。これにより、エンジンが停止されて潤滑状態が低くなってきた場合には、車両の走行状態に関係なくエンジンが潤滑された状態に保持されることとなり、油膜が適切に形成される。この結果、エンジンの再始動直後の加速時等において、油膜形成不良により信頼性が悪化するのを防ぐとことができる。また、エンジンが潤滑された状態に保持されていることから、エンジン回転数の上昇を低下方向に補正するといった制御を実行する必要がないため、走行性の低下を防止することができる。
【0008】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態保持手段は、エンジンを始動させることにより、当該エンジンを潤滑された状態に保持することが好ましい。このように構成した場合、極めて簡易且つ容易に、エンジンを潤滑された状態に保持することができる。
【0009】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態保持手段は、エンジンと接続された発電用電動機でエンジンを駆動することにより、当該エンジンを潤滑された状態に保持することが好ましい。このように構成した場合、極めて簡易且つ容易に、エンジンを潤滑された状態に保持することができる。
【0010】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンの潤滑油の温度に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0011】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンの冷却水の温度に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0012】
また、本発明に係る車両制御装置において、エンジンの冷却系統と電動機の冷却系統とが分割されていることが好ましい。このように構成した場合、エンジンの冷却水の温度を適切に検知することができる。
【0013】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンの表面温度に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0014】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、エンジンが停止してからの経過時間に基づいて、潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0015】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段は、可変の判定基準値を有し、当該判定基準値との比較により潤滑状態を判定することが好ましい。このように構成した場合、エンジンの潤滑状態を適切且つ簡易に判定することができる。
【0016】
また、本発明に係る車両制御装置において、判定基準値は、乗員により変更可能であることが好ましい。このように構成した場合、判定基準値を走行条件等に応じて乗員が適切に設定することができる。
【0017】
また、本発明に係る車両制御装置において、判定基準値は、外気温度に応じて変更されることが好ましい。このように構成した場合、判定基準値を外気の状態に応じて適切に設定することができる。
【0018】
また、本発明に係る車両制御装置において、潤滑状態判定手段によりエンジンにおける潤滑状態が所定の潤滑状態であると判定された際に、潤滑状態保持手段の動作を停止させることが好ましい。このように構成した場合、必要以上に潤滑状態保持手段を動作させるのを防止して、エネルギーロスを抑制することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る車両制御装置について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
まず、図1に基づいて、ハイブリッド車両1の構成について説明する。図1は、本実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す概略図である。
【0021】
ハイブリッド車両1は、エンジンEと2つのモータA,Bとを併用するシリーズ&パラレル方式のハイブリッド車両であり、エンジンEと、エンジンEの出力軸3に直結されたエンジンEの起動(始動)及び発電・動力アシストを担うモータAと、走行時の駆動力源になると共に減速エネルギーの回収を担うモータBと、エンジンE及びモータA,Bに連結される動力伝達機構TM等を駆動系として備えている。エンジンE、モータA,Bからの駆動力は、動力伝達機構TMを介して駆動輪5に伝達される。ここで、モータAは各請求項における発電用電動機に相当し、同じくモータBは各請求項における電動機に相当する。
【0022】
エンジンEには、エンジンEの出力軸3から駆動力を受けて作動する出力軸3に直結されたオイルポンプ(図示せず)を有しており、このオイルポンプによりオイルの供給圧力を高めて、エンジンEの摺動部にオイルを供給する。モータAは、エンジンEの出力軸3に直結されているため、エンジンEを停止していても、モータAの回転でエンジンEの出力軸3を回転して、上述のオイルポンプを駆動させることができるようになっている。
