JPWO2020130097A1 - 封止組成物及び半導体装置 - Google Patents

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Abstract

封止組成物は、エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含有する。

Description

本開示は、封止組成物及び半導体装置に関する。
近年、小型化及び高集積化に伴い、半導体パッケージ内部の発熱が懸念されている。発熱により、半導体パッケージを有する電気部品又は電子部品の性能低下が生じる恐れがあるため、半導体パッケージに使用される部材には、高い熱伝導性が求められている。そのため、半導体パッケージの封止材を高熱伝導化することが求められている。
一方で、半導体パッケージに使用される部材には、温度サイクルテストに対する耐久性も求められる。
例えば無機充填材を高充填させると、封止材の高熱伝導化が可能になるものの、弾性率が高くなることで温度サイクルテストに対する耐久性が低下する場合があり、封止材の高熱伝導化と低弾性率化とはトレードオフの関係にある。そのため、高熱伝導化と低弾性率化とを両立することが難しい場合がある。
無機充填材を高充填させた封止材の例として、(A)エポキシ樹脂、(B)硬化剤、並びに(D)球状アルミナ及び球状シリカを含有する無機充填材を必須成分としてなる半導体封止用エポキシ樹脂組成物であって、前記球状アルミナが、(d1)平均粒径40μm以上70μm以下である第1の球状アルミナ、及び(d2)平均粒径10μm以上15μm以下である第2の球状アルミナを含み、前記球状シリカが、(d3)平均粒径4μm以上8μm以下である第1の球状シリカ、(d4)平均粒径0.05μm以上〜1.0μm以下である第2の球状シリカを含むものであり、(d3)+(d4)の合計量が全無機充填材に対して17%以上23%以下であり、(d3)/(d4)の比率が(d3)/(d4)=1/8以上5/4以下であり、無機充填剤量が全樹脂組成物中85〜95質量%であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)
特許文献1: 特開2006−273920号公報
しかし、特許文献1に記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物では、高熱伝導フィラーであるアルミナを高充填させることで、封止材(すなわち、半導体封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物)の弾性率が高くなることがある。そのため、弾性率の低い高熱伝導封止材の開発は難題である。
本発明の一実施形態によれば、高い熱伝導性を得つつ、室温(すなわち25℃)における弾性率及び高温(すなわち260℃)における弾性率の低い硬化物が得られる封止組成物並びに封止組成物を用いた半導体装置が提供される。
本発明は、以下の実施形態を包含する。
<1>
エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、
硬化剤と、
無機充填材と、
を含有する封止組成物。
<2>
前記無機充填材の含有率は、封止組成物全体に対して78体積%以上である<1>に記載の封止組成物。
<3>
融点又は軟化点が50℃以上である第2のエポキシ樹脂をさらに含有する<1>又は<2>に記載の封止組成物。
<4>
前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して20質量%以上である<1>〜<3>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<5>
前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して50質量%以下である<1>〜<4>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<6>
前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に2つのエポキシ基を有する<1>〜<5>のいずれか1つに記載の封止組成物。
<7>
前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に下記構造式(1)で表される2価の連結基を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の封止組成物。
Figure 2020130097

上記構造式(1)中、*は結合部を示す。
<8>
半導体素子と、前記半導体素子を封止してなる<1>〜<7>のいずれか1つに記載の封止組成物の硬化物と、を含む半導体装置。
本発明の一実施形態によれば、高い熱伝導性を得つつ、室温(すなわち25℃)における弾性率及び高温(すなわち260℃)における弾性率の低い硬化物が得られる封止組成物並びに封止組成物を用いた半導体装置が提供される。
以下、本開示の封止組成物及び半導体装置を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(例えば要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
<封止組成物>
本開示の封止組成物は、エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材と、を含有する。
本開示の封止組成物は、上記第1のエポキシ樹脂を含有するため、高い熱伝導性を得つつ、室温(すなわち25℃)における弾性率(以下「室温弾性率」ともいう)及び高温(すなわち260℃)における弾性率(以下「高温弾性率」ともいう)の低い硬化物が得られる。
ここで、「多官能フェノール樹脂硬化剤」は1分子中に官能基(すなわち水酸基)を3以上有するフェノール樹脂である硬化剤であり、「リン系硬化促進剤」はリン原子を有する硬化促進剤である。
上記「多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度」は、以下のようにして測定する。
まず、測定対象であるエポキシ樹脂と、多官能フェノール樹脂硬化剤であるトリフェニルメタン型フェノール樹脂と、リン系硬化促進剤である有機ホスフィン化合物のキノン付加物と、を混合した混合物を175℃で6時間加熱することで、測定用硬化物を得る。なお、多官能フェノール樹脂硬化剤は、測定対象であるエポキシ樹脂のエポキシ基の数(すなわち総数)とフェノール樹脂の水酸基の数(すなわち総数)とが同程度になるように添加する。また、リン系硬化促進剤は、エポキシ樹脂と多官能フェノール樹脂硬化剤との合計100質量部に対しリン系硬化促進剤の含有量が3質量部〜6質量部になるように添加する。
次に、得られた測定用硬化物を切断して10mgをはかり取り、DSC(Differential scanning calorimetry、示差走査熱量計)測定を行う。具体的には、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社、品名「DSC Q100」)を用いて昇温速度10℃/分の条件にて測定し、得られたチャートの変曲点前後における接線の交点をガラス転移温度とする。
