JP2004204102A - 空洞充填材及びそれを用いた充填工法 - Google Patents
空洞充填材及びそれを用いた充填工法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】セメントを含む懸濁液A液と水ガラスを含む水溶液B液とを混合して使用する可塑状の充填材において、クラックの発生がなく優れた耐久性及び充填信頼性を有するトンネルと地盤との間にできた空洞に充填するに好適な空洞充填材およびその充填工法を提供すること。
【解決手段】セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と水ガラス水溶液からなるB液を、該B液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲となるよう混合して用い、且つ混合液中、石膏を3重量%以上含有してなるものであって、トンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に使用される。
【選択図】 なし
【解決手段】セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と水ガラス水溶液からなるB液を、該B液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲となるよう混合して用い、且つ混合液中、石膏を3重量%以上含有してなるものであって、トンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に使用される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルと地盤の間にできた空洞を充填する空洞充填材及びそれを用いた充填工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既設トンネルの覆工背面には、施工時および施工後に発生した空洞が存在することがあり、この場合トンネルの保全性や安全性が問題となることがある。また、シールドトンネル工事においてはシールド機械とセグメントの間に空洞が発生し、その空洞が長時間放置されると必然的に地山が崩壊し、地盤沈下が生じたり、地下水がトンネル内に漏水したりするという問題がある。
【0003】
従来このようなトンネルの空洞に充填する充填材としては、セメントモルタル、セメントミルク、エアモルタル、エアミルク、膨張モルタル、ポリマーセメント等のセメント系充填材;発泡ウレタン等の発泡樹脂系充填材及び水ガラス、シリカゾル等の水ガラス系充填材等が用いられてきた。
【0004】
近年、適度な流動性があって自立性と充填性を兼ね備えた充填材が種々検討されている。例えば特許文献1の特開昭58−37081号公報には、セメント懸濁液であるA液と、水ガラス溶液であるB液の混合物であって、A液に対して水ガラス成分中のSiO2を特定量とするグラウト材が開示されている。特許文献2の特開平5−280032号公報には、セメントスラリーであるA液と、シリカゾル、ケイ酸カリウム及び骨材からなる混合スラリーであるB液を混合したものは、瞬間的な反応によりゲル化して硬化するため、土木用材料として有用であることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−37081号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平5−280032号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から提案されている充填材は、A液とB液を混合した後、乾燥した場所への充填では、例えば材令28日後にクラックが発生しやすく、これをトンネルと地盤に生じた空洞に充填材として使用しても耐久性や充填信頼性に欠けるという問題がある。クラックの発生は強度低下に結びつくため極めて重大な問題である。このように、トンネルと地盤との間へ注入される従来の充填材は、加圧すると容易に流動化する性質を示すと共に当該空洞外への逸脱が起こらず、涌水中でも材料の希釈がなく、更に硬化後はクラックを発生させず実用的強度を維持する等の諸要求を同時に満足するという点では、未だ十分ではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記課題を解決するものであって、トンネルと地盤との間にできた空洞に充填するに好適な空洞充填材を提供することにあり、主としてセメントを含む懸濁液をA液とし、水ガラスを含む水溶液をB液とする可塑状の充填材において、ゲル化後の硬化体はクラックの発生がなく実用的強度を有し、優れた耐久性及び充填信頼性を有する空洞充填材及びその充填工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実状において、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、トンネルと地盤との間にできた空洞に充填するセメント−水ガラス系の充填材において、セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と、水ガラス水溶液からなるB液を特定容量比で混合し硬化させて用いる薬液が、特定量の石膏を含有するものであれば、硬化体にクラックの発生がなく耐久性と充填信頼性に優れた空洞充填材となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明(1)は、セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と水ガラス水溶液からなるB液を、該B液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲となるよう混合して用い、且つ混合液中、石膏を3重量%以上含有してなるものであって、トンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に使用される空洞充填材を提供するものである。
