JP2004204186A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

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Hirofumi Nishida
裕文 西田
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Abstract

【課題】高耐熱性の硬化物を与えるイオン含有ポリマー配合エポキシ樹脂組成物、特に、弾性率等の機械特性の温度上昇に伴う低下が少ない硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決の手段】エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーからなる硬化剤とからなり、前記硬化剤を、前記エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合、好ましくは、前記エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数に対して、前記イオン含有ポリマー中のイオンのモル数が0.01〜0.20となる割合で配合してなるエポキシ樹脂組成物、及び、エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーとからなるエポキシ樹脂組成物の硬化物からなり、前記硬化物は、250℃における弾性率が25℃における値の1/10以上である高耐熱樹脂。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐熱性の硬化物を与えるイオン含有ポリマー配合エポキシ樹脂組成物、特に、弾性率等の機械特性の温度上昇に伴う低下が少ない硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂は、硬化剤を使用する架橋型の樹脂であり、エポキシ樹脂硬化剤との組み合わせによって各種の性質を持つ樹脂を作ることができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、通常、脂肪族ポリアミン、アミドアミン、ポリアミド、芳香族ポリアミン、酸無水物、ルイス塩基、ポリメルカプタン等が用いられる。これらのうちでは、通常、高い架橋密度を与えるものが高い耐熱特性を与えうる。
【0003】
一般に、高分子は、加熱すると軟化し、弾性率等の物理的特性が変化する。耐熱性とは、このような熱による物理的特性変化に対し逆らう性質をいうものとする。この耐熱性の尺度として、融点、ガラス転移温度(以下、Tg)等が用いられる。高分子は、Tg付近でミクロブラウン運動の凍結、解放に対応する状態変化が生じるものと考えられ、Tgより高い温度領域に置くと、鎖のセグメントの運動が解放される。また、Tg付近で弾性率が温度上昇に伴って急激に低下する。従って、耐熱性を向上させるためには、高いTgを与える工夫が必要となる。しかしながら、Tgの異なる樹脂を混合しても、混合樹脂は一般にもとのそれぞれの樹脂のTgに対応する複数のガラス転移温度を示す。このため、樹脂の混合により耐熱性を改善するためは、一般的には、高Tgの樹脂を配合する必要がある。
【0004】
一方、イオン含有ポリマーの1種であるエチレン・(メタ)アクリル酸共重合体アイオノマー(以下、単にアイオノマーともいう)は、分子鎖にカルボキシル基を有しているのでエポキシ樹脂の改質剤としての可能性がありうる。しかしながら、アイオノマーのTgは、その種類によっても異なるが、高くてもせいぜい約80℃程度でしかない。
【0005】
エポキシ樹脂の耐熱性の改良としては、アイオノマーの代わりに、アイオノマーと層状珪酸塩とのナノコンポジットの使用が検討されている(例えば、特許文献1参照)。上記特許文献においては、エポキシ樹脂とアミン系硬化剤との組み合わせに、さらにアイオノマーと層状珪酸塩とのナノコンポジットを配合した場合にTgの上昇が見られる場合もあることを示している。しかしながら、アミン系硬化剤とともに、ナノコンポジットではなくアイオノマーを配合した場合には、殆ど耐熱性向上を観察していない。
【0006】
エポキシ樹脂の熱に関する物理的性質に対する改質は、次のような可能性を開く問題に関連する。すなわち、エポキシ樹脂の物理的性質等を改善するためにエポキシ樹脂に改質剤を使用する場合に、改質剤と樹脂との反応を確保するために、通常、樹脂のTg以上に加熱せざるを得ず、高温を嫌う系に適用することは困難であった。また、電気・電子材料等の分野の技術革新に呼応してエポキシ樹脂の一層高度な性能が要求されるようになっている。従って、弾性率等の機械特性の温度上昇に伴う低下が少ない硬化物を与え、物性改善のために高温加熱することを必要としないエポキシ樹脂組成物が望まれる。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−335680号公報(第5〜6頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の現状に鑑みて、本発明は、高耐熱性の硬化物を与えるイオン含有ポリマー配合エポキシ樹脂組成物、特に、弾性率等の機械特性の温度上昇に伴う低下が少ない硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、エポキシ樹脂にイオン含有ポリマーを配合すると、通常使用される脂肪族ポリアミン、アミドアミン、ポリアミド、芳香族ポリアミン、酸無水物、ルイス塩基、ポリメルカプタン等のエポキシ樹脂硬化剤を使用することなくして、硬化エポキシ樹脂が得られ、しかも、極めて優れた耐熱特性を発揮することを見いだした。本発明は、この予想外の知見に基づいて完成された。