【0023】
以上の駆動系は、複数の制御コントローラを含むハイブリッド制御システムによって制御されるようになっており、各コントローラがマイクロコンピュータとマイクロコンピュータによって制御される機能回路とから構成されている。具体的には、エンジンEを制御するエンジンコントローラ11と、モータA,Bを駆動制御するモータコントローラ13とを含んでいる。
【0024】
エンジンコントローラ11は、ハイブリッド制御システム全体の制御を行うもので、運転者の運転操作状況を検出するセンサ・スイッチ類、例えば、アクセルペダルの踏み込み量を検出するアクセルペダルセンサ、シフトレバーにより選択されたシフトポジション(D,R,N,P)に配設されているスイッチがONすることで、シフトポジションを検出するシフトレンジスイッチ(いずれも図示せず)等が接続されている。そして、エンジンコントローラ11では、各センサ・スイッチ類からの信号やモータコントローラ13等から送信されたデータに基づいて必要な車両駆動トルクを演算して駆動系のトルク配分をトルク指令として決定する。
【0025】
また、エンジンコントローラ11は、エンジンEのトルク制御を行うものでもあり、正負のトルク指令、燃料カット指令、エアコンON/OFF許可指令等の制御指令、及び、実トルクフィードバックデータ、車速、シフトレンジスイッチにより選択したシフトポジション(D,R,P,Nレンジ等)を示す信号、アクセルペダルセンサの信号によるアクセル全開データやアクセル全閉データ等に基づいて、図示しないインジェクタからの燃料噴射量、ETC(電動スロットル弁)によるスロットル開度、エアコン等の補機類のパワー補正学習、燃料カット等を制御する。
【0026】
更に、エンジンコントローラ11は、電力管理ユニットとしても機能し、バッテリ15を管理する上での各種制御、すなわち、バッテリ15の充放電制御、ファン制御等を実行する。また、エンジンコントローラ11は、バッテリ15の残存容量、電圧、電流制限値、及び実電流等を示すデータを取得する。
【0027】
モータコントローラ13は、モータA,Bをそれぞれ駆動するためのインバータを備えるものである。モータコントローラ13は、エンジンコントローラ11から送信されるサーボON/OFF指令や回転数指令によって、モータAの定回転数制御を行う。一方、モータコントローラ13からは、エンジンコントローラ11に対し、モータAのトルク、回転数、及び電流値等をフィードバックして送信し、更に、トルク制限要求や電圧値等のデータを送信する。
【0028】
また、モータコントローラ13は、エンジンコントローラ11から送信されるサーボON/OFF(正転、逆転を含む)指令やトルク指令(力行、回生)によって、モータBの定トルク制御を行う。一方、モータコントローラ13からは、エンジンコントローラ11に対し、モータBのトルク、回転数、及び電流値等をフィードバックして送信し、更に、電圧値等のデータを送信する。
【0029】
また、本実施形態においては、エンジンコントローラ11は、エンジンEにおける潤滑状態を判定し、当該潤滑状態が潤滑低下状態である場合に、オイルポンプを駆動させるようになっており、エンジンEの潤滑状態を制御する制御手段としての機能を有している。
【0030】
具体的には、エンジンコントローラ11には、油温センサ21、水温センサ23、エンジン表面温度センサ25等が接続され、各センサからの信号が入力され、上述のエンジンEの潤滑状態制御を行う。また、エンジンコントローラ11はエンジン停止時間タイマ27を含んでおり、当該エンジン停止時間タイマ27は、エンジンEが停止してからの経過時間を計測する。
【0031】
エンジンコントローラ11は、記憶されているエンジン潤滑状態制御処理プログラムを実行することにより、機能的な構成要素として、図2に示されるように、油温検出部31と、水温検出部33と、エンジン表面温度検出部35と、エンジン停止時間検出部37と、潤滑状態判定部(潤滑状態判定手段)39と、エンジン制御部41と、モータ制御部43とを備えて構成される。
【0032】
油温検出部31は、油温センサ21から送られてきた信号に基づいて、エンジンEの潤滑油の温度を検出する。水温検出部33は、水温センサ23から送られてきた信号に基づいて、エンジンEの冷却水の温度を検出する。エンジン表面温度検出部35は、エンジン表面温度センサ25から送られてきた信号に基づいて、エンジンEの表面温度を検出する。エンジン停止時間検出部37は、エンジン停止時間タイマ27における計時結果に基づいて、エンジンEが停止してからの経過時間を検出する。
【0033】
潤滑状態判定部39は、各検出部31〜37での検出結果に基づいて、エンジンEにおける潤滑状態を判定する。詳細には、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを、判断基準値としての設定値との比較により判定する。潤滑状態判定部39は、判定結果をエンジン制御部41及びモータ制御部43に送る。
【0034】
エンジン制御部41は、潤滑状態判定部39での判定結果を受けて、潤滑低下状態である場合、エンジンEを始動させるため、インジェクタ等に制御信号を出力する。また、モータ制御部43は、潤滑状態判定部39での判定結果を受けて、潤滑低下状態である場合に、エンジンEを始動させるため、モータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する。