【0010】
また、本発明(2)は、セメント類、ベントナイト類、分散剤、石膏及び水を含有するA液と、水ガラス水溶液からなるB液の2液を用い、該A液とB液をB液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲で注入直前に混合し、該混合物をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入した後、反応硬化せしめる空洞充填材を用いた充填工法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の空洞充填材は、前記A液と前記B液が所定の容量比で混合され、特定量の石膏を含有する薬液である。A液はセメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するものである。石膏はトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入されるA液とB液の混合薬液中に含有されていればよいが、予めA液に含有させておくことが、該A液の安定性及びゲル化後、均一組成の硬化体を得ることができる点で好ましい。
【0012】
前記A液に配合するセメント類は、注入された空洞充填材を硬化体とするのに必要な成分である。当該セメント類としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメント;都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料として利用したエコセメント及び前記ポルトランドセメントやエコセメントの一部を石灰石粉末、シリカヒューム又はメタカオリン等の混和材で置換したセメント等が挙げられる。この中、早強ポルトランドセメントが、エーライト(3CaO・SiO2)の含有量が多く初期強度に優れる点で特に好ましい。これらセメント類は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
前記A液におけるセメント類の配合量は水100重量部に対して40〜55重量部、好ましくは44〜50重量部である。セメント類の配合量が40重量部未満では、強度発現の成分であるセメント類の量が不足し実用的な圧縮強度を発現しなくなる傾向があり、一方、55重量部を越えるとA液自体の粘性が高くなり作業性が悪くなる傾向があるとともに、充填材自体も高価なものとなることから実用的でない。
【0014】
前記A液に配合するベントナイト類は、主としてA液のブリージング防止材として使用するものである。A液を単にセメントスラリー系にした場合、セメント粒子と水とが分離するいわゆるブリージングを生じて、均質で強固な空洞充填材として機能しないばかりでなく、施工現場での貯蔵や輸送、注入に重大な支障を生じる。従って、ブリージング防止剤を不可欠な材料として使用することも重要な要件である。そのブリージング防止効果はベントナイトの膨潤度に依拠し、その値が大きいほどブリージング防止作用に優れている。しかしながら、ベントナイト類はブリージング防止材としての効果とは裏腹に、セメント類との混合スラリー系ではセメントから遊離したCa2 +とベントナイトのNa+ とがカチオン交換するため、セメントの硬化能力を低下させる欠点がある。このように、ベントナイト類はブリージング防止作用と材料の強度劣化作用と相矛盾する機能を有することから、その使用は可能な限り必要最小限に留めることが好ましい。したがって、A液におけるベントナイト類の使用に当たっては、その選択や使用量の設計が難しくかつ重要な要因となる。
【0015】
前記A液に配合するベントナイト類としては、膨潤度が5ml/g 以上のものが特に好ましい。ここで膨潤度とはベントナイト類1g が水を吸収してゼリー状に膨潤した時の容積である。また、A液におけるベントナイト類の配合量は水100重量部に対して6〜9重量部、好ましくは7〜8重量部である。ベントナイト類の配合量が6重量部未満では、ブリージングが大きく、材料分離となるため、充填材として支障がある。一方、9重量部を越えると、A液の粘性が大きく、ポンプ圧送が困難となってしまい作業性が悪くなると共に、セメントの硬化能力を低下させることになる点で好ましくない。
【0016】
前記A液に配合する分散剤は、A液を安定性の良いスラリーとし、粒子間の反応抑制と再凝集を防ぐために必要な成分である。分散剤の種類としては、特に限定されないが、例えばクエン酸、酒石酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸塩等あるいは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが機能上及び環境上の点から好ましい。またこれらの分散剤は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の配合量は水100重量部に対して0.3〜1.0重量部、好ましくは0.5〜0.8重量部である。分散剤の量が0.3重量部未満では、A液の流動性が悪く、またセメントを使用しているため、凝結作用によって可使時間が短くなるため作業性が悪くなる傾向があり、一方、1.0重量部を越えると、充填材の硬化時間が遅くなり圧縮強度が低下する原因となる点で好ましくない。
【0017】