ここで、多官能フェノール樹脂硬化剤である上記トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、例えば「HE910−09」(エア・ウォーター株式会社、水酸基当量:92〜104g/eq、軟化点:75〜85℃)を用いることができる。なお、本開示の封止組成物に含有される硬化剤の種類及び添加量は、それぞれ、上記測定用硬化物を得るために用いる硬化剤の種類及び添加量と同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、リン系硬化促進剤である上記有機ホスフィン化合物のキノン付加物としては、例えばトリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物を用いることができる。なお、本開示の封止組成物が硬化促進剤を含有する場合、封止組成物に含有される硬化促進剤の種類及び添加量は、それぞれ、上記測定用硬化物を得るために用いる硬化促進剤の種類及び添加量と同じであってもよく、異なっていてもよい。
以下、「多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度」を、「硬化後ガラス転移温度」と称する場合がある。
上記「エポキシ基当量」は、以下のようにして測定する。具体的には、「エポキシ基当量」は、測定対象となるエポキシ樹脂を秤量してメチルエチルケトン等の溶剤に溶解させ、酢酸と臭化テトラエチルアンモニウム酢酸溶液を加えた後、過塩素酸酢酸標準液によって電位差滴定することにより測定される。この滴定には、指示薬を用いてもよい。
以下、封止組成物を構成する各成分について説明する。本開示の封止組成物は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、無機充填材とを含有し、必要に応じてその他の成分を含有してもよい。
−エポキシ樹脂−
エポキシ樹脂としては、一般的に、フェノール化合物(フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等)及びナフトール化合物(α−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等)からなる群より選択される少なくとも1種と、アルデヒド化合物(ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等)と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したもの(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);ビスフェノール(ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF、ビスフェノールS等)及びビフェノール(アルキル置換又は非置換のビフェノール等)からなる群より選択される少なくとも1種のジグリシジルエーテル;フェノール・アラルキル樹脂のエポキシ化物;フェノール化合物とジシクロペンタジエン及びテルペン化合物からなる群より選択される少なくとも1種との付加物又は重付加物のエポキシ化物;多塩基酸(フタル酸、ダイマー酸等)とエピクロルヒドリンの反応により得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ポリアミン(ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等)とエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酸(過酢酸等)で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;脂環族エポキシ樹脂;などが挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
これらのエポキシ樹脂の中でも、本開示の封止組成物は、前記の通り、エポキシ基当量が300g/eq以上であり、かつ、硬化後ガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂を少なくとも含有する。また、本開示の封止組成物は、必要に応じて第1のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を含有してもよく、第1のエポキシ樹脂以外の樹脂として、融点又は軟化点が50℃以上である第2のエポキシ樹脂をさらに含有することが好ましい。
本開示の封止組成物は、必要に応じて、第1のエポキシ樹脂及び第2のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂(以下「その他のエポキシ樹脂」ともいう)を含有してもよい。ただし、第1のエポキシ樹脂及び必要に応じて含有される第2のエポキシ樹脂の合計含有率は、封止組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総量に対し、90質量%以上であることが好ましく、95質量%以上であることがより好ましく、98質量%以上であることがさらに好ましい。
(第1のエポキシ樹脂)
第1のエポキシ樹脂は、エポキシ基当量が300g/eq以上であり、かつ、硬化後ガラス転移温度が40℃以下であるエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。
第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は、300g/eq以上であり、高温弾性率を低減させる観点から350g/eq以上であることが好ましく、400g/eq以上であることがより好ましい。また、第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は、熱時硬度の担保の観点から、600g/eq以下であることが好ましく、570g/eq以下であることがより好ましく、540g/eq以下であることがさらに好ましい。第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は、高温弾性率の低減と熱時硬度の担保を両立する観点から、300g/eq〜600g/eqであることが好ましく、350g/eq〜570g/eqであることがより好ましく、400g/eq〜540g/eqであることがさらに好ましい。
第1のエポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度は、40℃以下であり、室温弾性率及び高温弾性率を低減させる観点から35℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましい。また、第1のエポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度の下限値は特に限定されるものではない。第1のエポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度は、熱時硬度の担保及び熱膨張係数低減の観点から、−100℃以上であることが好ましく、−85℃以上であることがより好ましく、−75℃以上であることがさらに好ましい。第1のエポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度は、室温弾性率及び高温弾性率の低減と熱時硬度の担保及び熱膨張係数低減とを両立する観点から、−100℃〜40℃であることが好ましく、−85℃〜30℃であることがより好ましく、−75℃〜20℃であることがさらに好ましい。