従って、本発明は、エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーからなる硬化剤とからなり、前記硬化剤を、前記エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合で配合してなるエポキシ樹脂組成物(以下、エポキシ樹脂組成物A)である。
本発明はまた、エポキシ樹脂及びイオン含有ポリマーからなり、前記イオン含有ポリマーが、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーのイオン置換体又はそれらのいずれか2種以上の混合物であるエポキシ樹脂組成物(以下、エポキシ樹脂組成物B)でもある。
【0010】
【化7】
Figure 2004204186
【0011】
式中、R1は、水素又は1価の有機基を、R2は、2価の有機基を表す。n及びmは、それぞれ、2以上の整数を表す。
【0012】
本発明は、さらに、エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーとからなるエポキシ樹脂組成物の硬化物からなり、前記硬化物は、250℃における弾性率が25℃における値の1/10以上である高耐熱樹脂である。
本発明は、さらにまた、エポキシ樹脂と、下記一般式(1)で表されるイオン含有ポリマーとを、前記エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合で混合する工程
を有する高耐熱エポキシ樹脂組成物の製造方法でもある。
【0013】
【化8】
Figure 2004204186
【0014】
式中、Xは、a価の、カルボン酸基の共役塩基、リン酸基の共役塩基、ホウ酸基の共役塩基、ケイ酸基の共役塩基、フェノール基の共役塩基、アミン基の共役酸、及び、アミド基の共役酸からなる群から選択される基を表す。ただし、aは、1以上の整数、又は、−1以下の負の整数である。Yは、酸基又は塩基の基を表す。Mは、b価の、金属イオン又は金属酸化物イオンである。ただし、bは、1以上の整数、又は、−1以下の負の整数であって、aが正の整数のときbは負の整数をとり、aが負の整数のときbは正の整数をとる。A、B及びDは、それぞれ、有機又は無機の繰り返し単位を表す。mは、1以上の整数を表す。mは、ゼロ又は1以上の整数を表す。nは、ゼロ又は1以上の整数を表す。pは、2以上の整数である。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明におけるエポキシ樹脂としては特に限定されず、公知の各種エポキシ樹脂を用いることができ、例えば、カテコールジグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエーテル(YDC−1312(東都化成社製)、2,5−ジイソプロピルヒドロキノンジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フロログルシノールPEG(ナガセケムテックス社製)等)等のベンゼン環を1個有するする一核体芳香族エポキシ樹脂類;Celloxide2021P(ダイセル化学工業社製)、CY175(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等の脂環式エポキシ樹脂;ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、ビスフェノールS型エポキシ樹脂(EX−251(ナガセケムテックス社製)等)のビスフェノール型エポキシ樹脂類並びにこれらが部分縮合したオリゴマー混合物及びこれらの核水添型エポキシ樹脂;テトラメチルビス(4−ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、テトラメチルビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテルジグリシジルエーテル;ビフェニル型又はテトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂(YX−4000(ジャパンエポキシレジン社製)等)及びこれらの核水添型エポキシ樹脂;ビスフェノールフルオレン型又はビスクレゾールフルオレン型エポキシ樹脂(BCFジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製)、BPEFジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製))等のフルオレン型エポキシ樹脂;HP−4032D(大日本インキ化学工業社製)、EXA−4750