【0035】
続いて、図3を参照して、エンジンコントローラ11における潤滑状態制御処理について説明する。図3は、エンジンコントローラ11の潤滑状態制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0036】
エンジンコントローラ11は、まず、各センサ21〜25及びタイマ27からの情報を読み込んで、各検出部31〜37にて各センサ21〜25及びタイマ27の状態を検出する(S301)。次に、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを判定する(S303)。
【0037】
なお、潤滑状態判定部39での潤滑状態の判定に対して、各センサ21〜25及びタイマ27からの情報(各検出部31〜37における検出内容)を全て考慮する必要はなく、一部の情報(検出内容)に基づいて判定するようにしてもよい。以下、図4及び図5に基づいて、潤滑状態判定部39における潤滑状態判定処理の例について説明する。
【0038】
図4は、エンジンEの潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度に基づいて、潤滑状態を判定する手順を示すフローチャートである。ここで、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、まず、油温検出部31で検出されたエンジンEの潤滑油の温度が設定値以下であるか否かを判定する(S401)。潤滑油温度が設定値以下の場合には、次に、水温検出部33で検出されたエンジンEの冷却水の温度が設定値以下であるか否かを判定する(S403)。冷却水温度が設定値以下の場合には、次に、エンジン停止時間検出部37で検出されたエンジンEの停止時間が設定値以上であるか否かを判定する(S405)。そして、停止時間が設定値以上の場合には、エンジン表面温度検出部35で検出されたエンジンEの表面温度が設定値以下であるか否かを判定し(S407)、表面温度が設定値以下の場合には潤滑低下状態と判定する(S409)。一方、潤滑油温度が設定値より高い場合、あるいは、冷却水温度が設定値より高い場合、あるいは、停止時間が設定値より短い場合、あるいは、表面温度が設定値より高い場合には、エンジンコントローラ11は、正常状態と判定する(S411)。これにより、潤滑油温度が設定値以下、且つ、冷却水温度が設定値以下、且つ、停止時間が設定値以上、且つ、表面温度が設定値以下の場合に、潤滑低下状態であると判定されることとなる。
【0039】
図5は、エンジンEの潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度に基づいて、潤滑状態を判定する手順を示すフローチャートである。ここで、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、まず、油温検出部31で検出されたエンジンEの潤滑油の温度が設定値以下であるか否かを判定する(S501)。そして、潤滑油温度が設定値以下の場合には、水温検出部33で検出されたエンジンEの冷却水の温度が設定値以下であるか否かを判定し(S503)、冷却水温度が設定値以下の場合には潤滑低下状態と判定する(S505)。一方、潤滑油温度が設定値より高い場合、あるいは、冷却水温度が設定値より高い場合、エンジンコントローラ11は、エンジン停止時間検出部37で検出されたエンジンEの停止時間が設定値以上であるか否かを判定する(S507)。そして、停止時間が設定値以上の場合には、エンジン表面温度検出部35で検出されたエンジンEの表面温度が設定値以下であるか否かを判定し(S509)、表面温度が設定値以下の場合には潤滑低下状態と判定する(S505)。停止時間が設定値より短い場合、あるいは、表面温度が設定値より高い場合には、エンジンコントローラ11は、正常状態と判定する(S511)。これにより、潤滑油温度が設定値以下且つ冷却水温度が設定値以下、潤滑油温度が設定値以下且つ停止時間が設定値以上且つ表面温度が設定値以下、及び、停止時間が設定値以上且つ表面温度が設定値以下のうちのいずれかの場合に、潤滑低下状態であると判定されることとなる。
【0040】
なお、潤滑状態判定部39における潤滑状態判定処理は、図4及び図5に示す処理に限定されるものではなく、潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度のそれぞれ1つに基づいて判定を行ってもよく、更に潤滑油温度、冷却水温度、停止時間及び表面温度の2以上の組み合わせによって判定を行ってもよい。
【0041】
再び、図3を参照する。潤滑状態判定部39にて、上述したいずれかの判定処理に基づいて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中であるか否かを判定する(S305)。エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジンEを再始動させるため、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力すると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S307)。これにより、エンジンEが再始動されて、オイルポンプが駆動されることとなり、エンジンEの摺動部にオイルが供給されて、エンジンEが潤滑された状態に保持される。