第1のエポキシ樹脂は、分子内に、エポキシ基を少なくとも2以上有する。第1のエポキシ樹脂が1分子中に有するエポキシ基の数は、第1のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量が上記範囲であれば特に限定されるものではなく、2〜8が挙げられ、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましく、2が特に好ましい。
なお、上記エポキシ基は、グリシジル基、グリシジルオキシ基、グリシジルオキシカルボニル基、及びエポキシシクロアルキル基(エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロオクチル基等)からなる群より選択される少なくとも一種の一部として、第1のエポキシ樹脂の分子中に含まれていてもよい。
第1のエポキシ樹脂は、分子内に、2以上のエポキシ基に加え、下記構造式(1)で表される2価の連結基を有していることが好ましい。
なお、下記構造式(1)中、*は結合部を示す。
Figure 2020130097

第1のエポキシ樹脂は、分子内に、2以上のエポキシ基に加え、ゴム弾性骨格及び柔軟骨格からなる群より選ばれる少なくとも1種を有していることが好ましい。第1のエポキシ樹脂は、ゴム弾性骨格及び柔軟骨格からなる群より選ばれる少なくとも1種を、分子内に1つのみ有してもよく、2つ以上有してもよい。
ここで、ゴム弾性骨格は、エポキシ樹脂にゴム弾性を付与する部分構造であり、ゴム弾性骨格の具体例としては、アルキレンオキシ基等が挙げられる。
また、柔軟骨格は、エポキシ樹脂の柔軟性を付与する部分構造であり、柔軟骨格の具体例としては、アルキレンオキシ基、長鎖アルキル基、シロキサン骨格等が挙げられる。
第1のエポキシ樹脂は、分子内に、2以上のエポキシ基に加え、芳香環を含む骨格を有していてもよい。
芳香環を含む骨格としては、ベンゼン環骨格、ナフタレン骨格のほか、ビフェニル骨格、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールAD骨格、ビスフェノールS骨格等が挙げられる。
第1のエポキシ樹脂としては、市販品を用いてもよい。第1のエポキシ樹脂は、1種類を単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総量に対する第1のエポキシ樹脂の含有率は、室温弾性率及び高温弾性率を低減する観点から、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。また、封止組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総量に対する第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物の成形性の観点から、50質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。封止組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総量に対する第1のエポキシ樹脂の含有率は、室温弾性率及び高温弾性率の低減と封止組成物の成形性とを両立する観点から、10質量%〜50質量%であることが好ましく、20質量%〜45質量%であることがより好ましく、25質量%〜40質量%であることがさらに好ましい。
また、封止組成物全体に対する第1のエポキシ樹脂の含有率は、0.2質量%〜3質量%であることが好ましく、0.4質量%〜1.5質量%であることがより好ましく、0.6質量%〜1.1質量%であることがさらに好ましい。
(第2のエポキシ樹脂)
第2のエポキシ樹脂は、第1のエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂であり、かつ、融点又は軟化点が50℃以上であるエポキシ樹脂であれば特に限定されるものではない。
ここで、エポキシ樹脂の融点は示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
なお、第2のエポキシ樹脂における融点又は軟化点は、封止組成物の成形性の観点から、50℃以上であることが好ましく、60℃以上であることがより好ましく、70℃以上であることがさらに好ましい。また、第2のエポキシ樹脂における融点又は軟化点は、製造時の混練性の観点から、150℃以下であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。第2のエポキシ樹脂における融点又は軟化点は、封止組成物の成形性と製造時の混練性の観点から、50℃〜150℃であることが好ましく、60℃〜130℃であることがより好ましく、70℃〜120℃であることがさらに好ましい。
第2のエポキシ樹脂におけるエポキシ基当量は特に限定されるものではなく、300g/eq未満であることが好ましく、成形性と高温弾性率低減の両立の観点から、120g/eq〜270g/eqであることがより好ましく、150g/eq〜240g/eqであることがさらに好ましい。
また、第2のエポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度は、特に限定されるものではなく、40℃より高いことが好ましく、成形性と室温弾性率低減の両立の観点から、80℃〜200℃であることがより好ましく、120℃〜180℃であることがさらに好ましい。
第2のエポキシ樹脂は、分子内に、エポキシ基を少なくとも2以上有する。第2のエポキシ樹脂が1分子中に有するエポキシ基の数は、特に限定されるものではなく、2〜8が挙げられ、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましく、2が特に好ましい。
なお、上記エポキシ基は、グリシジル基、グリシジルオキシ基、グリシジルオキシカルボニル基、及びエポキシシクロアルキル基(エポキシシクロペンチル基、エポキシシクロヘキシル基、エポキシシクロオクチル基等)からなる群より選択される少なくとも一種の一部として、第1のエポキシ樹脂の分子中に含まれていてもよい。
第2のエポキシ樹脂は、分子内に、2以上のエポキシ基に加え、下記一般式(2)で表される2価の連結基を有していることが好ましい。
なお、下記一般式(2)中、*は結合部を示し、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数4〜18の芳香族基を示す。
Figure 2020130097

前記一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、メチル基がさらに好ましい。
また、前記一般式(2)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましく、水素原子がさらに好ましい。
封止組成物に含まれる全エポキシ樹脂の総量に対する第2のエポキシ樹脂の含有率は、室温弾性率及び高温弾性率の低減と成形性とを両立する観点から、50質量%〜90質量%であることが好ましく、55質量%〜80質量%であることがより好ましく、60質量%〜75質量%であることがさらに好ましい。