(大日本インキ化学工業社製)、EXA−4700(大日本インキ化学工業社製)等のナフタレン型エポキシ樹脂;ELM−100(住友化学社製)、MY721(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)等の多官能グリシジルアミン;ZX−1257(東都化成社製)、HP−7200(大日本インキ化学工業社製)等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;RE−305(日本化薬社製)、EOCN−4500(日本化薬社製)、EPPN−501H(日本化薬社製)等のノボラック型エポキシ樹脂;Epikote1032H60(ジャパンエポキシレジン社製)、Epikote1031S(ジャパンエポキシレジン社製)、TECHMORE VG3101(三井石化社製)等の多官能グリシジルエーテル;その他のエポキシ樹脂、例えば、シリル化エポキシ樹脂(シリル化GY260(ナガセケムテックス社製)等)、複素環式エポキシ樹脂(CY350(ナガセケムテックス社製)、トリグリシジルイソシアヌレート等)、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物のジグリシジルエーテル、ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうち、2官能エポキシ樹脂に対しては、3官能以上の多官能グリシジルエーテルとの組み合わせが、弾性率維持率の観点から、好ましい。
【0016】
また、低応力化、靱性付与のために用いられるアクリルゴム分散エポキシ樹脂(エポゼットBPA328(日本触媒社製)等)、NBR変性エポキシ樹脂(R−1415(旭電化工業社製)等)、シリコーン変性エポキシ樹脂(ブレンデュアA−2130E(日本油脂社製))等を用いてもよい。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、難燃性付与のために用いられるブロム化エポキシ樹脂(BREN−S(日本化薬社製)、デナコールEX−147(ナガセケムテックス社製)等)等を、エポキシ樹脂のうち、好ましくは30重量%以下の量で、用いてもよい。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
さらに、配合物粘度を下げるために、p−tert−ブチルフェニルグリシジルエーテル、sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル等のベンゼン環を1個有する一核体芳香族モノエポキシ化合物や、低粘度2官能エポキシ化合物、例えば、ジメチロールシクロヘキサンジグリシジルエーテル、EP−4088S(アデカ社製)、1,4−プロパンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、リモネンジオキシド、ERL4206(ユニオンカーバイト社製脂環式エポキシ化合物)、o−トルイジンジグリシジルアミン、アニリンジグリシジルアミン等を、エポキシ樹脂中に、好ましくは5〜30重量%の範囲で、配合してもよい。これらは単独で用いてもよく2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0018】
本発明におけるイオン含有ポリマーは、イオンを含有し、少なくとも2つの繰り返し単位を有する有機又は無機の重合体であってよく、所謂オリゴマーを含む。上記イオン含有ポリマーにおけるイオンは、ポリマーの側鎖に含まれていてもよく、又は、主鎖骨格に含まれていてもよい。例えば、主鎖骨格にイオンを含有するポリマーは、主鎖骨格に4級アンモニウム塩、スルホン酸等を有するものであってよい。
【0019】
上記イオン含有ポリマーにおいて、イオン含量は特に限定されず、ポリマーのイオン側鎖の含量等の調節により広い範囲で設計しうる。イオン含量が多いとイオン会合体が多く形成されるであろう。また、このことはイオン含有ポリマーの結晶性に影響する。イオン会合体の量と密度は、エポキシ樹脂に配合した場合に、エポキシ樹脂のミクロドメイン構造に影響する可能性がある。
【0020】
上記イオン含有ポリマーは、上記エポキシ樹脂に対する相溶性が高くないことが好ましい。相溶性は、樹脂の溶解性パラメーター差で評価することができる。
【0021】
高分子の溶解性パラメーターδは、幾つかの方法で求めることができ、例えば、ポリマーの溶媒(δ既知)との溶解性から決定する方法、結晶性又は架橋試料の最大膨潤から決定する方法、溶解性スペクトルの中間値から決定する方法、Small法等を適用することができる。用いる方法により溶解性パラメーターの値が異なることもあるが、溶解性パラメーターの相対的な大きさを問題にする場合は、同一の方法を用いる限り、方法の違いによる値の大きさそのものの相違は問題にならない。好ましくは、Small方法による。Small法は、分子を構成する原子団や結合型等に対してそれぞれモル吸引力(Fi)を算出し、下記式からδを求める方法である。
δ=ΣFi/V=ρΣFi/M
ただし、Vはモル容積、ρは密度、Mは繰り返し単位の分子量である。
【0022】
本発明において、上記イオン含有ポリマーは上記一般式(1)で表されるものであってよい。