前述の如く石膏はA液に配合することが必須ではないものの、A液に配合して使用することが好ましい。この場合、A液における石膏の配合量は、水100重量部に対して5〜25重量部、好ましくは7〜20重量部であり、また、石膏の配合量はA液とB液の混合液中、3〜12重量%となるようにA液に含有させることが、空洞充填材の充填後、例えば材令28日の硬化体にクラックの発生がなく、実用的な強度を有し耐久性及び充填信頼性に優れた空洞充填材とすることができる。石膏の含有量が前記範囲より少ないと石膏添加の効果が不十分でクラックが発生しやすくなり、また、多すぎると、石膏の過剰添加による膨張作用が大きくなり充填材の密度が小さくなり、強度低下の原因となる。石膏としては、特に制限されず、工業的に入手できるものが使用できる。
【0018】
以上の如く、A液の組成としては、水100重量部に対してセメント類40〜55重量部、好ましくは44〜50重量部、ベントナイト類6〜9重量部、好ましくは7〜8重量部、石膏5〜25重量部、好ましくは7〜20重量部、分散剤0.3〜1.0重量部、好ましくは0.5〜0.8重量部を含有させたものが好ましい。また、前記A液はフロー値が10秒以下、好ましくは8.5〜9.5秒であることが流動性及び作業性に優れる点で特に好ましい。
【0019】
本発明の空洞充填材において、B液は水ガラス水溶液であり、該水ガラス水溶液としては、SiO2/Na2Oのモル比が3.5以上、好ましくは3.7〜4.2の水ガラスが挙げられる。このような水ガラスとしては、例えば、4号珪酸ソーダ等を用いることができる。この水ガラスのSiO2/Na2Oのモル比が3.5未満では、ゲルタイムが長く、地下水で充填材が希釈されることがある点で好ましくない。更に、B液は水ガラスとしてSiO2/Na2Oのモル比が上記範囲のものを用いることに加えて、B液中の水ガラスの量をSiO2濃度として20重量%以上、好ましくは22〜27重量%とするとゲル化直後の早期強度に優れ、更に耐久性に優れた硬化体を得ることができることから特に好ましい。
【0020】
本発明に係る空洞充填材は前記A液とB液との容量比(B液/A液)が0.15〜0.28の範囲で混合して所定の場所に供される。通常のLW工法(LabiresWasserglas工法)におけるセメント−水ガラス系においてはA液とB液の容量比は1前後の等量近くに設定されるが、本発明ではA液に対するB液の容量比が0.15〜0.28、好ましくは0.18〜0.25と非常に小さく限られた比率で混合することが重要であり、当該範囲で前記のA液と前記のB液を混合することにより、本発明の空洞充填材は特に優れた耐久性と充填信頼性を得ることができる。すなわちA液とB液の容量比(B液/A液)が0.15未満では初期強度において、ゲル化した充填材の圧縮強度が弱く実用的な強度を確保できなくなり、0.25を超えると、充填材の固形分となるセメント、ベントナイト等が少ない比率となり、クラックが発生しやすくなる点で好ましくない。
【0021】
本発明の空洞充填材は、更に必要により、フライアッシュ、スラグ、シリカヒューム、コロイダルシリカ、活性珪酸等の添加剤を含有させて用いることができる。この場合、A液にフライアッシュ、スラグ、シリカヒューム等を含有させ、B液にコロイダルシリカ、活性珪酸等を含有させればよい。なお活性珪酸とは水ガラスをイオン交換して、Naを取り除いたものである。
【0022】
本発明に係る空洞充填材は、ゲル化時間が10秒以下、好ましくは5〜7秒である。ゲル化時間が上記範囲にあるとA液とB液との混合が良好となり、強度のバラツキの少ない均質な硬化体が得られる点で好ましい。
【0023】
また、本発明に係る空洞充填材は、ゲル化後、硬化体の湿気養生における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度が1.4N/mm2以上、好ましくは1.5〜2.0N/mm2であると地山相当の強度が確保される点で好ましい。更に本発明に係る空洞充填材は、ゲル化後、硬化体の20℃で、湿度60%の雰囲気下における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度が0.2N/mm2以上、好ましくは0.4〜0.7N/mm2であると特にクラックの発生がなく、耐久性及び充填信頼性に優れたものとすることができる点で特に好ましい。
【0024】
なお、本発明において湿気養生における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度とは、JIS A1216(地盤工学会基準;一軸圧縮試験)に基づいてA液とB液との混合物である空洞充填材を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を1日間、温度20℃、湿度90%で湿気養生した後、水中に浸漬し、28日経過後に取り出して圧縮強度試験機を用いて一軸圧縮強度を測定した値である。
【0025】
本発明の空洞充填材の充填工法は、石膏が所定量配合されたA液とB液を予め調製しておき、この2液を用い、該A液とB液をB液/A液の容量比が0.15〜0.28、好ましくは0.18〜0.25の範囲で注入直前に混合して、該混合物をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入した後、反応硬化せしめることにより行う。また、石膏はA液とB液の混合液中、3〜12重量%となるようにA液に含有させることが、クラックの発生がなく実用的強度を有する耐久性に優れた硬化体を得ることができる点で好ましい。
【0026】
トンネルと地盤との間に生じた空洞に空洞充填材を注入する方法としては、特に制限されず、前記A液とB液を前記所定割合となるように1.5ショット又は2ショットで瞬時に混合できる注入機械に導入して、混合液を空洞に圧入あるいは注入する方法が挙げられる。空洞に注入する際の注入圧力および注入流量は、該充填材が空洞に圧入もしくは注入できる範囲であれば、特に制限はないが、注入圧力は、通常、0.5MPa以下、好ましくは0.1〜0.3MPaで、注入流量は、150L/min以下、好ましくは50〜100L/minで行うことが好ましい。