また、封止組成物全体に対する第2のエポキシ樹脂の含有率は、1質量%〜5質量%であることが好ましく、1.5質量%〜4質量%であることがより好ましく、1.7質量%〜3質量%であることがさらに好ましい。
封止組成物に占める全エポキシ樹脂の含有率は、2.0質量%〜6質量%であることが好ましく、3.0質量%〜5.5質量%であることがより好ましく、3.0質量%〜5.0質量%であることがさらに好ましい。
無機充填材を除く封止組成物に占める全エポキシ樹脂の含有率は、40質量%〜70質量%であることが好ましく、45質量%〜64質量%であることがより好ましく、48質量%〜55質量%であることがさらに好ましい。
−硬化剤−
封止組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤の種類は特に限定されず、公知の硬化剤を使用することができる。
硬化剤としては、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、ポリメルカプタン硬化剤、ポリアミノアミド硬化剤、イソシアネート硬化剤、ブロックイソシアネート硬化剤等が挙げられる。硬化剤は、流動性を維持しつつ耐リフロー性に優れる封止組成物を得る観点から、フェノール硬化剤、アミン硬化剤、及び酸無水物硬化剤が好ましく、フェノール硬化剤がより好ましい。硬化剤は1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
フェノール硬化剤としては、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂、多価フェノール化合物等が挙げられる。具体的には、フェノール硬化剤としては、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の多価フェノール化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ジメトキシパラキシレン、ビス(メトキシメチル)ビフェニル等と、から合成されるアラルキル型フェノール樹脂(フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等);パラキシリレン変性フェノール樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物とジシクロペンタジエンとの共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得たフェノール樹脂;などが挙げられる。これらのフェノール樹脂及び多価フェノール化合物は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール硬化剤は、これらの中でも、多官能フェノール樹脂が好ましく、その中でもノボラック型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂、及びトリフェニルメタン型フェノール樹脂が好ましく、トリフェニルメタン型フェノール樹脂がより好ましい。
トリフェニルメタン型フェノール樹脂としては、下記一般式(3)で表されるフェノール樹脂が挙げられる。
Figure 2020130097
上記一般式(3)中、R11〜R15は、それぞれ独立に、炭素数1〜18の1価の有機基を示し、b1〜b2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、b3は0〜3の整数を示し、b4〜b5は、それぞれ独立に、0〜4の整数を示し、nは0〜10を示す。
一般式(3)中のR11〜R15で示される炭素数1〜18の1価の有機基としては、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアラルキル基等が挙げられる。
一般式(3)中のb1〜b5は、0〜1の整数であることが好ましく、0であることがより好ましい
一般式(3)中のnは、1〜7であることが好ましく、2〜5であることがより好ましい。
硬化剤の官能基当量は特に制限されず、成形性の観点から、70g/eq〜500g/eqであることが好ましく、70g/eq〜300g/eqであることがより好ましく、80g/eq〜250g/eqであることがさらに好ましい。なお、硬化剤の官能基当量は、JIS K0070:1992に準拠して測定された値をいう。
硬化剤が固体である場合、その軟化点又は融点は、特に制限されない。硬化剤の軟化点又は融点は、成形性と耐リフロー性の観点からは、40℃〜180℃であることが好ましく、封止組成物の製造時における取扱い性の観点からは、軟化点又は融点は、50℃〜130℃であることがより好ましく、55℃〜100℃であることがさらに好ましい。
硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
エポキシ樹脂と硬化剤の配合比は、それぞれの未反応分を少なく抑える観点から、硬化剤の官能基(例えば、フェノール樹脂の場合にはフェノール性水酸基)の当量がエポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.5当量〜1.5当量になるように、硬化剤が配合されることが好ましく、特に、0.7当量〜1.2当量になるように硬化剤が配合されることが好ましい。
−無機充填材−
無機充填材は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
無機充填材を2種類以上併用する場合としては、成分、平均粒子径、形状等が異なる無機充填材を2種類以上用いる場合が挙げられる。
無機充填材の形状は特に制限されず、粉状、球状、繊維状等が挙げられる。封止組成物の成形時の流動性及び金型摩耗性の点からは、無機充填材の形状は球状であることが好ましい。
無機充填材としては、高熱伝導性の観点からアルミナを含むことが好ましい。無機充填材の全てがアルミナであってもアルミナとその他の無機充填材とが併用されていてもよい。
アルミナと併用可能なその他の無機充填材としては、球状シリカ、結晶シリカ等のシリカ、ジルコン、酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、炭化珪素、窒化珪素、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニアなどが挙げられる。さらに、難燃効果のある無機充填材としては水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛等が挙げられる。
無機充填材としてアルミナとその他の無機充填材とが併用される場合、流動性の観点から、その他の無機充填材としてシリカを用いることが好ましい。
無機充填材としてアルミナとシリカとが併用される場合、無機充填材に占めるアルミナの含有率は、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることが特に好ましい。また、無機充填材に占めるアルミナの含有率は、99.6質量%以下であってもよい。
無機充填材の含有率は、吸湿性、線膨張係数の低減、強度向上、及びはんだ耐熱性の観点から、封止組成物の全体に対して60体積%以上であることが好ましく、70体積%以上であることがより好ましく、75体積%以上であることがさらに好ましい。