【0023】
上記Xとしては、例えば、カルボン酸基、リン酸基、ホウ酸基、ケイ酸、若しくは、フェノール性水酸基等の酸基に由来する共役塩基、または、アミン基、アミド基等の塩基の基に由来する共役酸であってよい。
【0024】
上記Mは、カチオン又はアニオンである。上記カチオンとしては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のイオン、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属のイオン、亜鉛、銅、コバルト、ニッケル、マンガン、鉄、チタン、スズ、銀、鉛等の金属のイオン、アルミニウム、ガリウム等の金属の3価陽イオン、等を挙げることができる。好ましくは、アルカリ金属イオン、特にナトリウム、カリウムである。上記アニオンとしては、例えば、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、過マンガン酸イオン、アルミン酸イオン、コバルト酸イオン、クロム酸イオン、鉄酸イオン、亜鉄酸イオン、亜鉛酸イオン、ニッケルモリブデン酸イオン等の金属酸化物イオン等を挙げることができる。好ましくは、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオンである。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0025】
上記式(1)で表されるイオン含有ポリマーは、上記式(1)において、A及びBが同一であるときは、nはゼロでないことが、エポキシ樹脂との溶解性パラメーター差の観点から好ましい。
【0026】
上記式(1)で表されるイオン含有ポリマーは、例えば、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアクリル、ポリエステル、ポリアミド等の有機ポリマー、シリコーン等の無機ポリマー等のイオン置換体であってよい。上記有機ポリマー及び無機ポリマーとしては、より具体的には、例えば、上記式(2)〜(5)のいずれかで表されるものを挙げることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0027】
これらのうち、好ましくは式(2)、(3)、(4)及び(5)のいずれかで表されるものであり、より好ましくは式(2)、(4)及び(5)のいずれかで表されるもの、並びに、式(3)で表されるものと式(2)、(4)及び(5)のいずれかで表されるものとの組み合わせである。
【0028】
本発明におけるイオン含有ポリマーは、例えば、酸基又は塩基の基を有するポリマーの酸基又は塩基の基の少なくとも一部、一般には、10%以上、好ましくは20〜100%、より好ましくは50〜100%、をカチオン又はアニオンで中和して得ることができる。カチオン又はアニオンでの中和は、酸基又は塩基の基を有するポリマーの溶液、例えば、アルコール溶液、THF溶液等、に強塩基又は強酸の溶液を滴下する、または、既に中和したイオン対を有する重合性モノマーを用いて、非イオン性の重合性モノマーと共重合させる、等の手法で行うことができ、例えば、上記式(2)〜(5)で表されるポリマーを使用する場合を例示すれば、ポリマーのメタノール溶液に水酸化カリウム又は水酸化ナトリウム等の強塩基のアルコール溶液を滴下し、常温、常圧下に撹拌すればよい。
【0029】
本発明のエポキシ樹脂組成物Aは、エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーからなる硬化剤とからなる。本発明において、イオン含有ポリマーは、エポキシ樹脂を硬化させるための成分として働くことができる。また、イオン含有ポリマーを用いて硬化させることにより、優れた耐熱性等の本発明の組成物や硬化物の有する特性を発揮する。従って、硬化のために他の硬化剤成分を含有する必要がなく、硬化剤は、実質的にイオン含有ポリマーのみからなるものであってよい。ただし、本発明の目的を阻害しない範囲で少量の他の硬化剤を配合することを排除しない。しかしながら、一般的には、他の硬化剤の配合は、弾性率等の機械特性の温度上昇にともなう低下をもたらす傾向があり、多量の使用は望ましくない。
【0030】
本発明のエポキシ樹脂組成物Aは、エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合でイオン含有ポリマーからなる硬化剤を配合する。イオン含有ポリマーを配合することにより、エポキシ樹脂の硬化性が良好であり、かつ、300℃以下において、損失正接の最大値が極めて小さく、1Hzにおける損失正接の最大値が、300℃以下において、0.1以下のものでありえ、300℃以下において、損失正接の極大値が実質的に現れないか、現れたとしてもそのピーク高さは非常に低く0.1以下である。従って、損失正接の極大値として観測しうるTgを事実上持たない樹脂組成物を得ることができる。本発明においては、エポキシ基を反応させることができるイオン量を配合することにより、エポキシ環の自己重合が起こりエーテル結合が形成される考えられる。この反応はエポキシ基を消費するまで進行すると考えられる。