【0042】
一方、エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中ではなく運転中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述したハイブリッド制御システム全体の通常制御を実行するが、潤滑状態を維持させるために、エンジンEの停止を禁止するよう制御を行う(S309)。これにより、オイルポンプが継続して駆動されることとなり、エンジンEの摺動部にオイルが供給されて、エンジンEが潤滑された状態に保持される。
【0043】
なお、潤滑状態判定部39にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述したハイブリッド制御システム全体の通常制御を実行する(S311)。
【0044】
以上のように、本実施形態においては、エンジンコントローラ11の潤滑状態判定部39によりエンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態であると判定されると、エンジンEを再始動するために、エンジン制御部41からインジェクタ等に対して制御信号が出力されると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に対して制御指令が出力されて、エンジンEが再始動する。これにより、エンジンEが停止されて潤滑状態が低くなってきた場合には、ハイブリッド車両1の走行状態に関係なくエンジンEが潤滑された状態に保持されることとなり、油膜が適切に形成される。この結果、エンジンEの再始動直後の加速時等において、油膜形成不良により信頼性が悪化するのを防ぐことができる。また、エンジンEが潤滑された状態に保持されていることから、エンジン回転数の上昇を低下方向に補正するといった制御を実行する必要がなく、走行性の低下を防止することができる。なお、エンジンEの停止状態からエンジンEを再始動させたとしても、エンジン回転数がアイドル回転数から急激に高くなるようなことはなく、信頼性が悪化するようなことはない。
【0045】
また、本実施形態においては、エンジンEを再始動させることにより、当該エンジンEを潤滑された状態に保持している。これにより、極めて簡易且つ容易に、エンジンEを潤滑された状態に保持することができる。
【0046】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEの潤滑油の温度に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0047】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEの冷却水の温度に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0048】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEの表面温度に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0049】
また、本実施形態においては、潤滑状態判定部39は、エンジンEが停止してからの経過時間に基づいて潤滑状態を判定している。これにより、エンジンEの潤滑状態を適切に判定することができる。
【0050】
次に、図6〜図10を参照して、エンジンコントローラ11における潤滑状態制御処理の変形例について説明する。図6〜図10は、エンジンコントローラ11の潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【0051】
まず、図6に示された変形例について説明する。本変形例においては、S303にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジン制御部41にて、エンジンEが停止中であるか否かを判定する(S5501)。エンジンEが停止中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。
【0052】
そして、エンジンEが停止中ではないと判定すると、エンジンコントローラ11は、現在の走行条件においてエンジンEの駆動が必要か否かを判定し(S5503)、必要である場合には、上述した通常制御を実行する(S311)。一方、エンジンEの駆動が必要でない場合(例えば、モータBのみによる駆動状態の場合)は、エンジンコントローラ11は、エンジンEを停止させるため、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力する(S5505)。
【0053】
本変形例によれば、潤滑状態判定部39によりエンジンEにおける潤滑状態が所定の潤滑状態(潤滑低下状態ではなく正常に潤滑された状態)であると判定された際に、エンジンEを停止させるようにしているため、必要以上にエンジンEを駆動させるのを防止して、エネルギーロスを抑制することができる。また、現在の走行条件においてエンジンEの駆動が必要でない場合において、エンジンEを停止させるようにしているため、走行性に悪影響を及ぼすことはない。