【0027】
本発明の空洞充填材はトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に適した組成を有している。すなわち、石膏とセメント組成に含まれているアルミネート相(3CaO・Al2O3)との反応によりエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)を生成させ、このエトリンガイトが本発明の空洞充填材に収縮を補う膨張性能力を付与する。更に該エトリンガイトが針状結晶となることにより、よりきめ細かな結合が形成されるため、ゲル化後の硬化体はクラックの発生がなく、実用的に十分な強度を有し耐久性及び充填信頼性に優れるものと考えられる。従って、本発明の空洞充填材をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入して用いると収縮を生じないため再空洞化の発生がなく、優れた充填信頼性を得ることができる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例における試験および測定方法は下記の方法を適用した。
【0029】
ゲルタイム;
A液とB液との混合物が流動性を失うまでの時間をいい、A液とB液を混合して、この混合した充填材を入れたビーカーが90度傾けても流下しなくなる時点までの時間を測定した。
【0030】
ブリージング;
A液を調製し、1000mlのメスシリンダーに入れて所定時間放置後の上澄み液量を測定し、全容量との百分率で示した。
【0031】
フロー値;
A液を調製し、プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法により、Pロートによる流下時間を測定した。なお、水による測定値は8.5秒である。
【0032】
圧縮強度;
(i)湿気養生
JIS A1216(地盤工学会基準・一軸圧縮試験)に基づいて空洞充填材(A液とB液との混合物)を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を1日間湿気養生した後、水中に浸漬し、所定時間経過後に取り出して圧縮強度試験機を用いて一軸圧縮強度を測定した。
(ii)温度20℃、湿度60%における放置試験
空洞充填材(A液とB液との混合物)を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を温度20℃、湿度60%の恒温室に放置して乾燥させる。所定時間経過後の圧縮強度試験機を用いて一軸圧縮強度を測定した。
【0033】
クラックの発生;
空洞充填材(A液とB液との混合物)を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を温度20℃、湿度60%の恒温室に放置して乾燥させ28日後の供試体のクラックの発生の有無を目視にて観察した。
【0034】
<A液で使用した材料>
・セメント: 高炉セメントB種(太平洋セメント社製)
・ベントナイト:膨潤度5ml/gのベントナイト(豊順洋行社製)
・石膏: 焼石膏(ノリタケカンパニー社製)
・分散剤: オキシカルボン酸塩系(昭栄薬品社製)
・水
<B液で使用した材料>
・液体珪酸ソーダ:N特殊珪酸ソーダ(モル比SiO2/Na2O=3.95、
SiO2濃度23.5重量%(日本化学工業社製)
・水
【0035】
実施例1〜7
上記材料を用いて主に石膏の添加量を種々変化させ、表1に示す配合比率となるようにA液およびB液を混合して空洞充填材を作製した。また、A液のフロー値及びブリージング率を表2に、ゲルタイム及びゲル化後、硬化した硬化体の特性を表3に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
比較例1〜24
上記材料を用いて主に石膏の添加量を種々変化させ、表4に示す配合比率となるようにA液およびB液を混合して空洞充填材を作製した。また、A液のフロー値及びブリージング率を表5に、ゲルタイム及びゲル化後、硬化した硬化体の特性を表6に示した。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
表3の結果より、本発明の空洞充填材を構成するA液はフロー値が何れも10秒以下であり作業性に優れ、また、ブリージング率が低く、A液は安定性に優れていることが分かる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の空洞充填材は、主としてセメント類を含有する懸濁液であるA液と水ガラス水溶液であるB液を混合したセメント−水ガラス系の充填材薬液であって、且つ該混合薬液には特定量の石膏が含まれているため、ゲル化後の硬化体はクラックの発生がなく実用的強度を有し耐久性に優れる。また、該空洞充填材をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入することで収縮を起こさず再空洞化の恐れがなく、優れた充填信頼性を得ることができる。特に、本発明の空洞充填材はトンネル背面の空洞などへの充填材として極めて有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルと地盤の間にできた空洞を充填する空洞充填材及びそれを用いた充填工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
既設トンネルの覆工背面には、施工時および施工後に発生した空洞が存在することがあり、この場合トンネルの保全性や安全性が問題となることがある。また、シールドトンネル工事においてはシールド機械とセグメントの間に空洞が発生し、その空洞が長時間放置されると必然的に地山が崩壊し、地盤沈下が生じたり、地下水がトンネル内に漏水したりするという問題がある。