エポキシ基の反応量は、例えば、1H−NMRによりエポキシ環のメチンピークを測定する方法、IRにより914cm−1ピーク(エポキシ基の吸収ピーク)の強度を測定する等の方法で測定することができる。エポキシ基を反応させることができるに必要な量は、例えば、エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数に対して、上記イオン含有ポリマー中のイオンのモル数が0.01以上となる割合で、上記硬化剤を配合すれば得られる。配合量が上記範囲より少ないと、硬化が不充分となるおそれがある。一方、エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数に対して、上記イオン含有ポリマー中のイオンのモル数が多くなると、導入イオンはより大きなクラスターを形成し、エポキシ樹脂中で偏析するため、エポキシ樹脂のセグメント運動を効果的に抑制することができなくなる可能性がある。本発明においては、エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数に対して、上記イオン含有ポリマー中のイオンのモル数が0.20より多いと、Tgが出現するおそれがあり、また、電気絶縁性の低下を招く。さらに、エポキシ基の重合開始点が増加し、重合度としては低くなり、その結果、高温寸法安定性が低下するおそれがある。従って、本発明においては、上記下限と上記上限との範囲内であることが好ましい。より好ましくは0.02〜0.10となる割合である。
【0031】
上記エポキシ樹脂組成物Aは、エポキシ樹脂と、上記一般式(1)で表されるイオン含有ポリマーとを、エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合で混合する工程を有する製造方法で得ることができる。上記混合工程は、通常、イオン含有ポリマーを、エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対してイオンのモル数が0.01〜0.20となる割合で混合すればよい。上記混合工程は、エポキシ樹脂と予め調製したイオン含有ポリマーとを室温〜100℃で混合してもよく、又は、エポキシ樹脂と、好ましくは、上記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーとイオンとを、好ましくは溶液状態で混合し、脱溶剤し、必要に応じてロールミル等で均一分散させてもよい。
【0032】
上記混合は、公知の方法で行うことができ、例えば、ディスパーサー、ミキサー、混練機、ホモジェナイザー、3本ロール等の周知の手段を用いることができる。
【0033】
エポキシ樹脂と上記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーのイオン置換体であるイオン含有ポリマーとからなる本発明のエポキシ樹脂組成物Bの硬化物は、極めて優れた耐熱性を発揮することができ、弾性率の温度による変化において、250℃における弾性率が25℃における値の1/10以上でありえ、機械特性の加熱による低下が殆どないエポキシ樹脂硬化物を得ることができる。従って、このようなエポキシ樹脂組成物を用いると、高耐熱樹脂を得ることができる。
【0034】
上記エポキシ樹脂組成物Bにおいて、イオン含有ポリマーは、好ましくは、エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対してイオンのモル数が0.01〜0.20、より好ましくは0.02〜0.10となる割合で、配合される。
【0035】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果が損われない範囲で、更に、従来公知の各種の無機充填剤を配合してもよい。無機充填剤の種類や配合量は、用途や組成物の粘度に応じて適宜選択することができる。上記無機充填剤としては、例えば、溶融シリカ粉末、石英ガラス粉末、結晶性シリカ粉末、ガラス繊維、タルク、アルミナ粉末、珪酸カルシウム粉末、炭酸カルシウム粉末、酸化アンチモン粉末、硫酸バリウム粉末、酸化チタン粉末、水酸化アルミニウム粉末等が挙げられる。エポキシ樹脂組成物の用途が電子・半導体分野である場合には、高純度品が得られ、線膨張係数も小さい溶融シリカ粉末や石英ガラス粉末等が適する。
【0036】
さらに、本発明のエポキシ樹脂組成物には、本発明の効果が損われない範囲で、例えば、各種カップリング剤、消泡剤、低応力化剤、ゴム粒子、顔料等を含有することができる。
【0037】
本発明の高耐熱樹脂を得るには、本発明のエポキシ樹脂組成物A又はBに、必要に応じて、各種添加剤、例えば、上述の無機充填剤、ゴム粒子、顔料等、を配合したものを、通常、120〜180℃、好ましくは120〜150℃で60〜120分程度加熱し、必要に応じて、さらに、150〜200℃、好ましくは150〜200℃で60〜240分程度加熱して後硬化させる。上記添加剤の配合量は、通常、90重量%程度以下である。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体デバイスの封止材、補強材等として使用することにより、半導体デバイスを使用した各種電子・電気製品の信頼性を向上することができる。該半導体デバイスは、小型化、高密度化が可能であり、各種電子・電気製品に使用され得る。例えば、携帯電話、ポケットベル、PDA(Personal Degital Assistant)、GPS(Global Positioning System)、ビデオカメラ、DVD、ノートブックパソコン、等の携帯用小型電子・電気製品等に搭載されうる。