また、無機充填材の含有率は、高熱伝導性の観点から、封止組成物の全体に対して78体積%以上であることが好ましく、80体積%以上であることがより好ましい。無機充填材の含有率は、封止組成物の成形性及び流動性の観点から、封止組成物の全体に対して95体積%以下であることが好ましく、90体積%以下であることがより好ましく、85体積%以下であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率は、高熱伝導性と封止組成物の成形性及び流動性とを両立する観点から、78体積%〜90体積%が好ましく、78体積%〜85体積%がより好ましく、80体積%〜85体積%がさらに好ましい。
無機充填材の平均粒子径は、4μm〜100μmであることが好ましく、7μm〜70μmであることがより好ましく、7μm〜40μmであることがさらに好ましい。本開示において、無機充填材の平均粒子径は、無機充填材としてアルミナが単独で用いられている場合にはアルミナの平均粒子径を、無機充填材としてアルミナとその他の無機充填材とが併用されている場合には無機充填材全体としての平均粒子径をいう。
封止組成物の硬化物の熱伝導率は、無機充填材の平均粒子径が大きくなる程、高くなる傾向にある。
無機充填材の平均粒子径は、以下の方法により測定することができる。
溶媒(純水)に、測定対象の無機充填材を1質量%〜5質量%の範囲内で界面活性剤1質量%〜8質量%とともに添加し、110Wの超音波洗浄機で30秒〜5分間振動し、無機充填材を分散する。分散液の約3mL程度を測定用セルに注入して25℃で測定する。測定装置は、レーザー回折式粒度分布計(株式会社堀場製作所、LA920)を用い、体積基準の粒度分布を測定する。平均粒子径は、体積基準の粒度分布において小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50%)として求められる。なお、屈折率はアルミナの屈折率を用いる。無機充填材がアルミナとその他の無機充填材の混合物である場合においては、屈折率はアルミナの屈折率を用いるものとする。
無機充填材の比表面積は、流動性及び成形性の観点から、0.7m/g〜4.0m/gであることが好ましく、0.9m/g〜3.0m/gであることがより好ましく、1.0m/g〜2.5m/gであることがさらに好ましい。
封止組成物の流動性は、無機充填材の比表面積が小さくなる程、高くなる傾向にある。
本開示において、無機充填材の比表面積は、無機充填材として例えばアルミナが単独で用いられている場合にはアルミナの比表面積を、無機充填材としてアルミナとその他の無機充填材とが併用されている場合には無機充填材の混合物の比表面積をいう。
無機充填材の比表面積(BET比表面積)は、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。評価装置としては、QUANTACHROME社:AUTOSORB−1(商品名)を用いることができる。BET比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。
−その他の成分−
(硬化促進剤)
封止組成物は、硬化促進剤をさらに含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、公知の硬化促進剤を使用することができる。
硬化促進剤としては、具体的には、1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ[4.3.0]ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7等のシクロアミジン化合物;シクロアミジン化合物に無水マレイン酸、1,4−ベンゾキノン、2,5−トルキノン、1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルベンゾキノン、2,6−ジメチルベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−5−メチル−1,4−ベンゾキノン、2,3−ジメトキシ−1,4−ベンゾキノン、フェニル−1,4−ベンゾキノン等のキノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂などのπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有する化合物;ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン化合物;3級アミン化合物の誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物;イミダゾール化合物の誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリス(4−メチルフェニル)ホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;有機ホスフィン化合物に無水マレイン酸、上記キノン化合物、ジアゾフェニルメタン、フェノール樹脂等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾールテトラフェニルボレート、N−メチルモルホリンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;テトラフェニルボロン塩の誘導体;トリフェニルホスホニウム−トリフェニルボラン、N−メチルモルホリンテトラフェニルホスホニウム−テトラフェニルボレート等のホスフィン化合物とテトラフェニルボロン塩との付加物;などが挙げられる。硬化促進剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
硬化促進剤は、これらの中でも、リン系硬化促進剤が好ましく、その中でも有機ホスフィン化合物、有機ホスフィン化合物の付加物、及びホスフィン化合物とテトラフェニルボロン塩との付加物がより好ましく、有機ホスフィン化合物及び有機ホスフィン化合物の付加物がさらに好ましく、有機ホスフィン化合物にキノン化合物が付加してなる化合物が特に好ましい。
硬化促進剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、0.1質量%〜8質量%であることが好ましい。
(イオントラップ剤)
封止組成物は、イオントラップ剤をさらに含有してもよい。
本開示において使用可能なイオントラップ剤は、半導体装置の製造用途に用いられる封止材において、一般的に使用されているイオントラップ剤であれば特に制限されるものではない。イオントラップ剤としては、下記一般式(4)又は下記一般式(5)で表される化合物等が挙げられる。
Mg1−aAl(OH)(COa/2・uHO (4)
(一般式(4)中、aは0<a≦0.5であり、uは正数である。)
BiO(OH)(NO (5)
(一般式(5)中、bは0.9≦b≦1.1、cは0.6≦c≦0.8、dは0.2≦d≦0.4である。)
イオントラップ剤は、市販品として入手可能である。一般式(4)で表される化合物としては、例えば、「DHT−4A」(協和化学工業株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。また、一般式(5)で表される化合物としては、例えば、「IXE500」(東亞合成株式会社、商品名)が市販品として入手可能である。