【0003】
従来このようなトンネルの空洞に充填する充填材としては、セメントモルタル、セメントミルク、エアモルタル、エアミルク、膨張モルタル、ポリマーセメント等のセメント系充填材;発泡ウレタン等の発泡樹脂系充填材及び水ガラス、シリカゾル等の水ガラス系充填材等が用いられてきた。
【0004】
近年、適度な流動性があって自立性と充填性を兼ね備えた充填材が種々検討されている。例えば特許文献1の特開昭58−37081号公報には、セメント懸濁液であるA液と、水ガラス溶液であるB液の混合物であって、A液に対して水ガラス成分中のSiO2を特定量とするグラウト材が開示されている。特許文献2の特開平5−280032号公報には、セメントスラリーであるA液と、シリカゾル、ケイ酸カリウム及び骨材からなる混合スラリーであるB液を混合したものは、瞬間的な反応によりゲル化して硬化するため、土木用材料として有用であることが記載されている。
【0005】
【特許文献1】
特開昭58−37081号公報(請求項1)
【特許文献2】
特開平5−280032号公報(請求項1)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から提案されている充填材は、A液とB液を混合した後、乾燥した場所への充填では、例えば材令28日後にクラックが発生しやすく、これをトンネルと地盤に生じた空洞に充填材として使用しても耐久性や充填信頼性に欠けるという問題がある。クラックの発生は強度低下に結びつくため極めて重大な問題である。このように、トンネルと地盤との間へ注入される従来の充填材は、加圧すると容易に流動化する性質を示すと共に当該空洞外への逸脱が起こらず、涌水中でも材料の希釈がなく、更に硬化後はクラックを発生させず実用的強度を維持する等の諸要求を同時に満足するという点では、未だ十分ではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、上記課題を解決するものであって、トンネルと地盤との間にできた空洞に充填するに好適な空洞充填材を提供することにあり、主としてセメントを含む懸濁液をA液とし、水ガラスを含む水溶液をB液とする可塑状の充填材において、ゲル化後の硬化体はクラックの発生がなく実用的強度を有し、優れた耐久性及び充填信頼性を有する空洞充填材及びその充填工法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
かかる実状において、本発明者らは鋭意検討を行なった結果、トンネルと地盤との間にできた空洞に充填するセメント−水ガラス系の充填材において、セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と、水ガラス水溶液からなるB液を特定容量比で混合し硬化させて用いる薬液が、特定量の石膏を含有するものであれば、硬化体にクラックの発生がなく耐久性と充填信頼性に優れた空洞充填材となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明(1)は、セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と水ガラス水溶液からなるB液を、該B液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲となるよう混合して用い、且つ混合液中、石膏を3重量%以上含有してなるものであって、トンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に使用される空洞充填材を提供するものである。
【0010】
また、本発明(2)は、セメント類、ベントナイト類、分散剤、石膏及び水を含有するA液と、水ガラス水溶液からなるB液の2液を用い、該A液とB液をB液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲で注入直前に混合し、該混合物をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入した後、反応硬化せしめる空洞充填材を用いた充填工法を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の空洞充填材は、前記A液と前記B液が所定の容量比で混合され、特定量の石膏を含有する薬液である。A液はセメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するものである。石膏はトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入されるA液とB液の混合薬液中に含有されていればよいが、予めA液に含有させておくことが、該A液の安定性及びゲル化後、均一組成の硬化体を得ることができる点で好ましい。
【0012】
前記A液に配合するセメント類は、注入された空洞充填材を硬化体とするのに必要な成分である。当該セメント類としては、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント等の各種ポルトランドセメント;高炉セメント、フライアッシュセメント等の各種混合セメント;都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰等の廃棄物を原料として利用したエコセメント及び前記ポルトランドセメントやエコセメントの一部を石灰石粉末、シリカヒューム又はメタカオリン等の混和材で置換したセメント等が挙げられる。この中、早強ポルトランドセメントが、エーライト(3CaO・SiO2)の含有量が多く初期強度に優れる点で特に好ましい。これらセメント類は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