【0039】
【実施例】
本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0040】
イオン含有ポリマーを含有するマスターバッチの製造
製造例1
撹拌機を取り付けた500mlのセパラブルフラスコに、オキシラックSH101(日本触媒社製、スチレン−マレイン酸半エステルの1:1モル比共重合体、カルボン酸当量:308.3g/eq)の66.7重量%メタノール溶液45.0g(0.0973molのカルボン酸基を含有)とAER260(旭化成エポキシ社製、ビスフェノールA型液状エポキシ樹脂、エポキシ当量:190g/eq)100gを仕込み、常温常圧で撹拌して完全に溶解させた。その中に、0.5N−KOHのアルコール溶液194.6ml(0.0973molのKOHを含有)を撹拌下に滴下し、オキシラックSH101に含有される全てのカルボン酸基にカリウムを導入することによりイオン含有ポリマーAに変換した。
その後、約70℃程度に加熱しながら溶剤の減圧蒸留を開始した。ある程度まで溶剤が留去されると、イオン含有ポリマーが析出して撹拌機に絡みついてくるので一旦撹拌を止め、内容物を3本ロールで完全に均一分散させた。
その後、再度フラスコに戻し、残留溶剤を完全に減圧留去し、イオン含有ポリマーAを含有するエポキシ樹脂マスターバッチ1(AER260/イオン含有ポリマーA=100/33.8;K当量=1375g/eq)を得た。
【0041】
製造例2
オキシラックSH101の66.7重量%メタノール溶液45.0gの代わりに、FZ−3806(日本ユニカー社製、カルボン酸を側鎖に持つジメチルポリシロキサン、カルボン酸当量:270.4g/eq)の50重量%メタノール溶液60.0g(0.1109molのカルボン酸基を含有)を用い、また、0.5N−KOHのアルコール溶液194.6mlの代わりに、0.5N−KOHのアルコール溶液221.9ml(0.1109molのKOHを含有)を用いたこと以外は製造例1と同様にしてFZ−3806に含有される全てのカルボン酸基にカリウムを導入することによりイオン含有ポリマーBに変換した。
その後、製造例1と同様にしてイオン含有ポリマーBを含有するエポキシ樹脂マスターバッチ2(AER260/イオン含有ポリマーB=100/34.3;K当量=1211g/eq)を得た。
【0042】
製造例3
強塩基の滴下に際して、0.5N−KOHのアルコール溶液194.6mlの代わりに、0.5N−NaOHのアルコール溶液194.6ml(0.0973molのNaOHを含有)を用いたこと以外は製造例1と同様にしてオキシラックSH101に含有される全てのカルボン酸基にナトリウムを導入することによりイオン含有ポリマーCに変換した。
その後、製造例1と同様にしてイオン含有ポリマーCを含有するエポキシ樹脂マスターバッチ3(AER260/イオン含有ポリマーC=100/32.2;Na当量=1359g/eq)を得た。
【0043】
製造例4
撹拌機を取り付けた500mlのセパラブルフラスコに、マルカリンカーCST−15(丸善石油化学社製、スチレン−p−ビニルフェノール共重合体、スチレン:p−ビニルフェノール=80:20(mol)、フェノール当量:536g/eq)100g(0.187molのヒドロキシフェニル基を含有)を仕込み、メタノール100ml及びテトラヒドロフラン100mlを加え、常温常圧で撹拌して完全に溶解させた。その中に、0.5N−KOHのアルコール溶液282ml(0.141molのKOHを含有)を撹拌下に滴下し、マルカリンカーCST−15に含有される全てのヒドロキシフェニル基のうちの約75%にカリウムを導入することによりイオン含有ポリマーDに変換した。
その後、溶剤の減圧蒸留を開始し、最終的に約90℃程度に加熱して溶剤の留去を試みた。内容物は発泡した状態でガラス状固化したので撹拌を止め、内容物を粉砕しアルミニウム製トレイに入れて減圧オーブン中120℃で5時間減圧乾燥してイオン含有ポリマーDを単離した。その後、AER260の100gに対してイオン含有ポリマーDを50g配合し、3本ロールで完全に均一分散させて、イオン含有ポリマーDを含有するエポキシ樹脂マスターバッチ4(AER260/イオン含有ポリマーD=100/50;K当量=2245g/eq)を得た。
【0044】
実施例1〜10及び比較例1
表1に示す各成分及び組成で配合した。混合して均一な組成物を調製し、120℃/2時間の硬化及び180℃/4時間の後硬化の硬化条件で硬化物を得た。長さ約20mm、幅約10〜15mm、厚さ約2mmのサンプルについて、以下の方法で曲げ弾性率及び動的粘弾性における損失正接(tanδ)を求めた。25℃における曲げ弾性率E25及び250℃における曲げ弾性率E250の値から弾性率維持率を求めて評価を行った。弾性率維持率は以下の式による。
弾性率維持率=(E250/E25)×100(%)
また、0〜300℃の範囲でtanδの最大値をチャートから読み取った。結果を表1に示した。図1〜7に弾性率及びtanδのチャートを示した。