また、上記以外のイオントラップ剤として、マグネシウム、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン等からなる群より選ばれる元素の含水酸化物が挙げられる。
イオントラップ剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物がイオントラップ剤を含有する場合、イオントラップ剤の含有量は、充分な耐湿信頼性を実現する観点からは、エポキシ樹脂100質量部に対して1質量部以上であることが好ましい。他の成分の効果を充分に発揮する観点からは、イオントラップ剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して15質量部以下であることが好ましい。
また、イオントラップ剤の平均粒子径は0.1μm〜3.0μmであることが好ましく、最大粒子径は10μm以下であることが好ましい。イオントラップ剤の平均粒子径は、無機充填材の場合と同様にして測定することができる。
(カップリング剤)
封止組成物は、カップリング剤をさらに含有してもよい。カップリング剤の種類は、特に制限されず、公知のカップリング剤を使用することができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤等が挙げられる。カップリング剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
シランカップリング剤としては、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−[ビス(β−ヒドロキシエチル)]アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(β−アミノエチル)アミノプロピルジメトキシメチルシラン、N−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N−(ジメトキシメチルシリルイソプロピル)エチレンジアミン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラン、γ−アニリノプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられる。
チタンカップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート等が挙げられる。
−特定シラン化合物−
なお、封止組成物は、上記カップリング剤として、炭素数6以上の鎖状炭化水素基がケイ素原子に結合した構造を有するシラン化合物(以下「特定シラン化合物」ともいう)を含有してもよい。
上記鎖状炭化水素基は、分岐していてもよく、置換基を有していてもよい。なお、本開示において、鎖状炭化水素基の炭素数とは、分岐又は置換基の炭素を含まない炭素数を意味する。鎖状炭化水素基は、不飽和結合を含んでいても含んでいなくてもよく、不飽和結合を含まないことが好ましい。
特定シラン化合物における、ケイ素原子に結合する鎖状炭化水素基の数は、1〜4であればよく、1〜3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることがさらに好ましい。
特定シラン化合物中におけるケイ素原子に結合する鎖状炭化水素基の数が1〜3である場合、ケイ素原子に結合する、鎖状炭化水素基以外の原子又は原子団は特に制限されず、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基等であってもよい。なかでも、特定シラン化合物中におけるケイ素原子には、鎖状炭化水素基以外に1又は複数のアルコキシが結合していることが好ましく、1個の鎖状炭化水素基と、3個のアルコキシ基とがケイ素原子に結合していることがより好ましい。
特定シラン化合物の鎖状炭化水素基の炭素数は、6以上であり、粘度を抑える観点から、7以上であることが好ましく、8以上であることがより好ましい。特定シラン化合物の鎖状炭化水素基の炭素数の上限に特に制限はなく、樹脂への分散性、硬化物の物性バランス等の観点から、12以下であることが好ましく、11以下であることがより好ましく、10以下であることがさらに好ましい。
鎖状炭化水素基が置換基を有する場合、置換基は特に限定されない。置換基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。
鎖状炭化水素基は、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基(以下、「特定官能基」ともいう)を有することが好ましく、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基を有することがより好ましく、(メタ)アクリロイル基を有することがさらに好ましい。特定官能基は、鎖状炭化水素基の末端に存在していてもよく、鎖状炭化水素基の側鎖に存在していてもよい。粘度を抑える観点からは、特定官能基は鎖状炭化水素基の末端に存在していることが好ましい。
鎖状炭化水素基が(メタ)アクリロイル基を有する場合、(メタ)アクリロイル基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよい。例えば、鎖状炭化水素基は(メタ)アクリロイルオキシ基を有していてもよい。なかでも、鎖状炭化水素基はメタクリロイルオキシ基を有することが好ましい。
鎖状炭化水素基がエポキシ基を有する場合、エポキシ基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよい。例えば、鎖状炭化水素基はグリシジルオキシ基、脂環式エポキシ基等を有していてもよい。なかでも、鎖状炭化水素基はグリシジルオキシ基を有することが好ましい。
鎖状炭化水素基がアルコキシ基を有する場合、アルコキシ基は鎖状炭化水素基に直接結合していてもよく、他の原子又は原子団を介して結合していてもよく、鎖状炭化水素基に直接結合していることが好ましい。アルコキシ基は特に限定されず、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等であってよい。なかでも、入手容易性の観点からは、鎖状炭化水素基はメトキシ基を有することが好ましい。
特定シラン化合物における、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、及びアルコキシ基からなる群より選択される少なくとも1つの官能基の当量(分子量/官能基数)は特に制限されない。封止組成物の低粘度化の観点から、200g/eq〜420g/eqであることが好ましく、210g/eq〜405g/eqであることがより好ましく、230g/eq〜390g/eqであることがさらに好ましい。