【0054】
次に、図7に示された変形例について説明する。本変形例においては、エンジンコントローラ11に設定可変スイッチ(SW)が接続され、当該設定可変スイッチからの信号が入力されている。エンジンコントローラ11は、各センサ21〜25及びタイマ27からの情報を読み込んで、各検出部31〜37にて各センサ21〜25及びタイマ27の状態を検出すると(S301)、設定可変スイッチがONされているか否かを判定する(S5601)。ここで、設定可変スイッチは、乗員により操作されるスイッチであり、潤滑状態判定部39での潤滑状態の判定に用いる設定値を変更するためのものである。
【0055】
例えば、モータBのみによる走行が多い低燃費走行の場合、エンジンEを始動する機会が少なくなるため、比較的に低潤滑状態であってもよく、一方、モータBとエンジンEとによる走行が多い高出力走行の場合、エンジンEを始動する機会が多くなるため、潤滑された状態であることが望ましい。このため、低燃費走行を行う場合には、乗員が設定可変スイッチをONにすることで、潤滑油温度、冷却水温度及び表面温度に関する設定値を低くし、停止時間に関する設定値を長くして、エンジンEを再始動させる頻度を少なくする。そして、高出力走行を行う場合には、乗員が設定可変スイッチをOFFにすることで、潤滑油温度、冷却水温度及び表面温度に関する設定値を高くし、停止時間に関する設定値を短くして、エンジンEを再始動させる頻度を多くする。
【0056】
設定可変スイッチがONの場合には、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、上述したように低燃費走行に適して変更された設定値を用いて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L1であるか否かを判定する(S5603)。潤滑低下状態L1であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジンEが停止中であるか否かを判定し(S305)、エンジンEが停止中であると判定すると、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力すると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S307)。これにより、エンジンEが再始動される。
【0057】
一方、エンジンEが停止中ではないと判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行するが、エンジンEの停止を禁止するよう制御を行う(S309)。なお、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L1ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S5605)。
【0058】
また、設定可変スイッチがOFFの場合には、エンジンコントローラ11は、潤滑状態判定部39にて、上述したように高出力走行に適して変更された設定値を用いて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L2であるか否かを判定する(S5607)。潤滑低下状態L2であると判定すると、エンジンコントローラ11は、S305に進んで、潤滑低下状態L1の場合と同じ処理を行う。なお、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態L2ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S5609)。
【0059】
本変形例によれば、潤滑状態を判定するための設定値(判定基準値)が可変とされて、当該可変とされた設定値との比較により潤滑状態を判定している。これにより、エンジンの潤滑状態を適切且つ簡易に判定することができる。また、設定値は、乗員により変更可能であるので、当該設定値を走行条件等に応じて乗員が適切に設定することができ、エンジンEをより一層適切な潤滑状態に保持することができる。
【0060】
次に、図8に示された変形例について説明する。本変形例においては、エンジンコントローラ11に外気温度センサが接続され、当該外気温度センサからの信号が入力されている。エンジンコントローラ11は、まず、外気温度センサからの情報を読み込んで、外気温度を検出する(S5701)。そして、検出した外気温度に基づいて、設定値を演算して、決定する(S5703)。本変形例において、潤滑状態の判定に外気温度を考慮するのは、外気温度が低いほど潤滑条件が厳しくなるため、外気温度が高い場合に比して、エンジンを再始動しやすい判定条件(設定値)に変更して、より一層潤滑された状態としておくことが望ましいためである。
【0061】
そして、外気温度に基づいて設定値を演算、決定すると、エンジンコントローラ11は、図3に示された処理と同じく、決定された設定値に基づいて潤滑状態が潤滑低下状態であるか否かを判定し、それ以降の処理を実行していく。
【0062】
本変形例によれば、潤滑状態を判定するための設定値(判定基準値)が、外気温度に応じて変更されるので、設定値を外気の状態に応じて適切に設定することができ、エンジンEをより一層適切な潤滑状態に保持することができる。