前記A液におけるセメント類の配合量は水100重量部に対して40〜55重量部、好ましくは44〜50重量部である。セメント類の配合量が40重量部未満では、強度発現の成分であるセメント類の量が不足し実用的な圧縮強度を発現しなくなる傾向があり、一方、55重量部を越えるとA液自体の粘性が高くなり作業性が悪くなる傾向があるとともに、充填材自体も高価なものとなることから実用的でない。
【0014】
前記A液に配合するベントナイト類は、主としてA液のブリージング防止材として使用するものである。A液を単にセメントスラリー系にした場合、セメント粒子と水とが分離するいわゆるブリージングを生じて、均質で強固な空洞充填材として機能しないばかりでなく、施工現場での貯蔵や輸送、注入に重大な支障を生じる。従って、ブリージング防止剤を不可欠な材料として使用することも重要な要件である。そのブリージング防止効果はベントナイトの膨潤度に依拠し、その値が大きいほどブリージング防止作用に優れている。しかしながら、ベントナイト類はブリージング防止材としての効果とは裏腹に、セメント類との混合スラリー系ではセメントから遊離したCa2 +とベントナイトのNa+ とがカチオン交換するため、セメントの硬化能力を低下させる欠点がある。このように、ベントナイト類はブリージング防止作用と材料の強度劣化作用と相矛盾する機能を有することから、その使用は可能な限り必要最小限に留めることが好ましい。したがって、A液におけるベントナイト類の使用に当たっては、その選択や使用量の設計が難しくかつ重要な要因となる。
【0015】
前記A液に配合するベントナイト類としては、膨潤度が5ml/g 以上のものが特に好ましい。ここで膨潤度とはベントナイト類1g が水を吸収してゼリー状に膨潤した時の容積である。また、A液におけるベントナイト類の配合量は水100重量部に対して6〜9重量部、好ましくは7〜8重量部である。ベントナイト類の配合量が6重量部未満では、ブリージングが大きく、材料分離となるため、充填材として支障がある。一方、9重量部を越えると、A液の粘性が大きく、ポンプ圧送が困難となってしまい作業性が悪くなると共に、セメントの硬化能力を低下させることになる点で好ましくない。
【0016】
前記A液に配合する分散剤は、A液を安定性の良いスラリーとし、粒子間の反応抑制と再凝集を防ぐために必要な成分である。分散剤の種類としては、特に限定されないが、例えばクエン酸、酒石酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸塩等あるいは炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウムなどのアルカリ金属炭酸塩などが機能上及び環境上の点から好ましい。またこれらの分散剤は1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。分散剤の配合量は水100重量部に対して0.3〜1.0重量部、好ましくは0.5〜0.8重量部である。分散剤の量が0.3重量部未満では、A液の流動性が悪く、またセメントを使用しているため、凝結作用によって可使時間が短くなるため作業性が悪くなる傾向があり、一方、1.0重量部を越えると、充填材の硬化時間が遅くなり圧縮強度が低下する原因となる点で好ましくない。
【0017】
前述の如く石膏はA液に配合することが必須ではないものの、A液に配合して使用することが好ましい。この場合、A液における石膏の配合量は、水100重量部に対して5〜25重量部、好ましくは7〜20重量部であり、また、石膏の配合量はA液とB液の混合液中、3〜12重量%となるようにA液に含有させることが、空洞充填材の充填後、例えば材令28日の硬化体にクラックの発生がなく、実用的な強度を有し耐久性及び充填信頼性に優れた空洞充填材とすることができる。石膏の含有量が前記範囲より少ないと石膏添加の効果が不十分でクラックが発生しやすくなり、また、多すぎると、石膏の過剰添加による膨張作用が大きくなり充填材の密度が小さくなり、強度低下の原因となる。石膏としては、特に制限されず、工業的に入手できるものが使用できる。
【0018】
以上の如く、A液の組成としては、水100重量部に対してセメント類40〜55重量部、好ましくは44〜50重量部、ベントナイト類6〜9重量部、好ましくは7〜8重量部、石膏5〜25重量部、好ましくは7〜20重量部、分散剤0.3〜1.0重量部、好ましくは0.5〜0.8重量部を含有させたものが好ましい。また、前記A液はフロー値が10秒以下、好ましくは8.5〜9.5秒であることが流動性及び作業性に優れる点で特に好ましい。
【0019】
本発明の空洞充填材において、B液は水ガラス水溶液であり、該水ガラス水溶液としては、SiO2/Na2Oのモル比が3.5以上、好ましくは3.7〜4.2の水ガラスが挙げられる。このような水ガラスとしては、例えば、4号珪酸ソーダ等を用いることができる。この水ガラスのSiO2/Na2Oのモル比が3.5未満では、ゲルタイムが長く、地下水で充填材が希釈されることがある点で好ましくない。更に、B液は水ガラスとしてSiO2/Na2Oのモル比が上記範囲のものを用いることに加えて、B液中の水ガラスの量をSiO2濃度として20重量%以上、好ましくは22〜27重量%とするとゲル化直後の早期強度に優れ、更に耐久性に優れた硬化体を得ることができることから特に好ましい。
【0020】
本発明に係る空洞充填材は前記A液とB液との容量比(B液/A液)が0.15〜0.28の範囲で混合して所定の場所に供される。通常のLW工法(LabiresWasserglas工法)におけるセメント−水ガラス系においてはA液とB液の容量比は1前後の等量近くに設定されるが、本発明ではA液に対するB液の容量比が0.15〜0.28、好ましくは0.18〜0.25と非常に小さく限られた比率で混合することが重要であり、当該範囲で前記のA液と前記のB液を混合することにより、本発明の空洞充填材は特に優れた耐久性と充填信頼性を得ることができる。すなわちA液とB液の容量比(B液/A液)が0.15未満では初期強度において、ゲル化した充填材の圧縮強度が弱く実用的な強度を確保できなくなり、0.25を超えると、充填材の固形分となるセメント、ベントナイト等が少ない比率となり、クラックが発生しやすくなる点で好ましくない。