特定シラン化合物としては、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、6−グリシドキシヘキシルトリメトキシシラン、7−グリシドキシヘプチルトリメトキシシラン、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、6−(メタ)アクリロキシヘキシルトリメトキシシラン、7−(メタ)アクリロキシへプチルトリメトキシシラン、8−(メタ)アクリロキシオクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等が挙げられる。なかでも、封止組成物の低粘度化の観点から、特定シラン化合物としては、8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン及び8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシランが好ましい。特定シラン化合物は1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特定シラン化合物は合成してもよく、市販されているものを用いてもよい。市販されている特定シラン化合物としては、信越化学工業株式会社製KBM−3063(ヘキシルトリメトキシシラン)、KBE−3063(ヘキシルトリエトキシシラン)、KBE−3083(オクチルトリエトキシシラン)、KBM−4803(8−グリシドキシオクチルトリメトキシシラン)、KBM−5803(8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン)、KBM−3103C(デシルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
封止組成物がカップリング剤を含有する場合、カップリング剤の含有率は、封止組成物の全体に対して3質量%以下であることが好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下がさらに好ましく、その効果を発揮させる観点からは、0.1質量%以上であることが好ましく、0.15質量%以上であることがより好ましく、0.2質量%以上がさらに好ましい。
また、カップリング剤の含有率は、無機充填材100質量部に対して、0.01質量部以上であってもよく、0.02質量部以上であってもよい。カップリング剤の含有量は無機充填材100質量部に対して5質量部以下であることが好ましく、2.5質量部以下であることがより好ましい。カップリング剤の含有量は、流動性とパッケージの成形性とを両立する観点から、無機充填材100質量部に対して0.05質量部〜2.0質量部が好ましく、0.1質量部〜1.5質量部がより好ましく、0.2質量部〜1.0質量部がさらに好ましい。
(離型剤)
封止組成物は、離型剤をさらに含有してもよい。離型剤の種類は特に制限されず、公知の離型剤を使用することができる。具体的には、離型剤としては、高級脂肪酸、カルナバワックス、モンタンワックス、ポリエチレン系ワックス等が挙げられる。離型剤は、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
封止組成物が離型剤を含有する場合、離型剤の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、10質量%以下であることが好ましく、その効果を発揮させる観点からは、0.5質量%以上であることが好ましい。
(着色剤及び改質剤)
封止組成物は、着色剤(カーボンブラック等)を含有してもよい。また、封止組成物は、改質剤(シリコーン、シリコーンゴム等)を含有してもよい。着色剤及び改質剤は、それぞれ、1種類を単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
着色剤としてカーボンブラック等の導電性粒子を用いる場合、導電性粒子は、粒子径10μm以上の粒子の含有率が1質量%以下であることが好ましい。
封止組成物が導電性粒子を含有する場合、導電性粒子の含有率は、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して3質量%以下であることが好ましい。
(その他添加剤)
封止組成物は、必要に応じて、さらにその他添加剤を含んでもよい。
その他添加剤としては、難燃剤、陰イオン交換体、可塑剤等が挙げられる。また、組成物には、必要に応じて当技術分野で周知の各種添加剤を添加してもよい。
<封止組成物の作製方法>
封止組成物の作製方法は特に制限されず、公知の方法により行うことができる。例えば、所定の配合量の原材料の混合物をミキサー等によって充分混合した後、熱ロール、押出機等によって混練し、冷却、粉砕等の処理を経ることによって封止組成物を作製することができる。封止組成物の状態は特に制限されず、粉末状、固体状、液体状等であってよい。
<半導体装置>
本開示の半導体装置は、半導体素子と、前記半導体素子を封止してなる本開示の封止組成物の硬化物と、を含む。
封止組成物を用いて半導体素子を封止する方法は特に限定されず、公知の方法を適用することが可能である。トランスファーモールド法等が一般的であるが、コンプレッションモールド法、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
本開示の半導体装置は、IC(Integrated Circuit、集積回路)、LSI(Large−Scale Integration、大規模集積回路)等として好適である。
以下に本発明の一実施形態を以下の実施例を参照して説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、表中の数値は特に断りのない限り「質量部」を意味する。
<実施例1〜5及び比較例1>
下記に示す成分を表1に示す配合割合(質量部)で予備混合(ドライブレンド)した後、二軸ニーダーで混練し、冷却粉砕して粉末状の封止組成物を製造した。
なお、表1に示す成分の詳細は以下の通りである。
(A)エポキシ樹脂
エポキシ樹脂A1−1:第1のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、エポキシ基当量「440g/eq」、硬化後ガラス転移温度「−57℃」、分子内に2つのエポキシ基、ゴム弾性骨格、及び前記構造式(1)で表される2価の連結基を有するエポキシ樹脂
エポキシ樹脂A1−2:第1のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、エポキシ基当量「489g/eq」、硬化後ガラス転移温度「31℃」、分子内に2つのエポキシ基、柔軟骨格、芳香環を含む骨格、及び前記構造式(1)で表される2価の連結基を有するエポキシ樹脂
エポキシ樹脂A1−3:第1のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、エポキシ基当量「501g/eq」、硬化後ガラス転移温度「19℃」、分子内に2つのエポキシ基を有するエポキシ樹脂
エポキシ樹脂A2:第2のエポキシ樹脂、三菱ケミカル株式会社、品名「YX4000H」、エポキシ基当量「192g/eq」、硬化後ガラス転移温度「150℃」、軟化点「107℃」、ビフェニル型エポキシ樹脂
ここで、上記エポキシ樹脂における硬化後ガラス転移温度の値は、測定対象であるエポキシ樹脂と、多官能フェノール樹脂硬化剤である「HE910−09」(エア・ウォーター株式会社)と、リン系硬化促進剤である「トリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物」と、を混合した混合物を175℃で6時間加熱することで得られた測定用硬化物におけるガラス転移温度の値である。
なお、測定用硬化物の作製において、多官能フェノール樹脂硬化剤は、測定対象であるエポキシ樹脂のエポキシ基の数(すなわち総数)とフェノール樹脂の水酸基の数(すなわち総数)とが同程度になるように添加し、リン系硬化促進剤は、エポキシ樹脂と多官能フェノール樹脂硬化剤との合計100質量部に対しリン系硬化促進剤の含有量が3質量部〜6質量部になるように添加した。