また、tanδの極大値が0.1以上のピークの有無を観察したところ、実施例中にはそのようなピークを識別しなかった。なお、表中の略号は以下のとおりである。
Epikote1031S:ジャパンエポキシレジン社製、4官能エポキシ樹脂、エポキシ当量:197g/eq
EHC−30:アデカハードナーEHC−30、旭電化工業社製、トリスジメチルアミノメチルフェノール
PGE:フロログルシノールPGE、ナガセケムテックス社製、3官能高エポキシ価エポキシ樹脂
【0045】
測定方法
曲げ弾性率及び動的粘弾性におけるtanδ
セイコーインスツルメント社製粘弾性測定装置DMS6100を用いて、両持ち曲げモードで1Hzの正弦歪みを印加することにより測定した。測定温度範囲は0〜300℃で、昇温速度は2℃/minとした。
【0046】
【表1】
Figure 2004204186
【0047】
実施例1〜10から、本発明のエポキシ樹脂組成物は、弾性率維持率が極めて高いことがわかる。その効果は、4官能エポキシ樹脂を含有する実施例1、及び、官能基濃度が高い実施例10でより高くなっている。実施例3と実施例5を比較すると、カリウムイオンとナトナウムイオンとはその効果において、カリウムの方が反応性が高く、少ない含有量で効果があることがわかる。実施例5〜9を比較すると、エポキシ基のモル数に対する導入イオンのモル数が増加すると効果が向上する傾向がうかがえ、導入イオンがカリウムイオンの場合、エポキシ基のモル数に対する導入イオンのモル数の比が0.03を超えるとtanδの極大値が大きくなる。しかし、依然として、弾性率維持率は10%以上を維持していることがわかる。また、エポキシ基を自己重合させてエーテル結合を形成させる硬化触媒であるトリスジメチルアミノメチルフェノールを使用した比較例1は、弾性率維持率が極めて低く、また、明瞭なTgを122℃に示した。
【0048】
図1〜7のチャートは、tanδのカーブが極めてブロードな低いピークを持ち、事実上、Tgが消失していることを示す。また、弾性率のグラフは、300℃以下の範囲でなだからな低下を示すのみで、tanδのカーブが極めてブロードな低いピークを示す温度付近においても弾性率は、実質的に、一定の変化を辿ることを示す。
【0049】
本発明のエポキシ樹脂組成物はいずれも、少なくとも300℃以下で、Tgを持たないか、又は、Tgが有ったとしても、弾性率の低下が極めて小さい。損失正接のチャートを描くと、通常は、ガラス転移の生じる温度において顕著な鋭いピークが観察され(比較例1)、容易にTgを読み取ることができる。しかし、本発明のエポキシ樹脂組成物はいずれも、通常、少なくとも300℃以下で、このようなピークを示さない。しかし、場合により、ブロードな、低い(通常、0.1以下)ピークが識別されることもある。また、弾性率のチャートを描くと、通常は、Tg付近で大きく(通常、数十分の1以下に)弾性率が低下する現象が観察されるのであるが(比較例1)、本発明のエポキシ樹脂組成物はいずれも、少なくとも300℃以下で、このような低下現象が観察されないか、又は、場合により、わずかな(250℃における弾性率が25℃における値の1/10以上である程度の)低下が観測される。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、イオン含有ポリマーを硬化剤成分として配合することにより、高耐熱性の硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物、特に、弾性率等の機械特性の温度上昇に伴う低下が少ない硬化物を与えるエポキシ樹脂組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1における弾性率及び損失正接のチャート。
【図2】実施例2における弾性率及び損失正接のチャート。
【図3】実施例3における弾性率及び損失正接のチャート。
【図4】実施例4における弾性率及び損失正接のチャート。
【図5】実施例5における弾性率及び損失正接のチャート。
【図6】実施例9における弾性率及び損失正接のチャート。
【図7】実施例10における弾性率及び損失正接のチャート。
【図8】比較例1における弾性率及び損失正接のチャート。

Claims (16)

  1. エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーからなる硬化剤とからなり、前記硬化剤を、前記エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合で配合してなるエポキシ樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数に対して、前記イオン含有ポリマー中のイオンのモル数が0.01〜0.20となる割合で前記硬化剤を配合してなる請求項1記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記イオン含有ポリマーは、下記一般式(1)で表されるポリマーの1種又は2種以上である請求項1又は2記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2004204186