【0063】
次に、図9に示された変形例について説明する。本変形例においては、S305にて、エンジンEが停止中であると判定すると、エンジンコントローラ11は、現在の走行条件においてエンジンEの駆動が必要か否かを判定する(S5801)。エンジンEの駆動が必要である場合(例えば、急加速時等の場合)には、エンジンEを再始動させるため、エンジン制御部41からインジェクタ等に制御信号を出力すると共に、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力し(S5803)、その後、上述した通常制御(エンジンEの停止を禁止するよう制御を含む)を実行する(S309)。
【0064】
一方、エンジンEの駆動が必要でない場合(例えば、モータBのみによる駆動状態の場合)、エンジンコントローラ11は、モータ制御部43からモータAを駆動するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S5805)。この場合、エンジンEが再始動することはないが、オイルポンプは駆動されることから、エンジンEの摺動部にオイルが供給されて、エンジンEが潤滑された状態に保持されることとなる。
【0065】
エンジンEが停止中ではないと判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行するが、潤滑状態を維持させるために、エンジンEの停止を禁止するよう制御を行う(S309)。なお、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。
【0066】
本変形例によれば、モータAを駆動することにより、エンジンEを再始動させることなく、当該エンジンEを潤滑された状態に保持している。これにより、極めて簡易且つ容易に、エンジンEを潤滑された状態に保持することができる。
【0067】
次に、図10に示された変形例について説明する。本変形例においては、S303にて、エンジンEにおける潤滑状態が潤滑低下状態ではなく正常状態であると判定すると、エンジンコントローラ11は、エンジンEが停止中であるか否かを判定し(S5901)、エンジンEが停止中であると判定すると、モータAが駆動中であるか否かを判定する(S5903)。モータAが駆動中であるか否かの判定は、モータコントローラ13から送られる情報に基づいて判断することができる。モータAが駆動中である場合、エンジンコントローラ11は、モータ制御部43からモータAの駆動を停止するようにモータコントローラ13に制御指令を出力する(S5905)。
【0068】
一方、モータAが駆動中でない場合、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。また、エンジンEが停止中でないと判定した場合も、エンジンコントローラ11は、上述した通常制御を実行する(S311)。
【0069】
本変形例によれば、潤滑状態判定部39によりエンジンEにおける潤滑状態が所定の潤滑状態(潤滑低下状態ではなく正常に潤滑された状態)であると判定された際に、モータAの駆動を停止させるようにしているため、必要以上にモータAを駆動させるのを防止して、エネルギーロスを抑制することができる。
【0070】
本発明は、前述した実施形態及びその変形例に限定されるものではない。例えば、図11に示されるように、エンジンEの冷却装置C1とモータA,Bの冷却装置C2とを独立して設け、エンジンEの冷却系統とモータA,Bの冷却系統とを分割したタイプのハイブリッド車両51にも、本発明を適用することができる。このように、エンジンEの冷却系統とモータA,Bの冷却系統とを分割すると、エンジンEの冷却水の温度を水温センサ23にて適切に検知することができる。なお、図11においては、油温センサ21、エンジン表面温度センサ25、エンジン停止時間タイマ27の図示を省略している。
【0071】
また、本実施形態は、主に発電用に用いるモータAと主に走行駆動用に用いるモータBの2つのモータを有するシリーズ&パラレル方式のハイブリッド車両で説明しているが、発電と走行駆動とを1つのモータで行うパラレルハイブリッド車両等であっても適用できることは云うまでもない。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、ハイブリッド車両において、エンジンの再始動直後の加速時等における信頼性悪化を防止すると共に、走行性低下を防止することが可能な車両制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係るハイブリッド車両の構成を示す概略図である。
【図2】本実施形態に係るハイブリッド車両に含まれるエンジンコントローラの構成を示すブロック図である。
【図3】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】潤滑状態判定部における潤滑状態判定処理の一例について説明するためのフローチャートである。
【図5】潤滑状態判定部における潤滑状態判定処理の一例について説明するためのフローチャートである。