【0021】
本発明の空洞充填材は、更に必要により、フライアッシュ、スラグ、シリカヒューム、コロイダルシリカ、活性珪酸等の添加剤を含有させて用いることができる。この場合、A液にフライアッシュ、スラグ、シリカヒューム等を含有させ、B液にコロイダルシリカ、活性珪酸等を含有させればよい。なお活性珪酸とは水ガラスをイオン交換して、Naを取り除いたものである。
【0022】
本発明に係る空洞充填材は、ゲル化時間が10秒以下、好ましくは5〜7秒である。ゲル化時間が上記範囲にあるとA液とB液との混合が良好となり、強度のバラツキの少ない均質な硬化体が得られる点で好ましい。
【0023】
また、本発明に係る空洞充填材は、ゲル化後、硬化体の湿気養生における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度が1.4N/mm2以上、好ましくは1.5〜2.0N/mm2であると地山相当の強度が確保される点で好ましい。更に本発明に係る空洞充填材は、ゲル化後、硬化体の20℃で、湿度60%の雰囲気下における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度が0.2N/mm2以上、好ましくは0.4〜0.7N/mm2であると特にクラックの発生がなく、耐久性及び充填信頼性に優れたものとすることができる点で特に好ましい。
【0024】
なお、本発明において湿気養生における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度とは、JIS A1216(地盤工学会基準;一軸圧縮試験)に基づいてA液とB液との混合物である空洞充填材を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を1日間、温度20℃、湿度90%で湿気養生した後、水中に浸漬し、28日経過後に取り出して圧縮強度試験機を用いて一軸圧縮強度を測定した値である。
【0025】
本発明の空洞充填材の充填工法は、石膏が所定量配合されたA液とB液を予め調製しておき、この2液を用い、該A液とB液をB液/A液の容量比が0.15〜0.28、好ましくは0.18〜0.25の範囲で注入直前に混合して、該混合物をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入した後、反応硬化せしめることにより行う。また、石膏はA液とB液の混合液中、3〜12重量%となるようにA液に含有させることが、クラックの発生がなく実用的強度を有する耐久性に優れた硬化体を得ることができる点で好ましい。
【0026】
トンネルと地盤との間に生じた空洞に空洞充填材を注入する方法としては、特に制限されず、前記A液とB液を前記所定割合となるように1.5ショット又は2ショットで瞬時に混合できる注入機械に導入して、混合液を空洞に圧入あるいは注入する方法が挙げられる。空洞に注入する際の注入圧力および注入流量は、該充填材が空洞に圧入もしくは注入できる範囲であれば、特に制限はないが、注入圧力は、通常、0.5MPa以下、好ましくは0.1〜0.3MPaで、注入流量は、150L/min以下、好ましくは50〜100L/minで行うことが好ましい。
【0027】
本発明の空洞充填材はトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に適した組成を有している。すなわち、石膏とセメント組成に含まれているアルミネート相(3CaO・Al2O3)との反応によりエトリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)を生成させ、このエトリンガイトが本発明の空洞充填材に収縮を補う膨張性能力を付与する。更に該エトリンガイトが針状結晶となることにより、よりきめ細かな結合が形成されるため、ゲル化後の硬化体はクラックの発生がなく、実用的に十分な強度を有し耐久性及び充填信頼性に優れるものと考えられる。従って、本発明の空洞充填材をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入して用いると収縮を生じないため再空洞化の発生がなく、優れた充填信頼性を得ることができる。
【0028】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって本発明を制限するものではない。なお、以下の実施例における試験および測定方法は下記の方法を適用した。
【0029】
ゲルタイム;
A液とB液との混合物が流動性を失うまでの時間をいい、A液とB液を混合して、この混合した充填材を入れたビーカーが90度傾けても流下しなくなる時点までの時間を測定した。
【0030】
ブリージング;
A液を調製し、1000mlのメスシリンダーに入れて所定時間放置後の上澄み液量を測定し、全容量との百分率で示した。
【0031】
フロー値;
A液を調製し、プレパックドコンクリートの注入モルタルの流動性試験方法により、Pロートによる流下時間を測定した。なお、水による測定値は8.5秒である。
【0032】
圧縮強度;
(i)湿気養生
JIS A1216(地盤工学会基準・一軸圧縮試験)に基づいて空洞充填材(A液とB液との混合物)を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を1日間湿気養生した後、水中に浸漬し、所定時間経過後に取り出して圧縮強度試験機を用いて一軸圧縮強度を測定した。