    (式中、Xは、a価の、カルボン酸基の共役塩基、リン酸基の共役塩基、ホウ酸基の共役塩基、ケイ酸基の共役塩基、フェノール基の共役塩基、アミン基の共役酸、及び、アミド基の共役酸からなる群から選択される基を表す。ただし、aは、1以上の整数、又は、−1以下の負の整数である。Yは、酸基又は塩基の基を表す。Mは、b価の、金属イオン又は金属酸化物イオンである。ただし、bは、1以上の整数、又は、−1以下の負の整数であって、aが正の整数のときbは負の整数をとり、aが負の整数のときbは正の整数をとる。A、B及びDは、それぞれ、有機又は無機の繰り返し単位を表す。mは、1以上の整数を表す。mは、ゼロ又は1以上の整数を表す。nは、ゼロ又は1以上の整数を表す。pは、2以上の整数である。)
  4. Mは、アルカリ金属イオンである請求項3記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. Mは、チタン酸イオン、ケイ酸イオン、アルミン酸イオンからなる群から選択される少なくとも1種の金属酸化物イオンである請求項3記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 前記イオン含有ポリマーは、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーのイオン置換体又はそのいずれか2種以上の混合物である請求項3〜5のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2004204186
    (式中、R1は、水素又は1価の有機基を、R2は、2価の有機基を表す。n及びmは、それぞれ、2以上の整数を表す。)
  7. エポキシ樹脂及びイオン含有ポリマーからなり、前記イオン含有ポリマーが、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーのイオン置換体又はそのいずれか2種以上の混合物であるエポキシ樹脂組成物。
    Figure 2004204186
    (式中、R1は、水素又は1価の有機基を、R2は、2価の有機基を表す。n及びmは、それぞれ、2以上の整数を表す。)
  8. 前記イオン含有ポリマーは、アルカリ金属イオンの置換体である請求項7記載のエポキシ樹脂組成物。
  9. 前記イオン含有ポリマーは、前記エポキシ樹脂中のエポキシ基のモル数に対して、前記イオン含有ポリマー中のイオンのモル数が0.01〜0.20となる割合で配合される請求項7又は8記載のエポキシ樹脂組成物。
  10. エポキシ樹脂とイオン含有ポリマーとからなるエポキシ樹脂組成物の硬化物からなり、前記硬化物は、250℃における弾性率が25℃における値の1/10以上である高耐熱樹脂。
  11. 前記硬化物は、1Hzにおける損失正接の最大値が、300℃以下において、0.1以下のものである請求項10記載の高耐熱樹脂。
  12. 前記イオン含有ポリマーが、下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーのイオン置換体又はそのいずれか2種以上の混合物である請求項10又は11記載の高耐熱樹脂。
    Figure 2004204186
    (式中、R1は、水素又は1価の有機基を、R2は、2価の有機基を表す。n及びmは、それぞれ、2以上の整数を表す。)
  13. エポキシ樹脂と、下記一般式(1)で表されるイオン含有ポリマーとを、前記エポキシ樹脂のエポキシ基を反応させることができるイオン量となる割合で混合する工程
    を有する高耐熱エポキシ樹脂組成物の製造方法。
    Figure 2004204186
    (式中、Xは、a価の、カルボン酸基の共役塩基、リン酸基の共役塩基、ホウ酸基の共役塩基、ケイ酸基の共役塩基、フェノール基の共役塩基、アミン基の共役酸、及び、アミド基の共役酸からなる群から選択される基を表す。ただし、aは、1以上の整数、又は、−1以下の負の整数である。Yは、酸基又は塩基の基を表す。Mは、b価の、金属イオン又は金属酸化物イオンである。ただし、bは、1以上の整数、又は、−1以下の負の整数であって、aが正の整数のときbは負の整数をとり、aが負の整数のときbは正の整数をとる。A、B及びDは、それぞれ、有機又は無機の繰り返し単位を表す。mは、1以上の整数を表す。mは、ゼロ又は1以上の整数を表す。nは、ゼロ又は1以上の整数を表す。pは、2以上の整数である。)
  14. 前記混合工程は、イオン含有ポリマーを、エポキシ樹脂のエポキシ基のモル数に対してイオンのモル数が0.01〜0.20となる割合で混合する請求項13記載の製造方法。
  15. 前記混合工程は、エポキシ樹脂と予め調製したイオン含有ポリマーとを室温〜100℃で混合する請求項13又は14記載の製造方法。
  16. 前記混合工程は、エポキシ樹脂と下記一般式(2)〜(5)のいずれかで表されるポリマーとイオンとを混合する請求項13又は14記載の製造方法。
    Figure 2004204186
    (式中、R1は、水素又は1価の有機基を、R2は、2価の有機基を表す。n及びmは、それぞれ、2以上の整数を表す。)
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