【図6】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図7】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図8】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図9】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図10】エンジンコントローラでの潤滑状態制御処理の変形例を説明するためのフローチャートである。
【図11】本実施形態に係るハイブリッド車両の変形例の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1,51…ハイブリッド車両、11…エンジンコントローラ、13…モータコントローラ、15…バッテリ、21…油温センサ、23…水温センサ、25…エンジン表面温度センサ、27…エンジン停止時間タイマ、31…油温検出部、33…水温検出部、35…エンジン表面温度検出部、37…エンジン停止時間検出部、39…潤滑状態判定部、41…エンジン制御部、43…モータ制御部、A,B…モータ、E…エンジン、TM…動力伝達機構。
Claims (12)
- エンジン及び電動機を搭載し前記エンジン及び前記電動機の少なくとも一方の駆動力により走行可能なハイブリッド車両に設置される車両制御装置であって、
前記エンジンにおける潤滑状態を判定する潤滑状態判定手段と、
前記エンジンを潤滑された状態に保持する潤滑状態保持手段とを備え、
前記潤滑状態判定手段により前記エンジンにおける前記潤滑状態が潤滑低下状態であると判定された際に、前記潤滑状態保持手段を動作させることを特徴とする車両制御装置。 - 前記潤滑状態保持手段は、前記エンジンを始動させることにより、当該エンジンを潤滑された状態に保持することを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態保持手段は、前記エンジンと接続された発電用電動機で前記エンジンを駆動することにより、当該エンジンを潤滑された状態に保持することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態判定手段は、前記エンジンの潤滑油の温度に基づいて、前記潤滑状態を判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態判定手段は、前記エンジンの冷却水の温度に基づいて、前記潤滑状態を判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
- 前記エンジンの冷却系統と前記電動機の冷却系統とが分割されていることを特徴とする請求項5に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態判定手段は、前記エンジンの表面温度に基づいて、前記潤滑状態を判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態判定手段は、前記エンジンが停止してからの経過時間に基づいて、前記潤滑状態を判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態判定手段は、可変の判定基準値を有し、当該判定基準値との比較により前記潤滑状態を判定することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の車両制御装置。
- 前記判定基準値は、乗員により変更可能であることを特徴とする請求項9に記載の車両制御装置。
- 前記判定基準値は、外気温度に応じて変更されることを特徴とする請求項9に記載の車両制御装置。
- 前記潤滑状態判定手段により前記エンジンにおける前記潤滑状態が所定の潤滑状態であると判定された際に、前記潤滑状態保持手段の動作を停止させることを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか一項に記載の車両制御装置。
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JP2002372063A JP2004204712A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 車両制御装置 |
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JP2002372063A JP2004204712A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 車両制御装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2005121190A (ja) * | 2003-10-20 | 2005-05-12 | Toyota Motor Corp | パワートレーンのオイル供給装置 |
CN114263540A (zh) * | 2021-12-08 | 2022-04-01 | 潍柴动力股份有限公司 | 一种发动机的起动方法及装置 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002372063A patent/JP2004204712A/ja active Pending
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