(ii)温度20℃、湿度60%における放置試験
空洞充填材(A液とB液との混合物)を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を温度20℃、湿度60%の恒温室に放置して乾燥させる。所定時間経過後の圧縮強度試験機を用いて一軸圧縮強度を測定した。
【0033】
クラックの発生;
空洞充填材(A液とB液との混合物)を50mmφ×100mmLの円筒型枠に入れてゲル化後脱型し、供試体を温度20℃、湿度60%の恒温室に放置して乾燥させ28日後の供試体のクラックの発生の有無を目視にて観察した。
【0034】
<A液で使用した材料>
・セメント: 高炉セメントB種(太平洋セメント社製)
・ベントナイト:膨潤度5ml/gのベントナイト(豊順洋行社製)
・石膏: 焼石膏(ノリタケカンパニー社製)
・分散剤: オキシカルボン酸塩系(昭栄薬品社製)
・水
<B液で使用した材料>
・液体珪酸ソーダ:N特殊珪酸ソーダ(モル比SiO2/Na2O=3.95、
SiO2濃度23.5重量%(日本化学工業社製)
・水
【0035】
実施例1〜7
上記材料を用いて主に石膏の添加量を種々変化させ、表1に示す配合比率となるようにA液およびB液を混合して空洞充填材を作製した。また、A液のフロー値及びブリージング率を表2に、ゲルタイム及びゲル化後、硬化した硬化体の特性を表3に示した。
【0036】
【表1】
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】
比較例1〜24
上記材料を用いて主に石膏の添加量を種々変化させ、表4に示す配合比率となるようにA液およびB液を混合して空洞充填材を作製した。また、A液のフロー値及びブリージング率を表5に、ゲルタイム及びゲル化後、硬化した硬化体の特性を表6に示した。
【0040】
【表4】
【0041】
【表5】
【0042】
【表6】
【0043】
表3の結果より、本発明の空洞充填材を構成するA液はフロー値が何れも10秒以下であり作業性に優れ、また、ブリージング率が低く、A液は安定性に優れていることが分かる。
【0044】
【発明の効果】
本発明の空洞充填材は、主としてセメント類を含有する懸濁液であるA液と水ガラス水溶液であるB液を混合したセメント−水ガラス系の充填材薬液であって、且つ該混合薬液には特定量の石膏が含まれているため、ゲル化後の硬化体はクラックの発生がなく実用的強度を有し耐久性に優れる。また、該空洞充填材をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入することで収縮を起こさず再空洞化の恐れがなく、優れた充填信頼性を得ることができる。特に、本発明の空洞充填材はトンネル背面の空洞などへの充填材として極めて有用である。
Claims (9)
- セメント類、ベントナイト類、分散剤及び水を含有するA液と水ガラス水溶液からなるB液を、該B液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲となるよう混合して用い、且つ混合液中、石膏を3重量%以上含有してなるものであって、トンネルと地盤との間に生じた空洞に注入する用途に使用されることを特徴とする空洞充填材。
- 前記A液は水100重量部に対してセメント類40〜55重量部、ベントナイト類6〜9重量部、石膏5〜25重量部、分散剤0.3〜1.0重量部を含有するものである請求項1記載の空洞充填材。
- 前記A液はフロー値が10秒以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の空洞充填材。
- 前記B液はSiO2/Na2Oのモル比が3.5以上で、SiO2濃度が20重量%以上の水ガラス水溶液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の空洞充填材。
- ゲル化時間が10秒以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の空洞充填材。
- ゲル化後、湿気養生における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度が1.4N/mm2以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の空洞充填材。
- ゲル化後、温度20℃、湿度60%の雰囲気下における材令28日後のホモゲルの一軸圧縮強度が0.2N/mm2以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の空洞充填材。
- セメント類、ベントナイト類、分散剤、石膏及び水を含有するA液と、水ガラス水溶液からなるB液の2液を用い、該A液とB液をB液/A液の容量比が0.15〜0.28の範囲で注入直前に混合して、該混合液をトンネルと地盤との間に生じた空洞に注入した後、反応硬化せしめることを特徴とする空洞充填材を用いた充填工法。
- 前記石膏はA液とB液の混合液中、3〜12重量%となるようにA液に含有させることを特徴とする請求項8記載の空洞充填材を用いた充填工法。
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JP2012241808A (ja) * | 2011-05-19 | 2012-12-10 | Tokyo Gas Co Ltd | 導管の充填遮断材及び充填遮断工法 |
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- 2002-12-26 JP JP2002376088A patent/JP2004204102A/ja active Pending
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