また、ガラス転移温度の測定は、得られた測定用硬化物を切断して、10mgをはかり取り、示差走査熱量計(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社、品名「DSC Q100」)を用いて昇温速度10℃/分の条件にて測定を行い、得られたチャートの変曲点前後における接線の交点をガラス転移温度とした。
(B)硬化剤
硬化剤B1:トリフェニルメタン型フェノール樹脂、エア・ウォーター株式会社、品名「HE910−09」、水酸基当量「92〜104g/eq」、軟化点「75〜85℃」
(C)硬化促進剤
硬化促進剤C1:リン系硬化促進剤(トリブチルホスフィンとベンゾキノンの付加物)
(D)カップリング剤
カップリング剤D1:8−メタクリロキシオクチルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社、品名「KBM−5803」
(E)離型剤
離型剤E1:モンタンワックス、クラリアント社、品名「HW−E」
(F)着色剤
顔料F1:カーボンブラック、三菱ケミカル株式会社、商品名「MA600」
(G)添加剤
添加剤G1:トリフェニルホスフィンオキシド
(H)改質剤
改質剤H1:シリコーン、東レ・ダウコーニング株式会社、品名「BY16−876」
(I)無機充填材
フィラI1:シリカ粒子、球状、比表面積「190m/g〜230m/g」
フィラI2:アルミナ粒子、球状、平均粒子径「0.7μm」
フィラI3:アルミナ粒子、球状、平均粒子径「10μm」
−評価−
実施例及び比較例で作製した封止組成物の特性を、次の特性試験により評価した。評価結果を下記表1に示す。
(熱時硬度)
上記で得られた封止組成物を用いて、トランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒で成形し、直径50mm×厚み3mmの円板形状である試験片を作製した。成形後直ちにショアD型硬度計(高分子計器株式会社、アスカー、タイプDデュロメータ)を用いて硬化物の熱時硬度を測定した。
(室温弾性率及び高温弾性率)
上記で得られた封止組成物を用いて、トランスファ成形機により、金型温度175℃、成形圧力6.9MPa、硬化時間90秒の条件で、127mm×12.7mm×4mmの形状の試験片を作製した。その後、後硬化を175℃で6時間の条件で行った。評価装置として、テンシロン(A&D社)を用い、JIS−K−7171(2016)に準拠した3点支持型曲げ試験を、25℃及び260℃においてそれぞれ行い、試験片の曲げ弾性率を求めた。
なお、曲げ弾性率Eは下記式にて定義され、25℃における測定によって得られた曲げ弾性率を「室温弾性率」、260℃における測定によって得られた曲げ弾性率を「高温弾性率」とする。
下記式中、Eは曲げ弾性率(MPa)、Pはロードセルの値(N)、yは変位量(mm)、lはスパン=64mm、wは試験片幅=12.7mm、hは試験片厚さ=4mmである。
Figure 2020130097
(熱伝導率)
上記で得られた封止組成物を用いてトランスファ成形機により、金型温度175℃〜180℃、成形圧力7MPa、硬化時間300秒の条件で熱伝導率評価用の試験片を作製した。次いで、成形した試験片について、厚さ方向の熱拡散率を測定した。熱拡散率の測定はレーザーフラッシュ法(装置:LFA467 nanoflash、NETZSCH社)にて行った。パルス光照射は、パルス幅0.31(ms)、印加電圧247Vの条件で行った。測定は雰囲気温度25℃±1℃で行った。また上記試験片の密度は電子比重計(AUX220、株式会社島津製作所)を用いて測定した。比熱は、各材料の比熱の文献値と配合比率より算出した封止組成物の理論比熱を用いた。
次いで、式(6)を用いて比熱及び密度を熱拡散率に乗算することによって,熱伝導率の値を得た。
λ=α×Cp×ρ・・・式(6)
(式(6)中、λは熱伝導率(W/(m・K))、αは熱拡散率(m/s)、Cpは比熱(J/(kg・K))、ρは密度(kg/m)をそれぞれ示す。)
結果を表1に示す。
Figure 2020130097
表1中、「フィラの平均粒子径」は用いた無機充填材全体における体積基準の平均粒子径を意味し、「フィラ含有率」は封止組成物全体に対する用いた無機充填材全体の含有率を意味する。
表1の評価結果から明らかなように、第1のエポキシ樹脂を含有する実施例1〜5の封止組成物は、第1のエポキシ樹脂を含有しない比較例1の封止組成物に比較して、室温弾性率及び高温弾性率の低い硬化物が得られている。また、実施例1〜5の封止組成物の硬化物の熱伝導率は、比較例1の封止組成物の硬化物の熱伝導率と同等又はそれよりも高い値となっている。また、実施例1〜5の封止組成物は、比較例1の封止組成物に比較して、室温弾性率及び高温弾性率を低減しつつ、熱時硬度が維持されている。
2018年12月21日に出願された日本国特許出願2018−239253号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、および技術規格は、個々の文献、特許出願、および技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に取り込まれる。

Claims (8)

  1. エポキシ基当量が300g/eq以上であり、多官能フェノール樹脂硬化剤及びリン系硬化促進剤を用いて硬化させたときのガラス転移温度が40℃以下である第1のエポキシ樹脂と、
    硬化剤と、
    無機充填材と、
    を含有する封止組成物。
  2. 前記無機充填材の含有率は、封止組成物全体に対して78体積%以上である請求項1に記載の封止組成物。
  3. 融点又は軟化点が50℃以上である第2のエポキシ樹脂をさらに含有する請求項1又は請求項2に記載の封止組成物。
  4. 前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して20質量%以上である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の封止組成物。
  5. 前記第1のエポキシ樹脂の含有率は、封止組成物に含有されるエポキシ樹脂の総量に対して50質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の封止組成物。
  6. 前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に2つのエポキシ基を有する請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の封止組成物。
  7. 前記第1のエポキシ樹脂は、分子内に下記構造式(1)で表される2価の連結基を有する請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の封止組成物。
    Figure 2020130097


    (上記構造式(1)中、*は結合部を示す。)
  8. 半導体素子と、前記半導体素子を封止してなる請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の封止組成物の硬化物と、を含む半導体装置。
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